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JP6662864B2 - ガンマ−ラクタムのエステルプロドラッグ及びそれらの使用 - Google Patents

ガンマ−ラクタムのエステルプロドラッグ及びそれらの使用 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれ、かつ優先権の基礎として役立ち、かつ/または本出願の請求に有益である2014年10月2日出願の米国特許仮出願62/058,802号の利益を請求する。
分野
本発明は、ガンマ−ラクタム化合物のエステルプロドラッグ、ならびに特に緑内障及び黄斑変性を含む眼疾患を治療するためにそのような化合物を使用する方法を対象とする。
緑内障は世界的に、失明の主因である。実際に、米国では250万人超が、この疾患に罹患しており、さらに数百万人が、緑内障を発症するリスクを有する。その集団が高齢化するにつれて、高齢者に偏って罹患しているので、緑内障に罹患する個体の数は増え続けるであろう。
緑内障の病因に基づき、緑内障は、原発緑内障及び続発緑内障に分類することができる。先天緑内障としても公知の原発緑内障は、他の眼状態の非存在下で起こり得、その根底にある原因は未知である。しかしながら、原発緑内障において観察される眼内圧(IOP)の上昇は、眼からの房水流の閉塞によることは分かっている。続発緑内障は、ブドウ膜炎、眼内腫瘍、拡大白内障、網膜中心静脈閉塞、眼の外傷、手術手技、及び眼内出血などの別の先在の眼疾患から生じる。一般に、後眼房から前眼房へ、続く、シュレム管への房水の外部への流れに対する何らかの干渉が、続発緑内障をもたらし得る。
現行の緑内障の治療は、産生される水性流体の量を減少させることによってか、または別法では、機械的手段を用いることで眼からの流体の流出を増大させることによって、眼内圧を低下させることを目指している。緑内障を治療するために使用される局所適用のための薬剤には、流体の流出を増大させる縮瞳薬(例えば、Isopto(登録商標)Carpine、Ocusert(登録商標)、Pilocar(登録商標)、及びPilopine(登録商標))及びエピネフリン(例えば、Epifrin(登録商標)及びPropine(登録商標));ベータ遮断薬(例えば、Betagan(登録商標)、Betimol(登録商標)、Betoptic(登録商標)、Ocupress(登録商標)、Timoptic(登録商標)、Optipranalol(登録商標));流体の量を減少させる炭酸脱水酵素阻害薬及びアルファアドレナリン作動性アゴニスト(例えば、Alphagan(登録商標)、Iopidine(登録商標)、Trusopt(登録商標));ならびに二次的排液経路を通過しての流体の流出を増大させるプロスタグランジン類似体(例えば、Lumigan(登録商標)、Rescula(登録商標)、Travatan(登録商標)、Xalatan(登録商標))が含まれる。
緑内障を治療するための眼科用組成物の局所適用は、角膜を通過して、房水を含有する前房へと薬物が浸透することを必要とし、その房水は次いで、従来の流出経路に排出される。眼内圧は、シュレム管及びブドウ膜−強膜経路において作用する薬物によって低下する。角膜を通過しての薬物の浸透は、疎水性特徴及び親水性特徴の均衡を必要とする。角膜内に拡散するためには、薬物は、非極性媒体中で十分に溶解性でなくてはならず、かつ角膜から房水内に拡散するために、水性媒体中で十分に溶解性でなければならない。
緑内障を治療するための潜在的に有用な薬物は、プロドラッグエステルとして送達され得る。酵素によって(例えば、角膜において)切断されて、活性化合物を再生するプロドラッグエステルの使用は、角膜から前房への薬物の浸透を増強し得る。しかしながら、多くのエステルは、角膜の比較的非極性な外側層から房水へと拡散するには疎水性すぎる。さらに、そのような化合物は多くの場合に、水溶液で製剤化するには溶解性が不十分である。したがって、角膜を通過して前房へと浸透することができる眼科用組成物が、当技術分野において必要とされている。同時に、そのような組成物は、水溶液で製剤化するために、かつ前房において溶解性であるように十分な親水特性を示す必要がある。当技術分野におけるこれらの必要性及び他の必要性に対処する組成物及び方法を、本明細書において提供する。
第1の態様では、式(I)の構造式を有する化合物:
またはその薬学的に許容される塩を提供する。式(I)に関して、R1は、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル、または置換もしくは非置換2〜10員ヘテロアルキルである。L1は、結合、置換もしくは非置換C1〜C10アルキレン、または置換もしくは非置換2〜10員ヘテロアルキレンである。L2は、結合、置換もしくは非置換C1〜C10アルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである。R2は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
別の態様では、本明細書において開示するとおりの式(I)の化合物及び眼科的に許容される医薬品添加剤を含む眼科用医薬組成物を提供する。
別の態様では、対象において眼疾患を治療するための方法を提供する。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。当該方法は、治療有効量の本明細書において開示する化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
別の態様では、角膜肥厚化を低減するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載のとおりの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
詳細な説明
I.定義
本明細書において使用する略語は、化学及び生物学分野内でのそれらの従来の意味を有する。本明細書において示す化学構造及び化学式は、化学分野において公知の化学的原子価の標準規則に従って構築されている。
置換基が、左から右へと書かれるそれらの従来の化学式によって指定されている場合には、それらは、その構造を右から左へと書くと生じるであろう化学的に同一な置換基を同等に包含し、例えば、−CH2O−は、−OCH2−と同等である。
置換基がある範囲として指定されている場合には、その範囲は、その範囲の出発値と終了値を含む、置換基のそれぞれ個別の整数値を包含する。例えば、「C1〜C6アルキル」(または「C1〜C6アルキル」または「C1〜6アルキル」)との置換基の記載は、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、及びC6アルキルを包含する。同様に、「0から3」(または「0〜3」)であるとの「n」(例えば、「(CH2n」)の値の記載は、0、1、2、及び3の「n」の値を包含する。当業者は、本開示を読めば、同様の考慮が、範囲に関して記載され得る他の置換基にも当てはまることを了解するであろう(例えば、「5〜10個の環原子」及び「1〜3個の環」)。
「アルキル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、別段に述べない限り、完全に飽和しているか(本明細書では「飽和アルキル」と称される)、モノ不飽和またはポリ不飽和であってよく、かつ二価及び多価ラジカルを含むことができる、指定の炭素原子数(すなわち、C1〜C10は、1〜10個の炭素を意味する)を有する直鎖(すなわち、非分枝)もしくは分枝鎖、またはそれらの組合せを意味する。一部の実施形態では、本明細書において提供する化合物の置換基として記述するすべてのアルキルは、飽和アルキルである。飽和炭化水素ラジカルの例には、これらだけに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチルなどの基、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルの同族体及び異性体が含まれる。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する基である。「アルコキシ」は、酸素リンカー(−O−)を介して、分子の残りの部分に結合しているアルキルである。「アルキルチオ」は、硫黄リンカー(−S−)を介して、分子の残りの部分に結合しているアルキルである。「ハロアルコキシ」は、ハロゲンで置換されているアルコキシである。ハロゲンがフルオロである場合には、これは、本明細書において、「フルオロアルコキシ」と称される。「アルキル」という用語には、飽和アルキル、アルケニル、及びアルキニルが含まれる。飽和アルキルは、1〜10個または1〜6個の炭素原子を有してよい。「アルケニル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、別段に述べない限り、1つまたは複数の二重結合を有する直鎖(すなわち、非分枝)または分枝炭化水素鎖(例えば、2〜10個、または2〜6個の炭素原子)を意味する。不飽和アルキル基の例には、これらだけに限定されないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)などが含まれる。「アルキニル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、別段に述べない限り、1つまたは複数の三重結合を有する直鎖(すなわち、非分枝)または分枝炭化水素鎖(例えば、2〜10個または2〜6個の炭素原子)を意味する。アルキニル基の例には、これらだけに限定されないが、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニルなどが含まれる。
「アルキレン」、「アルケニレン」、及び「アルキニレン」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、限定ではないが、メチレン、エチレン、−CH2CH2CH2CH2−、ビニレンなどによって例示されるとおり、アルキル、アルケニル、またはアルキニルに由来する二価ラジカルを意味する。
「アミノ」という用語は、本明細書において使用する場合、−NH2を意味する。「カルボキシ」という用語は、本明細書において使用する場合、−COOH(その薬学的に許容される塩を含む)を意味する。
「ヘテロアルキル」という用語は、単独で、または別の用語と組み合わせて、別段に述べない限り、少なくとも1個の炭素原子、及びO、N、P、Si、またはSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子からなる安定な直鎖もしくは分枝鎖またはその組合せを意味し、その際、窒素及び硫黄原子は、任意選択で酸化されていてよく、かつ窒素ヘテロ原子は、任意選択で第四級化されていてよい。ヘテロ原子(複数可)O、N、P、及びS、及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはアルキル基が分子の残りの部分に結合する位置に配置されていてよい。例には、これらだけに限定されないが、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH33、−CH2−CH=N−OCH3、−CH=CH−N(CH3)−CH3、−O−CH3、−O−CH2−CH3、及び−CNが含まれる。例えば、−CH2−NH−OCH3など、最高2個のヘテロ原子が連続してよい。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、限定ではないが、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−及び−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−によって例示されるとおり、ヘテロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子は、鎖末端の一方または両方を占めることもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。上記のとおり、ヘテロアルキル基は、本明細書において使用する場合、ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合している基を含む。
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独で、または他の用語と組み合わせて、別段に述べない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の非芳香族環式バージョンを表す(例えば、4〜8個の環原子を有する)。加えて、ヘテロシクロアルキルでは、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に結合する位置を占めることができる。ヘテロシクロアルキルは、N、O、またはS(O)n’(n’は、0〜2の整数である)から選択される1個または2個の環ヘテロ原子を含んでよく、残りの環原子は炭素である。ヘテロシクロアルキルまたはシクロアルキル環は、任意選択で本明細書において定義するとおりの1個または複数個のアリールまたはヘテロアリール環に縮合している(例えば、そのアリール及びヘテロアリール環は、単環式である)。単環式アリールまたはヘテロアリール環に縮合したヘテロシクロアルキルまたはシクロアルキル環は、本出願において、「二環式ヘテロシクロアルキル」環または「二環式シクロアルキル」環と称され得る。加えて、ヘテロシクロアルキル環中の1個または2個の環炭素原子は、任意選択で−CO−基によって置き換えられ得る。より具体的には、ヘテロシクロアルキルという用語には、これらだけに限定されないが、ピロリジノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、2−オキソピロリジニル、2−オキソピペリジニル、モルホリノ、ピペラジノ、テトラヒドロピラニル、チオモルホリノ、ジヒドロインドリルなどが含まれる。ヘテロシクロアルキル環が不飽和である場合には、これは、その環が芳香族でなければ、1個または2個の環二重結合を含有し得る。ヘテロシクロアルキル基が少なくとも1個の窒素原子を含有する場合には、これは、本明細書において、ヘテロシクロアミノとも称され得て、ヘテロシクロアルキル基のサブセットである。ヘテロシクロアルキル基が飽和環であり、かつ上述のとおりのアリールまたはヘテロアリール環に縮合していない場合には、これは、本発明では、飽和単環式ヘテロシクロアルキルと称され得る。シクロアルキルの例には、これらだけに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが含まれる。ヘテロシクロアルキルの例には、これらだけに限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが含まれる。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、それぞれシクロアルキル及びヘテロシクロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、別段に述べない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことが意図されている。例えば、「ハロ(C1〜C4)アルキル」という用語は、これらに限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むことが意図されている。
「アシル」という用語は、Rが置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである−C(O)Rを意味する。
「アリール」という用語は、別段に述べない限り、単環か、または一緒に縮合していても(すなわち、縮合環アリール)、共有結合性に連結していてもよい多環(好ましくは、1〜3個の環)であり得る芳香族置換基を意味する。縮合環アリールは、縮合環の少なくとも1個がアリール環(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、または4−ビフェニル)である、一緒に縮合している多環を指す。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSから選択される1個または複数個(例えば、4個)のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、その際、その窒素及び硫黄原子は、任意選択で酸化されており、かつ窒素原子(複数可)は、任意選択で第四級化されており、残りの環原子は炭素である。ヘテロアリールは、5〜14個(例えば、5〜10)個の環原子の一価単環式、二環式、または三環式(例えば、単環式または二環式)芳香族ラジカルであってよく、この際、1個または複数個(例えば、1、2、または3、または4個)の環原子は、N、O、またはSから選択されるヘテロ原子である。例には、これらだけに限定されないが、チエニル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ベンゾチアゾリル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、及び6−キノリルが含まれる。したがって、「ヘテロアリール」という用語には、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環の少なくとも1個がヘテロ芳香環である、一緒に縮合している多環)が含まれる。5,6−縮合環ヘテロアリールは、一方の環が5員を有し、かつ他方の環が6員を有し、その際、少なくとも1個の環がヘテロアリール環である、一緒に縮合している2個の環を指す。同様に、6,6−縮合環ヘテロアリールは、一方の環が6員を有し、かつ他方の環が6員を有し、その際、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、一緒に縮合している2個の環を指す。そして、6,5−縮合環ヘテロアリールは、一方の環が6員を有し、かつ他方の環が5員を有し、その際、少なくとも1個の環がヘテロアリール環である、一緒に縮合している2個の環を指す。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合し得る。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」は、単独で、または別の置換基の一部として、それぞれアリール及びヘテロアリールに由来する二価ラジカルを意味する。
「アリールアルキル」及び「ヘテロアリールアルキル」という用語は、炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば、酸素原子によって置き換えられているアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)を含む、アリール基またはヘテロアリール基がアルキル基に結合しているラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことが意図されている。
「オキソ」という用語は、本明細書において使用する場合、炭素原子に二重結合している酸素を意味する。「カルボニル」という用語は、本明細書において使用する場合、−C(O)−基を指す。
という記号は、当技術分野における慣例として、置換基の結合点を示す。
「任意選択の」または「任意選択で」は、後に記載する事象または状況が、起こってもよいが起こらなくてもよいこと、及びその記載が、その事象または状況が起こっている場合と、それらが起こっていない場合とを含むことを意味する。例えば、「任意選択でアルキル基で置換されているヘテロシクロアルキル」は、そのアルキルが存在してよいが、存在しなくてもよいこと、及びその記載が、ヘテロシクロアルキル基がアルキル基で置換されている状況と、ヘテロシクロアルキル基がアルキルで置換されていない状況とを含むことを意味する。
「アルキルスルホニル」という用語は、本明細書において使用する場合、式−S(O2)−R’(式中、R’は、上記で定義したとおりのアルキル基である)を有する部分を意味する。R’は、指定の数の炭素を有し得る(例えば、「C1〜C4アルキルスルホニル」)。
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)のそれぞれは、別段に述べない限り、示されているラジカルの置換及び非置換形態の両方を含むことが意図されている。
アルキル及びヘテロアルキルラジカル(多くの場合にアルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと称される基を含む)のための置換基は、これらだけに限定されないが:−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R’”、−NR”C(O)2R’、−NR’−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR””、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−NRSO2R’、−CN、及び−NO2から、0〜(2m’+1)の範囲の数(ここで、m’は、そのようなラジカル中の炭素原子の総数である)で選択される様々な基の1個または複数個であり得る。R’、R”、R’”及びR””はそれぞれ独立に、水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール(例えば、1〜3個のハロゲンで置換されているアリール置換)、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が1個よりも多いR基を含む場合には、例えば、R基のそれぞれは独立に選択され、各R’、R”、R’”及びR””基も、1個よりも多くのこれらの基が存在する場合には、同様である。R’及びR”が同じ窒素原子に結合している場合には、それらは、その窒素原子と組み合わさって、4員、5員、6員、または7員環を形成し得る。例えば、−NR’R”は、これらに限定されないが、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことが意図されている。置換基の上記の論述から、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、−CF3及び−CH2CF3)及びアシル(例えば、−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3など)などの、水素基以外の基に結合している炭素原子を含む基を含むことが意図されていることを理解するであろう。
アルキルラジカルのために記載した置換基と同様に、アリール及びヘテロアリール基のための置換基は、様々であり、かつ例えば:ハロゲン、−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR’R”、−NR”C(O)2R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR’−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−NR’SO2R’、−CN及び−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1〜C4)アルコキシ、ならびにフルオロ(C1〜C4)アルキルから、0から芳香環系上の空原子価(open valences)の総数までの範囲の数で選択され;ここで、R’、R”、R’”及びR””は好ましくは、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、及び置換または非置換ヘテロアリールから独立に選択される。本発明の化合物が1個よりも多いR基を含む場合には、例えば、R基のそれぞれは、独立に選択され、各R’、R”、R’”及びR””基も、1個よりも多くのこれらの基が存在する場合には、同様である。
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、任意選択で式−T−C(O)−(CRR’)q−U−の環を形成していてよい(式中、T及びUは独立に、−NR−、−O−、−CRR’−または単結合であり、qは、0〜3の整数である)。別法では、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、任意選択で式−A−(CH2r−B−の置換基で置き換えられていてよい(式中、A及びBは独立に、−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)2NR’−、または単結合であり、rは、1〜4の整数である)。こうして形成される新たな環の単結合の1つは、任意選択で二重結合で置き換えられていてよい。別法では、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の2個の置換基は、任意選択で式−(CRR’)s−X’−(C”R’”)d−の置換基で置き換えられていてよい(式中、s及びdは独立に、0〜3の整数であり、X’は、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−S(O)2NR’−である)。置換基R、R’、R”、及びR’”は好ましくは、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、及び置換または非置換ヘテロアリールから独立に選択される。
別段に述べない限り、「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及びケイ素(Si)を含むことが意図されている。
「置換基」は、本明細書において使用する場合、次の部分(A)及び(B)から選択される基を意味する:
(A)−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、ならびに
(B)下記(i)及び(ii)から選択される少なくとも1個の置換基で置換されているアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリール:
(i)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び
(ii)下記(a)及び(b)から選択される少なくとも1個の置換基で置換されているアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリール:
(a)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び
(b)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、及び非置換ヘテロアリールから選択される少なくとも1個の置換基で置換されているアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール。
「サイズ限定置換基(substituent)」または「サイズ限定置換基(substituent group)」は、本明細書において使用する場合、「置換基」のために上記した置換基のすべてから選択される基を意味し、その際、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C1〜C20アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、置換または非置換2〜20員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C4〜C8シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、置換または非置換4〜8員ヘテロシクロアルキルである。
「低級置換基(substituent)」または「低級置換基(substituent group)」は、本明細書において使用する場合、「置換基」のために上記した置換基のすべてから選択される基を意味し、その際、各置換または非置換アルキルは、置換または非置換C1〜C8アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは、置換または非置換2〜8員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C5〜C7シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは、置換または非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルである。
別段に述べない限り、本明細書において図示する構造はまた、その構造のすべての立体化学形態;例えば、各不斉中心でのR及びS立体配置、さらには、cis及びtrans立体配置を含むことが意図されている。したがって、本化合物の単一立体化学異性体、さらには、鏡像異性及びジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。
本発明の化合物は、不斉中心及び/または幾何異性体を有し得る。不斉置換されている原子を含有する本発明の化合物は、光学的に活性な形態またはラセミ体で単離され得る。物質の分割などによって、光学的に活性な形態を調製する方法は、当技術分野において周知である。特定の立体化学形または異性体形が具体的に示されていない限り、すべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体は、本発明の範囲内である。すべての可能な互変異性体ならびにcis及びtrans異性体は、その個々の形態及び混合物と同様に、本発明の範囲内である。加えて、本明細書において使用する場合、アルキルという用語には、僅かな例のみを上述しているに過ぎなくても、アルキル基のすべての可能な異性体形が含まれる。さらに、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルなどの環式基が置換されている場合には、それらには、僅かな例のみを上述しているに過ぎなくても、すべての位置異性体が含まれる。さらに、本明細書において開示する化合物の非晶質形態を含むすべての多形形態、及び水和物は、本発明の範囲内である。
本発明のある種の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、及び個々の異性体は、本発明の範囲内に包含され、鏡像異性体も同様である。合成及び/または単離するには不安定すぎると当技術分野において公知であるものは、本発明の化合物に含まれない。
別段に述べない限り、本明細書において図示する構造はまた、1個または複数個の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意図されている。例えば、ジュウテリウムもしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13C−もしくは14C−濃縮炭素による炭素の置き換えを除いて、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
本発明の化合物は、そのような化合物を構成する1個または複数個の原子のところに非天然比率の原子同位体を含有してもよい。例えば、当該化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)、または炭素−14(14C)などの放射性同位体で放射標識されていてよい。本発明の化合物のすべての同位体変形は、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に包含される。
「a」、「an」、または「a(n)」という用語は、本明細書の置換基の基に関して使用する場合、少なくとも1個を意味する。例えば、化合物が「1個の(an)」アルキルまたはアリールで置換されている場合には、その化合物は、任意選択で少なくとも1個のアルキル及び/または少なくとも1個のアリールで置換されている。
別段に示さない限り、本明細書において開示する化合物の内容において、「誘導体」という用語は、化学的修飾によって、例えば、本明細書に記載のとおりの1個または複数個の置換基の結合によって得られる化合物を指す。
ある部分がR置換基で置換されている場合には、その基は、「R−置換(されている)」と称され得る。ある部分がR−置換されている場合には、その部分は、少なくとも1個のR置換基で置換されており、かつ各R置換基は、任意選択で異なる。例えば、本明細書に記載の部分がR1A−置換または非置換アルキルである場合には、複数個のR1A置換基が、アルキル部分に結合していてよく、その際、各R1A置換基は、任意選択で異なる。R−置換部分が複数個のR置換基で置換されている場合には、R−置換基のそれぞれを、本明細書では、R’、R”などのプライム記号(’)を使用して識別し得る。例えば、ある部分がR1A−置換または非置換アルキルであり、その部分が複数個のR1A置換基で置換されている場合には、その複数個のR1A置換基は、R1A’、R1A”、R1A’”として識別され得る。一部の実施形態では、複数個のR置換基は3である。一部の実施形態では、複数個のR置換基は、2である。
本発明の化合物の記載は、当業者に知られている化学結合の原理によって制限される。したがって、基がいくつかの置換基の1個または複数個によって置換されていてよい場合には、そのような置換は、化学結合の原理に従い、かつ本質的に不安定でなく、かつ/または水性、中性、及びいくつかの公知の生理学的条件などの周囲条件下で不安定である可能性が高いと当業者が分かるであろう化合物が得られるように選択される。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、当業者に公知の化学結合の原理を遵守し、それによって、本質的に不安定な化合物を回避するように、環ヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合している。
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物上に存在する特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことが意図されている。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合には、無溶媒か、または適切な不活性な溶媒中かのいずれかで、そのような化合物の中性形態を十分な量の所望の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または同様の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合には、無溶媒か、または適切な不活性な溶媒中かのいずれかで、そのような化合物の中性形態を十分な量の所望の酸と接触させることによって、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸に由来するもの、さらには、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸に由来する塩が含まれる。アルギニン酸塩などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる。例えば、Berge et al., “Pharmaceutical Salts”, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1−19)を参照されたい。適切な薬学的に許容される塩についての追加の情報は、参照によって本明細書に組み込まれるREMINGTON‘S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985において見出すことができる。ある種の具体的な本発明の化合物は、塩基性及び酸性官能基の両方を含有し、これらは、その化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換することを可能にする。
したがって、一部の実施形態では、本明細書において開示する化合物は、塩として存在し得る。そのような塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、またはラセミ混合物を含むその混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸などのアミノ酸との塩が含まれる。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製することができる。
当該化合物の天然形態は好ましくは、塩を塩基または酸と接触させ、かつ従来の手法で親化合物を単離することによって再生される。当該化合物の親形態は、極性溶媒への溶解性などのある種の物理的特性において、様々な塩形態とは異なる。
「プロドラッグ」という用語は、その平易な普通の意味に従って使用されており、薬理学的効果を生成する前にin vivoで活性な親薬物を放出するために、化学または酵素による変換を必要とする化合物を意味することが意図されている。プロドラッグの調製は、当技術分野において周知である。例えば、Richard B. Silverman, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2d Ed., Elsevier Academic Press: Amsterdam, 2004, pp. 496−557の1チャプターである「Prodrugs and Drug Delivery Systems」は、対象についてのさらなる詳細を提供している。
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される添加剤」は、慨して安全で、非毒性で、かつ生物学的にも、他の点でも望ましくないものではない医薬組成物を調製する際に有用である担体または添加剤を意味し、それらには、獣医学的使用、さらにはヒト医薬的使用のために許容される担体または添加剤が含まれる。「眼科的に薬学的に許容される添加剤」は、慨して安全で、非毒性で、かつ生物学的にも、他の点でも獣医学的眼科的使用及びヒト眼科的使用のために望ましくないものではない薬学的に許容される添加剤を指す。「眼科用医薬組成物」は、慨して安全で、非毒性で、かつ生物学的にも、他の点でも獣医学的眼科的使用及びヒト眼科的使用のために望ましくないものではない医薬組成物を指す。
「治療する」または「治療」という用語は、損傷、病理、または状態の治療または改善における成功の任意の兆候を指し、寛解などの任意の客観的または主観的パラメーター;緩解;症状の減退、または患者にとって損傷、病理、もしくは状態をより許容可能にすること;変性または減退速度の遅延;変性の最終点をより衰弱的でないものにすること、及び/または患者の身体的もしくは精神的健康の改善を含む。症状の治療または改善は、理学的検査の結果を含む、客観的または主観的パラメーターに基づき得る。例えば、本明細書において示す特定の方法は、眼内圧を低下させることによって、緑内障を成功裏に治療することができる。
化合物の「有効量」は、疾患(例えば、緑内障、眼内圧上昇、角膜肥厚化、及び/または本開示を読んで当業者が特定可能な他のもの)の1つまたは複数の症状の治療、予防(例えば、予防法)、及び/または低減に寄与するために十分な量である。疾患の治療に関して言及する場合、「有効量」は、「治療有効量」とも称され得る。1つまたは複数の症状の「低減」(及びこの語句の文法的等価語句)は、症状(複数可)の重症度もしくは頻度の減少、または症状(複数可)の除去を意味する。薬物の「予防的有効量」は、対象に投与した場合に、意図されている予防効果、例えば、疾患、障害、もしくは状態の発症(または再発)の予防もしくは遅延、または疾患、障害、もしくはその状態の発症(または再発)の可能性の低減を有するであろう薬物の量である。1用量の投与によって、完全な予防効果は必ずしも起こらず、一連の用量の投与後に初めて起こってもよい。一実施形態では、予防的有効量を、1回または複数回の投与で投与する。
本明細書に記載の方法の内容における「局所」という用語は、通例の意味において、適切な医薬担体に組み込まれていて、対象の局所治療部位に投与される化合物または医薬組成物の投与に関連する。したがって、「局所医薬組成物」という用語は、局所治療部位、例えば、眼または皮膚と直接接触させることによって、化合物が外部で投与される医薬形態を含む。「局所眼科用医薬組成物」という用語は、眼に直接投与するために適した医薬組成物を指す。「局所表皮用医薬組成物」という用語は、皮膚の表皮層、例えば、眼けん、眉毛、頭皮、または身体を対象とする投与に適した医薬組成物を指す。「局所投与」という用語は、局所治療部位と直接接触させることによる外部での投与を指す。「局所表皮投与」という用語は、表皮と直接接触させることによる外部での投与を指す。「局所眼科投与」という用語は、眼と直接接触させることによる外部での投与を指す。
II.化合物
第1の態様では、式(I)の構造を有する化合物:
またはその薬学的に許容される塩を提供する。式(I)に関して、R1は、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル、または置換もしくは非置換2〜10員ヘテロアルキルである。L1は、結合、置換もしくは非置換C1〜C10アルキレン、または置換もしくは非置換2〜10員ヘテロアルキレンである。L2は、結合、置換もしくは非置換C1〜C10アルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである。R2は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。一実施形態では、R2は、ヒドロキシエチルではない。
一実施形態では、R1は、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル、または置換もしくは非置換2〜10員ヘテロアルキルであり、ここで、「置換されている」基は、R1Aによって置換されており、R1Aは、ヒドロキシルまたはハロゲンである。官能基(例えば、「C1〜C10アルキル」)が置換されているならば(例えば、「〜によって置換されているC1〜C10アルキル」)、置換は、単回置換または複数回置換(すなわち、「複数置換」)であり得、各置換基は、任意の他の置換基から独立に選択されることは理解されるであろう。例えば、本明細書において開示する式の内容における「R1Aによって置換されているC1〜C10アルキル」という用語は、i)1個の置換基R1A、またはb)複数個の置換基R1Aを伴う複数個の置換基(ここで、R1Aは出現する毎に、独立に選択される)を有するC1〜C10アルキルを指す。
一実施形態では、R1は、非置換C1〜C10アルキルまたは非置換2〜10員ヘテロアルキルである。一実施形態では、R1は、非置換C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、またはC10アルキルである。一実施形態では、R1は、非置換2〜10員ヘテロアルキル、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10員ヘテロアルキルである。
一実施形態では、R1は、非置換C1〜C10アルキル、またはR1Aによって置換されているC1〜C10アルキルである。一実施形態では、C1〜C10アルキルは、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、またはC10アルキルである。一実施形態では、R1は、R1Aによって置換されているC1〜C10アルキルである。一実施形態では、R1は、R1Aによって置換されているC6アルキルである。一実施形態では、R1は、ヒドロキシル−置換C6アルキルである。
一実施形態では、R1は、非置換2〜10員ヘテロアルキル、またはR1Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキルである。一実施形態では、R1Aは、ヒドロキシルまたはハロゲンである。一実施形態では、R1Aは、ヒドロキシルである。一実施形態では、R1Aは、ハロゲンである。一実施形態では、R1Aは、フルオロである。
一実施形態では、L1は、置換または非置換C1〜C6アルキレンである。一実施形態では、L1は、非置換C1〜C6アルキレンである。一実施形態では、L1は、非置換C1、C2、C3、C4、C5、またはC6アルキレンである。一実施形態では、L1は、置換または非置換プロピレンである。一実施形態では、L1は、L1Aによって置換されているC1〜C10アルキレン、またはL1Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキレンであり、ここで、L1Aは出現する毎に独立に、ハロゲンまたはヒドロキシルである。一実施形態では、L1Aは、フルオロである。一実施形態では、L1は、非置換C1〜C10アルキレン、またはL1Aによって置換されているC1〜C10アルキレンであり、ここで、L1Aは出現する毎に独立に、ヒドロキシルまたはハロゲンである。一実施形態では、L1Aは、ヒドロキシルである。一実施形態では、L1Aは、ハロゲンである。一実施形態では、L1Aは、フルオロである。一実施形態では、L1は、L1Aによって置換されているC2〜C6アルキレンであり、L1Aは、ハロゲンである。一実施形態では、L1は、L1Aによって置換されているC2〜C6アルキレンであり、L1Aは、フルオロである。一実施形態では、L1は、非置換C2〜C6アルキレンである。一実施形態では、L1は、非置換プロピレンである。
一実施形態では、L2は、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである。一実施形態では、L2は、非置換C1〜C10アルキレン、L2Aによって置換されているC1〜C10アルキレン、L2Aによって置換されているアリーレン、またはL2Aによって置換されているヘテロアリーレンであり、L2Aは、ヒドロキシルまたはハロゲンである。一実施形態では、L2は、L2Aによって置換されているヘテロアリーレンである。一実施形態では、L2は、非置換ヘテロアリーレンである。一実施形態では、L2は、非置換C1〜C10アルキレンである。一実施形態では、L2は、L2Aによって置換されているC1〜C10アルキレンである。一実施形態では、L2は、非置換アリーレン、非置換ヘテロアリーレン、または非置換アルキレンである。一実施形態では、L2は、非置換アリーレンである。一実施形態では、L2は、非置換アルキレンである。
一実施形態では、L2は、非置換ピリジニレン、非置換チオフェニレン、非置換ピロリレン、または非置換フラニレンである。「ピリジニレン」、「チオフェニレン」、「ピロリレン」、「フラニレン」などの用語は、当技術分野において通例のとおり、それぞれピリジン、チオフェン、ピロール、及びフランの二価形態を指す。当業者は、例えば、「ピリジニレン」、「チオフェニレン」、「ピロリレン」、及び「フラニレン」という用語が、ピリジンジイル、チオフェンジイル、ピロレジル、及びフルナジイル(furnadiyl)などと同等であることを直ちに理解するであろう。
一実施形態では、R2は、置換もしくは非置換C1〜C10アルキル、または置換もしくは非置換2〜10員ヘテロアルキルである。一実施形態では、R2は、置換または非置換C1〜C10アルキルである。一実施形態では、R2は、置換または非置換2〜10員ヘテロアルキルである。
一実施形態では、R2は、非置換C1〜C10アルキル、R2Aによって置換されているC1〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、またはR2Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキルである。R2Aは出現する毎に独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、非置換アルキル、R2Bによって置換されているアルキル、非置換ヘテロアルキル、R2Bによって置換されているヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、R2Bによって置換されているシクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、R2Bによって置換されているヘテロシクロアルキル、非置換アリール、R2Bによって置換されているアリール、非置換ヘテロアリール、またはR2Bによって置換されているヘテロアリールである。R2Bは出現する毎に独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、非置換アルキル、R2Cによって置換されているアルキル、非置換ヘテロアルキル、R2Cによって置換されているヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、R2Cによって置換されているシクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、R2Cによって置換されているヘテロシクロアルキル、非置換アリール、R2Cによって置換されているアリール、非置換ヘテロアリール、またはR2Cによって置換されているヘテロアリールである。R2Cは出現する毎に独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールである。
一実施形態では、R2は、非置換C1〜C10アルキル、またはR2Aによって置換されているC1〜C10アルキルである。一実施形態では、R2は、非置換2〜10員ヘテロアルキル、またはR2Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキルである。
一実施形態では、R2Aは、非置換アルキル、R2Bによって置換されているアルキル、非置換ヘテロアルキル、またはR2Bによって置換されているヘテロアルキルである。一実施形態では、R2Aは、非置換アルキル、またはR2Bによって置換されているアルキルである。一実施形態では、R2Aは、非置換ヘテロアルキル、またはR2Bによって置換されているヘテロアルキルである。
一実施形態では、R2Aは、ハロゲンまたはヒドロキシルである。一実施形態では、R2Aは、ハロゲンである。一実施形態では、R2Aは、ヒドロキシルである。一実施形態では、R2Aは、フルオロである。
一実施形態では、L2は、チオフェン−2,5−ジイルである。一実施形態では、L1は、プロピレン−1,3−ジイルである。
一実施形態では、R2は、1個の置換基R2Aまたは複数個の置換基R2Aで置換されており、ここで、R2Aは出現する毎に独立に選択される。一実施形態では、R2Aは出現する毎に、ハロゲンである。一実施形態では、R2Aは出現する毎に、ヒドロキシルである。
一実施形態では、式(II)の構造を有する化合物を提供する:
[式中、nは、1〜10であり、R2Dは出現する毎に独立に、水素またはヒドロキシルである]。一実施形態では、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。一実施形態では、1、2、3、4、5、または6個の置換基R2Dは、水素ではない。一実施形態では、2個の置換基R2Dは、水素ではない。一実施形態では、3個の置換基R2Dは、水素ではない。一実施形態では、4個の置換基R2Dは、水素ではない。一実施形態では、5個の置換基R2Dは、水素ではない。一実施形態では、6個の置換基R2Dは、水素ではない。一実施形態では、1個の置換基R2Dは、ヒドロキシルである。一実施形態では、2個の置換基R2Dは、ヒドロキシルである。一実施形態では、3個の置換基R2Dは、ヒドロキシルである。一実施形態では、4個の置換基R2Dは、ヒドロキシルである。一実施形態では、nは、1より大きく、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
一実施形態では、式(III)の構造を有する化合物を提供する:
一実施形態では、式(IIIa)の構造を有し、本明細書において化合物3とも称される化合物を提供する:
一実施形態では、式(IIIb)の構造を有し、本明細書において化合物5とも称される化合物を提供する:
一実施形態では、式(IV)の構造を有する化合物を提供する:
一実施形態では、当該化合物は、下式の1つの構造を有する:
一実施形態では、式(V)の構造を有する化合物を提供する:
一実施形態では、当該化合物は、下式の1つの構造を有する
一実施形態では、式(VI)の構造を有する化合物を提供する:
一実施形態では、当該化合物は、下式の1つの構造を有する
その化合物が薬学的に許容される塩の形成を許すときには、本明細書に記載の化合物、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)のいずれか1つの構造を有する化合物、またはその誘導体、異性体、もしくはまたは鏡像異性体は、適用可能な場合に、本明細書において定義するとおりの薬学的に許容される塩として提供され得ることは理解される。一実施形態では、その化合物が薬学的に許容される塩の形成を許すときには、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)のいずれか1つの構造を有する化合物、またはその異性体もしくは鏡像異性体の薬学的に許容される塩を提供する。
III.医薬組成物
別の態様では、眼科的薬学的添加剤及び本明細書において提供する化合物(例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の構造を有する化合物、またはその誘導体、異性体、または鏡像異性体であり、かつ本開示を読めば当業者が特定可能なその実施形態を含む)を含む眼科用医薬組成物を提供する。
一実施形態では、当該化合物は、式(I)の構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(II)の構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(III)の構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(IIIa)〜(IIIb)の1つの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(IV)の構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(IVa)〜(IVd)の1つの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(V)の構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(Va)〜(Vh)の1つの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(VI)の構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(VIa)〜(VIp)の1つの構造を有する。
一実施形態では、当該医薬組成物は、液剤、乳剤、ゲル剤、またはフォーム剤である。一実施形態では、当該医薬組成物は、液剤である。一実施形態では、当該医薬組成物は、乳剤である。一実施形態では、当該医薬組成物は、ゲル剤である。一実施形態では、当該医薬組成物は、フォーム剤である。
一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物)が組成物の一部である場合には、当該化合物は、本明細書に記載の生物学的効果(例えば、眼内圧の低下、及び本開示を読めば当業者が特定可能な他のものなど)をもたらす唯一の活性成分である。「活性成分」という用語は、本明細書において使用する場合、本明細書に記載の生物学的効果(例えば、緑内障、眼内圧上昇、黄斑変性などの治療、及び本開示を読めば当業者が特定可能な他のもの)を担う成分を指す一方で、当該組成物の他の成分(例えば、添加剤、担体、及び希釈剤)は、製剤の一部として必要か、または望ましい、組成物における他の機能(例えば、滑沢、着香、pH調整、乳化、及び本明細書に記載の生物学的効果以外の他の機能)を有するとしても、生物学的効果を担うことはない。
A.製剤
本明細書において開示する化合物及び医薬組成物は、液剤、乳剤、ゲル剤、またはフォーム剤を含む様々な形態で調製及び投与することができる。したがって、本明細書において企図する医薬組成物は、薬学的に許容される担体または添加剤、及び1種または複数種の本明細書に記載の化合物を含む。「液剤」は、通例の意味で、化合物(例えば、本明細書に記載の化合物)が少なくとも部分的に溶解していて、好ましくは完全に溶解していて、液体として投与することができる液体医薬組成物を指す。「乳剤」は、通例の意味で、2種以上の不混和性液体の混合物を指し、その際、1種の化合物(例えば、本明細書に記載の化合物またはその溶液)は、他の化合物(例えば、本明細書に記載のとおりの担体)全体に分散している。「ゲル剤」は、通例の意味で、粘稠性な半硬質流体が生じている、連続流体相内の化合物の高度に粘稠性の液剤、乳剤、またはコロイド状懸濁剤を指す。「コロイド剤」は、通例の意味で、重力の影響下でも沈降しない小さい粒子が全体に分散している連続媒体を含む組成物を指す。「フォーム剤」は、通例の意味で、ガス(例えば、空気)が全体に分散している連続媒体(すなわち、液剤、乳剤、ゲル剤など)を含む組成物を指す。
活性成分として本明細書に記載するとおりの治療有効量の少なくとも1種の化合物を1種または複数種の従来の薬学的に許容される添加剤と組み合わせて混合し、かつ局所使用に適した単位剤形を調製することによって、本明細書において企図する医薬組成物を調製し得る。治療有効量は典型的には、液剤、乳剤、ゲル剤、及びフォーム剤を含む液体製剤において約0.0001〜約5%(w/v)、好ましくは約0.001〜約1.0%(w/v)である。本発明において使用するために適した薬学的混合物には、例えば、その教示が両方とも参照によって本明細書に組み込まれるPHARMACEUTICAL SCIENCES (17th Ed., Mack Pub. Co., Easton, PA)及びWO96/05309において記載されているものが含まれる。
当該医薬製剤は好ましくは、単位剤形の形である。そのような形態では、当該製剤を、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分する。単位剤形は、パッケージングされた製剤であり得、そのパッケージは、パッケージングされた錠剤、カプセル剤、及びバイアルまたはアンプル中の散剤などの別個の量の製剤を含有する。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ剤自体であり得るか、またはこれは、パッケージングされた形態の、適切な数のこれらのいずれかであり得る。
一部の化合物は、水中で限られた溶解性を有することがあり、したがって、それらは、組成物中に界面活性剤または他の適切な補助溶媒を必要とすることがある。そのような補助溶媒には、Polysorbate20、60、及び80;Pluronic F−68、F−84、及びP−103;シクロデキストリン;ならびにポリオキシル35ヒマシ油が含まれる。そのような補助溶媒を典型的には、約0.01重量%〜約2重量%のレベルで使用する。
製剤の分注における変動性を減少させるために、製剤の懸濁液もしくは乳濁液の成分の物理的分離を減少させるために、かつ/または別段に製剤を改善するために、単純な水溶液の粘度を上回る粘度が望ましいことがある。そのような増粘剤(viscosity building agent)には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、硫酸コンドロイチン及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、ならびに上述のものの組合せが含まれる。そのような薬剤を典型的には、約0.01重量%〜約2重量%のレベルで使用する。
本発明の組成物は加えて、持続放出及び/または快適性を提供するための成分を含んでよい。そのような成分には、高分子量陰イオン性粘液模倣ポリマー、ゲル化多糖類、及び微粉化薬物担体基剤が含まれる。これらの成分は、米国特許第4,911,920号;同第5,403,841号;同第5,212,162号;及び同第4,861,760号においてより詳細に論述されている。これらの特許の全内容は、それらの全体がすべての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2011−0124736A1号(米国特許出願第12/940,711号にも対応)は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
眼科適用では、好ましい液剤を、主なビヒクルとして生理食塩水を使用して調製する。そのような点眼剤のpHを好ましくは、適切な緩衝剤系を用いて、4.5〜8.0に維持すべきであり、中性pHが好ましいが、必須ではない。当該製剤はまた、従来の薬学的に許容される防腐剤、安定剤、及び界面活性剤を含有してよい。
生じる製剤が眼科的に許容される限り、pHを調整するために、様々な緩衝剤及び手段を使用してよい。したがって、緩衝剤には、酢酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、及びホウ酸塩緩衝剤が含まれる。必要に応じて、これらの製剤のpHを調整するために、酸または塩基を使用してよい。
本発明の医薬組成物において使用してもよい好ましい防腐剤には、これらだけに限定されないが、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、及び硝酸フェニル水銀が含まれる。好ましい界面活性剤は例えば、Tween80である。同様に、様々な好ましいビヒクルを、本発明の眼科用製剤において使用してよい。これらのビヒクルには、これらだけに限定されないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースシクロデキストリン、及び精製水が含まれる。
必要か、または便利な場合には、張性調整剤を添加してよい。これらには、これらだけに限定されないが、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール及びグリセリン、または任意の他の適切な眼科的に許容される張性調整剤が含まれる。
本発明において使用するために眼科的に許容される抗酸化剤には、これらだけに限定されないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、及びブチルヒドロキシトルエンが含まれる。
眼科用製剤に含まれてよい他の添加剤成分は、キレート化剤である。好ましいキレート化剤は、エデンタート二ナトリウム(edentate disodium)であるが、他のキレート剤も、その代わりに、またはそれと共に使用してよい。
本発明の眼科用製剤を好都合には、眼への適用を容易にするために、開口部を備えた容器内など、計量適用に適切な形態でパッケージングする。単位用量適用に適したバイアルは通常、適切な不活性で非毒性のプラスチック材料から作製され、一般に、液剤、乳剤、ゲル剤、またはフォーム剤約0.5〜約15mlを含有する。1つのパッケージは、1つまたは複数の単位用量を含有し得る。
防腐剤非含有液剤は多くの場合に、最大約10、好ましくは最大約5つの単位用量を含有する再密閉不可能な容器中に処方され、この際、典型的な単位用量は1〜約8滴、好ましくは1〜約3滴である。
典型的には、当該化合物を、治療を受ける身体の部分、例えば眼に局所的に、持続期間にわたって、繰返し適用する。好ましい投与計画は一般に、少なくとも1ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、最も好ましくは少なくとも6ヶ月の治療期間にわたって、規則的投与を伴うであろう。規則的投与は、1日当たり1、2、3、4回、またはさらにより多い回数であり得る。
IV.治療方法
対象または患者において、眼疾患及び障害を治療する方法を、本明細書では提供する。一部の実施形態では、対象または患者は、哺乳類である。好ましい実施形態では、対象または患者は、ヒトである。当該方法は、治療有効量の式(I)〜(VI)のいずれか1つの構造を有する化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。一実施形態では、当該方法は、治療有効量の式(I)〜(III)のいずれか1つの構造を有する化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。一実施形態では、当該方法は、治療有効量の式(I)〜(VI)のいずれか1つの構造を有する化合物、またはその誘導体、異性体、もしくは鏡像異性体を、それを必要とする対象に投与することを含む。
一実施形態では、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に記載のとおりの化合物、または本明細書に記載のとおりの眼科用医薬組成物を投与することを含む、緑内障を治療するための方法を提供する。一実施形態では、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に記載のとおりの化合物、または本明細書に記載のとおりの眼科用医薬組成物を投与することを含む、眼高血圧症を治療するための方法を提供する。一実施形態では、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に記載のとおりの化合物、または本明細書に記載のとおりの眼科用医薬組成物を投与することを含む、黄斑変性を治療するための方法を提供する。一実施形態では、当該疾患は、眼内圧の上昇から生じている。「眼内圧の上昇」という用語は、通例の意味で、医学分野の実務者によって正常と判断されるような眼内圧を上回る眼内圧を指す。何らかの理論に拘束されることは望まないが、眼内圧の上昇は、例えば、緑内障を含む様々な疾患に関連すると考えられる。
一実施形態では、眼疾患用の医薬品を製造するために、本明細書において開示する化合物を使用する方法を提供する。一実施形態では、当該化合物は、式I、II、III、IV、V、またはVIのいずれか1つの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式Iの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式IIの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式IIIの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(IIIa)〜(IIIb)の1つの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式IVの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(IVa)〜(IVd)の1つの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式Vの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(Va)〜(Vh)の1つの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式VIの構造を有する。一実施形態では、当該化合物は、式(VIa)〜(VIp)の1つの構造を有する。
別の態様では、緑内障または眼高血圧症を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の本明細書に記載のとおりの化合物、または本明細書に記載のとおりの医薬組成物を、緑内障、眼高血圧症、または他の状態を治療するために有用な別の薬物と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。
一実施形態では、カルテオロール、レボブノロール、メチパラノロール、チモロールヘミ水和物、チモロールマレイン酸塩を含むβ−遮断薬(またはβ−アドレナリン作動性アンタゴニスト)、ベタキソロールなどのβ1−選択的アンタゴニストなど、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグとの併用治療を提供する。
一実施形態では、ホウ酸エピネフリン、塩酸エピネフリン、及びジピベフリンなどの非選択的アドレナリン作動性アゴニストを含むアドレナリン作動性アゴニスト、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびにアプラクロニジン、ブリモニジンなどのα2−選択的アドレナリン作動性アゴニスト、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグとの併用治療を提供する。
一実施形態では、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミドなど、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む炭酸脱水酵素阻害薬との併用治療を提供する。
一実施形態では、カルバコール、塩酸ピロカルピン、硝酸ピロカルピン、ピロカルピンなどの直接的作用性コリン作動性アゴニストを含むコリン作動性アゴニスト、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグとの併用治療を提供する。
一実施形態では、デメカリウム、エコチオフェート、フィゾスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害薬、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグとの併用治療を提供する。
一実施形態では、グルタミン酸アンタゴニスト、またはCa2+チャネルブロッカーなどの他の神経保護薬、例えば、メマンチン、アマンタジン、リマンタジン、ニトログリセリン、デキストロファン、デトロメトルファン、CGS−19755、ジヒドロピリジン、ベラパミル、エモパミル、ベンゾチアゼピン、ベプリジル、ジフェニルブチルピペリジン、ジフェニルピペラジン、HOE166及び関連薬物、フルスピリレン、エリプロジル、イフェンプロジル、CP−101,606、チバロシン、2309BT、及び840S、フルナリジン、ニカルジピン、ニフェジムピン、ニモジピン、バルニジピン、ベラパミル、リドフラジン、乳酸プレニラミン、アミロリドなど、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグとの併用治療を提供する。
一実施形態では、ビマトプロストなどのプロスタミド、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグとの併用治療を提供する。
一実施形態では、トラボプロスト、UF0−21、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14−ジヒドロ−クロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロストなどを含むプロスタグランジンとの併用治療を提供する。
一実施形態では、WIN−55212−2及びCP−55940などのCB1アゴニストを含むカンナビノイド、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグとの併用治療を提供する。
眼疾患を治療する方法の上記で開示した任意の実施形態に加えて、一実施形態では、当該投与は、局所投与である。
別の態様では、当技術分野で公知のとおりの角膜肥厚化を低減するための方法を提供する。当該方法は、治療有効量の本明細書に記載のとおりの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。一実施形態では、対象は、緑内障に罹患している。一実施形態では、対象は、眼高血圧症に罹患している。
本明細書において使用する略語は、化学分野において通例の意味を有する。具体的な略語には、次のものが含まれる:TBDMS:tert−ブチルジメチルシリル;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;EDC:N−[3−ジメチルアミノプロピル]−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド;DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン;THF:テトラヒドロフラン;Bu4NF:テトラブチルアンモニウムフルオリド;PPTS:ピリジニウムp−トルエンスルホナート。
実施例1
(S)−2,3−ジヒドロキシプロピル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(3)
化合物3の例示的合成を、次のスキーム1において示す。
スキーム1
((S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(2)。(R)−(−)−2,3−O−イソプロピリデングリセロール(307.9mg、2.33mmol)を、23℃でDMF(3.0mL)中のカルボン酸1(100mg、0.233mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(29.8mg、0.243mmol)、及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(49.1mg、0.256mmol)の溶液に添加した。16時間にわたって撹拌した後に、反応溶液をEtOAcで希釈し、1N HCl、飽和NaHCO3水溶液、次いで、ブラインで洗浄した。有機部分を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1 hex/EtOAc、続いて、100%EtOAc)によって残渣を精製して、アセトニド保護されたエステル2 116.8mg(92%)を透明な粘稠性油状物として得た。
(S)−2,3−ジヒドロキシプロピル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(3)。エステル2(116.8mg、0.215mmol)を、23℃で1N HCl:THF(1:1、3.0mL)の混合物中で24時間わたって撹拌した。次いで、反応混合物をEtOAcで希釈し、水、飽和NaHCO3水溶液、次いでブラインで洗浄した。有機部分を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100%EtOAc、続いて、19:1 EtOAc/MeOH)によって精製して、ビスヒドロキシエステル3 90.7mg(84%)を透明な粘稠性油状物として得た。
実施例2
(R)−2,3−ジヒドロキシプロピル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(5)の合成。
((R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(4)。化合物2の調製について上記した手順に従って、カルボン酸1 100mg(0.233mmol)及び(S)−(+)−2,3−O−イソプロピリデングリセロール153.9mg(1.165mmol)を使用して、次の構造を有するアセトニド保護されたエステル4 118.8mg(94%)を得た:
(R)−2,3−ジヒドロキシプロピル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(5)。化合物3の調製について上記した手順に従って、エステル4 50.0mg(0.0.092mmol)を使用して、ビスヒドロキシエステル5 38.0mg(82%)を、次の構造を有する透明な粘稠性油状物として得た:
実施例3
5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボン酸(8)の合成
化合物8の例示的合成を次のスキーム2において示す。
スキーム2
メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(6)。ヨードメタン(0.70mL、11.3mmol)を、23℃でDMF(10mL)中のカルボン酸1(485mg、1.13mmol)及び炭酸カリウム(1.72g、12.43mmol)の混合物に添加した。反応物を密閉し、24時間にわたって撹拌した。次いで、得られた混合物をEtOAc及び水で希釈した。有機部分を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1 hex/EtOAc、続いて、100%EtOAc)によって、メチルエステル6 496.2mg(99%)を得た。
メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(7)。t−ブチルジメチルシリルクロリド(253.2mg、1.68mmol)を、23℃でDMF(10mL)中のアルコール6(496.2mg、1.12mmol)及びイミダゾール(152.4mg、2.24mmol)の溶液に添加した。16時間にわたって撹拌した後に、反応物をEtOAcで希釈し、1N HCl、飽和NaHCO3水溶液、次いで、ブラインで洗浄した。有機部分を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2:1 hex/EtOAc、続いて、1:1 hex EtOAc)によって、シリルエーテル7 592mg(95%)を得た。
5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボン酸(8)。水酸化リチウム(H2O中の0.5N溶液4.2mL、2.12mmol)を、23℃でTHF(8.4mL)中のメチルエステル7(592mg、1.06mmol)の溶液に添加した。得られた混合物を72時間にわたって撹拌した。反応物を1N HClで酸性化し、次いで、EtOAcで抽出した。有機部分をブライン(2×)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮して、カルボン酸8 525.9mg(91%)を透明なゲル様物質として得た。
実施例4
(2R,3R,4S)−2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(11)の合成
化合物11の例示的合成を、次のスキーム3において示す。
スキーム3
((4R,4’S,5R)−2,2,2’,2’−テトラメチル−[4,4’−ビ(1,3−ジオキソラン)]−5−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(9)。((4S,4’S,5R)−2,2,2’,2’−テトラメチル−[4,4’−ビ(1,3−ジオキソラン)]−5−イル)メタノール(76.9mg、0.331mmol)を、23℃でDMF(3.0mL)中のカルボン酸8(150mg、0.276mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(35.4mg、0.289mmol)、及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(58.2mg、0.303mmol)の溶液に添加した。72時間にわたって撹拌した後に、反応物溶液をEtOAcで希釈し、1N HCl、飽和NaHCO3水溶液、次いで、ブラインで洗浄した。有機部分を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1 hex/EtOAc)によって残渣を精製して、ビス−アセトニド保護されたエステル9 171.2mg(82%)を透明な粘稠性油状物として得た。
((4R,4’S,5R)−2,2,2’,2’−テトラメチル−[4,4’−ビ(1,3−ジオキソラン)]−5−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(10)。テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中の1.0M溶液0.34mL、0.339mmol)を、23℃でTHF(3.0mL)中のシリルエーテル9(171.2mg、0.226mmol)の溶液に添加した。48時間後に、反応物をEtOAcで希釈し、H2O、続いて、ブラインで洗浄した。有機部分を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1 hex/EtOAc、続いて、100%EtOAc)によって、ヒドロキシエステル10 137.0mg(94%)を得た。
(2R,3R,4S)−2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(11)。ビス−アセトニド10(45.0mg、0.070mmol)を、1N HCl:THFの混合物(1:1、3.0mL)中で23℃で48時間にわたって撹拌した。次いで、反応混合物をEtOAcで希釈し、水、飽和NaHCO3水溶液、次いで、ブラインで洗浄した。有機部分を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮して、エステル11 32.9mg(83%)を透明な粘稠性油状物として得た。
実施例5
(2R,3R,4S,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(14)の合成
(S)−2−ヒドロキシ−2−((4R,4’R,5R)−2,2,2’,2’−テトラメチル−[4,4’−ビ(1,3−ジオキソラン)]−5−イル)エチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(12)。化合物9の調製について上記した手順に従って、カルボン酸8 100mg(0.184mmol)及び(S)−1−((4R,4’R,5R)−2,2,2’,2’−テトラメチル−[4,4’−ビ(1,3−ジオキソラン)]−5−イル)エタン−1,2−ジオール57.8mg(0.221mmol)を使用して、次の構造を有するビスアセトニド保護されたエステル12 92.0mg(64%)を得た:
(S)−2−ヒドロキシ−2−((4R,4’R,5R)−2,2,2’,2’−テトラメチル−[4,4’−ビ(1,3−ジオキソラン)]−5−イル)エチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(13)。化合物10の調製について上記した手順に従って、シリルエーテル12 92.0mg(0.117mmol)を使用して、次の構造を有するヒドロキシ−エステル13 70.8mg(90%)を得た:
(2R,3R,4S,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(14)。化合物11の調製について上記した手順に従って、ビス−アセトニド13 45.0mg(0.067mmol)を使用して、エステル14 33.3mg(84%)を、次の構造を有する透明な粘稠性油状物として得た:
実施例6
(2S,3S)−2,3,4−トリヒドロキシブチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(17)の合成
((4S,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(15)。化合物9の調製について上記した手順に従って、カルボン酸8 128mg(0.235mmol)及び(+)−2,3−O−イソプロピリデン−L−スレイトール57.3mg(0.353mmol)を使用して、次の構造を有するアセトニド15 116.7mg(72%)を得た:
((4S,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(16)。化合物10の調製について上記した手順に従って、シリルエーテル15 116.7mg(0.170mmol)を使用して、次の構造を有するヒドロキシ−エステル16 55.0mg(56%)を得た:
(2S,3S)−2,3,4−トリヒドロキシブチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(17)。化合物11の調製について上記した手順に従って、アセトニド16 55.0mg(0.096mmol)を使用して、エステル17 28.0mg(55%)を次の構造を有する透明な粘稠性油状物として得た:
実施例7
(2R,3R)−2,3,4−トリヒドロキシブチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(20)の合成
((4R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(18)。化合物9の調製について上記した手順に従って、カルボン酸8 166mg(0.305mmol)及び(−)−2,3−O−イソプロピリデン−D−スレイトール74.4mg(0.456mmol)を使用して、次の構造を有するアセトニド18 116.1mg(55%)を得た:
((4R,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(19)。化合物10の調製について上記した手順に従って、シリルエーテル18 116.1mg(0.169mmol)を使用して、次の構造を有するヒドロキシ−エステル19 50.0mg(52%)を得た:
(2R,3R)−2,3,4−トリヒドロキシブチル5−(3−((S)−1−(4−((S)−1−ヒドロキシヘキシル)フェニル)−5−オキソピロリジン−2−イル)プロピル)チオフェン−2−カルボキシラート(20)。化合物11の調製について上記した手順に従って、アセトニド19 50.0mg(0.087mmol)を使用して、次の構造を有するエステル20 45.6mg(98%)を透明な粘稠性油状物として得た:
実施例8
例示的な水安定性
式(IIIa)の化合物:
を、水安定性を評価するための例示的化合物として選択した。特に、数週間にわたって複数の温度で、水溶液において貯蔵した場合の式(IIIa)の化合物の水安定性を、次の条件を使用するHPLCによって評価し:
カラム:BioWidePore C18(SUPELCO)、4.6mm×25cm、5μm
移動相A:脱イオン水中の0.1%(V/V)トリフルオロ酢酸(TFA)、0.8ミクロン濾過
移動相B:100%アセトニトリル、0.8ミクロン濾過
カラム温度:周囲温度
注入体積:30μL
UV検出:214nm
流速:1.0mL/分
ランタイム:25分
サンプル希釈剤:脱イオン水中の50%アセトニトリル
勾配条件:表1を参照されたい
表1
下記に示す標準と比較した:
安定性研究の結果を下記の表2において示す。
表2
上記の結果は、例示であり、それらに基づき、本明細書に記載の化合物は、式(IIIa)の化合物の特徴と同様の特徴を有すると予測される。
V. 例示的な実施形態
実施形態1。式(I)の構造を有する化合物:
またはその薬学的に許容される塩
[式中、
1は、非置換C1〜C10アルキル、R1Aによって置換されているC1〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、またはR1Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキルであり;
1Aは、ヒドロキシルまたはハロゲンであり;
1は、結合、C1〜C10アルキレン、2〜10員ヘテロアルキレンであり;
2は、結合、C1〜C10アルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
2は、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである]。
実施形態2。R1が、R1Aによって置換されているC1〜C10アルキル、またはR1Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキルである、実施形態1に記載の化合物。
実施形態3。R1Aが、ヒドロキシルまたはフルオロである、実施形態2に記載の化合物。
実施形態4。R1Aが、ヒドロキシルである、実施形態3に記載の化合物。
実施形態5。R1が、R1Aによって置換されているC1〜C10アルキルであり、R1Aが、ヒドロキシルである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態6。L1が、置換または非置換C1〜C6アルキレンである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態7。L1が、非置換C1〜C6アルキレンである、実施形態1から6のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態8。L1が、置換または非置換プロピレンである、実施形態1から6のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態9。L1が、L1Aによって置換されているC1〜C10アルキレン、またはR1Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキレンであり、L1Aが出現する毎に独立に、ハロゲンまたはヒドロキシルである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態10。L1Aが、ヒドロキシルである、実施形態9に記載の化合物。
実施形態11。L1Aが、フルオロである、実施形態9に記載の化合物。
実施形態12。L1が、L1Aによって置換されているC1〜C10アルキレンである、実施形態9に記載の化合物。
実施形態13。L1Aが、ヒドロキシルである、実施形態12に記載の化合物。
実施形態14。L1Aが、フルオロである、実施形態12に記載の化合物。
実施形態15。L1が、L1Aによって置換されているC2〜C6アルキレンである、実施形態9に記載の化合物。
実施形態16。L1Aが、ヒドロキシである、実施形態15に記載の化合物。
実施形態17。L1Aが、フルオロである、実施形態15に記載の化合物。
実施形態18。L1が、非置換C2〜C6アルキレンである、実施形態9に記載の化合物。
実施形態19。L1が、非置換プロピレンである、実施形態9に記載の化合物。
実施形態20。L2が、置換もしくは非置換C1〜C10アルキレン、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換ヘテロアリーレンである、実施形態1から19のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態21。L2が、L2Aによって置換されているC1〜C10アルキレン、L2Aによって置換されているアリーレン、またはL2Aによって置換されているヘテロアリーレンであり、L2Aが、ヒドロキシルまたはハロゲンである、実施形態1から20のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態22。L2が、L2Aによって置換されているヘテロアリーレンである、実施形態21に記載の化合物。
実施形態23。L2が、非置換C1〜C10アルキレン、非置換アリーレン、または非置換ヘテロアリーレンである、実施形態1から20のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態24。L2が、非置換ヘテロアリーレンである、実施形態1から20のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態25。L2が、非置換ピリジニレン、非置換チオフェニレン、非置換ピロリレン、または非置換フラニレンである、実施形態24に記載の化合物。
実施形態26。R2が、非置換C1〜C10アルキル、R2Aによって置換されているC1〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、またはR2Aによって置換されている2〜10員ヘテロアルキルであり;
2Aが出現する毎に独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、非置換アルキル、R2Bによって置換されているアルキル、非置換ヘテロアルキル、R2Bによって置換されているヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、R2Bによって置換されているシクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、R2Bによって置換されているヘテロシクロアルキル、非置換アリール、R2Bによって置換されているアリール、非置換ヘテロアリール、またはR2Bによって置換されているヘテロアリールであり;
2Bが出現する毎に独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、非置換アルキル、R2Cによって置換されているアルキル、非置換ヘテロアルキル、R2Cによって置換されているヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、R2Cによって置換されているシクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、R2Cによって置換されているヘテロシクロアルキル、非置換アリール、R2Cによって置換されているアリール、非置換ヘテロアリール、またはR2Cによって置換されているヘテロアリールであり;
2Cが出現する毎に独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールである、実施形態1から25のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態27。R2が、非置換C1〜C10アルキル、またはR2Aによって置換されているC1〜C10アルキルである、化合物実施形態26。
実施形態28。R2Aが、非置換アルキル、R2Bによって置換されているアルキル、非置換ヘテロアルキル、またはR2Bによって置換されているヘテロアルキルである、実施形態26から27のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態29。R2Aが、非置換アルキル、またはR2Bによって置換されているアルキルである、実施形態26から28のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態30。R2Aが、ハロゲンまたはヒドロキシルである、実施形態26から29のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態31。R2Aが、ヒドロキシルである、実施形態30に記載の化合物。
実施形態32。L2が、チオフェン−2,5−ジイルである、実施形態1から31のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態33。L1が、プロピレン−1,3−ジイルである、実施形態1から32のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態34。式(II)の構造を有する、実施形態33に記載の化合物:
[式中:
nは、1〜10であり;
2Dは出現する毎に独立に、水素またはヒドロキシルである]。
実施形態35。R1が、−CHOH(CH24CH3である、実施形態34に記載の化合物。
実施形態36。式(III)の構造を有する、実施形態34または35に記載の化合物:
実施形態37。式(IIIa)または(IIIb)の構造を有する、実施形態36に記載の化合物:
実施形態38。式(IV)の構造を有する、実施形態34または35に記載の化合物:
実施形態39。式(Iva)、(IVb)、(IVc)、または(IVd)の構造を有する、実施形態38に記載の化合物:
実施形態40。式(V)の構造を有する、実施形態34または35に記載の化合物:
実施形態41。式(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)、(Ve)、(Vf)、(Vg)、または(Vh)の構造を有する、実施形態40に記載の化合物:
実施形態42。式(VI)の構造を有する、実施形態34または35に記載の化合物:
実施形態43。式(VIa)、(VIb)、(VIc)、(VId)、(VIe)、(VIf)、(VIg)、(VIh)、(VIi)、(VIj)、(VIk)、(VIl)、(VIm)、(VIn)、(VIo)、または(VIp)の構造を有する、実施形態42に記載の化合物:
実施形態44。実施形態1から43のいずれか1つに記載の化合物及び眼科的に許容される添加剤を含む、眼科用医薬組成物。
実施形態45。対象において眼疾患を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1から43のいずれか1つに記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
実施形態46。前記投与が局所眼投与である、実施形態45に記載の方法。
実施形態47。前記疾患が緑内障である、実施形態45に記載の方法。
実施形態48。前記疾患が黄斑変性である、実施形態45に記載の方法。
実施形態49。前記疾患が眼内圧の上昇から生じている、実施形態45に記載の方法。
実施形態50。角膜肥厚化を低減する方法であって、治療有効量の実施形態1から43のいずれか1つに記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
実施形態51。前記対象が緑内障に罹患している、実施形態50に記載の方法。
実施形態52。前記対象が眼高血圧症に罹患している、実施形態50に記載の方法。
実施形態54。眼疾患を治療するための医薬品の製造における、実施形態1から43のいずれか1つに記載の化合物の使用。
実施形態55。前記眼疾患が、緑内障、黄斑変性、及び眼内圧の上昇からなる群から選択される、実施形態54に記載の使用。
実施形態56。角膜肥厚化を低減するための医薬品の製造における、実施形態1から43のいずれか1つに記載の化合物の使用。
本明細書を通じて、米国及びそれ以外の国の特許出願、雑誌論文、書籍の章などの刊行物を参照している。そのような刊行物はすべて明白に、対応する参照文献と共に公開されている補足/支援情報部分を含めて、それらの全体が、別段に示さない限りすべての目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。組み込まれる参照文献におけるいずれかの詳述が本明細書におけるいずれかの詳述と矛盾する限りにおいて、本明細書における詳述が優先されることとなる。
上述の記載は、ガンマ−ラクタム化合物のエステルプロドラッグ、及び特に緑内障及び黄斑変性を含む眼疾患を治療するためのそのような化合物の使用方法を詳述しており、企図する最良の様式を表している。それらは、その範囲全体を限定するものと解釈されるべきではなく;むしろ、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲の適法な解釈によってのみ決定されるべきである。

Claims (15)

  1. 式(III)、(IV)、(V)又は(VI)の構造を有する化合物:
  2. 式(IIIa)または(IIIb)の構造を有する、請求項1に記載の化合物:
  3. 式(IIIa)の構造を有する、請求項1に記載の化合物:
  4. 式(IVa)、(IVb)、(IVc)、または(IVd)の構造を有する、請求項1
    に記載の化合物:
  5. 式(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)、(Ve)、(Vf)、(Vg)、または(Vh)の構造を有する、請求項1に記載の化合物:
  6. 式(VIa)、(VIb)、(VIc)、(VId)、(VIe)、(VIf)、(VIg)、(VIh)、(VIi)、(VIj)、(VIk)、(VIl)、(VIm)、(VIn)、(VIo)、または(VIp)の構造を有する、請求項1に記載の化合物:
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物を含み及び眼科的に許容される添加剤を任意に含んでいてもよい、眼科用医薬組成物。
  8. 対象において眼疾患を治療するための、請求項7に記載の眼科用医薬組成物。
  9. 局所眼投与のための、請求項8に記載の眼科用医薬組成物。
  10. 前記疾患が緑内障である、請求項8に記載の眼科用医薬組成物。
  11. 前記疾患が黄斑変性である、請求項8に記載の眼科用医薬組成物。
  12. 前記疾患が眼内圧の上昇から生じている、請求項8に記載の眼科用医薬組成物。
  13. 対象において角膜肥厚化を低減するための、請求項7に記載の眼科用医薬組成物。
  14. 前記対象が緑内障に罹患している、請求項13に記載の眼科用医薬組成物。
  15. 前記対象が眼高血圧症に罹患している、請求項13に記載の眼科用医薬組成物。
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