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JP6519574B2 - ワイヤレス受電装置及びこれを用いたワイヤレス電力伝送装置並びに整流器 - Google Patents

ワイヤレス受電装置及びこれを用いたワイヤレス電力伝送装置並びに整流器 Download PDF

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Description

本発明は、給電側から受電側へ電力をワイヤレス伝送するワイヤレス電力伝送装置の受電装置に好ましく用いられ、交流電力を直流電力に変換する整流器の構成に関する。
相対させた1次(送電)コイルと2次(受電)コイルとの間の磁気的結合を利用し、1次コイルに与えた交流電流のエネルギーを2次コイルにワイヤレスにて伝送するワイヤレス電力伝送技術が知られている。
このワイヤレス電力伝送技術では、負荷の状態に応じて生じるインピーダンスの変化に伴い、電力伝送効率が低下してしまうことが問題視されている。この問題を解決するため、例えば、特許文献1では、充電部のインピーダンスを検出し、検出されたインピーダンスが比較的低い場合はブリッジ整流回路を選択し、検出されたインピーダンスが比較的高い値に達した場合には倍電圧整流回路を選択することにより電送効率の低下を抑制することが提案されている。
国際公開第2013/136409号
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ブリッジ整流回路と倍電圧整流回路を切り替えるスイッチ、充電部に係るインピーダンスを検出する検出部、スイッチのオン/オフを制御する制御回路などのハードウェアが必要となる。特に、取り扱う電力が大きい場合には大型のスイッチが必要となるため、高コスト化や設置スペースの確保の問題が生じる。また、ソフトウェア的には、負荷のインピーダンスを検出してスイッチのオン/オフのタイミングを制御する能動的な制御アルゴリズムが必要となり、システムが複雑化するという問題もある。
また、特許文献1において、整流ダイオードと並列に接続されるコンデンサは倍電圧整流回路として機能するものであるが、高調波の発生源となる整流ダイオードへの影響に関しては何ら考慮されておらず、この点において改善の余地があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、能動的な制御を要するインピーダンス変換器を別途設けることなく、高調波成分を低減しつつ、整流器の入力側から見た負荷インピーダンスの変動を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明によるワイヤレス受電装置は、磁界を介して交流電力を取り込む受電コイルと、前記受電コイルが受電した交流電力を直流電力に変換して負荷に出力する整流器と、を備え、前記整流器は、ブリッジ接続された複数のダイオードと、前記複数のダイオードのうち、前記整流器の一方の入力端にアノードが接続されたダイオードに並列接続される第1のコンデンサと、前記一方の入力端にカソードが接続されたダイオードに並列接続される第2のコンデンサと、を有し、前記交流電力の周波数をf、前記負荷の最大抵抗値をRLmaxとするとき、前記第1のコンデンサの静電容量C及び前記第2のコンデンサの静電容量Cは共に、C、C<1/(2fRLmax)を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、整流器をブリッジ整流回路又は倍電圧整流回路として動作させることができ、整流器の出力に接続される負荷のインピーダンスの変化に応じて、整流器がブリッジ整流回路として動作するブリッジ整流モードと倍電圧整流回路として動作する倍電圧整流モードとの時比率を受動的に変化させることができる。すなわち、負荷のインピーダンスが低いときにはブリッジ整流モードでの動作期間を長くし、負荷のインピーダンスが高いときには倍電圧整流モードでの動作期間を長くすることができる。したがって、能動的な制御を要するインピーダンス変換器を別途設けることなく、整流器の入力側から見た負荷のインピーダンスの変動を抑制することができる。
また本発明によれば、整流器に入力される交流電力の半周期に対する倍電圧整流モードの時比率の上限値を100%未満に設定することができる。したがって、負荷のインピーダンスの変動範囲内で2つのモードを適切な時比率で動作させることができ、これにより負荷インピーダンスの変動を抑制することができる。さらに、ダイオードに並列接続されたコンデンサを適切な容量とすることにより、当該コンデンサに高調波フィルタとしての役割を持たせることができる。
本発明において、前記第1及び第2のコンデンサの静電容量C、Cは共に、1/(80×2fRLmax)<C、Cを満たすことが好ましい。この構成によれば、整流器に入力される交流電力の半周期に対する倍電圧整流モードの時比率の上限値を10%よりも大きくすることができる。したがって、負荷のインピーダンスの変動範囲内で2つのモードを適切な時比率で動作させることができ、負荷インピーダンスの変動を抑制する効果をより一層高めることができる。
本発明において、前記第1及び第2のコンデンサの静電容量C、Cは略等しいことが好ましい。この構成によれば、整流器の入力電流の極性の反転前後での出力電流の波形を略対称とすることができる。その結果、負荷への入力電流のリプルを低減することができる。
また、本発明によるワイヤレス電力伝送装置は、給電コイルを有するワイヤレス給電装置と、前記ワイヤレス給電装置からワイヤレス伝送される電力を受電する上述した本発明によるワイヤレス受電装置とを備えることを特徴とする。
さらにまた、本発明による整流器は、入力交流電力を直流電力に変換して負荷に出力する整流器であって、ブリッジ接続された複数のダイオードと、前記複数のダイオードのうち、前記整流器の一方の入力端にアノードが接続されたダイオードに並列接続される第1のコンデンサと、前記一方の入力端にカソードが接続されたダイオードに並列接続される第2のコンデンサと、を有し、前記交流電力の周波数をf、前記負荷の最大抵抗値をRLmaxとするとき、前記第1のコンデンサの静電容量C及び第2のコンデンサの静電容量Cは共に、C、C<1/(2fRLmax)を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、能動的な制御を要するインピーダンス変換器を別途設けることなく、高調波成分を低減しつつ、整流器の入力側から見た負荷インピーダンスの変動を抑制することが可能な整流器及びこれを用いたワイヤレス受電装置及びワイヤレス電力伝送装置を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるワイヤレス電力伝送装置の構成を示すブロック図である。 図2は、整流器51を含む受電装置の構成を示す回路図である。 図3(a)及び(b)は、整流器51のブリッジ整流回路としての動作モードの説明図である。 図4(a)及び(b)は、整流器51の倍電圧整流回路としての動作モードの説明図である。 図5は、ブリッジ整流回路及び倍電圧整流回路の電力伝送効率の時間変化の一例を示すグラフである。 図6は、整流器51の等価回路図である。 図7は、整流器51の入出力電流を示す波形図である。 図8(a)及び(b)は、等価回路図であって、(a)はブリッジ整流動作モードでの等価回路、(b)は倍電圧整流動作モードでの等価回路をそれぞれ示している。 図9は、整流器51の入力電圧vrectを示す波形図である。 図10(a)及び(b)は、モードの切り替わり点の位置による入力電圧vrectを示す波形図であって、(a)は切り替わりタイミングが遅い(Dが大きい)場合、(b)は切り替わりタイミングが速い(Dが小さい)場合をそれぞれ示している。 図11は、整流器51の入力側から見た負荷インピーダンス|Zac|と実際の負荷インピーダンスRとの関係を示すグラフである。 図12は、第2の実施の形態による受電装置の構成を示す回路図である。 図13は、第3の実施の形態による受電装置の構成を示す回路図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるワイヤレス電力伝送装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ワイヤレス電力伝送装置1は、給電装置2(ワイヤレス給電装置)と受電装置3(ワイヤレス受電装置)との組み合わせからなり、給電装置2から受電装置3に電力をワイヤレスで伝送するものである。
給電装置2は、交流電源4から供給される交流電圧を所定の直流電圧に変換する電源部10と、電源部10が出力する直流電圧を所定の周波数(例えば100kHz)の交流電圧(矩形波)に変換するインバータ20と、交流電圧を受けて磁束を発生させる給電コイル30とを備えている。電源部10の構成は特に限定されないが、例えばPFC(力率改善回路)と非絶縁型DCDCコンバータとで構成され、交流電源4から供給される交流電力はPFCによって直流電圧に変換され、さらに非絶縁型DCDCコンバータによって所定の電圧レベルに変換される。
受電装置3は、給電コイル30が発生させる磁界を介して交流電力を取り込む受電コイル40と、受電コイル40が受電した交流電力を直流電力に変換する整流器を含む出力回路部50とを備えている。出力回路部50の出力電圧は負荷5に供給される。
図2は、受電装置3の構成を示す回路図である。
図2に示すように、受電装置3は、受電コイルユニット40Uと出力回路部50とを備え、受電コイルユニット40Uは受電コイル40とコンデンサCaの直列共振回路を構成している。受電コイル40を含む受電側共振回路の構成は特に限定されず、受電コイル40にコンデンサが並列に設けられていてもよく、直並列に設けられていても構わない。なお受電側共振回路を構成するために実装部品としてのコンデンサを設けることは必須ではない。
出力回路部50は、フルブリッジ回路を含む整流器51とを備えている。整流器51は、ブリッジ接続されたダイオードD1〜D4と、ダイオードD3に並列接続された第1のコンデンサCd1と、ダイオードD4に並列接続された第2のコンデンサCd2と、平滑コンデンサCsとを有している。
ダイオードD1のアノード及びダイオードD2のカソードは、整流器51の入力端Pに接続されており、ダイオードD3のアノード及びダイオードD4のカソードは、整流器51の入力端Pに接続されている。また、ダイオードD1及びD3の各カソードは、整流器51の出力端Pに接続されており、ダイオードD2及びD4の各アノードは、整流器51の出力端Pに接続されている。整流器51の一対の出力端P,P間には、負荷5として例えばバッテリーが接続され、受電装置3が受電した電力によって充電される。
図3及び図4は、整流器51の動作モードの説明図であって、図3(a)及び(b)はブリッジ整流モード、図4(a)及び(b)は倍電圧整流モードをそれぞれ示している。
ダイオードD1〜D4は、ブリッジ整流回路を構成している。図3(a)に示すように、整流器51の入力端Pを正、入力端Pを負とする電圧が印加されたとき、第1及び第4のダイオードD1、D4がオンとなり、第2及び第3のダイオードD2、D3がオフとなる電流が流れる。逆に、図3(b)に示すように、整流器51の入力端Pを負、入力端Pを正とする電圧が発生したとき、第1及び第4のダイオードD1、D4がオフとなり、第2及び第3のダイオードD2、D3がオンとなる電流が流れる。したがって、整流器51の一対の出力端P、P間の整流後の電圧は、整流器51の入力交流電圧の最大値Vmaxの直流電圧となる。
第1及び第2のコンデンサCd1,Cd2は、ダイオードD1,D2と共に倍電圧整流回路を構成している。また、ダイオードD1,D2がダイオードD3,D4と共にブリッジ整流回路として動作しているとき、第1及び第2のコンデンサCd1,Cd2はブリッジ整流回路に対する高調波フィルタ素子として作用する。負荷5への入力電流のリプルを低減するため、第1及び第2のコンデンサCd1,Cd2の静電容量は同一であることが好ましいが、必ずしも同一でなくてもよい。
図4(a)に示すように、整流器51の入力端Pを正、入力端Pを負とする電圧が発生したとき、第1のダイオードD1及び第1のコンデンサCd1を通過する電流が流れ、第1のコンデンサCd1の両端には整流器51の入力交流電圧の最大値Vmax相当の直流電圧が発生する。逆に、図4(b)に示すように、整流器51の入力端Pを負、入力端Pを正とする電圧が発生したとき、第2のダイオードD2及び第2のコンデンサCd2を通過する電流が流れ、第2のコンデンサCd2の両端には整流器51の入力交流電圧の最大値Vmax相当の直流電圧が発生する。
したがって、整流器51の一対の出力端P、P間の整流後の電圧は、整流器51の入力交流電圧の最大値Vmaxの約2倍の直流電圧となる。このように、倍電圧整流回路は、入力交流電圧が同じでも、ブリッジ整流回路に比べて約2倍の直流出力電圧が得られる回路であり、入力インピーダンスも約半分となる。
ここで、ブリッジ整流回路のみが使用された場合と倍電圧整流回路のみが使用された場合との各々の、バッテリーが充電される際の電力伝送効率について図5を参照しながら説明する。
図5は、ブリッジ整流回路及び倍電圧整流回路の電力伝送効率の時間変化の一例を示すグラフである。
図5に示すように、ブリッジ整流回路のみが使用された場合の電力伝送効率は、バッテリーの充電期間の後半で悪化する。一方、倍電圧整流回路のみが使用された場合の電力伝送効率は、バッテリーの充電開始当初はブリッジ整流回路が使用された場合よりも低いが、バッテリー充電期間の後半ではブリッジ整流回路が使用された場合よりも高くなる。
そこで、本実施形態では、インピーダンスが低いバッテリーの充電開始当初はブリッジ整流回路による整流作用のほうが強く、充電量の増加に合わせてブリッジ整流回路よりも倍電圧整流回路による整流作用が徐々に強くなるように両者を動作させる。
整流器51は、入力交流電圧の半周期の開始時において倍電圧整流モードで動作するが、半周期の途中で倍電圧整流モードからブリッジ整流モードに切り替わる。そして次の半周期に移るタイミングでブリッジ整流モードから倍電圧整流モードに再び切り替わる。
図4(a)及び(b)に示すように、整流器51が倍電圧整流モードで動作しているとき、ダイオードD3、D4はオフ状態である。倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへ切り替わりは、ダイオードD3又はD4のオン動作によって行われる。例えば、入力交流電圧の正の半周期において、倍電圧整流モードで動作する整流器51(図4(a)参照)の第2のコンデンサCd2の端子間電圧は、ダイオードD4に逆バイアスを与えているが、倍電圧整流動作に伴ってコンデンサCd2が徐々に放電されて端子間電圧が徐々に低下し、さらに完全に放電された後、コンデンサCd2の端子間電圧の極性が反転して充電が開始されて端子間電圧がダイオードD4に順バイアスを与えるようになると、ダイオードD4がオンとなり、これにより整流器51は倍電圧整流モードからブリッジ整流モードに切り替わる。
ブリッジ整流モードから倍電圧整流モードへの切り替わりは、入力交流電圧の極性が反転したタイミングで行われる。このとき、コンデンサCd2(又はCd1)の端子間電圧は、ダイオードD4(又はD3)に逆バイアスを与えるようになるので、ダイオードD4(又はD3)はオフ状態となり、倍電圧整流モードに切り替わる。
倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへの切り替わりは、コンデンサCd1、Cd2の静電容量の大きさの影響を受けている。容量が大きければ時定数が大きくなるので、入力交流電圧の半周期の期間内にコンデンサCd1、Cd2を完全に放電させることはできないが、容量を小さくすることにより、入力交流電圧の半周期の時間内にコンデンサCd1、Cd2を完全に放電させて、さらにダイオードD3、D4がオンとなる電圧にまで充電することができる。
このことは、第1及び第2のコンデンサCd1,Cd2の容量が大きいほど倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへの切り替わりのタイミングが遅くなり、逆に容量が小さいほどタイミングが速くなることを意味する。すなわち、第1及び第2のコンデンサCd1,Cd2の容量が大きいときには倍電圧整流モードでの動作比率のほうが高くなり、容量が小さいときにはブリッジ整流モードでの動作比率のほうが高くなる。
入力交流電力の周波数をf、バッテリーの負荷インピーダンスの最大値をRLmaxとするとき、第1のコンデンサCd1の静電容量C及び第2のコンデンサCd2の静電容量Cの各々は、1/(2fRLmax)よりも小さい(すなわち、C、C<1/(2fRLmax)を満たす)ことが必要である。このような静電容量であれば、負荷インピーダンスが最大のときでもブリッジ整流モードに対する倍電圧整流モードの時比率を100%未満にすることができ、負荷インピーダンスの変動範囲内においてブリッジ整流回路による整流動作を常に行わせることができる。
また、第1のコンデンサCd1の静電容量C及び第2のコンデンサCd2の静電容量Cの各々は、1/(80×2fRLmax)よりも大きい(すなわち、C、C>1/(80×2fRLmax)を満たす)ことが好ましい。このような静電容量であれば、整流器51のブリッジ整流モードに対する倍電圧整流モードの時比率の上限値を10%よりも大きくすることができる。したがって、負荷インピーダンスの変動範囲内で2つのモードを適切な時比率で動作させることができ、負荷インピーダンスの変動を抑制する効果をより一層高めることができる。
負荷5がバッテリーである場合、ブリッジ整流回路による整流動作の比率は充電開始時に最も高く、バッテリーの充電が徐々に進行して負荷インピーダンスが徐々に増加すると、ブリッジ整流回路による整流動作の比率が徐々に減少し、逆に倍電圧整流回路による整流動作の比率が徐々に増加する。そして負荷インピーダンスが最大となるバッテリーの充電完了時にはブリッジ整流回路による整流動作の比率が最低となり、倍電圧整流回路による整流動作が支配的となる。したがって、能動的な制御を要するインピーダンス変換器を別途設けることなく、整流器51の入力側から見た負荷のインピーダンスの変動を抑制することができる。
図6は、整流器51の等価回路図である。また図7は、整流器51の入出力電流を示す波形図である。
図6及び図7に示すように、整流器51の入力電流irectが正弦波である場合、整流器51の出力電流ioは、通常のブリッジ整流波形ではなく、不連続に変化する波形となる。
整流器51の出力電流ioを入力電流irect及び第2のコンデンサCd2に流れる電流−icd2と重ねてみると、出力電流ioはこの2つの電流のどちらか一方と常に等しく、途中でモードが切り替わっていることが分かる。すなわち、出力電流ioは、モード切り替わり点以前で電流−icd2と等しく、モード切り替わり点以降で入力電流irectと等しい。さらに、第1のコンデンサCd1に流れる電流icd1と第2のコンデンサCd2に流れる電流icd2は大きさが同じで逆符号の関係(icd1=−icd2)を有する。したがって、整流器51は、モード切り替わり点を境界とする半周期の前半において倍電圧整流モードで動作し、半周期の後半においてブリッジ整流モードで動作していることが分かる。図6の矢印の向きで各電流を定義すると、倍電圧整流モードにおける電流irect、icd1及びicd2の関係は、irect=icd1−icd2=2icd1となる。
また2つのモードの切り替わりは、第2のコンデンサCd2と並列に接続されたダイオードD4のオン動作が原因である。すなわち、第4のダイオードD4がオフのときには倍電圧整流モードとなり、倍電圧整流回路の等価回路は図8(a)のようになる。また、ダイオードD4がオンのときにはブリッジ整流モードとなり、ブリッジ整流回路の等価回路は図8(b)のようになる。
また、整流器51の正弦波の入力電流irectに対する入力電圧vrectは、図9のような歪み波形となる。第1及び第2のコンデンサCd1、Cd2の端子間電圧をそれぞれvcd1、vcd2とするとき、入力電圧vrectは、正負それぞれの半波でvcd1もしくはvcd2であり、図8(a)の矢印の向きで各電圧を定義すると、出力電圧VとコンデンサCd1、Cd2それぞれの端子間電圧vcd1、vcd2との関係は、vcd1−vcd2=V(一定)となる。
また、2つのモードの切り替わり点は、整流器51をなす一方のコンデンサの端子間電圧がゼロになる点であり、このとき、他方のコンデンサの端子間電圧は出力電圧Vo(直流電圧)と等しくなる。つまり、vcd1(t=0)=0、vcd1(t=t)=Voとなる(t:切り替わり時間)。
図10は、モードの切り替わり点Dの違いを説明するための図である。
図10(a)に示すように、モードの切り替わりタイミングが遅い(Dが大きい)場合には、倍電圧整流動作の影響が大きくなるため、入力電圧vrectは大きくなる。一方、図10(b)に示すように、モードの切り替わりタイミングが速い(Dが小さい)場合には、ブリッジ整流動作の影響が大きくなるため、入力電流irectの大きさは同じでも入力電圧vrectは小さくなる。このことは、モードの切り替えタイミングが遅くなるほど、倍電圧整流モードの影響によって入力インピーダンスが小さくなることを意味する。逆に、モードの切り替えタイミングが速くなるほど、ブリッジ整流モードの影響によって入力インピーダンスが小さくならないことを意味する。
次に、モードの切り替わり点Dの導出について説明する。
t=0からt=T/2までの半周期を考え、モードの切り替わり点をD:[0,1]と表すとき、切り替わり点の時間[μs]で書くとTD/2[μs]となる。
以下の条件式から、モードの切り替わり点Dを求める。
cd2=−icd1
rect=icd1−icd2=2icd1
cd1−vcd2=Vo(一定)
cd1(t=0)=0, vcd1(t=TD/2)=Vo
次に、vcd1を計算すると、次のようになる。
Figure 0006519574
次に、Io(ioの平均値(DC値))を計算すると、次のようになる。
Figure 0006519574
次に、vcd1とIoとを連立させると次のようになる。
Figure 0006519574
ここで、(数3)式のカッコ内の定義域が[−1,1]であることから、π/(ωC)>1、及び、R<π/(ωC)を満たす必要があることが分かる。これは、本計算を適用可能な負荷インピーダンスRの範囲を規定するものである。
そして上記のように負荷インピーダンスRが最大(R=RLmax)のときにD<1を満たすためには、RLmax<π/(ωC)であることが必要である。換言すると、RLmax<1/(2fC)を満たすことが必要であり、第1及び第2のコンデンサCd1,Cd2それぞれの静電容量C、Cは、1/(2fRLmax)よりも小さいことが必要である。以上の計算より、負荷インピーダンスRが最大(R=RLmax)のときにD<1を満たすためには、C、C<1/(2fRLmax)を満たせばよいことが分かる。
図11は、整流器51の入力側から見た負荷インピーダンス|Zac|と実際の負荷インピーダンスRとの関係を示すグラフである。
図11に示すように、従来のブリッジ整流器の場合、整流器51の入力側から見た負荷インピーダンスは、実際の負荷インピーダンスRに比例して変化する。すなわち、実際の負荷インピーダンスRが例えば約0Ωから約60Ωまで増加する場合、整流器51の入力側から見た負荷インピーダンス|Zac|は約0Ωから約50Ωまで増加する。
一方、本発明による整流器51の場合、整流器51の入力側から見た負荷インピーダンス|Zac|は、実際の負荷インピーダンスRよりも小さな変化となっている。すなわち、実際の負荷インピーダンスRが約0Ωから約60Ωまで増加する場合でも、整流器51の入力側から見た負荷インピーダンス|Zac|は約0Ωから約15Ωまでしか増加しない。このことは、ワイヤレス電力伝送装置において、給電装置2側から見た受電装置3側の負荷インピーダンスの変動が整流器51によって抑制されていることを意味する。したがって、給電装置2側と受電装置3側とのインピーダンス不整合による電力伝送効率の低下を抑制することができる。
図12は、第2の実施の形態による受電装置の構成を示す回路図である。
図12に示すように、この受電装置3の特徴は、第1のコンデンサCd1がダイオードD1と並列に接続されており、第2のコンデンサCd2がダイオードD2と並列に設けられている点にある。このように、第1のコンデンサCd1は、ブリッジ回路を構成する複数のダイオードD1〜D4のうち、整流器51の一方の入力端Pにアノードが接続されたダイオードに並列接続されていればよく、また第2のコンデンサCd2は、整流器51の一方の入力端Pにカソードが接続されたダイオードに並列接続されていればよい。このような構成であっても、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
図13は、第3の実施の形態による受電装置の構成を示す回路図である。
図13に示すように、この受電装置3の特徴は、受電コイル40とブリッジ整流回路との間に直列コンデンサCaが直列挿入されているだけでなく、直列コイルLa及び並列コンデンサCbがさらに挿入されている点にある。このように、受電コイル40を含むLC共振回路の構成は特に限定されず、種々の回路構成を採用することができる。
以上説明したように、本実施形態によるワイヤレス電力伝送装置1は、電力をワイヤレスで供給する給電装置2と、給電装置2からワイヤレスで供給される電力を受電する受電装置3とを備え、受電装置3は、磁界を介して交流電力を取り込む受電コイル40と、受電コイル40が受電した交流電力を直流電力に変換して負荷5に出力する整流器51と、を備え、整流器51は、ブリッジ接続された複数のダイオードD1〜D4と、複数のダイオードD1〜D4のうち、整流器51の一方の入力端にアノードが接続されたダイオードD3(又はD1)に並列接続される第1のコンデンサCd1と、一方の入力端にカソードが接続されたダイオードに並列接続される第2のコンデンサCd2とを有するので、整流器51をブリッジ整流回路又は倍電圧整流回路として動作させることができ、また整流器51の出力に接続される負荷のインピーダンスの変化に応じて、整流器51のブリッジ整流モードと倍電圧整流モードとの時比率を受動的に変化させることができる。したがって、能動的な制御を要するインピーダンス変換器を別途設けることなく、整流器51の入力側から見た負荷5のインピーダンスの変動を抑制することができ、負荷インピーダンスの変動に伴う電力伝送効率の低下を抑制することができる。
また本実施形態によるワイヤレス電力伝送装置1は、第1のコンデンサCd1の静電容量をC、第2のコンデンサCd1の静電容量をC、交流電力の周波数をf、負荷5の最大抵抗値をRLmaxとするとき、第1のコンデンサCd1の静電容量C及び第2のコンデンサCd2の静電容量Cが1/(2fRLmax)よりも小さいので、整流器51に入力される交流電力の半周期の中で、整流器51のブリッジ整流モードに対する倍電圧整流モードの時比率の上限値を100%未満に設定することができる。したがって、負荷5のインピーダンスの変動範囲内で2つのモードを適切な時比率で動作させることができ、これにより負荷インピーダンスの変動を抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、負荷5としてバッテリーを挙げたが、本発明はこのような場合に限定されず、インピーダンスが変動し得る様々な負荷を対象とすることができる。また、本発明はワイヤレス電力伝送装置の受電装置側で採用される整流器を例に挙げたが、整流器の用途はワイヤレス電力伝送技術に限定されるものではなく、種々の用途に使用することができる。
1 ワイヤレス電力伝送装置
2 給電装置
3 受電装置
4 交流電源
5 負荷
10 電源部
11 コンバータ
20 インバータ
30 給電コイル
40 受電コイル
40U 受電コイルユニット
50 出力回路部
51 整流器
,C 静電容量
Ca 直列コンデンサ
Cb 並列コンデンサ
d1 第1のコンデンサ
d2 第2のコンデンサ
Cs 平滑コンデンサ
D モードの切り替わり点
D1〜D4 ダイオード
La 直列コイル
,P 整流器の一対の入力端
,P 整流器の一対の出力端
負荷インピーダンス

Claims (7)

  1. 磁界を介して交流電力を取り込む受電コイルと、
    前記受電コイルが受電した交流電力を直流電力に変換して負荷に出力する整流器と、を備え、
    前記整流器は、
    ブリッジ接続された複数のダイオードと、
    前記複数のダイオードのうち、前記整流器の一方の入力端にアノードが接続されたダイオードに並列接続される第1のコンデンサと、
    前記一方の入力端にカソードが接続されたダイオードに並列接続される第2のコンデンサと、を有し、
    前記交流電力の周波数をf、前記負荷の最大抵抗値をRLmaxとするとき、
    前記第1のコンデンサの静電容量C及び前記第2のコンデンサの静電容量Cは、
    、C<1/(2fRLmax
    を満たすことを特徴とするワイヤレス受電装置。
  2. 前記第1のコンデンサの静電容量C及び前記第2のコンデンサの静電容量Cは、
    1/(80×2fRLmax)<C、C
    を満たす、請求項1に記載のワイヤレス受電装置。
  3. 前記第1のコンデンサの静電容量Cと前記第2のコンデンサの静電容量Cは略等しい、請求項1又は2に記載のワイヤレス受電装置。
  4. 給電コイルを有するワイヤレス給電装置と、
    前記ワイヤレス給電装置からワイヤレス伝送される電力を受電する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワイヤレス受電装置と、を備えることを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
  5. 入力交流電力を直流電力に変換して負荷に出力する整流器であって、
    ブリッジ接続された複数のダイオードと、
    前記複数のダイオードのうち、前記整流器の一方の入力端にアノードが接続されたダイオードに並列接続される第1のコンデンサと、
    前記一方の入力端にカソードが接続されたダイオードに並列接続される第2のコンデンサと、を有し、
    前記交流電力の周波数をf、前記負荷の最大抵抗値をRLmaxとするとき、前記第1のコンデンサの静電容量C及び前記第2のコンデンサの静電容量Cは、
    、C<1/(2fRLmax
    を満たすことを特徴とする整流器。
  6. 前記第1のコンデンサの静電容量C及び前記第2のコンデンサの静電容量Cは、
    1/(80×2fRLmax)<C、C
    を満たす、請求項5に記載の整流器。
  7. 前記第1のコンデンサの静電容量Cと前記第2のコンデンサの静電容量Cは略等しい、請求項5又は6に記載の整流器。
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