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JP6655500B2 - 電動モータ - Google Patents

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JP6655500B2 JP2016156433A JP2016156433A JP6655500B2 JP 6655500 B2 JP6655500 B2 JP 6655500B2 JP 2016156433 A JP2016156433 A JP 2016156433A JP 2016156433 A JP2016156433 A JP 2016156433A JP 6655500 B2 JP6655500 B2 JP 6655500B2
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Description

本発明は、電動モータに関するものである。
従来から、電動モータとして、コイルが巻回されたティースを有するステータと、ステータの径方向内側に回転自在に設けられたロータと、を備え、コイルへの通電制御を行うことによりロータを回転駆動させるブラシレスモータが知られている。
この種のブラシレスモータのロータは、回転軸と、この回転軸に外嵌固定される略円柱状のロータコアと、ロータコアに設けられたマグネットとを有している。
マグネットをロータに配置する方式としては、磁性体よりなるロータコアにスリットを複数形成し、スリット内に永久磁石を配置する永久磁石埋込方式(IPM:Interior Permanent Magnet)が知られている。
また、近年では、IPMモータの中でも、ロータコア内に径方向に沿うように(放射状に)永久磁石を配置し、永久磁石に磁気異方性の強い形状を持たせることによって大きなリラクタンストルクを発生させるPMR(Permanent Magnetic Reluctance)モータが知られている。
PMRモータは、ロータコアの磁気回路が磁束を集中させる構造上、周方向で隣り合う永久磁石の間ができる限り狭くなるように、永久磁石を配置することが望ましい。
特開平11−89133号公報 特開2010−4722号公報
しかしながら、周方向で隣り合う永久磁石の間をできる限り狭く設定しようとすると、リラクタンストルクを発生させるq軸(永久磁石の磁極の中心軸(d軸)に直交する方向)磁路が狭くなってしまう。つまり、リラクタンストルクが発生しにくくなり、モータ性能が低下してしまうという課題がある。
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、効果的にモータ性能を高めることができる電動モータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る電動モータは、環状のステータコア、および該ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出し、コイルが巻回される複数のティースを有するステータと、前記ティースよりも径方向内側に配置され、前記ティースに対して回転自在に設けられているロータと、を備え、前記ティースは、径方向に沿って延びるティース本体と、該ティース本体の径方向内側端に設けられ、周方向に沿って延びる鍔部と、を有し、前記ロータは、回転軸と、前記回転軸に固定され、径方向中心が該回転軸の軸心と一致する円柱状のロータコアと、該ロータコアの径方向に沿うように、且つ周方向に放射状に配置される複数の永久磁石と、を有し、前記永久磁石は、前記回転軸に直交する断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように台形状に形成されており、前記ロータコアの外周面には、前記永久磁石の径方向外側端の周方向両側に、それぞれ軸方向に沿って延びる溝部が形成されており、周方向で隣り合う前記永久磁石の間に形成された2つの前記溝部の周方向中心間の円周長さは、前記鍔部の内周面の円周長さよりも長く設定されており、前記ロータコアには、前記回転軸と前記永久磁石の径方向内側端との間に、複数の空洞部が形成されており、前記空洞部は、各前記永久磁石の径方向内側端における周方向両側にそれぞれ形成されており、前記ロータコアには、周方向で隣り合う前記永久磁石の間で、且つ前記空洞部の間に、径方向に延びるブリッジが形成されており、前記ブリッジの周方向の幅は、径方向全体に渡って均一に設定されており、且つ周方向で隣り合う前記永久磁石の径方向内側端の間の幅と同一に設定されていることを特徴とする。
このように、永久磁石を台形状とすることにより、PMRモータにおいて、永久磁石の径方向内側へ漏れる磁束を低減することが可能になる。また、周方向で隣り合う永久磁石同士を近づけることなく、ロータコア内において磁束を集中させることができる。このため、q軸磁路を大きく設定でき、高いリラクタンストルクを発生させることができる。
さらに、ロータコアの外周面に溝部を形成し、周方向で隣り合う永久磁石の間に形成された2つの溝部の周方向中心間の円周長さを、鍔部の内周面の円周長さよりも長く設定することにより、ロータコアの有効磁束の低減を抑えつつ、コギングを抑制することが可能になる。したがって、効果的にモータ性能を高めることができる。
また、永久磁石の径方向内側へ漏れる磁束を、さらに低減することが可能になる。このため、さらに効果的にモータ性能を高めることができる。
また、ロータコアの剛性を確保しつつ、永久磁石の径方向内側へ漏れる磁束を低減することが可能になる。
本発明に係る電動モータは、前記ブリッジの周方向の幅は、磁気飽和可能な幅に設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、永久磁石の径方向内側へ漏れる磁束を、より確実に低減することが可能になる。
本発明に係る電動モータは、前記ロータコアの外周面には、該外周面に前記永久磁石の径方向外側端を露出させる開口部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ロータコアの外周面側で漏れ磁束が発生してしまうことを防止できる。このため、ティースに流れる有効磁束を高めることができ、トルク性能を向上させることができる。
本発明に係る電動モータは、前記永久磁石は、前記回転軸に直交する断面形状が等脚台形状となるように形成されており、下底と脚との外角θは、90°<θ<110°に設定されていることを特徴とする。
このように構成することで、台形状の永久磁石による出力を最大限発揮することが可能になる。すなわち、リラクタンストルクを最も効率よく活用することが可能になる。この結果、さらに効果的にモータ性能を高めることができる。
本発明によれば、永久磁石を台形状とすることにより、PMRモータにおいて、永久磁石の径方向内側へ漏れる磁束を低減することが可能になる。また、周方向で隣り合う永久磁石同士を近づけることなく、ロータコア内において磁束を集中させることができる。このため、q軸磁路を大きく設定でき、高いリラクタンストルクを発生させることができる。
さらに、ロータコアの外周面に溝部を形成し、周方向で隣り合う永久磁石の間に形成された2つの溝部の周方向中心間の円周長さを、鍔部の内周面の円周長さよりも長く設定することにより、ロータコアの有効磁束の低減を抑えつつ、コギングを抑制することが可能になる。したがって、効果的にモータ性能を高めることができる。
本発明の実施形態における減速機付モータの斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 本発明の第1実施形態におけるステータおよびロータの軸方向に直交する断面図である。 図3のロータの半円分の拡大図である。 図3のB部拡大図である。 本発明の第1実施形態における永久磁石を示し、(a)、(b)は、それぞれ永久磁石の磁極の配向の違いを示している。 本発明の第1実施形態におけるロータコアに流れる磁束の向きを示す説明図である。 本発明の第1実施形態におけるロータコアに流れる磁束の向きを示す説明図である。 本発明の第1実施形態におけるロータコアに流れる磁束の向きを示す説明図である。 本発明の第1実施形態におけるロータの回転数、コイルに供給する電流値、ロータのトルクの変化を、永久磁石の外角を変化させて比較したグラフである。 本発明の第1実施形態におけるロータコアの突極比の変化を示すグラフである。 本発明の第1実施形態におけるトルクの変化を示すグラフであって、ロータコアの外周面に溝部を形成した場合と、溝部を形成しない場合とを比較している。 本発明の第2実施形態におけるロータの軸方向に直交する断面図である。 本発明の第3実施形態におけるロータの斜視図である。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(減速機付モータ)
図1は、減速機付モータ1の斜視図、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、減速機付モータ1は、例えば車両に搭載される電装品(例えば、ワイパ、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである。減速機付モータ1は、モータ部2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2の回転軸31の軸方向をいい、単に周方向という場合は、回転軸31の周方向をいい、単に径方向という場合は、回転軸31の径方向をいうものとする。
(モータ部)
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能設けられたロータ9と、を備えている。
(モータケース)
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6および第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されており、それぞれの開口部6a,7aを嵌合させることで内部空間を有するモータケース5を形成している。
より詳しくは、第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接合されるようにこのギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、ロータ9の回転軸31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
また、第1モータケース6の内周面には、開口部6a側に段差により拡径形成されたステータ内嵌部18が形成されている。このステータ内嵌部18にステータ8の外周面が嵌合される。さらに、第1モータケース6の周壁部11の外周面には、開口部6a側に段差部12aを介して縮径形成された嵌合部12が形成されている。この嵌合部12は、第2モータケース7の開口部7aを嵌合するためのものである。
第2モータケース7の外周面には、開口部7a側に全周に渡って凸条部16が形成されている。また、第2モータケース7の開口部7aには、段差により拡径形成された嵌合部17が形成されている。この嵌合部17と、第1モータケース6の嵌合部12とが嵌合される。また、第1モータケース6の段差部12aと第2モータケース7の凸条部16とが当接することにより、第1モータケース6と第2モータケース7との軸方向の相対位置が決定される。
(ステータ)
図3は、ステータ8およびロータ9の軸方向に直交する断面図である。
図2、図3に示すように、ステータ8は、軸方向に直交する断面形状が正六角形となる筒状のコア部21と、コア部21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では6つ)のティース22と、が一体成形されたステータコア20を有している。ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア20は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
コア部21は、磁路を形成するものである。このコア部21の外周面が、第1モータケース6のステータ内嵌部18に内嵌される。
ティース22は、コア部21の内周面から径方向に沿って突出するティース本体101と、ティース本体101の径方向内側端から周方向に沿って延びる鍔部102と、が一体成形されたものである。鍔部102は、ティース本体101から周方向両側に延びるように形成されている。また、鍔部102の内周面102aは、回転軸中心C1を中心とする円弧状に形成されている。そして、周方向で隣り合う鍔部102の間に、スロット19が形成される。
また、コア部21の内周面、およびティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。このインシュレータ23の上から各ティース22にコイル24が巻回されている。各コイル24は、コントローラ部4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を生成する。
(ロータ)
図4は、図3のロータ9の半円分の拡大図、図5は、図3のB部拡大図である。
図3〜図5に示すように、ロータ9は、回転軸31と、回転軸31に外嵌固定されている円柱状のロータコア32と、ロータコア32に埋設されている永久磁石33と、を備えている。
回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体成形されている。ロータコア32は、複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ロータコア32は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ロータコア32の外周面とティース22の鍔部102の内周面との間には、微小隙間S1が形成されている。また、ロータコア32の径方向略中央には、軸方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。この貫通孔32aに、回転軸31が圧入されている。なお、貫通孔32aに対して回転軸31を挿入とし、接着剤等を用いて回転軸31にロータコア32を外嵌固定してもよい。
さらに、ロータコア32には、貫通孔32aから若干の間隔をあけて形成され、径方向に延びる4つの空洞部111が周方向に等間隔(放射状に)で配置されている。
空洞部111は、径方向の大部分に形成された磁石収納部112と、磁石収納部112の径方向内側に形成されたフラックスバリヤ部113と、が連通形成されたものである。
磁石収納部112には、永久磁石33が収納される。磁石収納部112は、軸方向に直交する断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように等脚台形状となるように形成されている。
フラックスバリヤ部113は、永久磁石33の磁束がこの永久磁石33よりもロータコア32の径方向内側に漏出してしまうことを抑制するためのものである。フラックスバリヤ部113は、1つの空洞部111に2つ形成されている。そして、2つのフラックスバリヤ部113は、磁石収納部112の径方向内側端で、且つ周方向両端に配置されている。フラックスバリヤ部113を複数形成することにより、ロータコア32のフラックスバリヤ部113の径方向内側に、貫通孔32aを有するリング部115が形成された形になる。
また、ロータコア32において、1つの空洞部111に形成された2つのフラックスバリヤ部113の間には、径方向外側に向かって凸条部114が形成された形になる。換言すれば、リング部115の外周面には、フラックスバリヤ部113の間に、凸条部114が形成されている。
凸条部114の径方向外側端(先端)114aは、磁石収納部112の下底に相当する位置と一致するように平坦に形成されている。つまり、凸条部114の径方向外側端114aに、永久磁石33の後述の下底33aが当接される。
また、周方向で隣り合う空洞部111の間で、且つ周方向で隣り合うフラックスバリヤ部113の間には、ブリッジ部116が形成されている。ブリッジ部116は、ロータコア32のフラックスバリヤ部113が形成されている領域の剛性を高めると共に、リング部115と磁石収納部112が形成されている側のロータコア32とを一体化する役割を有している。ブリッジ部116は、径方向に沿って延出しており、その周方向の幅H1は、径方向全体に渡って均一に設定されている。また、ブリッジ部116の幅H1は、周方向で隣接する磁石収納部112の径方向内側端の間の距離と一致している。
ここで、ブリッジ部116の幅H1は、ロータコア32の剛性を確保可能な範囲で、できる限り狭いことが望ましい。さらには、ブリッジ部116の幅H1は、永久磁石33の磁束が飽和可能な幅に設定されていることが望ましい。
また、ロータコア32の外周面には、各空洞部111に対応する位置に、空洞部111に連通する開口部117が形成されている。開口部117の周方向の幅H2は、磁石収納部112の径方向外側端における周方向の幅H3よりも若干狭く設定されている。このため、ロータコア32の外周部に、磁石収納部112側に向かって、且つ周方向に沿って突出する爪部118が形成される形になる。
さらに、ロータコア32の外周面には、爪部118の開口部117とは反対側に、それぞれ溝部119が軸方向全体に渡って形成されている。溝部119は、径方向内側に向かって先細りとなるように略三角状に形成されている。また、溝部119は、爪部118に隣接配置されている。
ここで、ロータコア32の各空洞部111間に形成されている2つの溝部119の周方向中心間の円周長さL1は、ティース22の鍔部102における内周面の円周長さL2よりも長く設定されている。より詳しくは、図3、図5に示すように、ロータコア32の各空洞部111間と任意のティース22の鍔部102とを径方向で対向させたとき、この鍔部102の周方向両側に存在する2つのスロット19の周方向中心と、ロータコア32の溝部119の周方向中心とが一致する。
このように構成されたロータコア32の磁石収納部112に、永久磁石33が嵌め込まれている。永久磁石33は、磁石収納部112の形状に対応するように、軸方向に直交する断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように等脚台形状となるように形成されている。すなわち、永久磁石33は、軸方向に直交する断面形状において、径方向内側に位置する下底33aと、径方向外側に位置する上底33bと、下底33aと上底33bとの間に位置する一対の脚33cと、を有している。
永久磁石33の下底33aは、ロータコア32の凸条部114の径方向外側端114aに当接している。このため、永久磁石33の下底33aとロータコア32のリング部115との間に、フラックスバリヤ部113が介在される。
また、永久磁石33の上底33bは、ロータコア32の爪部118に当接している。すなわち、爪部118は、永久磁石33の径方向外側への抜けを防止するように機能する。
さらに、永久磁石33の脚33cは、ロータコア32の磁石収納部112の内側面に当接する。
ここで、永久磁石33(磁石収納部112)の下底33aと脚33cとの外角θは、
90°<θ<110°・・・(1)
を満たすように設定されている。
さらに、図6(a)に示すように、永久磁石33は、パラレル配向に着磁されているか、または、図6(b)に示すように、極異方配向に着磁されている。
このように構成された永久磁石33は、例えば接着剤等によりロータコア32の磁石収納部112に固着される。なお、図6(a)、図6(b)において、矢印は永久磁石33の着磁の配向を示している。
(減速部)
図1、図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギヤ収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
さらに、ギヤケース40の側壁40bには、3つの固定ブラケット54a,54b,54cが一体成形されている。これら固定ブラケット54a,54b,54cは、不図示の車体等に、減速機付モータ1を固定するためのものである。3つの固定ブラケット54a,54b,54cは、モータ部2を避けるように、周方向にほぼ等間隔に配置されている。各固定ブラケット54a,54b,54cには、それぞれ防振ゴム55が装着されている。防振ゴム55は、減速機付モータ1を駆動する際の振動が、不図示の車体に伝達されてしまうのを防止するためのものである。
また、ギヤケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであって、内周面に不図示の滑り軸受が設けられている。さらに、軸受ボス49の先端内周縁には、不図示のOリングが装着されている。これにより、軸受ボス49を介して外部から内部に塵埃や水が侵入してしまうことが防止される。また、軸受ボス49の外周面には、複数のリブ52が設けられている。これにより、軸受ボス49の剛性が確保されている。
ギヤ収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、モータ部2の回転軸31と同軸上に配置されている。そして、ウォーム軸44は、両端がギヤケース40に設けられた軸受46,47によって回転自在に支持されている。ウォーム軸44のモータ部2側の端部は、軸受46を介してギヤケース40の開口部43に至るまで突出している。この突出したウォーム軸44の端部とモータ部2の回転軸31との端部が接合され、ウォーム軸44と回転軸31とが一体化されている。なお、ウォーム軸44と回転軸31は、1つの母材からウォーム軸部分と回転軸部分とを成形することにより一体として形成してもよい。
ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45には、このウォームホイール45の径方向中央に出力軸48が設けられている。出力軸48はウォームホイール45の回転軸方向と同軸上に配置されており、ギヤケース40の軸受ボス49を介してギヤケース40の外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、不図示の電装品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
また、ウォームホイール45の径方向中央には、出力軸48が突出されている側とは反対側に、不図示のセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、ウォームホイール45の回転位置を検出する回転位置検出部60の一方を構成している。この回転位置検出部60の他方を構成する磁気検出素子61は、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)でウォームホイール45と対向配置されているコントローラ部4に設けられている。
(コントローラ部)
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギヤケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を有している。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギヤケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
コントローラ基板62は、いわゆるエポキシ基板に複数の導電性のパターン(不図示)が形成されたものである。コントローラ基板62には、モータ部2のステータコア20から引き出されたコイル24の端末部が接続されていると共に、カバー63に設けられたコネクタの端子(何れも不図示)が電気的に接続されている。また、コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する電流を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュールやコントローラ基板に印加される電圧の平滑化を行うコンデンサ(何れも不図示)等が実装されている。
このように構成されたコントローラ基板62を覆うカバー63は樹脂製であって、若干外側に膨出するように形成されている。そして、カバー63の内面側は、コントローラ基板62等を収容するコントローラ収容部56とされている。
また、カバー63の外周部に、不図示のコネクタが一体成形されている。このコネクタは、不図示の外部電源から延びるコネクタと嵌着可能に形成されている。そして、不図示のコネクタの端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
さらに、カバー63の開口縁には、ギヤケース40の側壁40bの端部と嵌め合いされる嵌合部81が突出形成されている。嵌合部81は、カバー63の開口縁に沿う2つの壁81a,81bにより構成されている。そして、これら2つの壁81a,81bの間に、ギヤケース40の側壁40bの端部が挿入(嵌め合い)される。これにより、ギヤケース40とカバー63との間にラビリンス部83が形成される。このラビリンス部83によって、ギヤケース40とカバー63との間から塵埃や水が浸入してしまうことが防止される。なお、ギヤケース40とカバー63との固定は、不図示のボルトを締結することにより行われる。
(減速機付モータの動作)
次に減速機付モータ1の動作について説明する。
減速機付モータ1は、不図示のコネクタを介してコントローラ基板62に供給された電力が、不図示のパワーモジュールを介してモータ部2の各コイル24に選択的に供給される。すると、ステータ8(ティース22)に所定の磁界が形成され、この磁界とロータ9の永久磁石33との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータ9が継続的に回転する。
ロータ9が回転すると、回転軸31と一体化されているウォーム軸44が回転し、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45が回転する。そして、ウォームホイール45に連結されている出力軸48が回転し、所望の電装品が駆動する。
また、コントローラ基板62に実装されている磁気検出素子61によって検出されたウォームホイール45の回転位置検出結果は、信号として不図示の外部機器に出力される。不図示の外部機器は、ウォームホイール45の回転位置検出信号に基づいて、不図示のパワーモジュールのスイッチング素子等の切替えタイミングが制御され、モータ部2の駆動制御が行われる。なお、パワーモジュールの駆動信号の出力やモータ部2の駆動制御は、コントローラ部4で行われていても良い。
(ロータの作用、効果)
次に、図7〜図12に基づいて、ロータ9の作用、効果について説明する。
図7〜図9は、ロータコア32に流れる磁束の向きを示す説明図である。
ここで、永久磁石33の下底33aとロータコア32のリング部115との間に、フラックスバリヤ部113が介在される。このため、図7に示すように、周方向で隣り合う永久磁石33からの径方向内側への漏れ磁束を極力抑えることができる。しかも、ブリッジ部116の幅H1を、ロータコア32の剛性を確保可能な範囲で、できる限り狭く設定し、且つ永久磁石33の磁束が飽和可能な幅に設定することにより、永久磁石33からの径方向内側への漏れ磁束をより確実に抑えることができる。したがって、効果的にモータ部2のモータ性能を高めることができる。
また、永久磁石33は、軸方向に直交する断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように等脚台形状となるように形成されている。このため、図8に示すように、ロータコア32内において、各永久磁石33の磁束を収束させるための配向の向きが、ロータコア32の外周側(ステータ8のティース22側)となる。この結果、ロータコア32内の磁束の向きが、ティース22側へと収束させやすくできる。さらに、周方向で隣り合う永久磁石33同士を近づけることなく、ロータコア32内において磁束を集中させることができる。そして、q軸磁路を大きく設定でき、高いリラクタンストルクを発生させることができる。よって、ロータコア32の有効磁束を高めることができる。
さらに、ロータコア32の外周面には、各空洞部111に対応する位置に、空洞部111に連通する開口部117が形成されている。すなわち、永久磁石33の径方向外側端(上底33b)が、開口部117を介して露出される。このため、図9に示すように、ロータコア32の外周面側で漏れ磁束が発生してしまうことを防止できる。よって、ティース22に流れる有効磁束を高めることができる。
また、永久磁石33の下底33aと脚33cとの外角θ(以下、単に外角θという)は、式(1)を満たすように設定されている。これについて、図10、図11に基づいて以下に詳述する。
図10は、縦軸をロータ9の回転数(rpm)、コイル24に供給する電流値(A)とし、横軸をロータ9のトルク(N.m)としたときの回転数、電流値、トルクの変化を、永久磁石33の外角θを変化させて比較したグラフである。
同図に示すように、外角θが式(1)を満たすとき、高トルクが得られることが確認できる。
図11は、縦軸をロータコア32の突極比とし、横軸を外角θ(deg)としたときのロータコア32の突極比の変化を示すグラフである。
同図に示すように、外角θが式(1)を満たすとき、高い突極比を得られることが確認できる。また、図11に示すように、外角θが110°以上となると、殆ど突極比に変化が見られなくなることも確認できる。
また、ロータコア32の外周面には、爪部118の開口部117とは反対側に、それぞれ溝部119が軸方向全体に渡って形成されている。そして、ロータコア32の各空洞部111間に形成されている2つの溝部119の周方向中心間の円周長さL1は、ティース22の鍔部102における内周面の円周長さL2よりも長く設定されている。
このため、ロータコア32の有効磁束の低減を抑えつつ、コギングを抑制することが可能になる。したがって、効果的にモータ性能を高めることができる。
図12は、縦軸をロータ9のトルク(N.m)とし、横軸をロータ9の回転角度(deg)としたときの、トルクの変化を示すグラフであって、ロータコア32の外周面に溝部119を形成した場合と、溝部119を形成しない場合とを比較している。
同図に示すように、ロータコア32の外周面に溝部119を形成した場合、この溝部119を形成しない場合と比較してトルク変動(コギングトルク)を抑制していることが確認できる。
(第2実施形態)
次に、図13に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図13は、第2実施形態におけるロータ209の軸方向に直交する断面図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
同図に示すように、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態のロータコア32には、永久磁石33の径方向への抜けを防止する爪部118が形成されているのに対し、第2実施形態のロータコア232には、爪部118が形成されていない点にある。
第2実施形態のロータコア232は、爪部118が形成されていない分、永久磁石233の径方向先端が、第1実施形態の永久磁石33と比較して若干延出されている。より具体的には、永久磁石233は、その径方向先端がロータコア232の外周面とほぼ面一になる程度に形成されている。
このような構成のもと、永久磁石233は、例えば接着剤等によりロータコア232の磁石収納部112に固着される。ここで、第2実施形態における永久磁石233に対する接着強度は、この永久磁石233が径方向外側へずれない(飛散しない)程度の十分な強度が必要である。
したがって、上述の第2実施形態では、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。これに加え、ロータコア232に爪部118を形成しない分、ステータ8の鍔部102(例えば図3参照)と永久磁石233との間の間隔を狭く設定することができる。このため、永久磁石233の有効磁束をさらに高めることができ、さらにトルク性能を向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、図14に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態において、第2実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
図14は、第3実施形態におけるロータ309の斜視図である。
同図に示すように、前述の第2実施形態と第3実施形態との相違点は、第2実施形態では、ロータコア232に永久磁石233を接着剤等のみで固着しているのに対し、第3実施形態では、ロータコア232に永久磁石233を、接着剤に加えてホルダ120を用いて固定している点にある。
ホルダ120は、ロータコア232の軸方向両側に設けられている。ホルダ120は、非磁性の金属板にプレス加工を施して形成される。ホルダ120は、軸方向平面視で略四角状の固定部121と、固定部121の四辺の各々中央から径方向外側に向かって延びる4つのアーム部122と、各アーム部122の先端に設けられた押え爪123と、が一体成形されている。
固定部121の面積は、ロータコア232に形成されているフラックスバリヤ部113を軸方向外側から覆うことができる大きさに設定されている。このような固定部121の中央の大部分に、回転軸31が挿入、または圧入可能な貫通孔121aが形成されている。これにより、回転軸31に固定部121が固定される。なお、固定部121の貫通孔121aに回転軸31が挿入される場合、回転軸31と固定部121との固定は、接着剤等が用いられる。
各アーム部122は、それぞれ対応する永久磁石233の軸方向端面を殆ど覆うように長方形状に形成されている。
押え爪123は、永久磁石233の軸方向両端で、且つ径方向外側端の角部と、この角部の周囲を覆うように断面略L字状に形成されている。押え爪123の周方向の幅H4は、ロータコア232の外周面に形成されている開口部217の周方向の幅よりも若干大きくなる程度に設定されている。
このように構成されたホルダ120により、ロータコア232に対する永久磁石233の軸方向へのずれ、および径方向外側への抜けが防止される。
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第2実施形態と同様の効果を奏する。これに加え、ホルダ120により、ロータコア232への永久磁石233の固着力を高めることができる。このため、ロータ309の信頼性をより高めることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、減速機付モータ1は、車両に搭載される電装品(例えば、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな用途に減速機付モータ1を使用することができる。
また、上述の実施形態では、ロータコア32,232に4つの磁石収納部112を形成し、ロータコア32,232に永久磁石33,233を4つ設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ロータコア32,232の磁石収納部112の個数、および永久磁石33,233の個数は、任意に設定することができる。
この場合、第2実施形態におけるホルダ120のアーム部122の個数も、永久磁石233の個数に応じて任意に設定する。
さらに、上述の実施形態では、空洞部111の一部をフラックスバリヤ部113として構成している場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、空洞部111のフラックスバリヤ部113に相当する箇所に樹脂等の絶縁材を充填してもよい。このように構成することで、永久磁石33,233の径方向内側への磁束漏れを抑制しつつ、ロータコア32,232の剛性を高めることができる。
1…減速機付モータ
2…モータ部
9,209,309…ロータ
20…ステータコア
22…ティース
31…回転軸
32,232…ロータコア
33,233…永久磁石
101…ティース本体
102…鍔部
111…空洞部
113…フラックスバリヤ部(空洞部)
116…ブリッジ部(ブリッジ)
117,217…開口部
119…溝部
H1…幅
L1,L2…円周長さ
θ…外角

Claims (4)

  1. 環状のステータコア、および該ステータコアの内周面から径方向内側に向かって突出し、コイルが巻回される複数のティースを有するステータと、
    前記ティースよりも径方向内側に配置され、前記ティースに対して回転自在に設けられているロータと、
    を備え、
    前記ティースは、
    径方向に沿って延びるティース本体と、
    該ティース本体の径方向内側端に設けられ、周方向に沿って延びる鍔部と、
    を有し、
    前記ロータは、
    回転軸と、
    前記回転軸に固定され、径方向中心が該回転軸の軸心と一致する円柱状のロータコアと、
    該ロータコアの径方向に沿うように、且つ周方向に放射状に配置される複数の永久磁石と、
    を有し、
    前記永久磁石は、前記回転軸に直交する断面形状が径方向内側に向かうに従って周方向の幅が漸次広くなるように台形状に形成されており、
    前記ロータコアの外周面には、前記永久磁石の径方向外側端の周方向両側に、それぞれ軸方向に沿って延びる溝部が形成されており、
    周方向で隣り合う前記永久磁石の間に形成された2つの前記溝部の周方向中心間の円周長さは、前記鍔部の内周面の円周長さよりも長く設定されており、
    前記ロータコアには、前記回転軸と前記永久磁石の径方向内側端との間に、複数の空洞部が形成されており、
    前記空洞部は、各前記永久磁石の径方向内側端における周方向両側にそれぞれ形成されており、
    前記ロータコアには、周方向で隣り合う前記永久磁石の間で、且つ前記空洞部の間に、径方向に延びるブリッジが形成されており、
    前記ブリッジの周方向の幅は、径方向全体に渡って均一に設定されており、且つ周方向で隣り合う前記永久磁石の径方向内側端の間の幅と同一に設定されていることを特徴とする電動モータ。
  2. 前記ブリッジの周方向の幅は、磁気飽和可能な幅に設定されていることを特徴とする請求項に記載の電動モータ。
  3. 前記ロータコアの外周面には、該外周面に前記永久磁石の径方向外側端を露出させる開口部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項に記載の電動モータ。
  4. 前記永久磁石は、前記回転軸に直交する断面形状が等脚台形状となるように形成されており、
    下底と脚との外角θは、
    90°<θ<110°
    に設定されている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載の電動モータ。
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