JP6668666B2 - イルベサルタンを含有する医薬組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、製造時から流通過程後の全てにわたって安定した物性、例えば、一定の溶出率を安定的に維持することができる医薬組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
〔1〕イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含む医薬組成物であって、
イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含んでなる造粒物と、
クロスカルメロースナトリウムの粉末又は造粒物との混合物を含むことを特徴とする医薬組成物。
〔2〕さらに滑沢剤を含む〔1〕に記載の医薬組成物。
〔3〕滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである〔2〕に記載の医薬組成物。
〔4〕イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含む組成物を造粒し、
得られた造粒物と、クロスカルメロースナトリウムの粉末又は造粒物とを混合することを特徴とする医薬組成物の製造方法。
〔5〕前記造粒を、撹拌造粒又は流動層造粒にて行う〔4〕記載の医薬組成物の製造方法。
また、本発明の医薬組成物の製造方法によれば、製造時から流通過程の全てにわたって安定した物性、例えば、一定の溶出率を安定的に維持することができる医薬組成物を確実かつ簡便に製造することができる。
例えば、苛酷試験下での保存1週間においても、30分時点で85%以上イルベサルタンを溶出する医薬組成物を得ることができる。
医薬組成物中のイルベサルタンの含有量は、医薬組成物の重量を基準に(以下同様)65w/w%以下であり、好ましくは60w/w%以下である。含有量の下限は、例えば、20w/w%以上が挙げられる。
結晶セルロースは、例えば、賦形剤として用いられる。医薬組成物中の含有量は、15w/w%〜70w/w%が挙げられ、25w/w%〜50w/w%が好ましい。
乳糖水和物及び結晶セルロースの重量比は、10:1〜1:10が挙げられ、8:1〜1:8が好ましく、8〜5:1がより好ましい。乳糖水和物及び結晶セルロースの合計含有量は、20w/w%〜75w/w%が挙げられ、25w/w%〜50w/w%が好ましい。
結合剤として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)、ポリビニルアルコール、α化デンプン、寒天、ゼラチン等の1種又は2種以上を組合せて用いてもよい。結合剤をさらに使用する場合の結合剤全量の含有量は、0.01w/w%〜10w/w%が挙げられ、0.01w/w%〜5w/w%が好ましい。
結合剤は、イルベサルタンを含有する顆粒の造粒を促進するが、粘度が高いと溶出性を低下させることがある。そのために、ポビドンは、例えば、20℃における粘度が2〜10mPa・sのものが好ましい。
特に、クロスカルメロースナトリウムは、医薬組成物の形態にかかわらず、いわゆる内添及び外添の双方の形態で含有されていることが好ましい。例えば、医薬組成物が粉末、顆粒等の形態の場合には、イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含んでなる造粒物と、クロスカルメロースナトリウムの粉末又は造粒物との混合物の形態が挙げられる。また、医薬組成物が錠剤、コーティング剤、丸剤等の形態の場合には、イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含んでなる造粒物と、クロスカルメロースナトリウムの粉末又は造粒物とを打錠、打錠及びコーティング、成形した形態などが挙げられる。
このように、クロスカルメロースナトリウムを内添剤及び外添剤として含有させる場合、内添剤と外添剤との重量比は、例えば、1〜10:10〜1が挙げられ、2〜8:8〜2が好ましく、4〜6:6〜4がより好ましい。
湿潤剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
流動化剤は、抗付着剤ともいうが、例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、澱粉、タルク等が挙げられる。流動化剤の含有量は、例えば、0.001w/w%〜3w/w%が挙げられ、好ましくは0.001w/w%〜1w/w%、より好ましくは0.005w/w%〜0.1w/w%が挙げられる。流動化剤は、特に上述したイルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含む組み合わせにおいては、積極的に添加されているものが好ましい。
香味料としては、例えば、メントール、クエン酸、フマル酸、酒石酸、人工又は天然果実フレーバー等が挙げられる。
着色剤としては、カラメル、酸化鉄(赤、黄、又は黒)、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒色三二酸化鉄、天然又は合成有機色素又はレーキ等が挙げられる。
さらに別の実施形態では、例えば、イルベサルタン50重量部に対して、乳糖水和物20〜50重量部、結晶セルロース1〜15重量部、ポビドン1〜15重量部、クロスカルメロースナトリウムを1〜15重量部を組み合わせることが好ましい。この場合、ステアリン酸マグネシウム0.1〜5重量部組み合わせることがより好ましい。
さらに別の実施形態では、例えば、イルベサルタン50重量部に対して、乳糖水和物25〜45重量部、結晶セルロース1〜10重量部、ポビドン1〜10重量部、クロスカルメロースナトリウムを組み合わせることが好ましい。この場合、さらに1〜10重量部及び/又はステアリン酸マグネシウム0.1〜4重量部組み合わせることがより好ましい。
造粒物は、乾燥した後、篩過にて整粒することが好ましい。乾燥は、例えば、90℃以下の温度で、1〜60分間行えばよい。なお、整粒の有無にかかわらずあるいは整粒時又はその後に、造粒物にクロスカルメロースナトリウムを添加する。この場合のクロスカルメロースナトリウムは、粉末、顆粒等のいずれでもよい。
上述した他、適当な固形の医薬組成物の形態に調製するために、例えば、粉砕、解砕、混合、糖衣、フィルムコート、カプセル充填などを、当該分野の公知の方法及び条件によって行うことができる。
別の観点から、苛酷試験での保存1週間後においても、30分時点で、製造直後(製造完了後24時間以内)の溶出率に対する変動が±5%以内であるものが好ましく、±4%以内であるものがより好ましく、±3%以内であるものがより好ましい。また、15分時点で、製造直後の溶出率に対する変動が±10%以内であるものが好ましく、±8%以内であるものがより好ましく、±6%以内であるものがより好ましい。
なお、製造直後の溶出率は、例えば、30分時点で、95%以上であるものが好ましく、96%以上であるものがより好ましく、98%以上であるものがさらに好ましい。
以下の各成分を表1の割合で秤量し、以下の方法によってフィルムコーティング錠を作製した。
まず、イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを撹拌造粒機(岡田精工社製)に投入し、粉末を混合した。なお、攪拌造粒機に投入したクロスカルメロースナトリウムは、上述の仕込み量の6割相当量とした。
ブレード回転800〜1000rpm)で攪拌しながら、ポビドン溶液を添加し、造粒した。その後、流動層造粒乾燥機(パウレック社製)にて80℃に設定して10分乾燥した。
コーミル(パウレック社製)で整粒した顆粒に、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを添加し、袋混合した。整粒した顆粒に添加したクロスカルメロースナトリウムは、上述した仕込み量の残りの4割相当量とした。
ロータリー打錠機(菊水製作所製)にて、打錠圧約1000kgf、オーバル型で、長径8.5mm、短径4.4mmの錠剤とした。
その後、ヒプロメロース、クエン酸トリエチル及び酸化チタンを精製水に溶解・分散してコーティング液を調整する。錠剤をコーティング機(フロイント社製)に投入し、コーティング液をスプレーし、乾燥後にカルナウバロウにて磨いてフィルムコーティング錠とした。
実施例1の製造方法において、撹拌造粒機にクロスカルメロースナトリウムを添加せず、整粒した顆粒に、上述した仕込み量のクロスカルメロースナトリウムを添加した以外、実施例1と同様にフィルムコーティング錠を製造した。
市販のイルベサルタン100mg錠を準備した。
イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを撹拌造粒器(岡田精工社製)に投入し、粉末を混合した。ここでのクロスカルメロースナトリウムの上述した仕込み量の残りの6割相当量である。
ポビドン溶液を添加し、造粒した後、流動層造粒乾燥機(パウレック社製)にて乾燥した。
コーミル(パウレック社製)で整粒した顆粒に、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸カルシウムを添加し、袋混合した。ここでのクロスカルメロースナトリウムの上述した仕込み量の残りの4割相当量である。単発打錠機(理研精機社製)にて成形し、錠剤とした。
イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを流動層造粒乾燥機(パウレック社製)に投入し、ポビドン溶液を噴霧しながら造粒した。
造粒終了後、80℃で10分間乾燥を行った。
篩(850μm)にて整粒した顆粒に、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸カルシウムを添加し、袋混合した。
単発打錠機(理研精機社製)にて成型し、打錠圧約1000kgf、オーバル型で、長径8.5mm、短径4.4mmの錠剤とした。
イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを袋混合し、ローラーコンパクター(フロイント社製)にて乾式造粒した。
造粒物をコーミルにて整粒し、得られた顆粒に、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸カルシウムを添加し、袋混合した。
単発打錠機(理研精機社製)にて、打錠圧約1000kgf、オーバル型で、長径8.5mm、短径4.4mmの錠剤とした。
なお、参考例として準備した市販のイルベサルタン100mg錠についても、購入直後及び保存1週間後のフィルムコーティング錠の溶出試験を行った。その結果を図2に示す。
また、製造直後の溶出率においても、本願実施例では、30分時点で、95%以上であり、つまり、99.3%を示しており、良好な溶出率を示すことがわかる。
さらに、苛酷試験での保存1週間後においても、30分時点で、実施例においては、製造直後の溶出率に対する変動が±5%以内であり、つまり、約0.9%である。また、15分時点で、製造直後の溶出率に対する変動が±10%以内であり、つまり、5.6%である。従って、長期に渡って安定した溶出率を維持できることがわかる。
実施例及び比較例で得られた素錠及びフィルムコーティング錠、さらに参考例として市販のイルベサルタン錠(大日本住友製薬社製、100mg錠)をそれぞれ1個とり、日局溶出試験第2液(pH6.8)900mLを用い、パドル法により、毎分50回転で試験を行った。溶出試験を開始し、規定時間後、溶出液10mLを正確に採取し、直ちに37±0.5℃に加温した試験液10mLを正確に注意して補った。溶出液は孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。初めのろ液5mLを除き、次のろ液を試料溶液とした。別にイルベサルタン約56mgを精密に量り、メタノールに溶かし正確に25mLとした。この液2.5mLを正確に量り、試験液を加えて正確に50mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液について、紫外可視吸光光度計(波長:280nm)にてそれぞれの吸光度AT及びASを測定した。n回目の溶出液採取時におけるイルベサルタンの表示量に対する溶出率(%)を以下の式で算出した。
Claims (5)
- イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含む医薬組成物であって、
イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含んでなる造粒物と、
クロスカルメロースナトリウムの粉末又は造粒物との混合物を含むことを特徴とする医薬組成物。 - さらに滑沢剤を含む請求項1に記載の医薬組成物。
- 滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである請求項2に記載の医薬組成物。
- イルベサルタン、乳糖水和物、結晶セルロース、ポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを含む組成物を造粒し、
得られた造粒物と、クロスカルメロースナトリウムの粉末又は造粒物とを混合することを特徴とする医薬組成物の製造方法。 - 前記造粒を、撹拌造粒又は流動層造粒にて行う請求項4に記載の製造方法。
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