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JP6535261B2 - リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の電極構造 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の電極構造 Download PDF

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JP6535261B2 JP2015184722A JP2015184722A JP6535261B2 JP 6535261 B2 JP6535261 B2 JP 6535261B2 JP 2015184722 A JP2015184722 A JP 2015184722A JP 2015184722 A JP2015184722 A JP 2015184722A JP 6535261 B2 JP6535261 B2 JP 6535261B2
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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の電極構造に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、携帯情報端末や電気自動車等の広い用途に展開されている。リチウムイオン二次電池の用途の拡がりに伴い、さらなる高性能化に向けて、リチウムイオン二次電池についての種々の課題を解決するための提案がなされ、研究開発が進められている。
例えば、リチウムイオン二次電池の放電容量は初期充電後に低下することが知られていた。このことを解決するために、リチウムイオン二次電池を製造するにあたり、初期充電工程を行う前に、酸化ケイ素(SiO及びSiO)を負極活物質として用いた負極とリチウム金属とを反応させるリチウムプレドープ工程が行われている(例えば、特許文献1参照)。リチウムプレドープ工程により、その後に行われる初期充電工程において、リチウムシリケート等の副生成物が生成される、或いは電解液中のリチウムイオンが失われて放電容量が低下する、という事態が回避される。
特許第4928828号公報
リチウムイオン二次電池において、特許文献1には、負極活物質の基台となる負極集電体に複数の貫通孔を分散させて形成する構成が開示されている。
一方、リチウムイオン二次電池の生産性を高めるために、ロール・ツー・ロール方式を導入した正極及び負極の連続生産が検討されている。ロール・ツー・ロール方式で前述のように負極を形成する際には、リチウムドープ後に所望のパターンで負極を切り出すこと等を考慮し、一方向に沿って搬送されるシート状又はフィルム状の負極集電体の幅方向の中央部分をリチウムドープ領域とする。即ち、負極集電体の幅方向の両端から所定の幅寸法を有する帯状の部分を残して、幅方向の中央部分に複数の貫通孔を分散させて形成したパンチング部とする。
パンチング部の形成時には、複数の貫通孔を形成するパンチング機器が押し当てられることで、パンチング部の負極集電体が延伸する。しかしながら、上述のように負極集電体の幅方向の両端から所定の幅寸法を有する帯状の部分を貫通孔が形成されない非パンチング部とすると、パンチング機器のパンチング部と非パンチング部のそれぞれに対する押圧力の差により、搬送方向から見ると負極集電体が撓んでしまう。このように撓んだ負極集電体が、パンチング部形成後に搬送ローラーを通る、或いは巻取りローラーに巻き取られると、非パンチングに皺ができ、負極の製造不良につながるという問題があった。
この問題を解決するために、負極集電体の表面全域に複数の貫通孔を分散させて形成する方法が考えられる。ところが、この方法では、負極活物質にリチウムイオンをドープした後に、この負極活物質の表面全域を完全に被覆する絶縁性の表面コーティング層を塗布すると、負極活物質から張り出した表面コーティング層が負極集電体の貫通孔を通り、負極活物質とは反対側に対向するローラー等の搬送部材に付着してしまう。そうすると、表面コーティング層を塗付する度に、ローラー等の搬送部材からの表面コーティング層の除去を行わなければならず、負極の生産性が著しく低下するという別の問題が生じる。因みに、ローラー等の搬送部材は通常、負極集電体の幅方向から見て負極活物質が形成される部分には当接せず、負極活物質が形成される部分の両側のみで負極集電体に当接するように構成されている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、電極集電体の撓みや皺の発生を抑え、電極の製造不良を防止することができるリチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の電極構造を提供する。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、電極集電体の少なくとも一方の面に電極活物質層が形成されてなる電極を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法において、
幅方向の両端から間隔をあけた位置に所定幅をもって長さ方向に沿う帯状に設けられる非パンチング部、及び該非パンチング部を除く部分に多数の貫通孔を有するパンチング部からなる電極集電体を形成する工程と、前記電極集電体の表面の前記非パンチング部同士の間に電極活物質を塗布する工程と、前記電極活物質にリチウムイオンをドープすることにより電極活物質層を形成する工程と、前記電極活物質層の表面全域を被覆し、且つ前記非パンチング部から張り出さないように前記非パンチング部の表面上に重なるように被覆して表面コーティング層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
前記電極は、負極であってもよく、正極であってもよい。
上述のリチウムイオン二次電池の製造方法によれば、電極集電体の幅方向の中央部及び両端部にそれぞれ所望の幅寸法を有するパンチング部が形成される。また、非パンチングは、電極集電体の幅方向において中央部のパンチング部と両端部のパンチング部との間に挟まれて存在する。従って、パンチング部形成時におけるパンチング部と非パンチング部のそれぞれに対するパンチング形成機器の押圧力の差による電極集電体の撓みを抑えることができる。従って、電極集電体の皺の発生が抑えられ、電極が良好に製造される。
また、上述のリチウムイオン二次電池の製造方法によれば、非パンチング部同士の間に電極活物質層が設けられ、表面コーティング層が該電極活物質層から張り出し、且つ非パンチング部から張り出さないように形成される。従って、電極活物質層は電極集電体の幅方向において中央部のパンチング部の上に形成され、且つ表面コーティング層は電極活物質層を完全に被覆し、該電極活物質層から張り出した部分が非パンチング部のみを被覆するように形成される。これにより、表面コーティング層がパンチング部に形成された貫通孔から該パンチング部を挟んで反対側に通過することを防止し、ローラー等の搬送部材を電極活物質層が形成される部分の両側のみで電極集電体に当接するように構成した際に、前記搬送部材への表面コーティング層の付着も防止することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の電極構造は、幅方向の両端から間隔をあけた位置に所定幅をもって長さ方向に沿う帯状に設けられる非パンチング部、及び該非パンチング部を除く部分に多数の貫通孔を有するパンチング部からなる電極集電体と、前記電極集電体の少なくとも一方の面の前記非パンチング部同士の間に塗膜された電極活物質に、リチウムイオンをドープすることにより形成された電極活物質層と、
前記電極活物質層の表面全域を被覆し、且つ幅方向の両端が前記非パンチング部の表面上に重なるように被覆された表面コーティング層と、
が積層されている積層体を備えることを特徴とする電極構造ことを特徴とする。
前記積層体は、負極であるであってもよく、正極であってもよい。
上述のリチウムイオン二次電池の電極構造によれば、電極活物質層は負極集電体の幅方向において中央部のパンチング部の上を被覆し、リチウムイオンをドープした状態とされると共に、表面コーティング層は電極活物質層を被覆して該電極活物質層から張り出し、且つ非パンチング部から張り出さないように形成される。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の電極構造によれば、集電体の撓みや皺の発生を抑え、電極の製造不良を防止することができる。
本発明に係る一実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法を用いて製造可能なリチウムイオン二次電池の一例を示す断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池の負極の平面図である。 本発明に係る一実施形態のリチウムイオン二次電池の負極構造の平面図である。 本発明に係る一実施形態のリチウムイオン二次電池の製造方法を説明するための図であって、(a)は負極集電体にパンチング部及び非パンチング部を形成する工程に関する平面図であり、(b)は負極活物質層を形成する工程に関する平面図である。
以下、本発明を適用したリチウムイオン二次電池の製造方法(単に、「製造方法」という場合がある)及びリチウムイオン二次電池の電極構造(単に、「電極構造」という場合がある)について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池1は、図2に示す正極(電極)4と、負極(電極)7とが交互に積層された電極積層体9を備えている。本実施形態のリチウムイオン二次電池1では、正極4と負極7が四段組みで積層されている。
正極4は、正極集電体2の表面2a,2b上に正極活物質層3が形成された電極である。一方、負極7は、負極集電体(電極集電体)5の表面5a,5b上に負極活物質層(電極活物質層)6が形成された電極である。
正極活物質層3が両面に形成された正極集電体2のそれぞれからリードタブ2tが引き出され、複数のリードタブ2tは互いに電気的に接続されている。同様に、負極活物質層6が両面に形成された負極集電体5のそれぞれからリードタブ5tが引き出され、複数のリードタブ5tは互いに電気的に接続されている。
正極4は、正極集電体2の幅方向の両端から間隔をあけた中央部の表面2a,2b上に正極活物質層3が形成された正極構造から切り出された電極である。
正極集電体2はアルミ箔製である。正極集電体2の面積、及び厚みは特に制限されず、公知のリチウムイオン二次電池の負極集電体と同じ材料、面積、及び厚みが適用可能である。正極集電体2のアルミニウム以外の材料としては、例えばチタン、ニッケル、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。正極集電体2の面積は、リチウムイオン二次電池1の大きさに応じて適切に設定され、例えば40cm×20cmである。正極集電体2の厚みは、例えば5μm以上50μm以下である。
正極活物質層3の構成材料としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む材料であれば特に制限されず、公知の材料を適用可能である。
好適な正極活物質としては、例えばリチウム複合コバルト酸化物、リチウム複合ニッケル酸化物、リチウム複合マンガン酸化物等の金属酸リチウム化合物が挙げられる。金属酸リチウム化合物として、一般式「LiM(式中、Mは金属であり;x及びyは、金属Mと酸素Oとの組成比である。)」で表される金属酸リチウム化合物が挙げられる。具体的な金属酸リチウム化合物としては、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等が挙げられる。また、正極活物質の構成材料として、類似の組成であるオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)及び三元系正極材(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)等も好適である。
なお、金属酸リチウム化合物の前記一般式において、Mは複数種の金属であってもよい。このような金属酸リチウム化合物としては、例えば一般式「LiM (式中、M、M及びMは互いに異なる種類の金属である。また、p、q、r及びyは、金属M1、M2及びM3と酸素Oとの組成比である。)」で表されるものが挙げられる。ここで、p+q+r=xである。前記一般式で表される金属酸リチウム化合物としては、例えばLiNi0.33Mn0.33Co0.33等が挙げられる。
負極7は、図3に示す負極構造(電極構造)20から一点鎖線で示すように切り出された電極(図2参照)である。
図3に示すように、負極構造20は、幅方向の両端5eから間隔(即ち、幅寸法w3)をあけた位置に所定の幅寸法w4をもって長さ方向に沿う帯状に設けられる非パンチング部5n及び非パンチング部5nを除く部分に多数の貫通孔22を有するパンチング部5pからなる負極集電体5と、負極集電体5の表面(一方の面)5a及び表面5bの非パンチング部5n同士の間に塗膜された電極活物質26に、リチウムイオンをドープすることにより形成された負極活物質層6と、負極活物質層6の表面6a全域を被覆し、且つ幅方向の両端28eが非パンチング部5nの表面上に重なるように被覆された表面コーティング層28と、が積層された構造体(積層体)である。そして、この積層体が負極となっている。
具体的には、負極7は上述した長尺の負極構造20から切り出したものであって、負極構造20はロール・ツー・ロール方式で製造され、所定の方向に搬送されるものである。以下、搬送方向に平行する方向を長さ方向とし、搬送方向に直交する方向を幅方向とする。
負極集電体5は銅箔製である。なお、負極集電体5の銅以外の材料としては、例えばチタン、ニッケル、ステンレス鋼等の金属が挙げられる。負極集電体5の面積、及び厚みは特に制限されず、公知のリチウムイオン二次電池の負極集電体と同じ材料、面積、及び厚みが適用可能である。因みに、負極7の面積は正極4の面積と等しいことが好ましいため、負極7における負極集電体5の面積は、正極集電体2の面積と略同等であることが好ましい。負極構造20における負極集電体5の面積は、正極集電体2の面積を考慮して設定されていることが好ましい。また、負極集電体5の厚みは、例えば5μm以上50μm以下である。
複数の貫通孔22は、互いに所定の間隔をあけて規則正しく配列されている。このように、貫通孔22が分散配置されていることで、リチウムイオンのドープ工程において、リチウムイオンが負極7内をより効率的に拡散してドープ処理が効率的に進むので好ましい。
なお、貫通孔22の形状、大きさ、個数、相対配置は特に制限されない。複数の貫通孔22は、互いに独立していてもよいし、互いに連結していてもよい。貫通孔22の個数が多過ぎたり、偏って配置されたりしていると、負極集電体5の表面5a,5bに負極活物質層6を保持することが難しくなる場合がある。この場合を考慮して、貫通孔22の個数や配置等は適宜調整されている。
貫通孔22の開口直径は、50μm以上1000μm以下であることが好ましく、500μm以上1000μm以下であることがより好ましい。貫通孔22の開口直径が前記範囲よりも大きくなると、電極活物質26を塗布する際に塗液が裏面に抜けてロールを汚し、生産性が低下する。また、貫通孔22の開口直径が前記範囲よりも小さくなると、加工のコストが増大する。
また、貫通孔の開孔率(単位面積中の貫通孔の面積割合)は5%から30%以内であることが好ましく、より好ましくは10%以上20%以下であることがより好まし。開口率が多すぎると箔の強度が低下し、電極活物質を塗布する際に箔が破断し生産性が低下する。開口率が小さすぎるとLiドープの効率が落ちて生産性が低下する。
電極活物質26の構成材料としては、活物質とバインダーとを必須成分とし、公知の構成材料を用いることできる。必要に応じて導電助剤を含んでもよい。リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質であって、初期充電前におけるリチウムプレドープ工程においてリチウムと不可逆的な反応を起こす負極活物質であれば特に制限されず、公知の材料を適用可能である。
好適な電極活物質26としては、例えば炭素、炭素化合物、金属酸化物が挙げられる。負極活物質としては、例えば酸化ケイ素等のリチウムと合金化可能な金属酸化物、黒鉛、アセチレンブラック等の炭素材料等が挙げられる。酸化ケイ素としては、一般式「SiO(式中、zは0.5以上1.5以下の何れかの数である。)」で表される物質が挙げられる。ここで、酸化ケイ素を「SiO」単位で見た場合、このSiOは、アモルファス状のSiOであるか、又はSi:SiOのモル比が約1:1となるように、ナノクラスターのSiの周囲にSiOが存在する物、或いはSi及びSiOの複合物である。
正極活物質としては、一般式「LiMxOy(式中、Mは金属であり;x及びyは、金属Mと酸素Oとの組成比である。)」で表される金属酸リチウム化合物が例示できる。
このような金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)等が例示できる。
バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンブロック共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルニトリル等を例示できる。
導電助剤は、活物質よりも導電性が高い材料が好ましく、金属粒子、炭素粒子、繊維状炭素化合物等を例示できる。
電極の構成材料において、活物質、導電助剤及びバインダーの総配合量に対する、バインダーの配合量の割合は、3質量%から30質量%であることが好ましく、5質量%から20質量%であることがより好ましい。
導電助剤を含む場合は、電極の構成材料において、活物質、導電助剤及びバインダーの総配合量に対する、導電助剤の配合量の割合は、1質量%から25質量%であることが好ましく、2質量%から15質量%であることがより好ましい。
表面コーティング層28は、図2及び図3に示すように負極活物質層6の表面6a全域を被覆すると共に、負極集電体5に設けられた非パンチング部5nの幅方向内側を部分的に被覆している。このように、表面コーティング層28は、負極活物質層6の表面6a全域を被覆していれば、非パンチング部5nの全体を被覆していなくともよく、非パンチング部5nから張り出さなければ、非パンチング部5n全体を被覆していてもよい。
表面コーティング層28は、絶縁性を有し、電解液を保持又は通過させることが可能なものであれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池で使用される無機フィラーコーティング層が適用可能である。このような無機フィラーコーティングとしては、例えばオレフィン系樹脂からなるバインダーと酸化アルミのような無機フィラーの混合物が挙げられる。
ここで、負極集電体5の幅寸法をw1、負極集電体5の中央に形成されるパンチング部5Cの幅寸法をw2、負極集電体5の両端に形成されるパンチング部5Eの幅寸法をw3、負極集電体5の非パンチング部5nの幅寸法をw4、表面コーティング層28の幅寸法をw5とする。そうすると、非パンチング部5nの幅寸法w3は、負極集電体5の幅寸法w1の1%以上20%以下であることが好ましく、パンチング部5Cの幅寸法の1%以上25%以下であることが好ましく、パンチング部5Eの幅寸法の10%以上100%以下であることが好ましい。
正極4と負極7を対面配置してこれらの電極の短絡を防ぐ目的及び電解液を保持する目的で、正極4と負極7との間には、セパレータ8が配置されている。
セパレータ8は、絶縁性を有し、電解液を保持又は通過させることが可能なものであれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池で使用されるセパレータであってよい。
セパレータ8としては、例えばオレフィン系樹脂からなる多孔質膜又は不織布、絶縁性粒子からなる多孔性絶縁膜等が挙げられる。また、セパレータ8は、絶縁性粒子を含む組成物を正極4又は負極7の表面に塗布することで形成される絶縁性膜であってもよい。セパレータ8の厚みは、絶縁性が保たれる厚みであれば特に限定されず、例えば5μm以上50μm以下とされている。
但し、表面コーティング層28はセパレータ8と同様に絶縁性を有しているので、負極7に設けられた表面コーティング層28がセパレータ8として取り扱われてもよく、表面コーティング層28がセパレータ8の一部を構成していてもよい。
電極積層体9には、積層方向において前方の端部と後方の端部の二箇所の最外層部がある。本実施形態においては、便宜的に前方の端部を最上部といい、後方の端部を最下部という。
電極積層体9の最外層部である最上部と最下部の二箇所には、セパレータ8で隔てられた金属箔積層体11が設置されている。金属箔積層体11は、リードタブ2tを介して正極集電体2に導通されたアルミ箔である第一金属箔12と、リードタブ5tを介して負極集電体5に導通された銅箔である第二金属箔15とが、絶縁シート10を介して積層された積層体である。第一金属箔12及び第二金属箔15の表面には、電極活物質は積層されておらず、露出した金属面の間に絶縁シート10が挟持されている。
金属箔積層体11は、リチウムイオン二次電池1の最外層部である最上部及び最下部の少なくとも何れか一方に備えられていればよく、どちらか一方のみに備えられた構成であっても構わない。なお、不慮の衝撃が上方と下方の両方から加わる可能性がある場合には、金属箔積層体11が最上部及び最下部の両方に備えられていることが好ましい。
絶縁シート10の材料は、絶縁性のシートを形成できる材料であればよく、例えば、合成樹脂、紙等である。合成樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アラミド系樹脂、等の公知の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等が挙げられる。
次に、本発明を適用した一実施形態のリチウムイオン二次電池1の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法は、負極集電体5の表面5a,5bに負極活物質層6が形成されてなる負極7を備えたリチウムイオン二次電池1の製造方法において、幅方向の両端5eから間隔(即ち、幅寸法w3)をあけた位置に所定の幅寸法w4をもって長さ方向に沿う帯状に設けられる非パンチング部5n、及び非パンチング部5nを除く部分に多数の貫通孔22を有するパンチング部5C,5Eからなる負極集電体5を形成する工程と、負極集電体5の表面5a,5bの非パンチング部5n同士の間に電極活物質26を塗布する工程と、電極活物質26にリチウムイオンをドープすることにより負極活物質層6を形成する工程と、負極活物質層6の表面6a全域を被覆し、且つ非パンチング部5nから張り出さないように非パンチング部5nの表面上に重なるように被覆して表面コーティング層28を形成する工程と、を有する。
始めに、図4(a)に示すように、負極集電体5の非パンチング部5nを除く部分に、所謂パンチング加工を行う。このパンチング加工では、例えば負極集電体5に対して複数の尖った針を、負極集電体5に形成する貫通孔22に対応する位置に配列された押し型でプレスする、或いは、負極集電体5に対して複数の穴が、負極集電体5に形成する貫通孔22に対応する位置に配列された打ち抜き型でプレスする。
パンチング加工に使用する押し型に配置される針の直径、及び打ち抜き型に配置される穴の直径は特に制限されず、例えば、0.01mm以上5.0mm以下であることが好ましく、0.05mm以上2.5mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上1.0mm以下であることがさらに好ましい。押し型に配置される針の直径が上記範囲の下限値以上であると、リチウムイオンが通過し易い貫通孔22を容易に形成することができる。また、押し型に配置される針の直径が上記範囲の上限値以下であると、負極7の内部抵抗を低減し、負極7の構造的強度を充分に維持することができる。
次に、例えば負極集電体5上に電極活物質26を含む負極材を5μm以上100μm以下の厚みで塗布した後、電極活物質26に含まれる溶媒を乾燥除去し、電極活物質26からなる層を形成する。なお、負極材は、酸化ケイ素等の前記負極活物質の他に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)等のバインダー樹脂及び炭素材料、金属粒子等の導電助剤を含むことが好ましい。
次に、電極活物質26からなる層の上に不図示のリチウム金属箔を配置して、内側の電極活物質26に対してリチウム金属箔が間接的に接触するように積層する。このように物理的に接触した状態を保持することにより、リチウム金属箔から電極活物質26にリチウムイオンを拡散させてドープし、負極活物質層6を形成することができる。
なお、電極活物質26にリチウムイオンをドープする方法として、例えば電気化学的にリチウムイオンを電極活物質26にドープさせる方法、負極活物質層6とリチウム金属を物理的及び/又は化学的に接触させる方法等を採用してもよい。より具体的には、例えば、電解液中にリチウム金属を配置するとともに、このリチウム金属を所定の電極と導通接続させることにより、電極活物質26にリチウムイオンをドープし、負極活物質層6を形成することができる。
次に、上述のように負極活物質層6の表面6a全域を被覆し、且つ非パンチング部5nから張り出さないように表面コーティング層28を形成する。具体的には、例えば溶剤に分散させた塗液を公知の塗工方法(ダイ方式、グラビア方式)で電極活物質表面に塗布し、乾燥させることで溶剤を揮発させることで形成することができる。なお、表面コーティング層28が厚み方向にリチウムイオンを通過させることが可能であれば、上述のように表面コーティング層28を形成した後に、表面コーティング層28の上に不図示のリチウム金属箔を配置して、上述のように電極活物質26にリチウムイオンをドープしてもよい。
以上の工程により、負極構造20が完成する。この後、負極7の形状パターンに合わせて、負極構造20から負極7を切り出す。
次に、正極集電体2の所定の領域上に正極活物質を含む正極材を5μm以上100μm以下の厚みで塗布した後、正極材に含まれる溶媒を乾燥除去する。この方法により、正極集電体2に正極活物質層3を形成することができる。なお、正極材は、前記金属酸リチウム化合物等の正極活物質の他に、バインダー樹脂及び導電助剤を含むことが好ましい。
次に、所望の段数(本実施形態では四段)、例えば一段から十段程度の正極4及び負極7の積層物を公知の方法等により積層し、電極積層体9を形成する。続いて、電極積層体9の最外層部に金属箔積層体11を設置した後、これらをラミネートアルミフィルム等の外装体16で仮封止する。仮封止をする際、正極集電体2及び第一金属箔12のリードタブ2tに接続された引出配線と、各負極集電体5及び第二金属箔15のリードタブ5tに接続された引出配線と、をそれぞれ外装体16の外部に突出させる。続いて、ラミネートセルの仮封止を部分的に解いて、公知の電解液を注入した後で、完全に封止する。電解液はセル内でゲル化するゲル電解質であってもよい。
以上の工程により、図1に示すリチウムイオン二次電池1が完成する。
以上説明した本実施形態の製造方法によれば、負極集電体5の幅方向の中央部及び両端部にそれぞれ所望の幅寸法w2,w3を有するパンチング部5C,5Eを形成することができる。また、負極集電体5の幅方向において中央部のパンチング部5Cと両端5eのパンチング部5pとの間に、非パンチング部5nを形成することができる。従って、パンチング工程時におけるパンチング部5pと非パンチング部5nのそれぞれに対するパンチング形成機器の押圧力の差による負極集電体5の撓みを抑えることができる。
従って、負極集電体5の撓みや皺の発生を抑え、負極構造20及び負極7の製造不良を防止することができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、非パンチング部5n同士の間に負極活物質層6を設けることができる。また、表面コーティング層28を、負極活物質層6から張り出し、且つ非パンチング部5nから張り出さないように形成することができる。従って、負極活物質層6を負極集電体5の幅方向において中央部のパンチング部5Cの上に形成し、且つ表面コーティング層28を、負極活物質層6を完全に被覆し、負極活物質層6から張り出した両端部が非パンチング部5nのみを被覆するように形成することができる。これにより、表面コーティング層28がパンチング部5pに形成された貫通孔22からパンチング部5pを挟んで反対側に通過することを防止し、ローラー等の搬送部材を負極活物質層6が形成される部分の両側のみで負極集電体5に当接するように構成した際に、前記搬送部材への表面コーティング層28の付着も防止することができる。即ち、表面コーティング層28を形成する度に、連続生産を一旦停止し、前記搬送部材を清掃する必要がなく、リチウムイオン二次電池1の生産性を高めることができる。
また、負極活物質層6から張り出した表面コーティング層28の両端部が非パンチング部5nのみを被覆するように非パンチング部5nの幅寸法w4を減じれば、負極集電体5の撓みをより抑えることができる。
また、本実施形態の負極構造20によれば、負極活物質層6を負極集電体5の幅方向において中央部のパンチング部5Cの上を被覆するように配置し、リチウムイオンをドープした状態とされると共に、表面コーティング層28は負極活物質層6を被覆して負極活物質層6から張り出し、且つ非パンチング部5nから張り出さないように配置することができる。
負極構造20では、負極活物質層6が負極集電体5の表面5a,5bの両方に形成されていることで、一方の電極活物質26の表面上にリチウム金属箔を配置すれば、リチウム金属箔からリチウムイオンが一方の電極活物質26に拡散してドープされ、さらに中央部のパンチング部5Cの貫通孔22を通り、他方の電極活物質26に拡散してドープされる。従って、生産性を高めて負極活物質層6を形成することができる。なお、表面コーティング層28が厚み方向にリチウムイオンを通過させることが可能であれば、表面コーティング層28を形成した後に、表面コーティング層28の上にリチウム金属箔を配置しても、同様の効果が得られる。
なお、正極4は、負極集電体5と同様にパンチング部及び非パンチング部を備える正極集電体(電極集電体)2の表面上に正極活物質層(電極活物質層)3が形成された電極であってもよい。
即ち、正極集電体2の表面の非パンチング部同士の間に塗膜され、且つ正極活物質を含む電極活物質26に、リチウムイオンをドープして形成された正極活物質層3と、正極活物質層3の表面全域を被覆し、且つ幅方向の両端が非パンチング部の表面上に重なるように被覆された表面コーティング層と、が積層された積層体(図示略)が正極4であってもよい。
上述の正極4の製造方法は、上述した負極7の製造方法において、負極集電体5を正極集電体2に置き換え、電極活物質26を正極活物質を含む電極活物質に置き換え、負極活物質層6を正極活物質層3に置き換えればよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池の電極構造に関する分野をはじめとして、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池を用いる分野で広く利用可能である。
1…リチウムイオン二次電池、2…負極集電体、5…正極集電体、5a…表面(一方の面)、5b…表面、5e…端、5C,5E,5p…パンチング部、5n…非パンチング部、6…負極活物質層(電極活物質層)、7…負極(電極)、20…負極構造(電極構造)、22…貫通孔、26…電極活物質、28…表面コーティング層

Claims (6)

  1. 電極集電体の少なくとも一方の面に電極活物質層が形成されてなる電極を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法において、
    幅方向の両端から間隔をあけた位置に所定幅をもって長さ方向に沿う帯状に設けられる非パンチング部、及び該非パンチング部を除く部分に多数の貫通孔を有するパンチング部からなる電極集電体を形成する工程と、
    前記電極集電体の表面の前記非パンチング部同士の間に電極活物質を塗布する工程と、
    前記電極活物質にリチウムイオンをドープすることにより電極活物質層を形成する工程と、
    前記電極活物質層の表面全域を被覆し、且つ前記非パンチング部から張り出さないように前記非パンチング部の表面上に重なるように被覆して表面コーティング層を形成する工程と、
    を有するリチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. 前記電極が負極である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  3. 前記電極が正極である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 幅方向の両端から間隔をあけた位置に所定幅をもって長さ方向に沿う帯状に設けられる非パンチング部、及び該非パンチング部を除く部分に多数の貫通孔を有するパンチング部からなる電極集電体と、
    前記電極集電体の少なくとも一方の面の前記非パンチング部同士の間に塗膜された電極活物質に、リチウムイオンをドープすることにより形成された電極活物質層と、
    前記電極活物質層の表面全域を被覆し、且つ幅方向の両端が前記非パンチング部の表面上に重なるように被覆された表面コーティング層と、
    が積層されている積層体を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池の電極構造。
  5. 前記積層体が負極である請求項4に記載のリチウムイオン二次電池の電極構造。
  6. 前記積層体が正極である請求項4に記載のリチウムイオン二次電池の電極構造。
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