JP6517122B2 - T桁橋の上部構造 - Google Patents
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Description
前記T桁同士は、T桁を橋幅方向に貫通するPC鋼材により横締めされてプレストレスが負荷されており、橋台上方の橋の支点部だけ、橋幅方向に沿って設けられた横桁により前記T桁同士が連結されていることを特徴とする。
また、橋台上方の橋の支点部だけ、橋幅方向に沿って設けられた横桁により前記T桁同士が連結されているので、橋脚の上方となる橋の中間部での横梁の設置作業がなくなるだけでなく、危険な吊り足場の組み払し作業もなくなるため、省力化により施工費を削減できるだけでなく、安全性も向上する。
本実施形態に係る横梁は、橋台A1や橋脚A2などの橋の各下部構造A上に設置されるプレキャストコンクリート製の部材であり、図3に示すように、橋台A1上に設置される長手方向と直交する鉛直断面において断面L字状の横梁2と、橋脚A2上に設置される長手方向と直交する鉛直断面において断面凸字状の横梁2’の2種類の形態がある。
T桁3は、図1、図2等で示した上部構造1を構成する主桁であり、設計基準強度を70N/mm2として調合され、工場等で打設されて蒸気養生等で養生され、プレストレスが負荷されたプレキャスト製の鉄筋コンクリートからなるPCa桁である。
図1、図2に示す床版4及び高欄5は、一般的な現場打ちの鉄筋コンクリート製のものであり、詳細な説明は省略する。
図1、図2、図6等に示すように、橋幅方向に隣接するT桁3と他のT桁3との間の橋軸方向に沿ったスペース(空間)が間詰め部6である。この間詰め部6には、後述の埋設型枠7が設置されて、その埋設型枠7の上方のスペースには、現場においてコンクリートが打設され、打設されたコンクリートが硬化して間詰めコンクリート6Cが形成されることにより、橋幅方向に隣接する複数のT桁3同士が一体化されている。なお、前述のように、間詰め部6の幅が従来のものより狭くなっており、間詰めコンクリート6Cの形成に必要なコンクリートの分量は、従来のものより少なくなくなっている。
また、図3に示すように、橋幅方向に間隔をあけて並設された複数のT桁3同士は、さらに橋台A1付近で橋幅方向に延びる、現場打ちの鉄筋コンクリートからなる横桁8で連結・一体化されている。そして、この横桁8及び前述の間詰めコンクリート6Cが硬化して所定強度が発現された後、図2に示すT桁3内に挿通されたPC鋼材P1が緊張されてポストテンション方式でプレストレスが付与され、複数のT桁3同士がさらに強固に一体化される。
なお、前述の横梁2(2’)のフランジ21(フランジ21’,22’)間にT桁3を架け渡す際には、T桁3の長手方向の端部をフランジ21(21’,22’)上に載置する前に、隙間材をフランジ21(21’,22’)上に敷設しておく。そうすることで、フランジ21(21’,22’)やT桁3の下面に反りや凹凸があった場合でも、横梁2(2’)とT桁3の間に生じる隙間を埋めて、活荷重等の上部構造1に作用する応力を、下部構造Aに均等に伝達することができる。このため、上部構造1の耐久性が向上する。
次に、図9、図10を用いて、橋軸方向に沿って隣接するT桁3同士の接続について説明する。橋軸方向に沿って隣接するT桁3同士は、橋脚A2上において打ち継ぎコンクリート9を打設して一体化させて接続する。図8は、図3の一部を拡大して主に打ち継ぎコンクリート9の配筋状況を示す説明図であり、図9は、打ち継ぎコンクリート9の配筋状況を示す部分拡大平面図である。
次に、図11を用いて、前述の間詰め部6に設置する埋設型枠7について詳細に説明する。本実施形態に係る埋設型枠7は、高密度樹脂からインジェクション成形等により一体成形された樹脂製の埋設型枠であり、コンクリート打設時の型枠として用いられるだけでなく、コンクリート打設後も払す(解体する)ことなくそのまま存置する存置型の永久型枠である。なお、高密度樹脂とは、高密度ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、メタクリル樹脂(PMMA樹脂)などの密度が0.94g/cm3以上の樹脂を指している。
底板70は、平面視で長方形状(四角形状)の波形の板材であり、短手方向に沿った鉛直断面形状は、短手方向である幅方向の中央付近を頂点として弓なりに反った円弧状となっている。この弓なりの反りは、コンクリートを打設するとその重量で中央付近が下がり略水平状になるように設定されている。また、図11に示すように、底板70の長手方向(奥行方向)に沿った鉛直断面形状は、曲げ剛性を上げるためコルゲート加工が施されて波形となっている。
側板71は、長方形状の板材であり、一対の側板71は、それぞれ短手方向に沿った鉛直断面において底板70と鈍角に交差するように一体成形されており、底板70の短手方向の両端部から上方に向け互いに広がるように形成されている。この底板70と側板71とが交差する鈍角の角度、即ち、側板71の傾斜角度は、前述のT桁3のテーパー面30aに合わせて形成されている。
連結リブ72は、底板70の長手方向に沿った立面視が逆台形状の板材であり、一対の側板71同士を連結することにより、両者の間隔を保持し、その間隔がそれ以上広がったり縮まったりしないようにすることで、埋設型枠7全体の曲げ剛性を上げ、埋設型枠7がコンクリート打設時にズレたり、落下したりすることを防止する機能を有している。
また、底板70及び側板71の長手方向の一端には、係合爪を有する係合爪部73が形成され、長手方向の他端には、その係合爪部73と係合して連結する係合受け部74が形成されている。このため、埋設型枠7の係合爪部73を他の埋設型枠7の係合受け部74に差し込んで係合させることで、複数の埋設型枠7の長手方向の端部同士が連結可能となっており、前述の間詰め部6の長さに応じて複数の埋設型枠7が連結される。このように、ある埋設型枠7の係合爪部73と他の埋設型枠7の係合受け部74とで係合部が形成される。
なお、符号75は、外コンクリート打設時や打設前に埋設型枠7がズレるのを防止するため、外面に高摩擦係数の材料が貼着されたズレ止め板であり、符号76は、揚重の際に使用する吊りフックを掛け止めたりワイヤロープを挿通したりするためのフック孔が穿設されたフックプレートである。
以上説明した実施形態に係るT桁橋の上部構造1によれば、橋の下部構造Aと上部構造1のT桁3との間に横梁2(2’)を介して支承装置S1を設置できるため、桁ごとに必要であった高価な支承装置S1の数を低減することができ、橋の上部構造1の施工費を削減することができる。また、中空桁ではなく断面T字状のT桁3が設置されているので、橋の完成後に点検できなくなる箇所がない。
2,2’ :横梁
20,20’ :梁本体
21,21’,22’ :フランジ
3 :T桁(主桁)
4 :床版
5 :高欄
6 :間詰め部
6C :間詰めコンクリート(充填材)
7 :埋設型枠
70 :底板
71 :側板
71a :補強リブ
72 :連結リブ
72a :鉄筋孔
73 :係合爪部(係合部)
74 :係合受部(係合部)
75 :ズレ止め板
76 :フックプレート
8 :横桁
9 :打ち継ぎコンクリート(充填材)
P1 :PC鋼材
A :下部構造
A1 :橋台(下部構造)
A2 :橋脚(下部構造)
S1 :支承装置
EB :エンドバンド鉄筋
RF :補強繊維
F :繊維保持材
Claims (6)
- 橋の下部構造間に支承装置を介して架け渡された橋の上部構造であって、
橋軸方向の一方又は両方に張り出したフランジを有する複数の横梁が、橋幅方向を長手方向として前記下部構造上に前記支承装置を介して載置され、
断面T字状のプレキャストコンクリート製の複数のT桁が、橋軸方向を長手方向として橋幅方向に一定間隔を置いて、隣接する前記横梁の対向する前記フランジ間に架け渡されており、
前記T桁同士は、T桁を橋幅方向に貫通するPC鋼材により横締めされてプレストレスが負荷されており、
橋台上方の橋の支点部だけ、橋幅方向に沿って設けられた横桁により前記T桁同士が連結されていること
を特徴とするT桁橋の上部構造。 - 橋幅方向に隣接する前記T桁同士の間には、橋軸方向に沿って複数の埋設型枠が連設され、
これらの埋設型枠の上方のT桁間のスペースには、充填材が充填されていること、
を特徴とする請求項1に記載のT桁橋の上部構造。 - 前記T桁は、その下面と前記フランジの上面との間の隙間を埋める隙間材を介して前記フランジ上に架け渡されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載のT桁橋の上部構造。 - 前記隙間材は、無収縮モルタル、感圧硬化ゴム、樹脂、又はこれらが複合されたものであること
を特徴とする請求項3に記載のT桁橋の上部構造。 - 橋脚上において橋軸方向に沿って隣接する前記T桁同士は、支圧抵抗力を増すため鉄筋径より大きな径の鋼製筒状体が鉄筋の先端に嵌着されたエンドバンド鉄筋を有するコンクリートにより一体化されていること
を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のT桁橋の上部構造。 - 前記T桁は、床版を直接下から支える床版部と、この床版部の下面中央に接続する桁部を有し、
この桁部は、下部にハンチが形成されて上部の幅が下部の幅より狭くなっていること
を特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のT桁橋の上部構造。
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