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JP6682938B2 - 導電性ペースト - Google Patents

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JP6682938B2
JP6682938B2 JP2016058472A JP2016058472A JP6682938B2 JP 6682938 B2 JP6682938 B2 JP 6682938B2 JP 2016058472 A JP2016058472 A JP 2016058472A JP 2016058472 A JP2016058472 A JP 2016058472A JP 6682938 B2 JP6682938 B2 JP 6682938B2
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Description

本発明は、導電性皮膜を形成するための導電性ペーストに関する。
電子部品や電磁波シールド等の薄膜形成手段、または信号配線等の形成手段として、エッチング法が広く使用されている。エッチング法は、金属被膜の一部をエッチング液で除去することで所望の形状の信号配線を得る方法であるが、一般的に工程が煩雑、かつ別途、廃液処理が必要であるため、費用および環境への負荷がかかる問題があった。また、エッチング法によって形成された信号配線は、アルミニウムや銅など金属材料等で形成されたものであるため、折り曲げ等の物理的衝撃に弱いという問題があった。
そこで、上記問題を解決してより安価に信号配線を形成するために、導電性ペーストを使用したスクリーン印刷等の印刷法による回路形成が行われていた。
ゲーム機、スマートフォン、タブレット端末等の携帯デバイスには、タッチパネルが採用されており、ITO等の透明電極に接続する信号配線は、導電性ペーストが使用されている。近年のタッチパネルの高精細化、高機能化に伴い、信号配線の回路幅(ライン/スペース(以下、「L/S」と略記する)を100μm以下/100μm以下と狭く形成すする必要が生じていた。
特許文献1は、熱可塑性樹脂、導電性微粒子、イオン補足剤、シリカ、グラファイト、レベリング剤、分散剤等を含む導電性ペーストが開示されている。
WO2014/112433号
しかし、従来の導電性ペーストは、カーナビ等の車載用ディスプレイに使用されると、夏季等の過酷な環境(高温高湿雰囲気)に長期間さらされるため、ある程度の期間は耐えられたがさらに長い期間が経過すると配線板の信号配線が劣化し易い問題があった。
本発明は、印刷により高精細で平滑な信号配線を形成することが可能であり、高温高湿環境で長期間使用された場合でも劣化し難い信号配線を形成できる導電性ペーストの提供を目的とする。
本発明の導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電性微粒子と、無機薄片粒子(ただし、無機薄片粒子は、導電性を有さない。)と、分散剤とを含む導電性ペースト(ただし、レーザー加工用を除く)であって、
前記無機薄片粒子がタルクおよびカオリンからなる群より選択される1種以上であり、かつ、前記無機薄片粒子のアスペクト比が4〜40であり、
前記バインダ樹脂と前記導電性微粒子を合計した100質量部に対して、前記無機薄片粒子を2〜15質量部含む、導電性ペーストに関する。
また、本発明は、前記無機薄片粒子のD50平均粒子径が1〜5μmである、上記導電性ペーストに関する。 また、本発明は、導電性微粒子のタップ密度が、1〜10g/cmである、上記導電性ペーストに関する。
また、本発明は、前記導電性微粒子が、銀微粒子を含む、上記導電性ペーストに関する。
また、本発明は、さらに硬化剤を含む、上記導電性ペーストに関する。
また、本発明は、基材と、上記導電性ペーストから形成してなる導電性被膜とを備えた、導電性シートに関する。
また、本発明は、基材と、上記導電性ペーストから形成してなる信号配線とを備えた、配線板に関する。
である。
上記の本発明によれば、アスペクト比が4〜40の無機薄片粒子を用いたことで、85℃・85%RHの高温高湿環境で使用された信号配線の劣化を長期間抑制できる効果が得られた。
本発明により印刷により高精細で平滑な信号配線を形成することが可能であり、高温高湿環境で長期間使用された場合でも劣化し難い信号配線を形成できる導電性ペーストを提供できる。
抵抗膜式タッチスクリーンパネルの断面図である。 実施例の環境保存性試験に使用する抵抗膜式タッチスクリーンパネルの積層状態を示す斜視図である。なお、図1の断面図は、図2のA−A’切断線に相当する。
本発明の導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電性微粒子と、無機薄片粒子(ただし、無機薄片粒子は、導電性を有さない。)と、分散剤とを含む、レーザー加工用以外に使用する導電性ペーストである。さらに前記無機薄片粒子のアスペクト比は4〜40である。この導電性ペーストは、基材上に印刷することで導電性被膜を形成できる。前記導電性被膜は、信号配線が好ましい。本発明の導電性ペーストは、様々な用途の導電性被膜を形成できるところ、実施態様の1例として信号配線用途を中心に説明する。
前記印刷は、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、ロール印刷等公知の印刷法が利用できるところ、スクリーン印刷が好ましい。なお、信号配線は、配線回路、グランド配線等の電気信号を伝送できる配線をいう。
本発明の導電性ペーストは、印刷により高精細(例えば、L/S=100/100μm以下)で平滑な信号配線を形成することができる。なお、L/Sはライン/スペースの略称である。
本発明においてバインダ樹脂は、例えばポリエスエル、ウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アルキッド樹脂、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ケトン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)樹脂、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)樹脂、ロジン、ロジンエステル、およびマレイン酸樹脂等が挙げられる。これらの中でも基材への密着性、溶剤への溶解性、信号配線の機械強度の面からポリエステル、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、エポキシ樹脂が好ましい。
バインダ樹脂は、単独または2種類以上を併用できる。
ポリエステルは、水酸基およびカルボキシル基のうち少なくとも一方を有することが好ましい。ポリエステルは、多塩基酸とポリオール等との反応、または多塩基酸エステルとポリオール等とのエステル交換反応等の公知の手法で合成できる。また、ポリエステルにカルボキシル基を付与する方法は、公知の手法が使用できるが、例えばポリエステルを重合後、180〜230℃程度でε−カプロラクトンなどの環状エステルを後付加(開環付加)してブロック化する方法、または無水トリメリット酸、無水フタル酸などの酸無水物を付加する方法等が挙げられる。また、ポリエスエルは飽和ポリエステルが好ましい。
多塩基酸は、例えば芳香族ジカルボン酸、直鎖脂肪族ジカルボン酸、環状脂肪族ジカルボン酸等、および3官能以上のカルボン酸等が好ましい。なお、多塩基酸は、酸無水物基含有化合物を含む。
芳香族ジカルボン酸は、例えばテレフタル酸、およびイソフタル酸等が挙げられるがこれらに限定されない。また、直鎖脂肪族ジカルボン酸は、例えばアジピン酸、セバシン酸、およびアゼライン酸等が挙げられるがこれらに限定されない。また、環状脂肪族ジカルボン酸は、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジカルボンキシ水素添加ビスフェノールA、ダイマー酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、および3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられるがこれらに限定されない。また、3官能以上のカルボン酸は、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられるがこれらに限定されない。その他のカルボン酸は、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等のスルホン酸金属塩含有ジカルボン酸等も挙げられるがこれらに限定されない。
多塩基酸は、単独または2種類以上を併用できる。
ポリオールは、ジオール、および3個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。
ジオールは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびネオペンチルグリコール等が挙げられるがこれらに限定されない。
3個以上の水酸基を有する化合物は、トルメチロールプロパン、グリセリン、およびペンタエリスリトール等が挙げられるがこれらに限定されない。
ポリオールは、単独または2種類以上を併用できる。
ポリウレタンは、分子内にウレタン結合を有し、反応性官能基として水酸基を有する樹脂である。ポリウレタンの合成法の1例を挙げるとポリオールとジイソシアネートと鎖延長剤のジオール化合物とを反応させて、末端に水酸基を有する樹脂を合成できる。また、ポリウレタンは、鎖延長剤を使用して分子鎖を延ばすことができる。鎖延長剤は、一般的にはジオール等が好ましい。ポリウレタンは、公知の合成法で合成できる。
ポリウレタンの合成に使用するポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびポリブタジエングリコール等が好ましい。ポリオールは単独または2種類以上併用できる。
ポリエーテルポリオールは、酸化エチレン、酸化プロピレン、およびテトラヒドロフラン等の重合体、ならびにこれらの共重合体である。
ポリエステルポリオールは、前記ポリエステルで説明したポリオールと多塩基酸のエステルである。
ポリカーボネートポリオールは、1)ジオールまたはビスフェノールと、炭酸エステルとを反応させた化合物、および2)ジオールまたはビスフェノールを、アルカリの存在下でホスゲンと反応させた化合物等が好ましい。
炭酸エステルは、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネート等が挙げられるがこれらに限定されない。
ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族イソシアネート等が好ましい。ジイソシアネートは単独または2種類以上を併用できる。
ポリウレタンウレアは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、さらにポリアミンと反応させた化合物である。また、ポリウレタンウレアは、分子量を調整するため必要に応じて反応停止剤を反応させることができる。ポリオールおよびジイソシアネートは、前記ポリウレタンで説明した化合物を使用することが好ましい。ポリアミンはジアミンが好ましい。
反応停止剤は、ジアルキルアミン、モノアルコール等が好ましい。ポリウレタンウレアは、公知の合成法で合成できる。
ポリウレタンおよびポリウレタンウレアは、水酸基に加えて、カルボキシル基を有することが好ましい。具体的には、合成の際、ジオールの一部をカルボキシル基を有するジオールに置き換えて合成する方法が挙げられる。前記ジオールは、ジメチロールプロピオン酸、およびジメチロールブタン酸等が好ましい。
導電性ペーストがポリウレタンまたはポリウレタンウレアを含む場合、形成する導電性被膜の硬さがより向上する。
ポリウレタンやポリウレタンウレアを合成する際、溶剤を使用できる。
溶剤は、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、およびカーボネート系溶剤等が好ましい。
エステル系溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等が挙げられるがこれらに限定されない。
ケトン系溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサンノン等が挙げられるがこれらに限定されない。
グリコールエーテル系溶剤は、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテル等のモノエーテル、ならびにこれらの酢酸エステル;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノエチルエーテル等、ならびにこれらの酢酸エステル;等が挙げられるがこれらに限定されない。
脂肪族系溶剤は、例えばn−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
芳香族系溶剤は、例えばトルエン、キシレン等が挙げられるがこれらに限定されない。
カーボネート系溶剤は、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられるがこれらに限定されない。
溶剤は、単独または2種類以上併用できる。
エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基(オキシラン基、グリシジルエーテル基)および水酸基を有する化合物であり、公知の化合物を使用できる。エポキシ樹脂は、ビスフェノールAおよびビスフェノールFに代表される芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとを反応させて得たポリグリシジルエーテルが好ましい。
フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類とエピクロヒドリンとを反応させて得られる数平均分子量5,000以上のエポキシ樹脂である。
バインダ樹脂は、単独または2種類以上を併用できる。
バインダ樹脂は、数平均分子量10,000〜50,000が好ましく、20,000〜40,000がより好ましい。数平均分子量が10,000以上になることで、高温高湿環境で信号配線の抵抗値を維持し易い。また、数平均分子量が50,000以下になることで、信号配線に適度な凝集力を付与し易くなるため、信号配線と基材との密着性がより向上する。なお、数平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の数値である。
また、バインダ樹脂は、ガラス転移温度(以下、Tgという)5〜100℃が好ましく、10〜95℃がより好ましい。Tgが5℃以上になると、高温高湿環境で信号配線の抵抗値を維持し易い。また、Tgが100℃以下になると信号配線と基材との密着性がより向上する。なお、Tgは、DSC(示差走査熱量分析計)測定装置「DSC−220C」(セイコーインスツルメンツ社製)にて測定した数値である。
バインダ樹脂は、バインダ樹脂および導電性微粒子の合計100質量部のうち5〜40質量部を配合することが好ましく、5〜15質量部がより好ましい。5質量部以上になることで導電性被膜は、基材との密着性がより向上し、導電性被膜の機械強度も向上する。また、40質量部以下になることで導電性被膜の導電性がより向上する。
バインダ樹脂は、基材への密着性の面でエポキシ樹脂が好ましく、エポキシ樹脂の中でも導電性被膜の機械強度の面でフェノキシ樹脂が好ましい。
本発明において導電性微粒子は、導電性被膜に所望の導電性を付与するため必要である。導電性微粒子は、平均粒子径の大小にこだわらず使用できるところ、平均粒子径が小さくシャープな粒子径分布を有する導電性微粒子は、粗大粒子が少ないため、例えばスクリーン印刷を行った場合、信号配線の直線性、被膜表面の凹凸を抑制できるので好ましい。
導電性微粒子は、タップ密度が1〜10g/cmが好ましく、2〜8g/cmがより好ましい。
導電性微粒子が、タップ密度が1g/cm以上になることで、導電性被膜を形成した際、導電性微粒子間の空隙が小さくなるため、導電性微粒子同士の接触点が大きくなるころで、導電性被膜の体積抵抗率が小さくなる(導電性が向上する)。同時に導電性微粒子を導電性ペースト中に分散し易くなるため高精細な信号配線が形成し易くなる。
一方、タップ密度が10g/cm以下になることで、導電性ペースト中の導電性微粒子の使用量を抑制しても導電性の維持が容易になるため、信号配線の製造コストを抑制し易い。また、導電性ペーストを長期保管した場合、導電性微粒子が沈殿し難くなるので保存安定性がより向上する。
本発明におけるタップ密度とは、一定容器中に一定量の粉体を上下に加振しながら入れた後の体積当たりの質量をいう。この値が大きいほど充填密度が大きく、導電性微粒子としたときの粒子同士の接触点が大きくなるため、良好な導電性を得ることができるが、本発明ではタップ密度が10g/cm以下の導電性微粒子を使用するのが適正である。なお、タップ密度はJIS Z 2512:2006法に基づいて測定した。具体的には、目盛り付きガラス容器(容量100ml)に、導電性微粒子(粉体量100g)を採取し、所定のタッピング装置にてタップストローク3mm、タップ回数100回/分の条件にてタップした。
導電性微粒子は、D50平均粒子径が0.3〜5μmであることが好ましく、0.3〜2.5μmがより好ましい。導電性微粒子のD50平均粒子径が0.3μm以上になると導電性ペースト中の導電性微粒子の分散性が向上するために導電性微粒子同士の接触不良が少なく、導電性被膜の抵抗値を抑制し易い。一方、D50平均粒子径を5μm以下にすると、高精細に印刷した場合、直線性が高い信号配線を形成し易い。なお、導電性粒子のD50平均粒子径は、島津製作所社製レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」を用いて、体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した。
導電性微粒子は、BET比表面積0.3〜5m/gが好ましく、0.8〜2.5m/gがより好ましい。
導電性微粒子のBET比表面積を0.3m/g以上にすると導電性微粒子同士の接触点が大きくなり、導電性をより向上できる。一方、BET比表面積を5m/g以下にすることで導電性微粒子の表面をバインダ樹脂で十分に被覆できるので、導電性ペースト中に導電性微粒子を分散し易くなる。これにより導電性がより向上し、導電性被膜と基材の密着性がより向上する。なお、BET比表面積とは、粉体粒子表面に吸着占有面積の分かった分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法であり、不活性気体の低温低湿物理吸着を利用したものがBET法である。BET比表面積は、島津製作所製流動式比表面積測定装置「フローソーブII」を用いて測定した表面積を、以下の式(1)を用いて算出した値と定義する。
式(1) 比表面積(m/g)=表面積(m)/粉末質量(g)
導電性微粒子は、例えば金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モリブテン、および白金等の金属粉、ならびにこれらの合金、ならびにこれらの複合粉、ならびに導電性樹脂等を素材とした粒子が挙げられる。
また、核体と、前記核体表面を前記核体物質とは異なる物質で被覆した複合微粒子、例えば、銅を核体とし、その表面を銀で被覆した、いわゆる銀コート銅粉等も挙げられる。
また、導電性微粒子は、例えば酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ITO(スズドープ酸化インジウム)、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、およびGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の金属酸化物の粉末、ならびにこれらの金属酸化物で表面被覆した粉末等も挙げられる。
導電性樹脂は、例えばポリアセチレン、ポリ(p-フェニレン)、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリエチレンビニレン、ポリフルオレン等が挙げられる。
これらの中でもコストが低く、導電性が高く、酸化し難く電気抵抗率の変化が少ない銀が好ましい。導電性微粒子は、単独または2種類以上を併用できる。
導電性微粒子の形状は、球状、フレーク状、樹枝状、棒状、および線状等の公知の形状が使用できる。これらの形状の中でも球状がより好ましい。
導電性微粒子は、バインダ樹脂および導電性微粒子の合計100質量部のうち60〜95質量部を配合することが好ましく、85〜95質量部がより好ましい。60質量部以上になることで導電性がより向上する。また、95質量部以下になることで導電性被膜は基材との密着性がより向上し、機械強度も向上する。
本発明において無機薄片粒子は、信号配線を長期間高温高湿環境で使用した場合、抵抗値の上昇を抑制できる。無機薄片粒子は、導電性を有さない。本発明では、アスペクト比が4〜40の無機薄片粒子を用いたことが重要である。抵抗値の上昇を抑制できる理由は、例えば、タッチパネルディスプレイを85℃・85%RH・1000時間という厳しい条件で使用すると、従来の導電性ペーストで形成した信号配線は、信号配線内部(導電性被膜内部)に水分が浸入しバインダ樹脂の加水分解を促進させるため信号配線の凝集力が低下する。これにより、基材と信号配線の密着性が低下し、同時に抵抗値が上昇してしまう。また、基材と信号配線との界面に水分子が配向し、信号配線に含まれる樹脂と基材の間の水素結合を阻害し密着性が低下することで抵抗値の安定性が損なわれやすい。これらの現象は、信号配線の幅が狭い高精細な配線板を搭載したタッチパネルディスプレイで顕著になった。
しかし、本発明の導電性ペーストは無機薄片粒子を含むため、信号配線内部で無機薄片粒子同士が層状に重なりあうことで信号配線の深部に水分が到達し難くなったため、密着性を維持しつつ、抵抗値を上昇させ難くできる。
無機薄片粒子のアスペクト比は、4〜40が好ましい。アスペクト比を4以上にすることで85℃・85%RH等の高温高湿下における基材への密着性がより向上する。またアスペクト比を40以下にすることで粗大粒子の含有量を抑制できるため、高精細印刷にて信号配線の平滑性が良好となる。なお、アスペクト比は、10〜30がより好ましい。
なお無機薄片粒子のアスペクト比は、静置した粒子を垂直方法から切断した断面について、断面の平面方向の長さを断面の厚み方向の長さで除算した数値である。具体的な測定方法は、無機薄片粒子の断面を電解放出型走査電子顕微鏡「JSM−7800F」(日本電子社製)にて3万〜10万倍程度で観察し、断面の観察が可能な粒子を任意に5点選出、それぞれの粒子断面の長さと厚みを測定し、それぞれの粒子のアスペクトを求めた上で算出した平均値である。
本発明の導電性ペーストは、導電性を有さない無機薄片粒子を含むため、導電性被膜の導電性が低下すると思えるところ、予想外にも導電性が向上する効果が得られた。一方、薄片ではない無機粒子(例えば、シリカ、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト)を配合すると導電性は、低下する。この理由は、無機薄片粒子は導電性微粒子の導電パスの形成を阻害し難いのに対して、薄片ではない無機粒子(例えば、球状、樹枝状、多層状)は、導電性微粒子が重なって形成する導電パス(連結構造ともいう)の形成を阻害し易いためと推測している。これにより、本発明の導電性ペーストは、導電性微粒子の配合量を抑制しても導電性を維持できる効果が得られた。
また、従来、高精細な配線信号を印刷した時に、印刷版が規定した印刷領域よりも印刷後の信号配線の幅が太くなる現象(線幅の「太り」現象)が起きていたが、本発明の導電性ペーストは、無機薄片粒子を用いたことで線幅の「太り」現象を抑制し、かつ信号配線の表面平滑性も良好となる予想外の効果が得られた。表面平滑性が向上すると導電性がより向上する(抵抗値が低下する)。従来は、スクリーン印刷にて導電性ペーストを高精細パターン印刷した際、比重の大きい導電性粒子は、印刷中に導電性ペーストに含まれる溶剤やバインダ樹脂の動きに乗って流動しやすい。このため、印刷領域より外側にはみ出す、線幅の「太り」現象がより生じ易くなる。線幅の「太り」を防ぐ目的で薄片粒子ではないシリカを配合して導電性ペーストの流動性を制御する方法があるが、高精細な信号配線の表面が凸凹となり易いため導電性が低下していた。
これに対して、導電性ペーストが無機薄片粒子を含むと、高精細な信号配線の線幅の「太り」を抑えながら表面の凸凹を少なくできる。
スクリーン印刷では、版離れする直前の高いずり速度により導電性ペーストの粘度が急激に低下しメッシュを通過する。印刷後は版離れと同時にずり速度が低くなり粘度が上昇する。このメッシュ通過時に粘度低下が著しいとマスク周囲へ導電性ペーストが流れだし、にじみや太りを生じる。さらにメッシュ通過後、高いずり速度により構造が破壊された低粘度状態のパターン部は、構造の回復による粘度上昇とレベリングが同時に起きており、構造回復が遅すぎると、過剰な流動が続き、線幅の「太り」になる。
導電性ペーストに無機薄片粒子を用いると、薄片粒子の層状の重なりあいの影響により、メッシュ通過時の過剰な粘度低下を抑え、かつメッシュ通過後の構造回復を促し、線幅の「太り」を抑える効果が得られる。
また、無機薄片粒子を含むと導電性ペーストのタック性を低下させる効果があり、スクリーン印刷の「版離れ」時に導電性ペーストがスクリーン刷版のメッシュ部分に引っ張られ難く、高精細信号配線の表面の凸凹が発生し難い。
無機薄片粒子は、薄片状、板状または鱗片状の形状を有する公知の無機薄片粒子を使用できる。無機薄片粒子は、例えばマイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、鱗片状アルミナ、鱗片状シリカ、鱗片状アルミニウム、鱗片状二硫化モリブデン、タルク、ウォラスナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクロライト、サポナイト、スチブンサイト、セリサイト、イライト、カオリナイト、バーミュクライト、クレー、酸化チタン等が挙げられる。これらの中でもタルク、カオリン、マイカ、合成マイカ、ウォラスナイトが好ましく、タルク、カオリンがより好ましい。本発明で無機薄片粒子は、粒子自体の表面平滑性が高いためタルクおよびカオリンからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
無機薄片粒子は、単独または2種類以上を併用できる。
また、無機薄片粒子は、表面処理剤を用いて粒子表面を被覆できる。
表面処理剤は、例えばシリコーンオイル、飽和または不飽和の長鎖アルキル脂肪酸、およびそのエステル、およびその塩等の誘導体、カップリング剤、界面活性剤等が好ましい。
シリコーンオイルは、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビーノ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
飽和または不飽和の長鎖アルキル脂肪酸は、例えばステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソヘベン酸等が挙げられる。
飽和または不飽和の長鎖アルキル脂肪酸のエステル、およびその塩等の誘導体は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、ステアリン酸エチルエスエル等が挙げられる。
カップリング剤は、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等のカップリング剤が挙げられる。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤は、例えばラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、およびスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩;ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびスチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エスエル等が挙げられるがこれらに限定されない。
ノニオン性界面活性剤は、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等が挙げられるがこれらに限定されない。
カチオン性界面活性剤は、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等が挙げられるがこれらに限定されない。
両性界面活性剤は、例えばアルキルジメチルアミノ酢酸ペタイン等のアルキルペタイン、およびアルキルイミダゾリン等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、無機薄片粒子のD50平均粒子径は、1〜5μmが好ましく、2〜4μmがより好ましい。1μm以上にすることで高温高湿環境での抵抗値の上昇を抑制し易い。また、5μm以下にすることで粗大粒子の含有量を抑制し易くなるため、表面平滑性が良好で高精細なパターンが形成し易い。なお、無機薄片粒子のD50平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」(島津製作所社製)を用いて体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した数値である。
また、無機薄片粒子は、その比表面積が5〜20.0m/gであることが好ましく、8〜18m/gがより好ましい。5m/g以上にすることでバインダ樹脂と無機薄片粒子との分散性がより向上する。また、20m/g以下にすることで導電性ペーストの流動性がより良好になるため導電性被膜の表面が平滑で膜厚がバラつき難くなる。なお、無機薄片粒子の比表面積は、「JIS Z 8830」に準拠したBET法により測定した。流動式比表面積測定装置「フローソーブII」(島津製作所社製)を用いて測定した表面積より以下の計算式により算出した値を比表面積と定義し記載した。

比表面積(m/g)=表面積(m)/粉末質量(g)
無機薄片粒子は、バインダ樹脂と導電性微粒子を合計した100質量部に対して、2〜15質量部含むことが好ましく、3〜10質量部含むことがより好ましい。2質量部以上含むことで、高温高湿環境での抵抗値の上昇を抑制し易い。また、15質量部以下にすることで、導電性ペーストの凝集力が向上し密着性がより向上する。
本発明において分散剤は、分散し難い導電性微粒子を導電性ペースト中に分散し易くするために使用する。また、導電性ペーストが分散剤を含むとバインダ樹脂と導電性微粒子が混和しやすく分散性が向上するため、導電性ペーストのチキソトロピック性を制御することができる。そのため、例えばスクリーン印刷で形成した導電性被膜は、表面が平滑で膜厚がバラつき難いので、抵抗のばらつきが少なくなる。
分散剤は、樹脂型分散剤、界面活性剤、シランカップリング剤および金属キレート等が好ましい。
樹脂型分散剤は、導電性微粒子に吸着する親和性部位と、バインダ樹脂に親和性が高い部位を有するポリマー(樹脂)の分散剤である。親和性部位は、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基、マレイン酸基、(一級、二級、三級)アミノ基、アミド基、アルキルアンモニウム塩、リン酸塩、およびポリアミドアマイド等が挙げられる。またバインダ樹脂に親和性が高い部位は、ポリエステルユニット、ポリエーテルユニット、ポリエーテルエステルユニット、ポリアクリルユニット、およびポリウレタンユニット等が挙げられる。
樹脂型分散剤は、上記の親和性部位を有する以下の樹脂が好ましい。例えばポリウレタン、およびポリアクリレート等のポリカルボン酸エステルポリアミド;
ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、および水酸基含有ポリカルボン酸エステル;
ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応で合成したアミド、およびその塩等;、
ポリエステル、ポリエーテル、ポリエステルエーテル、ポリウレタン等のポリリン酸(塩);ポリリン酸、ポリリン酸(部分)アミン塩、ポリリン酸アンモニウム塩、ポリリン酸アルキルアミン塩等;
(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、および繊維系誘導体樹脂等が挙げられる。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が好ましい。具体的には、無機薄片粒子の粒子表面を被覆できる表面処理剤にて例示した界面活性剤が同様に例示できる。
シランカップリング剤は、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p‐スチリルトリメトキシシラン‐3‐メタクリロキシプロピル、メチルジメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐トリエトキシシリル-N(1,3‐ジメチル-ブチリデン)、プロピルアミンN‐フェニル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(ビニルベンジル)‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、および3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるがこれらに限定されない。
金属キレートは、金属アルコシドと、β−ジケトンやケトエステル(例えば、アセト酢酸エチル等)等のキレート化剤とを反応させたキレート化合物(金属錯体)である。金属キレートは、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、およびチタンキレート等が好ましい。
アルミニウムキレートは、アルミニウムと配位子のアセトネート基で構成される。アセトネート基は、例えばアセチルアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO(CH3)や、メチルアセトアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO−O−CH3、およびエチルアセトアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO−O−C25等が挙げられる。これらの中でもアセチルアセトネート基、メチルアセトアセトネート基、およびエチルアセトアセテート基から少なくとも1種以上を使用すると導電性被膜の導電性がより向上するため好ましい。
アルミニウムキレートは、例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピオネート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−sec−ブトキシドモノメチルアセトアセテート等が挙げられるがこれらに限定されない。アルミニウムキレートは、式量が200〜420の化合物が好ましい。
ジルコニウムキレートは、ジルコニウムとアセトネート基で構成される。アセトネート基は、アセチルアセトネート基、およびエチルアセトアセテート基が好ましい。
ジルコニウムキレートは、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。ジルコニウムキレートは、式量が350〜1,000の化合物が好ましい。
チタンキレートは、第一の例として、 (HORO)Ti(ORあるいは(HNRO)Ti(0Rで表すことができるチタンキレートおよびアルコキシチタンが好ましい。なお、RおよびRはアルキル基である。
また、チタンキレートは、第二の例として、例えば、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−プトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート、チタニウムステアレート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、およびチタントリエタノールアミネート等が挙げられる。チタンキレートは、式量が250〜1,500の化合物が好ましい。
分散剤は、単独または2種類以上を併用できる。
分散剤は、バインダ樹脂および導電性微粒子を合計した100質量部に対して0.1〜20質量部を配合することが好ましく、0.1〜15質量部がより好ましい。分散剤が0.1質量部以上になることで導電性微粒子の分散性がより向上する。また、分散剤が20質量以下になることで導電性被膜の導電性がより向上する。
本発明の導電性ペーストは、さらに溶剤を配合できる。溶剤を配合することで導電性微粒子の分散が容易になり、印刷に適した粘度への調整が容易になる。
溶剤は、使用する樹脂の溶解性や印刷方法等の種類に応じて、選択することができる。溶剤は、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、脂環族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、および水等が好ましい。
エステル系溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、および炭酸ジメチル等が挙げられるがこれらに限定されない。
環状エステル系溶剤は、例えばε−カプロラクトン、およびγ―ブチロラクトン等が挙げられるがこれらに限定されない。
ケトン系溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、およびシクロヘキサノン等が挙げられるがこれらに限定されない。
グリコールエーテル系溶剤は、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテル等のモノエーテル、ならびにこれらの酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノエチルエーテル等、ならびにこれらの酢酸エステル等が挙げられるがこれらに限定されない。
脂肪族系溶剤は、例えばn−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
芳香族系溶剤は、例えばトルエン、キシレン、テトラリン等が挙げられるがこれらに限定されない。
溶剤は、単独または2種類以上を併用できる。
溶剤は、不揮発分および溶剤を含めた導電性ペースト全量中に5〜50質量%程度使用できる。
本発明の導電性ペーストは、さらに硬化剤を含むことができる。硬化剤は、バインダ樹脂が有する反応性官能基(例えば水酸基やカルボキシル基等)と反応可能な官能基を複数有し、硬化した導電性被膜の耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、または密着性等を向上させることができる。硬化剤は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、アミン化合物、および酸無水物基含有化合物等が好ましい。
具体的には、バインダ樹脂が水酸基を有する場合、イソシアネート化合物等が好ましい。また、バインダ樹脂がカルボキシル基を有する場合、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、およびカルボジイミド化合物等が好ましい。さらに、バインダ樹脂がエポキシ基を有する場合、アミン化合物、酸無水物基含有化合物等が好ましい。
イソシアネート化合物は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、例えばトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイシシアネートは、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、およびトリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートからなるコポリマーのイソシアヌレート体等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、例えばイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
また、これらの化合物をブロックしたブロック化イソシアネートも好ましい。ブロック剤は、例えば、ε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、フェノール、および活性メチレン化合物等が好ましい。
エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物の性状は、液体と固体がある。エポキシ化合物は、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が好ましい。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のクレゾール構造とクレゾール構造の間にビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬社製:NC−3000等)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のクレゾール構造とクレゾール構造の間にジシクロペンタジエン骨格構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬社製:XD−1000等)、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、およびテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、およびテトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、例えばジグリシジルフタレート、ジグリシジル
ヘキサヒドロフタレート、およびジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂は、例えばエポキシシクロヘキシルメチル−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられる。
アジリジン化合物は、例えば、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス−1−アジリジンカルボキシアミド、4,4−ビス(エチレンイミノカルボキルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、例えば2,2‘−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
カルボジイミド化合物は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、およびカルボジライト(日清紡社製、ポリカルボジイミド)等が挙げられる。
アミン化合物は、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
酸無水物基含有化合物は、例えばテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられる。
硬化剤は、単独または2種類以上を併用できる。
硬化剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部を配合することが好ましい。硬化剤を前記範囲内で使用すると導電性被膜の密着性、耐熱性、耐湿熱性がより向上する。
本発明の導電性ペーストは、硬化反応を促進するために硬化促進剤等の添加剤を配合できる。硬化促進剤は、ジシアンジアミド、3級アミン化合物、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、カルボン酸ヒドラジド、脂肪族または芳香族ジメチルウレア等のジアルキルウレア、酸無水物等が使用できる。なお、添加剤は、エポキシ樹脂の硬化促進に効果的である。
3級アミン化合物は、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセンー7、および1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5等が挙げられる。
ホスフィン化合物は、例えばトリフェニルホスフィン、およびトリブチルホスフィン等が挙げられる。
イミダゾール化合物は、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、および2−フェニルイミダゾール等、ならびにこれらとエポキシ樹脂を反応させて溶剤に不溶化した化合物、ならびにこれらをマイクロカプセルに封入したタイプ等の保存安定性を改良した潜在性硬化促進剤等が挙げられる。
カルボン酸ヒドラジドは、例えばコハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド等を挙げることができる。酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられる
添加剤は、単独または2種類以上を併用できる。
添加剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部を配合することが好ましい。
本発明の導電性ペーストは、必要に応じて耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、可塑剤、難燃剤、および保湿剤等を含むことができる。
本発明の導電性ペーストは、上段で説明した原料を所定の割合で配合して攪拌機で混合することで作製できる。攪拌機は、プラネタリーミキサー、およびデスパー等の公知の装置を使用できる。また、攪拌機に加えて、分散を行うことで導電性微粒子をより微細に分散できる。分散機は、ボールミル、ビーズミル、および3本ロール等が挙げられる。
さらに、作製した導電性ペーストは、濾過することが好ましい。濾過するフィルターは従来公知のフィルターを使用できる。例えば100〜650メッシュのスクリーンメッシュを用いて濾過することができる。スクリーンメッシュの素材としては、ステンレス、ナイロン、ポリエステル、ポリアリレート等が挙げられる。
本発明の導電性シートは、基材と、導電性ペーストから形成してなる導電性被膜とを備えている。前記導電性被膜は、信号配線であっても良い。この場合、得られる導電性シートは、配線板ともいう。
導電性シートの製造方法の1例を挙げると、例えば、導電性ペーストを基材上に印刷することで導電性被膜を形成できる。得られた導電性被膜は、表面が平滑で凸凹が少なく直進性が高い高精細信号配線を形成し易い。また、高温高湿環境での抵抗値が上昇し難い。
印刷は、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、およびグラビアオフセット印刷等が好ましく、スクリーン印刷がより好ましい。
信号配線パターンとしては、導電性回路パターン、各種配線パターン、電極パターン、グランド配線パターン、アンテナ配線パターン等であり、特に限定されない。
スクリーン印刷で使用するスクリーン版は、例えば導電回路パターンに使用する場合、導電回路パターン高精細化、導電性被膜の平滑性に対応すべく微細なメッシュ、特に好ましくは400〜650メッシュ程度の微細なメッシュのスクリーンを用いることが好ましい。この時のスクリーンの開放面積は20〜50%が好ましい。スクリーン線径は約10〜70μmが好ましい
印刷後には、乾燥工程を行なうことが好ましい。乾燥工程は、熱風オーブン、赤外線オーブン、およびマイクロウエーブオーブン、ならびにこれらを複合した複合オーブン等公知の乾燥装置が挙げられる。
基材は、特に限定されるものではなく、例えばポリイミドフィルム、ポリパラフェニレンテレフタルアミドフィルム、ポリエーテルニトリルフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、およびポリアクリルフィルム等が挙げられる。またこれらの基材上にITO(スズドープ酸化インジウム)層を形成したITOフィルム、およびガラス板上にITO層を形成したITOガラスも挙げられる。また、基材は、セラミック板上にITO層を形成したITOセラミックも挙げられる、なおITO層は、フィルムないし板の全面に形成する必要は無く部分的で形成されていても良い。
基材の厚みは、特に限定されないが、30〜350μm程度であり、50〜250μmがより好ましい。前記範囲の厚みにより基材の機械特性、形状安定性、寸法安定性、およびハンドリング面等が適切になりやすい。
導電性被膜の厚みは、通常3〜30μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。厚みが3〜30μmになることで基材と密着性がより向上する。
前記信号配線は、L(ライン)/S(スペース)が100μm/100μm以下の高精細パターンが得やすく、高温高湿環境での抵抗値が上昇し難いため、視認性が重要なタッチパネルの構成部材、フラットパネルディスプレイ、カーナビ等の車載ディスプレイ、太陽電池等の集電線配線の用途に使用できる。
本発明の配線板は、多様な電子機器に使用できる。例えば液晶ディスプレイ、RFIDアンテナは元より、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノート型PC、電子書籍、カーナビゲーション等のタッチパネルディスプレイを備えた電子デバイスが挙げられる。また、ディスプレイが無くとも信号配線を備えた電子機器等、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、CD・DVDプレーヤー等に制限無く使用できる。
また、本発明に係る導電性ペーストから形成してなる導電性被膜を備えた導電性シートは、特にタッチパネルの透明電極上に配線構造を形成する際に好適に用いることができる。
ここで、本発明の導電性インキを抵抗膜方式のタッチパネルに適用した場合の一例を図1及び図2を用いつつ説明する。なお、図1は抵抗膜式タッチパネルの簡易的な概念図であり、配線の本数、配線幅、配線と配線の間隔は概念図として表している。なお、図2では、三層の中間、粘着材5の位置に視点を置き、下部基板1側は見下ろす状態で、上部基板2側は見上げる状態で各基板側の積層状態を模式的に示した。
以下、図1の上側を上部として下側を下部として説明する。
図1によると抵抗膜方式タッチパネルは、下部基板1および上部基板2を備えている。下部基板1および上部基板2は、ガラス、およびプラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム等)の基材から適宜選択できる。
下部基板1の上側には透明電極6が形成されている。また上部基板2の上側には透明電極7が形成されている。透明電極6および透明電極7は、図示しないが、それぞれ下部基板1および上部基板2の部分的に形成されている。透明電極6および透明電極7は、通常ITO等で形成される。
下部基板1の左端部および右端部で透明電極6の右端部と左端部には、それぞれ導電性ペーストで下側駆動電極3を形成する。さらに下側駆動電極3をそれぞれ絶縁層4で被覆する。
別途、透明電極6の上にドットスペーサー8を一定の間隔(例えば、10〜150μmの間隔)で形成する。前記ドットスペーサーの高さは、通常1〜10μm程度である。ドットスペーサー8により本来の目的である入力の時以外に透明電極6と透明電極7とが接触することを防止している。
絶縁層4の上にそれぞれ粘着剤層5を形成した後、別途下部基板1と同様に形成した、下面に透明電極7を有する上部基板2の透明電極7面を貼り付けることで抵抗膜方式タッチパネルが作製できる。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
(バインダ樹脂溶液1)
JER1256(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、数平均分子量(Mn)25,000、ガラス転移温度(Tg)95℃、エポキシ当量7,500g/eq、水酸基価190mgKOH/g、三菱化学社製)40部をイソホロン30部、γ−ブチロラクトン30部に溶解し、不揮発分40%のバインダ樹脂溶液(1)を得た。
(バインダ樹脂溶液2)
バイロン650(ポリエステル、Mn23,000、Tg10℃、水酸基価5mgKOH/g,酸価1mgKOH/g、東洋紡績社製)40部をイソホロン30部、γ−ブチロラクトン30部に溶解し、不揮発分40%のバインダ樹脂溶液(2)を得た。
(バインダ樹脂溶液3)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イソフタル酸と3−メチル−1,5ペンタンジオールで合成したポリエステルポリオール(クラレポリオールP−2030、Mn2033、クラレ社製)127.4部、ジメチロールブタン酸1.9部、イソホロンジイソシアネート15.9部、ジブチルチンジラウレート0.04部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート43部を仕込み、窒素気流下にて90℃で5時間反応させた。次いでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート102部を加えることで、Mn19,000、Tg17℃、水酸基価3mgKOH/g、酸価5mgKOH/gのポリウレタンの溶液を得た。ポリウレタンの溶液100部にイソホロン25部を加え、不揮発分40%のポリウレタンのバインダ樹脂溶液(3)を得た。
なお、バインダ樹脂(1)〜(3)のMn、Tg、エポキシ当量、酸価および水酸基価は以下の方法に従って求めた。
<数平均分子量(Mn)の測定>
装置:GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)
機種:昭和電工社製 Shodex GPC−101
カラム:昭和電工社製 GPC KF−G+KF805L+KF803L+KF802
検出器:示差屈折率検出器 昭和電工社製 Shodex RI−71
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量 :サンプル側:1mL/分、リファレンス側:0.5mL/分
温度 :40℃
サンプル:0.2%THF溶液(100μLインジェクション)
検量線:東ソー社製の下記分子量の標準ポリスチレン12点を用いて検量線を作成した。
F128(1.09×10)、F80(7.06×10)、F40(4.27×10)、F20(1.90×10)、F10(9.64×10)、F4(3.79×10)、F2(1.81×10)、F1(1.02×10)、A5000(5.97×10)、A2500(2.63×10)、A1000(1.05×10)、A500(5.0×10)。
ベースライン:GPC曲線の最初のピークの立ち上がり点を起点とし、リテンションタイム25分(分子量3,150)でピークが検出されなかったので、これを終点とした。そして、両点を結んだ線をベースラインとして、分子量を計算した。
<Tgの測定>
・装置:示差走査熱量分析計DSC−220C(セイコーインスツルメンツ社製)
・試料:約10mg(0.1mgまで量る)
・昇温速度:10℃/分にて200℃まで測定
・Tg温度:低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた折線の交点の温度とした。
<エポキシ当量の測定>
JIS K 7236 に準拠して測定した。
<水酸基価、酸価の測定>
JIS K 0070 に準拠して測定した。
<導電性微粒子>
[銀粉A]DOWAエレクトロニクス社製 球状銀粉(D50平均粒子径1.6μm、タップ密度3.8g/cm、比表面積0.97m/g)
[銀粉B]メタローテクノロジーズジャパン社製 凝集銀粉(D50平均粒子径0.9μm、タップ密度2.9g/cm、比表面積1.50m/g)
[銀粉C]メタローテクノロジーズジャパン社製 フレーク銀粉(D50平均粒子径1.2μm、タップ密度3.9g/cm、比表面積1.46m/g)
<D50平均粒子径>
レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」(島津製作所社製)を用いて体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した。
<タップ密度>
JIS Z 2512:2006法に基づいて測定した。
<BET比表面積>
流動式比表面積測定装置「フローソーブII」(島津製作所社製)を用いて測定した表面積より以下の計算式により算出した値を比表面積と定義し記載した。
比表面積(m/g)=表面積(m)/粉末質量(g)
[分散剤A]アルミニウムキレートALCH−90F(アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピオネート、不揮発分90%、川研ファインケミカル社製)
[分散剤B]DISPERBYK−180(樹脂型分散剤:酸基を含むブロック共重合物のアルキルアンモニウム塩、酸価94mgKOH/g、アミン価94mgKOH/g、不揮発分81% ビックケミー・ジャパン社製)
[硬化剤A]デュラネートMF−K60B(HDIイソシアヌレート系ポリイソシアネートの活性メチレンブロック型硬化剤、不揮発分60%、旭化成ケミカルズ社製)
[硬化剤B]アデカハドナーEH−4346S(イミダゾール硬化剤、不揮発分100%、ADEKA社製)
<無機薄片粒子>
[無機薄片粒子A]日本タルク社製タルク(D50平均粒子径2.4μm、BET比表面積15m/g、アスペクト比17)
[無機薄片粒子B]富士タルク社製タルク(D50平均粒子径3.8μm、BET比表面積11m/g、アスペクト比23)
[無機薄片粒子C]日本タルク社製タルク(D50平均粒子径1.5μm、BET比表面積18m/g、アスペクト比11)
[無機薄片粒子D]BASF社製焼成カオリン(D50平均粒子径1.4μm、BET比表面積10m/g、アスペクト比10)
[無機薄片粒子E]日本タルク社製タルク(D50平均粒子径0.6μm、BET比表面積24m/g、アスペクト比13)
[無機薄片粒子F]富士タルク社製タルク(D50平均粒子径5.9μm、BET比表面積7.6m/g、アスペクト比26)
[無機薄片粒子G]富士タルク社製タルク(D50平均粒子径10.8μm、BET比表面積5.5m/g、アスペクト比62)
[無機粒子H]東ソー・シリカ社製疎水性シリカ(D50平均粒子径2.1μm、BET比表面積82m/g、アスペクト比1.1)
[無機粒子I]堺化学工業社製ハイドロタルサイト系化合物(D50平均粒子径0.58μm、BET比表面積10m/g)
[無機粒子J]東亞合成社製マグネシウム・アルミニウム系含水金属酸化物
<実施例1>
バインダ樹脂溶液(1):100部と、分散剤A:1.0部、銀粉A:293部、無機薄片粒子A:21部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:43部とをプラネタリーミキサーにて混合後し、次いで3本ロールを使用して分散することで導電性ペーストを調製した。
得られた導電性ペーストは、不揮発分が約78質量%であり、不揮発分中バインダ樹脂と銀粉Aを合計した100質量部に対して、無機薄片粒子Aは6.3質量部であった。
<実施例2〜15、比較例1〜5>
バインダ樹脂溶液、銀粉、分散剤、無機薄片粒子または無機粒子、および硬化剤を表1、表2および表3に示す配合比率にした以外は、実施例1と同様に行なうことで、それぞれ実施例2〜15、および比較例1〜5の導電性ペーストを調整した。
<粘度、TI値の測定>
得られた導電性ペーストの粘度、TI値を下記条件で測定した。
・粘度計:E型粘度計TVE−25H(東機産業社製)
・ローター:コーンローター#7(θ3°xR7.7mm)
・測定温度:25℃
・試料:0.1ml
・粘度測定:回転数5rpmにて2分後の数値を粘度とした。
・TI値測定:回転数2rpmの2分後の数値と回転数20rpmの2分後の数値を測定
TI値=(回転数2rpmの2分後の数値)/(回転数20rpmの2分後の数値)
[導電性シートの作成]
厚さ75μmの未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)上に得られた導電性ペーストを、縦15mm×横30mmのパターン形状にスクリーン印刷し、135℃オーブンにて30分乾燥させ、膜厚が約6μmの導電性シートを得た。なお、導電性シートの厚みはMH−15M型測定器(ニコン社製)を用いて測定した。
<表面抵抗値>
得られた導電性シートの表面抵抗値は、25℃、湿度50%雰囲気下にてロレスタGPMCP−T610測定機(三菱化学アナリテック社製)の直列4探針プローブ(ASP)を用いて測定した。
<体積抵抗率の算出>
上記方法で測定された表面抵抗値、および膜厚を以下の式に代入して導電性シートの体積抵抗率を算出した。
体積抵抗率(Ω・cm)=(表面抵抗率:Ω/□)×(膜厚:cm)
なお評価基準は下記の通りである。
良好:50μΩ・cm以下
実用域:50μΩ・cmを超え150Ω・cm以下
実用不可:150μΩ・cm超える
<細線印刷性の評価>
高精度スクリーン印刷装置(東海精機社製SERIA)を用いて、実施例1〜15、比較例1〜5の各導電性ペーストを、縦200mm幅200mmの領域に、線幅80μm、線間の幅90μm(L/S=80μm/90μm)の微細配線パターンを多数有するスクリーン版にて、厚さ75μmのPETフィルムに20枚連続印刷した。その後、135℃で30分乾燥させた。印刷の条件は下記の通りである。また、表面平滑性を評価するために、スクリーン版の一部に縦40mm、横6mmの長方形型のパターンを取り入れた。
(スクリーン印刷条件)
・スクリーン:ステンレス版500メッシュ
・線経:16μm
・カレンダー加工紗厚:20μm
・乳剤厚:10μm
・スクリーン枠:650×550mm
・スキージ角度:70°
・スキージ硬度:80°
・スキージ速度:50mm/秒
・スキージ印圧:10kgf
・クリアランス:3.5mm
(線幅保持率評価)
スクリーン印刷した配線パターンの微細配線部分を、デジタルマイクロスコープ(オリンパス株式会社製DSX510)を用いて倍率500倍で撮影した。撮影した拡大写真をニレコ社製小型汎用画像解析装置「LUZEX AP」を用いて印刷後の細線幅を読み取った。
具体的には、20枚目の印刷物について、任意の細線8本を選択し、1本につき460箇所、8本合計で3680箇所の線幅を測定し、その平均値から、線幅80μmの信号配線が連続印刷後に当初の線幅を保持できているか否か線幅保持率を求めた。
線幅保持率「(平均値−80μm)/80μm(%)」の評価基準は次の通りである。
◎:25%未満、線幅の太りがほとんどない。良好。
○:25〜40%、線幅の太りがやや認められる。実用域。
×:40%を越える、線幅の太りが明確に認められた。実用不可。
(配線形状評価)
さらに、信号配線の形状を20枚目の印刷物について、下記の基準で評価した。
◎:信号配線は、良好な直線で形成されており、その側面はシャープであった。良好。
○:信号配線は、やや直線から外れる箇所があったがその側面はシャープであった。実用上問題ない
×:信号配線に太さにばらつきがみられた。また、その側面ににじみ、掠れがあり、境界線が明瞭であった。実用不可。
<表面平滑性の評価>
前記細線印刷性で連続印刷した中の20枚目の導電性シートについて、縦40mm、幅6mmの長方形型のパターン部分の導電性被膜の表面荒さRaを、接触式表面形状粗さ測定器Talysurf60(アメテック社製)を用いて測定を行い、解析ソフト「Taly Map Platinum ver.5.0」(アメテック社製)を用いて解析した。
測定条件は下記の通りである。
・測定範囲:5mm×5mm
・本数:51本
・速度:0.5mm/s
解析は4mm×4mmの範囲で0.25μmのフィルターをかけてうねりを取り除いたデータを用いてパラメーターの算出を行った。
なお、評価基準は次の通りである。
◎:Raが0.2μm未満。表面平滑性は良好。
○:Raが0.2μm〜0.4μm。表面平滑性は実用上問題ない。
×:Raが0.4μmを超える。表面平滑性は劣る。実用不可。
<密着性>
1.基材にITO積層フィルムおよびITO積層エッチングフィルムを使用して密着性を評価した。密着性は、初期密着性および環境試験後の密着性を評価した。
ITO積層フィルムのITO層に得られた導電性ペーストを、乾燥後の膜厚が6μmになるようにスクリーン印刷して縦15mm×横30mmのパターンを形成し、次いで135℃オーブンにて30分乾燥させることで印刷物を得た。別途、ITO積層エッチングフィルムのITO層とPETフィルム基材が露出した面に対して上記同様に導電性ペーストを印刷することで印刷物を得た。そしてこれらの印刷物を使用して導電性被膜の密着性を評価した。
・ITO積層フィルム:V150L−OFME(基材:PETフィルム、厚さ:180μm、表面抵抗:140Ω/□、日東電工社製)
・ITO積層エッチングフィルム:上記ITO積層フィルムの一部を塩酸でエッチングしてITO層を除去して基材(PETフィルム)を露出させたフィルム。
・評価方法
テープ密着試験:JIS K5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。
ITO残存部分、ITOエッチング部分それぞれの領域上の導電性ペーストに、幅1mm間隔で縦方向に11本、横方向に11本カッターで刃を入れて、10マス×10マスの計100マス目を作製した。次いで作成されたマス目上に、セロハンテープ(25mm幅、ニチバン社製)を貼り付けた後、セロハンテープを手で急速に剥離することで、残ったマス目の状態を評価した。
・評価基準
◎:剥離無し(良好)
○:マスの端がわずかに欠ける(実用上問題ない)
×:1マス以上の剥離が観察される(実用不可)
・環境試験後の密着性(1)
上記の方法で別途作成したITO積層フィルムの印刷物、およびITO積層エッチングフィルムの印刷物を60℃・90%RH雰囲気下に240時間放置した後、上記同様の方法で密着性を評価した。上記同様の評価基準で評価した。
・環境試験後の密着性(2)
上記の方法で別途作成したITO積層フィルムの印刷物、およびITO積層エッチングフィルムの印刷物を85℃・85%RH雰囲気下に240時間放置した後、上記同様の方法で密着性を評価した。上記同様の評価基準で評価した。
・環境試験後の密着性(3)
上記の方法で別途作成したITO積層フィルムの印刷物、およびITO積層エッチングフィルムの印刷物を85℃・85%RH雰囲気下に1000時間放置した後、上記同様の方法で密着性を評価した。上記同様の評価基準で評価した。
2.基材にポリイミドフィルムを使用して密着性を評価した。
ポリイミドフィルム(カプトン100H、25μm厚、東レ・デュポン社製)上に、導電性ペーストを、乾燥後の膜厚が8μmになるようにスクリーン印刷を行い縦15mm×横30mmのパターンを形成した。次いで180℃オーブンで30分乾燥させることで印刷物を得た。当該印刷物を使用して導電性被膜の密着性を評価した。
セロハンテープ(25mm幅)を印刷物の導電性被膜上に貼り付け、セロハンテープを手で急速に剥離することで密着性を評価した。
◎:剥離が全く無い(良好)
○:わずかに剥離があった(実用上問題ない)
×:全面的に剥離した(実用不可)
<環境保存性>
透明導電性フィルムからなる可動電極基板と固定電極基板を両面テープによる両面粘着層で貼り合わせて、図1及び図2に示す構成の抵抗膜式タッチスクリーンパネルを作製した。
図2で示す抵抗膜式タッチスクリーンパネルについて、得られた導電性ペーストを用いた場所を説明すると、下部固定電極基板としては、ITO透明電極膜部およびITOをエッチングにより除去した基材上に、得られた導電性ペーストを用いてスクリーン印刷にて左端部および右端部の下側駆動電極3、取り回し回路17、接続電極15、接続電極16の信号配線ないし導電性被膜を形成し、135℃で30分乾燥させた。
次いで、下側駆動電極3、取り回し回路17上に、ポリウレタン樹脂の絶縁レジスト(東洋インキ製造社製、リオレジストNSP−11)をスクリーン印刷にて印刷し絶縁層(図示しない)を形成し、120℃で30分乾燥させた。
別途、上部可動電極基板として、ITO透明電極膜部およびITOをエッチングにより除去した基材上に、得られた導電性ペーストを用いてスクリーン印刷にて左端部および右端部の上部駆動電極9、取り回し回路17、接続電極11、接続電極12の信号配線ないし導電性被膜を形成し、135℃で30分乾燥させた。
次いで、上部駆動電極9、取り回し回路17上に、ポリウレタン樹脂の絶縁レジスト(東洋インキ製造社製、リオレジストNSP−11)をスクリーン印刷にて印刷し絶縁層(図示しない)を形成し、120℃で30分乾燥させた。
完成した上下の電極基板を額縁状に中心部をくり抜いた両面テープ5で貼り合わせ、抵抗膜式タッチスクリーンパネルを作製した。なお、図示しないが、取り出し回路末端部付近は端子A101、と端子B102とするために、絶縁レジスト層を設けなかった。
(端子間抵抗変化)
得られた抵抗膜式タッチスクリーンパネルについて、25℃・50%RH環境下にて図2の端子A101と端子B102間の端子間抵抗値を測定した。次いで、前記抵抗膜式タッチスクリーンパネルを85℃・85%RH環境下で240時間および1000時間保存した後、25℃・50%RH環境下に24時間放置し、端子間抵抗値を25℃・50%RH環境下にて測定した。環境保存試験後の端子間抵抗値の上昇率を下記の基準で評価した。なお、端子間抵抗値は、三和電気計器製PC500型テスターを用いた。
◎:環境保存試験後の端子間抵抗値の上昇率が0〜10%。良好。
○:環境保存試験後の端子間抵抗値の上昇率が10%を超え20%以下。実用上問題はない。
×:環境保存試験後の端子間抵抗値の上昇率が20%を越える。実用不可。
(電極部の外観評価)
信号配線の経時外観不良を評価するため、図2の抵抗膜式タッチスクリーンパネルにおける上部側駆動電極9について、85℃・85%RH・1000時間環境試験後の状態を、デジタルマイクロスコープ(オリンパス株式会社製DSX510)を用いて拡大した上で、上部側駆動電極の貼り合わせ箇所に気泡が生じたか否か、ボイドの有無、上部側駆動電極にクラック等が発生したか否かを観察し下記基準で評価した。
○:駆動電極部分貼り合わせ部分に気泡、ボイドの発生、駆動電極部分のクラック等の発生が殆ど無い。良好
×:駆動電極部分貼り合わせ部分に気泡、ボイドの発生、駆動電極部分のクラック等の発生が認められる。実用不可
表1および表2の結果から、実施例1〜15の導電性ペーストは、良好な体積抵抗率、信号配線の細線印刷性、信号配線の高温高湿環境での抵抗安定性、信号配線の高温高湿環境での基材への密着性を示す。また、硬化剤を添加した実施例14および15は、ポリイミドフィルムへの密着性がさらに向上した。さらに、実施例1は、導電性ペースト中の銀粉の含有比率が比較例1よりも少ないにも関わらず、体積抵抗値が低いため良好な導電性を示す。
一方、表3の結果から、比較例1は、無機薄片粒子を使用していないため、信号配線の高温高湿環境での抵抗安定性、信号配線の高温高湿環境での基材への密着性が劣る。
比較例2は、無機薄片粒子のアスペクト比が40より大きいため、信号配線に一部掠れがみられ、また表面平滑性も悪い。
比較例3は、無機粒子が球状シリカのためアスペクト比が4より小さく、粒子の重なり度合いが少ないため、信号配線の高温高湿環境での抵抗変化、信号配線の高温高湿環境での基材への密着性低下が大きい。また表面平滑性も悪い。
比較例4および5は、アスペクト比4〜40の無機薄片粒子を使用していないため、信号配線の高温高湿環境での抵抗変化、信号配線の高温高湿環境での基材への密着性低下が大きい。また表面平滑性も悪い。
以上のように本発明の導電性ペーストは、良好な細線印刷性により形成した高精細の信号配線が、厳しい条件での高温高湿環境での抵抗が変化し難い特性を有する導電性被膜を形成でき、また、導電性ペースト中の銀粉の含有比率が低くても良好な導電性を有するので、銀粉の使用量を抑制できるという特徴を有する。
1:下部基板
2:上部基板
3:下側駆動電極
4:絶縁層
5:粘着剤層
6:透明電極
7:透明電極
8:ドットスペーサー
9:上部側駆動電極
11:上部側接続電極
12:上部側接続電極
15:下部側接続電極
16:下部側接続電極
17:取り回し回路
101:端子A
102:端子B
201:「電極部の外観評価」での観察部位
202:「電極部の外観評価」での観察部位

Claims (7)

  1. バインダ樹脂と、導電性微粒子と、無機薄片粒子(ただし、無機薄片粒子は、導電性を有さない。)と、分散剤とを含む導電性ペースト(ただし、レーザー加工用を除く)であって、
    前記無機薄片粒子がタルクおよびカオリンからなる群より選択される1種以上であり、かつ、前記無機薄片粒子のアスペクト比が4〜40であり、
    前記バインダ樹脂と前記導電性微粒子を合計した100質量部に対して、前記無機薄片粒子を2〜15質量部含む、導電性ペースト。
  2. 前記無機薄片粒子のD50平均粒子径が1〜5μmである、請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 導電性微粒子のタップ密度が、1〜10g/cm である、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記導電性微粒子が、銀微粒子を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の導電性ペースト。
  5. さらに硬化剤を含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の導電性ペースト。
  6. 基材と、請求項1〜5いずれか1項に記載の導電性ペーストから形成してなる導電性被膜とを備えた、導電性シート。
  7. 基材と、請求項1〜5いずれか1項に記載の導電性ペーストから形成してなる信号配線とを備えた、配線板。
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