JP6516471B2 - ポリアミド樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、優れた機械的物性を有しながら外観に優れる成形品が得られるポリアミド樹脂組成物およびその成形品を提供することを目的とするものである。
(A)ポリアミド樹脂30〜70質量部と(B)ガラス繊維70〜30質量部を含むポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂組成物の結晶化ピークの補外結晶化開始点が175℃以上200℃以下であることを特徴とする。
(A)成分はジアミンとジカルボン酸を縮合して得られるポリアミド樹脂であって、構成するジカルボン酸の一部が芳香族を有するジカルボン酸であり、全ジカルボン酸100質量%に対する芳香族を有するジカルボン酸の割合が、5〜35質量%であることが好ましい。
(A)成分はポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)とポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)の共重合体またはポリアミド66とポリアミド6Iとポリアミド6(ポリカプロラクタム)の共重合体であることが好ましい。
結晶化ピークの補外結晶化開始点から補外結晶化終了点までの温度幅は25℃以上であることが好ましい。ここで、補外結晶化終了点とは上記補外結晶化開始点と同様に測定される結晶化ピークの補外結晶化終了温度であり、補外結晶化終了温度は低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、結晶化ピークの低温側の曲線にこう配が最大となる点で引いた接線の交点の温度である。
カーボンブラックの平均一次粒径は20nm以下であることが好ましい。
カーボンブラックの含有量はポリアミド樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部以下であることが好ましい。
(B)成分の含有量は(A)成分の含有量よりも多くてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂30〜70質量部と、(B)ガラス繊維70〜30質量部とを含み、ポリアミド樹脂組成物中におけるポリアミド樹脂の結晶化ピークの補外結晶化開始点が175℃以上200℃以下である。
以下、本発明のポリアミド樹脂組成物の各構成要素について詳細に説明する。
(A)成分のポリアミド樹脂としては、強度と外観のバランスの観点から、結晶性芳香族ポリアミドが好ましい。結晶性芳香族ポリアミドとは、結晶性を示すポリアミド樹脂中に芳香族構造を持つ構成単位を含むポリアミド樹脂のことを指す。
本発明において、好ましい(A)成分はジアミンとジカルボン酸を縮合して得られるポリアミド樹脂であって、構成するジカルボン酸の一部が芳香族を有するジカルボン酸であり、全ジカルボン酸100質量%に対する芳香族を有するジカルボン酸の割合が、5〜35質量%であることが好ましく、好ましくは5〜25質量%であり、より好ましくは10〜25質量%であり、さらに好ましくは10〜20質量%である。5質量%以上とすることで成形品の表面にガラス繊維の露出を抑制し、ポリアミド樹脂組成物として優れた外観を得やすくなり、25質量%以下とすることでポリアミド樹脂組成物として結晶性の低下を抑制し、高い機械的物性を発揮させることができる。
本発明において、特に好ましい(A)成分としては、より優れた外観が得られること、機械強度の観点から、ポリアミド66/6Iまたはポリアミド66/6Iにポリアミド6を共重合したポリアミド66/6I/6を好適に用いることができる。ポリアミド6をさらに共重合すると、結晶化温度が低下し、光沢の優れた成形品が得られ易くなる。特にポリアミド6を10質量%以下とすることで結晶性の低下を抑制し機械的物性を維持できる。
本発明に用いられる(B)成分のガラス繊維は、通常、熱可塑性樹脂に使用されているものを使うことができ、繊維径や長さに特に制限はなく、例えば、直径が5〜25μmのチョップドストランド、ロービング、ミルドファイバーのいずれを使用しても良い。強度剛性の発現および組成物中での分散性の観点から、好ましくはチョップドストランドである。チョップドストランドを用いる場合には、その長さが0.1〜6mmの範囲で適宜選択して用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、上記の(A)成分、(B)成分および必要に応じて用いられる各種の添加剤を混合し、混練すればよい。その際、配合、混練方法には特に制限はなく、通常用いられる混合機、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー、リボンブレンダー等で混合が行われる。混練機としては、一般に単軸または2軸の押出機が用いられる。このような押出機により、通常は、まず上記本発明の樹脂組成物からなるペレットが製造され、このペレットを圧縮成形、射出成形、押出成形等により任意の形状に成形して所望の樹脂製品とすることができる。
射出成形条件としては特に限定はないが、成形温度が250℃〜310℃の範囲、金型温度が40℃〜120℃の範囲で成形する方法が例示できる。
(1)評価方法は下記の通りである。
JIS K7121を参考に、パーキンエルマー社製DSC7を用いて、融点+20℃の温度で5分保持した後、100℃/minの降温速度で冷却した際に観測される結晶化ピークの補外結晶化開始温度と補外結晶化終了温度を測定した。これより「補外結晶化開始点」と、「補外結晶化開始点と補外結晶化終了点の差」を求めた。
東芝機械(株)製;IS−50EP射出成形機を用いて、樹脂温度290℃、金型温度:80℃に設定し、射出+保圧時間:25秒、冷却時間:15秒の成形条件で、ISOタイプAの多目的試験片を成形した。得られた多目的試験片を用いて、ISO527に従って、引張速度5mm/minの条件で、引張破断強さを測定した。得られた破断強さを引張強度とした。
東芝機械(株)社製;IS150E射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度110℃または80℃で、充填時間が約1.5秒になるように射出圧力、および速度を適宜調整し、100×90×3mmの射出成形板を得た。この平板を用い、光沢計(HORIBA製;IG320)を用いてJIS−K7150に準じて60度グロスを測定した。
(A)ポリアミド
a1:後記する製造例で得られたポリアミド66/6I共重合体
a2:後記する製造例で得られたポリアミド66/6I/6共重合体
a3:ポリアミド66:レオナ(登録商標)1300(旭化成ケミカルズ社製)
(B)無機充填剤
b1:ガラス繊維(日本電気硝子(株)社製;ECS 03T−275H)
(C)カーボンブラック
c1:一次粒子径が13nmのカーボンブラック
c2:一次粒子径が18nmのカーボンブラック
c3:一次粒子径が27nmのカーボンブラック(三菱化学(株)製;三菱カーボン(登録商標)#50)
(D)ニグロシン
d1:ヌビアンブラックTN−870(オリヱント化学工業社製)
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩2.00kgと、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.50kg、およびアジピン酸0.10kg、ヨウ化銅29g、ヨウ化カリウム480gおよび純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込みよく攪拌した。充分N2置換した後、攪拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧は18kg/cm2(G)(17.7×105Pa)になるが、18kg/cm2(G)(17.7×105Pa)以上の圧力にならないよう水を反応系外に除去しながらさらに加熱を続けた。さらに2時間後、内温が260℃に到達したら加熱を止め、オートクレーブの排出バルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポリマーを取り出し粉砕した。得られた粉砕ポリマーを10Lのエバポレーターに入れ、N2気流下、200℃で10時間固相重合した。
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩、ε−カプロラクタムをそれぞれ80:15:5の質量比で投入し、投入した全原料と同量の純水を加え、重合缶内を充分窒素置換した後、撹拌しながら加温を開始した。缶内圧力は20kg/cm2(G)(19.6×105Pa)に調整しながら最終到達温度は270℃とし、水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。
ポリアミド樹脂、着色剤、およびガラス繊維を表1記載の割合になるように、東芝機械(株)製;TEM35φ2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)を用いて、トップフィードホッパーよりポリアミド樹脂と着色剤を供給し、さらに、サイドフィード口よりガラス繊維を供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド樹脂組成物を得た。その組成および評価結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂、着色剤、およびガラス繊維を表2記載の割合になるようにした以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。得られた組成物の組成および評価結果を表2に示す。
ポリアミド樹脂、着色剤、およびガラス繊維を表3記載の割合になるようにした以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。得られた組成物の組成および評価結果を表3に示す。
Claims (7)
- (A)ポリアミド樹脂30〜70質量部と(B)ガラス繊維70〜30質量部を含むポリアミド樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂組成物の結晶化ピークの補外結晶化開始点が175℃以上200℃以下であり、前記(A)成分がポリアミド66とポリアミド6Iの共重合体またはポリアミド66とポリアミド6Iとポリアミド6の共重合体であって、さらに、平均一次粒径が20nm以下のカーボンブラックとニグロシンを含むポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)成分はジアミンとジカルボン酸を縮合して得られるポリアミド樹脂であって、構成するジカルボン酸の一部が芳香族を有するジカルボン酸であり、全ジカルボン酸100質量%に対する芳香族を有するジカルボン酸の割合が、5〜35質量%である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記結晶化ピークの補外結晶化開始点から補外結晶化終了点までの温度幅が25℃以上である請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記カーボンブラックの含有量が前記ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.1質量部以下である請求項1、2または3記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記ニグロシンの含有量が、前記カーボンブラックの含有量以下である請求項1〜4いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(B)成分の含有量が前記(A)成分の含有量よりも多いことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
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