JP6514631B2 - 操舵角検出装置及び操舵角検出方法 - Google Patents
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Description
ステップS10では、舵角センサから舵角を検出する。この検出タイミングは、本実施形態では自動車が5m走行する毎に実行されるものである。尚、この検出タイミングは任意であり、自動車が所定距離だけ進行する毎に検出できれば良いものである。舵角センサから舵角値が得られると次のステップS11に移行する。
ステップS11では、検出された舵角値から、自動車が所定距離だけ走行した時の舵角微分値が計算される。この舵角微分値は、前回で検出された舵角値と、今回で検出された舵角値の差分を舵角微分値として用いている。舵角微分値の絶対値が所定値より大きい場合は操舵装置が操作されていると見做し、舵角微分値の絶対値が所定値より小さい場合は操舵装置が操作されていないと見做すことができる。舵角微分値が求められるとステップS12に移行する。
ステップS12では、ステップS11で求められた舵角微分値がほぼ「0」かどうかの判断が実行される。本実施形態では舵角微分値が±0.25°以内のときにほぼ「0」と判断している。上述したように、舵角微分値の絶対値が所定値(±0.25°)より大きい場合は操舵装置が操作されていると見做し、舵角微分値の絶対値が所定値(±0.25°)より小さい場合は操舵装置が操作されていないと見做すことができる。
ステップS13では、図6で説明したように、今回で検出された舵角値がどの舵角区間に該当するかを算出する。例えば、今回の舵角値が1.7°の場合は、区間[1.5〜2.0]の舵角区間に属すると見做して割り当てている。そして、今回で検出された舵角値の舵角区間が算出されるとステップS14に移行する。
ステップS14では、検出された舵角値に対応する舵角区間の出現頻度に1を加算する。このように、舵角値が検出される毎に舵角区間を求め、その舵角区間の頻度値を加算して更新していくものである。この結果、図6に示すようなヒストグラムが構築されるようになる。ステップS14で出現頻度の加算が実行されるとステップS15に移行する。
ステップS15では、出現頻度が最大の舵角区間を求める。このステップS15では、例えば、図6に示すように、舵角区間[1.5〜2.0]に最大の頻度値が現れているので、この舵角区間を出現頻度が最大の舵角区間として求める。舵角区間が求まるとステップS16に移行する。
≪ステップS16≫
ステップS16では、最大頻度値をとる舵角区間の中央値を零点補正値として求める。図6に示すように、舵角区間[1.5〜2.0]の頻度値が最大のときには、零点補正値として、舵角区間の中央値である1.75°が求められるものである。零点補正値が求められるとステップS17に移行する。
ステップS17では、ステップS13〜ステップS16で得られたヒストグラムを基に標準偏差σを求める演算を実行する。この標準偏差σは図11に示す制御フローで求めることができるが、これについては後述する。
ステップS18では、ステップS16で求められた零点補正値の信頼性を判定している。零点補正値が信頼性を有していれば、舵角センサからの実際の舵角値を補正し、零点補正値が信頼性を有していなければ、舵角センサからの実際の舵角値を補正しないで、信頼性が高まるまでヒストグラムの更新を行うものである。
ステップS19では、今回で求められた零点補正値が前回で求められた零点補正値と同じかどうかが判断される。同じ零点補正値である時は、前回の零点補正値、或いは今回の零点補正値を用いて良いので、ステップS22に移行する。この場合、今回の零点補正値と前回の零点補正値の同一性の判断は、両者が一致すると見做せる程度の誤差を含んでいても同一と判断して良いものである。
ステップS20では、前回の零点補正値と今回の零点補正値をフィルタリング処理することで零点補正値を補正している。フィルタリング処理は以下に示す式によって演算されている。ここで、前回の零点補正値θcn-1、今回の零点補正値θcn、フィルタ係数k、最終零点補正値θcfとすると、
θcf=θcn-1+(θcn-1−θcn)×k
という演算で最終零点補正値θcfを求めている。
ステップS21では、ステップS20で求められた最終零点補正値θcfを不揮発性メモリ(フラッシュメモリや電源バックアップRAM)へ格納する。尚、この格納のタイミングは、本制御フローの中で行うことなく、電源がセルフシャットダウンされる時に行っても良いものである。
ステップS22では、舵角センサから得られた実際の舵角値を最終零点補正値で補正して真の舵角値を演算する。ここで、実際の舵角値θact、最終零点補正値θcf、最終舵角値θとすると、
θ=θact+θcf
という演算で最終舵角値θを求めている。この演算を実行すると「終了」に抜けてこれらの処理を終了するものである。
ステップS30では、全ての舵角区間の頻度の総合計値(S)を求める。例えば、図10において、舵角区間[−1.5〜−1.0]〜舵角区間[3.5〜4.0]の頻度を加算して総合計値(S)を求めるものである。総合計値(S)が求まるとステップS31に移行する。
次にステップS31では、最大頻度の舵角値(x)を求め、その時の頻度値(T)を求める。最大頻度の舵角値(x)は平均値として見做されており、図10において、最大頻度の舵角値(x)は舵角区間[1.5〜2.0]の中央値であり、この場合は1.75°である。また、頻度値(T)は9である。最大頻度の舵角値(x)(≒平均値)と、頻度値(T)が求まるとステップS32に移行する。
ステップS32では、初期値としての標準偏差σを設定する。本実施形態では舵角区間の中央値を舵角値として見做すため、舵角区間幅の1/2を初期値として設定する。このため、標準偏差σ=舵角区間幅/2としているので、σ=0.25°となる。標準偏差σの初期値が設定されるとステップS33に移行する。
ステップS33では、最大頻度(T)が、全ての舵角区間の頻度の総合計値(S)の68.3%以上であるかどうかを判定する。つまり、(T/S)×100≧68.3の判断を行なっている。この判定は、平均値±標準偏差σの範囲にすべてのデータの68.3%が分布しているかどうかの判定を行っている。したがって、(T/S)×100が68.3%より大きいとステップS36に移行し、(T/S)×100が68.3%より小さいとステップS34に移行するものである。
ステップS34では、(T/S)×100が68.3%より小さいため、現在設定されている標準偏差σに舵角区間幅を加算して新たな標準偏差σとする。これは標準偏差σを大きくすることによって最大頻度(T)の値を大きくするためである。新たな標準偏差σを設定するとステップS35に移行する。
ステップS35では、新たな標準偏差σの設定によって最大頻度(T)の値を、(X±σ)の幅の舵角区間の頻度合計値に変更して設定する。この設定が行われると再びステップS33に戻り、(T/S)×100≧68.3%の判断を行なう。したがって、ステップS34、ステップS35は、ステップS33で「Yes」判断が行われるまで繰り返されるものである。そして、(T/S)×100が68.3%より大きいと判断されるとステップS36に移行する。
ステップS36では、更新された標準偏差σを設定して「終了」に抜けて、これらの処理を終了するものである。このように標準偏差σは、最初の初期値である「舵角区間/2」から、「舵角区間/2+n×舵角区間」の範囲で拡大されるものである。したがって、標準偏差σをもとにヒストグラムの分布が急峻であるか、或いは緩慢であるかどうかを判定できる。
m−1.96*σ/sqrt(n)≦μ≦m+1.96*σ/sqrt(n)…(1)
尚、上記(1)式はサンプル数nが30以上のときに使用するのが望ましい。
m−tα*σ/sqrt(n)≦μ≦m+tα*σ/sqrt(n)…(2)
本実施形態では、(1)式を利用して母平均の95%信頼区間を求めるようにしている。例えば、舵角値の標本の標準偏差σが0.9°、サンプル数nが30のとき、
|m-μ|≦1.96*σ/sqrt(n)≒0.322°
と計算される。
また、99%信頼区間で計算すると
|m−μ|≦2.58*σ/sqrt(n)≒0.424°
と計算される。したがって、仕様となる母平均が、標本平均値mを中心として例えば±0.5°とすると、95%信頼区間及び99%信頼区間はいずれも仕様を満たしていると見做される。
ステップS40では、舵角センサから検出された舵角値の平均値を算出する。平均値の演算は図15に示した制御フローによって求められるが、この平均値の演算については後述する。この場合も舵角センサの検出タイミングは、自動車が5m走行する毎に実行されるものである。平均値が演算されるとステップS41に移行する。
ステップS41では、演算された平均値に対する標準偏差σの演算を実行する。標準偏差σは図11に示した制御フローで求めることができる。この標準偏差σを求めるのは上述した(1)式で標準偏差σを用いるからである。標準偏差σが演算されるとステップS42に移行する。
ステップS42では、サンプル数が30回を超えたかどうかを判定している。これは早期に零点補正値を求めるために設定した回数であり、少ない走行距離(例えば、5m×30サンプリング=150m)で舵角値の零点補正値を求めるためである。このステップS42でサンプリング数nが30に満たない場合は「終了」に抜けて次の起動タイミングを待つことになる。一方、サンプリング数nが30を超えるとステップS43に移行する。
ステップS43では、平均値に対する95%信頼区間を計算する。この計算は上述した通り、m−1.96*σ/sqrt(n)≦μ≦m+1.96*σ/sqrt(n)の演算を行って、母平均の95%信頼区間を求めることができる。母平均の95%信頼区間は図16に示した制御フローによって求められるが、この母平均の95%信頼区間の演算については後述する。母平均の95%信頼区間が求まるとステップS44に移行する。
ステップS44では、ステップS43で求められた母平均の95%信頼区間が所定の母平均閾値の範囲内にあるかどうかを判定している。求められた母平均の95%信頼区間が所定の母平均閾値の範囲外と判断されると「終了」に抜けて次の起動タイミングを待ち、サンプリン数nを増やしてデータの信頼性を高めることになる。一方、求められた母平均の95%信頼区間が所定の母平均閾値の範囲内と判断されると、この平均値が信頼できるものと見做してステップS45に移行する。
ステップS45では、得られた平均値を零点補正値として設定する。ステップS45では、実施例1と同様に、ステップS44で求められた零点補正値を不揮発性メモリへ格納する。また、この格納のタイミングは、本制御フローの中で行うことなく、電源がセルフシャットダウンされる時に行っても良いものである。このように不揮発性メモリに零点補正値を記憶しているので、自動車の電源がシャットダウンされても、零点補正値は消滅されることがなくなり、次回の舵角値の補正に使用することができる。もちろん、ステップS44で求められた零点補正値は、最終舵角値の演算のためにRAMのような作業ワークエリアに記憶され、次のステップS46の演算に使用されるようになっている。零点補正値が求められるとステップS46に移行する。
ステップS46では、舵角センサから得られた実際の舵角値を最終零点補正値で補正して真の舵角値を演算する。ここで、実際の舵角値θact、零点補正値θm、最終舵角値θとすると、
θ=θact+θm
という演算で最終舵角値θを求めている。この演算を実行すると「終了」に抜けてこれらの処理を終了するものである。
ステップS50では、舵角センサから舵角値を検出する。本実施形態では自動車が5m走行する毎に実行されるものである。このステップS50は実施例1のステップS10と同じである。舵角センサから舵角値が得られると次のステップS51に移行する。
ステップS51では、検出された舵角値から、自動車が所定距離だけ走行した時の舵角微分値が計算される。この舵角微分値は、前回で検出された舵角値と、今回で検出された舵角値の差分を舵角微分値として用いている。舵角微分値の絶対値が所定値より大きい場合は操舵装置が操作されていると見做し、舵角微分値の絶対値が所定値より小さい場合は操舵装置が操作されていないと見做すことができる。このステップS51は実施例1のステップS11と同じである。舵角微分値が求められるとステップS52に移行する。
ステップS12では、ステップS11で求められた舵角微分値がほぼ「0」かどうかの判断が実行される。舵角微分値の絶対値が所定値より大きい場合は操舵装置が操作されていると見做し、舵角微分値の絶対値が所定値より小さい場合は操舵装置が操作されていないと見做すことができる。
ステップS53では、現在までサンプリングした舵角値を順次加算して積算舵角値を求める。つまり、「積算舵角値=前回までの積算舵角値+今回で検出された舵角値」の演算を実行して積算舵角値を算出する。この積算舵角値が求まるとステップS54に移行する。
ステップS54では、前回のサンプリング数nに+1を加算して、積算舵角値から平均値を導き出すための積算サンプリング数を求める。この積算サンプリング数が求まるとステップS55に移行する。
ステップS55では、ステップS53で求めた積算舵角値と、ステップS54で求めた積算サンプリング数から平均値mpを演算する。この平均値mpは、「平均値mp=積算舵角値/積算サンプリング数」の算術平均で求めることができる。平均値mpが求まるとステップS56に移行する。
ステップS56では、ステップS55で求めた平均値mpが属する舵角区間を求め、この舵角区間の中央値を真の平均値mとする。このステップS56で求められた平均値mが、図14のステップS40の制御ステップで用いられるものである。
Mu=Mint/(Cintb+Cinta)×100…(3)
となる。尚、%で表すため「×100」としている。
図17には、時刻t1の時の信頼区間と、時刻t2の信頼区間を示している。このとき、時刻t1の信頼区間と時刻t2の時の信頼区間を比較すると、重複する区間がないために、(3)式で求まる重複度は0%となる。
図18には、時刻t1の時の信頼区間と、時刻t2の信頼区間を示している。このとき、時刻t1の信頼区間と時刻t2の時の信頼区間を比較すると、重複する区間が夫々の区間の半分あるために、(3)式で求まる重複度は25%となる。
Claims (4)
- 操舵装置の操舵角を検出する舵角値検出手段を備えた操舵角検出装置において、
前記舵角値検出手段は、
前記操舵装置の舵角値を検出する舵角情報検出部と、
前記舵角情報検出部の前記舵角値を所定走行距離毎に取り込み、前記舵角値の舵角微分値を算出する舵角微分値算出部と、
前記舵角微分値算出部で算出された前記舵角微分値が、自動車の直進走行状態を表している値の時に、前記舵角情報検出部からの前記舵角値を取り込んで記憶する舵角微分値判定部と、
前記舵角微分値判定部に記憶された複数の前記舵角値から前記舵角値の平均値を求める平均値算出部と、
前記舵角微分値判定部に記憶された複数の前記舵角値の出現頻度を基に標準偏差を求める標準偏差算出手段と、
前記標準偏差算出手段で求められた前記標準偏差を基に母平均の95%信頼区間を求める母平均算出手段と、
前記母平均算出手段によって算出された前記母平均が所定の母平均閾値以内かどうかを判定する母平均判定手段と、
前記母平均判定手段によって前記母平均が前記母平均閾値以内と判定された場合に前記平均値を用いて実際の前記舵角値を補正して正規の前記舵角値を求める最終舵角値算出部と
から構成されていることを特徴とする操舵角検出装置。 - 請求項1に記載の操舵角検出装置において、
前記舵角値検出手段は、
前記平均値を求めるためのサンプル数を計数するサンプル数計数手段を備え、
前記サンプル数計数手段によって所定のサンプル数を計数した場合に、前記母平均算出手段による前記母平均の算出が行われることを特徴とする操舵角検出装置。 - 操舵装置に設けられた舵角値検出手段によって舵角値を検出する操舵角検出方法において、
前記操舵装置の舵角値を検出し、
前記舵角値を所定走行距離毎に取り込み、前記舵角値の舵角微分値を算出し、
前記舵角微分値が、自動車の直進走行状態を表している値の時に、前記舵角値を取り込んで記憶し、
記憶された複数の前記舵角値から前記舵角値の平均値を求め、
記憶された複数の前記舵角値の出現頻度を基に標準偏差を求め、
前記標準偏差を基に母平均の95%信頼区間を求め、
前記母平均が所定の母平均閾値以内かどうかを判定し、
前記母平均が前記母平均閾値以内と判定された場合に前記平均値を用いて実際の前記舵角値を補正して正規の前記舵角値を求める
ことを特徴とする操舵角検出方法。 - 請求項3に記載の操舵角検出方法において、
前記平均値を求めるためのサンプル数を計数し、
所定のサンプル数を計数した場合に、前記母平均の算出が行われることを特徴とする操舵角検出方法。
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