JP6659998B2 - 太陽電池モジュール用の裏面保護シート、及び、それを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
先ず、本発明の太陽電池モジュール用の裏面保護シート6を用いた太陽電池モジュール1について説明する。太陽電池モジュ−ル1は、図1に示すように入射光7の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材3、太陽電池素子4、背面封止材5、裏面保護シート6が順に積層された構成からなる。
太陽電池モジュール1は、上記の各構成部材を例えば、真空熱ラミネート加工により加熱圧着して一体化することにより製造することができる。この際のラミネート温度は、130℃〜190℃の範囲内とすることが好ましい。又、ラミネート時間は、5分〜60分の範囲内が好ましく、特に8分〜40分の範囲内が好ましい。
[層構成概略]
図2に示す通り、裏面保護シート6は、基材樹脂層61と、基材樹脂層の一部に分散形成されることにより黒色のパターニングを構成している黒色層62と、を含んで構成される。又、基材樹脂層61における黒色層62が分散形成されている側の表面には、黒色層62を覆って、更に透明樹脂層63が同表面の全体に積層されていることが好ましい。以下、先ずは、本発明の裏面保護シート6における特徴的な部分である黒色層についてその詳細を説明し、続けて、その他の各層の詳細についてもそれぞれ説明する。
黒色層62は、基材樹脂層61の表面に、黒色インキ等をスクリーン印刷等の各種印刷方法によってコーティングすることによって形成される層である。又、黒色層62は、所望の形状及び配置で分散形成されることにより、裏面保護シート6の表面から視認可能な黒色のパターニングを構成する層である。
黒色層62に、好ましい意匠性と、発電効率の向上に寄与しうる赤外線透過性を付与することができる赤外線透過性暗色インキに含まれる顔料成分について説明する。この赤外線透過性暗色インキは、以下にその詳細を説明する茶色系顔料と、フタロシアニン系顔料とからなる暗色顔料を含むものであることが好ましい。このような暗色顔料を含んでなる顔料成分を含有する赤外線透過性暗色インキは、外観が暗色であって、赤外線透過率が高い優れたインキであることは後に実施例において実証されている通りである。
基材樹脂層61は、単独で上記の反射層としての機能を発揮しうる単層のシートであるか、又は、そのような反射機能を発揮する単層シートと、光線透過を阻害しない他の透明樹脂層等を積層してなる多層シートである。基材樹脂層61を形成する材料樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル系樹脂等の樹脂シートを好ましく用いることができる。
基材樹脂層61の少なくとも一部又は全部を反射層として構成する場合、この反射層は、少なくとも、750nm以上1500nm以下の近赤外線を反射する層であることが好ましい。以下、図2の裏面保護シート6における内層側基材樹脂層611が反射層である場合を想定して、当該反射層の詳細について説明する。
透明樹脂層63は、太陽電池モジュールに求められる意匠性を阻害しない程度の透過率で近赤外線及び可視光を透過する層であればよく、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができる。又、透明樹脂層63は、封止材との密着を強化する密着性透明樹脂層であってもよいし、透明接着剤層であってもよい。透明樹脂層63を上記の密着性透明樹脂層として配置する場合は、当該層を構成する樹脂として、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体樹脂(EVA樹脂)、又はポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
裏面保護シート6は、例えば黒色層62を、赤外線透過黒色インキを基材樹脂層61の表面に印刷法等により形成した後に、更に透明樹脂層63をその上にドライラミネート加工により一体化することにより製造することができる。
窒素雰囲気下、攪拌機、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、エチレングリコール(32.3質量部)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(270.8質量部)、1,6−ヘキサンジオール(122.9質量部)、アジピン酸(228.1質量部)、イソフタル酸(664質量部)を加え、180℃から220℃にて窒素にてバブリングさせ、酸価2mgKOH/gまで反応させ、酢酸エチル(860質量部)を加え、ポリエステルジオールHの50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、32mgKOH/gであり、数平均分子量は約3500であった。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIアダクト:2官能)とイソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)の混合物を使用した。上記アダクト変性HDI及びヌレート変性IPDIの混合比(HDIアダクト)/(ヌレート変性IPDI)を6:4(質量比)とした。
顔料:茶色系顔料(ベンズイミダゾロン系顔料(PigmentBrown25、粒径0.08μm))、フタロシアニン系顔料(非晶質型フタロシアニン系顔料青(PigmentBlue15、粒径0.15〜0.20μm))
溶剤:酢酸エチル
主剤(固形分率50質量%)、上記硬化剤(固形分率10質量%)、上記茶色系顔料(ベンズイミダゾロン系顔料)、上記フタロシアニン系顔料(非晶質型フタロシアニン系顔料)(ベンズイミダゾロン系顔料とフタロシアニン系顔料との含有量比が52.5:47.5、樹脂成分100質量部に対して顔料成分が35質量部)を、上記溶剤に溶解させて調整した。
有機顔料を以下のようにし、固形分塗布量10g/m2以上20g/m2以下(硬化後膜厚10μm以上20μm以下)となるように調整した以外はインキ1同様に調整した。
顔料:ジオキサジン化合物16.7質量%(樹脂成分100質量部に対して顔料成分が20質量部)
本実施形態に係る赤外線透過性暗色インキを用いた裏面保護シートの近赤外線の反射性能を評価するために、実施例及び比較例として、以下に示す方法で、反射性測定用試料を作製した。
反射性樹脂:東レ製、白色PET、厚さ188μm
透明樹脂層を形成するものとして下記の樹脂材料を用いた。
透明樹脂:ポリエチレン、厚さ60μm
[実施例1]:上記反射層からなるシート上に、赤外線透過性暗色インキ1を、グラビアコートで、第1黒色層が1.9g/m2ずつとなるようにコートし、更に、この表面上に第2黒色層をコートし厚さ4.3μmの黒色層を形成した。その表面上に、厚み2.5μm(乾燥状態)の透明接着層を介して上記の透明樹脂を積層し、45℃以上55℃以下、168時間のエージング処理をして過熱硬化させることにより裏面保護シート(実施例1)を作成した。
分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、「U−4100」)を用いて、実施例1及び2の裏面保護シートについて光を入射したときの、波長300nm〜1200nmの光の反射率(%)を評価した。評価結果を図3に示した。
黒色層62が、本来形成される範囲を逸脱して形成されてしまうことは、i)例えば、入射光の反射面にまで黒色層62が形成されてしまうことによる光利用効率の低下。ii)枚葉での加工時に黒インクで形成するアラインメントマークの位置ずれによる加工精度の低下。iii)印刷の不均一による意匠性化の低下、等につながるリスクがある。(1)の発明によれば、黒色インキの重ね塗りにより、黒色層62に高品位の黒味からなる外観を付与することがきると同時に、第1黒色層621と第2黒色層622との間の位置ずれ(版ずれ)に起因して起こりえる上記i)からiii)のリスクを回避することができる。
黒色周縁部623の幅gが上記範囲であることによって、(1)の発明による上記効果をより確実に発現させることができる。又、同幅gと、黒色周縁部623の側壁を構成する第2黒色層の側壁部分の高さ(第2黒色層の厚さh2)と、黒色周縁部623の幅gがいずれも上記範囲となっていることにより、即ち、黒色層62の端部が下層に向けて広がる階段状の形状とされていることにより、黒色周縁部623の幅gが0であって黒色層62の端部が垂直に屹立した側壁となっている場合よりも、太陽電池モジュール1としての一体化時に特に薄膜系の太陽電池素子4等のゆがみによる破損のリスクを低下させることができる。
これにより、(1)の発明による上記効果を、太陽電池モジュールの全体において、均一に確実に発現させることができる。又、太陽電池モジュール1においては、1つの太陽電池素子の発電効率の低下が、他の太陽電池素子の発電量に対する律速となり太陽電池モジュール全体の発電効率に悪影響を及ぼす。裏面保護シート6の全ての部分において、上記の通り均一に黒色周縁部623が形成されていることにより、そのような、一部の太陽電池素子の発電効率の低下に起因する太陽電池モジュール1全体としての発光効率の低下を回避することができる。
これにより、太陽電池モジュール1の高品位の意匠性を保持したまま、入射光の利用効率を高めて太陽電池モジュール1の発電効率の向上にも寄与することができる。
ベンズイミダゾロン系顔料及びフタロシアニン系顔料を含んでなる顔料は、その他の有機系顔料と比較しても、近赤外線を極めてよく透過する暗色系の顔料であり、意匠性の面でも優れたものであることは、上記実施例において確認されている通りである。よって、このような構成を備える裏面保護シート6を用いることにより、太陽電池モジュール1の発電効率及び意匠性を更に向上させることができる。
これにより、例えば、太陽電池素子4が配置されている領域には黒色層を形成せずに反射層とした場合においても、当該反射層が視認されることによる意匠性の低下を回避することができる。これにより、(1)から(5)の発明の効果を良好な態様、且つ、高い精度で発現可能な太陽電池モジュール1を得ることができる。
2 透明前面基板
3 前面封止材
4 太陽電池素子
5 背面封止材
6 裏面保護シート
61 基材樹脂層
611 内層側基材樹脂層
612 基材接着剤層
613 外層側基材樹脂層
62 黒色層
621 第1黒色層
622 第2黒色層
623 黒色周縁部
63 透明樹脂層
7 入射光
Claims (5)
- 太陽電池モジュール用の裏面保護シートであって、
基材樹脂層と、
前記基材樹脂層の表面の一部のみに形成される黒色層と、を有し、
前記黒色層は、第1黒色層と第2黒色層とが、前記基材樹脂層の表面にこの順で積層されている多層構成からなり、
前記黒色層の端部には、前記裏面保護シートの平面視において、前記第2黒色層が存在せず、前記第1黒色層が存在する部分である黒色周縁部が形成されていて、
前記基材樹脂層が750nm以上1500nm以下の近赤外線を反射する反射層であるか、又は、該反射層を含んでなる多層樹脂層であって、
前記黒色層が、波長750nm以上1500nm以下の近赤外線を透過する赤外線透過性黒色層である、
太陽電池モジュール用の裏面保護シート。 - 前記黒色層の厚さが3μm以上15μm以下であって、
前記第1黒色層と第2黒色層の厚さ比が40:60から50:50の範囲内にあり、
前記黒色周縁部における前記第2黒色層の端部と前記第1黒色層の端部との間の距離である黒色周縁部の幅が、0.3mm以上1.2mm以下である請求項1に記載の裏面保護シート。 - 前記黒色周縁部の幅が、いずれの部分においても、該黒色周縁部の平均幅±0.1mmの範囲内の幅である請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
- 前記黒色層がベンズイミダゾロン系顔料及びフタロシアニン系顔料を含んでなる有機系の顔料成分を含んでなる請求項1から3のいずれかに記載の裏面保護シート。
- 請求項1から4のいずれかに記載の裏面保護シートと、封止材と、太陽電池素子と、が少なくとも一体化されている太陽電池モジュールであって、
前記裏面保護シートは、前記太陽電池素子の非受光面側に配置されていて、
前記太陽電池素子の外周近傍の一部が、前記黒色周縁部及び前記第2黒色層の端部と、前記太陽電池モジュールの平面視において重っていて、該太陽電池素子の外周近傍の一部と該第2黒色層の端部とが重なっている部分の重なり幅が1.0mm以上20.0mm以下である太陽電池モジュール。
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