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JP6685801B2 - キッチンペーパー - Google Patents

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JP6685801B2 JP2016071822A JP2016071822A JP6685801B2 JP 6685801 B2 JP6685801 B2 JP 6685801B2 JP 2016071822 A JP2016071822 A JP 2016071822A JP 2016071822 A JP2016071822 A JP 2016071822A JP 6685801 B2 JP6685801 B2 JP 6685801B2
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Description

本発明は、エンボス加工されているキッチンペーパーに関し、特にネステッド形式で積層されている2プライのキッチンペーパーに関する。
キッチンペーパーは、台所周りや調理器具等の拭き清掃のほか、煮物の落とし蓋、油漉し、揚げ物の過剰油分の吸収等にも用いられ、水や油などの吸液性能が重要とされる。
一方、キッチンペーパーは、エンボス加工により一方面に凸部、他方面にその凸部に対応する凹部を形成したクレープ紙を二枚積層して形成された構造のものがある。
このようなキッチンペーパーにおける積層構造は、二枚のクレープ紙の凸部の頂部同士を対面させて接着したティップ トゥ ティップ(TipToTip)形式と、一方のクレープ紙の凸部の頂部が他方のクレープ紙の凸部ではない部分(対面する一方のクレープ紙から見て凸となっていない位置)に位置するように互い違いに凸部を位置させて接着したネステッド(Nested)形式とに分けられる。
ティップ トゥ ティップ形式の積層構造は、二枚のクレープ紙同士の間に広い空隙があり、吸油量に優れるが、全体としての紙厚が厚くなることが欠点となる。また、表裏の凹部の位置が平面視で一致しているためデザインの自由度が低い。
他方、ネステッド形式の積層構造は、一方のクレープ紙の凸部の頂部が他方のクレープ紙の凸部ではない位置にあるため、全体としての紙厚が薄くできる利点がある。したがって、ロール状の製品とするのに特に適する。また、表裏の凹部の位置を一致させる必要がないためデザインの自由度が高い。
しかしながら、ネステッド形式のキッチンペーパーは、デザインの自由度が高い利点があるものの、一方面の凹部が他方面から視認されないため、デザイン性を高めるためには一方紙面に凹部の数を多く配置する必要がある。そして、このように凹部の数を多くすると二枚のクレープ紙同士の間の空隙が狭くなるため、吸液性能、特に吸油量において、ティップ トゥ ティップ(TipToTip)形式よりも劣るようになる。
特開2003−116741号公報 特開2010−148803号公報 特開2008−154599号公報 特開2007−068577号公報 特開2006−280616号公報
そこで、本発明の主たる課題は、吸液性に優れ、特に吸油量においてティップ トゥ ティップ(TipToTip)形式に劣らず、デザイン性にも優れる、ネステッド形式で積層されている2プライのキッチンペーパーを提供することにある。
上記課題を解決した本発明及び作用効果は次記のとおりである。
(請求項1記載の発明)
エンボス加工された二枚のクレープ紙が、凸部形成面を対面させて、ネステッド形式の積層構造で一体化されている、表裏に、凸部に対応する凹部を有するキッチンペーパーであって、
一方面のクレープ紙が、他方面のクレープ紙に接する第一凹部とその第一凹部よりも深さが浅く他方のクレープ紙に接しない第二凹部とを有し、他方面のクレープ紙が、一方のクレープ紙に接する第三凹部のみを有し、
一方面のクレープ紙の第一凹部及び第二凹部と他方面のクレープ紙の第三凹部とが並ぶ凹部列が、間隔を開けて複数条並ぶエンボスセクションと、エンボスセクション間に位置する幅3.3〜6.0mmの非エンボスセクションと、を有し、
エンボスセクションは、前記一方面のクレープ紙の凹部と前記他方面のクレープ紙の凹部との個数の比率が、51:49〜80:20であり、
前記一方面のクレープ紙における紙面面積に対する第一凹部と第二凹部の合計の総面積の割合である凹部面積率が4〜11%であり、
エンボスセクションを構成する凹部の30〜60%が糊付けされた凹部であり、
一つの凹部の面積が、0.7〜2.5mm2である、
ことを特徴とするキッチンペーパー。
(請求項2記載の発明)
一方面のクレープ紙は、第一凹部と第二凹部との間隔が1.0〜4.0mmであり、隣り合う第一凹部の間隔.が2.0〜6.0mmであり、隣り合う第二凹部の間隔が3.0〜17.0mmである、請求項1記載のキッチンペーパー。
(請求項3記載の発明)
凹部列は、一方面のクレープ紙の凹部と、他方面のクレープ紙の凹部とが交互に並ぶ、請求項1又は2記載のキッチンペーパー。
(請求項4記載の発明)
エンボスセクションは、凹部列が略環状に並ぶ請求項1〜3の何れか1項に記載のキッチンペーパー。
(請求項5記載の発明)
クレープ紙の坪量が、15〜30g/m2である請求項1〜4の何れか1項に記載のキッチンペーパー。
以上の本発明によれば、吸油量においてティップ トゥ ティップ(TipToTip)形式に劣らず、デザイン性にも優れる、ネステッド形式で積層されている2プライのキッチンペーパーが提供される。
本発明に係るキッチンペーパーを説明するための平面図である。 本発明に係るキッチンペーパーの表裏を説明するための平面図である。 本発明に係るキッチンペーパーを説明するための断面図である。 比較例1のキッチンペーパーを説明するための平面図である。 比較例2のキッチンペーパーを説明するための平面図である。 比較例3のキッチンペーパーを説明するための平面図である。 比較例4のキッチンペーパーを説明するための平面図である。 比較例5のキッチンペーパーを説明するための平面図である。 比較例6のキッチンペーパーを説明するための平面図である。
次いで、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下に詳述する。
図1は、本発明に係るキッチンペーパーを説明するための平面図であり、S部分の拡大図も示す。図2は、本発明に係るキッチンペーパーの表裏を示す平面図であり、図3は、図1のIII−III断面図を示す図である。
本実施形態に係るキッチンペーパー1は、エンボス加工によって、一方面に高さの異なる多数の凸部11,21を有し、他方面にその多数の凸部11,21に対応する多数の深さの異なる凹部12,22が形成されている第一のクレープ紙10と、一方面に多数の凸部31を有し、他方面にその多数の凸部31に対応する多数の凹部32が形成されている第二のクレープ紙20とが、各々凸部11,21,31が形成された面同士を対面させて積層一体化した2プライのキッチンペーパーである。
その積層構造は、キッチンペーパー1の一方面を構成する第一のクレープ紙10の凸部11,21が、他方面を構成する第二のクレープ紙20の凸部31ではない部分に位置し、また、第二のクレープ紙20の凸部31が、第一のクレープ紙10の凸部11,21ではない部分に位置しており、ネステッド形式の積層構造となっている。
したがって、本実施形態に係るキッチンペーパー1の表裏面からは、各々のクレープ紙10,20に形成された凸部11,21,31に対応する凹部12,22,32のみが視認されるようになっている。すなわち、図2(A)に示すように、一方面からは第一のクレープ紙10に形成された凹部12と凹部22とが視認されるものの、第二のクレープ紙20に形成された凹部32は視認されない。反対に、図2(B)に示すように、他方面からは第二のクレープ紙20に形成された凹部32が視認されるものの、第一のクレープ紙10に形成された凹部12と凹部22とは視認されない。
ここで、本実施形態のキッチンペーパー1では、特に、第一のクレープ紙10に形成された高さの異なる凸部11,21は、各々、第二のクレープ紙20に接する第一凹部12とその第一凹部12よりも深さが浅く第二のクレープ紙20に接しない第二凹部22とを構成する。また、第二のクレープ紙20に形成された凸部31は、第一のクレープ紙10に接する第三凹部32のみを構成する。
そして、本実施形態のキッチンペーパー1は、その第一のクレープ紙10の第一凹部12と第二凹部22と、第二のクレープ紙20の第三凹部32とが、線状に並んで凹部列41を形成し、この凹部列41が間隔を開けて複数条並ぶエンボスセクション40を有している。さらに、本実施形態のキッチンペーパー1では、そのエンボスセクション40間に位置する非エンボスセクション50を有する。なお、上述のとおり、凹部列41及びエンボスセクション40を構成する凹部には、一方面又は他方面から視認されない凹部もあるが、本発明では、この視認されない凹部も凹部列41及びエンボスセクション40を構成するものである。
エンボスセクション40の面積は必ずしも限定されない。ただし、一般的なキッチンペーパー1の大きさは、200〜800cm2である。エンボスセクション40の面積が過度に広かったり、凹部12,22の個数が過度に多かったりする場合には、一般的な大きさのキッチンペーパー1とした際に、キッチンペーパー1の実使用時に、本発明に係る作用効果が十分に得られなくなる。したがって、一般的なキッチンペーパー1の大きさの場合、エンボスセクション40の面積は、14〜143cm2であり、構成する凹部12,22,32の個数は570〜14,300個である。エンボスセクション40の全体として概略形状は、特に限定されない。図示例では、概ね四角形となっているが、正方形、長方形、菱形、円形などとして認識できる程度の領域を形成していればよい。
本実施形態のキッチンペーパー1のエンボスセクション40を構成する凹部列41は、第一のクレープ紙10の凹部12,22と第二のクレープ紙20の凹部32とが混在して列をなす。このような凹部列41では、特に紙面に液体が触れた際に、凹部列41に沿って液体が移動する。つまり、本実施形態に係るエンボスセクション40は、エンボスセクション40に液体が引き込まれやすい。この液体の引き込みやすさは、凹部列41を断面的に見ると第一のクレープ紙10の凸部11,21と第二のクレープ紙20の凸部31とが配列されることによる。特に、凹部列41は、第一のクレープ紙10の凹部12,22と第二のクレープ紙20の凹部32とが交互に並んでいると、より液体が沿って移動しやすくなり、エンボスセクション40に液体が引き込まれやすくなる。したがって、第一のクレープ紙10の凹部12,22と第二のクレープ紙20の凹部32とが交互に並ぶ部分が多く存在するように、できる限り交互に配列するのが望ましい。なお、ここでの第一のクレープ紙10の凹部12,22とは、第一凹部12と第二凹部22とを区別しないことを意味し、第二のクレープ紙20の凹部32は、第三凹部32を意味する。
そして、本実施形態のキッチンペーパー1では、第一のクレープ紙10の凹部12,22が、第二のクレープ紙20に接する第一凹部12と第二のクレープ紙20に接しない第二凹部22とで構成されており、特に第二凹部22の存在によって、エンボスセクション40への液体の引き込み性に優れながらも第一のクレープ紙10と第二のクレープ20との間の空隙を広く確保できるようになっており、特に吸油量に優れる。
このエンボスセクション40は、特に第一のクレープ紙10において隣り合う第一凹部12と第二凹部22との間隔L1が1.0〜4.0mmであり、隣り合う第一凹部12,12の間隔L2が2.0〜6.0mmであり、隣り合う第二凹部22,22の間隔L3が3.0〜17.0mmであるのが望ましい。この範囲であると、エンボスセクション40への液体の引き込み性と油の保持性に優れ、吸油量の向上効果も確実に発揮される。なお、ここでの凹部の間隔L1〜L3は、凹部の中心間の距離である。これらの間隔は、全て同一である必要はない。
エンボスセクション40を構成する複数の凹部列41の間の間隔L4は、1.8〜3.2mmであるのが望ましい。凹部列41の間の間隔L4は、離間距離である。この範囲であると、凹部列41から隣接する凹部列41への液体の移動も生じやすくなり、エンボスセクション40内における液体の拡散性が高くなり、エンボスセクション40内により液体が引き込まれやすく、特に油では保持されやすくなる。
さらに、エンボスセクション40は、特に図1に示すように、凹部列41が略環状に並ぶように配置されているのが望ましい。このような配置では、環状の凹部列41の中心方向に液体が引き込まれるようになる。つまり、エンボスセクション40の中心方向に向かって液体が引き込まれやすくなる。そして、特に油ではエンボスセクション40内に迅速に引き込まれた後、多くの量がクレープ紙間の空隙に保持される。また、エンボスセクション40の周囲のどの位置においても差なくエンボスセクション40へ液体が引き込まれるようになる。
ここで本実施形態のキッチンペーパー1は、第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20とが、各々に接する第一凹部12、第三凹部32によって接着して一体化される。より具体的には、第一凹部12に対応する凸部11、第三凹部32に対応する凸部31の頂部を介して接着糊によって、第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20とが接着される。接着糊は、積層構造を採るキッチンペーパーに採用される公知の接着糊が使用できる。例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系接着剤等である。
本実施形態のキッチンペーパー1では、第一凹部12のみを介して第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20とが接着されている形態、第三凹部32のみを介して第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20とが接着されている形態、第一凹部12と第三凹部32のすべて又はいくつかを介して第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20とが接着されている形態の何れの形態としてもよい。なかでも、図3に示すように、第一のクレープ紙の第一凹部10に対応する凸部11の頂部のみに接着糊13が付与されて、対面する第二のクレープ紙20と接着されているのが望ましい。第一のクレープ紙10は、第二凹部22も有しているため、接着糊13による吸液性能の阻害が与える影響が小さい。
上記のように本実施形態のキッチンペーパー1では、第一凹部12、第三凹部32による接着の形態について限定さないが、エンボスセクション40を構成する凹部のうち30〜60%が糊付け凹部となるようにする。糊付け凹部は、頂部に接着糊が付与されて第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20とを接着している凹部を意味する。糊付け凹部が30%以下であると、第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20の接着が十分とならないおそれがある。60%を超えるとエンボスセクション40への油の引き込み性や油の保持性が十分に発揮されない場合がある。また、剛性が過度に高くなり、使用感が低下するおそれも高まる。
他方、本実施形態のキッチンペーパー1では、第一のクレープ紙10の第一凹部12と第二のクレープ紙20の第三凹部32との個数の比率が、51:49〜80:20である。この範囲内とすることで、第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20との間に、第一のクレープ紙10から第二のクレープ紙20に向かう凸部による柱と、第二のクレープ紙20から第一のクレープ紙10に向かう凸部による柱とのバランスが保持され、エンボスセクション40が潰れがたくなり吸油量の向上と保持性が高まる。また、表裏面における凹部の数の差が小さく、見た目の意匠の差も小さくなる。
他方、本実施形態のキッチンペーパー1における非エンボスセクション50は、エンボスセクション40の間の凹部のない幅L5が3.3〜6.0mmで略線状に配されている部分である。なお、非エンボスセクション50の幅L5は、凹部12,22,32の中心間間隔ではなく、凹部12,22,32の端から端までの離間距離である。なお、エンボスセクション40の外縁に位置する凹部12,22,32の並びによっては、幅L5が全ての位置で一定とならない場合もあるが、その場合であっても3.3〜6.0mmの範囲内にあればよい。非エンボスセクション50は、凹部12,22,32がないため一方面を構成する第一のクレープ紙10と他方面を構成する第二のクレープ紙20との間は、凸部11,21,31の柱がない広範な空間が形成されている。このため、非エンボスセクション50においてはクレープ紙10,20の間に比較的多くの油を含むことができる。また、非エンボスセクション50には凹部12,22,32がないため液体の拡散に方向性がなく緩やかに広範に分散しやすい。このため、非エンボスセクション50に触れた液体は、隣接するエンボスセクション40に適度に分散されるようになる。ここで、非エンボスセクション50の幅L5が6.0mmを超えるとエンボスセクション40との距離が遠く、非エンボスセクション50に触れた油がエンボスセクション40へ移行するまでに時間がかかるようになる。また、3.0mm未満であると非エンボスセクション50に油が保持されがたくなる。また、非エンボスセクション50によって、エンボスセクション40の全体形状が目立って視認されるようになり、意匠性の点でも優れたものとなる。
他方、本実施形態のキッチンペーパー1では、第一のクレープ紙10の紙面面積に対する第一凹部12と第二凹部22の合計の総面積の割合である凹部面積率が4〜11%である。この凹部面積率が4〜11%は、通常のネステッド形式のキッチンペーパー1よりもやや低い値である。このように低い凹部面積率であることにより、空隙が多くなりより吸油量が多くなる。なお、第二のクレープ紙20の紙面面積に対する第三凹部32の合計の総面積の割合である凹部面積率については、4〜8%であるのが望ましい。
他方で、本実施形態のキッチンペーパー1では、第一凹部12、第二凹部22及び第三凹部32の各凹部の一つあたりの面積は、0.7〜2.5mm2である。本発明は、第一凹部12、第二凹部22及び第三凹部32の一つの面積が0.7〜2.5mm2である場合において、上記構成をとることにより、その作用効果が十分に奏される。なお、個々の凹部12,22,32の形状は限定されないが、楕円、角取四角形、円、三角形、四角形(長方形、正方形)が挙げられる。凹部12,22,32の形状に角がないものである方が、キッチンペーパー1として使用する際に柔らかさを感じやすい。また、吸液性能の向上効果が高まる。これは、角部がないほうが、液体が繊維に沿って拡散しやすいからである。角部を有するものである場合、その角部における繊維の曲りが強く、液が繊維に沿って拡散しがたくなる場合があるが、角部がない形状の場合は、そのような現象が生じがたいためである。ここで、複数の凹部12、22、32の形状は、必ずしも同形状である必要はない。例えば、エンボスセクション毎、凹部列毎に構成する凹部の形状を異なるようにすることができる。なお、本発明においては、凹部12,22,32の深さについては、必ずしも限定されない。キッチンペーパーの凹部の深さは、0.2〜1.7mmであり、この範囲で定めればよい。なお、第一凹部12と第二凹部22との差は、0.1〜1.5mmとするのが望ましい。この範囲であれば、本発明の効果を十分に発揮できる。
以上のとおり本実施形態のキッチンペーパー1は、上記の構成のエンボスセクション40と非エンボスセクション50の存在とが相まって、デザインの自由度が高く、吸油量においてティップ トゥ ティップ(TipToTip)形式よりも優れるものとなる。
ここで、キッチンペーパー1を構成する各クレープ紙10,20の坪量は、15〜30g/m2であるのが望ましい。より好ましくは17〜25g/m2である。なお、坪量は、JIS P 8124(1998)による。この坪量の範囲は、キッチンペーパーの中では、比較的低い坪量である。本実施形態に係るキッチンペーパー1では、その特徴的な凹部12,22,32に係る構成により、低い坪量であっても、第一のクレープ紙10と第二のクレープ紙20との間の空隙の維持性に優れ、ネステッド形式でありながらも高い吸油量を奏するという本発明の作用効果を得ることができる。さらに、上記坪量の範囲内であれば、拭き取り操作の際の柔らかさ、拭き取り面に対する追従性といったキッチンペーパー1が、本来必要とする効果も十分なものとなる。ここで、本発明に係るクレープ紙10,20の1枚当たりの坪量の測定に関しては、積層構造となっているキッチンペーパー1の坪量を測定し、これを積層枚数、すなわち2枚で割った数値とする。なお、この坪量には、厳密には、積層構造とするための接着剤を含むが、接着剤の質量は、通常は、これを含まないクレープ紙10,20そのものの質量に比して、無視できる程度であり、少なくとも、本発明におけるエンボス構成及びそれらと相まって奏する本発明特有の効果との関係では、十分に無視できる。
クレープ紙10,20は、繊維材料がパルプ繊維であり、パルプ組成は、キッチンペーパー1における既知の組成が採用できる。バージンパルプを90〜100質量%を含むのがよい。本発明特有の効果が顕著となるパルプ組成は、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプと、を適宜の比率で配合したものである。針葉樹パルプを広葉樹パルプに比してより多い組成のパルプ組成であるのがよい。特に、針葉樹パルプ:広葉樹パルプの比が50:50〜80:20であるのがよい。針葉樹パルプは、広葉樹パルプに比して、繊維長が長いため、針葉樹パルプを多く含むパルプ組成では、針葉樹パルプの長いパルプ繊維に沿って液体が拡散しやすく、本発明の効果が特に発現しやすい。また、しっかりとしたコシが発現しやすくなるため、特に液体を拭き取ったり吸収したりする用途に用いられるキッチンペーパーの使用態様に適する。
本発明に係るキッチンペーパー1の紙厚は、特に限定されない。紙厚の参考値としては、下記測定方法により測定されるもので440〜550μmである。この紙厚の範囲であれば、キッチンペーパーの一般的製品態様であるロール状、束状とした際に過度に嵩高とならず、また、本願発明のエンボス構成による効果、さらにキッチンペーパーとして使用する際の厚み感や強度も十分に発現する。係る紙厚の測定方法は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定する。紙厚は各プライを剥がすことなく測定する。測定の具体的な手順は、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この厚みの測定時の荷重は、120μmの際に約70gfである。なお、厚みは測定を10回行って得られる平均値とする。なお、紙厚の測定する場所については、少なくともプランジャー端子内に一つの単位凹エンボスの一部が収まるようにする。但し、この紙厚の測定方法は、エンボスの態様によって、測定時におけるキッチンペーパーの厚み方向の潰れ方に差が生ずるため、上記のとおり紙厚については、参考値である。
本実施形態に係るキッチンペーパー1の主たる製品態様は、帯状で適宜の間隔で分断用のミシン目線が配されたものを紙管に巻き付けたロール状のもの、或いは、ピックアップ式、ポップアップ式等と称される、枚葉のキッチンペーパーが折畳み積層されたものが例示でき、これらの製品態様が限定されるものではないが、特に、好ましい形態は、ロール状形態である。さらに、第一のクレープ紙10が巻き取りの外面となるようにして巻き取られたロール形態であるのが望ましい。本発明に係るキッチンペーパー1では、第一のクレープ紙10の面から視認される凹部の総数が、第二のクレープ紙20の面から視認される凹部の総数より多く、また、第一のクレープ紙10の紙面には深さの異なる第一凹部12と第二凹部22とが存在して、これらが視認されることから、第一のクレープ紙10の紙面のほうが意匠性に優れる場合が多い。少なくとも、凹部が密に存在するように視認される。したがって、第一のクレープ紙10が巻き取りの外面となるようにして巻き取られたロール形態とすると、見栄えの点で優れた製品となる。
また、本実施形態に係るキッチンペーパー1は、公知のスチールラバー式のエンボス付与方法によるクレープ紙へのエンボス付与、さらに、貼り合せ方法により製造することができる。
以下、本発明の実施例を参照しつつ、さらに本発明に係るキッチンペーパーを説明する。
本発明に係るネステッド形式のキッチンペーパー(実施例1〜実施例3)と、市販品と凹部の配置が同じキッチンペーパー(比較例1〜比較例6)とについて、ソフトネスの物性を測定するとともに、吸液性能として吸水量、吸油量、吸水速度、吸油速度を測定し、さらに見栄えに関して官能評価をした。
各例に係る試料は、表裏となるクレープ紙の凹部の配置パターン(エンボスパターン)に対応する凸部の配置パターンを有するアクリル板を用意し、それらのアクリル板の凸部面をクレープ紙に型押しすることで、表裏に対応する凹部の配置パターンを有する各クレープ紙を作成し、これら表裏の各凸部が付与された各クレープ紙を位置合わせしながら積層することで作成した。各例に係る試料の大きさは、全て120mm四方の大きさのものを作成し、測定に際しては、その中央部分100mm四方を裁断して試験片とした。
なお、本比較試験では、凹部の配置形態及び積層構造による対比を行うべく、各例に係るキッチンペーパーを構成するクレープ紙の原紙と、クレープ紙同士を接着するための接着剤の種類は同一のものを使用した。原紙の繊維原料はパルプ100質量%である。
実施例1〜3は、深さ1.0mmの第一凹部と、深さ0.8mmの第二凹部とを有するクレープ紙と、深さ1.0mmの第三凹部を有するクレープ紙をネステッド形式で積層したものである。また、実施例に係るキッチンペーパーは、第一凹部に対応する凸部の頂部のみに接着剤が付与されており、この接着剤付与部分によって二枚のキッチンペーパーが接着されている構造となっている。比較例に係る各キッチンペーパーは、一方のクレープ紙に形成された凸部の頂部のみに接着剤が付与されており、この接着剤付与部分によって二枚のキッチンペーパーが接着されている構造となっている。比較例における凹部の深さは全て同一である。その深さは1.0mmである。なお、下記表1中においては、実施例との対比のため比較例における一方のクレープ紙の凹部を第一凹部、他方のクレープ紙の凹部は第三凹部と表記している。
比較例1の凹部112の配置形態は、図4に示すとおりであり、比較例2の凹部112の配置形態は、図5に示すとおりであり、比較例3の凹部112,122の配置形態は、図6に示すとおりであり、比較例4の凹部112,122の配置形態は、図7に示すとおりであり、比較例5の凹部112,122の配置形態は、図8に示すとおりであり、比較例6の凹部112,122の配置形態は、図9に示すとおりである。このうち、比較例1と比較例2は、ティップ トウ ティップ形式の積層構造を有するものである。また、比較例2は、概ね全面に凹部が存在する為、非エンボスセクション50に相当する部分を有していない。比較例4及び比較例6は、複数の凹部が集合して一定形状をなすエンボスセクション40を有するが、明確な非エンボスセクション50に相当する部分を有していない。比較例1、比較例3及び比較例5に係る図おいては凹部のない非エンボスセクション50に相当する部分は、符号150、凹部の集合部分を140で示している。また、比較例3〜6のネステッド形式に係る比較例の図おいては、一方面のクレープ紙の凹部を符号112、他方面のクレープ紙の凹部の符号を122で示している。各比較例のキッチンペーパーは符号101で示している。
ソフトネス及び吸水量、吸油量、吸水速度、吸油速度の測定方法は、下記のとおりである。
〔ソフトネス〕
JIS L 1096E法に規定のハンドルオメーター法に準じて行い、試験片は、上記のとおり裁断した100mm×100mmの試験片をそのまま用い、ハンドルオメーターのスリット幅は、15mmとして測定した。試験片の縦方向、横方向について各々3回測定し、次式により算出した値をソフトネスとした。ソフトネス(cN)=√((縦方向の平均値)×(横方向の平均値))
〔吸水量〕
吸水量の測定は下記(1)〜(5)のとおりに行った。
(1)試験片を105℃の乾燥機内で3分間キュアリングした後、その試験片の質量を電子天秤(A&D HR300等)により測定する。
(2)試験片よりも大きいトレイ(例えば、内寸:215mm×160mm)に、20mm程度の深さとなるように、25℃の水を入れる。
(3)試験片を、試験片以上の大きさの剛性のある平網(例えば、120mm×120mm、網目15mm)の上に拡げて載せ、前記水を入れたトレイ内におろして、水面に接触するように試験片を浸水させる。
(4)試験片の表面にまで十分に水が浸みこんだら、平網を水面より真上に上げ、ピンセットにより試験片の角を摘み、四つ折(クロス8頁折り)にし、そのまま30秒静止する。
(5)30秒後に吸水した試験片の質量を電子天秤により測定し、下記式により1m2当たりの吸水量を算出する。
吸水量(g/m2)=((上記(4)で測定した吸水した試験片の質量)−(上記(1)で測定した3分間キュアリング後の試験片の質量))×100(注:試験片1枚100cm2の100倍)
〔吸油量〕
吸油量の測定は下記(1)〜(5)のとおりとした。
(1)試験片を105℃の乾燥機内で3分間キュアリングした後、その試験片の質量を電子天秤(A&D HR300等)により測定する。
(2)試験片よりも大きいトレイ(例えば、内寸:215mm×160mm)に、20mm程度の深さとなるように、25℃のサラダ油(日清サラダ油:日清オイリオグループ株式会社製)を入れる。
(3)試験片を、試験片以上の大きさの剛性のある平網(例えば、120mm×120mm、網目30mm)の上に拡げて載せ、前記サラダ油を入れたトレイ内におろして、油面に接触するように試験片を浸油させる。
(4)試験片の表面にまで十分にサラダ油が浸みこんだら、平網を油面より真上に上げ、そのまま26〜27秒静止した後、ピンセットにより試験片の角を摘み、予め秤量された測定容器に試験片を移す。このとき、平網を油面より上げて静止を開始してから測定容器に移すまで30秒を超えないようにする。
(5)試験片が入った測定容器の質量を電子天秤により測定し、その測定値より測定容器の質量を差し引いて、吸油後の試験片の質量を算出する。そして、下記式により1m2当たりの吸油量を算出する。
吸油量(g/m2)=((上記(4)で測定した吸油した試験片の質量)−(上記(1)で測定した3分間キュアリング後の試験片の質量))×100(注:試験片1枚100cm2の100倍)
〔吸水速度〕
吸水速度の測定は下記(1)〜(4)のとおりとした。
(1)試験片を105℃の乾燥機内で3分間キュアリングする。
(2)キュアリング後の試験片を中心部に直径40mm以上の穴を有する台(例えば、アルコールランプ用三脚)の上に、その試験片の中央部が前記穴の上に位置するようにして載置する。
(3)試験片の中心付近の任意の箇所に、試験片面より10mmの高さから、25℃の水300μlをマイクロピペットにより滴下する。この滴下は、例えば、アズワン ピペットガイPG−1000を用い目盛り300として行うことができる。
(4)マイクロピペットからの水が試験片に接触した瞬間から、試験片の水が浸透しきるまでの時間をストップウォッチにより測定し、その時間を吸水速度(sec)とする。なお、浸透終了は、試験片表面から水の光沢反射が消えることを目視にて確認することによる。
〔吸油速度〕
吸油速度の測定は下記(1)〜(4)のとおりとした。
(1)試験片を105℃の乾燥機内で3分間キュアリングする。
(2)キュアリング後の試験片を中心部に直径40mm以上の穴を有する台(例えば、アルコールランプ用三脚)の上に、その試験片の中央部が前記穴の上に位置するようにして載置する。
(3)試験片の中心付近の任意の箇所に、試験片面より10mmの高さから、25℃のサラダ油(日清サラダ油:日清オイリオグループ株式会社製)300μlをマイクロピペットにより滴下する。この滴下は、例えば、アズワン ピペットガイPG−1000を用い目盛り300として行うことができる。
(4)マイクロピペットからのサラダ油が試験片に接触した瞬間から、試験片にサラダ油が浸透しきるまでの時間をストップウォッチにより測定し、その時間を吸油速度(sec)とする。なお、浸透終了は、試験片表面からサラダ油の光沢反射が消えることを目視にて確認することによる。
〔見栄え〕
実施例1〜実施例3、比較例1〜6を並べて凹部の配列模様(エンボスパターン)が密に見えるかを官能で評価した(n=10)。密に見えるものを3、やや密に見えるものを2、密に見えない又は疎に見えるものを1と評価した。
上記の試験の結果を、各例のクレープ紙の組成、凹部の配列態様(エンボスパターン)及び物性とともに表1に示す。なお、紙厚の測定については、上記ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)により測定した値であり、この測定方法は、エンボスの潰れやすさに依存する参考値である。
Figure 0006685801
本発明の実施例1〜実施例3は、ネステッド形式でありながら、ティップ トウ ティップ形式の積層構造の比較例1及び比較例2よりも吸油量が多い結果となった。また、従来の市販品のネステッド形式のものである比較例3〜5よりも吸油量が多い結果となった。他方で、吸水量においては、比較例2がやや優れ、比較例4がおいてやや劣る傾向が見られるが、実施例1〜実施例3において同程度の結果となっている。
そして、吸水速度及び吸油速度の結果は、本発明の実施例1〜実施例3が、比較例1〜6の何れよりも明らかに優れる結果が得られた。
また、実施例1〜実施例3は、ネステッド形式でありながら、一方面に他方面の凹部が隠蔽されないティップ トウ ティップと同様に見栄えの評価が3となっている。本発明では、ネステッド形式でありながら、エンボスが密で疎な印象を与えない凹部の配置形態とすることが可能であるといえる。
そして、本試験は、原紙、エンボス深さを同等として比較した試験であり、エンボス加工による凹部の構造・配置形態と積層構造との相違のみによる、結果の相違が確認できる。表1に示す結果からすれば、本発明に係る凹部の構造・配置形態及び積層構造により、ネステッド形式でありながら、ティップ トウ ティップ形式以上の吸油量を達成でき、また、吸油速度においてティップ トウ ティップ形式のみならず従来のネステッド形式よりも格段に速く、さらに、吸水速度についても早いものとなる。これは、本発明の実施例では、凹部列に沿って液体が迅速に移動し、エンボスセクション内へ液体が素早く引き込まれ、また、特に水に比して粘性が高くパルプとの親和性も弱い油ではクレープ紙間の空隙に保持されるようになるためである。
1,101…キッチンペーパー、11,21,31…凸部、12…凹部(第一凹部)、22…凹部(第二凹部)、32…凹部(第三凹部)、112,122…凹部、10…一方面を構成する第一のクレープ紙、20…他方面を構成する第二のクレープ紙、41…凹部列、40…エンボスセクション、L1…第一凹部と第二凹部との間隔、L2…第一凹部間の間隔、L3…第二凹部間の間隔、L4…凹部列間の間隔、L5…非エンボスセクションの幅、13…接着糊、50…非エンボスセクション、140…凹部の集合部分、150…非エンボスセクション相当部。

Claims (5)

  1. エンボス加工された二枚のクレープ紙が、凸部形成面を対面させて、ネステッド形式の積層構造で一体化されている、表裏に、凸部に対応する凹部を有するキッチンペーパーであって、
    一方面のクレープ紙が、他方面のクレープ紙に接する第一凹部とその第一凹部よりも深さが浅く他方のクレープ紙に接しない第二凹部とを有し、他方面のクレープ紙が、一方のクレープ紙に接する第三凹部のみを有し、
    一方面のクレープ紙の第一凹部及び第二凹部と他方面のクレープ紙の第三凹部とが並ぶ凹部列が、間隔を開けて複数条並ぶエンボスセクションと、エンボスセクション間に位置する幅3.3〜6.0mmの非エンボスセクションと、を有し、
    エンボスセクションは、前記一方面のクレープ紙の凹部と前記他方面のクレープ紙の凹部との個数の比率が、51:49〜80:20であり、
    前記一方面のクレープ紙における紙面面積に対する第一凹部と第二凹部の合計の総面積の割合である凹部面積率が4〜11%であり、
    エンボスセクションを構成する凹部の30〜60%が糊付けされた凹部であり、
    一つの凹部の面積が、0.7〜2.5mm2である、
    ことを特徴とするキッチンペーパー。
  2. 一方面のクレープ紙は、第一凹部と第二凹部との間隔が1.0〜4.0mmであり、隣り合う第一凹部の間隔.が2.0〜6.0mmであり、隣り合う第二凹部の間隔が3.0〜17.0mmである、請求項1記載のキッチンペーパー。
  3. 凹部列は、一方面のクレープ紙の凹部と、他方面のクレープ紙の凹部とが交互に並ぶ、請求項1又は2記載のキッチンペーパー。
  4. エンボスセクションは、凹部列が略環状に並ぶ請求項1〜3の何れか1項に記載のキッチンペーパー。
  5. クレープ紙の坪量が、15〜30g/m2である請求項1〜4の何れか1項に記載のキッチンペーパー。
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