JP6536152B2 - 樹脂封止部品の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、上述の方法で部品を樹脂封止する場合、得られる樹脂封止部品には、構成部材として基材が含まれることとなり、上記樹脂封止部品の厚さは上記基材の厚さ分大きくなるため、樹脂封止部品の小型化、薄型化が阻害されるという問題がある。
また、上記発明の場合、上記粘着層が、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含む粘着剤組成物により形成されることが好ましい。
微粘着性を示す粘着層が上述の組成を有する各粘着剤組成物により形成されることで、封止環境に十分に耐え得る高耐熱性および優れた低アウトガス性を示すことができ、樹脂封止時における部品の位置ズレや樹脂封止部品側への糊残りの発生を防止するだけでなく、封止時の樹脂成形不良の発生やガス焼け等による樹脂封止部品の不良の発生も十分に防止することが可能となるからである。
エネルギー線照射により剥離する粘着層が上述の組成を含む粘着剤組成物により形成されることで、封止環境に十分に耐え得る高耐熱性および優れた低アウトガス性を示すことができ、樹脂封止時における部品の位置ズレや樹脂封止部品側への糊残りの発生を防止するだけでなく、封止時の樹脂成形不良の発生やガス焼け等による樹脂封止部品の不良の発生も十分に防止することが可能となるからである。
エネルギー線照射により剥離する粘着層が上述の組成を含む粘着剤組成物により形成されることで、封止環境に十分に耐え得る高耐熱性および優れた低アウトガス性を示すことができ、樹脂封止時における部品の位置ズレや樹脂封止部品側への糊残りの発生を防止するだけでなく、封止時の樹脂成形不良の発生やガス焼け等による樹脂封止部品の不良の発生も十分に防止することが可能となるからである。
本発明における準備工程は、基材および上記基材上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する工程である。
上記粘着層は、再剥離性を示すものであることが好ましい。粘着層が再剥離性を示すとは、上記粘着層上に部品を粘着または密着させることができ、且つ、上記部品を樹脂封止した後に剥離する際に、樹脂封止部品側への糊残りが生じにくく、また、上記樹脂封止部品および粘着性基材を破損させずに容易に剥離可能であることをいう。
ここで、粘着層が封止工程における封止環境に対して高耐熱性を示すとは、上記粘着層の重量減少率が1%〜10%の範囲内、好ましくは2.5%未満であることをいう。上記重量減少率は、粘着層の単体について熱重量−示差熱装置(TG−DTA)を用いて測定し算出される値であり、具体的には、窒素雰囲気下(ガス流量:150ml/min)で、昇温速度10℃/minで30℃から250℃まで昇温させた時点での重量変化量を測定し、下記式から重量減少率を算出した。30℃での粘着層の重量(W1)と、250℃での粘着層の重量(W2)とを測定し、下記式から算出される。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
上記アウトガス発生量は、基材としてポリイミドフィルムを用いた本発明における粘着性基材を、幅10mm、長さ10mmのサイズに切断して測定サンプルとして以下の方法にて測定および算出した値である。なお、同条件下におけるポリイミドフィルム単体からのアウトガス発生量は0.3μg/cm2未満であり無視できる量であるため、上記測定サンプルでのアウトガス発生量を、粘着層のアウトガス発生量とする。
(測定方法および算出方法)
パージ&トラップヘッドスペースサンプラーにより、上記測定サンプルを200℃で0.5時間加熱し、発生したガス(アウトガス)をトラップした後、このトラップされた成分についてガスクロマトグラフ質量分析計により分離測定を行った。
発生したガスの量を、n−ヘキサデカン標準による換算値として粘着層の単位面積当たりの値に換算し、粘着層のアウトガス発生量(200℃にて0.5時間加熱した際に発生するアウトガス発生量、単位:μg/cm2)として算出した。
粘着層の第1態様は、微粘着性を示す粘着層である。本態様の粘着層は、その初期粘着力により部品配置工程から封止工程までの一連の工程において部品を十分に固定することが可能であり、また、剥離工程にて樹脂封止部品側に糊残りが生じることなく、粘着性基材を容易に剥離することができる。なお、本態様の粘着層のことを、「微粘着層」と称する場合がある。
具体的には、本態様の粘着層の初期粘着力が、6N/25mm以下、好ましくは3N/25mm以下、より好ましくは2N/25mm以下である。また、本態様の粘着層の初期粘着力は、0.05N/25mm以上であることが好ましい。
上記粘着力は、基材としてポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン製、製品名:100H)を用い、上記基材の片面に本態様の粘着層を後述する厚さの範囲内となるように形成した粘着性基材を用い、巾25mm×長さ150mmの大きさの短冊状の試験片をカットし、次にJIS Z0237の規格に準拠した条件でステンレス板にラミネートし、最後に、試験片を剥離角180°、剥離速度300mm/分、室温下の条件で、試験片の長さ方向に剥がすことにより測定することができる。また、このような180°剥離強度測定には、例えば、インストロン社製の万能試験機5565を用いることができる。
ここで、本態様の粘着層がアクリル系樹脂を含むとは、上記粘着層内において、アクリル系樹脂が架橋を形成せずに単体で存在していてもよく、アクリル系樹脂間もしくはアクリル系樹脂と他の樹脂との間で架橋形成されてなる架橋体として存在していてもよく、上記単体および上記架橋体の両方が存在していてもよい。
また、本態様の粘着層に含まれる硬化樹脂とは、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が熱や光照射を受けて硬化されたものをいう。
すなわち、本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物の第1態様は、アクリル系樹脂、エポキシ熱硬化性樹脂、および硬化剤を含み、上記エポキシ熱硬化性樹脂が、上記アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれているものである。
また、本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物の第2態様は、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含むものである。
また、上述の各態様の粘着剤組成物により形成される上記粘着層は、粘着力が初期から殆ど変化しないため、優れた剥離性を示すことができる。このため、剥離工程において、樹脂封止部品からの粘着性基材の剥離を容易に行うことができ、剥離する際に樹脂封止部品側へ糊残りが発生するのを防止することができる。
さらに、上述の各態様の粘着剤組成物により形成される上記粘着層は、エポキシ熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が硬化した硬化樹脂を含むことから、アクリル系樹脂単独よりも高耐熱性を示すことができ、且つ、アウトガスの発生が少ないため、封止工程においてアウトガスの発生により封止環境へ悪影響を及ぼすことや、樹脂封止部品にガス焼け等による不良が発生することを防止することができる。
このように、上述の各態様の粘着剤組成物により、本態様の粘着層が、封止環境に十分に耐え得る高耐熱性および優れた低アウトガス性を示すことができ、樹脂封止時における部品の位置ズレや、剥離の際の樹脂封止部品側への糊残りの発生を防止するだけでなく、封止時の樹脂成形不良等の発生も十分に防止することが可能となる。
以下、本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物について、態様ごとに説明する。
本態様の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂、エポキシ熱硬化性樹脂、および硬化剤を含み、上記エポキシ熱硬化性樹脂が、上記アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれている。
本態様の粘着剤組成物により形成される粘着層は、アクリル系樹脂の単体およびエポキシ硬化樹脂を含む。また、アクリル系樹脂の架橋体や、アクリル系樹脂とエポキシ熱硬化性樹脂とが反応した架橋体を含む場合もある。
上記アクリル系樹脂については、特に限定されず、例えば(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させた(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられるが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方をいうものとする。ここで、主成分とは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体において、他の単量体よりも(メタ)アクリル酸エステルの割合が30質量%よりも多いことをいい、具体的には、共重合割合が51質量%以上であることをいう。
中でも炭素数1〜18、特に炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。アクリル系樹脂のガラス転移点(℃)を後述する範囲内とすることができ、粘着層の粘着性および耐熱性が向上するからである。
また、共重合成分として、シアノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー等の窒素含有モノマーを用いてもよい。
上記共重合成分は、アクリル酸エステル重合体に共重合成分として含まれてもよい。
なお、本明細書内において、質量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際のポリスチレン換算値であり、例えば、測定装置に東ソー株式会社製のHLC−8220GPCを、カラムに東ソー株式会社製のTSKGEL−SUPERMULTIPORE−HZ−Mを、溶媒にTHFを、標準品として分子量が1050、5970、18100、37900、96400、706000の標準ポリスチレンを用いることで測定することができる。
アクリル系樹脂のガラス転移点は、使用するモノマー単位の種類や、組み合わせるモノマー単位の比率等を変更することにより、適宜調整することができる。アクリル系樹脂は、モノマーを単独重合した重合体(ホモポリマー)の場合であってもガラス転移点が上記した範囲となるものもあるが、ホモポリマーのガラス転移点が上記した範囲にないようなモノマー単位の使用が制限されるわけではなく、種々のモノマー単位を組み合わせて共重合した共重合体のガラス転移点が上記の範囲内にあればよい。
なお、本明細書内において、ガラス転移点は、損失正接(tanδ)のピークトップの値に基づく方法(DMA法)により測定された値を意味する。また、損失正接は、損失弾性率/貯蔵弾性率の値により決定される。これら弾性率は、重合体または共重合体に対して一定の周波数で力を付与したときの応力を動的粘弾性測定装置を用いて測定される。
エポキシ熱硬化性樹脂は、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有する。エポキシ熱硬化性樹脂は、後述する硬化剤との併用により架橋重合反応により硬化して、エポキシ硬化樹脂となる。
なお、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
常温で液体である主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂、および常温で固体である主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば特開2011−202045号公報に開示されるものが挙げられる。
エポキシ熱硬化性樹脂の配合量が上記範囲よりも少ないと、粘着層の初期粘着力が増加したり封止環境下において粘着力が増加する傾向にある。一方、エポキシ熱硬化性樹脂の配合量が上記範囲を超えると、初期粘着力が低下して部品を常温で固定することが困難となる場合がある。
上記エポキシ熱硬化性樹脂は、加熱等により反応が進行して硬化するが、通常は、硬化反応を促進するための硬化剤が粘着剤組成物中に含まれる。
上記硬化剤としては、エポキシ熱硬化性樹脂と当量で反応可能なものであればよく、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤を好適に使用することができる。また、エポキシ熱硬化性樹脂を単独で硬化(重合)させることが可能な硬化剤としては、例えばイミダゾール系硬化剤やカチオン系硬化剤等が挙げられる。中でも、エポキシ熱硬化性樹脂の骨格由来の性能を期待でき、添加量が少なくてもエポキシ熱硬化性樹脂を単独で硬化させ得るイミダゾール系硬化剤やカチオン系硬化剤を使用することが好ましい。
エポキシ熱硬化性樹脂に対する硬化剤の配合量が少ないと、粘着剤組成物を硬化させる際にエポキシ熱硬化性樹脂の硬化時間が長くなる等の硬化不足が生じ、粘着層が所望の粘着力を示さない場合がある。一方、硬化剤の配合量が過剰になると、粘着剤組成物の保存安定性が低下したり、エポキシ熱硬化性樹脂の硬化密度が高くなり過ぎて、粘着層が所望の粘着力を示さない場合がある。
本態様の粘着剤組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。本態様の粘着剤組成物により形成される粘着層内において、アクリル系樹脂は、通常、架橋を形成せずに単体として存在するが、上記粘着剤組成物に架橋剤を添加することにより、得られる上記粘着層は、アクリル系樹脂間で架橋形成された架橋体を一部に含むものとなる。これにより、粘着力を維持しながらベタつきが改善された粘着層とすることができる。架橋剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、多官能エポキシ化合物やイソシアネート化合物が挙げられる。
本態様の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含むものである。
本態様の粘着剤組成物により形成される粘着層は、アクリル系樹脂の架橋体および光硬化性樹脂が硬化してなる硬化樹脂を少なくとも含む。上記粘着層は、アクリル系樹脂の架橋体と共にアクリル系樹脂の単体を含んでいてもよい。
なお、光硬化性樹脂の硬化の際に用いられるエネルギー線の種類については、後述する「(2)粘着層の第2態様」の項で説明するものと同様とすることができる。
アクリル系樹脂については、特に限定されず、「(a)粘着剤組成物の第1態様」の項におけるアクリル系樹脂と同様に、アクリル酸エステル重合体や(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体が用いられる。中でも(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、粘着性および塗工性の観点から5万〜100万の範囲内が好ましく、より好ましくは10万〜80万の範囲内である。
アクリル系樹脂における(メタ)アクリル酸エステル、モノマー、およびオリゴマー、ならびにこれらの重合方法等については「(a)粘着剤組成物の第1態様」の項で説明した内容と同様とすることができる。
光硬化性樹脂としては、エネルギー線照射により重合可能なラジカル重合性の化合物であれば特に制限なく使用することができ、例えば、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー等が挙げられる。このような化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系の光硬化性化合物を好ましく使用することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも2官能性のモノマーまたはオリゴマーを好適に使用することができる。
光開始剤としては、光照射によりリビングラジカル重合開始能を発揮することができ、光硬化性樹脂を硬化させることが可能なものであれば特に限定されず、公知の光開始剤から光硬化性樹脂の種類に応じて、1種または2種以上を適宜選択することができる。具体的には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、ベンジルメチルケタール類、α−アミノケトン類、ビスアシルフォスフィンオキサイド類が挙げられる。
光硬化性樹脂としてウレタンアクリレートを使用する場合には、光開始剤がビスアシルフォスフィン系光開始剤であることが好ましい。上記光開始剤は耐熱性を有し、基材に粘着剤組成物を塗布して光照射を行う際に、基材を介して光照射を行う場合であっても確実に光硬化性樹脂を硬化させることができるからである。
架橋剤としては、アクリル系樹脂を架橋させることが可能なものであればよく、多官能エポキシ系化合物やイソシアネート系化合物等の従来公知の架橋剤を用いることができる。具体的には、例えば特開2012−177084号公報に開示される多官能エポキシ系化合物やイソシアネート系化合物が挙げられる。
各態様の粘着剤組成物は、上記した各成分を混合し、必要に応じて混練ないし分散して調製することができる。混練ないし分散方法は、特に限定されるものではなく、例えば特開2014−234460号公報等で開示される従来公知の混練分散機などが適用できる。
また、粘着剤組成物は、粘度調整のために希釈溶媒を加えて各成分を混合してもよい。
本態様の粘着層の厚さとしては、所望の粘着力を示すことが可能な大きさであればよく、例えば3μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜30μmの範囲内が好ましい。
粘着層の第2態様は、外部刺激を受けることで剥離する粘着層である。本態様の粘着層は、部品配置工程から封止工程までの一連の工程において部品を十分に固定することが可能であり、また、剥離工程において外部刺激を与えることで、樹脂封止部品側に糊残りが生じることなく粘着性基材を容易に剥離することができる。
なお、本態様の粘着層のことを、「刺激応答型剥離性粘着層」と称する場合がある。
具体的には、外部刺激付与前の粘着層の粘着力が0.5N/25mm以上20N/25mm以下であり、外部刺激付与後の粘着層の粘着力が2.0N/25mm以下であることが好ましい。
上記粘着力は、ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を基材とし、上記基材の片面に本態様の粘着層を後述する厚さの範囲内となるように形成した粘着性基材を用い、「(1)粘着層の第1態様」の項で説明した粘着力の測定方法と同様の方法で測定される。
以下、刺激応答型剥離性粘着層について、態様ごとに説明する。
刺激応答型剥離性粘着層の第1態様は、エネルギー線照射により剥離する粘着層である。
上記粘着層は、エネルギー線の照射を受けることで粘着力が低下し、剥離性が発現する。このような粘着層を、「エネルギー線応答型剥離性粘着層」と称する場合がある。
なお、上記エネルギー線応答型剥離性粘着層において、上記アクリル系樹脂は、通常、上記架橋剤によりアクリル系樹脂間が架橋されてなる架橋体として存在するが、上記架橋体と共にアクリル系樹脂の単体が含まれていてもよい。
また、このようなエネルギー線応答型剥離性粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含むものが挙げられる。
エネルギー線応答型剥離性粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物は、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含むことが好ましい。
以下、上記粘着剤組成物に含まれる各組成について説明する。
アクリル系樹脂については、特に限定されず、例えば(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させた(メタ)アクリル酸エステル重合体、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられるが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルおよび他の単量体の具体例としては、例えば特開2012−31316号公報等に開示されるものが挙げられる。他の単量体は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ここでの主成分とは、共重合割合が51質量%以上であることを意味し、好ましくは65質量%以上である。
エネルギー線重合性オリゴマーは、エネルギー線の照射を受けて重合するものであれば特に限定されず、例えば、光ラジカル重合性、光カチオン重合性、光アニオン重合性等のオリゴマーが挙げられる。中でも、光ラジカル重合性オリゴマーが好ましい。硬化速度が速く、また、多種多様な化合物から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に制御することができるからである。
光ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば特開2012−31316号公報等に開示されるものが挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合開始剤としては、一般的な光重合開始剤を用いることができるが、中でも、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下、特に20%以下である光重合開始剤が好ましい。このような光重合開始剤を選択することで、エネルギー線応答型剥離性粘着層が高温に曝されても、粘着力の低下を防ぐことができる。なお、上記重量減少率は、市販の熱重量測定装置、例えば、島津製作所社製のDTG−60Aを用いて重量を測定することにより求めることができる。具体的には、上記重合開始剤を分析(雰囲気ガス:窒素、ガス流量:50ml/min、温度範囲:30℃〜190℃、昇温条件:10℃/min)し、30℃における上記重合開始剤の重量(W1)と、190℃に到達して30分経過後における上記重合開始剤の重量(W2)とを測定し、下記式から算出される。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
なお、粘着剤組成物に、エネルギー線重合性オリゴマーと後述するエネルギー線重合性モノマーとを含有する場合には、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、およびエネルギー線重合性モノマーの合計100重量部に対して、重合開始剤の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上記架橋剤は、少なくともアクリル系樹脂間を架橋するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤の具体例としては、例えば特開2012−31316号公報に開示されるものが挙げられる。
上記架橋剤は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができ、アクリル系樹脂の種類等に応じて、適宜選択することができる。
架橋剤の含有量が上記範囲に満たないと、部品とエネルギー線応答型剥離性粘着層との密着性が劣る場合や、樹脂封止部品を剥離する際にエネルギー線応答型剥離性粘着層が凝集破壊を起こし、樹脂封止部品側へ糊残りが生じる場合があり、一方、上記範囲を超えると、エネルギー線照射後のエネルギー線応答型剥離性粘着層中に上記架橋剤が未反応モノマーとして残留することで、凝集力の低下により糊残りの発生の原因となる場合がある。
上記粘着剤組成物は、上述のエネルギー線重合性オリゴマーに加えてエネルギー線重合性モノマーを含有してもよい。エネルギー線を照射した際に、粘着剤組成物を3次元架橋により硬化させて粘着力を低下させるとともに、粘着剤組成物の凝集力を高めて樹脂封止部品側へ転着させないようにすることができるからである。
エネルギー線重合性モノマーとしては、光ラジカル重合性モノマーが好ましく、中でも一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能性アクリレートや多官能性メタクリレートが好ましい。具体的には、特開2010−173091号公報に記載のエネルギー線重合性モノマーが挙げられる。
また、エネルギー線応答型剥離性粘着層の再剥離性を向上させるために、フッ素系樹脂等の樹脂を含んでいてもよい。
エネルギー線応答型剥離性粘着層を形成する粘着剤組成物としては、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含むことが好ましいが、中でも、以下に示す特定の粘着剤組成物であることが好ましい。
すなわち、第1の粘着剤組成物としては、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含み、上記アクリル系樹脂が、質量平均分子量が20万〜100万の範囲内であり、且つ、アクリル酸エステルを主成分とし、上記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合により得られるものであり、上記重合開始剤は、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であることが好ましい。
また、第2の粘着剤組成物としては、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含み、上記アクリル系樹脂が、質量平均分子量が20万〜100万の範囲内であり、且つ、アクリル酸エステルを主成分とし、上記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるものであり、上記水酸基含有モノマーと上記カルボキシル基含有モノマーとの質量比が51:49〜100:0の範囲内であり、上記重合開始剤は、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であることが好ましい。
エネルギー線応答型剥離性粘着層を形成する粘着剤組成物を上記の特定の接着剤組成物とすることで、エネルギー線応答型剥離性粘着層が、封止環境に十分に耐え得る高耐熱性および優れた低アウトガス性を示すことができ、樹脂封止時における部品の位置ズレや樹脂封止部品側への糊残りの発生を防止するだけでなく、封止時の樹脂成形不良の発生やガス焼け等による樹脂封止部品の不良の発生も十分に防止することが可能となるからである。
粘着剤組成物の調製方法としては、上述の微粘着性を示す粘着層を形成する粘着剤組成物の調製方法と同様とすることができる。
刺激応答型剥離性粘着層の第2態様は、加熱により剥離する粘着層である。
上記粘着層は、加熱により粘着力が低下し、剥離性が発現する。このような粘着層を、「熱応答型剥離性粘着層」と称する場合がある。
本態様の粘着層の厚さとしては、十分な粘着力が得られ、且つ、外部刺激を十分に受けることが可能な大きさであればよい。すなわち、本態様の粘着層がエネルギー線応答型剥離性粘着層であれば、エネルギー線が内部まで透過することが可能な大きさであればよく、また、本態様の粘着層が熱応答型剥離性粘着層であれば、内部まで伝熱が可能な大きさであればよい。具体的には、本態様の粘着層がエネルギー線応答型剥離性粘着層であれば、上記厚さとしては、3μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜30μmの範囲内が好ましい。
上記基材は、粘着層を支持でき、後述する封止工程において封止環境に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に限定されない。
基材の耐熱性としては、基材材料の150℃から250℃の範囲内における熱膨張係数が5ppm/℃〜50ppm/℃の範囲内、中でも10ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましい。
可撓性を有する基材を用いる場合は、例えば、基材に対して面方向に張力を掛けることで、粘着性基材の平面性を保持することが可能となり、部品を精度よく配置し固定することができ、また、樹脂で封止する際に、金型と部品と位置を精度良く合わせることができる。
樹脂基材は、1種の樹脂により構成された単層であってもよく、2種以上の樹脂基材が積層された多層体であってもよい。
粘着性基材の形成方法としては、基材の一方の面上に所望の粘着剤組成物を塗布し乾燥させて形成することができる。粘着剤組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば特開2014−234460号公報で開示される塗布方法を適用することができる。
第1態様の粘着剤組成物を用いて微粘着層を形成する場合、上記粘着剤組成物を塗布し、加熱により塗布層内のエポキシ熱硬化性樹脂を硬化させる。加熱温度としては、例えば50℃〜150℃程度、好ましくは90℃〜120℃程度である。また、加熱時間は、加熱温度により適宜調整することができる。例えば、加熱温度が90℃〜150℃の範囲内であれば、加熱時間は1分〜240分の範囲内、好ましくは数分〜60分の範囲内である。また、加熱温度が50℃〜90℃の範囲内であれば、加熱時間は24時間〜168時間、好ましくは48時間〜120時間である。
また、第2態様の粘着剤組成物を用いて微粘着層を形成する場合、粘着剤組成物の塗布後、上記塗布層に光を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。光照射の条件については、光硬化性樹脂の種類に応じて適宜設定される。第2態様の粘着剤組成物は架橋剤を含むことから、塗布層の乾燥に際し、層内にてアクリル系樹脂間で架橋が形成される。上記塗布層は加熱してもよい。アクリル系樹脂の架橋反応を促進させることができるからである。加熱温度については適宜設定することができる。
本発明における部品配置工程は、上記粘着性基材の上記粘着層上の所望の位置に、部品を配置する工程である。
また、部品の配置位置については、上記粘着性基材の上記粘着層上であればよく、適宜設計することができる。
本発明における封止工程は、金型を用いて上記部品を樹脂で封止して、上記粘着性基材上に樹脂封止部品を形成する工程である。
上記樹脂として具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
光透過性を有する樹脂についての具体的な光透過率については、特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
また、封止樹脂が熱可塑性樹脂であれば、粘着性基材の部品が搭載された側に金型を配置し、上記金型と上記粘着性基材との間の空間内に、高温で溶解した熱可塑性樹脂を充填させた後、冷却により固化させる方法を用いることができる。
上記封止方法として具体的には、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、キャスト成形等の、一般的な樹脂成形方法等が挙げられる。
封止の際に使用する金型は、封止方法に応じて適宜選択され、上下金型で挟持して樹脂成形するものであってもよく、上金型または下金型の一方を押圧して成形するものであってもよい。図1(c)〜(d)では、射出成形法において、粘着性基材を下金型の代替とし、上金型を用いて樹脂成形により部品を封止する例を示すものである。
なお、図2(a)〜(d)は、本発明の樹脂封止部品の製造方法における封止工程および剥離工程の他の例を示す工程図であり、図2(a)〜(c)が封止工程、図2(d)が剥離工程を示す。
離型層の代替で用いられる粘着性基材は、通常、粘着層側が部品および封止樹脂側となるように配置される。
本発明における剥離工程は、上記樹脂封止部品から上記粘着性基材を剥離する工程である。
本工程により、粘着性基材が剥離されることで、基材レスの樹脂封止部品を得ることができる。
第1態様の粘着層であれば、上記粘着層と樹脂封止部品との層間に力を加える方法が挙げられる。具体的には、粘着性基材を手や機械で剥離する方法、粘着性基材をエア等で吸着して剥離する方法等を用いることができる。
本発明の樹脂封止部品の製造方法は、上述した各工程の他に、任意の工程を有していてもよい。以下、本発明において想定される任意の工程について説明する。
本発明においては、上記部品が電子部品であれば、剥離工程後に、上記樹脂封止部品の、上記粘着層と接していた側の面上に、配線を形成する配線形成工程を有していてもよい。剥離工程後の樹脂封止部品は、粘着層と接触していた側の面上において、封止された部品の一面が露出して存在することとなる。このため、樹脂封止部品の用途等に応じて、上記樹脂封止部品の上記粘着層と接していた側の面上に、後から配線を形成することが可能となる。
本発明においては、封止工程と剥離工程との間に上記樹脂封止部品を裁断する裁断工程を有していてもよい。
従来、封止工程後に樹脂封止部品を裁断して個片化する場合、樹脂封止部品を成形金型から外し、支持基材上に固定してから裁断しなければならず、工程が煩雑であった。これに対し、本発明においては、封止工程において形成される樹脂封止部品は、粘着性基材により固定および支持されているため、図2(c)で例示したように、封止工程により、粘着性基材20上に複数の樹脂封止部品10が連結して形成されている場合に、剥離工程前に裁断工程を行うことで、樹脂封止部品を個片化することができる。これにより、別途、裁断のための固定を行う必要が無く、工程の簡便化を図ることが可能である。
樹脂封止部品の裁断方法については、特に限定されず、樹脂封止部品の材質等に応じて適宜選択することができる。
本発明においては、剥離工程後に、上記樹脂封止部品の上記粘着層と接していた側の面上に機能層を形成する機能層形成工程を有していてもよい。機能層としては、例えば、着色層、表面保護層等が挙げられる。
着色層や表面保護層等の機能層を形成することにより、本発明により得られる樹脂封止物品に意匠性や機能性を付すことができるからである。
本工程において形成される機能層の材料や形成方法については、機能層の種類に応じて従来公知の材料や形成方法と同様とすることができ、例えば印刷法と用いることが好ましい。
本発明の樹脂封止部品の製造方法は、部品の樹脂封止を必要とする用途に幅広く適用可能である。例えば、半導体チップ、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)およびレーザーダイオード(LD:Laser Diode)等の発光素子を用いた発光装置等の製造に好適に用いることができる。
また、本発明により得られる樹脂封止部品は、封止される部品の種類に応じて、携帯情報端末等に使用される半導体パッケージ、発光素子を用いる発光装置は、照明器具、ディスプレイ等の各種の光源等に用いることができる。
以下の方法により、樹脂封止物品を作製した。
なお、粘着剤組成物の各組成の物性、および粘着層の物性等の測定方法については、「A.準備工程」で説明した方法を用いた。
モノマー単位として、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを、それぞれ質量基準で50:40:0.5:9.5の割合で含むアクリル共重合体樹脂(質量平均分子量:20万、ガラス転移温度:6℃)を用いた。このアクリル共重合体樹脂の酢酸エチル溶液(固形分35質量%)を100重量部と、固体状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:480g/eq.、質量平均分子量:900、商品名:jER1001、三菱化学社製)を14重量部と、硬化剤として2−メチル−4−エチルイミダゾール(商品名:キャアゾール2E4MZ、四国化成社製)を0.35重量部と、を、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT−11、質量比1:1、DICグラフィクス社製)に溶解させ、ディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
上記の得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより110℃で2分間乾燥させ、厚さ10μmの微粘着性を示す粘着層を形成した。形成した粘着層の面に、厚さ25μmのポリイミドフィルム基材(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)をラミネートし、60℃で120時間養生後、ポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が2.2μg/cm2、初期粘着力が0.30N/25mmである粘着性基材を得た。
次に、アルミナからなるセラミック板にICチップを実装等した回路基板を準備し、得られた粘着性基材上の粘着層上の所定位置に上記回路基板を配置して固定した。
次に、金型を用意し、所定温度である175℃に達したら、回路基板が搭載された粘着性基材の裏面が露出するように金型で挾み、温度175℃、成形時間120秒、成形圧70kg/cm2の条件でトランスファー成形した。
所定時間経過後、型開きを行い、粘着性基材を剥離して樹脂封止物品を得た。
下記の方法で粘着性基材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂封止物品を得た。
モノマー単位として、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを、それぞれ質量基準で50:40:0.5:9.5の割合で含むアクリル共重合体樹脂(質量平均分子量:20万、ガラス転移温度:6℃)を用いた。このアクリル系共重合体樹脂の酢酸エチル溶液(固形分35質量%)を100重量部と、架橋剤としてイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)を2.4重量部と、光硬化性樹脂として10官能ウレタンアクリレート(商品名:U−10PA、新中村化学工業社製)を7重量部と、光開始剤(商品名:Irgcure819、BASF社製)を0.21重量部とを、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT−11、質量比1:1、DICグラフィクス社製)に溶解させ、固形分が25%となるようにディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥し、次いで、波長365nmの紫外線を300mJ/cm2で照射することにより光硬化性樹脂を硬化させて、厚さ10μmの微粘着性を示す粘着層を形成した。形成した粘着層の面に、厚さ25μmのポリイミドフィルム基材(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)をラミネートし、ポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が2.8μg/cm2、初期粘着力が0.40N/25mmである粘着性基材を得た。
下記の方法で粘着性基材を作製し、および樹脂封止物品から剥離したこと以外は、実施例1と同様の方法で樹脂封止物品を得た。
アクリル系粘着剤(商品名:N−4498、アクリル系ポリマー+エネルギー線重合性オリゴマー、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万、エネルギー線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:30/1、固形分:40%、日本合成化学社製)100重量部に対して、重合開始剤(商品名:IRGACURE754、光ラジカル発生剤、固形分:100%,BASFジャパン社製)を1.4重量部、および架橋剤(商品名:コロネートL、イソシアネート系架橋剤、固形分:75%、日本ポリウレタン社製)を1.5重量部配合し、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT11、質量比1:1、DICグラフィックス株式会社製)180重量部で希釈し、ディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥し、厚さ10μmの粘着層を形成した。上記粘着層は、エネルギー線照射により剥離する粘着層であった。形成した粘着層の面に、厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム基材(商品名:ルミラーS56、加熱収縮率(JIS C2151準拠,150℃×30min):MDが0.5%、TDが0.3%、膜厚:50μm、東レ社製)をラミネートし、40℃で72時間養生し、易剥離処理が施されたポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が10μg/cm2、初期粘着力が0.40N/25mm、重合開始剤の重量減少率が12%である粘着性基材を得た。
所定時間経過後、型開きを行い、粘着性基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量500mJ/cm2)して上記粘着性基材を剥離して樹脂封止物品を得た。
実施例1〜3における粘着性基材上の粘着層は、部品配置から樹脂封止までの一連の工程において、部品を十分に固定することが可能な初期粘着力を示した。また、剥離工程での上記粘着性基材の剥離に際し、樹脂封止部品を破損することなく容易に離型できた。
さらに、実施例1〜3により得られた樹脂封止部品について、粘着性基材の粘着層と接触していた面上の糊残り(幅1mm以上)を、光学顕微鏡(VHX−600、キーエンス社製、倍率200)にて確認したところ、樹脂封止部品側への糊残りは発生していなかった。この結果から、上記粘着性基材は、一連の工程後に粘着層の凝集破壊を生じることなく剥離可能であった。
2 … 樹脂
10 … 樹脂封止部品
11 … 基材
12 … 粘着層
20 … 粘着性基材
30 … 金型
Claims (4)
- 基材および前記基材上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する準備工程と、
前記粘着性基材の前記粘着層上の所望の位置に、部品を配置する部品配置工程と、
金型を用いて前記部品を樹脂で封止して、前記粘着性基材上に樹脂封止部品を形成する封止工程と、
前記樹脂封止部品から前記粘着性基材を剥離する剥離工程と、
を有し、
前記粘着層が、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含む粘着剤組成物により形成され、
前記光硬化性樹脂が、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記光硬化性樹脂が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して5重量部〜60重量部の範囲内で含まれ、
前記アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものであり、ガラス転移点が−15℃〜20℃の範囲内であり、
前記粘着剤組成物中の前記アクリル系樹脂が架橋しており、かつ前記光硬化性樹脂が硬化していることを特徴とする樹脂封止部品の製造方法。 - 前記粘着層が、微粘着性を示す粘着層であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止部品の製造方法。
- 前記アクリル系樹脂の重量平均分子量が5万〜100万の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂封止部品の製造方法。
- 前記架橋剤が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の範囲内で含まれることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の樹脂封止部品の製造方法。
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