JP6535259B2 - ディスエンゲージ装置 - Google Patents
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Description
このうち、クラッチは、図5に示すように、クラッチ板を軸方向に移動させてフライホイールから分離させることにより、フライホイールからのトルクの伝達が断たれる構造となっている。このクラッチの構造では、クラッチ板が軸方向に移動してもトルクが出力軸へ伝達されるように、クラッチ板と出力軸との連結部に、軸方向に沿ったキーとこれを受けるキー溝(いずれも図示省略)とが設けられている。
一方、トランスミッションの構造では、入力軸及び出力軸のギア面がそれぞれの周面であり、トルク量に応じてリテーナとの軸方向の噛み合わせ長さが伸びるため、これらの分離時にはリテーナを軸方向に大きく移動させなければならない。トランスミッションではトルク伝達方向が一方向であるため、ギアの噛み合わせ隙間を大きくして軸方向に嵌合させやすくすることが可能だが、ディスエンゲージ装置ではトルク伝達方向が両方向であるため、クラッチの場合と同様に、この噛み合わせ隙間がバックラッシュとなってしまう。
前記航空機の操縦者に操作される操作部材と、
所定方向に沿って並設され、互いの分離・結合により前記リンケージを解除・成立させる2つのディスエンゲージ部材と、
前記2つのディスエンゲージ部材のうちの一方のディスエンゲージ部材に回転可能に支持され、一方向の回転に伴って他方のディスエンゲージ部材に係合することにより前記2つのディスエンゲージ部材を互いに結合させる結合部材と、
前記結合部材を前記一方向に付勢する付勢部材と、
長尺に形成されて、一端部回りに回転可能に支持されるとともに他端部に前記操作部材が接続され、前記操作部材の操作に連動した前記一端部回りの回転に伴って、前記結合部材を前記付勢部材の付勢力に抗して前記一方向とは反対方向に押圧するレバー部材と、
を備えることを特徴とする。
前記結合部材は、
一方の端部が前記他方のディスエンゲージ部材に係合するとともに、当該一方の端部とは回転中心を介した反対側の他方の端部が前記レバー部材に押圧されるように構成され、
前記回転中心から前記他方の端部までの長さが、前記回転中心から前記一方の端部までの長さよりも長く形成されていることを特徴とする。
前記一方のディスエンゲージ部材は、自動操縦用のアクチュエータに連結されたホーンアームに固定され、
前記レバー部材は、前記ホーンアームに形成された開口部内に配置されている。
また、この状態から、操縦者によって操作部材が操作されると、当該操作部材が他端部に連結された長尺なレバー部材が一端部回りに回転し、結合部材を付勢部材の付勢力に抗して一方向とは反対方向、つまり、他方のディスエンゲージ部材との係合を解除させる方向に押圧する。そして、当該係合が解除されて2つのディスエンゲージ部材が互いに分離され、操縦系統のリンケージが解除される。
また、2つのディスエンゲージ部材を結合させる結合部材は回転に伴って他方のディスエンゲージ部材と係脱されるので、分離時には当該結合部材を係合部から脱落する分だけ回転させれば足りる。そのため、自動車のトランスミッションの構造と異なり、ギアの噛み合わせ隙間を大きくする必要がなく、その分だけバックラッシュが低減される。
さらに、長尺なレバー部材の他端部に入力された操作力によって、当該レバー部材が一端部回りに回転して、2つのディスエンゲージ部材を分離させる方向に結合部材を押圧するので、梃子の原理が利用されて操縦系統のリンケージが解除される。
したがって、従来に比べ、バックラッシュを低減させるとともに、連結解除に要する操作力も低減させることができる。
したがって、結合部材においても梃子の原理が利用されて操縦系統のリンケージが解除されるので、連結解除に要する操作力をさらに低減させることができる。
したがって、ディスエンゲージ装置とホーンアームを単純に並設する場合に比べ、これらをコンパクトに配置することができる。
一方で、舵面110は、ディスエンゲージ装置1を介して自動操縦用のアクチュエータ130とも連結されており、この連結系統が自動操縦系統を構成している。航空機100は、この自動操縦系統のリンケージ(連結)が成立した状態でアクチュエータ130が舵面110を駆動制御することにより、自動操縦が可能となっている。
より詳しくは、図2に示すように、ディスエンゲージ装置1は、自動操縦用のアクチュエータ130に連結されたホーンアーム150と、ロッド160を介して舵面110に連結されたベルクランク170との間に設けられている。このうち、ホーンアーム150は、先端(上端)がアクチュエータ130の駆動軸131に固定されるとともに基端(下端)がディスエンゲージ装置1に固定されている。一方、ベルクランク170は、先端(上端)がロッド160に取り付けられるとともに基端(下端)がディスエンゲージ装置1に固定されている。また、これらホーンアーム150及びベルクランク170は、両端をリアクションリンク180に支持された後述のシャフト8に各基端部が軸支されており、当該基端部回りにそれぞれ回転可能に構成されている。
ディスエンゲージ装置1は、ホーンアーム150とベルクランク170との連結を機械的に分離させることにより、アクチュエータ130の駆動力を舵面110に伝達させる自動操縦系統のリンケージを解除する。
なお、以下では、説明の簡単のために、中心軸Axに沿った軸方向のうちローター2側を「前側」(及びその方向を「前方」)といい、ステーター3側を「後側」(及びその方向を「後方」)ということとする。また、「径(方向)」や「周(方向)」との記載は、特に断りのない限り、中心軸Axを基準としたものを意味することとする。
また、ステーター3の下側の外周面には、ケーブル固定部31が設けられている。このケーブル固定部31には、操縦室120のディスエンゲージレバー122から敷設された操作ケーブル140が保持されている。より詳しくは、ケーブル固定部31には、操作ケーブル140を保護する保護管141の端部が前側から固定されている(図2参照)。操作ケーブル140は、この保護管141内に保護された状態で操縦室120から敷設されて、当該ケーブル固定部31から後方では保護管141外に露出され、その先端が後述するホーク6の下部固定軸62bに接続されている。
具体的に、各キー4は、長尺な腕部41と、当該腕部41の先端から屈曲された短尺な突出部42とを有する略L字平板状に形成されている。そして、各キー4は、ステーター3の孔部32内において、腕部41が径方向に略沿って延在しつつ突出部42がステーター3の外周部から前方向きに突出した状態に配置され、接線方向に沿った支持軸45によって屈曲部で回転可能に支持されている。腕部41は、屈曲部からステーター3内周側の先端に向かって幅が狭窄するように形成されており、その先端部が、前方向きに湾曲した鉤爪状の係止部43となっている。突出部42は、ステーター3の前面から前方に突出しており、支持軸45回りのキー4の回転に伴って、ローター2の切欠き部21に対して係脱可能となっている。
具体的に、ホーク6は、長尺な2つの板状部材61,61がシャフト8を挟んで並設され、その両端が固定軸62でそれぞれ固定された構成となっている。このホーク6は、ステーター3のケーブル固定部31と周方向位置を一致させつつ上下方向に延在しており、両端の固定軸62,62のうち上端に位置する上部固定軸62aが、ローター2外径の略半分の径方向位置に位置するとともに、後述するホーンアーム150のリブ152に回転可能に支持されている(図2参照)。また、ホーク6両端の固定軸62,62のうち、下端に位置する下部固定軸62bは、ステーター3のケーブル固定部31と同程度の径方向位置に位置するとともに、このケーブル固定部31に固定された保護管141から後方へ延出した操作ケーブル140の先端が接続されている。そのため、ホーク6は、操作ケーブル140の牽引操作に連動して、上部固定軸62a回りに回転するように構成されている。
図4は、ディスエンゲージ装置1の動作を説明するための図であって、このうち(a)が、自動操縦系統のリンケージを成立させているときの図であり、(b)が、自動操縦系統のリンケージを解除させたときの図である。
図4(a)に示すように、自動操縦系統のリンケージが成立しているときには、ディスエンゲージ装置1では、ローター2とステーター3とが3つのキー4,…によって互いに結合されている。
具体的に、このときには、3つのキー4,…の内周側の各係止部43がスプリング5によって後方に付勢されることにより、これら3つのキー4,…が各支持軸45回りに前傾する回転方向(図中の反時計回り)に付勢され、当該3つのキー4,…の突出部42がローター2の3つの切欠き部21,…に係合した状態が保持される。このとき、各キー4は、係止部43がホーンアーム150の前面に当接するか、突出部42がローター2の切欠き部21(の周方向の底部R)に当接するかして、回転が規制されている。
こうして、ローター2とステーター3とが一体的に回転可能なように互いに結合され、ディスエンゲージ装置1を介してホーンアーム150がベルクランク170と一体的に回転する状態、つまり、自動操縦用のアクチュエータ130の駆動力が舵面110まで伝達される、自動操縦系統のリンケージが成立した状態となっている。
自動操縦系統のリンケージを解除させるときには、まず航空機100のパイロットがディスエンゲージレバー122を操作することにより、当該ディスエンゲージレバー122に接続された操作ケーブル140が牽引される。
すると、図4(b)に示すように、ディスエンゲージ装置1では、操作ケーブル140が下部固定軸62bに接続されたホーク6が、上部固定軸62a回りに起立する方向(図中の時計回り)に回転し、これに伴ってレリーズ7がシャフト8上を前方に移動する。そして、このレリーズ7が、3つのキー4,…の係止部43をスプリング5の付勢力に抗して前方に押圧する。その結果、3つのキー4,…が各支持軸45回りに突出部42を外周側に移動させる回転方向(図中の時計回り)に回転し、当該3つのキー4,…の突出部42がローター2の3つの切欠き部21,…から外周側に脱落した状態となる。
こうして、ローター2とステーター3とはトルクが伝達しないように互いに分離され、ホーンアーム150のトルクがベルクランク170に伝達しない状態、つまり、自動操縦用のアクチュエータ130の駆動力が舵面110に伝達されない、自動操縦系統のリンケージが解除された状態となる。
また、この状態から、パイロットによって操作ケーブル140が操作されると、当該操作ケーブル140が下部固定軸62bに連結された長尺なホーク6が上部固定軸62a回りに回転し、3つのキー4,…をスプリング5の付勢力に抗して前方、つまり、ローター2との係合を解除させる方向にレリーズ7を介して押圧する。そして、当該係合が解除されてローター2及びステーター3が互いに分離され、自動操縦系統のリンケージが解除される。
また、ローター2及びステーター3を結合させる3つのキー4,…は回転に伴ってローター2と係脱されるので、分離時には当該3つのキー4,…をローター2の切欠き部21から脱落する分だけ回転させれば足りる。そのため、自動車のトランスミッションの構造と異なり、ギアの噛み合わせ隙間を大きくする必要がなく、その分だけバックラッシュが低減される。
さらに、長尺なホーク6の下部固定軸62bに入力された操作力によって、当該ホーク6が上部固定軸62a回りに回転して、ローター2及びステーター3を分離させる方向に3つのキー4,…を押圧するので、梃子の原理が利用されて自動操縦系統のリンケージが解除される。
したがって、従来に比べ、バックラッシュを低減させるとともに、連結解除に要する操作力も低減させることができる。
したがって、当該各キー4においても梃子の原理が利用されて自動操縦系統のリンケージが解除されるので、連結解除に要する操作力をさらに低減させることができる。
したがって、ディスエンゲージ装置1とホーンアーム150を単純に並設する場合に比べ、これらをコンパクトに配置することができる。
2 ローター(他方のディスエンゲージ部材)
21 切欠き部
3 ステーター(一方のディスエンゲージ部材)
4 キー(結合部材)
41 腕部
42 突出部
43 係止部
45 支持軸
5 スプリング(付勢部材)
6 ホーク(レバー部材)
62a 上部固定軸
62b 下部固定軸
7 レリーズ
8 シャフト
Ax 中心軸
100 航空機
130 アクチュエータ
140 操作ケーブル(操作ケーブル)
150 ホーンアーム
151 開口部
152 リブ
170 ベルクランク
180 リアクションリンク
Claims (3)
- 航空機における操縦系統のリンケージを解除するディスエンゲージ装置であって、
前記航空機の操縦者に操作される操作部材と、
所定方向に沿って並設され、互いの分離・結合により前記リンケージを解除・成立させる2つのディスエンゲージ部材と、
前記2つのディスエンゲージ部材のうちの一方のディスエンゲージ部材に回転可能に支持され、一方向の回転に伴って他方のディスエンゲージ部材に係合することにより前記2つのディスエンゲージ部材を互いに結合させる結合部材と、
前記結合部材を前記一方向に付勢する付勢部材と、
長尺に形成されて、一端部回りに回転可能に支持されるとともに他端部に前記操作部材が接続され、前記操作部材の操作に連動した前記一端部回りの回転に伴って、前記結合部材を前記付勢部材の付勢力に抗して前記一方向とは反対方向に押圧するレバー部材と、
を備えることを特徴とするディスエンゲージ装置。 - 前記結合部材は、
一方の端部が前記他方のディスエンゲージ部材に係合するとともに、当該一方の端部とは回転中心を介した反対側の他方の端部が前記レバー部材に押圧されるように構成され、
前記回転中心から前記他方の端部までの長さが、前記回転中心から前記一方の端部までの長さよりも長く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のディスエンゲージ装置。 - 前記一方のディスエンゲージ部材は、自動操縦用のアクチュエータに連結されたホーンアームに固定され、
前記レバー部材は、前記ホーンアームに形成された開口部内に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスエンゲージ装置。
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JP2017052454A JP2017052454A (ja) | 2017-03-16 |
JP6535259B2 true JP6535259B2 (ja) | 2019-06-26 |
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Family Applications (1)
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JP2015179066A Active JP6535259B2 (ja) | 2015-09-11 | 2015-09-11 | ディスエンゲージ装置 |
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2015
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