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JP6650597B2 - 酸窒化膜の製造方法 - Google Patents

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JP6650597B2 JP2016021027A JP2016021027A JP6650597B2 JP 6650597 B2 JP6650597 B2 JP 6650597B2 JP 2016021027 A JP2016021027 A JP 2016021027A JP 2016021027 A JP2016021027 A JP 2016021027A JP 6650597 B2 JP6650597 B2 JP 6650597B2
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Description

本開示は、ALD法を用いた酸窒化膜の製造方法に関する。より詳しくは、ALD法を用いた、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法に関する。
二次電池には、正極及び負極と、これらの間に配置される電解質層とが備えられ、電解質層に用いられる電解質としては、例えば非水系溶液(以下、「電解液」)もしくは固体状物質(以下、「固体電解質」)が知られている。電解液が用いられる場合には、電解液が正極や負極の内部へと浸透しやすい。そのため、正極や負極に含有されている活物質と電解液との界面が形成されやすく、性能を向上させやすい。一方で、電解液を用いた二次電池では、液漏れの可能性がある。また、電解液の多くは可燃性であるため、安全性を確保するためのシステムを搭載する必要がある。
一方、固体電解質は液体ではないため液漏れの可能性は無く、且つ難燃性であることから、安全を確保できる。また、電解液は充放電を繰り返す中で有機溶媒成分の分解が生じ、電池性能の劣化が引き起こされるが、固体電解質の場合は分解が起こりにくい。さらに、全ての構成要素が固体である電池となることから、電池をより小型化及び薄型化することが可能である。このような観点から、固体電解質を含有する層(以下、「固体電解質層」)が備えられる形態の全固体二次電池の開発が進められている。特に、ウェアラブル電子機器のような小型電子機器用途においては、薄膜固体電解質層が備えられる薄膜全固体電池の開発が進められている。
全固体二次電池において、固体電解質は重要な構成要素の一つである。例えば、現在市販されている薄膜全固体リチウムイオン二次電池やこれまでの報告における全固体電池(例えば、特許文献1)には、固体電解質として窒化リン酸リチウム(LiPON)が使用されている。Li3PO4と比較した場合、LiPONでは約2桁イオン導電率が向上する。特許文献1では、Li3PO4のターゲットを用いて窒素雰囲気下でスパッタリングを行うことで、Li3PO4に窒素が導入されたLiPON膜を得ている。
米国特許第5,597,660号明細書
従来、コンフォーマル性(形状適応性)に富んだ、薄膜固体電解質層の作製は困難であった。そこで、本開示は、コンフォーマル性(形状適応性)に富んだ、薄膜固体電解質層として利用できる新規な酸窒化膜の製造方法を提供することを目的とする。また、本開示は、リアクタ内の温度(サンプル基板温度)あるいは真空度のばらつきに影響されることなく安定して窒化することが可能となる、酸窒化膜の製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、金属元素及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法であって、前記金属元素がアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素であり、
リアクタを備えた装置のリアクタ内に基板を配置するステップ(a)、
網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)を前記リアクタ内に供給する網目形成体供給ステップ(b)、
前記金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)を前記リアクタ内に供給する金属供給ステップ(c)、
酸素ガス及び/又はオゾンガスを前記リアクタ内に供給する酸素供給ステップ(d)、
アンモニアガス及び/又は窒素ガスを前記リアクタ内に供給する窒素供給ステップ(e)、及び
送気ガスを前記リアクタ内に供給する送気ガス供給ステップ(f)、を含む、
金属元素及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法を提供する。
本開示によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。本開示の製造方法によって得られる酸窒化膜を用いることによって、イオン抵抗を低減することができる固体電解質及び全固体リチウム、及びポストリチウムイオン二次電池ならびにその形成方法を提供できる。また、本開示によれば、リアクタ内の温度(サンプル基板温度)あるいは真空度のばらつきに影響されることなく安定して窒化することが可能となる。特に長時間に亘って成膜する際の膜中の窒素の組成比を安定させることが可能になる。
本開示の一実施形態に係る反応装置の構成図である。 本開示の一実施形態に係る反応サイクルの構成図である。 本開示の製造方法によって得られた酸窒化膜のインピーダンス測定の結果を示す図である。 本開示の一実施形態に係る製造方法によって得られた酸窒化膜のアレニウスプロットを示す図である。 本開示の一実施形態に係る製造方法によって得られた酸窒化膜のSEM観察像である。 本開示の一実施形態に係る製造方法によって得られた酸窒化膜の深さ方向の元素濃度測定の結果を示す図である。 基板上に形成したLiCoO2層上に酸窒化膜を成膜した構造体の断面のSEM観察像である。図7Aは、基板上に形成したLiCoO2層上に本開示の酸窒化膜を成膜した構造体(実施例3)の断面のSEM観察像である。図7Bは、基板上に形成したLiCoO2層上にスパッタによって酸窒化膜を成膜した構造体(比較例5)の断面のSEM観察像である。 基板(石英ガラス)に本開示の一実施形態に係る製造方法によって得られた酸窒化膜を成膜した構造体の上面をSEM観察した像である。 基板(石英ガラス)に本開示の一実施形態に係る製造方法によって得られた酸窒化膜を成膜した構造体の断面をSTEM観察した像である。 本開示の一実施形態に係る製造方法によって得られた酸窒化膜のXPS測定の結果を示す図である。 スパッタ法で製造した酸窒化膜のXPS測定の結果を示す図である。
(本発明者らによる知見)
まず、本発明者によって得られた知見について説明する。
特許文献1に記載の全固体電池及び現在市販されている薄膜全固体リチウムイオン二次電池は電池容量が小さく、用途が限定されている。容量を増加させるために3次元構造を有する全固体電池が提案されている(Advanced Functional Materials. Volume 18, Issue 7, pages 1057-1066, April 11, 2008.)。この3次元構造上に固体電解質として例えばLiPON膜を配置することができる。しかし、3次元構造上に、例えばスパッタ法によりLiPON膜を作製した場合、このLiPON膜は膜組成の均一性に欠ける。そのために、固体電解質としての機能が低下する。したがって、この3次元構造を実現できる材料は限定されてしまい、そのことが、3次元構造を有し実用可能な薄膜全固体電池の開発に大きな影響を及ぼしている。
また、固体電解質は一般的な電解液に比べてイオン抵抗が高い。また、正極活物質/固体電解質/負極活物質間における各固体−固体界面の抵抗も高く、電池内の内部抵抗が大きくなる課題がある。固体電解質層の厚みが大きくなるほど、その傾向は顕著となる。そのため、電圧降下が大きくなり、良好な大電流充放電特性を得ることが難しい。例えば、充放電レートが制限されてしまい、短い充電時間が実現できないという課題がある。
これらの課題を解決するために、コンフォーマル性に富んだ、薄膜固体電解質層の作製が必要である。
Li含有薄膜の製造方法としては、パルスレーザー堆積法(PLD)、スパッタリング法(特開2012−23032号公報)等が知られている。これらの方法では、多くの産業用途で要望される、欠陥のない、又はピンホールのない層を形成することが難しい。また、例えば基板や下地層の表面全体を均質な膜によって被覆することは非常に困難である。具体的には、現在LiPON膜の成膜に使用されているスパッタ法では、膜中にピンホールが生成する課題がある。また、スパッタ法で作製するLiPON膜は、成膜開始時、島状に成長し、50nmを超えてようやく膜として形成されるため、薄膜化(特に50nm以下)が困難である。大面積に高歩留で成膜できる膜厚は2μm程度といわれている。
さらにこれらの方法では、成膜時に高エネルギーが基板(または下地層)へ加わることから、基板(または下地層)のダメージが起こり得る。
そのため、ピンホールフリーであって、極薄膜であるLi含有薄膜の製造方法として、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積法)に関する提案がなされていた。
しかしながら、ALD法によって、4元素以上から構成され、かつ窒素を含むLi含有薄膜を製造することはできていなかった。例えば、固体電解質として機能する窒化リン酸リチウム(LiPON)薄膜を作製できなかった。一方、本開示に係る一実施形態によれば、形状適応性(コンフォーマル性)に優れた、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素、及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法を提供できる。
まず、本開示に係るALD法について説明する。
ALD法は、表面への気体の自己完結性の交互反応に頼る薄膜堆積技術である。膜は、2種以上の反応剤の逐次パルス供給によって形成され、気相反応を避けるために、プリカーサーのパルス供給の間に不活性ガスによるパージが用いられる。理想的条件下に作業が行われると、プリカーサーのパルス供給時において、全ての表面がプリカーサーにより確実に飽和する。その結果、膜の成長は、パルス供給時のプリカーサーの飽和密度に応じて決まる。他のほとんどの堆積及び結晶成長法と異なり、理想的な場合には、プリカーサーの分布、又は、膜を形成する結合の生成速度に依存しない。このため、各パルス供給に対して、露出した全ての表面での一様な膜成長が保証される。また、PLD法やスパッタリング法に起こりうる下地層へのダメージは、ALD法では回避される。
上述のように、例えば、窒化リン酸リチウム(LiPON)の成膜に成功した報告事例はないが、本発明者らは成膜に成功した。
ALD法を用いたLiPON薄膜は、高い形状適応性(コンフォーマル性)を有するため、あらゆる形状の3D構造への被覆成膜を実現できる。また、高いコンフォーマル性は下地膜の凹凸等にも追従可能であり、正極活物質/固体電解質/負極活物質間の各固体−固体界面における抵抗の低減が可能である。また、原子層レベルでの成膜であるために、数nm程度の極薄膜の形成が可能であり、固体電解質層におけるイオン抵抗の低減が可能となる。
本開示の第1態様は、金属元素及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法であって、
前記金属元素がアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素であり、
リアクタを備えた装置のリアクタ内に基板を配置するステップ(a)、
網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)を前記リアクタ内に供給する網目形成体供給ステップ(b)、
前記金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)を前記リアクタ内に供給する金属供給ステップ(c)、
酸素ガス及び/又はオゾンガスを前記リアクタ内に供給する酸素供給ステップ(d)、
アンモニアガス及び/又は窒素ガスを前記リアクタ内に供給する窒素供給ステップ(e)、及び
送気ガスを前記リアクタ内に供給する送気ガス供給ステップ(f)、を含む、
金属元素及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法を提供する。
第1態様の製造方法によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。本開示の製造方法によって得られる酸窒化膜を用いることによって、イオン抵抗を低減することができる固体電解質及び全固体リチウム、及びポストリチウムイオン二次電池ならびにその形成方法を提供できる。
本開示の第2態様は、例えば、第1態様に加えて、前記網目形成体供給ステップ(b)、前記金属供給ステップ(c)、前記酸素供給ステップ(d)、及び前記送気ガス供給ステップ(f)からなる群から選ばれる少なくとも一つのステップにおいてアンモニアガスを同時に供給する、酸窒化膜の製造方法を提供する。
第2態様によれば、リアクタ内の温度(サンプル基板温度)あるいは真空度のばらつきに影響されることなく安定して膜を窒化することが可能となる。特に長時間に亘って成膜する際の膜中の窒素の組成比を安定させることが可能になる。
本開示の第3態様は、例えば、第1態様又は第2態様に加えて、前記網目形成体ステップ(b)と前記金属供給ステップ(c)とを別々に行う、酸窒化膜の製造方法を提供する。
第3態様によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。
本開示の第4態様は、例えば、第1〜第3態様のいずれか1つに加えて、前記金属元素が、Li、Na、Mg、及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む、酸窒化膜の製造方法を提供する。
第4態様によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。
本開示の第5態様は、例えば、第1〜第4態様のいずれか1つに加えて、前記網目形成体を構成する元素が、P、B、Si、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む、酸窒化膜の製造方法を提供する。
第5態様によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。
本開示の第6態様は、例えば、第1〜第5態様のいずれか1つに加えて、前記金属元素がLiを含み、前記網目形成体を構成する元素がPを含み、前記酸窒化膜が、Li、P、O、及びNを含む、酸窒化膜の製造方法を提供する。
第6態様によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。
本開示の第7態様は、例えば、第1〜第6態様のいずれか1つに加えて、膜厚が200nm以下である、酸窒化膜の製造方法を提供する。
第7態様によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。
本開示の第8態様は、例えば、第1〜第7態様のいずれか1つに加えて、網目形成体プリカーサー(P−1)の供給部とリアクタに接続する配管及び金属プリカーサー(P−2)の供給部とリアクタに接続する配管の温度が、網目形成体プリカーサー(P−1)の供給部の温度及び金属プリカーサー(P−2)の供給部の温度のいずれか高いほうの温度より55℃以上高い、酸窒化膜の製造方法を提供する。
第8態様によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。
本開示の第9態様は、リアクタ、制御部、網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)を前記リアクタ内に供給する網目形成体プリカーサー(P−1)供給部、金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)を前記リアクタ内に供給する金属供給部、酸素ガス及び/又はオゾンガスを前記リアクタ内に供給する酸素供給部、アンモニアガス及び/又は窒素ガスを前記リアクタ内に供給する窒素供給部、及び送気ガスを前記リアクタ内に供給する送気ガス供給部、を備える、酸窒化膜の製造装置を提供する。
第9態様によれば、コンフォーマル性に優れる、金属元素(アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素)及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜(すなわち、4元系の酸窒化膜)を製造できる。
本開示のALD法による酸窒化膜の製造方法に用いるALDの装置構成の一例を図1に示す。本開示の酸窒化膜の製造装置は、リアクタ2(以下、プロセスチャンバー)、制御部、網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)をリアクタ内に供給する網目形成体プリカーサー(P−1)供給部、金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)をリアクタ内に供給する金属プリカーサー(P−2)供給部、酸素ガス及び/又はオゾンガスをリアクタ内に供給する酸素供給部、窒素供給部及び送気ガス供給部を備える。
このようなALDの装置としては、目的とする酸窒化膜の種類に応じて市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、Savannah Systems、Fiji Systems、Phoenix Systems(以上、Ultratech/Cambridge NanoTech社)、ALD−series(株式会社昭和真空)、TFS 200、TFS 500、TFS 120P400A、P800等(以上、Beneq社)、OpAL、FlexAL(Oxford Instruments社)、InPassion ALD 4、InPassion ALD 6、InPassion ALD 8(以上、SoLay Tec社)、AT-400 ALD System(ANRIC TECHNOLOGIES社)、LabNano、LabNano-PE(Ensure NanoTech社)等が挙げられる。
装置1の制御部は、網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)を前記リアクタ内に供給する網目形成体供給ステップ(b)、金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)を前記リアクタ内に供給する金属供給ステップ(c)、酸素ガス及び/又はオゾンガスを前記リアクタ内に供給する酸素供給ステップ(d)、アンモニアガス及び/又は窒素ガスを前記リアクタ内に供給する窒素供給ステップ(e)、及び送気ガスを前記リアクタ内に供給する送気ガス供給ステップ(f)、を実行することができる。
装置1がリアクタ2内に備える基板としては、SiO2 400nmの熱酸化膜が成膜されたSi基板;石英基板;及びガラス基板等が挙げられる。
[ステップ(a)]
本開示の製造方法のステップ(a)では、リアクタ2内に基板を配置する。基板に用いる材料としては、特に限定されないが、例えば、金属(Au等)、金属複合酸化物、樹脂(ポリエステル系基材、ポリカーボネート系基材、フッ素樹脂系基材、アクリル樹脂系基材等)、ガラス(ソーダ石灰ガラス、石英ガラス等)、セラミックス(酸化アルミニウム、シリコン、ガリウムナイトライド、サファイア、シリコンカーバイド等)等が挙げられる。プロセスチャンバー2内の温度は、特に限定されないが、成膜を良好に進行させる点から、250〜550℃でもよく、300〜500℃でもよく、320〜480℃でもよい。プロセスチャンバーの温度が高すぎると、成膜が良好に進行しないおそれがあり、低すぎると、プリカーサーに炭素を含む場合に燃焼しないおそれがある。
以下、網目形成体供給ステップ(b)から送気ガス供給ステップ(f)まで順番に説明する。本開示の製造方法において、各ステップの順番は、繰り返し成膜となるため、酸素供給ステップ(d)又は窒素供給ステップ(e)の前に、網目形成体供給ステップ(b)を少なくとも1回行うこと、さらに特に記載した場合を除いて限定されない。また、少なくとも網目形成体供給ステップ(b)と金属供給ステップ(c)とを別々に行うことを除いて、各ステップを同時に行ってもよい。同時に行うとは、図1の装置において、各ステップに関するバルブを同時に開いていることを意味する。酸素供給ステップ(d)又は窒素供給ステップ(e)の前に、網目形成体供給ステップ(b)を行うことによって、酸化した網目形成体の骨格が得られる。この骨格にアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を導入し、さらに窒素置換を起こすことで目的の酸窒化膜が得られる。
[ステップ(b)]
網目形成体供給ステップ(b)では、網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)をリアクタ2内に供給する。図1において、バルブV2を開いて、網目形成体プリカーサー(P−1)を含む供給部(例えばボトル)3からリアクタ2に網目形成体プリカーサー(P−1)を供給する。供給部3の温度は、特に限定されないが、網目形成体プリカーサー(P−1)の蒸気圧が高いことを考慮し、1〜50℃でもよく、5〜45℃程度でもよい。図1の装置1において、供給部3より配管中に放出された網目形成体プリカーサー(P−1)をプロセスチャンバー2に押し流すことを目的として、供給部3からプロセスチャンバー2に接続する配管中に補助ガス供給部7から補助ガスを供給するために、成膜中はマニュアルバルブ(Mv8)を常時開いておいてもよい。マニュアルバルブ(Mv8)を通じて供給される補助ガスの流量は、特に限定されないが、20〜60ml/minであってもよく、25〜50ml/minであってもよい。また、図1の装置1において、金属プリカーサー(P−2)の放出量に応じて、網目形成体プリカーサー流量制御用ニードルバルブ4(Vneedle)を最適な開度(例えば、10〜60%)に調整して、網目形成体プリカーサー(P−1)の流量を制御することができる。
網目形成体を構成する元素の種類に応じて、さらに必要な場合には、バルブV5を開いて補助ガス供給部8から補助ガスを供給し、網目形成体プリカーサー(P−1)を押し出してもよい。補助ガスの流量は、マスフローコントローラー(MFC)5で制御できる。ステップ(b)に用いる補助ガスの温度は、特に限定されないが、成膜に影響することから、100〜300℃であってもよく、120〜280℃であってもよい。
補助ガスとしては、不活性ガスを主成分とするものであってもよい。不活性ガスとしては、アルゴンガス又は窒素ガス等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。「主成分」とは、当該補助ガスにおいて容量比で最も多く含まれる成分を意味する。
網目形成体供給ステップ(b)に用いる補助ガスの成分は、送気ガス供給ステップ(f)に用いる送気ガスと同一であってもよく、異なっていてもよい。
網目形成体を構成する元素としては、特に限定されないが、例えば、P、B、Si、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種類が挙げられ、少なくともPを含んでもよい。
網目形成体プリカーサー(P−1)としては、特に限定されないが、例えば、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン(TDMAP)、トリメチルホスフィン(TMP)、トリエチルホスフィン(TEP)、tert−ブチルホスフィン(TBP)等のリン含有化合物;テトラキスジエチルアミドバナジウム(V[N(C2524)、テトラキスジメチルアミドバナジウム(V[N(CH324)等のバナジウム化合物;トリスジメチルアミノシラン(3DMAS)、ビスエチルメチルアミノシラン(BEMAS)等のシラン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バルブV2を閉じることで、網目形成体供給ステップ(b)は終了できる。ステップ(b)の継続時間(バルブV2を開いてから閉じるまでの時間)は、特に限定されないが、約0.01〜10秒でもよく、約0.05〜8秒でもよく、約0.1〜5秒でもよい。
[ステップ(c)]
金属供給ステップ(c)では、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)をリアクタ2内に供給する。図1において、バルブV1を開いて、金属プリカーサー(P−2)を含む供給部6からリアクタ2に、金属プリカーサー(P−2)を供給する。供給部6の温度は、特に限定されないが、金属プリカーサー(P−2)の蒸気圧が低いことを考慮し、90〜190℃でもよく、95〜180℃でもよい。図1の装置1において、供給部6より配管中に放出された金属プリカーサー(P−2)をプロセスチャンバー2に押し流すことを目的として、供給部6からプロセスチャンバー2に接続する配管中に補助ガス供給部9から補助ガスを供給するために、成膜中はマニュアルバルブ(Mv9)を常時開いておいてもよい。マニュアルバルブ(Mv9)を通じて供給される補助ガスの流量は、特に限定されないが、20〜60ml/minでもよく、30〜55ml/minでもよい。金属プリカーサー(P−2)の種類に応じて、さらに必要な場合には、バルブV4を開いて補助ガス供給部10から補助ガスを供給し、金属プリカーサー(P−2)を押し出してもよい。補助ガスの流量は、マスフローコントローラー5で制御でき、特に限定されないが、1〜30ml/minでもよく、5〜20ml/minでもよい。ステップ(c)に用いる補助ガスの温度は、特に限定されないが、成膜に影響することから、100〜300℃でもよく、120〜280℃でもよい。
金属供給ステップ(c)に用いる補助ガスは、網目形成体供給ステップ(b)に用いるものと同様のものを使用できる。金属供給ステップ(c)に用いる補助ガスの成分は、送気ガス供給ステップ(f)に用いる送気ガスと同一であってもよく、異なっていてもよい。
アルカリ金属元素としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Frが挙げられ、Li、Na、Kでもよく、Liでもよい。アルカリ土類金属元素としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raが挙げられ、Mg、Caでもよい。なお、BeとMgは、性質の違いから狭義のアルカリ土類金属元素には含まれないが、本開示に係るアルカリ土類金属元素は、広義のアルカリ土類金属元素を意味するものとして、BeとMgもアルカリ土類金属元素に含むものとする。前記した金属元素は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。金属プリカーサーに含まれる金属としては、Li、Na、Mg、及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種類でもよい。
金属プリカーサー(P−2)としては、特に限定されないが、例えば、Li(thd)(リチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナート);Li(t−OBu)(リチウムtert-ブトキシド)等のリチウムアルコキシド;n−BuLi(n−ブチルリチウム)等のアルキルリチウム;LiCp(リチウムシクロペンタジエニル)、リチウムジシクロヘキシルアミド等の環状リチウム化合物、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Cp2Mg)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(MeCp2Mg)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(EtCp2Mg)等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バルブV1を閉じることで、金属供給ステップ(c)は終了できる。ステップ(c)の継続時間(バルブV1を開いてから閉じるまでの時間)は、特に限定されないが、約0.01〜10秒でもよく、約0.05〜8秒でもよく、約0.1〜5秒でもよい。
[ステップ(d)]
酸素供給ステップ(d)では、酸素ガス及び/又はオゾンガスをリアクタ2内に供給する。なお、ステップ(d)は、プラズマALDの場合、プラズマ処理によってラジカル酸素をリアクタ2内に供給する酸素供給ステップ(d’)とすることができる。オゾンガスは、例えば、特表2011−508826号公報に記載されるように、OT−020オゾン発生装置(Ozone Technology社)に酸素ガスを供給して製造することができる。図1において、バルブV7を開いて、酸素供給部12から酸素供給源となるガス(酸素ガス及び/又はオゾンガス)をリアクタ2内に供給する。酸素供給源となるガスの流量は、マスフローコントローラー5で制御でき、20〜60ml/minでもよく、30〜50ml/minでもよい。酸素供給源となるガスの濃度は、特に限定されないが、100%(例えば、100%酸素ガス)でもよい。酸素供給源となるガスの温度は、特に限定されないが、成膜に影響することから、100〜300℃でもよく、120〜280℃でもよい。
バルブV7を閉じることで、酸素供給ステップ(d)又はステップ(d’)は終了できる。ステップ(d)又はステップ(d’)の継続時間(バルブV5を開いてから閉じるまでの時間)は、特に限定されないが、約0.1〜15秒でもよく、約0.2〜10秒でもよく、約0.2〜8秒でもよい。
[ステップ(e)]
窒素供給ステップ(e)では、アンモニアガス及び/又は窒素ガスをリアクタ2内に供給する。なお、ステップ(e)は、プラズマALDの場合、プラズマ処理によってラジカル窒素をリアクタ2内に供給する窒素供給ステップ(e’)とすることができる。図1において、バルブV6を開いて、窒素供給部13から窒素供給源となるガス(アンモニアガス及び/又は窒素ガス)をリアクタ2内に供給する。窒素供給源となるガスの流量は、マスフローコントローラー5で制御でき、20〜60ml/minでもよく、30〜50ml/minでもよい。窒素供給源となるガスの濃度は、特に限定されないが、100%(例えば、100%アンモニアガス)でもよい。窒素供給源となるガスの温度は、特に限定されないが、成膜に影響することから、100〜300℃でもよく、120〜280℃でもよい。
バルブV6を閉じることで、窒素供給ステップ(e)又はステップ(e’)は終了できる。ステップ(e)又はステップ(e’)の継続時間(バルブV5を開いてから閉じるまでの時間)は、特に限定されないが、約0.1〜15秒でもよく、約0.2〜10秒でもよく、約0.2〜8秒でもよい。
[ステップ(f)]
送気ガス供給ステップ(f)では、送気ガスをリアクタ2内に供給する。送気ガスをリアクタ2内に供給することによって、パージを行う。図1において、バルブV3を開いて、送気ガス供給部14から送気ガスをリアクタ2内に供給する。送気ガスの流量は、マスフローコントローラー5で制御でき、20〜60ml/minでもよく、30〜50ml/minでもよい。送気ガスの温度は、特に限定されないが、成膜に影響することから、100〜300℃でもよく、120〜280℃でもよい。
ステップ(f)は、例えば、網目形成体供給ステップ(b)、金属供給ステップ(c)等の終了後に順番に行ってもよい。例えば、網目形成体供給ステップ(b)、金属供給ステップ(c)、酸素供給ステップ(d)及び窒素供給ステップ(e)からなる群より選ばれる、任意のステップの後もしくは任意の2ステップの間に行ってもよく、これらの任意のステップと同時に行ってもよい。また、プロセスチャンバー内の排気を十分に行う点から、ステップ(a)の後の最初に行う原料供給ステップ(網目形成体供給ステップ(b)、金属供給ステップ(c)、酸素供給ステップ(d)又は窒素供給ステップ(e))の開始前から、成膜完了までバルブV3を開いたままにしておき、バックグランドプロセスとして継続的に行ってもよい。プロセスチャンバー内の十分な排気を行う点から、ステップ(f)はバックグランドプロセスとして継続的に行ってもよい。ステップ(f)の継続時間(パージ時間)は、特に限定されないが、約0.1〜20秒でもよく、約0.5〜15秒でもよく、約1.0〜10秒でもよい。
送気ガスとしては、不活性ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、アルゴンガス又は窒素ガス等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本開示に係る製造方法において、ステップ(e)に加えて、網目形成体供給ステップ(b)、金属供給ステップ(c)、酸素供給ステップ(d)、及び送気ガス供給ステップ(f)からなる群から選ばれる少なくとも一つのステップにおいてアンモニアガスを同時に供給してもよい。アンモニアガスを前記したステップと同時に供給することによって、酸窒化膜に窒素をより安定的に導入することができる。アンモニアガスの供給は、図1に示される装置においては、前記した少なくとも一つのステップを実施する間においてバルブV6を開くことによって行ってもよく、酸窒化膜の成膜完了までバルブV6を常時開いていて行ってもよい。アンモニアガスの流量は、特に限定されないが、例えば30〜100ml/minでもよく、50〜100ml/minでもよい。アンモニアガスの濃度は、特に限定されないが、100%(例えば、100%アンモニアガス)でもよい。アンモニアガスの温度は、特に限定されないが、成膜に影響することから、100〜200℃でもよい。プロセスチャンバー温度の低下を小さくできるため、180℃〜200℃でもよい。アンモニアガスの供給時間は、前記したいずれかのステップと同時に行っている限り特に限定されない。
本開示に係る製造方法において、前記した少なくとも一つのステップにおいて、アンモニアガスを同時に供給することによって、得られる酸窒化膜中の窒素存在比を容易に向上させることもできる。
本開示に係る製造方法において、プロセスチャンバー2における真空度を制御する。図1において、排気マニュアルバルブ11(Vexhaust)の開度を調整することで、プロセスチャンバー2における真空度を制御できる。真空度としては、目的とする酸窒化膜の種類に応じて変更できるが、例えば、0.1〜8.0Torrでもよく、0.5〜5.0Torrでもよい。低真空度では、プリカーサーが一時にプロセスチャンバー内に供給され、酸化プロセスが不十分となり、膜中のカーボン量が増加し、高真空度では、蒸気圧が高い金属プリカーサー(P−2)が過剰に供給されてしまうため好ましくない。プロセスチャンバーの真空度はピラニーゲージ(TPR280 DN16 ISO-KF:PFEIFFER VACUUM製)で測定できる。
本開示に係る製造方法において、配管の温度は重要な要素の1つである。特に、図1において、供給部3及び供給部6の出口からリアクタ2の入口までの配管の温度は、網目形成体プリカーサー(P−1)の沸点(例えば、網目形成体プリカーサー(P−1)がトリス(ジメチルアミノ)ホスフィンの場合、沸点は48〜50℃)及び金属プリカーサー(P−2)の沸点(例えば、金属プリカーサー(P−2)がリチウムtert-ブトキシドの場合、沸点は68〜70℃)又はそれらの昇華温度より高く、かつ供給部3及び供給部6の温度より高い温度である必要がある。前記配管の温度を、供給部3及び供給部6の温度より高めに設定することで目詰まりを回避できる。前記配管の温度が供給部3及び供給部6の温度より低い場合、プリカーサーが配管中で固化し、目詰まりを起こす。前記配管の温度は、供給部3及び供給部6の両方の温度よりも55℃以上高くてもよく、供給部3又は供給部6のいずれか温度の高いほうより60℃以上高くてもよい。例えば、供給部3の温度が35℃であり、供給部6の温度が100℃の場合、供給部3及び供給部6の出口からリアクタ2の入口までの配管の温度を180℃程度に設定することができる。
本開示の一実施形態に係る製造方法において、網目形成体供給ステップ(b)、金属供給ステップ(c)、酸素供給ステップ(d)、窒素供給ステップ(e)及び送気ガス供給ステップ(f)からなる群より選ばれる少なくとも1つのステップを含むサイクルを複数回繰り返すことによって、目的とする酸窒化膜を得ることができる。サイクルとしては、例えば、図2の破線で囲まれた部分に示される繰り返しサイクルのように、網目形成体供給ステップ(b)、金属供給ステップ(c)、酸素供給ステップ(d)、窒素供給ステップ(e)及び送気ガス供給ステップ(f)を少なくとも1つずつ含み、各ステップ(b)、(c)、(d)、及び(e)の後に送気ガス供給ステップ(f)を含むサイクルが挙げられる。サイクルの繰り返し回数は、特に限定されず、目的とする酸窒化膜の膜厚、使用する網目形成体プリカーサー(P−1)の種類、金属プリカーサー(P−2)の種類等に応じて、適宜変更できる。サイクルの繰り返し回数は、例えば、1〜8000サイクル程度であってもよく、5〜3000サイクル程度であってもよい。例えば、酸窒化膜の膜厚を500nm程度にする場合、7000〜8000サイクルに設定してもよく、酸窒化膜の膜厚を50nm以下にする場合、300サイクル以下に設定してもよい。
本開示の一実施形態に係る製造方法によって得られる酸窒化膜の膜厚は、使用目的に応じて、前記したサイクルの繰り返し回数の増減させることによって制御できるため、特に限定されない。酸窒化膜の厚さとしては、例えば、550nm以下であってもよく、300nm以下であってもよいが、極薄膜として利用する場合、200nm以下でもよく、150nm以下でもよく、110nm以下でもよく、100nm以下でもよく、50nm以下であってもよい。また、膜厚はサイクル数で調整できるため、下限値は特に限定されないが、使用目的に応じて、0.1nm以上でもよく、1nm以上でもよい。
酸窒化膜における各元素の組成比の制御は、主にプリカーサー(P−1)と(P−2)の制御により行う。具体的には、ガス流量と、成膜(パルス/パージ)時間で行う。最も蒸気圧の低いプリカーサーの量を基準とし、他の元素のガス流量とパルス時間を制御することで最適な組成比を得ることができる。
また、上述したように、本開示の一実施形態に係る製造方法において、プラズマALDを使用することもできる。プラズマを使用することにより、反応性を高めて系の温度をより低温化することもできる。
本開示に係る好適な一実施形態として、酸窒化膜がLiPONである場合の製造方法を例にして、説明する。各ステップの順番については限定されないが、本開示においては、少なくともリン酸骨格を形成する必要があり、その形成前もしくは後にリチウム供給源及び窒素供給源を投入するステップを行うことによりLiPONの成膜が可能になる。リン酸骨格が形成されなければ、リチウムは基板中に拡散してしまい、成膜できない。また、リチウムが少なすぎても膜が成長せず、リチウムが増加しすぎると窒素が膜に導入されない。Li3PO4の酸素の一部を窒素に置換させることで、膜中に導入することができると考えられる。
リン酸骨格の形成は、酸素供給ステップ(d)又は窒素供給ステップ(e)の前に、リン含有化合物を含む網目形成体プリカーサー(P−1)をリアクタ2内に供給する網目形成体供給ステップ(b)を少なくとも1回行うことで形成される。具体例としては、リン含有化合物を含むプリカーサー(P−1)をリアクタ2内に供給する網目形成体供給ステップ(b)、送気ガス供給ステップ(f)の順で行った後に、酸素供給ステップ(d)又は窒素供給ステップ(e)、送気ガス供給ステップ(f)の順で行うことで酸化によってリン酸骨格を形成する。この場合、リチウム系プリカーサー(P−2)の供給ステップ(c)は、酸素供給ステップ(d)又は窒素供給ステップ(e)の後であってもよく、網目形成体供給ステップ(b)の前であってもよい。また、リン酸が形成されていれば、リチウム系プリカーサー(P−2)の供給ステップ(c)は、酸素供給ステップ(d)又は窒素供給ステップ(e)の前であってもよい。
さらに、各元素の組成比の制御は主にプリカーサー(P−1)と(P−2)の制御により行う。具体的には、ガス流量と、成膜(パルス/パージ)時間で行う。LiPONの場合、最も蒸気圧の低いリチウム系プリカーサー(P−2)の量を基準とし、他の元素のガス流量とパルス時間を制御することで最適な組成比を得ることができる。
LiPONを製造する場合、プロセスチャンバー内の温度は、400℃以上480℃未満でもよい。
LiPONを製造する場合、網目形成体プリカーサー(P−1)のリン含有化合物の蒸気圧が高いため、図1の装置において、供給部3の温度は、1〜50℃でもよく、5〜45℃程度でもよい。また、リチウム系プリカーサー(P−2)の蒸気圧が低いため、供給部6の温度は、100℃〜180℃でもよい。送気ガスの温度は、成膜中のサンプル温度に影響を及ぼし、成膜ばらつき要因となるため、150〜250℃でもよい。酸素供給ステップ(d)の酸素供給源となるガス及び窒素供給ステップ(e)の窒素供給源となるガスの温度も、成膜中のサンプル温度に影響を及ぼし、成膜ばらつき要因となるため、150〜250℃でもよい。各成分の流量、処理時間(パルス時間/パージ時間)等は上述の条件から適宜選択できる。
本開示に係るLiPON膜としては、深さ方向において、LiPON膜全体を100at.%として、リン濃度は5〜30at.%の範囲でもよく、8〜25at.%の範囲でもよく、10〜20at.%の範囲でもよい。また、本開示に係るLiPON膜としては、深さ方向において、LiPON膜全体を100at.%として、窒素濃度は0.2〜15at.%の範囲でもよく、0.5〜12at.%の範囲でもよく、1.0〜10at.%の範囲でもよい。さらに、本開示に係るLiPON膜としては、深さ方向において、LiPON膜全体を100at.%として、酸素濃度は40〜70at.%の範囲でもよく、45〜65at.%の範囲でもよく、50〜60at.%の範囲でもよい。また、本開示に係るLiPON膜としては、深さ方向において、LiPON膜全体を100at.%として、リチウム濃度が10〜40at.%の範囲でもよく、15〜35at.%の範囲でもよく、17〜30at.%の範囲でもよい。また、深さ方向で組成が均一であるものでもよい。組成分析の方法及び条件は、後記する実施例に記載のとおりである。
本開示に係る酸窒化膜としては、X線光電子分光測定(XPS測定)における単結合窒素(以下、Ntとも称する)由来のピーク強度の、二重結合窒素(−N=)(以下、Ndとも称する)由来のピーク強度に対する割合が50%以下であるものでもよく、40%以下であるものでもよく、30%以下であるものでもよい。ここで、単結合窒素とは、単結合のみを有する窒素原子を意味する。また、二重結合窒素とは、二重結合を有する窒素原子を意味する。単結合窒素は、下記式(1)で表される構造を意味する。
次に、実施例を挙げて本開示に係る製造方法及びそれによって得られる酸窒化膜をさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下の方法で、LiPON膜を製造した。装置は、図1の構成を有する装置を用いた。プリカーサーを配置する供給部には、プリカーサボトル(Japan Advanced Chemicals Ltd.製)を使用した。プロセスチャンバー、プリカーサボトル、及び配管にはSUS316を使用した。加熱は、プロセスチャンバー、プリカーサボトル、及び配管にリボンヒーターを巻き、リボンヒーターを加熱することで行った。以下に記載する各温度は熱電対を用いて測定し、温度コントローラーを用いて部分ごとに温度制御を行った。リアクタ2内に配置されたサンプルホルダーにはSUS316を使用した。各マスフローコントローラー(MFC)及びバルブの制御は、シーケンサーMELSEC-Q(三菱電機株式会社製)及び制御プログラム(日本スプリード株式会社製)を用いて行った。MFCとしては、アルゴン及び酸素ガス流量制御にはSEC-E40(型式;株式会社堀場エステック製)とアンモニア用にSEC-N112MGM(型式;株式会社堀場エステック製)とをそれぞれ使用した。ニードルバルブ4として、蒸気圧の高いTDMAPの流量制御ために、ベローズ・シール・バルブ(型番:SS-4BMG、Swagelok社製)を使用した。プロセスチャンバーの真空度はピラニーゲージ(TPR280 DN16 ISO-KF:PFEIFFER VACUUM製)で測定した。成膜中のプロセスチャンバー真空度は、アングルバルブの開度で10-1Pa〜103Paに制御した。
基板には、5μmピッチくし形電極(Au)が形成されたガラス基板を使用した。プロセスチャンバー(リアクタ2)内に前記電極を配置した。網目形成体プリカーサー(P−1)としてはトリス(ジメチルアミノ)ホスフィン(TDMAP)を使用し、リチウム系プリカーサー(P−2)としてはLi(t−OBu)(リチウムtert−ブトキシド)を使用した。送気ガスには、アルゴンガスを使用した。酸素供給源としては酸素ガスを使用した。窒素供給源としてはアンモニアガスを使用した。リアクタ2内の温度は450℃に設定した。網目形成体プリカーサー(P−1)の供給部3の温度は40℃に設定した。金属プリカーサー(P−2)の供給部6の温度は100℃に設定した。供給部3及び供給部6の出口からプロセスチャンバーの入口までの配管の温度は170℃に設定した。補助ガス供給部10から供給部6までの配管と前記2つの配管以外のすべての配管の温度は、200℃に設定した。酸素ガス、アンモニアガス及び送気ガスの流量は、50ml/minに設定した。マニュアルバルブMv8及びMv9を常時開き、補助ガスの流量は、50ml/minに設定した。ニードルバルブ4の開度は、50%とした。
図1の装置において、バルブV3を開いて約1800秒間送気ガスを供給した。次いで、バルブV7を開き、2秒間酸素ガスを供給したのち(ステップ(d))、バルブV7を閉じ、送気ガス供給ステップ(f)を8秒行った。次いで、各バルブの開閉によって、表1に記載の繰り返しサイクルを7246回行った。1回目のサイクルのステップ(1)開始と同時にバルブV6を開き、7246回目のサイクルのステップ(8)終了と同時にバルブV6を閉じた。つまり、ステップ(e)以外のすべてのステップにおいて、アンモニアガスを供給し続けた。供給したアンモニアガスの流量は100ml/minとした。アンモニアガスの温度は、200℃とした。
得られたLiPON膜をSEMで観察したところ、膜厚は524.5nmであった。
得られたLiPON膜について、インピーダンス測定器(商品名:Modulab、ソーラトロン社)を用いてインピーダンス測定を行った。結果を図3に示す。イオン導電率は、3.2×10-7 Scm-1であった。また、アレニウスプロットの結果を図4に示す。図4から算出される活性化エネルギーは、Ea=0.54eVであった。これらの結果から、得られたLiPON膜が固体電解質としての機能を有することが確認された。
[実施例2]
図2に示される工程を用い、繰り返しサイクル数を250とした以外は、実施例1と同様にして、LiPON膜を製造した(組成:Li2.35PO3.580.28)。
得られたLiPON膜をSTEM(走査型透過電子顕微鏡、商品名:FB2100、株式会社日立ハイテクノロジーズ)で観察したところ、膜厚は49nmであった。結果を図5に示す。
[実施例3]
基板上にコバルト酸リチウム(LiCoO2)層を設け、その上に製造した以外は、実施例1と同様にして、LiPON膜を製造した。さらに、LiPON膜上に、観察のために保護膜としてオスミウム膜をスパッタ装置(HPC−1SW、株式会社真空デバイス)を用いてスパッタ法によって成膜した。得られたLiPON膜をSTEMで観察したところ、膜厚は約340nmであった。
[実施例4、5]
ステップ(c)におけるリチウム系プリカーサーのパルス時間、及び繰り返しサイクル数を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、LiPON膜を製造した。
[実施例6]
ステップ(e)以外のステップではバルブV6を開かない点、ステップ(c)におけるリチウム系プリカーサーのパルス時間を3秒とした点、及び繰り返しサイクル数を900とした点以外は、実施例1と同様にしてLiPON膜を製造した。
[実施例7、8]
ステップ(c)におけるリチウム系プリカーサーのパルス時間、及び繰り返しサイクル数を表3に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして、LiPON膜を製造した。
<組成分析>
実施例1、実施例4〜8で得られたLiPON膜について、X線光電分光法(XPS)によって深さ方向の組成分析を行った。具体的には、装置(商品名:PHI 5000 Versaprobe、アルバック・ファイ株式会社)を用いて、LiPON膜についてXPS測定とArスパッタを繰り返すことにより、膜の深さ方向の元素濃度変化を測定した。
実施例1で得られたLiPON膜の、深さ方向の組成分析の結果を図6に示す。図中、縦軸は元素濃度(at.%)を表し、横軸は、分析深さ(nm)を表す。
図6に示されるように、本開示の実施形態に係る製造方法で得られたLiPON膜は、Li、P、O、Nのそれぞれについて深さ方向で組成がほぼ一定であった。
実施例4〜8で得られたLiPON膜の、深さ方向の組成分析により得られた、膜厚、及び膜中の窒素の平均存在比を表4に示す。膜中の窒素の平均存在比は、XPS測定を行った3〜8点での窒素の存在比を、平均することによって算出した。ここで窒素の存在比とは、XPS測定により求めたリンの元素濃度(at.%)を1としたときの、窒素の元素濃度(at.%)の割合である。
表4から、ステップ(e)以外のステップでもアンモニアガスを供給することによって、酸窒化膜に導入される窒素の存在比をより高めることができることがわかる。
[実施例9]
1回目のサイクルのステップ(b)開始と同時にバルブV6を開かず、バルブV6を閉じままとし、基板に石英ガラスを用い、繰り返しサイクル数を999とした以外は、実施例1と同様にして、LiPON膜を製造した。
得られたLiPON膜をインレンズ(In−Lens)検出器を装着したSEM(走査型電子顕微鏡、商品名:S−5500、株式会社日立ハイテクノロジーズ)で観察した像を図8Aに示す。図8Bは成膜前の状態をSEM観察した像である。
さらに、実施例3と同様に、得られたLiPON膜上に、保護膜としてオスミウム膜をオスミウムコーター(商品名:HPC−1SW、株式会社真空デバイス)によって成膜した。次いで、タングステンでコーティングして、積層体を得た。得られた積層体をFIB(Focused Ion Beam、集束イオンビーム)加工装置(商品名:集束イオンビーム装置FB−2100、株式会社日立ハイテクノロジーズ)で切断して切断面をSTEMで観察した。観察像を図9に示す。図9A、BはBF(bright field)像を表し、図9C、DはDF(Dark field)を表す。また、図9Bは、図9Aの拡大図であり、図9Dは図9Cの拡大図である。図9Bから、LiPON膜の厚さは、210〜220nmであった。
また、実施例2のLiPON膜のXPS測定の結果を図10に示す。図10において、一点鎖線は単結合のみを有する窒素由来のピーク強度を表し、破線は二重結合を有する窒素由来のピーク強度を表す。XPSスペクトルの測定は、XPS装置(型番:PHI 5000 Versaprobe、アルバック・ファイ株式会社)を用いた。XPSスペクトルのフィッテイング(ガウシアンフィッティング)には、ピーク解析ソフトウェア(商品名:マルチパック、アルバック・ファイ株式会社)を用いた。ピーク解析ソフトウェアの「Fit」メニューにより波形分離とベースライン設定とを行い、単結合窒素を示すピークと二重結合窒素を示すピークの面積比より各々を定量した。図10中に「B.G.」と表される、XPSスペクトルのバックグラウンドはshirlry法で決定した。
[比較例1]
ALD法ではなく、スパッタ法を用いてLiPON膜を製造した。具体的には、プレーナ式マグネトロンスパッタ装置によって製造した。
実施例3と比較例1で得られた積層体の断面をSEMで観察した。結果を図7に示す。図7Aが実施例3の観察像であり、図7Bが比較例1の観察像である。図7Aより、LiPONがコバルト酸リチウムの界面に沿うだけでなく、結晶間の境界まで取り込んで成膜できていることが確認された。このことから、本開示に係る製造方法で得られる酸窒化膜は、形状適応性が高いことがわかる。一方、図7Bでは、多くの箇所に空隙が確認され、形状適応性に劣ることが明らかである。また、参考図として、スパッタ法で製造したLiPON膜のXPSスペクトルの測定結果を図11に示す。いずれも単結合窒素由来のピーク強度の、二重結合窒素由来のピーク強度に対する割合は、50%以上であった。
本開示は、形状適応性(コンフォーマル性)に優れた4元系の酸窒化膜の製造に有用である。本開示によって得られる酸窒化膜は、固体電解質として有用であり、全固体リチウム電池及びポストリチウムイオン二次電池を製造するのに有用である。また、本開示によって得られる酸窒化膜は、非水系リチウムイオン2次電池の活物質表面を保護する保護膜としても利用可能である。また、電気2重層トランジスタのゲート絶縁膜としても利用可能である。さらに、本開示によれば、リアクタ内の温度(サンプル基板温度)あるいは真空度のばらつきに影響されることなく安定して窒化することが可能となる。特に長時間に亘って成膜する際の膜中の窒素の組成比を安定させることが可能になる。
1 リアクタを備えた反応装置
2 リアクタ(プロセスチャンバー)
3 網目形成体プリカーサー用供給部
4 網目形成体プリカーサー流量制御用ニードルバルブ
5 マスフローコントローラー
6 金属プリカーサー用供給部
7,8,9,10 補助ガス供給部
11 排気マニュアルバルブ
12 酸素供給部
13 窒素供給部
14 送気ガス供給部

Claims (9)

  1. 金属元素及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法であって、
    前記金属元素がアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素であり、
    リアクタを備えた装置のリアクタ内に基板を配置するステップ(a)、
    網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)を前記リアクタ内に供給する網目形成体供給ステップ(b)、
    前記金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)を前記リアクタ内に供給する金属供給ステップ(c)、
    酸素ガス及び/又はオゾンガスを前記リアクタ内に供給する酸素供給ステップ(d)、
    アンモニアガスを前記リアクタ内に供給するアンモニア供給ステップ(e)、及び
    送気ガスを前記リアクタ内に供給する送気ガス供給ステップ(f)、を含
    前記網目形成体供給ステップ(b)、前記金属供給ステップ(c)、前記酸素供給ステップ(d)、及び前記送気ガス供給ステップ(f)とを含むサイクルが繰り返されている間、前記アンモニアガスを供給し続ける、
    金属元素及び網目形成体を構成する元素を含有する酸窒化膜の製造方法。
  2. 前記網目形成体供給ステップ(b)、前記金属供給ステップ(c)、前記酸素供給ステップ(d)、及び前記送気ガス供給ステップ(f)からなる群から選ばれる少なくとも一つのステップにおいてアンモニアガスを同時に供給する、
    請求項1に記載の酸窒化膜の製造方法。
  3. 前記網目形成体ステップ(b)と前記金属供給ステップ(c)とを別々に行う、請求項1又は2に記載の酸窒化膜の製造方法。
  4. 前記金属元素が、Li、Na、Mg、及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸窒化膜の製造方法。
  5. 前記網目形成体を構成する元素が、P、B、Si、及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸窒化膜の製造方法。
  6. 前記金属元素がLiを含み、
    前記網目形成体を構成する元素がPを含み、
    前記酸窒化膜が、Li、P、O、及びNを含む、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸窒化膜の製造方法。
  7. 膜厚が、200nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸窒化膜の製造方法。
  8. 網目形成体プリカーサー(P−1)の供給部とリアクタに接続する配管及び金属プリカーサー(P−2)の供給部とリアクタに接続する配管の温度が、網目形成体プリカーサー(P−1)の供給部の温度及び金属プリカーサー(P−2)の供給部の温度のいずれか高いほうの温度より55℃以上高い、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸窒化膜の製造方法。
  9. リアクタ、制御部、
    網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)を前記リアクタ内に供給する網目形成体プリカーサー(P−1)供給部、
    金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)を前記リアクタ内に供給する金属供給部、
    酸素ガス及び/又はオゾンガスを前記リアクタ内に供給する酸素供給部、
    アンモニアガスを前記リアクタ内に供給するアンモニア供給部、及び
    送気ガスを前記リアクタ内に供給する送気ガス供給部、を備え、
    前記制御部が、網目形成体を構成する元素を含む網目形成体プリカーサー(P−1)を前記リアクタ内に供給する網目形成体供給ステップ(b)、金属元素を含む金属プリカーサー(P−2)を前記リアクタ内に供給する金属供給ステップ(c)、酸素ガス及び/又はオゾンガスを前記リアクタ内に供給する酸素供給ステップ(d)、アンモニアガスを前記リアクタ内に供給するアンモニア供給ステップ(e)、及び送気ガスを前記リアクタ内に供給する送気ガス供給ステップ(f)、を実行することができ、
    前記網目形成体供給ステップ(b)、前記金属供給ステップ(c)、前記酸素供給ステップ(d)、及び前記送気ガス供給ステップ(f)とを含むサイクルが繰り返されている間、前記アンモニアガスを供給し続ける、
    酸窒化膜の製造装置。
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