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JP6534264B2 - 溶存水素濃度の測定方法 - Google Patents

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JP6534264B2 JP2015023814A JP2015023814A JP6534264B2 JP 6534264 B2 JP6534264 B2 JP 6534264B2 JP 2015023814 A JP2015023814 A JP 2015023814A JP 2015023814 A JP2015023814 A JP 2015023814A JP 6534264 B2 JP6534264 B2 JP 6534264B2
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Description

本発明は、中性水素水、電解水、アルカリイオン水等の清浄な水に溶解する水素分子の濃度を計測する方法および溶存水素濃度計に関する。
従来、図7に示す隔膜形ポーラログラフ電極、図8に示すORP電極を利用した電気化学的測定方法による溶存水素濃度計が実用化されている。
隔膜形ポーラログラフ電極方式では、隔膜11に密接して配置される作用極14と電解液13に浸漬した対極15間に定電位を印加しておき、測定する検体(以下、サンプルと記する。)に含まれる水素分子がガス透過性を有する隔膜11を介して、白金、あるいは白金表面に白金黒めっきを施した作用極14に到達すると、電極表面で化学式1に示す水素分子(H2)の酸化反応が生じ、銀−塩化銀で構成される対極15では、化学式2に示す塩化銀(AgCl)の還元反応が生じて、作用極14と対極15間には水素量に比例した微小電流が流れる。この電流値からサンプルの水素濃度を求めている。
なお、隔膜11は水温によりガスの透過性が変動するため、ハウジング12内には測温部16を設けて、測定結果の温度補正を行う。
ORP電極方式の電極構成を図8に示す。
ORP電極方式においては、検出部31を白金で構成して、作用極32でサンプル中の水素分子と水素イオン活量(水素イオン濃度)の差によって発生する電位を検出する。
また、検出部33を銀−塩化銀で構成し、電解液34に浸漬させた比較電極35で発生する基準電位と前記の作用極で発生する単極電位の差分にあたる酸化還元電位から水素濃度を求めている。
さらに、図8に示すハウジング36下端には、サンプルと比較電極35の電気的な接続を保つために多孔質セラミックからなる液絡部37を設ける。
前述の基準電位は電解液34の種類によって異なり、例えば、3.3M 塩化カリウム溶液を利用した場合は257mV (25℃)、3M塩化カリウム溶液を利用した場合は219mV(25℃)となる。
一般に基準電位が公知の前記濃度の塩化カリウム溶液が採用されるが、本法の原理的には一定電位を与える他濃度の塩化カリウム溶液を用いることもできる。
溶存水素による酸化還元電位は前記化学式1に示す酸化還元反応に従い、Nernst式によって数式1で与えられ、酸化体である水素イオンの濃度([H+])と還元体である溶存水素分子の濃度([H2])によって決定される。
数式1のEHは酸化還元電位、EH 0は水素の標準酸化還元電位、Rはガス定数、Tは絶対温度、nは化学式1で受け渡しされる電子数(n=2)、Fはファラデー定数、pHはサンプルのpH値を示す。なお、前記EH 0はIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)により、全ての温度で0Vと規定されている。
同様に溶存酸素の酸化還元反応にもNernst式が成り立つ。
溶存酸素の酸化還元反応の一例を化学式3に、この反応によってNernst式で与えられる酸化還元電位を数式2に示す。
数式2より、酸化還元電位EOは溶存酸素濃度([O2])にともなって変化する。
水素と酸素が共存するサンプルにおいて、酸化還元電位は溶存水素濃度とpHで決定される前述の酸化還元電位(EH)と酸素の酸化還元電位(EO)を混合した電位として検出されるため、溶存酸素は溶存水素濃度の測定に影響を与えることになる。
なお、溶存酸素、pHが一定の条件では、溶存酸素の酸化還元電位は一定に保たれ、数式1より、測定対象である溶存水素濃度([H2])と酸化還元電位(EH)は相関をもつ。従って、ORP電極方式では酸化還元電位(EH)を計測することで溶存水素濃度を求めている。
特開2002−195975号公報
従来の隔膜形ポーラログラフ電極方式においては、作用極が隔膜によりサンプルから隔離されているため、不純物の影響を受けにくく、また、水素分子の酸化反応に応じて流れる電流値を計測しているため、高精度の測定が実現できる。
但し、サンプル温度にともなう隔膜のガス透過率の変化を補正するため、電極内に測温部の取付けが必要となる。
また、作用極と対極間に常時、定電位を供給する電源回路や微小電流の変化を判定するための増幅回路やノイズ対策が必要となり、複雑な制御回路を要すため、大型で高額な測定器となっている。
加えて、電解水のような微細気泡を多量に含むサンプルでは、電極内にガスが透過して、電解液中に電極応答に影響を与える気泡が短期間で形成されるため、電解液の補充や入替え等の煩雑な保守が必要となっていた。
一方、ORP電極方式では、電極に発生する電位から直接、溶存水素濃度に置き換えるため、極めて簡素な構成の測定器が実現可能である反面、サンプルのpHや共存する溶存酸素によって電極電位が多大な影響を受ける。
前述したように数式1の酸化還元電位EHは、溶存酸素濃度、pH一定の条件下では、溶存水素濃度に対応する電位を示すが、溶存酸素濃度、pHはサンプルの水温や遊離炭酸濃度等によって変動するため、ORP電極方式では測定可能なサンプルの水質が極めて限定的なものとなっていた。
とりわけ、溶存酸素濃度やpHの変動が顕著な電気分解を利用して調製した水素水やアルカリイオン水の溶存水素濃度は測定できなかった。
上述の課題を解決するため、溶存水素、溶存酸素を含む各種pHのサンプルに対し、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの適量を添加し、併せて、グルコースおよび中性域のpH緩衝機能をもつリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素カリウムとが含まれる液体試薬を添加する。
なお、前記グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの適量は、サンプルに添加後、前者の活性が5kU/L以上、望ましくは、10kU/L以上、後者の活性が0.5MU/L以上となる添加量に相当する。なお、前記活性の単位(U/L)は1リットル中のグルコースオキシダーゼ、またはカタラーゼの反応性を表し、グルコースオキシダーゼの場合、25℃、pH7において、グルコースと酸素を反応させ、グルコン酸δ−ラクトンとして1μmolを生成できるグルコースオキシダーゼの反応性を1U、カタラーゼの場合、25℃、pH7において、1分間に1μmolの過酸化水素が分解できるカタラーゼの反応性を1Uとする。
白金黒めっきを施した白金電極(以下、白金黒めっき電極と称する)を備えた作用極と、塩化カリウム溶液からなる電解液に銀−塩化銀電極を浸漬させた比較電極とから構成されるORP電極を用いて前述の前処理を施したサンプルの酸化還元電位を測定し、溶存水素濃度に換算する。
グルコースおよびグルコースオキシダーゼ、カタラーゼの触媒作用によって酸化還元電位に影響を及ぼす溶存酸素を分解し、かつ、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素カリウムの緩衝機能でサンプルのpHを一定に保つことができる。
また、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼは選択的に触媒機能を発揮するため、試薬過剰の条件下でも酸化還元電位に影響を及ぼさず、安定した測定を実現することができる。
加えて、極めて大きい比表面積を有する白金黒めっき電極を採用することで、水素吸蔵能力が増加して、溶存水素に対して安定した電位応答を得ることができる。
なお、前述の構成の溶存水素濃度計で白金電極を作用極に使用した従来のORP電極を利用することもできる。この場合、白金黒めっき電極に比べ、電極応答の安定性がわずかに低下するが、後述するように保守性やコスト面で高いメリットを創出できる。
本発明によれば、様々な溶存酸素濃度、pHを示す水素水やアルカリイオン水等の電解水に対しても溶存水素濃度を高精度で測定できる、小型で安価な濃度計を実現できる。
本発明の溶存水素濃度計の検出電位と溶存水素濃度の関係を示す図である。 グルコースオキシダーゼの活性に対する溶存酸素濃度の変化を示す図である。 カタラーゼの活性と検出電位の関係を示す図である。 本発明の溶存水素濃度計の電極構造を示す図である。 白金電極を使用して溶存水素濃度を測定した結果を示す図である。 6ヵ月間冷蔵保管した液体試薬Iを使用し、白金黒めっき電極を備えた作用極で溶存水素濃度を測定した結果を示す図である。 従来技術の隔膜形ポーラログラフ電極の構造を示す図である。 従来技術のORP電極の構造を示す図である。 水素電極の構造を示す図である。 本発明の溶存水素濃度計の電極応答の一例を示す図である。
本発明の溶存水素濃度計において、サンプルの前処理に利用する溶存酸素の分解反応を化学式4に示す。
化学式4(1)に示すように、サンプル中の溶存酸素はグルコースオキシダーゼ存在下でグルコースを添加するとグルコン酸と過酸化水素(H2O2)を生成する。
また、化学式4(2)に示すように、カタラーゼ存在下で生成した過酸化水素は酸素(O2)と水(H2O)を生成し、化学式4(3)に示すように、総反応では酸素とグルコースからグルコン酸が生成され、溶存酸素は消去される。
なお、亜硫酸塩、アスコルビン酸、鉄(II)イオン等の添加で溶存酸素を消去することもできるが、亜硫酸塩を利用した場合は溶存酸素の回収にともないpHが酸性側にシフトする。また、アスコルビン酸を使用した場合は水に溶解するとpH2〜3程度の酸性を示し、いずれも酸化還元電位に大きな正誤差を与える要因となる。
一方、鉄(II)イオンは溶存酸素と反応し、アルカリ性の水酸化鉄(II)を生成し、さらに水酸化鉄(II)から水酸化鉄(III)が生成して、コロイドが形成される。このため、pH上昇による酸化還元電位の負誤差が生じたり、コロイドによる汚損で電極の感度低下を招く。
以上の課題により、前述の成分はいずれも酸化還元電位を利用した水素濃度の測定には適用が困難であった。
これに対し、グルコースはアルデヒド基(−CHO)をもつため、還元性を示すといわれているが、常温下では強アルカリ領域を除くと、単独で溶存酸素を消去する機能は示さず、安定である。このため、溶存酸素濃度に対して過剰量のグルコースを添加した場合でも、pH変動は生じず、酸化還元電位に影響を与えることはない。
加えて、グルコースオキシダーゼはグルコースと酸素の反応を選択的に促進する触媒として働くため、溶存酸素が消去された後に余剰のグルコースとの反応は進行せず、酸化還元電位への影響は生じない。
図2に電気分解で生成した水素水にグルコースオキシダーゼの添加量を変えて、異なる活性に調製したサンプルの溶存酸素濃度の変化を示す。
グルコースオキシダーゼの添加量(活性)が低下すると、溶存酸素濃度の低下速度が減速する傾向が確認されている。溶存酸素濃度の低下速度が遅くなるほど、サンプルの酸化還元電位の安定に時間を要すため、本発明では実用上、グルコースオキシダーゼの活性が5kU/L以上、望ましくは、10kU/L以上となるように調製する。
なお、化学式4(3)に示すように、グルコースと酸素は化学量論的に2:1で反応が進むため、飽和酸素水(約40mg/L,25℃)まで適用させるためには、グルコース濃度は約2.5mM以上とする必要があるが、後述の図1に示すように、大過剰の条件でも溶存水素濃度の測定には影響を与えないことを確認している。
図3に電気分解で生成した水素水にグルコースオキシダーゼ10kU/L、グルコース0.045MおよびpH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムを各々0.025Mとなるように添加した後、カタラーゼの添加量を変えて異なる活性に調製したサンプルの酸化還元電位の変化を示す。
図3より、カタラーゼの活性が0.7〜4.5MU/Lの範囲ではサンプルの酸化還元電位はほぼ一定であることから、前述のグルコースと同様にカタラーゼが過剰量存在しても溶存水素濃度の測定には影響を与えないことを確認している。
なお、0.1mg/L程度の測定精度を確保するためには、酸化還元電位の変動を2mV以下に抑える必要があり、図3の試験結果より、カタラーゼの活性は少なくとも0.5MU/L以上とすることが望ましい。
また、溶存酸素分解後に生成するグルコン酸は弱酸性を示し、サンプルの酸化還元電位に影響を与えるため、サンプル中の濃度がそれぞれ0.025Mとなる様、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素カリウムを添加しておくことで、反応後のサンプルのpHを6.9(25℃)近傍に維持し、グルコン酸生成の影響を取り除くことができる。
なお、同様に弱酸性の緩衝機能をもつフタル酸水素カリウム0.05MでpH4.0(25℃)となる様、前記リン酸塩の代替とするか、前述のリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素カリウムの添加量を変えて、pH4〜9内の任意のpHに調整してもよい。
溶存水素濃度の測定に使用する電極の構造を図4に示す。
ハウジング1内に電解液2とは隔離した状態で先端の白金電極3の表面に白金黒めっき4を施した作用極5と、銀−塩化銀で構成される検出部6を備えた比較電極7を3.3M、または、3Mの塩化カリウム溶液からなる電解液2に浸漬する。
また、サンプルと比較電極7の電気的な接続を保つために多孔質セラミックからなる液絡部8を先端部に設ける。
作用極5に白金黒めっき4を施すことで電極の表面積を拡張できるため、水素分子の吸着作用がはたらき、水素に対する電極感度が向上し、電極応答が安定化し、高精度の測定を実現できる。
なお、白金黒めっきは同時に溶存酸素の吸着作用も発揮するが、前述の試薬を添加することで溶存酸素をほぼ完全に取り除くことができるため、電極応答は純粋に水素分子の濃度に依存することになる。
電気化学分析の基準電位を定める電極として水素電極が知られている。
図9に水素電極の構造を示す。
水素電極は白金上に白金黒めっきを施した電極21表面に水素ガス22を過剰量供給して、水素イオン活量が1の溶液23に浸漬させる構成をとり、このとき電極21に発生する単極電位を0Vと定めている。
なお、水素電極は維持管理、安全性の面で課題が多く、この代替として前述の銀−塩化銀を電極に用い、塩化カリウム溶液に浸漬した比較電極が実用化されている。
本発明では、電極21に発生する電位は、水素22の吸着量および溶液23の水素イオン活量によって変動し、溶液の水素イオン活量が一定の下では電極21への水素22の吸着量に応じて幾分かの電位変動が生じるとの仮定の下、作用極に白金黒めっき電極を採用した。
溶存水素、溶存酸素を含むサンプルに前述のグルコースオキシダーゼ、グルコース、カタラーゼおよびpH調整剤を添加し、前述の図4に示す電極を浸漬して、作用極5と比較電極7間の電位から溶存水素濃度を決定する。
従来技術である前述の隔膜形ポーラログラフ電極方式においても、白金黒めっき電極を採用しているが、同方式では化学式1に示す水素分子の酸化反応を進行させる様、作用極と対極間に定電位を連続的に与えており、作用極表面は溶存水素濃度に応じた水素分子の吸着状態が維持される。
一方、本発明の溶存水素濃度計においては、故意に水素分子の分解反応を進行させるものではないため、時間とともに電極表面への水素分子の吸着が進行し、溶存水素濃度に相関をもつ電極応答が得られない可能性も想定されたが、発明者らの検証により溶存水素濃度の定量を実現できる電極応答を確認した。
溶存水素濃度の異なる電解水サンプルをグルコースオキシダーゼ13kU/L、グルコース0.045M、カタラーゼ2.7MU/L、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムを各々0.025Mとなるように調製後、電極応答を測定した結果を図1に示す。
なお、本検証には電極の電解液に3.3M塩化カリウム溶液を利用した。加えて、φ3mmの円形白金電極上に白金黒めっきを施した作用極を用いた。
検出電位は溶存水素濃度に相関を示し、溶存水素濃度が0.2〜1.6mg/Lの範囲で−565〜−595mVの酸化還元電位を与えた。
図10に電極応答の一例を示す。
図10に示すように電極応答はいずれの濃度においても、測定開始後、急激に電位が下降し、所定の下限電位に到達した後に再度、上昇する傾向を示すが、各濃度に対応した下限電位を数分間維持できる特性から溶存水素濃度の判定情報として、下限電位を利用することが有効であることを確認した。
なお、測定器の実現にあたっては、図1の電極特性を予め検量線として、または、電極特性の近似式をハードウェアに記憶させておき、検出電位が到達する下限電位を読み取り、溶存水素濃度に読み替える検出、演算機能を搭載する。
以上、本発明の溶存水素濃度計では、検出電位に影響を与えない酵素触媒およびpH調整剤を添加し、水素分子に対する高感度の応答性をもつ白金黒めっき電極を採用することで、サンプルの溶存酸素濃度、pHに影響されることなく、安定した溶存水素濃度の測定を実現できる。
また、実用化にあたって、サンプルに添加する前処理試薬の種類が多く、計量、溶解の操作に手間を要すことから、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの適量を清浄水に溶解させた液体試薬Iとグルコースおよびリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム等のpH調整剤を所定量、清浄水で溶解させた液体試薬IIとを用意し、スポイト等で各々の液体試薬を定量添加する手法を用いることが有効である。
本発明の溶存水素濃度計に利用する電極は前述の図4に示した通り、検出部として白金黒めっき電極を備えた小径の棒構造をとるため、数10mL程度の少量のサンプルでも検出部を浸漬して溶存水素濃度の測定が行うことができる。
例えば、サンプル量を15mLとし、活性が200kU/gのグルコースオキシダーゼおよび10MU/gのカタラーゼを原料とした場合、グルコースオキシダーゼを0.25g以上、さらに望ましくは0.5g以上、カタラーゼを0.5g以上、純水1Lに溶解することで前述の液体試薬Iを調製する。
このとき、液体試薬Iのグルコースオキシダーゼの活性は50kU/L以上、さらに望ましくは100kU/L以上、カタラーゼの活性は5MU/L以上となる。
また、グルコースを3g以上、リン酸水素二ナトリウム23.8g、リン酸二水素カリウム22.8gを純水1Lに溶解することで液体試薬IIを調製する。
このとき、液体試薬IIのグルコース濃度は約17mM以上、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムの濃度は各々、約0.17Mとなる。
前述の液体試薬Iの2mL、液体試薬IIの3mLをサンプル15mLに添加することで、サンプルのグルコースオキシダーゼの活性は5kU/L以上、さらに望ましくは10kU/L、カタラーゼの活性は0.5MU/L以上、グルコース濃度として2.5mM以上、リン酸水素二ナトリウムおよびリン酸二水素カリウムの濃度として各々0.025Mとなり、サンプルの溶存酸素の分解とpH調整を行うことができる。
なお、前述の液体試薬Iで利用するグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの原料活性、並びに液体試薬I、液体試薬IIの各成分の活性、濃度並びに添加量は一例であって、両液体試薬添加後のサンプル中の成分が前記活性および濃度となる様に、原料活性、液体試薬Iの活性、液体試薬IIの各成分濃度、液体試薬I、液体試薬IIの添加量について、任意の条件を設定してもよい。
加えて、水溶液中での酵素の安定性は充分な知見がなく、とりわけ、グルコースオキシダーゼ単体では冷凍保存が一般的であるが、本発明の検証段階で、冷蔵状態で6ヵ月間保管した場合でも前述の液体試薬Iの機能は低下しないことを確認しており、充分な実用性を備えた試薬として扱うことができる。
図6に6ヵ月間冷蔵保管した液体試薬Iを用いた溶存水素濃度の測定結果を示す。
図6の結果は、前述の電極特性の近似式を組み込んだ測定器を使用し、基準濃度に対する乖離を調査したもので、6ヵ月間冷蔵保管後の液体試薬Iを用いても安定した濃度測定が実現できることを示している。
更に、本発明で使用するグルコースオキシダーゼ、カタラーゼはタンパク質、グルコースは糖類であり、いずれも生分解性であること、また、pH調整剤のリン酸塩は一般の環境水中にも含まれていることから、安全で環境に優しい試薬として提供できる。
一方、本発明の溶存水素濃度計は図8に示す白金電極を作用極として利用することもできる。この場合、白金黒めっき電極に比べ、作用極の水素吸蔵機能が低下するため、測定結果に軽度のばらつきをともなうものの、前述の図10に示す白金黒めっき電極を使用した場合と同等の電極応答を示し、下限電位を利用した溶存水素濃度の判定を実現でき、簡易計測器としての実用性を満たすことができる。
図5に白金電極を作用極とした場合の測定結果を示す。
溶存水素濃度が0.2〜0.4 mg/Lの範囲で基準濃度に対して、正負双方の測定誤差が確認されるが、±0.1 mg/L程度の精度を確保できる。
また、白金黒めっきは非常に表面積が大きいため、界面活性剤による洗浄ができず、加えて、強度が乏しいため、ブラッシングによる清掃もできないが、白金電極は使用者による研磨処理で容易に初期状態に再生できることや、めっき加工が不要となるため、より低コストの電極を提供できるメリットを創出できる。
本発明の溶存水素濃度計を利用することで、豊富な溶存酸素を含む水素水やpH10程度のアルカリイオン水に含まれる溶存水素濃度を簡便な操作で測定することができる。
また、電極構成も簡素でありながら、溶存水素濃度0.1mg/Lあたりの電位変動が数mVオーダーの変化として検出できるため、電気的な判別が容易で、精度の高い測定を実現できる。
加えて、サンプルの溶存水素濃度および水素イオン濃度によって発生した電位を検出しているため、検出用の電源が不要であることから、測定器本体は入力回路、演算回路のみの極めてシンプルな構成で実現することができる。
さらに、作用極が直接、サンプルに接触する構造であるため、電解液への気泡の混入も生じず、煩雑な保守が不要な測定器を構成することができる。
1 ハウジング
2 電解液
3 白金電極
4 白金黒めっき
5 作用極
6 銀−塩化銀製の検出部
7 比較電極
8 液絡部

Claims (7)

  1. ハウジング下端に露出した白金電極を備えた作用極と、所定濃度の塩化カリウム溶液からなる電解液に浸漬し、隔離された銀−塩化銀電極を備えた比較電極と、前記白金電極と離隔してハウジング下端に併設した多孔質セラミックからなる液絡部とを有する電極を用い、グルコースオキシダーゼの活性として5kU/L以上、カタラーゼの活性として0.5MU/L以上、グルコースの濃度として2.5mM以上とし、pH4〜9内の一定値に調整できるpH調整剤をそれぞれ添加したサンプルの酸化還元電位を測定し、その下限電位から溶存水素濃度を特定することを特徴とする溶存水素濃度の測定方法
  2. 前記作用極を白金黒めっき付白金電極とすることを特徴とする請求項1の溶存水素濃度の測定方法
  3. 前記塩化カリウム溶液の濃度が3.3M、または3Mであることを特徴とする請求項1または請求項2の溶存水素濃度の測定方法
  4. 前記サンプルに添加後の活性が5kU/L以上のグルコースオキシダーゼおよび0.5MU/L以上のカタラーゼとなる様にグルコースオキシダーゼとカタラーゼの適量を清浄水に溶解させた液体試薬Iと、サンプルに添加後の濃度が2.5mM以上のグルコースおよび中性領域、または弱酸性領域の一定値に前記サンプルを調整できるpH調整剤を清浄水に溶解させた液体試薬IIとからなる前処理試薬を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の溶存水素濃度の測定方法
  5. 前記サンプルに添加後の濃度が各々0.025Mとなるリン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素カリウムを添加し、前記サンプルをpH6.9近傍に調整できるpH調整剤を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の溶存水素濃度の測定方法
  6. 前記サンプルにリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウムの適量を添加し、前記サンプルをpH4〜9内の一定pHに調整できるpH調整剤を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の溶存水素濃度の測定方法
  7. 前記サンプルに添加後の濃度が0.05Mとなるフタル酸水素カリウムを添加し、前記サンプルをpH4.0近傍の一定pHに調整できるpH調整剤を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の溶存水素濃度の測定方法
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