以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図4は本発明の実施に用いる車両の搬送装置の形態の一例を示すものである。1は車両であり、駆動車輪2により前後方向に自走可能で且つ車両1下部に進入可能な二台の把持台車3(前側台車3a、後側台車3b)に、車両1の前輪1a又は後輪1bをリフトアップするリフター4を設けている。前記二台の把持台車3は、互いに独立に走行するようになっている。
前記二台の把持台車3(前側台車3a、後側台車3b)は、図1、図2に示す如く、台車本体5の両側面に、前側アーム6と後側アーム7の各一対の把持アームを備えた構成をそれぞれ有しており、この計二対の把持アームによって左右二基のリフター4を形成している。このリフター4により、前側台車3aと後側台車3bで車両1の前輪1aと後輪1bをそれぞれ支持し、駆動車輪2を駆動することで前側台車3aと後側台車3bを自走させ、車両1を所定の場所へ搬送するようになっている。
ここで、車両1の搬送にあたっては、予め把持台車3の設置された所定の場所やその付近に車両1を移動させた上で、車両1に対し把持台車3を動作させ、必要に応じて車両1も動かしながら、把持台車3上に車両1を支持させることが必要になる。また、場合によっては、把持台車3上に支持された状態の車両1を一定のスペース内に留め置くことも必要になる。以下、本明細書中では、車両1を把持台車3上に支持し、また留め置くためのスペースを「支持操作区画」と呼ぶものとする。
車両1の搬送を行う場所が例えば工場や車両の試験設備、あるいは倉庫式の駐車場等であれば、床面上に備えた前後二台の把持台車3で車両1を支持し、そのまま前記二台の把持台車3を床面上で自走させて目的の場所まで搬送する場合が想定される。この場合、前記支持操作区画は床面上の所定のスペースである。また、搬送を行う場所が立体式の駐車場等であれば、パレット上に車両1を積載して移動する形式の搬送機械等が備えられており、前記パレットと、それ以外の床面との間で把持台車3を用いて車両1を搬送することが考えられる。この場合には、前記支持操作区画は前記パレット、もしくは該パレットを含む周辺の領域であると言うことができる。図1では、パレットP上の把持台車3に車両1を支持した状態を図示している。
図2〜図4を参照して各把持台車3の構成を説明する。台車本体5は、図2に示す如く、左右方向中央に位置して駆動車輪2を備えた駆動フレーム8と、リフター4を備えて台車本体5の両側面をなすリフトフレーム9とを、連結部材10により連結してなる。
二組のリフター4を構成する前記四本の把持アーム(前側アーム6,6、後側アーム7,7)は、それぞれリフトフレーム9に水平方向に回動自在に取り付けられており、台車本体5の側面に沿う格納位置(実線で示す位置)と、該格納位置から側方に張り出して車両1の各車輪(前輪1a又は後輪1b)をそれぞれ前後から挟み付けるように支持しつつリフトアップする展開位置(仮想線で示す位置)との間で回動するようになっている。
前記四本の把持アームの回動は、リフトフレーム9に備えたアーム回動機構11によって駆動される。本例の場合、アーム回動機構11は、前記各把持アーム(前側アーム6、後側アーム7)と台車本体5側との間を掛け渡すように取り付けた油圧シリンダ11として構成されている。各油圧シリンダ11は、シリンダ本体11aの基端部がリフトフレーム9に、ロッド11bの先端部が前記各把持アームの途中に、それぞれ回動自在に取り付けられている。そして、油圧シリンダ11が収縮することにより、前記各把持アームが格納位置に回動し、油圧シリンダ11が伸長することにより、前記各把持アームが展開位置に回動するようになっている。
尚、図2に示した例では、前記四本の各把持アームにそれぞれ油圧シリンダ11が備えられているので、前記各把持アームを一本ずつ独立に動作させることができるが、必ずしもこのようになっていなくても良い。一台の把持台車3において二組のリフター4を構成する前記各把持アームのうち、二本の前側アーム6,6と、二本の後側アーム7,7は、それぞれ同時に動作するよう構成されていても良い。図3は、リフター4をそのように構成した場合のリフター4周辺の配置の一例を示しており、左右の前側アーム6,6間にアーム回動機構としての油圧シリンダ11を掛け渡し、シリンダ本体11aの基端部を一方の前側アーム6に、ロッド11bの先端部を他方の前側アーム6に、それぞれ回動自在に取り付けている。同様に、左右の後側アーム7,7間に油圧シリンダ11を掛け渡し、シリンダ本体11aの基端部を一方の後側アーム7に、ロッド11bの先端部を他方の後側アーム7に、それぞれ回動自在に取り付けている。このようにすると、油圧シリンダ11が収縮することによって前記各把持アームが格納位置(実線で示す位置)に回動し、油圧シリンダ11が伸長することによって前記各把持アームが展開位置(仮想線で示す位置)に回動するが、二本の前側アーム6,6の間、及び二本の後側アーム7,7の間でそれぞれ油圧シリンダ11を兼用しているので、二本の前側アーム6,6は同時に動作し、二本の後側アーム7,7も同時に動作する。ただし、前側アーム6,6と、後側アーム7,7とは、互いに独立に動作するようになっている。
また、アーム回動機構11の構成はここに示した油圧シリンダに限定されない。油圧シリンダに代えて電動シリンダを採用しても良いし、ギヤを用いた装置としても良い。その他、前側アーム6や後側アーム7が上記した動作を行うよう構成される限りにおいて、各種の機構を採用し得る。
台車本体5の複数所要箇所、及び、前記各把持アームの先端には、車両1の荷重を支持するキャスタ12が取り付けてある。
連結部材10は、図4に示す如く、リフトフレーム9に設けられ且つ上下方向へ延びるピン10aと、駆動フレーム8に設けられ且つピン10aに嵌装されるブラケット10bとから構成され、リフトフレーム9に備えたリフター4に加わる車両1(図1参照)の荷重を、駆動フレーム8に備えた駆動車輪2に伝えないよう構成してある。尚、ピン10aをリフトフレーム9の代わりに駆動フレーム8に設け、ピン10aに嵌装されるブラケット10bを駆動フレーム8の代わりにリフトフレーム9に設けて連結部材10を構成することも可能である。
前側台車3a、後側台車3bの所要箇所には、前側台車3a又は後側台車3bに対する車両1の位置を検出するための位置センサ13が備えられる。
図2に示した例では、位置センサ13は、把持台車3の側方一箇所に備えた光センサとして構成されており、その取り付け位置はリフター4の前側アーム6と後側アーム7の間である。接近する車輪(前輪1aまたは後輪1b)をこの位置から検出することにより、把持台車3に対する車両1(図1参照)の位置を検出するようになっている。
尚、位置センサ13の構成や配置は、ここで示した例に限定されない。例えば、位置センサ13として光センサの代わりに超音波センサ等を用いても、同様に車両1の位置を検出することができる。また、前側アーム6を回動させる油圧シリンダ11に備えた油圧センサとして位置センサ13を構成し、展開位置にある前側アーム6に前輪1aや後輪1bが接触したことを油圧シリンダ11内の油圧の変化として検知することもできる。アーム回動機構として、油圧シリンダ11の代わりに電動シリンダを採用する場合には、該電動シリンダを駆動するモータの負荷を検出するセンサとして位置センサ13を構成することもできる。また、複数の形式の位置センサ13を組み合わせても良く、例えば、前側台車3aには油圧シリンダ11の油圧センサである位置センサ13を備え、後側台車3bの側面には光センサである位置センサ13を備えるようにしても良い。
必要な位置センサ13の数は、後述する把持台車3の作動手順によって変わり得る。前側台車3aと後側台車3bの両方に位置センサ13が必要な場合もあれば、後側台車3bのみに設置すれば十分な場合もある。また、位置センサ13の設置が不要な場合もある。
あるいは、位置センサ13を把持台車3上に備えるのではなく、例えば図1に示す如く、支持操作区画や周囲の設備側に備え、車両1の位置を周囲から監視するよう構成しても良い。この場合、位置センサ13の構成は光センサや超音波センサとしても良いし、例えば、車両1や把持台車3の映像をカメラ等で撮影し、画像処理により車両1の位置を判別する装置とすることもできる。
位置センサ13は、上記したような種々の構成のものを組み合わせ、あるいは使い分けることにより、把持台車3に対する車両1の位置だけでなく、支持操作区画における車両1の位置も検出するよう構成することができる。いずれにしても、位置センサ13は後述する把持台車3の作動を実行できる構成と配置になっていれば良い。必要とされる位置センサ13の構成や配置については、把持台車3の作動手順とあわせて後段で詳述する。
台車本体5の駆動フレーム8には、駆動車輪2の駆動や油圧シリンダ11の伸縮を制御する駆動制御部14を備えている。駆動制御部14による制御系のブロック図の一例を図5に示す。
駆動制御部14は、駆動車輪2(図1〜図4参照)のモータ2a及びブレーキ2bを介し、駆動車輪2の駆動と制動を行う。これにより、各把持台車3自体の床面に対する動きを制御するようになっている。
把持台車3の所要位置には台車移動センサ15が備えられており、把持台車3の移動速度や移動距離を検出するようになっている。台車移動センサ15は、例えば、駆動車輪2(図1〜図4参照)のモータ2aに取り付けられた回転センサとして構成することができる。尚、位置センサ13の構成や取付位置によっては、この台車移動センサ15の機能は位置センサ13が兼ねるようにすることもできる。
駆動制御部14は、回動制御部11cを介し、前側アーム6及び後側アーム7を構成するアーム回動機構(油圧シリンダ)11(図1〜図4参照)の動作を行う。回動制御部11cは、例えば、油圧回路に油圧モータを備えた油圧配管系統により油圧シリンダ11への圧油の給排を行う油圧ユニット11cとして構成され、油圧により前記把持アームの回動を制御するようになっている。油圧ユニット11cは、上述の如く、前側アーム6の油圧シリンダ11と、後側アーム7の油圧シリンダ11を互いに独立に動かすことができるようになっている。
尚、上記したように、アーム回動機構11として油圧シリンダの代わりに電動シリンダを採用したり、ギヤを介した駆動機構により前記四本の把持アームを駆動することも可能であるが、この場合、回動制御部11cは前記電動シリンダや前記駆動機構と前記バッテリーとを電気配線にて接続した装置として構成される。このように、回動制御部11cは、アーム回動機構11の構成に応じた種々の構成を取り得る。
さらに、アーム回動機構11には、各把持アームの展開位置への回動完了に合わせて展開確認信号16aを発信する展開確認センサ16、各把持アームの格納位置への回動完了に合わせて格納確認信号17aを発信する格納確認センサ17が備えられている。展開確認信号16aや格納確認信号17aは駆動制御部14に入力され、駆動制御部14は、展開確認信号16aや格納確認信号17aの入力に応じてアーム回動機構(油圧シリンダ)11の作動を停止するようになっている。
位置センサ13からは、位置信号13aが駆動制御部14に対して入力されるようになっている。
その他、把持台車3には、油圧ユニット11cの油圧モータ、駆動車輪2のモータ2a等に通電を行う鉛蓄電池等のバッテリー(図示せず)等、把持台車3を構成する機器の動作に必要な各種の装置や機構を備えている。
前後の把持台車3a,3bの外部には、該把持台車3a,3bの動作全体を制御する管制用制御機器18が備えられている。管制用制御機器18は、前後の把持台車3a,3bの駆動制御部14と通信し、前後の把持台車3a,3bを連携させながら各把持台車3a,3bに備えた駆動車輪2やアーム回動機構11の動作を制御するようになっている。管制用制御機器18は、使用者からの搬送許可信号18aの入力を受けて所定の動作を行うように構成しても良い。
次に、上記した車両の搬送装置による車両の搬送方法を説明する。
図6〜図8は上記した把持台車3を用いた車両1の搬送方法の一例(第一参考例)を説明するものである。ここでは、パレットPを備えた立体駐車場等の設備の支持操作区画において、二台の把持台車3により、パレットPの外からパレットP上へ車両1を搬送する場合を例に説明する。尚、パレットPは本発明において必須の構成でなく、パレットPを備えない設備においても上の如き車両の搬送装置を使用し得ることは上述した通りであり、以下に説明する搬送手順はパレットPがなくとも成立する(後の図9〜図11、図12〜図14及び図15〜図17で説明する搬送手順においても同様である)。
車両1を搬送する際には、まず、ステップS1として(図6参照)、図7(a)に示す如く、パレットP上に配置した前側台車3a、後側台車3bの後方に、車両1を位置させる。すなわち、車両1、後側台車3b、前側台車3aの順に配置する。このとき、リフター4は、前側台車3aにおいては前側アーム6が展開位置に回動し、後側アーム7が格納位置に回動した状態であり、後側台車3bにおいては前側アーム6と後側アーム7のいずれもが格納位置に回動した状態である。前側台車3aと後側台車3bは、前側台車3aのリフター4と後側台車3bのリフター4の間隔が車両1のホイールベース以下となるよう配置されている。前側台車3aの駆動車輪2は自由に回転する状態となっており、後側台車3bの駆動車輪2はロックされている。
この状態から、ステップS2として(図6参照)、車両1を前方に位置する二台の把持台車3に向かって進行させていく。図7(b)に示す如く、車両1の前輪1aが後側台車3bに備えたリフター4の側方に到達すると、この位置に備えた位置センサ13により、車両1がこの位置に到達したことが検知される。尚、この位置センサ13としては、例えば光センサや超音波センサを想定している。
図7(c)に示す如く、車両1がさらに前進し、前輪1aが後側台車3bに備えたリフター4の位置を通り過ぎると、通り過ぎたことが位置センサ13によって検知される。
後側台車3bの位置センサ13が車両1の通過を検知したことは、位置信号13aとして後側台車3bの駆動制御部14に入力される(図5参照)。位置信号13aの入力を受けた駆動制御部14は、ステップS3として(図6参照)、後側台車3bの油圧シリンダ11を駆動し、図8(d)に示す如く、前側アーム6を展開位置に回動させる。
ステップS4として(図6参照)、車両1をさらに前進させる。ここでは車両1を、前輪1aが前側台車3aの側方に達し、前側台車3a側方の展開位置にある前側アーム6に当接するまで前進させる。
続けて、ステップS5として(図6参照)、前輪1aが前側台車3aの前側アーム6に当接した状態で、車両1をさらに前進させる。上記したように前側台車3aの駆動車輪2は自由に回転する状態となっているので、前側台車3aは、前輪1aに前側アーム6を押され、車両1の動きに追従して前方に移動する。
車両1の前進を続けると、図8(e)に示す如く、後輪1bが後側台車3bのリフター4の側方に到達し、展開位置にある前側アーム6に当接する。上記したように、後側台車3bの駆動車輪2はロックしており、後側台車3b側方の展開位置にある前側アーム6が車輪止めとして機能するので、車両1は後輪1bの前進を阻まれ、この位置より前方には進まない。またこの時、後輪1bが後側台車3bのリフター4の側方に到達した際に前側台車3aの駆動車輪2をロックし、前側台車3aの前側アーム6が車輪止めとなるようにしても良い。車両1は、この位置で停車させる。
車両1がこの位置に達したことは、後側台車3bの側方に備えた位置センサ13によって検知され、位置信号13aとして後側台車3bの駆動制御部14に入力される(図5参照)。駆動制御部14は、後側台車3bの駆動制御部14への位置信号13aの入力に応じて次のステップS6の動作を行う(図6参照)。あるいはここで、車両1から降りた運転者が管制用制御機器18に搬送許可信号18aを入力し(図5参照)、該搬送許可信号18aの入力に応じて次のステップS6の動作を行うようにしても良い。もしくは、前側台車3aの移動距離を台車移動センサ(回転センサ)15(図5参照)を監視することで検知し、前側台車3aが所定の距離を移動したところでステップS6の動作を行うようにしても良い。
前後の把持台車3a,3bの駆動制御部14は、ステップS6として(図6参照)、油圧シリンダ11を駆動し、図8(f)に示す如く、それぞれの後側アーム7を展開位置に回動させる。両把持台車3a,3bのリフター4はそれぞれ、車両1の前輪1a又は後輪1bを、前側アーム6と後側アーム7の間で前後から挟み付けるように支持しつつリフトアップする。
すなわち、車両1のリフトアップに先立って車両1を前後の把持台車3に対して進入させる際、前側台車3aの後側アーム7は格納位置に回動させて前輪1aの間を通過させつつ、前側アーム6は展開位置に回動させて前輪1aに当接させることで、前輪1aに対して前側台車3aを位置決めするようになっている。同様に、後側台車3bの後側アーム7は格納位置に回動させて後輪1bの間を通過させつつ、前側アーム6は前輪1aが通過したタイミングで展開位置に回動させ、のちに後輪1bと当接させることで、後輪1bに対して後側台車3bを位置決めするようになっている。そして、各把持台車3を車両1に対して位置決めした後、各把持台車3の後側アーム7を展開位置に回動させて車両1をリフトアップするようにしている。
この後、車両1を支持した前後二台の把持台車3ごとパレットPを移動させる。車両1をパレットP上に載せた状態で格納する場合は、把持台車3にリフトアップされた状態の車両1をパレットPに積載したまま、格納先へ移動させれば良い。または、パレットP上に車両1を搬送した後、リフター4の前側アーム6及び後側アーム7を格納位置に回動させ、車両1の前輪1a、後輪1bをリフトアップした状態からパレットP上に降ろす。続いて、二台の把持台車3を車両1下部から引き出し、パレットP上に把持台車3を介さず車両1を直接積載した状態で、パレットPを格納先へ移動させる。
車両1をパレットPで搬送した後、該パレットPの外の格納位置に格納する場合には、把持台車3にリフトアップされた状態の車両1ごとパレットPを移動させた後、車両1をリフトアップしたままの状態で駆動車輪2を駆動して両把持台車3を自走させ、車両1をパレットPの外に搬送する。そして、車両1が搭載された前後二台の把持台車3を搬送すべき所定の位置へ移動させ、リフター4の前側アーム6及び後側アーム7を格納位置に回動させ、車両1の前輪1a、後輪1bをリフトアップした状態から床面上に降ろす。続いて、二台の把持台車3を車両1下部から引き出してパレットP上に戻し、車両1の搬送が完了する。
倉庫式の駐車場等、パレットPによらず車両1を搬送する設備の場合には、前後二台の把持台車3で車両1をリフトアップした後(図8(f)参照)、そのまま各把持台車3を搬送すべき所定の位置へ移動させ、リフター4の前側アーム6及び後側アーム7を格納位置に回動させ、車両1の前輪1a、後輪1bをリフトアップした状態から床面上に降ろす。続いて、二台の把持台車3を車両1下部から引き出して車両1の搬送が完了する。
尚、上述の搬送手順においては、位置センサ13は後側台車3bのリフター4の位置に取り付けられて車輪の位置を検出する光センサ又は超音波センサである場合を想定しているが、これ以外の構成や配置を採用することもできる。例えば、前側台車3aにも同様の位置センサ13を設置して前側台車3aから前輪1aの位置を検出するようにしても良いし、前側台車3aや後側台車3bの前側アーム6を駆動する油圧シリンダ11の油圧(油圧シリンダ11ではなく電動シリンダ等を採用している場合には、該電動シリンダのモータの負荷)を検出する位置センサ13によって、前輪1aや後輪1bの前側アーム6への接触を検出するようにしても良い。また、周囲の設備に備えて車両1の位置を周囲から監視するよう構成した位置センサ13(例えば、図1参照)によって上記搬送手順を実行しても良い。いずれにしても、上記した前側台車3aや後側台車3bの動作を実行できるよう、適切なタイミングで車両1の位置を検出するよう構成されていれば良い。
上述の搬送手順では、床面上の二台の把持台車3に対して車両1が移動し、前輪1aが前側台車3aに接触した後、車両1の移動に追従して前側台車3aが前方に移動することにより、車両1における車輪の位置に合わせた配置で把持台車3が車輪を支持するようになっている。このため、車両1の搬送にあたって車両1のホイールベースやオーバーハングの影響を受けにくくなっている。
すなわち、車両1の搬送や格納にあたって、場合によっては把持台車3上に支持した車両1を一定のスペース内に留め置く必要がある。例えば、パレットPに車両1を積載して搬送する場合には、原則として車両1がパレットPの上からはみ出さないようにしなくてはならないが、ここでパレットP内における車両の搬送装置の位置や、該車両の搬送装置における車輪の支持位置が固定されていると、搬送し得る車両1のホイールベースは前記車両の搬送装置における車輪の支持位置によって固定されてしまう。また、車両1のオーバーハングの範囲も、パレットPの大きさや、該パレットPに対する前記車両の搬送装置の位置によって限定されてしまう。ここで、上に説明した例のように、前輪1a又は後輪1bをそれぞれ支持する前後の把持台車3が互いに独立に作動し、パレットP内における位置や把持台車3同士の位置が自由に動かせるようになっていると、車両1の大きさがパレットP内に収まる範囲内にある限りは、ホイールベースやオーバーハングによらず前後二台の把持台車3によって車両1をパレットP上に適切に積載することができるのである。
特に、本第一参考例の場合、車両1の前進に追従して前輪1aを支持する前側台車3aが前進するようにしているので、フロントオーバーハングが比較的小さく、リアオーバーハングが大きい車両1や、ホイールベースが大きい車両1をパレットP等、一定のスペース内に収容したい場合に有効である。
あるいは、支持操作区画における車両1の位置を検出し得る位置センサ13を設置している場合は(図1参照)、図8(f)に示す如く車両1をリフトアップした後、各把持台車3の駆動制御部14を位置センサ13と連携させて作動させ、車両1がパレットP内に収まるよう前後二台の把持台車3を移動させても良い。
尚、上述の例では、車両1の前方に位置する二台の把持台車3に対して車両1を前進させる場合について説明したが、車両1の後方に位置する把持台車3に対して車両1を後進させるようにしても同様に車両1の搬送を行える(すなわち、図7、図8において、車両1の向きが前後逆となっていても良い)ことは言うまでもない。
図9〜図11は、停車した車両1に対して二台の把持台車3を動かす場合の車両1の搬送方法の別の一例(第二参考例)を説明するものである。上記第一参考例では、停止している二台の把持台車3に対して車両1を進入させる場合について説明しているが、本第二参考例では、これとは逆に、停車した車両1に対して二台の把持台車3を動かし、車両1の下に潜り込ませるようにして車両1をリフトアップし、搬送するようにしている。
本第二参考例の場合、位置センサ13としては、前側台車3aと後側台車3bの両方に車輪(前輪1a、後輪1b)の接近を検知する光センサ又は超音波センサを設置することを想定しているが、位置センサ13の構成や個数は場合に応じて変更し得る。
まず、ステップS11として(図9参照)、図10(a)に示す如く、パレットP上に配置した前側台車3a、後側台車3bの後方に車両1を停車させる。すなわち、車両1、後側台車3b、前側台車3aの順に配置する。このとき、リフター4は、前側台車3aにおいては前側アーム6が展開位置に回動し、後側アーム7が格納位置に回動した状態であり、後側台車3bにおいては前側アーム6と後側アーム7のいずれもが格納位置に回動した状態である。
この状態から、ステップS12として(図9参照)、後方のパレットP外に位置する車両1に向かって二台の把持台車3を走行させる。このステップS12の動作は、例えば、車両1から降りた運転者が搬送許可信号18aを駆動制御部14に入力することによって開始される(図5参照)。
図10(b)に示す如く、後側台車3bが車両1の前輪1aの位置まで移動し、後側台車3bのリフター4が車両1の前輪1aの側方に到達すると、この位置に備えた位置センサ13により、後側台車3bがこの位置に到達したことが検知される。
図10(c)に示す如く、後側台車3bがさらに後方へ進み、後側台車3bに備えたリフター4が前輪1aの側方を通り過ぎると、通り過ぎたことが位置センサ13によって検知される。
前輪1aの側方を通過したことは、位置センサ13から位置信号13aとして後側台車3bの駆動制御部14に入力される(図5参照)。位置信号13aの入力を受けた駆動制御部14は、ステップS13として(図9参照)、後側台車3bの油圧シリンダ11を駆動して、図11(d)に示す如く、前側アーム6を展開位置に回動させる。
ステップS14として(図9参照)、後側台車3bを図11(d)に示した位置からさらに後進させると、後側台車3b側方の展開位置にある前側アーム6が、図11(e)に示す如く後輪1bに当接する。
ステップS15として(図9参照)、後側台車3bの後進と同時に、前側台車3aも後方へ向かって走行させる(図10(b)〜図11(d)参照)。前側台車3aの側方の格納位置にある後側アーム7は前輪1aの間を通過し、その後、展開位置にある前側アーム6が、図11(e)に示す如く前輪1aに当接する。
尚、本第二参考例において、ステップS12〜S14の後側台車3bの動作と、ステップS12、S15の前側台車3aの動作とは、同時に行っても良いし、部分的に前後しても良い。例えば、後側台車3bの前側アーム6が後輪1bに当接してから前側台車3aの後進を開始しても良いし、前側台車3aを後進させながら後側台車3bも後進させ、前側台車3aの前側アーム6が前輪1aに当接してから、後側台車3bの前側アーム6が後輪1bに当接するようにしても良い。
後側台車3bの前側アーム6が後輪1bと当接する位置まで後側台車3bが到達したことは、後側台車3bの側方に備えた位置センサ13によって検知され、位置信号13aとして後側台車3bの駆動制御部14に入力される(図5参照)。また、前側台車3aの前側アーム6が前輪1aと当接する位置まで前側台車3aが到達したことは、前側台車3aの側方に備えた位置センサ13によって検知され、位置信号13aとして前側台車3aの駆動制御部14に入力される。またこの時、前後の把持台車3の移動距離を回転センサ15(図5参照)を監視することで検知し、前側台車3a又は後側台車3bが所定の距離を移動したところで、前側台車3a又は後側台車3bの前側アーム6が前輪1a又は後輪1bに当接したと判断するようにしても良い。
位置信号13aの入力を受けた両把持台車3a,3bの駆動制御部14は、ステップS16として、それぞれ油圧シリンダ11を駆動し、図11(f)に示す如く、後側アーム7を展開位置に回動させる。両把持台車3a,3bのリフター4はそれぞれ、車両1の前輪1a及び後輪1bを、前側アーム6と後側アーム7の間で前後から挟み付けるように支持しつつリフトアップする。
すなわち、車両1のリフトアップに先立って車両1に対し前後の把持台車3を進入させる際、前側台車3aの後側アーム7は格納位置に回動させて前輪1aの間を通過させつつ、前側アーム6は展開位置に回動させて前輪1aに当接させることで、前輪1aに対して前側台車3aを位置決めするようになっている。同様に、後側台車3bの後側アーム7は格納位置に回動させて後輪1bの間を通過させつつ、前側アーム6は前輪1aを通過したタイミングで展開位置に回動させ、のちに後輪1bと当接させることで、後輪1bに対して後側台車3bを位置決めするようになっている。そして、各把持台車3を車両1に対して位置決めした後、各把持台車3の後側アーム7を展開位置に回動させて車両1をリフトアップするようにしている。
そして、車両1の車輪(前輪1a、後輪1b)を前後の把持台車3のリフター4でリフトアップした状態で、駆動車輪2を駆動して両把持台車3を自走させ、車両1をパレットP上に搬送する。
このとき、支持操作区画における車両1の位置を検出し得る位置センサ13を設置しておけば(図1参照)、図11(f)に示した状態から各把持台車3を動かしてパレットP上に車両1を載せる際、各把持台車3の駆動制御部14を位置センサ13と連携させて作動させ、車両1がパレットP内に収まるような位置に前後二台の把持台車3を移動させることもできる。
この後の搬送手順については、上記第一参考例と同様であるため省略する。
尚、上述の例では、二台の把持台車3を車両1の前方から進入させる場合について説明したが、把持台車3を車両1の後方から進入させても同様に車両1の搬送を行えることは言うまでもない。すなわち、図10、図11においても、車両1の向きは前後逆となっていても良い。
図12〜図14は、車両1の搬送方法の一例(第一実施例)を説明するものである。上記第一参考例では、把持台車3に対して車両1を動かし、上記第二参考例では、車両1に対して把持台車3を動かすようにしているが、本第一実施例では、上記第一、第二参考例の搬送方法を適宜組み合わせるようにして車両1の搬送を行うようにしている。
位置センサ13としては、上記第二参考例と同様、前側台車3aと後側台車3bの両方に車輪(前輪1a、後輪1b)の接近を検知する光センサ又は超音波センサを設置することを想定しているが、位置センサ13の構成や個数はここでも場合に応じて適宜変更し得る。
まず、ステップS21として(図12参照)、図13(a)に示す如く、パレットP上に配置した前側台車3a、後側台車3bの後方に車両1を位置させる。すなわち、車両1、後側台車3b、前側台車3aの順に配置する。このとき、リフター4は、前側台車3aにおいては前側アーム6が展開位置に回動し、後側アーム7が格納位置に回動した状態であり、後側台車3bにおいては前側アーム6と後側アーム7のいずれもが格納位置に回動した状態である。前側台車3aと後側台車3bは、前側台車3aのリフター4と後側台車3bのリフター4の間隔が車両1のホイールベース以下となるように配置されている。二台の把持台車3に備えた駆動車輪2のうち、前側台車3aの駆動車輪2はロックされている。
この状態から、ステップS22として(図12参照)、車両1を前方に位置する二台の把持台車3に向かって進行させていく。図13(b)に示す如く、車両1の前輪1aが後側台車3bに備えたリフター4の側方に到達すると、この位置に備えた位置センサ13により、車両1がこの位置に到達したことが検知される。
図13(c)に示す如く、車両1がさらに前進し、前輪1aが後側台車3bに備えたリフター4の位置を通り過ぎると、通り過ぎたことが位置センサ13によって検知される。
後側台車3bの位置センサ13が車両1の通過を検知したことは、位置信号13aとして後側台車3bの駆動制御部14に入力される(図5参照)。位置信号13aの入力を受けた駆動制御部14は、ステップS23として(図12参照)、後側台車3bの油圧シリンダ11を駆動し、図14(d)に示す如く、前側アーム6を展開位置に回動させる。
ステップS24として(図12参照)、車両1を図14(d)に示した位置からさらに前進させる。ここでは車両1を、前輪1aが前側台車3aの側方に達し、前側台車3a側方の展開位置にある前側アーム6に当接するまで前進させる。ここで、上記したように、前側台車3aの駆動車輪2はロックしており、前側台車3a側方の展開位置にある前側アーム6が車輪止めとして機能するので、車両1は前輪1aの前進を阻まれ、この位置より前方には進まない。車両1は、この位置で停車させる。
前輪1aが前側台車3aの側方に達したことは、前側台車3aの側方に備えた位置センサ13によって検知され、位置信号13aとして後側台車3bの駆動制御部14に入力される(図5参照)。
駆動制御部14が位置信号13aの入力を受けた時点で、後側台車3bの側方に後輪1bが位置していない場合、後側台車3bの側方に備えた位置センサ13がこれを検知する。駆動制御部14は、位置信号13aの入力に応じて次のステップS25又はステップS26の動作を行う(図12参照)。あるいはここで、車両1から降りた運転者が管制用制御機器18に搬送許可信号18aを入力し(図5参照)、該搬送許可信号18aの入力に応じて次のステップS25又はステップS26の動作を行うようにしても良い。
尚、本第一実施例において、ステップS23とステップS24は順序を入れ替えることもできる(図5参照)。すなわち、車両1を、前輪1aが前側台車3aの前側アーム6に当接するまで前進させ、停車させてから(ステップS24)、後側台車3bの油圧シリンダ11を駆動し、前側アーム6を展開位置に回動させる(ステップS23)こともできる(この場合に相当する搬送手順は、第二実施例として後に詳述する)。
位置信号13a、又は搬送許可信号18aの入力を受けた時点で、後側台車3bの側方に後輪1bが位置していない場合、ステップS25として(図12参照)、後側台車3bの駆動車輪2を作動させて後側台車3bを後進させる。そして、図14(e)に示す如く、後側台車3bの前側アーム6が後輪1bに当接したところでこれを後側台車3bの位置センサ13により検出し、後側台車3bを停止させる。あるいは、後側台車3bの移動距離を回転センサ15(図5参照)を監視することで検知し、後側台車3bが所定の距離を移動したところで後側台車3bの前側アーム6が後輪1bに当接したと判断するようにしても良い。
車両1に対して二台の把持台車3がこの位置に達したことは、両把持台車3の側方に備えた位置センサ13によって検知され、位置信号13aとして駆動制御部14に入力される。位置信号13aの入力を受けた両駆動制御部14は、ステップS26として、両把持台車3a,3bの油圧シリンダ11を駆動して、図14(f)に示す如く、それぞれの後側アーム7を展開位置に回動させる。両把持台車3a,3bのリフター4はそれぞれ、車両1の前輪1a及び後輪1bを、前側アーム6と後側アーム7の間で前後から挟み付けるように支持しつつリフトアップする。
すなわち、車両1のリフトアップに先立って車両1を前後の把持台車3に対して進入させる際、前側台車3aの後側アーム7は格納位置に回動させて前輪1aの間を通過させつつ、前側アーム6は展開位置に回動させて前輪1aに当接させることで、前輪1aに対して前側台車3aを位置決めするようになっている。同様に、後側台車3bの後側アーム7は格納位置に回動させて後輪1bの間を通過させつつ、前側アーム6は前輪1aが通過したタイミングで展開位置に回動させ、のちに後側台車3bの後進に伴って後輪1bと当接させることで、後輪1bに対して後側台車3bを位置決めするようになっている。そして、各把持台車3を車両1に対して位置決めした後、各把持台車3の後側アーム7を展開位置に回動させて車両1をリフトアップするようにしている。
この後の搬送手順については、上記第一、第二参考例と同様であるため省略する。
本第一実施例の場合、車両1を前側台車3aの位置に合わせて停止させた後、後側台車3bを後輪1bの位置まで後進させるようにしているので、ホイールベースが大きい車両1をパレットP等、一定のスペース内に収容したい場合に有効である。
また、支持操作区画における車両1の位置を検出し得る位置センサ13を設置しておき(図1参照)、図14(f)に示す如く車両1をリフトアップした後、各把持台車3の駆動制御部14を位置センサ13と連携させて作動させ、車両1がパレットP内に収まるよう前後二台の把持台車3を移動させても良い。
尚、本第一実施例においても、車両1の向きを前後逆としても良い。
図15〜図17は、車両1の搬送方法の別の一例(第二実施例)を説明するものである。本第二実施例は、上記第一実施例のステップS23とS24を入れ替えた変形例と言えるもので、運転者から入力される搬送許可信号18aによって車両1の搬送を実行するようにしている。本第二実施例によれば、位置センサ13(図1参照)を必ずしも必要としないが、場合によっては適宜備えるようにしても良い。
まず、ステップS31として(図15参照)、図16(a)に示す如く、パレットP上に配置した前側台車3a、後側台車3bの後方に車両1を位置させる。すなわち、車両1、後側台車3b、前側台車3aの順に配置する。このとき、リフター4は、前側台車3aにおいては前側アーム6が展開位置に回動し、後側アーム7が格納位置に回動した状態であり、後側台車3bにおいては前側アーム6と後側アーム7のいずれもが格納位置に回動した状態である。前側台車3aと後側台車3bは、前側台車3aのリフター4と後側台車3bのリフター4の間隔が車両1のホイールベース以下となるように配置されている。二台の把持台車3に備えた駆動車輪2のうち、前側台車3aの駆動車輪2はロックされている。
この状態から、ステップS32として(図15参照)、車両1を前方に位置する二台の把持台車3に向かって前進させていく。図16(b)に示す如く、前輪1aが前側台車3aの側方に達し、前側台車3a側方の展開位置にある前側アーム6に当接するまで車両1を前進させる。
ここで、上記したように、前側台車3aの駆動車輪2はロックしており、前側台車3a側方の展開位置にある前側アーム6が車輪止めとして機能するので、車両1は前輪1aの前進を阻まれ、この位置より前方には進まない。ステップS33として(図15参照)、車両1をこの位置で停車させる。
次に、ステップS34として(図15参照)、車両1から降りた運転者が管制用制御機器18に搬送許可信号18aを入力する。管制用制御機器18は、搬送許可信号18aの入力に応じ、後側台車3bの駆動制御部14を介して油圧シリンダ11を駆動し、図16(c)に示す如く、前側アーム6を展開位置に回動させる。
さらに、ステップS35として、後側台車3bの駆動車輪2を作動させて後側台車3bを後進させる。そして、図17(d)に示す如く、後側台車3bのリフター4が後輪1bの位置に到達したところで後側台車3bを停止させる。ここで、後側台車3bを適切なタイミングで停止させることが必要になるが、本第二実施例の場合、運転者が目視で後側台車3bの前側アーム6と後輪1bとの接触を確認し、管制用制御機器18を操作して後側台車3bを停止させるようにすることができる。この場合、搬送装置に位置センサ13を備える必要はない。
すなわち、後側台車3bの前側アーム6を展開位置に回動させるステップS34と、後側台車3bの前側アーム6を後輪1bに当接させるステップS35を、前輪1aを前側台車3aの前側アーム6に当接させて車両1を停車させるステップS32、S33の後に行っているので、位置センサによらず、車両を降りた運転者の操作によりステップS34とS35を実行することができるのである。
勿論、本第二実施例においても、位置センサによってステップS34やS35を実行することは可能である。例えば、後側台車3bに、前側アーム6の油圧シリンダ11の油圧センサとしての位置センサ13を備え、後側台車3bの前側アーム6の展開は運転者による管制用制御機器18の操作によって行い、その後、後輪1bと前側アーム6の接触を油圧シリンダ11内の油圧の変化として検知し、これによって後側台車3bを停止するようにすることができる。もしくは、後側台車3bの移動距離を回転センサ15(図5参照)を監視することで検知し、後側台車3bが所定の距離を移動したところで前側アーム6を展開位置に回動させ、さらに所定の距離を移動したところで後側台車3bの前側アーム6が後輪1bに当接したと判断するようにすることもできる。
後側台車3bを停止させたら、ステップS36として、両把持台車3a,3bの油圧シリンダ11を駆動して、図17(e)に示す如く、それぞれの後側アーム7を展開位置に回動させる。両把持台車3a,3bのリフター4はそれぞれ、車両1の前輪1a及び後輪1bを、前側アーム6と後側アーム7の間で前後から挟み付けるように支持しつつリフトアップする。
この後の搬送手順については、上記第一実施例と同様であるため省略する。
本第二実施例の場合、車両1を前側台車3aの位置に合わせて停止させた後、後側台車3bを後輪1bの位置まで後進させるようにしているので、ホイールベースが大きい車両1をパレットP等、一定のスペース内に収容したい場合に有効である。また、運転者の目視により後側台車3bの操作を行うことにより、位置センサ13(図5参照)を省略した構成とすることもできる。
また、支持操作区画における車両1の位置を検出し得る位置センサ13を設置しておき(図1参照)、図17(e)に示す如く車両1をリフトアップした後、各把持台車3の駆動制御部14を位置センサ13と連携させて作動させ、車両1がパレットP内に収まるよう前後二台の把持台車3を移動させても良い。
尚、本第二実施例においても、車両1の向きを前後逆としても良い。
このように、上記第一、第二実施例においては、特許文献2に開示されている車両の搬送装置とは異なり、車両の搬送装置を互いに独立に動作する前後二台の把持台車3で構成し、車両1の前輪1a、後輪1bを前後の把持台車3でリフトアップする方式を採用しているため、ホイールベースの異なる車両1の搬送にも対応可能となり、オーバーハングの大きい車両1の搬送にも対応しやすくなっている。
また、上記第一、第二実施例では、特許文献3に開示されている車両の搬送装置とは異なり、互いに独立に動作する前後二台の把持台車3で構成している上、リフター4を構成する前後の把持アーム(前側アーム6と後側アーム7)が互いに独立して作動させるので、前記把持アームの一方を格納位置に回動させて車両1の車輪(前輪1a、後輪1b)の間を通過可能にしつつ、前記把持アームの他方を展開位置に回動させて車両1の車輪(前輪1a、後輪1b)との間で位置決めを行うことができ、車両1と把持台車3との間の位置決めが簡単である。
さらに、第一実施例では、車両1の搬送にあたり、前後の把持台車3に備えた前側アーム6を停車位置の目印とすることができ、また、車輪止めとしても利用するようになっているので、運転者にとって車両1の運転操作を行いやすい。
こうして、車両1のホイールベースやオーバーハングによる制約を受けにくくして幅広い車種の車両搬送に対応し得、且つ車両搬送にあたって車両との位置合わせを簡便に行い得る。
尚、本発明の車両の搬送方法は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。