以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る第1回転角センサ100および第1信号検出装置200の構成例を示す。第1回転角センサ100は、例えば、当該センサの近傍において回転軸を中心に回転する回転体の回転角を検出する。なお、回転体は回転磁石でよく、第1回転角センサ100は、回転体が形成する回転磁場の異なる少なくとも2方向の磁場を検出する。第1回転角センサ100は、例えば、第1方向の磁場と第2方向の磁場を検出する。第1回転角センサ100は、第1センサ110および第2センサ120を備える。
例えば、第1センサ110は、第1方向の磁場を検出し、第2センサ120は、第1方向とは異なる第2方向の磁場を検出する。本実施形態において、回転体の回転軸と略垂直な面をXY平面とし、第1センサ110は、X方向の磁場を検出し、第2センサ120は、X方向とは略垂直なY方向の磁場を検出する例を説明する。第1センサ110および第2センサ120は、磁気抵抗素子(MR)、巨大磁気抵抗素子(GMR)、トンネル効果磁気抵抗素子(TMR)、および異方性磁気抵抗素子(AMR)等でよい。第1センサ110はX方向の磁場の検出結果Xchを、第2センサ120はY方向の磁場の検出結果Ychを、第1回転角センサ100の検出信号としてそれぞれ出力する。
第1信号検出装置200は、第1回転角センサ100の検出信号に応じて回転体の第1角度信号を出力する。第1信号検出装置200は、例えば、2方向の磁場の検出結果に基づき、回転磁石の回転角を出力する。第1信号検出装置200は、AD変換部210と、AD変換部212と、角度検出部220と、を備える。
AD変換部210およびAD変換部212は、第1回転角センサ100が出力する検出信号をデジタル信号に変換する。なお、AD変換部は、第1回転角センサ100が出力する検出信号の数に対応した数が、第1信号検出装置200に設けられてよい。AD変換部210は、一例として、第1センサ110が出力するX方向の磁場の検出信号を受け取り、受け取った検出信号をデジタル信号に変換する。また、AD変換部212は、一例として、第2センサ120が出力するY方向の磁場の検出信号を受け取り、受け取った検出信号をデジタル信号に変換する。AD変換部210およびAD変換部212は、デルタシグマ型AD変換器を有してよい。
角度検出部220は、X方向およびY方向の磁場の検出信号に基づき、回転体の第1角度信号φを算出して出力する。このような第1回転角センサ100および第1信号検出装置200は、回転体の回転角を非接触で検出することができる。なお、第1回転角センサ100は、第1センサ110および第2センサ120を備える例を説明したが、3以上のセンサを備えてもよい。このような第1センサ110および第2センサ120について次に説明する。
図2は、本実施形態に係る磁気抵抗素子10の構成例を示す。磁気抵抗素子10は、第1センサ110および第2センサ120にそれぞれ含まれるセンサ素子の一例である。磁気抵抗素子10は、TMRでよい。磁気抵抗素子10は、ピンド層12と、絶縁層14と、フリー層16と、を有する。
ピンド層12は、磁化方向が固定の強磁性の層である。図2は、ピンド層12がZ軸方向に積層され、XY平面における予め定められた方向に磁化される例を示す。なお、磁気抵抗素子10は、ピンド層12の磁化方向が予め定められた方向を向くように配置される。
絶縁層14は、ピンド層12の上面に形成される。絶縁層14は、例えば、Z軸方向において、ピンド層12およびフリー層16の間に形成され、ピンド層12およびフリー層16を電気的に絶縁する。絶縁層14は、数nm程度の厚さで形成されてよい。
フリー層16は、外部から印加される磁場に応じて磁化方向が変化する強磁性の層である。フリー層16は、絶縁層14の上面に形成され、ピンド層12が形成されるXY平面と略平行な面において磁化方向が変化する。フリー層16は、外部磁場の方向に追随して、XY平面において磁化方向が360度変化してよい。
このような磁気抵抗素子10は、積層方向のZ方向に電圧を印加すると、トンネル効果によって電流が流れる。磁気抵抗素子10の電気抵抗は、ピンド層12およびフリー層16の磁化方向に依存する。例えば、ピンド層12およびフリー層16の磁化方向が略同一方向となった場合、電気抵抗は低くなり、当該磁化方向が逆向きとなった場合、電気抵抗は高くなる。即ち、磁気抵抗素子10は、ピンド層12に対するフリー層16の磁化方向が0°の場合に電気抵抗は最も低くなり、磁化方向が180°の場合に電気抵抗は最も高くなる。
したがって、磁気抵抗素子10は、外部磁場の方向に応じて、抵抗値が変化することになる。第1センサ110および第2センサ120は、このような磁気抵抗素子10を用いて、回転磁場を検出する。磁気抵抗素子10を用いた第1センサ110および第2センサ120の例を次に説明する。
図3は、本実施形態に係る第1回転角センサ100の構成例を示す。図3は、基板等に形成された第1回転角センサ100の一例を示し、当該基板表面と平行な面をXY平面とする。第1センサ110および第2センサ120は、電源部および基準電位の間に接続され、電源部および基準電位の間の電位差に応じた電圧をそれぞれ出力する。第1センサ110および第2センサ120は、それぞれ4つの磁気抵抗素子を有してよい。第1センサ110は、第1磁気抵抗素子112、第2磁気抵抗素子114、第3磁気抵抗素子116、および第4磁気抵抗素子118を含む。
第1磁気抵抗素子112、第2磁気抵抗素子114、第3磁気抵抗素子116、および第4磁気抵抗素子118のそれぞれは、図2で説明した磁気抵抗素子10と略同一の動作をする素子である。なお、図3の素子にそれぞれ示す矢印は、各素子のピンド層12の磁化方向の例を示す。例えば、第1磁気抵抗素子112および第3磁気抵抗素子116のピンド層12の磁化方向は、それぞれ180°方向(−X方向)であり、第2磁気抵抗素子114および第4磁気抵抗素子118のピンド層12の磁化方向は、それぞれ0°方向(+X方向)である。
ここで、例えば、外部から+X方向の磁場B(θ=0°)が印加された場合、第1回転角センサ100が含む磁気抵抗素子のそれぞれのフリー層16の磁化方向は、+X方向を向く。この場合、第1磁気抵抗素子112および第3磁気抵抗素子116のピンド層12に対するフリー層16の磁化方向は、それぞれ180°となり、それぞれの電気抵抗は最も高くなる。また、第2磁気抵抗素子114および第4磁気抵抗素子118のピンド層12に対するフリー層16の磁化方向は、それぞれ0°となり、それぞれの電気抵抗は最も低くなる。
ここで、第1磁気抵抗素子112、第2磁気抵抗素子114、第3磁気抵抗素子116、および第4磁気抵抗素子118は、略同一の抵抗値の範囲を変化するものとする。また、外部から回転磁場B(θ)が印加された場合、当該磁気抵抗素子の抵抗値の変化は、フリー層16の磁化ベクトルとピンド層12の磁化ベクトルの内積で表される。
フリー層16の磁化ベクトルが回転磁場B(θ)に追従する場合、例えば、第1磁気抵抗素子112のピンド層12に対するフリー層16の磁化ベクトルの大きさはA・cos(θ)と表すことができる。また、第1磁気抵抗素子112のフリー層16の磁化ベクトルに対してピンド層12の磁化ベクトルは、πだけずれているので、抵抗値の変化は、A・cos(θ)・cos(π)+R0=−A・cos(θ)+R0と表すことができる。即ち、第1磁気抵抗素子112の抵抗値は、最小値−A+R0(θ=0)から最大値A+R0(θ=π)の間で変化する。
一方、第2磁気抵抗素子114の抵抗値の変化はA・cos(θ)・cos0+R0=A・cos(θ)+R0となる。また、第3磁気抵抗素子116は、第1磁気抵抗素子112の抵抗値の変化と略同一であり、第4磁気抵抗素子118は、第2磁気抵抗素子114の抵抗値の変化と略同一である。
電源部および基準電位の電位差Vは、第1磁気抵抗素子112および第2磁気抵抗素子114と、第3磁気抵抗素子116および第4磁気抵抗素子118との2つの組み合わせでそれぞれ分圧されるので、第1磁気抵抗素子112および第2磁気抵抗素子114の間の電圧V1は、V1=V・(−A・cos(θ)+R0)/(2・R0)となる。
同様に、第3磁気抵抗素子116および第4磁気抵抗素子118の間の電圧V2は、V2=V・(A・cos(θ)+R0)/(2・R0)となる。したがって、第1センサ110の出力電圧Xchは、Xch=V2−V1=V・A・cos(θ)/R0となる。即ち、第1センサ110は、外部から回転磁場B(θ)が印加された場合、cosθに比例する出力電圧Xchを出力することになる。
第2センサ120は、第5磁気抵抗素子122、第6磁気抵抗素子124、第7磁気抵抗素子126、および第8磁気抵抗素子128を含む。第5磁気抵抗素子122、第6磁気抵抗素子124、第7磁気抵抗素子126、および第8磁気抵抗素子128のそれぞれは、図2で説明した磁気抵抗素子10と略同一の動作をする素子である。第5磁気抵抗素子122、第6磁気抵抗素子124、第7磁気抵抗素子126、および第8磁気抵抗素子128は、第1磁気抵抗素子112、第2磁気抵抗素子114、第3磁気抵抗素子116、および第4磁気抵抗素子118のピンド層12の磁化方向をそれぞれ+90°ずらした素子である。
したがって、第2センサ120は、外部から回転磁場B(θ)が印加された場合、第5磁気抵抗素子122のピンド層12の磁化方向と回転磁場B(θ=0°)の方向との差は270°なので、当該第5磁気抵抗素子122の抵抗値の変化は、−A・sin(θ)+R0となる。同様に、第6磁気抵抗素子124の抵抗値の変化はA・sin(θ)+R0となる。また、第7磁気抵抗素子126は、第5磁気抵抗素子122の抵抗値の変化と略同一であり、第8磁気抵抗素子128は、第6磁気抵抗素子124の抵抗値の変化と略同一である。
第5磁気抵抗素子122および第6磁気抵抗素子124の間の電圧V3は、V3=V・(−A・sin(θ)+R0)/(2・R0)となる。同様に、第7磁気抵抗素子126および第8磁気抵抗素子128の間の電圧V4は、V4=V・(A・sin(θ)+R0)/(2・R0)となる。したがって、第2センサ120の出力電圧Ychは、Ych=V4−V3=V・A・sin(θ)/R0となる。即ち、第2センサ120は、外部から回転磁場B(θ)が印加された場合、sinθに比例する出力電圧Ychを出力することになる。
したがって、角度検出部220は、以上の出力電圧XchおよびYchを用いて、回転体の回転角θに対応する第1角度信号φ(θ)を、次式により算出することができる。
(数1)
φ(θ)=tan−1(Ych/Xch)
以上のように、本実施形態に係る第1回転角センサ100および第1信号検出装置200は、回転体の第1角度信号φを算出して出力することができる。しかしながら、第1回転角センサ100が含む磁気抵抗素子は、入力磁場のダイナミックレンジが小さく、磁場環境に応じて磁場の検出精度が低下する場合がある。
図4は本実施形態に係る磁気抵抗素子の外部印加磁場に対する出力信号の一例を示す。図4の横軸は、外部からの印加磁界の大きさを示し、縦軸は磁気抵抗素子が出力する出力信号を示す。図4は、MR、GMR、TMR、およびAMR等の磁気抵抗素子の入出力特性の一例を「xMR」で示す。
磁気抵抗素子は、外部磁場が比較的弱い磁場の場合、フリー層16の磁化の方向が当該外部磁場の方向に追従せず、検出精度が劣化する場合が生じる。また、外部磁場が比較的強い磁場の場合、フリー層16の磁化方向は外部磁場に追従するが、ピンド層12の磁化方向も外部磁場に追従して変動してしまい、検出精度が劣化する場合が生じる。例えば、磁気抵抗素子は、外部磁場の大きさが第1閾値から第2閾値の範囲内において、高い検出精度で磁場を検出できるが、当該範囲から外れた磁場に対しては、検出精度が劣化してしまう。
したがって、一定の検出精度以上で磁場を測定する場合、磁気抵抗素子は、外部磁場の大きさが予め定められた範囲内か否かをモニタして、検出精度が劣化しているか否かを判断しなければならない。また、磁気抵抗素子は、外部磁場に対する出力信号の特性が飽和する傾向を有するので、磁気抵抗素子の出力信号の大きさに基づいて、検出精度が劣化しているか否かを判断することは困難である。
また、磁気抵抗素子を用いた第1回転角センサ100は、磁石のずれ、損傷、および脱落等の磁場環境が変化する故障を検知することができない。したがって、第1回転角センサ100を用いて磁場を検出する場合、磁気抵抗素子に印加される磁場の大きさを別途モニタする装置等が必要となってしまう。特に、信頼性の向上および安全動作の確保の目的で、回転角センサを複数設ける冗長構成の場合、外部磁場を検出するセンサ等が増加し、制御回路等が複雑になってしまう。
そこで、本実施形態に係る回転角測定システムは、このような冗長構成を有し、磁場環境を測定するセンサを増加させることなく、外部磁場の大きさを取得して、検出した角度信号が正常か否かを診断する。回転角測定システムは、複数種類の回転角センサのうち少なくとも1つを、ホール素子を用いた回転角センサとすることにより、角度信号が正常か否かを診断する。このような回転角測定システムについて、次に説明する。
図5は、本実施形態に係る回転角測定システム20の構成例を示す。回転角測定システム20は、第1回転角センサ100と、第1信号検出装置200と、第2回転角センサ300と、第2信号検出装置400と、異常診断装置1000と、を備える。第1回転角センサ100および第1信号検出装置200は、図1から図4で説明した磁気抵抗素子を用いた回転角センサの動作と略同一の動作なので、ここでは説明を省略する。また、第1信号検出装置200は、異常診断装置1000に含まれていてもよく、例えば、第1信号検出装置200内で処理する演算等を異常診断装置1000内で処理する形態も含まれる。これは本実施形態に係る他の例においても同様である。
第2回転角センサ300は、異なる少なくとも2方向の磁場を検出する。第2回転角センサ300は、第1回転角センサ100よりも入力磁場のダイナミックレンジが大きい。第2回転角センサ300は、第1回転角センサ100と同様に、回転軸を中心に回転する回転体の回転角を検出する。第2回転角センサ300は、例えば、第1方向の磁場と第2方向の磁場を検出する。なお、第2回転角センサ300は、第1回転角センサ100とは異なる方向の磁場を検出してもよい。第2回転角センサ300は、第3センサ310および第4センサ320を有する。
例えば、第3センサ310は、第1方向の磁場を検出し、第4センサ320は、第1方向とは異なる第2方向の磁場を検出する。本実施形態において、第3センサ310は、X方向の磁場を検出し、第4センサ320は、X方向とは略垂直なY方向の磁場を検出する例を説明する。第3センサ310および第4センサ320は、ホール素子を有してよい。ホール素子は、一例として、X軸方向に電流を流すとZ軸方向に入力する磁場に応じたY軸方向の起電力(ホール効果)を発生させる素子である。ホール素子は、半導体等で形成されてよい。
本実施形態の第3センサ310および第4センサ320は、それぞれホール素子対を有する例を説明する。第3センサ310は、一例として、第1方向に配置されるホール素子対である。また、第4センサ320は、一例として、第2方向に配置されるホール素子対である。
第2回転角センサ300は、入力する磁場を曲げて収束させる磁気収束板等を有してよい。磁気収束板は、磁性材料等で形成され、例えば、X軸方向および/またはY軸方向の磁場を、Z軸方向の成分が発生するように曲げ、Z軸方向に感度を有する第3センサ310および第4センサ320にそれぞれ入力させる。磁気収束板は、第2回転角センサ300が形成される基板の上面に形成されてよく、これに代えて、基板の上方に、絶縁層等を介して形成されてもよい。
磁気収束板は、一例として、+X方向に入力する磁場を曲げ、第3センサ310の一方のホール素子に+Z方向の磁場を、他方のホール素子に−Z方向の磁場をそれぞれ発生させて入力させる。ここで、第3センサ310のホール素子対が略同一形状、略同一材料で形成される場合、それぞれのホール素子の磁気感度は略等しくなる。また、それぞれのホール素子に入力する磁束密度は互いに逆向きとなるので、発生するそれぞれのホール起電力は正負の符号が異なることになる。
そこで、それぞれのホール素子のホール起電力信号の差分を算出することで、X軸方向に入力される磁場ベクトルに応じた磁場検出信号HallXchを出力することができる。また、磁場検出信号HallXchを、各ホール素子のホール起電力の差分としたので、ホール素子対に同一方向(+Z軸方向または−Z軸方向)で、かつ、絶対値が略同一の磁場によって生じるホール起電力は、相殺されて略零となる。
同様に、第4センサ320は、第2ホール素子対をY軸方向に配列し、第3センサ310と同様にホール起電力信号の差分を算出することで、Y軸方向の磁場を算出することができる。即ち、第2回転角センサ300は、第4センサ320を用いて、Y軸方向に入力される磁場ベクトルに応じた磁場検出信号HallYchを出力することができる。したがって、第2回転角センサ300は、入力する磁場ベクトルのX軸成分およびY軸成分に対応する磁場検出信号HallXchおよびHallYchを出力する。
ここで、第3センサ310および第4センサ320からの出力信号は、回転体の回転角θに応じて出力される。即ち、第2回転角センサ300は、一例として、次式で示される磁場検出信号を出力する。ここで、Aは各信号の振幅値である。
(数2)
HallXch(θ)=A・cos(θ)
HallYch(θ)=A・sin(θ)
したがって、回転体の回転角θに対応する第2角度信号ψ(θ)は、一例として、次式により算出することができる。
(数3)
ψ(θ)=tan−1{HallYch(θ)/HallXch(θ)}
なお、(数2)式の2つの磁場検出信号は、振幅値、オフセット、および直交性が理想的な信号であり、誤差がないものとしている。しかしながら、このような誤差が発生し、角度信号ψ(θ)と回転角θとが一致しない場合が生じる場合がある。そこで、第2信号検出装置400は、角度誤差信号ε(=ψ(θ)−θ)を低減させるように閉ループ処理を実行して、第2回転角センサ300の角度信号ψ(θ)を検出する。
第2信号検出装置400は、第2回転角センサ300の検出信号に応じて回転体の第2角度信号および振幅信号を出力する。第2信号検出装置400は、第1信号検出装置200が出力する第1角度信号φの異常判定用に、振幅信号を出力してよい。第2信号検出装置400は、第1切換部410、第2切換部412、増幅部420、増幅部422、AD変換部430、AD変換部432、第1乗算部440、ループフィルタ450、角度更新部460、記憶部470、第2乗算部480、および積算部490を備える。
第1切換部410および第2切換部412は、第1位相と第2位相を繰り返すスピニングカレントクロックに基づき、第2回転角センサ300のホール素子に流す電流の方向を切り換え、磁場入力に応じた信号成分とオフセットによる信号成分の極性を反転させる。ホール素子は、出力信号に素子固有のオフセット信号を含めて出力するので、第1切換部410および第2切換部412は、このようなオフセット信号を低減すべく、非特許文献1に記載されているスピニングカレント法等を利用して、ホール素子に流す電流の方向を切り換える。
例えば、第1位相において、+Z方向の磁場入力Bに対して、+X方向に通電した第1のホール素子は、+Y方向側の端子からホール起電力信号+VSを発生する(−Y方向側の端子からホール起電力信号−VSを発生する)と共に、+Y方向のオフセット電圧+VOを出力する。この場合、当該第1のホール素子は、同じ+Z方向の磁場入力に対して、第2位相において−Y方向に通電すると、+X方向側の端子からホール起電力信号+VSを発生する(−X方向側の端子からホール起電力信号−VSを発生する)と共に、+X方向のオフセット電圧+VOを出力する。したがって、第1位相においてホール素子のY軸方向の端子から出力電圧Vh11を取得し、第2位相においてホール素子のX軸方向の端子から出力電圧Vh12を取得することで、ホール素子の磁場Bの検出信号は次式のように示される。
(数4)
Vh11=+2VS+VO
Vh12=−2VS+VO
このように、第1切換部410が第3センサ310の通電方向を切り換えることにより、(数4)式のように、ホール素子の検出信号のうち、ホール起電力信号VSの信号成分の符号を、第1位相と第2位相において反転させることができる。即ち、スピニングカレント法は、スピニングカレントクロックによってホール起電力信号VSを変調して変調信号にすると共に、オフセット電圧VOをDC信号出力とするので、周波数領域で2つの信号を分離することができ、理想的には、フィルタ等を用いて当該オフセット信号を除去することができる。また、第2切換部412は、第1切換部410と同様に、第4センサ320の通電方向を切り換えて、ホール起電力信号およびオフセット電圧を分離してよい。
増幅部420は、第1切換部410が出力する変調信号を受け取り、予め定められた増幅度で増幅する。増幅部420は、増幅した変調信号をAD変換部430に供給する。AD変換部430は、受け取った変調信号をデジタル信号に変換する。AD変換部430は、デルタシグマ型AD変換器を有してよい。AD変換部430は、変換したデジタル信号を更にスピニングカレントクロックによって復調し、磁場検出信号HallXchのデジタル値Vxを出力する復調部を有してよい。なお、復調されたデジタル値Vxは、DCオフセットを変調した成分が重畳されるので、復調部は、フィルタ等を有して、当該DCオフセットの変調成分を除去してよい。
同様に、増幅部422は、第2切換部412が出力する変調信号を受け取り、予め定められた増幅度で増幅する。増幅部422は、増幅した変調信号をAD変換部432に供給する。AD変換部432は、受け取った変調信号をデジタル信号に変換する。AD変換部432は、デルタシグマ型AD変換器を有してよい。AD変換部432は、変換したデジタル信号を更にスピニングカレントクロックによって復調し、磁場検出信号HallYchのデジタル値Vyを出力する復調部を有してよい。なお、復調されたデジタル値Vyは、DCオフセットを変調した成分が重畳されるので、復調部は、フィルタ等を有して、当該DCオフセットの変調成分を除去してよい。
第1乗算部440は、デジタル信号Vxに正弦波信号sin(ψ)を乗算する。また、第1乗算部440は、デジタル信号Vyに余弦波信号cos(ψ)を乗算する。なお、正弦波信号sin(ψ)および余弦波信号cos(ψ)は、後述する。第1乗算部440は、次式で示すように、2つの乗算結果の差分を角度誤差信号εとして出力する。ここで、増幅部420および増幅部422の増幅度を1とした。
(数5)
ε=−sin(ψ)・Vx+cos(ψ)・Vy
磁場検出信号が理想的な場合、角度誤差信号εは次のように表される。
(数6)
ε=−A・sin(ψ)・cos(θ)+A・cos(ψ)・sin(θ)
=A・sin(θ−ψ)
≒A・(θ−ψ)
ここで、第2信号検出装置400は、磁場検出信号が示す角度θに追随するように第2角度信号ψを出力するので、θ−ψの値は、sin(θ−ψ)≒(θ−ψ)と近似できる程度に小さい値となる。したがって、第1乗算部440が演算する角度誤差信号εは、(数6)式で示すように、角度θに対する第2角度信号ψの位相差に比例する値A・(θ−ψ)に近似できる。第1乗算部440は、算出した角度誤差信号εをループフィルタ450に供給する。
ループフィルタ450は、角度誤差信号εにおける予め定められた周波数以下の周波数成分を通過させる。ループフィルタ450は、ローパスフィルタでよい。ループフィルタ450は、AD変換部430およびAD変換部432が発生させる量子化ノイズ等を低減させてよい。また、磁場検出信号HallXchおよびHallYchが、スピニングカレント法によってDCオフセット信号を高調波成分に変換した成分を含む場合、ループフィルタ450は、当該高調波成分を低減させてもよい。なお、角度誤差信号εに含まれる量子化ノイズおよび高調波成分等が無視できる程度の場合、ループフィルタ450はなくてもよい。
角度更新部460は、ループフィルタ450を通過した角度誤差信号εに応じて第2角度信号ψを増減する。角度更新部460は、角度誤差信号εを0に近づけるように、第2角度信号ψを更新する。角度更新部460は、例えば、2つの積算部を含んでよく、この場合、第2信号検出装置400は、閉ループ回路のなかに2つの積算部を備える2型サーボ回路となる。角度更新部460は、一例として、2つの積算部とDCO(Digitally Controlled Oscillator)回路を含む。
角度更新部460に入力する角度誤差信号εが、一例として、AD変換部430およびAD変換部432によってビットストリームとして出力される場合、角度更新部460は、当該角度誤差信号εを第1の積算部が積算してクロック毎に複数ビットの値を有するデジタル信号にしてよい。また、角度誤差信号εは、A・(θ−ψ)といった角度差であるから、クロック毎(即ち、単位時間毎)の角度差は、角度の時間微分である角速度ω(rad/s)のディメンジョンを有することになる。
角度更新部460は、当該角速度ωの信号をDCO回路に供給して、当該角速度ωに対応する周波数信号を出力させ、当該周波数信号を第2の積算部が積算して第2角度信号ψを生成する。なお、第2の積算部は、アップカウントおよびダウンカウント動作を行うアップダウンカウンターを含んでよく、前回までの周波数信号のカウント値に今回のカウント値を積算して、第2角度信号ψを生成する。即ち、角度更新部460は、前回の第2角度信号ψに、今回の位相差(θ−ψ)が積算して、今回の磁場の回転角θにより近い第2角度信号ψを算出する。
記憶部470は、複数の第2角度信号ψに対応する正弦波信号sin(ψ)および余弦波信号cos(ψ)を予めそれぞれ記憶する。記憶部470は、受け取った第2角度信号ψに対応する正弦波信号sin(ψ)および余弦波信号cos(ψ)を、第1乗算部440に供給する。即ち、記憶部470は、取得した第2角度信号ψに応じて、対応する正弦波信号sin(ψ)および余弦波信号cos(ψ)を第1乗算部440にフィードバックする。
以上の本実施形態の第2信号検出装置400は、第1乗算部440からループフィルタ450、角度更新部460、および記憶部470を経たフィードバックループにより、θにより近づけた第2角度信号ψを出力することができる。また、第2信号検出装置400は、第2角度信号ψに基づいて、角度誤差信号εの振幅信号A(ψ)を出力する。
この場合、AD変換部430は、デジタル信号Vxを第1乗算部440に供給すると共に、第2乗算部480にも供給する。同様に、AD変換部432は、デジタル信号Vyを第1乗算部440に供給すると共に、第2乗算部480にも供給する。また、記憶部470は、第2角度信号ψに対応する正弦波信号sin(ψ)および余弦波信号cos(ψ)を、第2乗算部480に供給する。
第2乗算部480は、デジタル信号Vxに余弦波信号cos(ψ)を乗算する。また、第2乗算部480は、デジタル信号Vyに正弦波信号sin(ψ)を乗算する。第2乗算部480は、次式で示すように、2つの乗算結果の和を振幅信号A(ψ)として、積算部490を介して出力する。ここで、増幅部420および増幅部422の増幅度を1とした。
(数7)
A(ψ)=cos(ψ)・Vx+sin(ψ)・Vy
磁場検出信号が理想的な信号で、かつ、第2角度信号ψがθに略等しい値となった場合、振幅信号A(ψ)は次のように表される。
(数6)
A(ψ)=[A2・{cos(θ)}2+A2・{sin(θ)}2]1/2=A
以上のように、ホール素子を用いた第2回転角センサ300を用い、第2信号検出装置400によるサーボ動作によって、回転体の回転角θに対応する第2角度信号ψおよび磁場の振幅信号を精度良く出力することができる。このように、回転角測定システム20は、第1回転角センサ100と、第1回転角センサ100とは異なる種類の第2回転角センサ300とを備えた冗長構成を有し、当該第2回転角センサ300により入力する磁場の振幅信号を検出するので、当該振幅信号を用いて、第1回転角センサ100が検出した第1角度信号φの異常を判定できる。
異常診断装置1000は、このような、第2信号検出装置400が出力する第2角度信号ψおよび振幅信号に基づき、第1回転角センサ100が出力する第1角度信号φの異常を診断する。また、異常診断装置1000は、第2角度信号ψの異常を診断してもよい。異常診断装置1000は、第1取得部1010と、第2取得部1020と、第1異常判定部1030と、を有する。
第1取得部1010は、第1信号検出装置200が出力する、回転体の第1角度信号φを取得する。第1取得部1010は、第1信号検出装置200と、有線、無線またはネットワーク等で接続され、第1角度信号φを取得してよい。また、第1取得部1010は、記憶装置等に接続され、当該記憶装置等に記憶された第1信号検出装置200の出力を取得してもよい。第1取得部1010は、取得した第1角度信号φを第1異常判定部1030に供給する。
第2取得部1020は、第2信号検出装置400が出力する、回転体の第2角度信号ψおよび振幅信号を取得する。第2取得部1020は、第2信号検出装置400と、有線、無線またはネットワーク等で接続され、第2角度信号ψを取得してよい。また、第2取得部1020は、記憶装置等に接続され、当該記憶装置等に記憶された第2信号検出装置400の出力を取得してもよい。第2取得部1020は、取得した第2角度信号ψおよび振幅信号を第1異常判定部1030に供給する。
第1異常判定部1030は、振幅信号に基づき、第1角度信号φの異常を判定する。例えば、第1回転角センサ100が用いる磁気抵抗素子は、図4で説明したように、外部磁場の大きさが第1閾値未満の場合、または第2閾値を超える場合、検出精度が低下する。これに対し、第2回転角センサ300が用いるホール素子は、ピンド層およびフリー層等の磁化に基づくセンサではないので、外部磁場の大きさによる精度劣化は生じにくい。
図4に、ホール素子の入出力特性の一例を「Hall」で示すように、外部磁場に対する出力信号の大きさはほぼリニアな特性となる。したがって、ホール素子は、磁気抵抗素子と比較して広い外部磁場の強度範囲で、精度良く磁場を検出できる。例えば、ホール素子は、第0閾値以上、かつ、第3閾値以下の範囲で、精度良く外部磁場を検出できる。なお、図4に示すとおり、第0閾値は第1閾値よりも小さく、第3閾値は第2閾値よりも大きい。一例として、第0閾値は10mT、第1閾値は20mT、第2閾値は40mT、第3閾値は60mTである。
したがって、第1異常判定部1030は、第2回転角センサ300の振幅信号を用いて、第1回転角センサ100の検出精度が低下しているか否かを判定することができる。第1異常判定部1030は、例えば、振幅信号が第1閾値未満、または、振幅信号が第1閾値よりも大きい第2閾値よりも大きい場合、少なくとも第1角度信号φが異常と判定する。なお、本実施形態において、振幅信号の第n閾値は、図4に示す外部磁場の第n閾値に対応する閾値とする。また、第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψに基づき、角度信号の異常判定を実行するか否かを判断してもよい。
以上の本実施形態に係る回転角測定システム20は、磁場環境を測定するセンサを増加させることなく、検出した角度信号が正常か否かを診断する。このような回転角測定システム20の動作について、次に説明する。
図6は、本実施形態に係る回転角測定システム20の動作フローの一例を示す。回転角測定システム20は、図6に示す動作フローを実行して、回転体の回転角を検出しつつ、検出した第1角度信号φおよび第2角度信号ψの精度が低下しているか否かを判定する。なお、本実施形態において、回転角測定システム20は、検出精度が低下した場合に検出された角度信号を、「異常」と判定するが、これに代えて、回転角測定システム20は、「故障」と判定してもよい。
まず、回転角測定システム20は、回転体の回転角を検出する(S710)。図1から図4で説明したように、第1信号検出装置200は、第1回転角センサ100の検出信号に応じて回転体の第1角度信号φを出力する。また、図5で説明したように、第2信号検出装置400は、第2回転角センサ300の検出信号に応じて回転体の第2角度信号ψおよび振幅信号を出力する。そして、第1取得部1010は第1角度信号φを取得し、第2取得部1020は第2角度信号ψおよび振幅信号を取得する。
次に、第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψに基づき、角度信号が正常か否かを判断する(S720)。第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの差の絶対値|φ−ψ|が、予め定められた角度信号閾値θth以下の場合、第1角度信号φおよび第2角度信号ψは正常と判断して異常判定を実行しない(S720:Yes)。
この場合、回転角測定システム20は、第1角度信号φおよび/または第2角度信号ψを、回転角の測定結果として外部に出力してよい。また、回転角測定システム20は、S710に戻り、回転角の検出を継続させてよい。また、回転角測定システム20は、予め定められた回数、時間、または指示等に応じて、回転角の検出を終了させてもよい。
また、第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの差の絶対値|φ−ψ|が、角度信号閾値θthを超えた場合、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの少なくとも一方が異常と判断して、異常の判定を実行する(S720:No)。即ち、第1異常判定部1030は、同一の回転体に対する略同一の回転角の検出結果である第1角度信号φおよび第2角度信号ψに、角度信号閾値θthを超える差異が生じているので、当該第1角度信号φおよび第2角度信号ψの少なくとも一方に異常が発生しているとして、異常判定を実行する。
第1異常判定部1030は、振幅信号が第1閾値以上で、かつ、第2閾値以下の第3条件を満たす場合(S730:Yes)、第1角度信号φまたは第2角度信号ψが異常と判定する。即ち、第1異常判定部1030は、第1回転角センサ100の検出精度が良好な範囲であることを振幅信号が示しているにもかかわらず、第1角度信号φおよび第2角度信号ψに角度信号閾値θthを超える差異が生じているので、第1角度信号φまたは第2角度信号ψが異常であると判定する。この場合、第1異常判定部1030は、第1角度信号φまたは第2角度信号ψが異常であることを示すエラー信号を出力し(S750)、回転角の検出を終了させてよい。
第1異常判定部1030は、振幅信号が第3条件を満たさない場合(S730:No)、当該振幅信号が次の第2条件を満たすか否かを判別する(S740)。第1異常判定部1030は、振幅信号が第0閾値未満、または、振幅信号が第3閾値よりも大きい第2条件を満たす場合、第1角度信号φおよび第2角度信号ψが異常と判定する(S740:Yes)。
即ち、第1異常判定部1030は、第1回転角センサ100および第2回転角センサ300の検出精度が共に低下する範囲であることを振幅信号が示すことに応じて、第1角度信号φおよび第2角度信号ψが異常であると判定する。この場合、第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψが異常であることを示すエラー信号を出力し(S750)、回転角の検出を終了させてよい。
第1異常判定部1030は、振幅信号が第2条件を満たさない場合(S740:No)、即ち、振幅信号が第0閾値以上で、かつ、第1閾値未満、または、振幅信号が第2閾値よりも大きく、かつ、第3閾値以下の第1条件を満たす場合、第1角度信号φが異常と判定する。即ち、第1異常判定部1030は、第2回転角センサ300の検出精度が良好で、かつ、第1回転角センサ100の検出精度が低下する範囲であることを振幅信号が示すことに応じて、第1角度信号φが異常であると判定する。
この場合、第1異常判定部1030は、第1角度信号φが異常であることを示すエラー信号を出力する(S760)。また、回転角測定システム20は、良好な検出精度である第2回転角センサ300の検出結果に基づく第2角度信号ψを、回転角の測定結果として外部に出力してよい。回転角測定システム20は、第2回転角センサ300が良好な検出精度であることから、S710に戻り、回転角の検出を継続させてよい。また、回転角測定システム20は、予め定められた回数、時間、または指示等に応じて、回転角の検出を終了させてもよい。
以上のように、本実施形態に係る回転角測定システム20は、ホール素子を用いた第2回転角センサ300を用いて、回転磁場の角度信号に加えて振幅信号を取得することで、磁気抵抗素子を用いた第1回転角センサ100の検出精度を判断することができる。また、回転角測定システム20は、当該振幅信号を用いて、第2回転角センサ300の検出精度を判断することもできる。したがって、回転角測定システム20は、冗長構成を有し、センサの数の増加および複雑な制御回路の増加を防止しつつ、検出精度の低下、および磁石の脱落等の磁場環境が変化する故障を検知することができる。
以上の本実施形態に係る回転角測定システム20は、磁気抵抗素子を用いた第1回転角センサ100およびホール素子を用いた第2回転角センサ300を、それぞれ1つ有する冗長構成である例を説明した。これに代えて、回転角測定システム20は、磁気抵抗素子、ホール素子、および/または他の測定素子等を更に備えてもよい。
図7は、本実施形態に係る異常診断装置1000の変形例を示す。本変形例の異常診断装置1000は、更に詳細な異常判定を実行する。また、本変形例の異常診断装置1000は、第1角度信号φの異常判定に応じて、当該第1角度信号φを補正する。本変形例の異常診断装置1000は、相関信号算出部1040と、第2異常判定部1050と、補正部1060と、記憶部1070と、第3異常判定部1080と、出力部1090と、を更に備える。
相関信号算出部1040は、振幅信号に基づく被測定信号と、予め定められた周期信号との相関信号を算出する。相関信号算出部1040は、振幅信号のN乗信号(Nは1以上の自然数)を被測定信号として算出する。例えば、相関信号算出部1040は、振幅信号A(ψ)を被測定信号とする。これに代えて、相関信号算出部1040は、振幅信号A(ψ)の2乗を被測定信号としてよい。また、相関信号算出部1040は、振幅信号をフーリエ変換して相関信号を算出する。
第2異常判定部1050は、相関信号に基づき、第2角度信号ψの異常を判定する。第2異常判定部1050は、一例として、相関信号の予め定められた周波数の成分の絶対値が相関信号閾値を超える場合に、第2角度信号ψが異常と判定する。また、第2異常判定部1050は、相関信号の予め定められた周波数の成分の絶対値が相関信号閾値以下の場合に、第2角度信号ψが正常と判定する。
補正部1060は、振幅信号が第1条件を満たす場合、振幅信号に基づき、第1信号検出装置200が出力する第1角度信号φを補正する。補正部1060は、第2信号検出装置400が出力する振幅信号の検出精度が良好であることから、当該振幅信号の大きさに応じて、第1回転角センサ100の検出信号を補正する。補正部1060は、振幅信号の大きさに対応して予め定められた補正値を用いて、検出信号を補正してよい。
記憶部1070は、振幅信号の大きさに対応し、補正部1060が補正に用いる補正値を記憶する。記憶部1070は、異常診断装置1000が生成するデータ等を記憶してもよい。また、記憶部1070は、当該データ等を生成する過程において処理する中間データ等を記憶してもよい。また、記憶部1070は、異常診断装置1000内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してよい。
第3異常判定部1080は、補正部1060による補正後の第1角度信号φ'および第2信号検出装置400が出力する第2角度信号ψの差の絶対値が、角度信号閾値θthを超えた場合、第1角度信号φが異常と判定する。第3異常判定部1080は、補正後の第1角度信号φ'および第2角度信号ψの差の絶対値が、角度信号閾値θth以下の場合、第1角度信号φは正常と判定してよい。
出力部1090は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの一方が異常と判定されたことに応じて、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの他方が出力する角度信号を、回転体の角度信号として出力する。出力部1090は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψが正常と判定されたことに応じて、第1角度信号φおよび/または第2角度信号ψを出力してよい。出力部1090は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψが異常と判定されたことに応じて、エラー信号を発報する。
図8は、本実施形態に係る変形例の異常診断装置1000が設けられた回転角測定システム20の動作フローの一例を示す。回転角測定システム20は、図8に示す動作フローを実行して、回転体の回転角を検出しつつ、検出した第1角度信号φおよび第2角度信号ψの精度が低下しているか否かを判定する。なお、図8の動作フローにおいて、図6に示された動作フローの動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
まず、回転角測定システム20は、回転体の回転角を検出する(S710)。第1取得部1010は第1角度信号φを取得し、第2取得部1020は第2角度信号ψおよび振幅信号A(ψ)を取得する。
次に、第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの差の絶対値|φ−ψ|が、予め定められた角度信号閾値θth以下の場合、第1角度信号φおよび第2角度信号ψは正常と判断して異常判定を実行しない(S720:Yes)。この場合、出力部1090は、第1角度信号φおよび/または第2角度信号ψを、回転角の測定結果として外部に出力してよい。また、回転角測定システム20は、S710に戻り、回転角の検出を継続させてよい。
また、第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの差の絶対値|φ−ψ|が、角度信号閾値θthを超えた場合、第1角度信号φおよび第2角度信号ψの少なくとも一方が異常と判断して、異常の判定を実行する(S720:No)。第1異常判定部1030は、振幅信号が第1閾値以上で、かつ、第2閾値以下の第3条件を満たす場合(S730:Yes)、第1角度信号φまたは第2角度信号ψが異常と判定する。
この場合、相関信号算出部1040は、相関信号を算出する(S732)。ここで、第2信号検出装置400のサーボ動作によっても、第2角度信号ψに異常が発生する場合、(数2)式の2つの磁場検出信号の振幅値、オフセット、および/または直交性の誤差が原因と考えられる。例えば、第3センサ310のオフセット誤差が第2角度信号ψの異常の原因となる場合を考える。この場合、AD変換部430およびAD変換部432が出力するデジタル値は、次式のように表すことができる。なお、Vos_xは、オフセット誤差を示す。
(数7)
VX(ψ)=A・cos(ψ)+Vos_x
VY(ψ)=A・sin(ψ)
この場合、振幅信号A(ψ)は、次式のように算出される。ここで、Cxは、定数を示す。
(数8)
A(ψ)={VX(ψ)2+VY(ψ)2}1/2
={A2+Vos_x 2+2・A・Vos_x・cos(ψ)}1/2
≒Cx+Vos_x・cos(ψ)
このように、振幅信号A(ψ)は、回転角ψに応じて余弦関数のように変動する成分を有する。同様に、第4センサ320のオフセット誤差が原因の場合を考える。この場合、AD変換部430およびAD変換部432が出力するデジタル値は、次式のように表すことができる。なお、Vos_yは、オフセット誤差を示す。
(数9)
VX(ψ)=A・cos(ψ)
VY(ψ)=A・sin(ψ)+Vos_y
この場合、振幅信号A(ψ)は、次式のように算出される。ここで、Cyは、定数を示す。
(数10)
A(ψ)={VX(ψ)2+VY(ψ)2}1/2
={A2+Vos_y 2+2・A・Vos_y・sin(ψ)}1/2
≒Cy+Vos_y・sin(ψ)
このように、振幅信号A(ψ)は、回転角ψに応じて正弦関数のように変動する成分を有する。即ち、第2角度信号ψに異常が発生する程度に、磁場検出信号がオフセット誤差を含む場合、振幅信号A(ψ)は、正弦関数および/または余弦関数のように変動する成分を有する。即ち、振幅信号A(ψ)は、周波数ψ/(2π)と略同一の周波数の周波数成分を有することになる。
これに代えて、相関信号算出部1040は、振幅信号A(ψ)の2乗を被測定信号としてもよい。この場合、例えば、(数8)式および(数10)式の振幅信号A(ψ)の2乗は、(数11)式および(数12)式のように算出される。即ち、振幅信号A(ψ)2は、正弦関数および/または余弦関数のように変動する成分を有する。
(数11)
A(ψ)2=VX(ψ)2+VY(ψ)2
=A2+Vos_x 2+2・A・Vos_x・cos(ψ)
(数12)
A(ψ)2=VX(ψ)2+VY(ψ)2
=A2+Vos_y 2+2・A・Vos_y・sin(ψ)
次に、第3センサ310の磁気感度のミスマッチが第2角度信号ψの異常の原因となる場合を考える。この場合、AD変換部430およびAD変換部432が出力するデジタル値は、次式のように表すことができる。ここで、第3センサ310および第4センサ320の検出信号の振幅値を、AxおよびAyとし、AxおよびAyの平均値をAavgとした。
(数13)
VX(ψ)={Aavg+(Ax−Ay)/2}・cos(ψ)
VY(ψ)={Aavg+(Ax+Ay)/2}・sin(ψ)
この場合、振幅信号A(ψ)は、次式のように算出される。
(数14)
A(ψ)={VX(ψ)2+VY(ψ)2}1/2
≒Aavg+{(Ax−Ay)/2}・cos(2ψ)
このように、振幅信号A(ψ)は、回転角ψに応じて2倍角の余弦関数のように変動する成分を有する。即ち、振幅信号A(ψ)は、周波数ψ/πと略同一の周波数の周波数成分を有することになる。
次に、第3センサ310が、第1の軸に対応する信号および第2の軸に対応する信号の間の非直交性誤差を含み、第2角度信号ψの異常の原因となる場合を考える。この場合、AD変換部430およびAD変換部432が出力するデジタル値は、次式のように表すことができる。ここで、第3センサ310および第4センサ320の非直交性誤差を、αとした。
(数15)
Vx(ψ)=A・cos(θ)
Vy(ψ)=A・sin(θ+α)
この場合、振幅信号A(ψ)は、次式のように算出される。
(数16)
A(ψ)={Vx(ψ)2+Vy(ψ)2}1/2
=A・{cos2(ψ)+sin2(ψ+α)}1/2
≒A・[1+α・{sin(2ψ)}/2]
このように、振幅信号A(ψ)は、回転角ψに応じて2倍角の正弦関数のように変動する成分を有する。即ち、振幅信号A(ψ)は、周波数ψ/πと略同一の周波数の周波数成分を有することになる。
以上のように、磁場検出信号が振幅値、オフセット、および/または直交性の誤差を含み、第2角度信号ψに異常が発生する場合、振幅信号A(ψ)に周波数ψ/πまたはψ/2πと略同一の周波数の周波数成分が発生する。そこで、相関信号算出部1040は、振幅信号A(ψ)を被測定信号とし、当該被測定信号をフーリエ変換した信号を、相関信号として出力する。また、相関信号算出部1040は、振幅信号A(ψ)2を被測定信号とし、当該被測定信号をフーリエ変換した信号を、相関信号として出力してもよい。これにより、第2異常判定部1050は、周波数ψ/πまたはψ/2πと略同一の周波数の周波数成分の有無を相関信号から判別することができる。
次に、第2異常判定部1050は、相関信号に基づき、第2角度信号ψの異常を判定する(S734)。相関信号算出部1040が被測定信号を周波数領域の信号に変換して相関信号とするので、第2異常判定部1050は、第2回転角センサ300の誤差に対応する周波数成分の大きさに基づき、第2角度信号ψの異常を判定できる。
第2異常判定部1050は、例えば、周波数ψ/2πの成分が、予め定められた相関信号閾値を超える場合に、オフセット誤差が大きく、第2角度信号ψが異常であることを判定する。また、第2異常判定部1050は、例えば、周波数ψ/πの成分が、予め定められた相関信号閾値を超える場合に、磁気感度のミスマッチおよび/または非直交性誤差が大きく、第2角度信号ψが異常であることを判定する。また、第2異常判定部1050は、相関信号の他の周波数成分の大きさが相関信号閾値を超える場合、何らかの異常が発生していると判断してよく、この場合も、第2角度信号ψが異常であることを判定してよい。
なお、振幅信号が第3条件を満たし、第1角度信号φまたは第2角度信号ψが異常であることを第1異常判定部1030が判定したので、第2異常判定部1050は、第2角度信号ψを異常と判定した場合、第1角度信号ψが正常であると判定できる。また、第2異常判定部1050は、相関信号に相関信号閾値を超える周波数成分がない場合、第2角度信号ψが正常で、第1角度信号ψが異常であることを判定してよい。
出力部1090は、第2異常判定部1050が正常と判定した角度信号を、回転体の角度信号として出力する(S736)。また、出力部1090は、第2異常判定部1050が異常と判定した角度信号の情報を、外部にエラー信号として出力してよい。回転角測定システム20は、回転角センサの一方が良好な検出精度であることから、S710に戻り、回転角の検出を継続させてよい。また、回転角測定システム20は、予め定められた回数、時間、または指示等に応じて、回転角の検出を終了させてもよい。
第1異常判定部1030は、振幅信号が第3条件を満たさない場合(S730:No)、当該振幅信号が次の第2条件を満たすか否かを判別する(S740)。第1異常判定部1030は、振幅信号が第0閾値未満、または、振幅信号が第3閾値よりも大きい第2条件を満たす場合、第1角度信号φおよび第2角度信号ψが異常と判定する(S740:Yes)。この場合、第1異常判定部1030は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψが異常であることを示すエラー信号を出力し(S750)、回転角の検出を終了させてよい。
第1異常判定部1030は、振幅信号が第2条件を満たさない場合(S740:No)、即ち、振幅信号が第0閾値以上で、かつ、第1閾値未満、または、振幅信号が第2閾値よりも大きく、かつ、第3閾値以下の第1条件を満たす場合、第1角度信号φが異常と判定する。
ここで、補正部1060は、異常と判定した第1角度信号φを補正する(S742)。補正部1060は、例えば、振幅信号から外部磁場の大きさを算出し、算出した外部磁場に対応する補正値に基づき、第1角度信号φを補正する。一例として、第1回転角センサ100がTMRもしくはGMRで構成され、かつ、外部磁場の強度が強い場合(振幅信号が第2閾値よりも大きく、かつ、第3閾値以下の場合)、第1センサ110および第2センサ120のピンド層12は、磁化方向が外部磁場に追従して変動してしまい、検出精度が劣化する。
この場合、ピンド層12の磁化ベクトルに、外部磁場に追従して変動する成分が発生するので、第1磁気抵抗素子112および第3磁気抵抗素子116の磁気抵抗素子の抵抗値の変化は、次式で表すことができる。なお、θは外部磁場の印加方向、αおよびβは、磁場の関数である。
(数17)
A・cos(θ)・{(1−α(B))・cos(π)+β(B)・cos(θ)
+R0'
同様に、第2磁気抵抗素子114および第4磁気抵抗素子118の磁気抵抗素子の抵抗値の変化は、次式で表すことができる。
(数18)
A・cos(θ)・{(1−α(B))・cos(0)+β(B)・cos(θ)
+R0'
この場合、磁場検出信号HallXchのデジタル値Vxおよび磁場検出信号HallYchのデジタル値Vyは、次式のように近似できる。即ち、A2'およびB2'の項が、誤差として重畳されることになる。
(数19)
Vx≒A1・cos(θ)+A2・cos3(θ)
=A1'・cos(θ)+A2'・cos(3θ)
Vy≒B1・sin(θ)+B2・sin3(θ)
=B1'・sin(θ)+B2'・sin(3θ)
また、第1信号検出装置200が出力する第1角度信号φは、次式のように近似できる。即ち、角度誤差(φ−θ)は、C1・sin(4θ)となる。
(数20)
φ=tan−1(Vy/Vx)
≒θ+C1・sin(4θ)
以上のように、外部磁場の大きさに対応するA2'、B2'の値が判明すれば、磁場検出信号および第1角度信号φの変動を算出することができる。また、C1の値が判明すれば、第1角度信号φの変動を算出することができる。そこで、異常診断装置1000は、予め、外部磁場の大きさに対応するA2'、B2'、およびC1等の値を取得し、補正値として記憶部1070に記憶する。異常診断装置1000は、実測した外部磁場の大きさから算出される複数の補正値を、記憶部1070に記憶してよく、当該補正値を補完してより多く補正値を記憶部1070に記憶してもよい。なお、当該補完は、線形補間等でよい。
補正部1060は、補正値を用いて、次式のように補正してよい。
(数21)
Vx'=Vx−A2'・cos(3θ)
Vy'=Vy−B2'・sin(3θ)
φ'=φ−C1・sin(4θ)
次に、第3異常判定部1080は、補正部1060による補正後の第1角度信号φ'が、正常に補正されたか否かを判定する(S744)。第3異常判定部1080は、補正後の第1角度信号φ'および第2角度信号ψの差の絶対値|φ'−ψ|が、角度信号閾値θthを超えた場合、第1角度信号φが異常と判定する。即ち、第3異常判定部1080は、第1角度信号φが補正できない程度の異常が発生していることを判定する。また、第3異常判定部1080は、補正後の第1角度信号φ'および第2角度信号ψの差の絶対値|φ'−ψ|が、角度信号閾値θth以下の場合、第1角度信号φは補正可能な異常と判定する。
次に、出力部1090は、第2角度信号ψを出力する(S746)。また、出力部1090は、|φ'−ψ|が角度信号閾値θthを超えた場合、第1角度信号φに補正できない程度の異常が発生していることを示すエラー信号を外部に出力してよい。また、出力部1090は、|φ'−ψ|が角度信号閾値θth以下の場合、第1角度信号φに補正可能な異常が発生していることを示すエラー信号を外部に出力してよい。
以上のように、本実施形態に係る変形例の異常診断装置1000は、第1角度信号φおよび第2角度信号ψのいずれに異常が発生しているかを、より詳細に判定することができる。また、本変形例の異常診断装置1000は、第1角度信号φが補正可能な以上であるか否かを判定することができ、また、補正可能な場合は、補正して出力することができる。
図9は、本実施形態に係る回転角測定システム20の変形例を示す。本変形例の回転角測定システム20において、図5に示された本実施形態に係る回転角測定システム20および図7に示された本実施形態に係る異常診断装置1000の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
本変形例の回転角測定システム20は、第1角度信号φの補正を第1信号検出装置200が実行する。この場合、第2信号検出装置400は、振幅信号A(ψ)を第1信号検出装置200および異常診断装置1000に供給する。第1信号検出装置200は、受け取った振幅信号A(ψ)が、第1条件を満たす場合、角度検出部220が検出した第1角度信号φを補正する。第1信号検出装置200は、補正部1060および記憶部1070を更に有する。
補正部1060は、記憶部1070に記憶された補正値を用いて第1角度信号φを補正する。補正部1060の補正動作は、図8で説明したのでここでは省略する。補正部1060は、補正後の第1角度信号φ'を異常診断装置1000の第3異常判定部1080に供給する。
異常診断装置1000は、振幅信号A(ψ)が、第1条件を満たす場合、第1信号検出装置200から補正後の第1角度信号φ'を受け取る。第3異常判定部1080は、受け取った補正後の第1角度信号φ'が正常に補正されたか否かを判定する。第3異常判定部1080および出力部1090の動作は、図8で説明したのでここでは省略する。以上のように、本変形例の回転角測定システム20は、第1信号検出装置200が検出した第1角度信号φを補正して出力することができる。
以上の本実施形態に係る回転角測定システム20は、第2信号検出装置400が2型サーボ回路を有し、角度誤差信号εを0に近づけるように、第2角度信号ψを更新して出力する例を説明した。これに加えて、回転角測定システム20は、第1信号検出装置200も2型サーボ回路を有し、角度誤差信号εを0に近づけるように、第1角度信号φを更新して出力してもよい。また、これに代えて、第1信号検出装置200および第2信号検出装置400は、他の回路によって、角度信号および振幅信号を出力してよい。
図10は、本実施形態に係る第1信号検出装置200および第2信号検出装置400の第1変形例を、第1回転角センサ100および第1信号検出装置200と共に示す。第1変形例の第1信号検出装置200および第2信号検出装置400は、アルゴリズムを用いて角度信号および振幅信号を出力してよい。第1信号検出装置200は、AD変換部210と、AD変換部212と、フィルタ部230と、フィルタ部232と、第1演算部240と、を有する。AD変換部210およびAD変換部212は、図1で説明した動作と略同一なので、ここでは説明を省略する。
フィルタ部230は、AD変換部210から受け取るデジタルデータをフィルタリングする。フィルタ部232は、AD変換部212から受け取るデジタルデータをフィルタリングする。フィルタ部230およびフィルタ部232は、デシメーションフィルタでよく、デジタルデータの間引き処理をしてよい。
第1演算部240は、CORDIC(Coordinate Rotation Digital Computing)回路を含む。CORDIC回路は、三角関数、乗算、および除算等の各種演算を実行するアルゴリズムに基づき、入力信号から角度信号φを算出する。CORDIC回路は、CORDICアルゴリズムが搭載されたFPGA(Field−Programable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路でよい。
第2信号検出装置400は、第1切換部410、第2切換部412、増幅部420、増幅部422、AD変換部430、AD変換部432、フィルタ部510、フィルタ部512、および第2演算部520を有する。第1切換部410、第2切換部412、増幅部420、増幅部422、AD変換部430、およびAD変換部432は、図5で説明した動作と略同一なので、ここでは説明を省略する。
フィルタ部510は、AD変換部430から受け取るデジタルデータをフィルタリングする。フィルタ部512は、AD変換部432から受け取るデジタルデータをフィルタリングする。フィルタ部510およびフィルタ部512は、デシメーションフィルタでよく、デジタルデータの間引き処理をしてよい。
第2演算部520は、CORDIC回路を含む。CORDIC回路は、三角関数、乗算、および除算等の各種演算を実行するアルゴリズムに基づき、入力信号から角度信号ψおよび振幅信号A(ψ)を算出する。CORDIC回路は、CORDICアルゴリズムが搭載されたFPGA、およびASIC等の集積回路でよい。第1信号検出装置200および第2信号検出装置400は、このような集積回路を用いても実現することができる。
図11は、本実施形態に係る第1信号検出装置200および第2信号検出装置400の第2変形例を、第1回転角センサ100および第1信号検出装置200と共に示す。第2変形例の第1信号検出装置200および第2信号検出装置400は、ベクトル逐次回転回路を用いて角度信号および振幅信号を出力してよい。第1信号検出装置200は、フィルタ部250と、フィルタ部252と、第1回路260と、を有する。
フィルタ部250は、第1センサ110から受け取るアナログ信号をフィルタリングする。フィルタ部252は、第2センサ120から受け取るアナログ信号をフィルタリングする。フィルタ部250およびフィルタ部252は、ローパスフィルタでよく、予め定められた周波数を超える周波数成分を減衰させてよい。
第1回路260は、ベクトル逐次回転回路を含む。ベクトル逐次回転回路は、次々と与えられるベクトルデータから代表ベクトルを回転させつつ逐次的に更新するアルゴリズムを実装し、入力信号から角度信号φを算出する。第1回路260は、デジタル信号の角度信号φを出力してよい。
第2信号検出装置400は、第1切換部410、第2切換部412、増幅部420、増幅部422、フィルタ部530、フィルタ部532、および第2回路540を有する。第1切換部410、第2切換部412、増幅部420、および増幅部422は、図5で説明した動作と略同一なので、ここでは説明を省略する。
フィルタ部530は、第3センサ310から受け取るアナログ信号をフィルタリングする。フィルタ部532は、第4センサ320から受け取るアナログ信号をフィルタリングする。フィルタ部530およびフィルタ部532は、ローパスフィルタでよく、予め定められた周波数を超える周波数成分を減衰させてよい。
第2回路540は、ベクトル逐次回転回路を含む。ベクトル逐次回転回路は、次々と与えられるベクトルデータから代表ベクトルを回転させつつ逐次的に更新するアルゴリズムを実装し、入力信号から角度信号ψおよび振幅信号A(ψ)を算出する。第2回路540は、デジタル信号の角度信号ψおよび振幅信号A(ψ)を出力してよい。第1信号検出装置200および第2信号検出装置400は、このような回路を用いても実現することができる。
図12は、本実施形態に係る異常診断装置1000として機能するコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、および表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、およびDVDドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070を有するレガシー入出力部と、を備える。
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000およびグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010およびRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブ2060は、DVD−ROM2095からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、および/または、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
プログラムは、コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を第1取得部1010、第2取得部1020、第1異常判定部1030、相関信号算出部1040、第2異常判定部1050、補正部1060、記憶部1070、第3異常判定部1080、出力部1090として機能させる。
プログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である第1取得部1010、第2取得部1020、第1異常判定部1030、相関信号算出部1040、第2異常判定部1050、補正部1060、記憶部1070、第3異常判定部1080、出力部1090として機能する。そして、この具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の異常診断装置1000が構築される。
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、またはDVD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置または通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030または記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060(DVD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、および/または記憶装置に含まれるものとする。
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(または不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
以上に示したプログラムまたはモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095の他に、DVD、Blu−ray(登録商標)、またはCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本願によれば、以下の各項目もまた開示される。
(項目1)
異なる少なくとも2方向の磁場を検出する第1回転角センサの検出信号に応じて第1信号検出装置が出力する、回転体の第1角度信号を取得する第1取得部と、
異なる少なくとも2方向の磁場を検出する第2回転角センサの検出信号に応じて第2信号検出装置が出力する、前記回転体の第2角度信号および振幅信号を取得する第2取得部と、
前記振幅信号に基づき、前記第1角度信号の異常を判定する第1異常判定部と、
を備える
異常診断装置。
(項目2)
前記第1異常判定部は、前記振幅信号が第1閾値未満、または、前記振幅信号が前記第1閾値よりも大きい第2閾値よりも大きい場合、少なくとも前記第1角度信号が異常と判定する項目1に記載の異常診断装置。
(項目3)
前記第1異常判定部は、前記振幅信号が前記第1閾値よりも小さい第0閾値以上で、かつ、前記第1閾値未満、または、前記振幅信号が前記第2閾値よりも大きく、かつ、前記第2閾値よりも大きい第3閾値以下の第1条件を満たす場合、前記第1角度信号が異常と判定する項目2に記載の異常診断装置。
(項目4)
前記第1異常判定部は、前記振幅信号が前記第0閾値未満、または、前記振幅信号が前記第3閾値よりも大きい第2条件を満たす場合、前記第1角度信号および前記第2角度信号が異常と判定する項目3に記載の異常診断装置。
(項目5)
前記第1異常判定部は、前記振幅信号が前記第1閾値以上で、かつ、前記第2閾値以下の第3条件を満たす場合、前記第1角度信号または前記第2角度信号が異常と判定する項目3または4に記載の異常診断装置。
(項目6)
前記振幅信号に基づく被測定信号と、予め定められた周期信号との相関信号を算出する相関信号算出部と、
前記相関信号に基づき、第2角度信号の異常を判定する第2異常判定部と、
を備える項目3から5のいずれか一項に記載の異常診断装置。
(項目7)
前記相関信号算出部は、前記振幅信号をフーリエ変換して前記相関信号を算出する項目6に記載の異常診断装置。
(項目8)
前記第2異常判定部は、前記相関信号の絶対値が相関信号閾値を超える場合に、前記第2角度信号が異常と判定する項目6または7に記載の異常診断装置。
(項目9)
前記振幅信号が前記第1条件を満たす場合、前記振幅信号に基づき、前記第1信号検出装置が出力する第1角度信号を補正する補正部を備える項目3から8のいずれか一項に記載の異常診断装置。
(項目10)
前記補正部は、前記振幅信号の大きさに応じて、前記第1回転角センサの検出信号を補正する項目9に記載の異常診断装置。
(項目11)
前記振幅信号の大きさに対応し、前記補正部が補正に用いる補正値を記憶する記憶部を備える項目9または10に記載の異常診断装置。
(項目12)
前記補正部による補正後の第1角度信号および前記第2信号検出装置が出力する前記第2角度信号の差の絶対値が、角度信号閾値を超えた場合、前記第1角度信号が異常と判定する第3異常判定部を更に備える項目9から11のいずれか一項に記載の異常診断装置。
(項目13)
前記第1異常判定部は、前記第1角度信号および前記第2角度信号の差の絶対値が、角度信号閾値を超えた場合、異常の判定を実行する項目1から12のいずれか一項に記載の異常診断装置。
(項目14)
前記第1角度信号および前記第2角度信号の一方が異常と判定されたことに応じて、前記第1角度信号および前記第2角度信号の他方が出力する角度信号を、前記回転体の角度信号として出力する出力部を更に備える項目1から13のいずれか一項に記載の異常診断装置。
(項目15)
異なる少なくとも2方向の磁場を検出する第1回転角センサと、
前記第1回転角センサの検出信号に応じて、回転体の第1角度信号を出力する第1信号検出装置と、
異なる少なくとも2方向の磁場を検出する第2回転角センサと、
前記第2回転角センサの検出信号に応じて、前記回転体の第2角度信号および振幅信号を出力する第2信号検出装置と、
を備え、
前記第2回転角センサは、前記第1回転角センサよりも入力磁場のダイナミックレンジが大きい角度検出装置。
(項目16)
前記第1回転角センサは、磁気抵抗素子を有し、
前記第2回転角センサは、ホール素子を有する項目15に記載の角度検出装置。
(項目17)
前記第2信号検出装置は、前記第1信号検出装置が出力する前記第1角度信号の異常判定用に、前記振幅信号を出力する項目15または16に記載の角度検出装置。
(項目18)
異なる少なくとも2方向の磁場を検出する第1回転角センサの検出信号に応じて第1信号検出装置が出力する、回転体の第1角度信号を取得する段階と、
異なる少なくとも2方向の磁場を検出する第2回転角センサの検出信号に応じて第2信号検出装置が出力する、前記回転体の第2角度信号および振幅信号を取得する段階と、
前記振幅信号に基づき、前記第1角度信号の異常を判定する段階と、
を備える
異常診断方法。
(項目19)
前記第1角度信号の異常を判定する段階は、前記第1角度信号および前記第2角度信号の差の絶対値が角度信号閾値を超えた場合に、異常の判定を実行する項目18に記載の異常診断方法。
(項目20)
前記第1角度信号の異常を判定する段階は、前記振幅信号が第0閾値以上で、かつ、前記第0閾値よりも大きい第1閾値未満、または、前記振幅信号が前記第1閾値よりも大きい第2閾値よりも大きく、かつ、前記第2閾値よりも大きい第3閾値以下の第1条件を満たす場合、前記第1角度信号が異常と判定する項目18および19に記載の異常診断方法。
(項目21)
前記第1角度信号の異常を判定する段階は、前記振幅信号が前記第0閾値未満、または、前記振幅信号が前記第3閾値よりも大きい第2条件を満たす場合、前記第1角度信号および前記第2角度信号が異常と判定する項目20に記載の異常診断方法。
(項目22)
前記第1角度信号の異常を判定する段階は、前記振幅信号が前記第1閾値以上で、かつ、前記第2閾値以下の第3条件を満たす場合、前記第1角度信号または前記第2角度信号が異常と判定する項目20または21に記載の異常診断方法。
(項目23)
前記振幅信号が前記第3条件を満たし、前記第1角度信号または前記第2角度信号が異常と判定された場合に、
前記振幅信号に基づく被測定信号と、予め定められた周期信号との相関信号を算出する段階と、
前記相関信号に基づいて、前記第2角度信号の異常を判定する段階と、
を備える項目22に記載の異常診断方法。
(項目24)
前記相関信号を算出する段階は、前記振幅信号をフーリエ変換して前記相関信号を算出する項目23に記載の異常診断方法。
(項目25)
前記第2角度信号の異常を判定する段階は、前記相関信号の絶対値が相関信号閾値を超える場合に、前記第2角度信号が異常と判定する項目23または24に記載の異常診断方法。
(項目26)
前記振幅信号が前記第1条件を満たす場合、前記振幅信号に基づき、前記第2信号検出装置が出力する前記第1角度信号を補正する段階を備える項目20から25のいずれか一項に記載の異常診断方法。
(項目27)
前記第1角度信号を補正する段階は、前記振幅信号の大きさに応じて、前記第1回転角センサの検出信号を補正する項目26に記載の異常診断方法。
(項目28)
前記第1角度信号を補正する段階は、前記振幅信号の大きさに対応する補正値を用いて前記第1角度信号を補正する項目26または27に記載の異常診断方法。
(項目29)
前記第1角度信号を補正する段階によって補正された前記第1角度信号および前記第2信号検出装置が出力する前記第2角度信号の差の絶対値が、角度信号閾値を超える場合、前記第1角度信号が異常と判定する段階を更に備える項目26から28のいずれか一項に記載の異常診断方法。
(項目30)
前記第1角度信号および前記第2角度信号の一方が異常と判定されたことに応じて、前記第1角度信号および前記第2角度信号の他方が出力する角度信号を、前記回転体の角度信号として出力する段階を更に備える項目18から29のいずれか一項に記載の異常診断方法。
(項目31)
コンピュータに、項目18から30のいずれか一項に記載の異常診断方法を実行させるプログラム。