JP6521668B2 - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。即ち、「水膨潤性」として、ERT441.2−02で規定されるCRCが5g/g以上、かつ、「水不溶性」として、ERT470.2−02で規定されるExtが50重量%以下の物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分として、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を意味する。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm2、0.3psi)荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。なお、荷重条件を4.83kPa(49g/cm2、0.7psi)に変更して測定する場合もある。また、ERT442.2−02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的に同一内容である。
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許第7638570号に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」と同様の方法で測定する。
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;重量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
「Moisture Content」は、吸水性樹脂の含水率を意味する。具体的には、吸水性樹脂4.0gを105℃で3時間乾燥した際の乾燥減量から算出した値(単位;重量%)のことをいう。なお、吸水性樹脂を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定する場合もある。
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)量(以下、「残存モノマー」と称する)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後の溶解残存モノマー量(単位;ppm)のことをいう。溶解残存モノマー量の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行う。
「pH」(ERT400.2−02):吸水性樹脂のpHを意味する。
本発明における吸水性樹脂の「通液性」とは、荷重下又は無荷重下での膨潤ゲルの粒子間を通過する液の流れ性のことをいい、代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity/生理食塩水流れ誘導性)やGBP(Gel Bed Permeability/ゲル床透過性)がある。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、重量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。更に、「重量」と「質量」、「重量部」と「質量部」、「重量%」と「質量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法について説明する。
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体としてアクリル酸及び/又はその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)が用いられる。上記「アクリル酸」として、重合禁止剤や有機不純物等の微量成分が含有するアクリル酸を使用することができる。
本発明において、「他の単量体」とは、上記アクリル酸(塩)以外の単量体を指し、アクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。
本発明において、「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を指し、例えば、市販の水酸化ナトリウム水溶液等が該当する。
本工程は、アクリル酸塩を得るため、アクリル酸を塩基性組成物で中和する工程である。なお、該中和工程は、アクリル酸に対する中和(重合前)又はアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れか一方であってもよいし、又は併用してもよい。
本発明で使用される内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が本発明にも適用される。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の化合物が選択される。
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、下記の物質を単量体水溶液の調製時に添加することもできる。
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られたアクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第4893999号、同第6241928号、同第6987151号、同第6710141号、米国特許出願公開第2005/0215734号等に開示された重合開始剤のうち、1種又は2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
本発明に適用される重合形態としては、特に限定されないが、吸水特性や重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましく、連続ベルト重合、連続ニーダー重合の何れでも適用されるが、連続ベルト重合が最も好ましい。
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。なお、上記重合工程がニーダー重合の場合、重合工程とゲル粉砕工程が同時に実施されている。
本工程は、上記重合工程及び/又はゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められ、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%、更に好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%である。
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程であり、混合工程、加熱処理工程及び冷却工程(任意)から構成される。
本発明で使用される表面架橋剤としては、特に限定されないが、有機又は無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性や表面架橋剤の取扱性の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。例えば、米国特許6071976号に開示される1種又は2種以上の表面架橋剤(但し、多価金属化合物は除く)が挙げられる。また、該表面架橋剤の使用量や、溶媒として水、必要に応じて使用される親水性有機溶媒の種類や使用量についても、該米国特許文献の開示内容が本発明に適用される。
本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤を混合する工程である。該表面架橋剤の混合方法については、特に限定されないが、予め表面架橋剤溶液を作成しておき、該液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
本工程は、上記混合工程から排出された混合物に熱を加えて、吸水性樹脂粉末の表面上で架橋反応を起させる工程である。
本工程は、上記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、下記の多価金属塩化合物、ポリカチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
本発明において、得られる吸水性樹脂の吸水速度、通液性、吸湿流動性等の観点から、多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止等の観点から、キレート剤を添加することが好ましい。
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止、残存モノマー低減等の観点から、無機還元剤を添加することが好ましい。
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)等の観点から、α−ヒドロキシカルボン酸を添加することが好ましい。なお、「α−ヒドロキシカルボン酸化合物」とは、分子内にヒドロキシル基を有するカルボン酸又はその塩のことで、α位にヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸である。
本発明においては、上述した添加剤以外の添加剤を、吸水性樹脂に種々の機能を付加させるため、添加することもできる。該添加剤として、具体的には、界面活性剤、リン原子を有する化合物、酸化剤、有機還元剤、水不溶性無機微粒子、金属石鹸等の有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、国際公開第2005/075070号に開示された化合物が、また、上記水不溶性無機微粒子は、国際公開第2011/040530号の「〔5〕水不溶性無機微粒子」に開示された化合物が、それぞれ本発明に適用される。
本発明においては、上述した工程以外に、造粒工程、整粒工程、微粉除去工程、微粉の再利用工程等を必要に応じて設けることができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等の1種又は2種以上の工程を更に含んでもよい。なお、「整粒工程」は、表面架橋工程以降の微粉除去工程や吸水性樹脂が凝集し、所望の大きさを超えた場合に分級、粉砕を行う工程を含む。また、「微粉の再利用工程」は、本発明のように微粉をそのまま添加する形態の他、大きな含水ゲルにして、吸水性樹脂の製造工程の何れかの工程に添加する工程を含む。
本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、該吸水性樹脂を衛生用品、特に紙オムツに使用する場合には、下記の(3−1)〜(3−10)に掲げた物性のうち、少なくとも1つ以上、好ましくはAAPを含めた2つ以上、より好ましくはAAPを含めた3つ以上、最も好ましくは全ての物性を、所望する範囲に制御することが望まれる。これらの物性が下記の範囲を満たさない場合、本発明の効果が十分に得られず、高濃度紙オムツにおいて十分な性能を発揮しない虞がある。
本発明の吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率)は、通常5g/g以上であり、好ましくは15g/g以上、より好ましくは25g/g以上である。上限値については特に限定されず高値ほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは70g/g以下、より好ましくは50g/g以下、更に好ましくは40g/g以下である。
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、好ましくは20g/g以上、より好ましくは22g/g以上、更に好ましくは23g/g以上、特に好ましくは24g/g以上、最も好ましくは25g/g以上である。上限値については特に限定されないが、好ましくは30g/g以下である。
本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布、重量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、表面架橋を施す前の吸水性樹脂粉末の粒度と同じになるように、制御される。
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、通常50重量%以下であり、好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。下限値については特に限定されないが、好ましくは0重量%、より好ましくは0.1重量%程度である。
本発明の吸水性樹脂の含水率は、好ましくは0重量%を超えて15重量%以下、より好ましくは1〜13重量%、更に好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは2〜9重量%である。
本発明の吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、安全性の観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下である。下限値については特に限定されないが、好ましくは0ppm、より好ましくは10ppm程度である。
本発明の吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、好ましくは50×10−7・cm3・s・g−1以上、より好ましくは60×10−7・cm3・s・g−1以上、更に好ましくは70×10−7・cm3・s・g−1以上、特に好ましくは80×10−7・cm3・s・g−1以上である。上限値については特に限定されないが、好ましくは3000×10−7・cm3・s・g−1以下、より好ましくは2000×10−7・cm3・s・g−1以下である。
本発明の吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、好ましくは0.10g/g/s以上、より好ましくは0.15g/g/s以上、更に好ましくは0.20g/g/s以上、特に好ましくは0.25g/g/s以上である。上限値については特に限定されないが、好ましくは5.0g/g/s以下、より好ましくは3.0g/g/s以下である。
本発明の吸水性樹脂の初期色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは88以上、より好ましくは89以上、更に好ましくは90以上である。上限値は100であるが、少なくとも88を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは−3〜3、より好ましくは−2〜2、更に好ましくは−1〜1である。更に、b値は好ましくは0〜12、より好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜9である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値及びb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。
本発明の吸水性樹脂の経時色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは80以上、より好ましくは81以上、更に好ましくは82以上、特に好ましくは83以上である。上限値は100であるが、少なくとも80を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは−3〜3、より好ましくは−2〜2、更に好ましくは−1〜1である。更に、b値は好ましくは0〜15、より好ましくは0〜12、更に好ましくは0〜10である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値及びb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。
本発明の吸水性樹脂の用途は、特に限定されないが、好ましくは紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生用品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツ(紙オムツ1枚あたりの吸水性樹脂の使用量が多いもの)の吸収体として使用することができる。更に、上記吸収体の上層部に使用される場合に、顕著な効果が期待できる。
(a)CRC(無加圧下吸水倍率)
本発明の吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT442.2−02)に準拠して測定した。なお、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更した。
本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布、重量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、米国特許第7638570号のカラム27、28に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、EDANA法(ERT470.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂の含水率は、EDANA法(ERT430.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明においては、試料量を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定した。
本発明の吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。また、残存モノマー以外の微量成分(例えば、酢酸、アクリル酸ダイマー等)についても、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、米国特許第5669894号に開示された測定方法に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、国際公開第2011/078298号に開示された測定方法に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂の初期色調及び経時色調は、国際公開第2011/040530号に開示された測定方法に準拠して測定した。
市販のアクリル酸を入手し、アクリル酸ダイマー及びp−メトキシフェノールの含有量を測定したところ、アクリル酸ダイマーは5000ppm、p−メトキシフェノールは70ppmであった。なお、該アクリル酸を便宜上、アクリル酸(A)とした。
上記製造例1で得られたアクリル酸(1)について、以下の操作を行った。
上記実施例1において、アクリル酸(2)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、吸水性樹脂粉末(2)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(2)の物性値(CRC、残存モノマー、可溶分)を表1に示す。なお、中和後のアクリル酸ダイマーは、アクリル酸中の含有量に換算すると、260ppmであった。
上記実施例1において、アクリル酸(3)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行って、吸水性樹脂粉末(3)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(3)の物性値(CRC、残存モノマー、可溶分)を表1に示す。なお、中和後のアクリル酸ダイマーは、アクリル酸中の含有量に換算すると、540ppmであった。
容量500mlのセパラブルフラスコに、実施例1の連続中和で得られた混合液(1)300gを投入した後、直ちに氷水浴に浸し、20℃まで急速に冷却した。なお、該混合液(1)の温度が21℃付近となった時点で氷水浴を外し、空気浴とした。
上記実施例4において、アクリル酸(2)に変更した以外は実施例4と同様の操作を行って、吸水性樹脂粉末(5)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(5)の物性値(CRC、残存モノマー、可溶分)を表1に示す。なお、中和後のアクリル酸ダイマーは、アクリル酸中の含有量に換算すると、260ppmであった。
上記実施例4において、アクリル酸(3)に変更した以外は実施例4と同様の操作を行って、吸水性樹脂粉末(6)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(6)の物性値(CRC、残存モノマー、可溶分)を表1に示す。なお、中和後のアクリル酸ダイマーは、アクリル酸中の含有量に換算すると、540ppmであった。
容量500mlのセパラブルフラスコに、製造例1で得られたアクリル酸(1)79.2g、ポリエチレングリコールジアクリレート(数平均分子量523)0.52g、及びイオン交換水57.3gを投入した後、窒素雰囲気下でマグネチックスターラーで攪拌した。また、該セパラブルフラスコを氷水浴に浸した。
上記比較例1において、アクリル酸(2)に変更した以外は比較例1と同様の操作を行って、比較吸水性樹脂粉末(2)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(2)の物性値(CRC、残存モノマー、可溶分)を表1に示す。なお、中和後のアクリル酸ダイマーは、アクリル酸中の含有量に換算すると、600ppmであった。
上記比較例1において、アクリル酸(3)に変更した以外は比較例1と同様の操作を行って、比較吸水性樹脂粉末(3)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(3)の物性値(CRC、残存モノマー、可溶分)を表1に示す。なお、中和後のアクリル酸ダイマーは、アクリル酸中の含有量に換算すると、1100ppmであった。
中和時の温度の影響について、実施例1〜6及び比較例1〜3では中和率は70モル%と同じであるものの、中和時の最高温度が95℃の場合(実施例1〜3)と、30℃を超えない場合(比較例1〜3)とでは、中和後のアクリル酸ダイマー含有量が大きく異なっている。中和時の温度を高温にすることで、アクリル酸ダイマーが低減されることが分かる。
Claims (10)
- アクリル酸ダイマーの含有量が150〜2000ppmであるアクリル酸で単量体水溶液を調製する工程、該単量体水溶液を重合する工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
上記単量体水溶液の調製工程において、上記アクリル酸を塩基性化合物で中和する工程が更に含まれ、該中和工程における最高温度が70℃以上であり、該中和工程において、最高温度に到達した後、70℃以上に保温する時間が20〜1200秒間である、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。 - 上記アクリル酸にp−メトキシフェノールが更に含まれ、その含有量が50〜150ppmである、請求項1に記載の製造方法。
- 上記中和工程において、最高温度を70℃以上とした中和液を70℃以下まで冷却する、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 上記中和工程で得られる単量体水溶液中のアクリル酸ダイマー(塩も含む)と、中和前のアクリル酸中のアクリル酸ダイマーとの比率(モル数)が80%以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記中和工程で得られるアクリル酸(塩)の中和率が60〜90モル%である、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液のモノマー濃度を30重量%以上で重合を開始する、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記重合工程が、単量体水溶液の温度を60℃以上で重合を開始する高温開始重合とし、該重合工程での最高到達温度を単量体水溶液の沸点とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記重合工程を空気雰囲気下で行う、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記重合工程で得られる含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程を更に含み、当該乾燥工程において、露点が50〜90℃の熱風を用いて乾燥する、請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂中の残存モノマーが300ppm以下である、請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
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