以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本明細書では、便宜上、光学回転体の回転軸の方向を上下方向(鉛直方向)として説明するが、本発明による安全スキャナの使用時における姿勢を限定するものではない。まず、本発明が前提とする光学安全システムの概略構成について、図1〜図3を用いて以下に説明する。
<光学安全システム1>
図1は、本発明の実施の形態による安全スキャナ10を含む光学安全システム1の一構成例を示したシステム図である。この光学安全システム1は、保護エリア内の侵入物を検知して検知信号を出力する安全スキャナ10と、安全スキャナ用の設定データを生成する設定支援装置20とにより構成される。安全スキャナ10及び設定支援装置20は、通信ケーブル2を介して互いに接続されている。
検知信号は、工作機械、産業用ロボット等の機械を緊急停止させるための安全制御信号である。この検知信号は、機械を制御する安全制御機器(図示せず)、例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)へ出力される。検知信号の出力状態をオフ状態に切り替えることにより、安全制御機器が制御対象とする機械の動作を停止させることができる。
保護エリアは、侵入物検知の監視対象とするエリアである。例えば、工作機械や産業用ロボットの作業エリア、搬送車両の移動エリアなど、機械設備周辺の領域が保護エリアとして指定される。
安全スキャナ10は、保護エリア内の侵入物を光学的に検知する光走査型のセーフティセンサであり、表示ユニット11及び計測ユニット12により構成される。表示ユニット11は、ユーザ操作を受け付け、動作状態、設定データ等を表示するユーザインターフェースユニットであり、通信ケーブル2の接続口、安全制御信号の出力ポート等が設けられる。
計測ユニット12は、検出エリアに対し、検出光を投光し、検出エリア内の対象物からの反射光を受光して侵入物を検知するセンサヘッドユニットである。検出エリアは、計測ユニット12により検出可能な最大のエリアである。保護エリアは、検出エリア内において指定される領域である。
安全スキャナ10には、保護エリア以外に警告エリアを設定することができる。安全スキャナ10は、警告エリア内の侵入物を検知すれば、補助出力信号を出力し、表示灯の点灯等によりユーザ報知を行う。
例えば、計測ユニット12は、水平な床面等に設置される。表示ユニット11は、OSSD(Output Signal Switching Device)を有し、保護エリア内に侵入物が存在していない状態では、OSSDがオン状態になり、オン状態の検知信号が出力される。一方、保護エリア内に侵入物が存在している状態では、OSSDがオフ状態になり、オフ状態の検知信号が出力される。
設定支援装置20は、ディスプレイ21、キーボード22及びマウス23を備えた情報処理端末、例えば、パーソナルコンピュータである。例えば、設定支援装置20では、保護エリアや計測条件を指定するための設定データが作成される。設定データには、保護エリアを指定するエリア指定情報と、計測条件を指定する計測設定情報とが含まれる。また、設定支援装置20では、安全スキャナ10から測距情報やカメラ画像を取得してディスプレイ21に表示する動作が行われる。
<安全スキャナ10>
図2は、図1の安全スキャナ10の構成例を示した正面図であり、表示ユニット11を計測ユニット12から分離させることができる分離型のセーフティセンサが示されている。図中には、安全スキャナ10を正面方向から見た場合が示されている。表示ユニット11及び計測ユニット12は、図示しない配線ケーブルを介して互いに接続される。この表示ユニット11には、同時に2以上の計測ユニット12を接続することができる。
計測ユニット12の計測筐体120には、後述する光学回転体が配置され、光学回転体を保護するための保護カバー121が装着されている。光学回転体は、検出光を水平方向に向けて出射するとともに、検出光を水平なスキャン面3に沿って走査させる。スキャン面3は、光学回転体の回転軸に直交する平面である。
検出光には、例えば、赤外線領域の波長を有するレーザー光が用いられる。検出光は、一定の走査周期で繰返し走査される。また、パルス状の検出光が一定の時間間隔で発生される。保護カバー121は、光学回転体を含む光学系統を保護するシールド部材であり、計測筐体120に対し、正面方向から着脱可能に装着される。
この計測筐体120には、2つの固定カメラ122及び123と、検知信号の出力状態を表示する表示灯124とが配設されている。固定カメラ122,123及び表示灯124は、光学回転体よりも上側に配置される。なお、固定カメラ122,123及び表示灯124は、光学回転体よりも下側に配置されても良い。
固定カメラ122及び123は、いずれも保護エリアを撮影してカメラ画像を生成する撮像装置であり、互いに向きを異ならせて配置される。固定カメラ122は、計測ユニット12に向かう方向から見れば、表示灯124よりも左側に配置されている。一方、固定カメラ123は、計測ユニット12に向かう方向から見れば、表示灯124よりも右側に配置されている。つまり、固定カメラ122及び123は、光学回転体の回転軸に対し、周方向の位置を異ならせて配置され、固定カメラ122が、計測ユニット12から見て前後方向よりも右側の領域を画角内に収めるカメラであるのに対し、固定カメラ123は、計測ユニット12から見て前後方向よりも左側の領域を画角内に収めるカメラである。固定カメラ122及び123は、スキャン面3よりも上側に配置されるため、スキャン面3を俯瞰するカメラ画像を得ることができる。
固定カメラ122及び123は、好ましくは、保護エリアだけでなく保護エリアの周辺も撮影する。或いは、固定カメラ122及び123は、さらに好ましくは、警告エリアとして設定可能な領域とその周辺とを撮影する。
表示灯124は、検知信号の出力状態や動作状態を表示するLEDインジケータである。この表示灯124は、検知信号の出力状態に応じて異なる表示色で点灯する。例えば、表示灯124は、OSSDがオフ状態である場合に赤色で点灯し、OSSDがオン状態である場合に緑色で点灯する。
表示ユニット11は、計測ユニット12の上面に配置される。表示ユニット11の表示筐体110には、表示パネル111、表示灯112、操作キー113及びケーブル接続口114が配設されている。
表示パネル111は、動作状態、測距情報、カメラ画像、設定データ等を画面表示する表示装置である。例えば、表示パネル111は、LCD(液晶ディスプレイ)パネルである。表示灯112は、動作状態、検知信号の出力状態等を表示するためのLEDインジケータである。表示ユニット11は、計測ユニット12との通信を行い、計測ユニット12から離間した位置にあっても、動作状態や侵入物の検知履歴を確認することができる。ケーブル接続口114は、通信ケーブル2が着脱可能に接続される入出力端子部である。
図3は、図1の安全スキャナ10内の機能構成の一例を示したブロック図である。この安全スキャナ10は、光学回転体30、投光用光源50、受光素子53、制御部100、投光制御部101、角度算出部102、距離算出部103、侵入物判別部104、メモリ105、外部出力ポート106、外部通信ポート107、表示パネル111、表示灯112,124、固定カメラ122及び123により構成される。
投光用光源50は、LD(レーザダイオード)又はLED(発光ダイオード)などの発光素子からなり、検出光を生成する。投光制御部101は、投光用光源50を制御し、パルス状の検出光を一定の時間間隔で発生させる。光学回転体30は、検出光を対象物に向けて出射するとともに、回転軸を中心として検出光を周方向に走査させる。
受光素子53は、PD(フォトダイオード)などの光電変換素子からなり、光学回転体30を介して対象物からの反射光を受光して受光信号を生成する。角度算出部102は、光学回転体30の回転を検出し、検出光の走査角を算出する。投光制御部101は、角度算出部102からの検出信号に基づいて、投光用光源50を制御し、検出光の投光タイミングを調整する。例えば、光学回転体30が360°/1000だけ回転するごとに、検出光が出射される。
距離算出部103は、受光素子53からの受光信号に基づいて、対象物までの距離を求める。この距離算出部103は、TOF(Time Of Flight:飛行時間)方式で距離計測を行う計測部であり、受光信号の受光タイミングを角度算出部102のパルス信号のタイミングを基準に計時し、検出光を投光したときから当該検出光に対応する反射光が受光されるまでの遅延時間を特定することにより、対象物までの距離を検出距離として算出する。
侵入物判別部104は、距離算出部103により求められた検出距離と検出光の走査角とに対応する測距情報に基づいて、保護エリア内の侵入物を検知し、検知信号を出力する。侵入物が保護エリア内に存在するか否かは、検出距離と検出光の走査角とから侵入物の2次元位置を特定し、保護エリアの位置情報と照合することによって判別される。
また、侵入物判別部104は、測距情報に基づいて、警告エリア内の侵入物を検知し、警告エリア内の侵入物を検知した場合に、ユーザ報知を行う。警告エリアは、侵入物検知の監視対象とするエリアであり、検出エリア内において指定される。ユーザ報知は、例えば、保護エリア内の侵入物を検知した場合とは異なる表示態様で、表示灯112及び124を点灯させることによって行われる。
外部通信ポート107は、設定支援装置20との通信を行う通信インターフェース部であり、設定支援装置20から設定データを受信する一方、動作状態、測距情報及びカメラ画像を設定支援装置20へ送信する。外部出力ポート106は、OSSDの出力信号(オン状態又はオフ状態)を検知信号(安全制御信号)として安全制御機器へ出力するインターフェース部である。なお、外部出力ポート106は、安全制御機器との双方向の通信によって、OSSDの出力信号(オン状態又はオフ状態)を検知信号(安全制御信号)として安全制御機器へ送信するような構成であっても良い。
制御部100は、設定データ、動作状態、測距情報及びカメラ画像を表示パネル111に表示し、動作状態を表示灯112及び124に表示する。制御部100は、侵入物の検知情報を取得し、この検知情報に基づいて検知履歴を生成する。検知履歴は、検知された侵入物の位置(検知位置)と、侵入物が検知された時刻(検知時刻)と、当該検知時刻に対応する監視画像とからなり、これらの検知情報が検知履歴として互いに関連づけて記憶される。
検知履歴として記録される監視画像には、検知時刻の直前又は直後に取得された静止画像と、検知時刻が取得期間に含まれる動画像とがある。例えば、動画像は、検知時刻を中心として取得され、一定の時間長からなる。また、これらの監視画像には、固定カメラ122及び123により撮影されたカメラ画像と、測距情報から得られるスキャン画像とが用いられる。
例えば、静止画像又は動画像のいずれを検知履歴として記録するのか、或いは、カメラ画像又はスキャン画像のいずれを検知履歴として記録するのかは、ユーザが任意に選択することができる。動画像からなる監視画像を検知履歴として記録することにより、検知時刻前後の様子が識別し易い。一方、静止画像からなる監視画像を検知履歴として記録することにより、メモリ105に保存可能な検知履歴の数を増やすことができる。メモリ105は、安全スキャナ10に内蔵された不揮発性の記憶素子である。メモリ105には、制御部100により作成された検知履歴等が保持される。
次に、本発明による安全スキャナ10のさらに詳細な構成について、図4〜図18を用いて以下に説明する。図4〜図14には、主として、保護カバー121に関する構成が示され、図15〜図18には、主として、光学回転体30に関する構成が示される。
<計測ユニット12>
図4は、図2の計測ユニット12を示した斜視図である。図5は、保護カバー121を計測筐体120から取り外した場合の斜視図であり、図中の(a)には、保護カバー121が示され、(b)には、計測筐体120が示されている。図6は、計測ユニット12を展開して示した説明図である。
計測筐体120は、コの字型の金属筐体であり、天蓋部131、連結部132及び底部133により構成される。天蓋部131には、投光用光源等が収容される。底部133は、天蓋部131に対向し、受光素子等が収容される。連結部132は、天蓋部131の後端と底部133の後端とを連結する。光学回転体30は、天蓋部131と底部133との間に配置される。
図6に示す通り、この安全スキャナ10では、背面板135に取り付けられた上側支持部14と下側支持部15とにより、光学回転体30が両持ち支持されている。計測筐体120は、天蓋部131、連結部132及び底部133が一体的に形成された成形品である。背面板135が計測筐体120に取り付けられることにより、光学回転体30は、計測筐体120に対し、間接的に位置決めされる。
天蓋部131及び底部133の水平面による切断面の形状は、いずれも光学回転体30の回転軸よりも前側が半円状であり、回転軸よりも後側が矩形状である。また、光学回転体30の回転軸を含み、前後方向に平行な鉛直面により計測筐体120を切断した場合の切断面の形状は、コの字状(C字状)である。光学回転体30は、このコの字状の空間に配置される。
天蓋部131には、表示灯モジュール13が配設されている。表示灯モジュール13は、固定カメラ122,123及び表示灯124を収容する樹脂筐体からなる。底部133の上面には、保護カバー121の透過率を監視するための複数の受光素子41が配設されている。各受光素子41は、光学回転体30の回転軸を中心として周方向に等間隔に配置されている。連結部132には、取付部1321、ねじ受け部1322及びつめ穴1323が設けられている。
取付部1321は、ねじを用いて計測筐体120を建屋の垂直な壁等に固定するための板状の固定部位であり、連結部132の側面から突出する形状からなる。この取付部1321は、連結部132の右側面と左側面とにそれぞれ設けられ、取付部1321を前後方向に貫通するねじ孔が上下の2か所に形成されている。
ねじ受け部1322は、保護カバー121を計測筐体120に固定するためのねじを前後方向に螺合させる固定部位である。このねじ受け部1322は、連結部132の右側面の上下の2か所と左側面の上下の2か所とにそれぞれ設けられている。
つめ穴1323は、保護カバー121に設けられる押えつめ1412を収容するための凹部であり、後方向に向かって凹んでいる。このつめ穴1323は、連結部132の前面の右端部と左端部とにそれぞれ設けられている。連結部132の右端部と左端部とには、それぞれ3つのつめ穴1323が形成されている。
一方、保護カバー121は、フレーム部141、ウィンドウ部142及びベース部143により構成される。ウィンドウ部142は、投光用光源からの検出光と対象物からの反射光とを透過させる光学部品であり、光学回転体30の背後に回り込む湾曲形状からなる。フレーム部141は、ウィンドウ部142を保持するホルダー部品である。このフレーム部141には、ねじ台座部1411、押えつめ1412及びつまみ部1413が設けられている。
ねじ台座部1411は、保護カバー121を計測筐体120に固定するためのねじが配置される取付部位であり、フレーム部141の側面から突出する形状からなる。このねじ台座部1411は、フレーム部141の右側面の上下の2か所と左側面の上下の2か所とにそれぞれ設けられ、ねじ台座部1411を前後方向に貫通するねじ孔が形成されている。
押えつめ1412は、連結部132のつめ穴1323と係合させることにより、フレーム部141を計測筐体120の側面に押え付けるための係合部位であり、フレーム部141の後端面から後方向に向かって突出する形状からなる。この押えつめ1412は、フレーム部141の右側の後端部と左側の後端部とにそれぞれ設けられている。フレーム部141の右側の後端部と左側の後端部とには、それぞれ3つの押えつめ1412が形成されている。
つまみ部1413は、保護カバー121を取り外す際に、指でつまんでフレーム部141を左右方向に広げるための板状の取っ手部位であり、フレーム部141の側面から突出する形状からなる。このつまみ部1413は、フレーム部141の右側の後端部と左側の後端部とにそれぞれ設けられている。
ベース部143は、底部133の上面に接触する馬蹄形状の光学部品であり、ウィンドウ部142の下端がベース部143の内縁部に接合される。ウィンドウ部142は、ベース部143を介してフレーム部141に保持される。このベース部143には、透過率監視用の検出光を透過させるための複数の受光窓1431が設けられている。各受光窓1431は、光学回転体30の回転軸を中心として周方向に等間隔に配置されている。
計測筐体120の側面には、コの字状の空間を封止するためのパッキン134が配設されている。パッキン134は、計測筐体120とフレーム部141との間に配置されるシール部材であり、フレーム部141の外縁に沿って延びる形状からなる。
フレーム部141の押えつめ1412を対応するつめ穴1323に挿入することにより、押えつめ1412が連結部132から抗力を受け、フレーム部141が計測筐体120の側面に押え付けられる。また、ねじ台座部1411をねじ受け部1322に対向させた状態で、ねじ台座部1411のねじ孔を介してねじをねじ受け部1322に螺合させることにより、保護カバー121が計測筐体120に固定される。
<光学部品140>
図7は、光学部品140の構成例を示した斜視図である。この光学部品140は、ウィンドウ部142及びベース部143からなり、フレーム部141とは別個に形成される。光学回転体30の回転軸に垂直な平面(水平面)によるウィンドウ部142の切断面は、回転軸よりも前側が円弧形状であり、回転軸よりも後側が内側に向けて湾曲している。例えば、ウィンドウ部142の後端は、正面方向から見て、光学回転体30の通過領域の背後に回り込んでいる。すなわち、ウィンドウ部142の切断面の形状は、中心角が180°を超える円弧状である。
このウィンドウ部142は、下方に頂点を有する円錐面状に傾斜した光学面1421と、フレーム部141に取り付けるための取付部1422と、光学面1421及び取付部1422の後端をベース部143の後端に連結する連結部1423とにより構成される。
光学面1421は、ウィンドウ部142の外周面であり、その形状は、ウィンドウ部142が、ウィンドウ部142の上端から遠ざかるに従って切断面の直径が略一定の傾きで単調に減少する形状であることに対応している。つまり、ウィンドウ部142は、回転軸を含む平面による切断面が直線状である。
取付部1422は、光学面1421の上端に沿って延びる形状の部位であり、光学回転体30の回転軸よりも前側が円弧状であり、回転軸よりも後側が直線状である。連結部1423は、前後方向に垂直な板状の部位である。
ベース部143は、後方に向かって開口した馬蹄形状の部位である。ウィンドウ部142の下端は、ベース部143の上面における内周縁部に接合されている。また、ベース部143の外周縁面は、フレーム部141の内周面に接合される。
ウィンドウ部142は、ベース部143とは別個に形成される。例えば、ウィンドウ部142は、金型を用いたプレス加工により成形される樹脂成形品であり、光学面1421、取付部1422及び連結部1423が一体的に形成される。ウィンドウ部142及びベース部143は、いずれも透光性を有する樹脂材料から形成されている。また、ウィンドウ部142及びベース部143は、接着剤を介して互いに接合されている。
<フレーム部141>
図8は、フレーム部141の構成例を示した斜視図である。このフレーム部141は、上フレーム151、連結フレーム152及び下フレーム153により構成される。上フレーム151は、天蓋部131の外縁に沿って延びる部位である。
下フレーム153は、底部133の外縁に沿って延びる部位である。上フレーム151及び下フレーム153は、いずれも光学回転体30の回転軸よりも前側が円弧状であり、回転軸よりも後側が直線状である。
連結フレーム152は、連結部132の外縁に沿って延び、上フレーム151の後端と下フレーム153の後端とを連結する部位である。この連結フレーム152は、上フレーム151及び下フレーム153の右側と左側とにそれぞれ設けられている。ねじ台座部1411、押えつめ1412及びつまみ部1413は、連結フレーム152に配設されている。
上フレーム151及び下フレーム153には、保護カバー121の正面方向への移動を制限するためのストッパと係合させる凹部1414が形成されている。凹部1414は、計測筐体120の側面に対向し、左右方向に向かって凹んだ係合穴である。この凹部1414は、上フレーム151の右側の上端と、上フレーム151の左側の上端と、下フレーム153の右側の下端と、下フレーム153の左側の下端とにそれぞれ形成されている。
フレーム部141は、金型を用いたプレス加工により成形される樹脂成形品であり、上フレーム151、連結フレーム152及び下フレーム153が一体的に形成される。また、フレーム部141は、接着剤を介して光学部品140のウィンドウ部142及びベース部143と接合される。つまり、ベース部143は、接着剤を介してウィンドウ部142の下端と接合され、かつ、接着剤を介して下フレーム153と接合される。
図9は、保護カバー121及び光学回転体30を上方向から見た場合を示した図である。光学回転体30は、回転軸Jを中心として回転する。回転軸Jは、上下方向に延びる仮想的な中心軸である。保護カバー121のウィンドウ部142は、水平面による切断面が光学回転体30の背後に回り込んだ湾曲形状であり、回転軸Jを中心とする中心角が180°を超える円弧からなる。
この例では、ウィンドウ部142の下端付近において、中心角が270°程度であり、ウィンドウ部142の上端付近において、中心角が220°〜230°程度である。ウィンドウ部142がこの様な湾曲形状を有するため、回転軸Jを中心とする180°以上の視野角φについて、均一な光学性能を得ることができる。
視野角φは、回転軸Jを中心とする中心角により表され、検出光DLを周方向に走査させることによって監視可能な最大の範囲を示す。例えば、左右方向のY軸を基準とし、中心角が−5°から185°の範囲を監視する場合、視野角φは190°である。一方、保護カバー121のフレーム部141は、回転軸Jよりも前側X1が円弧状であり、回転軸Jよりも後側X2が直線状である。
ウィンドウ部142の切断面の直径は、上下方向の任意の位置において、回転軸Jから最も遠い光学回転体30の部位までの距離の2倍よりも大きい。このため、ウィンドウ部142と干渉することなく光学回転体30を回転させることができる。一方、ウィンドウ部142の後側X2における開口部の左右方向の距離、すなわち、開口幅wは、上下方向の特定の位置において、回転軸Jから最も遠い光学回転体30の部位までの距離の2倍よりも短い。このため、保護カバー121を計測筐体120から取り外す際に、光学回転体30の向きによっては、ウィンドウ部142が光学回転体30と接触する虞がある。
そこで、本実施の形態による安全スキャナ10では、ウィンドウ部142を可能な限り光学回転体30に近づけることによって計測筐体120の左右方向の幅を狭めつつ、計測筐体120にストッパを設けることにより、保護カバー121を取り外す際に、ウィンドウ部142が光学回転体30と接触するのを防止している。
<保護カバー用のストッパ>
図10は、保護カバー121が装着された状態の計測筐体120を右方向から見た場合を示した側面図である。図11は、図10の計測筐体120をA−A切断線により切断した場合の切断面を示した断面図である。図12は、図10の計測筐体120をB−B切断線により切断した場合の切断面を示した断面図である。図11及び図12には、図10の矢印の方向から切断面を見た場合が示されている。
連結部132は、後方向に向かって開口し、当該開口を塞ぐための背面板135が取り付けられている。天蓋部131には、保護カバー121の正面方向(前方向)への移動を制限するためのストッパ1311が設けられている。このストッパ1311は、天蓋部131の側面から左右方向に突出する形状の突出部であり、天蓋部131の右側面と左側面とにそれぞれ設けられている。
各ストッパ1311は、フレーム部141の上フレーム151に設けられた凹部1414と係合する。ストッパ1311の水平面による切断面の形状は、三角形状であり、前側の傾斜面に比べ、後側の傾斜面の勾配が大きく、天蓋部131の側面と略直角に交差している。
底部133には、保護カバー121の正面方向への移動を制限するためのストッパ1331が設けられている。このストッパ1331は、底部133の側面から左右方向に突出する形状の突出部であり、底部133の右側面と左側面とにそれぞれ設けられている。
各ストッパ1331は、フレーム部141の下フレーム153に設けられた凹部1414と係合する。ストッパ1331の水平面による切断面の形状は、三角形状であり、前側の傾斜面と後側の傾斜面とは、勾配が概ね一致している。
図13は、計測筐体120に対し、保護カバー121が着脱される様子を模式的に示した説明図である。図中の(a)には、保護カバー121を正面方向から計測筐体120に取り付ける場合が示され、(b)には、保護カバー121を計測筐体120から正面方向に取り外す場合が示されている。
計測筐体120に対して相対的に保護カバー121を後方向に移動させ、天蓋部131及び底部133の側面に沿ってフレーム部141の上フレーム151及び下フレーム153をスライドさせることにより、保護カバー121は、計測筐体120に装着される。
一方、保護カバー121を計測筐体120から取り外す場合、フレーム部141のつまみ部1413を左右方向に引っ張ることにより、フレーム部141を左右方向に広げる必要がある。まず、フレーム部141の押えつめ1412を連結部132のつめ穴1323から抜き取るために、計測筐体120に対して相対的に保護カバー121を前方向に移動させれば、凹部1414の後端が天蓋部131及び底部133のストッパ1311及び1331に当接し、保護カバー121の前方向への移動が阻止される。
そこで、フレーム部141のつまみ部1413を掴んで左右方向に引っ張り、フレーム部141を左右方向に広げることにより、ウィンドウ部142の後側の開口部が左右方向に広げられる。この状態でフレーム部141を前方向にスライドさせれば、凹部1414の後端がストッパ1311及び1331の先端に乗り上げることになる。
ストッパ1311及び1331の突出長は、凹部1414との係合が外れる際に、ウィンドウ部142の後端の開口幅wが光学回転体30の通過領域の幅よりも広くなるように形成される。保護カバー121を計測筐体120から取り外す際には、必ず、ウィンドウ部142の後側の開口部が強制的に左右方向に広げられるため、光学回転体30の向きにかかわらず、ウィンドウ部142と光学回転体30との接触を防止することができる。
<透過率監視機構40>
図14は、図5のウィンドウ部142の透過率を監視するための透過率監視機構40の構成例を模式的に示した説明図である。図中には、回転軸Jを含み、前後方向に垂直な鉛直面により計測筐体120を切断した場合の切断面の一部が描画されている。透過率監視機構40は、ウィンドウ部142の透過率を光学的に監視し、汚れや損傷を検知するモニター装置であり、受光素子41及び投光素子42と、図示しない監視制御部とにより構成される。
保護カバー121のウィンドウ部142は、投光用光源からの検出光DLを回転軸Jから径方向外方に向けて透過させる一方、対象物からの反射光RLを径方向内方に向けて透過させる。このウィンドウ部142は、上端から下方向に遠ざかるほど、回転軸Jまでの距離が一定の傾きで単調に短くなるように、傾斜している。ウィンドウ部142をこの様に傾斜させることにより、検出光DLの正反射を防止することができる。透過率監視用の光は、ウィンドウ部142を下方に向けて透過する。
投光素子42は、検出用の光をウィンドウ部142に向けて投光する発光素子であり、天蓋部131の外縁部に配置される。例えば、投光素子42には、LED(発光ダイオード)が用いられる。この投光素子42は、発光面を下方に向けて配置されている。
受光素子41は、ウィンドウ部142を透過した透過光TLを受光し、受光信号を生成する光電変換素子であり、底部133の外縁部に配置される。例えば、受光素子41には、PD(フォトダイオード)が用いられる。この受光素子41は、受光面を上方に向け、投光素子42の発光面に対向するように配置されている。ウィンドウ部142を透過した透過光TLは、ベース部143を介して受光素子41に受光される。
監視制御部は、投受光を制御し、受光素子41からの受光信号に基づいて、ウィンドウ部142の透過率を求め、この透過率を判定閾値と比較して不具合の有無を判別し、その判別結果を検知信号として出力する。透過率は、例えば、透過光TLの受光量に基づいて、求められる。
<光学回転体30>
図15は、図5の光学回転体30の構成例を示した図であり、図中の(a)には、光学回転体30の正面が示され、(b)には、光学回転体30の右側面が示され、(c)には、光学回転体30の背面が示されている。図16は、回転軸Jを含み、左右方向に垂直な鉛直面により計測筐体120を切断した場合の切断面を示した断面図である。
光学回転体30は、光学ベースフレーム31、鏡筒32,33、受光レンズ34、シールド板35、投光ミラー36、受光ミラー37及びシリンドリカルレンズ38により構成される。
天蓋部131内には、投光用光源50、集光レンズ51、転向ミラー52及びモーター部60が配設されている。底部133内には、受光素子53、受光基板54及び軸受61が配設されている。
光学ベースフレーム31は、鏡筒32,33、受光レンズ34、シールド板35、投光ミラー36、受光ミラー37及びシリンドリカルレンズ38を保持する保持部材である。投光用光源50は、LD(レーザダイオード)又はLED(発光ダイオード)などの発光素子からなり、検出光DLを生成する。この投光用光源50は、発光面を前方向に向けて配置されている。
集光レンズ51は、投光用光源50からの検出光DLを集光するための光学部材である。検出光DLは、集光レンズ51により、概ね平行光に変換される。転向ミラー52は、集光レンズ51を介して後方向から入射した検出光DLを下方向に向けて反射させる平板状の反射鏡である。この転向ミラー52は、回転軸Jに対して45°傾斜させた状態で配置されている。つまり、転向ミラー52の回転軸Jに対する傾斜角は、概ね45°である。鏡筒32は、回転軸Jを中心軸とし、上下方向に延びる筒状の光学ガイド部材であり、転向ミラー52で反射した検出光DLを下方向に案内する。
投光ミラー36は、投光用光源50からの検出光DLを90°転向させる平板状の反射鏡である。この投光ミラー36は、回転軸Jに対して45°傾斜させた状態で配置され、転向ミラー52を介して上方向から入射した検出光DLを水平方向に向けて反射させる。投光ミラー36の回転軸Jに対する傾斜角は、概ね45°である。
鏡筒33は、水平方向に延びる筒状の光学ガイド部材であり、投光ミラー36で反射した検出光DLを水平方向に案内する。シールド板35は、鏡筒32の開口を塞ぐ保護カバーであり、透光性を有する平板状の光学部材からなる。このシールド板35は、鏡筒32の上端に配置されている。転向ミラー52で反射した検出光DLは、シールド板35を介して投光ミラー36に入射する。
受光レンズ34は、対象物からの反射光RLを集光する光学部材である。例えば、受光レンズ34は、平凸レンズであり、回転対称軸を水平方向に向けて配置される。鏡筒33は、受光レンズ34を貫通し、中心軸が受光レンズ34の回転対称軸と略一致するように配置される。
受光ミラー37は、受光レンズ34を透過した反射光RLを受光素子53に向けて反射させる平板状の平面鏡である。この受光ミラー37は、回転軸Jに対し、検出光DLの出射側とは反対側にオフセット配置され、傾斜角が45°よりも大きい。例えば、受光ミラー37の回転軸Jに対する傾斜角は、概ね60°である。また、受光ミラー37は、反射面全体が回転軸Jよりも後側に位置している。
光学回転体30は、鏡筒33の中心軸と受光レンズ34の回転対称軸とを略一致させることにより、検出光DLの出射光軸と反射光RLの入射光軸とが略同軸となるように構成される。
受光素子53は、光学回転体30を介して検出エリア内の対象物からの反射光RLを受光し、受光信号を生成する光電変換素子である。例えば、受光素子53には、PD(フォトダイオード)が用いられる。この受光素子53は、回転軸Jに垂直な受光面を有し、受光面を上方向に向けた状態で、回転軸J上に配置されている。回転軸Jは、受光素子53の受光面を貫通している。受光基板54は、受光素子53等の回路素子が形成される回路基板である。
シリンドリカルレンズ38は、受光ミラー37により反射された反射光RLを受光素子53の受光面に結像させる光学部材である。このシリンドリカルレンズ38は、上下方向に偏心した反射光RLを受光素子53の受光面に正しく結像させるための合焦位置調整用の集光レンズであり、上下方向に湾曲した円筒面を有する。シリンドリカルレンズ38は、円筒面の中心軸が水平になるように配置される。
モーター部60は、回転軸Jを中心として光学回転体30を回転させる電動機と、回転軸Jを中心として光学回転体30の上端部を回転可能に支持する軸受とにより構成される。軸受61は、回転軸Jを中心として光学回転体30の下端部を回転可能に支持する。
ウィンドウ部142の下端には、ベース部143との接着部16が形成されている。例えば、接着部16は、ウィンドウ部142の下端に沿って形成され、ウィンドウ部142の一部がベース部143に溶着される。
背面板135と計測筐体120との接合部には、パッキン4が配設されている。パッキン4は、封止用のシール部材であり、背面板135の外縁に沿って配置されている。また、表示灯モジュール13と天蓋部131との接合部にも、パッキン5が配設されている。パッキン5は、封止用のシール部材であり、天蓋部131に設けられた配線用の貫通孔17を取り囲むように配置されている。貫通孔17には、固定カメラ122,123との通信線や表示灯124への電源線が配置される。
光学回転体30には、バランサ6が設けられている。バランサ6は、回転モーメントのバランスを調整するための重量部材である。この光学回転体30では、受光レンズ34と受光ミラー37とが回転軸Jを挟んで互いに反対側に配置されることにより、回転モーメントのバランスを調整している。バランサ6は、受光レンズ34及び受光ミラー37だけで回転モーメントのバランスが調整しきれない場合に、設けられる。このバランサ6は、受光ミラー37の背面側に配置されている。
図17は、図16の光学系統を模式的に示した説明図である。この光学系統は、鏡筒32,33、受光レンズ34、投光ミラー36、受光ミラー37、シリンドリカルレンズ38、投光用光源50、集光レンズ51、転向ミラー52及び受光素子53により構成される。
投光用光源50から前方向に向けて出射された検出光DLは、集光レンズ51を介して転向ミラー52に入射し、下方向に向けて反射される。光学回転体30の投光ミラー36は、上方向から入射した検出光DLを水平方向に向けて反射させる。
集光レンズ51を用いることにより、投光ミラー36に入射させる検出光DLの光束を細くすることができる。転向ミラー52を用いることにより、天蓋部131の上下方向の高さを薄型化することができる。また、転向ミラー52の反射面を回転軸J上に配置することにより、上下方向に伝搬する光束を得ることができる。
光学回転体30の受光レンズ34に水平方向から入射した反射光RLは、当該受光レンズ34を透過し、受光ミラー37に入射する。受光ミラー37は、水平方向から入射した反射光RLを受光素子53に向けて反射させる。受光ミラー37は、回転軸Jの方向(上下方向)から見て、投光ミラー36と重ならないように配置される。シリンドリカルレンズ38は、受光ミラー37と受光素子53との間に位置し、受光ミラー37による反射光RLを受光素子53の受光面上に結像させる。
検出光DLの出射光軸と反射光RLの入射光軸とを一致させることにより、上下方向に拡散した反射光RLであっても受光させることができる。また、受光レンズ34の小型化が可能である。受光ミラー37をオフセット配置することにより、受光レンズ34を回転軸Jに近づけて配置することができるため、光学回転体30の回転半径を小さくすることができる。
受光素子53の受光面を回転軸J上に配置することにより、光学回転体30の向きにかかわらず、受光ミラー37からの反射光RLを受光させることができる。シリンドリカルレンズ38を用いることにより、上下方向に偏心した反射光RLを受光素子53の受光面に正しく結像させることができる。
保護カバー121のウィンドウ部142は、上下方向には直線状であるのに対し、検出光DLの走査方向には円弧状であり、レンズ効果を有する。シリンドリカルレンズ38は、この様な保護カバー121の光学特性の異方性に起因して、反射光RLの合焦位置にばらつきが生じるのを抑制することができる。
図18は、図16の投光ミラー36及び受光ミラー37を示した正面図である。図中の(a)には、投光ミラー36が示され、(b)には、受光ミラー37が示されている。投光ミラー36は、長方形状の平板からなる。一方、受光ミラー37は、下底が上底よりも短い等脚台形状の平板からなる。
この受光ミラー37は、反射面を下側に傾けて配置されるため、上端から上下方向に遠ざかるに従って、回転軸Jから遠くなる。この様な受光ミラー37を等脚台形状とすることにより、回転軸Jから遠い部位のサイズが小さくなるため、光学回転体30の回転半径をさらに小さくすることができる。
本実施の形態によれば、受光ミラー37が検出光DLの出射側とは反対側にオフセット配置され、回転軸Jに対する傾斜角が45°よりも大きいため、受光ミラー37を回転軸J上に配置する場合に比べ、光学回転体30の回転半径を小さくすることができる。
また、受光レンズ34と受光ミラー37とを互いに離間させて配置する場合に、受光ミラー37がオフセット配置されるため、受光レンズ34を回転軸Jにより近づけることができる。このため、装置が大型化するのを抑制することができる。また、受光ミラー37が受光レンズ34の下流側に配置されるため、受光ミラー37のサイズを小型化することができる。
また、受光ミラー37を回転軸J上に配置することなく、検出光DLの出射光軸と反射光RLの入射光軸とを略一致させることができる。このため、投光ミラー36及び受光ミラー37の形状が複雑化するのを抑制することができる。特に、受光ミラー37を投光ミラー36とは別個の部材として形成することができるため、投光ミラー36及び受光ミラー37の製造を容易化することができる。
また、本実施の形態による安全スキャナ10は、保護カバー121のウィンドウ部142は、光学回転体30の回転軸Jに垂直な平面による切断面が光学回転体30の背後に回り込んだ湾曲形状であるため、180°以上の視野角について均一な光学性能を得ることができる。このため、検出可能な距離を長距離化することができる。
また、保護カバー121を計測筐体120から取り外す場合には、フレーム部141が左右方向に広げられるため、ウィンドウ部142が光学回転体30と干渉することなく、保護カバー121を取り外すことができる。また、凹部1414の後端がストッパ1311及び1331に乗り上げることにより、フレーム部141が左右方向に広げられることを利用して光学回転体30との干渉を防ぐ構造であるため、安全スキャナ10の大型化を抑制することができる。
また、フレーム部141、ウィンドウ部142及びベース部143を個別に成形することができるため、保護カバー121の製造を容易化することができる。また、ウィンドウ部142とフレーム部141とを別個の材料により形成することもできる。例えば、ウィンドウ部142は、フレーム部141よりも透過率が高い材料により形成される。一方、フレーム部141は、ウィンドウ部142よりも剛性が高い材料により形成される。
また、フレーム部141を光学部品140と別個に形成することにより、光学部品140の光学性能を向上させることができ、また、光学部品140にパーティングラインを生じ難くすることができる。また、フレーム部141を光学部品140と別個の部品とすることにより、保護カバー121を計測筐体120に強固に固定し、また、防水性能を向上させることができる。
また、シリンドリカルレンズ38により、上下方向の合焦位置を調整することができるため、ウィンドウ部142の曲率が、検出光DLの走査方向と上下方向とで大きく異なることに起因して、受光素子53の受光面上の位置によってピントがずれるのを抑制することができる。また、シリンドリカルレンズ38を受光レンズ34よりも下流側に配置することにより、シリンドリカルレンズ38のサイズを小さくすることができるため、光学回転体30の回転半径をさらに小さくすることができる。
なお、本実施の形態では、安全スキャナ10が表示ユニット11を計測ユニット12から分離させることができる分離型のセーフティセンサである場合の例について説明したが、本発明は、表示ユニット11を計測ユニット12から分離させることができない非分離型の安全スキャナにも適用することができる。例えば、表示パネル111、操作キー113、ケーブル接続口114、検知信号の出力ポート等を天蓋部131、連結部132又は底部133のいずれかに設けた安全スキャナにも本発明は適用可能である。
また、本実施の形態では、受光レンズ34が反射光RLを集光する場合の例について説明したが、本発明は、反射光RLの受光系統の構成をこれに限定するものではない。例えば、光学回転体30が受光レンズ34を備えず、受光ミラーが、凹面状の反射面を有する凹面鏡であり、反射光RLを受光素子53の受光面に向けて反射させるとともに、受光面上に集光させるような構成であっても良い。この様な構成によれば、受光レンズを用いなくても、十分な受光量を得ることができる。
また、本実施の形態では、フレーム部141、ウィンドウ部142及びベース部143が互いに接着剤を介して接合される場合の例について説明したが、本発明は、保護カバー121の構成をこれに限定するものではない。例えば、フレーム部141及びウィンドウ部142が1つの樹脂成形品として一体的に形成され、この樹脂成形品とベース部143とが接着剤を介して接合されるような構成であっても良い。また、ウィンドウ部142及びベース部143が1つの樹脂成形品として一体的に形成され、この樹脂成形品とフレーム部141とが接着剤を介して接合されるような構成であっても良い。また、ベース部143及びフレーム部141が1つの樹脂成形品として一体的に形成され、この樹脂成形品とウィンドウ部142とが接着剤を介して接合されるような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、ストッパ1311及び1331が天蓋部131及び底部133にそれぞれ設けられる場合の例について説明したが、本発明は、保護カバー121の移動を制限するストッパの構成をこれに限定するものではない。例えば、保護カバー121のフレーム部141は、計測筐体120に対する正面方向への移動を制限するためのストッパを有し、このストッパが、保護カバーの内側の面から左右方向に突出する形状であり、天蓋部131又は底部133の左側面及び右側面に対向するようにそれぞれ配置され、天蓋部131又は底部133の左側面及び右側面に設けられた凹部とそれぞれ係合する。
この様な構成によれば、フレーム部141のストッパが左右方向に突出する形状であるため、保護カバー121を計測筐体120から取り外すには、フレーム部141を左右方向に広げることにより、ストッパと天蓋部131又は底部133の凹部との係合を外す必要がある。つまり、保護カバー121を計測筐体120から取り外す場合には、フレーム部141が左右方向に広げられるため、ウィンドウ部142が光学回転体30と干渉することなく、保護カバー121を取り外すことができる。また、天蓋部131又は底部133の凹部の前端がフレーム部141のストッパに乗り上げることにより、フレーム部141が左右方向に広げられることを利用して光学回転体30との干渉を防ぐ構造であるため、安全スキャナ10の大型化を抑制することができる。
また、本実施の形態では、フレーム部141が、上フレーム151、連結フレーム152及び下フレーム153からなる場合の例について説明したが、本発明は、フレーム部141の構成をこれに限定するものではない。例えば、フレーム部141は、天蓋部131の外縁に沿って延びる上フレームと、連結部132の外縁に沿って延び、上フレームの後端及びベース部の後端を連結する連結フレームとにより構成される。ウィンドウ部及びフレーム部は、接着剤を介してベース部と接合される。この様な構成によれば、ウィンドウ部及びフレーム部とベース部とを個別に成形することができるため、保護カバー121の製造を容易化することができる。
また、本実施の形態では、計測筐体120が、天蓋部131、連結部132及び底部133を一体的に形成した成形品である場合の例について説明したが、本発明は、計測筐体120の構成をこれに限定するものではない。例えば、天蓋部131、連結部132及び底部133がそれぞれ上部筐体、連結筐体及び下部筐体として個別に形成されるような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、光学回転体30が背面板135に取り付けられた上側支持部14と下側支持部15とにより、回転可能に支持される場合の例について説明したが、本発明は、光学回転体30の支持機構をこれに限定するものではない。例えば、光学回転体30が、天蓋部131(上部筐体)及び底部133(下部筐体)により回転可能に支持されるような構成であっても良い。また、本発明は、光学回転体30が片持ち支持されるものにも適用可能である。