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JP6533412B2 - FoxO3aリン酸化阻害試薬 - Google Patents

FoxO3aリン酸化阻害試薬 Download PDF

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Description

本発明は、FoxO3aリン酸化阻害試薬に関する。
FoxOは、DNA結合ドメインを有する転写因子である。FoxOの1つであるFoxO3aは約650個のアミノ酸からなるタンパク質で、遺伝子のプロモーター領域の特定の配列に結合し、遺伝子の発現を誘導する。
FoxO3aは、ストレス応答、代謝制御、細胞周期、アポトーシスおよびDNAの修復などに関連する多くの遺伝子の発現を促進する。また、FoxO3aは、様々なストレスに対する抵抗力を高める作用に寄与しており、寿命延長および老化性疾患の抑制に重要である。
FoxO3aは、リン酸化を受けると、転写活性が低下する。詳細には、FoxO3aは、PI3K−Akt経路によって負に制御されている。PI3K−Akt経路が活性化されるとAktによってFoxO3aがリン酸化され、FoxO3aの核外移行が促進される。核外に移行したFoxO3aは、転写因子としての機能を失う。
したがって、FoxO3aのリン酸化を阻害することで、結果的にFoxO3aが活性化され、様々なストレスに対する抵抗力を高める作用を得ることができる。ストレスに対する抵抗力を高めることで、寿命延長および老化性疾患などの抑制が期待できる。
FoxO3aは、TGFβにより活性化されることが知られている。例えば、特許文献1によれば、白血病幹細胞にTGFβを作用させると、細胞核内にFoxO3aが局在する細胞の割合が増加する。一方、当該白血病幹細胞にTGFβ阻害剤を作用させると、細胞核内にFoxO3aが局在する細胞の割合が減少する。
特開2010−281656号公報
TGFβは、細胞増殖および分化を制御し、細胞死を促すサイトカインである。TGFβはタンパク質であるため、低分子化合物と比較して、FoxO3aの活性化に使用するには製剤化の煩雑さ、および安定性において改善の余地がある。また、TGFβは、その様々な作用が知られており、線維症疾患などの種々の疾患に関与している。このため、TGFβの使用は、FoxO3aの活性化以外の作用をもたらす、すなわち選択性に懸念がある。これらのことから、TGFβは、FoxO3aを活性化するために使用しやすいとは言い難い。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、より使用しやすい新規なFoxO3aリン酸化阻害試薬を提供することを目的とする。
本発明の観点に係るFoxO3aリン酸化阻害試薬は、
カルノシン酸またはピシフェリン酸を含む。
本発明によれば、より使用しやすい新規なFoxO3aリン酸化阻害試薬が提供される。
カルノシン酸の存在下で培養した細胞におけるFoxO3aとリン酸化FoxO3aの量を示す図である。(a)は、ウエスタンブロッティング法の結果を示す図である。(b)は、FoxO3aに対するリン酸化FoxO3aの比の相対値を示す図である。 ピシフェリン酸の存在下で培養した細胞におけるFoxO3aとリン酸化FoxO3aの量を示す図である。(a)は、ウエスタンブロッティング法の結果を示す図である。(b)は、FoxO3aに対するリン酸化FoxO3aの比の相対値を示す図である。 カルノシン酸を投与したマウスの肝臓におけるリン酸化FoxO3aの量を示す図である。(a)は、ウエスタンブロッティング法の結果を示す図である。(b)は、リン酸化FoxO3aの量の相対値を示す図である。 カルノシン酸を投与したマウスの体重当たりの血清中のクレアチニン量を示す図である。 染色した腎臓組織切片の画像を示す図である。(a)は、カルノシン酸を投与したマウスの腎臓組織切片の画像を示す図である。(b)は、対照のマウスの腎臓組織切片の画像を示す図である。
本発明に係る実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について詳細に説明する。本実施の形態に係るFoxO3aリン酸化阻害剤は、FoxO3aのリン酸化を阻害する。当該FoxO3aリン酸化阻害剤は、フェノール性ジテルペンを含む。フェノール性ジテルペンは、次の構造を有する化合物である。
フェノール性ジテルペンとしては、RがCOHであるフェノール性ジテルペンカルボン酸が好ましい。フェノール性ジテルペンカルボン酸は、RおよびRがそれぞれCH、RがCOH、かつRがHであるピシフェリン酸(以下、「PA」とする)であることが好ましく、特に好適には、RおよびRがそれぞれCH、RがCOH、かつRがOHであるカルノシン酸(以下、「CA」とする)である。
上記CAおよびPAの他、フェノール性ジテルペンとしては、例えば、RおよびRがそれぞれCH、RがCHOH、かつRがHである化合物(ピシフェロール)、RおよびRがそれぞれCH、RがCHO、かつRがHである化合物(ピシフェラール)、RおよびRがそれぞれCH、RがCOCH、かつRがHである化合物、RがCH、RがCHOH、RがCH、かつRがHである化合物、RがCH、RがCOH、RがCH、かつRがHである化合物、ならびにRがCOH、RがCH、RがCH、かつRがHである化合物が挙げられる。
フェノール性ジテルペンは、市販のものを用いてもよいし、天然物から抽出してもよい。例えば、フェノール性ジテルペンは、サワラ(Chamaecyparis pisifera)の葉、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)およびセージ(Salvia officinalis)からメタノール抽出によって抽出することができる。特にPAは、サワラの葉に含有されている。一方、CAは、ローズマリーおよびセージなどに含有されている。
各種フェノール性ジテルペンは、サワラの葉、ローズマリーまたはセージからメタノールで得た抽出物からシリカゲル担体を用いたクロマトグラフィーによって単離できる。具体的には、例えば、PAの単離では、サワラの葉を24時間メタノール抽出し、抽出物を濃縮する。次に、濃縮物に対して、ヘキサン−酢酸エチルを溶媒にしたシリカゲル担体のカラムクロマトグラフィーを行うことで、PAが得られる。フェノール性ジテルペンは抽出に限らず、構造式に従って合成してもよい。例えば、CAは、オルト位酸化などで水酸基をPAに導入することで合成できる。
本実施の形態に係るFoxO3aリン酸化阻害剤は、下記実施例1に示すように、培養細胞におけるFoxO3aのリン酸化を抑制する。このため、細胞におけるFoxO3aの転写活性が低下する条件下であっても、FoxO3aに制御される遺伝子の発現を維持または増強させることができる。このため、ストレス応答、代謝制御、細胞周期、アポトーシスおよびDNAの修復などに関連する多くのFoxO3aに制御される遺伝子の機能解析に使用することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るFoxO3aリン酸化阻害剤は、FoxO3aのリン酸化を阻害するため、FoxO3aを活性化することができる。また、本実施の形態に係るFoxO3aリン酸化阻害剤に含まれるフェノール性ジテルペンは、化合物であるため、タンパク質と比較して製剤化が容易であり、安定性に優れるため、使用しやすい。
また、上記FoxO3aリン酸化阻害剤は、様々なストレスに対する抵抗力を高めて、種々の病気に対するリスクを減少させるとともに、寿命を延長させ、老化性疾患などを抑制し、その改善予防に有効である。
さらに、本実施の形態では、フェノール性ジテルペンが、フェノール性ジテルペンカルボン酸、特にCAまたはPAであってもよいこととした。CAおよびPAは、上述のように自然界に存在する植物から得られるため、ヒトに安心して用いることができる。
また、別の実施の形態では、FoxO3aリン酸化阻害剤として使用するためのフェノール性ジテルペンが提供される。また、他の実施の形態は、FoxO3aリン酸化阻害剤の製造のためのフェノール性ジテルペンの使用である。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態に係る医薬は、上記実施の形態1に係るFoxO3aリン酸化阻害剤を含む。当該医薬は、有効成分として上記FoxO3aリン酸化阻害剤を含む。当該医薬は、公知の方法で製造される。
上記医薬の剤形は、限定されないが、液剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、直腸坐剤、膣坐剤、経鼻吸収剤、経皮吸収剤、経肺吸収剤および口腔内吸収剤などである。当該医薬は、例えば、薬理的に許容される担体と配合された合剤であってもよい。薬理的に許容される担体は、製剤素材として用いられる各種の有機担体物質または無機担体物質である。また、当該医薬には、白糖、緩衝剤などの薬理的に許容される添加剤が含まれてもよい。必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの添加物を用いることもできる。
上記医薬の投与方法は任意であるが、好ましくは経口投与、皮下注射または静脈内注射である。当該医薬の投与量は、患者の体重、病態など患者の状態に応じて適宜調整されるが、1日の投与量として1人あたり1mg〜1g、好ましくは50〜500mgである。当該医薬は、1〜36ヶ月、好ましくは12〜24ヶ月などの長期間にわたって投与してもよい。もちろん、投与回数、投与間隔などの投与方法は、患者の状態を見ながら、適宜調整することができる。
上記医薬は、FoxO3aのリン酸化を阻害することで、FoxO3aを活性化する。FoxO3aは、酸化ストレス耐性に関連する遺伝子の発現を促進するため、当該医薬は、酸化ストレスに起因する疾患、特には、脂肪肝、肝硬変肝および肝炎などの肝臓疾患、アテローム動脈硬化症、パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病、統合失調症、双極性障害ならびに慢性疲労症候群などに薬効を有する。また、下記実施例2に示すように、上記医薬は、老化促進マウスの生存率を高めるため、寿命を延長し、老化性疾患などを抑制する。
また、上記医薬は、下記実施例3に示すように、腎臓でのFoxO3のリン酸化を抑制する。このため、上記医薬は、好適には、腎臓疾患の治療または予防に使用される。例えば、糖尿病モデル動物では、腎臓でのFoxO3のリン酸化が亢進することが知られており、その結果、FoxO3の制御を受けている抗酸化ストレス酵素の発現量が低下し、酸化ストレスの増加による腎機能低下をもたらすと考えられている。このため、上記医薬は、糖尿病性腎症に有効である。腎臓疾患としては、糖尿病性腎症に加え、例えば、急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎不全および慢性腎不全などが挙げられる。
以上詳細に説明したように、上記医薬は、FoxO3aを活性化することができるので、種々の疾患、特に酸化ストレス関連の疾患および老化性疾患などを治療および予防できる。また、当該医薬は、腎保護作用を有するため、腎臓疾患を治療または予防できる。
また、別の実施の形態は、上記医薬を患者に投与することによりFoxO3aのリン酸化を阻害する方法、FoxO3aを活性化する方法または酸化ストレス関連の疾患もしくは腎臓疾患を治療する方法である。さらに別の実施の形態は、FoxO3aのリン酸化を阻害するための医薬またはFoxO3aを活性化するための医薬の製造のための上記FoxO3aリン酸化阻害剤の使用である。他の実施の形態は、酸化ストレス関連の疾患または腎臓疾患を治療するための医薬の製造のための上記FoxO3aリン酸化阻害剤の使用である。さらに他の実施の形態では、上記医薬は、腎臓疾患治療剤または腎臓疾患予防剤であってもよい。
(実施の形態3)
さらに、実施の形態3について説明する。本実施の形態に係るFoxO3aリン酸化阻害用添加剤は、フェノール性ジテルペンを含む。下記実施例2に示すように上記フェノール性ジテルペンは、経口投与で用いてもFoxO3aのリン酸化を阻害するため、添加剤として使用してもその作用が得られる。
FoxO3aリン酸化阻害用添加剤は、例えば、食品に添加される。該食品としては、栄養ドリンクおよび機能性食品などが挙げられる。具体的には、上記FoxO3aリン酸化阻害用添加剤は、清涼飲料水、紅茶および緑茶などの飲料、キャンデー、クッキー、錠菓、チューインガムおよびゼリーなどの菓子、麺、パン、米飯およびビスケットなどの穀類加工品、ソーセージ、ハムおよびかまぼこなどの練り製品、バターおよびヨーグルトなどの乳製品、ならびにふりかけなどの調味料などに含有されてもよい。なお、上記FoxO3aリン酸化阻害用添加剤が食品に添加される場合、該食品には、甘味料、香料、着色料などの他の添加物が含まれてもよい。
食品中の有効成分としての上記FoxO3aリン酸化阻害用添加剤の含有量は通常0.0001〜99重量%、好ましくは1〜90重量%である。有効成分としての上記FoxO3aリン酸化阻害用添加剤の摂取量が、成人1日当たり1mg〜100g、10mg〜100g、または100mg〜50gの範囲であればよい。
本実施の形態に係るFoxO3aリン酸化阻害用添加剤は、FoxO3aのリン酸化を阻害する上記フェノール性ジテルペンを含むため、食品などに抗酸化ストレス作用、抗老化作用および腎保護作用を付与することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るFoxO3aリン酸化阻害用添加剤は、FoxO3aのリン酸化を阻害するフェノール性ジテルペンを含む。このため、当該FoxO3aリン酸化阻害用添加剤を食品などとともに摂取することで、FoxO3aを活性化させることによる抗酸化ストレス作用、抗老化作用および腎保護作用を得ることができる。
別の実施の形態では、上記FoxO3aリン酸化阻害用添加剤を含む機能性食品が提供される。当該機能性食品は、酸化ストレス関連の疾患、老化性疾患および腎臓疾患の予防および改善のために食されるのが好適である。こうすることで、FoxO3aのリン酸化を阻害するフェノール性ジテルペンを、食事を介して手軽に摂取することができる。なお、当該FoxO3aリン酸化阻害用添加剤は、酸化ストレス関連の疾患、老化性疾患または腎臓疾患の予防、抑制および改善などの効能が表示された包装で提供される食品に、有効成分として含まれてもよい。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:SH−SY5Y細胞を用いたFoxO3aのリン酸化阻害実験)
ヒト神経繊維芽腫細胞であるSH−SY5Y細胞(European Collection of Cell Culture;DAファーマバイオメディカル社より入手)を、6cmのディッシュでほぼコンフルエントになるまで培養した。培養の培地には、10%ウシ胎児血清(FBS)と抗生物質(50 unit/ml ペニシリンおよび50μg/ml ストレプトマイシン(GIBCO社製))とを含むDMEM培地(GIBCO社製)を用いた。
1%ウシ胎児血清(FBS)と抗生物質(50 unit/ml ペニシリンおよび50μg/ml ストレプトマイシン(GIBCO社製))とを含むDMEM培地(GIBCO社製)に培地交換し、dimethyl sulfoxide(DMSO)に溶解したCAまたはPAを培地に添加した。なお、対照には、同量のDMSOを添加した。24時間後、M−Per試薬(PIERCE、サーモサイエンティフィック社製)を用いてタンパク質を抽出し、10分間の遠心分離(14,000rpm)で上清のタンパク質を回収した。
得られたタンパク質に含まれる全FoxO3aとリン酸化FoxO3aとを、FoxO3a抗体(#12829、Cell Signaling Technology社製)およびリン酸化FoxO3a抗体(ab154786、abcam社製)を用いたウエスタンブロッティング法で定量した。ウエスタンブロッティング法には、WesternBreeze Chemiluminescent Kit,anti−rabbit(Life technologies社製)を用いた。
(結果)
図1は、5μMのCAを添加したときのFoxO3aとリン酸化FoxO3aの量を示す。CAによってFoxO3aのリン酸化が抑制された(図1(a)参照)。バンドの濃度に基づいて全FoxO3aに対するリン酸化FoxO3aの比を算出したところ、CAは、対照群と比較してFoxO3aのリン酸化を約40%まで有意に抑制することが示された(n=3)(図1(b)参照)。
図2は、5μMまたは10μMのPAを添加したときのFoxO3aとリン酸化FoxO3aの量を示す。10μMのPAによってFoxO3aのリン酸化が抑制された(図2(a)参照)。FoxO3aに対するリン酸化FoxO3aの比では、10μMのPAによってFoxO3aのリン酸化が約60%まで抑制される傾向が示された(n=3)(図2(b)参照)。
(実施例2:老化促進マウスへの経口投与実験)
3週齢の老化促進マウス(senescence accelerated mouse:SAMP8)を1週間予備飼育後、CAの投与を開始した。CAは6、50または60μMになるように蒸留水に溶解し、飲水として自由摂取させた。対照群には蒸留水を同様に与えた。以下、老化促進マウスを単に「マウス」という。なお、CA投与群と対照群との間に、飼育期間における体重、摂餌量および飲水量に明らかな差は認められなかった。なお、40週齢時における飲水量は、対照群で3.77g/匹/日、6μMのCA投与群で3.68g/匹/日および60μMのCA投与群で4.20g/匹/日であった。
CAの投与を続け、10ヶ月齢時に生存しているマウスを計数し、生存率を算出した。50μMのCAを11ヶ月間投与したマウスについて、肝臓を回収し、上記と同様にウエスタンブロッティング法を用いて肝臓におけるリン酸化FoxO3aを定量した。
(結果)
表1は、10ヶ月齢時のマウスの生存率を示す。CAを投与しなかった対照群の生存率は50〜80%であった。一方、CAを投与されたマウスは、対照群よりも生存率が高く、60μMの場合、CAを投与されたマウスの生存率は100%であった。このことは、CAの摂取がFoxO3aのリン酸化を抑制することで疾病のリスクを下げることを示唆している。
図3は、50μMのCAを11ヶ月間投与した12ヶ月齢のマウスおよび対照群由来の肝臓におけるリン酸化FoxO3aの量を示す。CA投与群は、対照群と比較して、リン酸化FoxO3aの量が低下していた(図3(a)参照)。バンドの濃度に基づいてリン酸化FoxO3aの量を比較すると、対照群の平均値を100%とすると、CA投与群では、リン酸化FoxO3aの量が約60%まで有意に低下していた(対照群はn=7、CA投与群はn=9)(図3(b)参照)。
以上の結果より、CAおよびPAは、FoxO3aのリン酸化を抑制することが示された。老化促進のモデルマウスに11ヶ月間という長期にわたってCAを投与しても、有害事象は観察されなかった。さらに、CAはFoxO3aのリン酸化を抑制することで、マウスの寿命を延長することが明らかになった。
(実施例3:CAの腎保護作用の検討)
上記実施例2において、50μMのCAを11ヶ月間投与したマウスから血液を回収し、血清を得た。血清中のクレアチニン量をランピア リキッド CREA(極東製薬社製)を用いて測定した。一方、50μMのCAを11ヶ月間投与したマウスについて、腎臓を回収し、腎臓を10%中性ホルマリンで固定した後、パラフィン包埋した。腎臓組織切片を作成し、リン酸化FoxO3a抗体(ab154786、abcam社製)を用いた免疫組織化学染色を行った。
(結果)
血清クレアチニンの濃度を算出し、各マウスの体重で除した値を図4に示す。CA投与群の値は、対照群に比べ有意に低かった。クレアチニンは、筋肉に多く存在するクレアチンの代謝物で、腎臓の糸球体で血液から取り除かれ尿中に排泄されるため、通常血液中の濃度は低い。しかし、腎機能が低下すると、血中のクレアチニンの濃度が高くなる。したがって、CA投与によって、腎機能が保護されていることが明らかとなった。
図5は、染色した腎臓組織切片の顕微鏡画像を示す。対照群ではリン酸化されたFoxO3が腎臓の組織に多く存在しているが(図5(a)参照)、CA投与群ではリン酸化されたFoxO3が少ないことが明らかとなった(図5(b)参照)。この結果は、CA投与群ではFoxO3のリン酸化が抑制されており、CAが腎臓の細胞に対して保護的に作用していることを示している。図4および図5の結果より、CAの投与によって、腎機能が保護されることが示された。
リン酸化していないFoxO3が転写因子として働くことが腎臓保護に重要なことが知られているため、腎臓の細胞におけるFoxO3のリン酸化を抑制するCAは、腎保護剤として有用である。
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、FoxO3aのリン酸化を阻害するのに好適である

Claims (1)

  1. カルノシン酸またはピシフェリン酸を含む、
    FoxO3aリン酸化阻害試薬
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