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JP6674398B2 - 電力変換装置および制御線の配線構造 - Google Patents

電力変換装置および制御線の配線構造 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、電力変換装置および制御線の配線構造に関する。
各種用途のインバータ装置等の電力変換装置は、高効率および高信頼性であるとともに、より小形であることが期待されている。これらを実現するため、電力変換装置のキー部品であるパワー半導体素子を効率良く使用する必要がある。
電力変換装置の出力容量が大きい場合には、パワー半導体素子は、直列もしくは並列接続で使用されることがある。並列接続されたパワー半導体素子間の電流分担が不均等になる場合には、最も分担の大きい素子の通電条件を基準にして、装置を設計することとなる。そのため、他の素子は通電能力に対して過剰なマージンを持たせて使用することになり、電力変換装置の大きさやコスト等が必要以上に増大する。そのため、パワー半導体素子が並列接続で使用される場合には、並列接続されたパワー半導体素子間の電流分担はできる限り均等であることが望ましい。
並列電流分担の均等化について、素子導通(オン)時には、オン電圧等の素子の特性差を小さくする必要がある。また、スイッチング時の電流分担均等化には、たとえば、ゲート駆動信号の供給を担う配線の寄生インダクタンス値を均等にする必要がある。並列接続された素子に対するそれぞれの配線の寄生インダクタンス値を均等にすることによって、パワー半導体素子を駆動する波形をほぼ同一にすることができる。そのため、それぞれのパワー半導体素子は、ほぼ同時にスイッチングすることができ、過渡的な電流分担も均等にすることができる。
パワー半導体素子の配置や配線の引き回しを工夫することによって、配線の寄生インダクタンス値を均等にする場合が多い。しかしながら、素子の配置や配線の引き回し等は、熱設計や他の部品の配置等の別の要因によって制約されることも多い。
特開2015−198545号公報
実施形態の目的は、並列接続されたパワー半導体素子の電流が均等に分担された電力変換装置および制御線の配線構造を提供することである。
実施形態に係る電力変換装置は、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子に並列に接続された第2スイッチング素子と、第1方向に延伸し、前記第1スイッチング素子の第1制御端子に接続された第1制御線と、前記第1方向に延伸し、前記第1スイッチング素子への制御信号のリターンのための第1リターン線と、前記第1制御線と前記第1リターン線との間に設けられた第1絶縁板と、前記第1制御線に平行して前記第1方向に延伸し、前記第1絶縁板上に設けられ、前記第2スイッチング素子の制御端子である第2制御端子に接続された第2制御線と、を備える。前記第1制御線は、前記第1方向の長さである第1長さと、前記第1方向と交差する第2方向に沿った第1断面積と、を有する。前記第2制御線は、前記第1方向の長さである第2長さと、前記第2方向に沿った第2断面積と、を有する。前記第1長さが前記第2長さよりも長い場合には、前記第1断面積は、前記第2断面積よりも大きい。
図1(a)は、第1の実施形態に係る電力変換装置を例示するブロック図である。図1(b)は、図1(a)の一部を例示するブロック図である。 第1の実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。 図3(a)は、第1の実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図3(b)は、図3(a)の分解組立図である。 図4(a)は、比較例の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図4(b)は、図4(a)の分解組立図である。 図5(a)は、第2の実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図5(b)は、図5(a)の分解組立図である。 図6(a)は、第3の実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図6(b)は、図6(a)の分解組立図である。 図6(a)のAA線における矢視断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)は、本実施形態に係る電力変換装置を例示するブロック図である。図1(b)は、図1(a)の一部を例示するブロック図である。
図2は、本実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る電力変換装置10は、電力変換器20と、制御装置50と、を備える。電力変換装置10は、交流端子21a,21b,21cを介して交流系統1に連系される。この例のように、交流系統1と電力変換装置10との間に変圧器2を設けてもよい。電力変換装置10は、直流端子21d,21eを介して直流系統3に連系される。たとえば、電力変換装置10は、交流系統1と直流系統3との間を相互に電力変換する。あるいは、電力変換装置10は、交流系統1から直流系統3に電力変換する。電力変換装置10は、直流系統3から交流系統1への電力変換をするようにしてもよい。
交流系統1は、たとえば三相または単相の50Hzもしくは60Hzの電源、負荷および交流送電線を含む。直流系統3は、直流電力を供給する電力系統であり、直流送電線等を含む。交流系統1は、上述に限らず、三相または単相の商用電源であってもよいし、風力発電機のような交流発電による交流電力であってもよい。また、直流側については、上述に限らず、その他の直流負荷でもよいし、蓄電池等の直流電源であってもよい。
以下では、上述のような交流電力と直流電力との間で電力変換する交直電力変換装置について説明するが、以下のすべての実施形態は、交直電力変換装置に限らず、交流−交流間の電力変換を行う装置や、直流−直流間の電力変換を行う装置等にも適応することができる。
電力変換器20は、この例では三相2レベルインバータ回路22を含む。電力変換器20は、自己消弧型のスイッチングデバイスによる電力変換回路を含んでいればよく、三相2レベルインバータ回路に限らず、他の回路形式を含んでいてもよい。自己消弧型のスイッチングデバイスは、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等である。
三相2レベルインバータ回路22は、スイッチングデバイスとしてパワーモジュール30を含む。パワーモジュール30は、ゲート駆動回路24によって生成された駆動信号によってオンオフする。
ゲート駆動回路24は、制御装置50によって生成されたゲート信号にもとづいて、パワーモジュール30を駆動する。制御装置50は、電力変換器20に入出力される直流電圧や交流電流等を検出して、これらにもとづいて、電力変換器20が所望の交流電力や直流電力を出力等できるように電力変換器20を制御する。ゲート駆動回路24は、たとえばパワーモジュール30とは異なる場所に設置された制御基板上に設けられる。
図1(b)に示すように、パワーモジュール30は、2以上のスイッチング素子32を含む。これら2以上のスイッチング素子32は、所望の電流容量を確保するため、それぞれの主端子によって並列接続されている。パワーモジュール30は、高電位側の主端子(たとえばコレクタ端子)31aと、低電位側の主端子(たとえばエミッタ端子)31bとを含む。各スイッチング素子32の制御端子31cは、外部回路によって接続できるように、スイッチング素子32ごとに設けられている。
パワーモジュール30には、ゲート駆動信号のリターン用に制御リターン端子31dがスイッチング素子32a,32bごとに設けられている。好ましくは、制御リターン端子31dは、各制御端子31cに近接するように設けられている。
図2にも示すように、この例では、パワーモジュール30は、2つのスイッチング素子32a,32bを含んでいる。各スイッチング素子32は、絶縁性のパッケージに封入されており、外部の露出された端子によって並列に接続される。
ゲート駆動回路24は、パワーモジュール30から離隔して設けられている。ゲート駆動回路24と、パワーモジュール30の制御端子31cとの間ではゲート配線33によって電気的に接続されている。ゲート駆動回路24とパワーモジュール30の制御リターン端子31dとの間では、リターン配線34によって電気的に接続されている。以下では、ゲート配線33およびリターン配線34を含めて、ゲート配線構造35ということがある。後述するように、ゲート配線構造35には、ゲート配線33やリターン配線34を設けるために絶縁性の基板が用いられる。
図2に示すように、スイッチング素子32aは、ゲート駆動回路24により近い位置に配置され、スイッチング素子32bは、ゲート駆動回路24からより離れた位置に配置されている。つまり、スイッチング素子32aとゲート駆動回路24との間のゲート配線構造の長さは、スイッチング素子32bとゲート駆動回路24とのゲート配線構造の長さよりも短い。
絶縁基板上の配線パターンは、均一な厚さで形成されているので、配線パターンの寄生インダクタンスは、配線パターンの長さに応じて変化する。たとえば、寄生インダクタンスのうち自己インダクタンスは、配線パターンが長いほど大きな値となる。配線パターンの寄生インダクタンスは、配線パターンの断面積や形状に応じて変化する。たとえば、自己インダクタンスは、配線構造の断面積が大きいほど小さくなる。また、配線パターンの形状が扁平である場合の方が、同一の断面積であっても自己インダクタンスをより小さくすることができる。
寄生インダクタンスには、他の配線パターンの磁束によって生成される相互インダクタンスも存在する。たとえば、逆方向に電流が流れる配線パターンを近接させた場合には、負の相互インダクタンスを発生し、自己インダクタンスを含めたトータルの寄生インダクタンスの値を低下させる。相互インダクタンスの絶対値は、配線パターン間の材質が一様である場合には、配線パターン間の距離が短いほど大きくなる。
本実施形態の電力変換装置10では、配線パターンの長さに応じて、ゲート配線33およびリターン配線34の自己インダクタンスおよび相互インダクタンスを調整する。これによって、トータルの寄生インダクタンスの値を並列接続されたスイッチング素子32a,32bごとにほぼ等しくする。各スイッチング素子32a,32bのゲート配線構造35の寄生インダクタンスをそれぞれほぼ等しくすることによって、並列に接続された各スイッチング素子32のスイッチング速度をほぼ一致させることができる。並列動作においてスイッチング速度をほぼ一致させることによって、特定のスイッチング素子32へのストレスを低減し、電力変換装置10の安全な動作を実現する。
図3(a)は、第1の実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図3(b)は、図3(a)の分解組立図である。
図3(a)および図3(b)に示すように、ゲート配線ユニット40は、絶縁板41a,41b,41cと、ゲートパターン42a,42bと、エミッタパターン43a,43bと、を備える。絶縁板41a,41b,41c、ゲートパターン42a,42bおよびエミッタパターン43a,43bは、積層されて、ゲート配線構造をなしている。ゲート配線ユニット40は、ゲートパターン42b、絶縁板41b、エミッタパターン43b、絶縁板41c、エミッタパターン43a、絶縁板41aおよびゲートパターン42aの順に積層されている。以下の説明では、X軸をゲート配線ユニット40が延伸する方向とし、X軸に直交するY軸をゲート配線ユニット40の幅方向とし、Z軸をゲート配線ユニットの厚さ方向(各層の積層方向)とする。なお、ゲートパターンは、上述のゲート配線33に対応し、エミッタパターンは、上述のリターン配線34に対応する。
絶縁板41a,41b,41cは、X軸方向に延伸して設けられている。絶縁板41a,41b,41cは、X軸方向に長手(長さ)方向、Y軸方向を短手(幅)方向とするほぼ長方形の板である。絶縁板41b,41cは、ほぼ同じ長さを有する。絶縁板41aの長さは、絶縁板41b,41cの長さよりも短い。絶縁板41aの長さは、たとえば絶縁板41b,41cの長さのほぼ1/2である。
絶縁板41aの一方の面には、X軸方向に沿ってゲートパターン42aが直線状に形成されている。ゲートパターン42aは、絶縁板41aと同程度の長さを有する。絶縁板41aの他方の面には、X軸方向に沿ってエミッタパターン43aが直線状に形成されている。エミッタパターン43aは、ゲートパターン42aとほぼ同じ長さを有する。
ゲートパターン42aおよびエミッタパターン43aは、絶縁板41aを介して対向するように設けられている。ゲートパターン42aおよびエミッタパターン43aは、絶縁板41aによって電気的に絶縁されているが、ゲートパターン42aおよびエミッタパターン43aにそれぞれ流れる電流で生じる磁束によって磁気的に結合する。
絶縁板41bの一方の面には、X軸方向に沿ってゲートパターン42bが直線状に形成されている。ゲートパターン42bは、絶縁板41bとほぼ同じ長さを有する。絶縁板41bの他方の面には、X軸方向に沿ってエミッタパターン43bが直線状に形成されている。エミッタパターン43bは、絶縁板41bおよびゲートパターン42bとほぼ同じ長さを有する。
ゲートパターン42bおよびエミッタパターン43bは、絶縁板41bを介して対向するように設けられている。ゲートパターン42bおよびエミッタパターン43bは、絶縁板41bによって電気的に絶縁されているが、ゲートパターン42bおよびエミッタパターン43bにそれぞれ流れる電流で生じる磁束によって磁気的に結合する。
ゲートパターン42a、絶縁板41aおよびエミッタパターン43aは、1つのゲート配線構造35aを形成する。このゲート配線構造35aは、ゲート駆動回路24からより近い位置にあるスイッチング素子32aのゲート端子およびゲートリターン(エミッタ)端子を、ゲート駆動回路24に電気的に接続する。
ゲートパターン42b、絶縁板41bおよびエミッタパターン43bは、他の1つのゲート配線構造35bを形成する。このゲート配線構造35bは、ゲート駆動回路24からより離れた位置にあるスイッチング素子32bのゲート端子およびゲートリターン(エミッタ)端子を、ゲート駆動回路24に電気的に接続する。
ゲートパターン42a,42bおよびエミッタパターン43a,43bは、ほぼ同じ厚さを有する。絶縁板41a,41bは、いずれも同じ厚さを有する。絶縁板41cは、任意の厚さでよく、たとえば絶縁板41a,41bと同じ厚さを有する。
長さが短い方のゲートパターン42aの幅は、長さが長い方のゲートパターン42bの幅よりも狭く設定されている。長さが短い方のゲートパターン42aの幅は、たとえば長さが長い方のゲートパターン42bの幅のほぼ1/2に設定される。
ゲート配線構造35aは、絶縁板41cの一方の面に設けられている。ゲート配線構造35bは、絶縁板41cの他方の面に設けられている。たとえばこの例では、ゲート配線構造35a,35bは、絶縁板41cを介して対向するように設けられている。
ゲートパターン42a,42bおよびエミッタパターン43a,43bのそれぞれの一端は、ゲート駆動回路24に接続されており、この端部ほぼ同じ位置にある。
ゲートパターン42aおよびエミッタパターン43aの他端は、ゲート駆動回路24により近い位置のスイッチング素子32の制御端子等に接続されている。
ゲートパターン42bおよびエミッタパターン43bの他端は、ゲート駆動回路24からより離れた位置のスイッチング素子32の制御端子等に接続されている。
つまり、パワーモジュール30は、X軸方向に沿って、スイッチング素子32a,32bを配置しており、ゲート駆動回路24と2つのスイッチング素子32a,32bとの間の距離はそれぞれ異なる。そのため、ゲート配線の長さも相違し、同じ配線幅で接続した場合には、寄生インダクタンスの相違から、駆動波形に相違が生じ、並列に接続されたスイッチング素子32a,32bのスイッチング速度が異なるおそれがある。並列動作させているスイッチング素子32のスイッチング速度が異なる場合には、たとえば一方のスイッチング素子に過大な電流が流れ、不具合に至るおそれがある。そのような不具合とならないためには、大きな電流が流れる方のスイッチング素子の電流容量にすべてのスイッチング素子の電流容量を合わせて設定する必要がある。
本実施形態の電力変換装置10では、ゲート駆動回路24とスイッチング素子32との間の距離に応じて、ゲート配線構造35a,35bにおける寄生インダクタンスの値がほぼ等しくなるように、パターンの長さおよび幅が設定されている。
上述したように、ゲート駆動回路24により近い位置に設けられたスイッチング素子32aを駆動するためにゲート配線構造35aは、ゲートパターン42aおよびエミッタパターン43aの幅をそれぞれより狭くなるように設定されている。具体的には、ゲート駆動回路24からより離れた位置に設けられたスイッチング素子32に接続されたゲートパターン42bおよびエミッタパターン43bの幅のほぼ1/2に設定されている。
配線の寄生インダクタンスのうち自己インダクタンス分を小さくするには、配線の断面を扁平な形状とすることが好ましい。断面の形状が扁平であるとは、幅が広くかつ厚さが小さい、配線パターンとすることである。
また、通電の向きが互いに逆向きとなる二本の配線について、電気絶縁を維持しつつ、互いに近接して配置させることで、磁束の打消し効果による負の相互インダクタンスを発生させている。負の相互インダクタンスは、自己インダクタンスの一部を相殺する効果があると考えることができる。
本実施形態の電力変換装置10では、幅広で薄い断面形状の二本の導体を、薄い絶縁板を介して積層することによって、相互インダクタンスを含むトータルの寄生インダクタンスを効果的に小さくする。そして、長さに応じて、配線の幅を調整することによって、自己インダクタンスをほぼ同じにして、並列に接続されたスイッチング素子の制御端子に印加される駆動波形をそろえて、スイッチング素子のスイッチング速度をほぼ等しくする。その結果、電流が均等に分担されるので、パワーモジュール30を安全に動作させることができる。また、スイッチング素子32を容易に並列接続することができるので、安全性を維持しつつ、装置の大電流化や大電力化を実現することができる。
本実施形態の電力変換装置10の効果について、比較例の電力変換装置と比較しつつ説明する。
図4(a)は、比較例の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図4(b)は、図4(a)の分解組立図である。
図4(a)および図4(b)には、比較例のゲート配線ユニット140が示されている。ゲート配線ユニット140は、上述した実施形態の場合と、短い方のゲートパターンの幅が相違する。比較例のゲート配線ユニット140では、ゲートパターン142とエミッタパターン143とを有し、ゲートパターン142とエミッタパターン143との間に絶縁板141が設けられている。ゲートパターン142およびエミッタパターン143は、スイッチング素子の位置にかかわらず共通である。ゲート配線ユニット140は、ゲートパターン142およびエミッタパターン143の途中に、より距離が近い方のスイッチング素子に接続するための接続部を有している。したがって、ゲートパターン142およびエミッタパターン143の幅はスイッチング素子の位置にかかわらずほぼ等しく設定されている。
以下では、ゲートパターンおよびエミッタパターンの長さは、199mmの場合で、近い方のスイッチング素子とゲート駆動回路との距離は、105mmとしたときのトータルの寄生インダクタンスを計算(シミュレーション)によって求めた値である。ゲートパターンおよびエミッタパターンの幅は、各々10mm、ゲートパターンおよびエミッタパターンの厚さは、各々0.1mm、絶縁板の厚さは0.5mmにそれぞれ設定されている。
短い方のゲート配線構造の場合:8.4nH
長い方のゲート配線構造の場合:14.0nH
本実施形態のゲート配線ユニット40の場合に、短い方のゲート配線構造35aのゲートパターンおよびエミッタパターンの幅を、長い方のゲート配線構造35bのゲートパターンおよびエミッタパターンの幅の1/2、すなわち5mmにしたときには以下のようになる。なお、長さが短い方のゲートパターン42aおよびエミッタパターンの長さは、105mmに設定し、長さが長い方のゲートパターン42bおよびエミッタパターンの長さは、199mmである。ゲートパターン42a,42bおよびエミッタパターン43a,43bの厚さならびに絶縁板の厚さは、比較例の場合と同一である。
短い方のゲート配線構造の場合:13.9nH
長い方のゲート配線構造の場合:13.8nH
このように、本実施形態の電力変換装置10では、配線パターンの長さに応じて、配線パターンの幅を設定するので、ゲート駆動回路24からの距離によらず、寄生インダクタンスの値をほぼ等しくすることができる。そのため、並列駆動するスイッチング素子32のゲート駆動波形をそろえることができ、スイッチング素子32で分担する電流をほぼ均等にすることができる。
本実施形態の電力変換装置10では、ゲートパターンおよびエミッタパターンは、絶縁板をはさんで対向配置されている。そのため、相互インダクタンスによってトータルの寄生インダクタンス値の増大を抑制することができ、並列接続されたスイッチング素子32を高速にスイッチングさせることができる。スイッチング素子32のスイッチング損失の増大を抑制することができるので、スイッチング素子32の温度上昇を抑えることができ、したがってパワーモジュール30を安全に利用することができる。
上述の例では、ゲート配線ユニット40は、たとえば多層配線を有する積層基板を用いることによって実現することができる。多層配線の積層基板を用いることによって、配線スペースを削減して、装置の小型化に貢献することができる。
多層基板のようなプリント基板等を用いてゲート配線ユニット40を実現する場合には、製造上の便宜のために、上述のように、ゲートパターンおよびエミッタパターンの厚さを一定とすることが好ましい。また、厚さを一定とし幅を広くする扁平形状とすることによって、自己インダクタンス値を抑制することもできる。なお、ゲートパターンおよびエミッタパターンの厚さを調整して寄生インダクタンスの値を調整するようにしてももちろんかまわない。
(第2の実施形態)
図5(a)は、第2の実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図5(b)は、図5(a)の分解組立図である。
図5(a)および図5(b)に示すように、本実施形態の電力変換装置のゲート配線ユニット240は、上述の実施形態の場合のエミッタパターンを共通にして、積層数を削減している。同一の構成要素には同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。
ゲート配線ユニット240は、絶縁板41a,41bと、ゲートパターン42a,42bと、エミッタパターン43bと、を備える。絶縁板41bは、ゲートパターン42bとエミッタパターン43bとの間に設けられている。絶縁板41aは、ゲートパターン42aとエミッタパターン43bとの間に設けられている。本実施形態のゲート配線ユニット240では、第1の実施形態のゲート配線ユニット40における基板41cおよびエミッタパターン43a,43bを1つのエミッタパターン43bに統合した。
本実施形態の電力変換装置のゲート配線ユニット240においても、上述した他の実施形態の場合と同程度の寄生インダクタンスの値を得ることができる。
上述の他の実施形態の基板41cおよびエミッタパターン43a,43bを1つのエミッタパターン43bに統合することによって、基板および配線の積層数を削減することができ、製造コストの削減に寄与することができる。
本実施形態では、多層配線を有する積層基板によってゲート配線ユニット240を実現する場合について説明したが、フレキシブルプリント基板を含む両面基板を用いるようにしてもよい。たとえば、2つのゲートパターンを絶縁板(基板)の一方の面に形成することによって、両面基板にゲートパターンおよびエミッタパターンをそれぞれ対向配置することができる。両面基板を用いてゲートパターンを同一面に形成することによって、3以上のゲート配線構造を有するゲート配線ユニットを容易に実現することができる。
(第3の実施形態)
上述の実施形態では、配線パターンの幅を変えることによって、主として自己インダクタンス値を調整して、トータルの寄生インダクタンスの値をそろえた。以下の実施形態では、往復する電流が流れる配線パターンを近接させて、相互インダクタンス値を調整することによってトータルの寄生インダクタンスの値をそろえる。同一の構成要素には同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。
図6(a)は、第3の実施形態の電力変換装置の一部を例示する斜視図である。図6(b)は、図6(a)の分解組立図である。
図7は、図6(a)のAA線における矢視断面図である。
図6(a)および図6(b)に示すように、ゲート配線ユニット340は、絶縁板341a,41bと、ゲートパターン342a,42bと、エミッタパターン43bと、を備える。絶縁板41bは、ゲートパターン42bとエミッタパターン43bとの間に設けられている。絶縁板341aは、ゲートパターン342aとエミッタパターン43bとの間に設けられている。
ゲートパターン342aは、エミッタパターン43bとほぼ同じ幅を有する。ゲートパターン342aの長さは、ゲートパターン42bおよびエミッタパターン43bの長さのほぼ1/2に等しい。
図7には、ゲート配線ユニット340の全体の断面図とともに、二点鎖線円内の拡大も示されている。図7に示すように、絶縁板341aの厚さは、絶縁板41bのほぼ2倍の厚さを有する。絶縁板341aによって、ゲートパターン342aとエミッタパターン43bとの間の積層方向の距離は、ゲートパターン42bとエミッタパターン43bとの間の積層方向の距離のほぼ2倍になる。そのため、短い方のゲート配線構造における相互インダクタンスの絶対値は、長い方のゲート配線構造における相互インダクタンスの絶対値よりも小さくなる。したがって、トータルの寄生インダクタンスは、ゲート配線構造によらずほぼ等しくすることができる。
比較例(図4)の場合のトータルの寄生インダクタンス値を再掲すると次のようになる。
短い方のゲート配線構造の場合:8.4nH
長い方のゲート配線構造の場合:14.0nH
一方、本実施形態の場合のトータルの寄生インダクタンス値の計算結果は次のようになる。絶縁板341aの厚さは、1.0mmとし、幅については、比較例の場合と同一である。
短い方のゲート配線構造の場合:13.5nH
長い方のゲート配線構造の場合:14.0nH
このように、配線パターンの幅によらず、往復する電流が流れるパターン間の距離を調整することによって相互インダクタンス値を調整して、トータルの寄生インダクタンス値をそろえることができる。配線パターンによるトータルの寄生インダクタンス値をほぼ同一とすることによって、並列動作させるスイッチング素子32a,32bの駆動波形をそろえて、スイッチング速度をほぼ一致させることができるので、電流の分担を均等にすることができる。
上述では、複数のスイッチング素子およびゲート駆動回路が直線状に配置され、ゲートパターン等も直線状の構成について説明をしたが、距離の異なるゲート配線の形状について配線パターンの幅や往復の配線の結合度を調整することによって、寄生インダクタンス値を一致させることができれば、配線パターンが途中で屈曲したり、分岐したり等してももちろんかまわない。
以上説明した実施形態によれば、並列接続されたパワー半導体素子の電流が均等に分担された電力変換装置および制御線の配線構造を実現することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1 交流系統、2 変圧器、10 電力変換装置、20 電力変換器、22 三相2レベルインバータ回路、24 ゲート駆動回路、30 パワーモジュール、32,32a,32b スイッチング素子、33 ゲート配線、34 リターン配線、35,35a,35b ゲート配線構造、40,140,240,340 ゲート配線ユニット、41a,41b,41c,141,341a 絶縁板、42a,42b,142,342a ゲートパターン、43a,43b,143 エミッタパターン、50 制御装置

Claims (5)

  1. 第1スイッチング素子と、
    前記第1スイッチング素子に並列に接続された第2スイッチング素子と、
    第1方向に延伸し、前記第1スイッチング素子の第1制御端子に接続された第1制御線と、
    前記第1方向に延伸し、前記第1スイッチング素子への制御信号のリターンのための第1リターン線と、
    前記第1制御線と前記第1リターン線との間に設けられた第1絶縁板と、
    前記第1制御線に平行して前記第1方向に延伸し、前記第1絶縁板上に設けられ、前記第2スイッチング素子の制御端子である第2制御端子に接続された第2制御線と、
    を備え、
    前記第1制御線は、前記第1方向の長さである第1長さと、前記第1方向と交差する第2方向に沿った第1断面積と、を有し、
    前記第2制御線は、前記第1方向の長さである第2長さと、前記第2方向に沿った第2断面積と、を有し、
    前記第1長さが前記第2長さよりも長い場合には、前記第1断面積は、前記第2断面積よりも大きい電力変換装置。
  2. 前記第2制御線は、前記第1制御線が設けられた前記第1絶縁板の側とは反対側に設けられ、
    前記第1リターン線と前記第2制御線との間に設けられた第2絶縁板をさらに備えた請求項1記載の電力変換装置。
  3. 前記第1リターン線と前記第2絶縁板との間に設けられた第3絶縁板と、
    前記第3絶縁板と前記第2絶縁板との間に設けられた第2リターン線と、
    をさらに備えた請求項2記載の電力変換装置。
  4. 第1スイッチング素子と、
    前記第1スイッチング素子に並列に接続された第2スイッチング素子と、
    第1方向に延伸し、前記第1スイッチング素子の第1制御端子に接続された第1制御線と、
    前記第1方向に延伸し、前記第1スイッチング素子への制御信号のリターンのための第1リターン線と、
    前記第1制御線と前記第1リターン線との間に設けられた第1絶縁板と、
    前記第1制御線に平行して前記第1方向に延伸し、前記第1絶縁板上に設けられ、前記第2スイッチング素子の制御端子である第2制御端子に接続された第2制御線と、
    を備え、
    前記第1制御線は、前記第1方向の長さである第1長さを有し、
    前記第2制御線は、前記第1方向の長さである第2長さを有し、
    前記第1長さが前記第2長さよりも長い場合には、前記第1制御線と前記第1リターン配線との間の間隔は、前記第2制御線と前記第1リターン線との間の間隔よりも狭い電力変換装置。
  5. 第1方向に延伸し、第1スイッチング素子の第1制御端子に接続された第1制御線と、
    前記第1方向に延伸し、前記第1スイッチング素子への制御信号のリターンのための第1リターン線と、
    前記第1制御線と前記第1リターン線との間に設けられた第1絶縁板と、
    前記第1制御線に平行して前記第1方向に延伸し、前記第1絶縁板上に設けられ、前記第1スイッチング素子に並列に接続された第2スイッチング素子の制御端子である第2制御端子に接続された第2制御線と、
    を備え、
    前記第1制御線は、前記第1方向の長さである第1長さと、前記第1方向と交差する第2方向に沿った第1断面積と、を有し、
    前記第2制御線は、前記第1方向の長さである第2長さと、前記第2方向に沿った第2断面積と、を有し、
    前記第1長さが前記第2長さよりも長い場合には、前記第1断面積は、前記第2断面積よりも大きい制御線の配線構造。
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