[構成の説明]
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明による抽出システムの構成例を示すブロック図である。以下の説明では、抽出システムを橋梁の劣化を診断する際に用いる場合について例示するため、抽出システムを劣化橋梁診断システム100として説明する。
図1に示すように、劣化橋梁診断システム100は、車載端末201〜20Nと、データ解析サーバ300とを含む。車載端末201〜20Nは、データ解析サーバ300と通信できる。車載端末201〜20Nは、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、カーナビゲーションシステムである。
劣化橋梁診断システム100は、車両の日常的な走行を利用して劣化橋梁を抽出する。図1に示すように、車載端末201〜20Nは、それぞれ異なる車両に設置される。車両は、例えばトラックなどの、橋梁の劣化を引き起こす大型自動車である。
例えば、大型自動車などが劣化した橋梁を走行する場合、橋梁の中央部は、負荷がかけられていない場合に比べて沈降する場合がある。また、形状がかまぼこ型の劣化した橋梁であれば、大型自動車が橋梁を走行する場合、橋梁のかまぼこ型は、平坦になる場合や凹型になる場合がある。
車載端末201〜20Nは、例えば設置された車両が橋梁を走行している場合に、自重により生じる橋梁の沈降の度合いを示すデータを計測し、端末内に記録する。劣化橋梁診断システム100は、橋梁の沈降の度合いを示すデータとして、車両が橋梁を走行した時の橋梁の勾配を用いる。
車載端末201〜20Nは、記録されたデータをデータ解析サーバ300に送信する。データ解析サーバ300は、車載端末201〜20Nから送信されたデータを受信し、橋梁の劣化に関するデータを収集する。
なお、データ解析サーバ300は、車載端末201〜20Nから送信されたデータを受信する以外にも、車載端末201〜20Nのデータが記録されたメモリカードから橋梁の劣化に関するデータを収集してもよい。メモリカードが使用される場合、ユーザが定期的に車載端末201〜20Nからメモリカードを回収し、データ解析サーバ300にメモリカードに記録されている内容を読み取らせる。
多数の大型自動車に車載端末が取り付けられることによって、データ解析サーバ300は、各大型自動車が日常的に走行する範囲内に存在する各橋梁に関して、橋梁の劣化に関する統計的なデータを取得できる。
例えば、データ解析サーバ300は、収集されたデータを用いて、橋梁ごとに勾配の経年変化量や経月変化量を取得できる。また、データ解析サーバ300は、所定の範囲内で勾配の変化量が最も大きい橋梁を抽出できる。抽出された橋梁は監視対象の候補になり、多くのデータを取得できるセンサの設置が予定される。
また、橋梁の沈降量は、走行する車両の自重や荷重、同時に橋梁を走行する他の車両の存在に依存するため、個々の計測値にばらつきが見られる。しかし、データ解析サーバ300は、多数の車載端末が計測した橋梁の劣化に関するデータを収集するため、多くのデータに基づいた誤差の小さい統計的データを導出できる。
上記のように、劣化橋梁診断システム100は、個々の橋梁にセンサが設置されなくとも、劣化度合いの大きい橋梁を抽出できる。すなわち、劣化橋梁診断システム100は、コストを大きくかけずに劣化した橋梁を抽出できる。
図2は、劣化橋梁診断システム100の第1の実施形態の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、車載端末201〜20Nは、ネットワーク400を介してデータ解析サーバ300と通信可能に接続されている。ネットワーク400は、例えば、3GやLTE(Long Term Evolution)などの携帯電話通信網である。
以下、車載端末201〜20Nのうち、車載端末201の構成を説明する。図2に示すように、車載端末201は、位置検出部211と、加速度検出部221と、車高検出部231と、勾配推定部241と、データ記録部251と、データ送信部261とを含む。なお、車載端末202〜20Nの構成は、車載端末201の構成と同様である。
位置検出部211は、車載端末201の現在位置や時刻情報などを常時計測する機能を有する。位置検出部211は、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して、車載端末201の現在位置を計測する。
加速度検出部221は、車載端末201の上下方向の加速度を常時計測する機能を有する。車載端末201は車両に固定されているため、車載端末201の上下方向の加速度は、設置されている車両の上下方向の加速度に相当する。加速度検出部221は、例えば、加速度計を用いて上下方向の加速度を計測する。
加速度検出部221は、計測された上下方向の加速度に基づいて、車載端末201の路面からの高さ(以下、車載端末の絶対高という。)を推定する。車両が走行している橋梁が沈降していれば、加速度を用いる方法で推定される車載端末の絶対高には、橋梁の沈降の影響が反映される。加速度検出部221は、例えば、計測された加速度を重積分することによって、車載端末201の絶対高を推定する。
なお、上記で加速度検出部221は車載端末201の路面からの高さを推定すると説明したが、加速度検出部221が推定する高さは路面からの高さに限定されない。例えば、加速度検出部221は、車載端末201の位置における海抜を推定してもよい。また、加速度検出部221は、高さ以外の値を推定してもよく、例えば、車載端末201の所定の地点(位置)からの距離を推定してもよい。
絶対高の推定に用いられた加速度の計測時間が長くなると、計測誤差が累積するため、絶対高の推定精度は悪化する。しかし、本実施形態における加速度の計測時間は、橋梁の通過時間など、比較的短時間に限られる。短時間の間に計測された加速度を用いて推定された絶対高と、同じ方法で推定された車両が橋梁に進入する前の絶対高とが比較されるため、本実施形態において累積誤差は比較結果に大きな影響を及ぼさないと考えられる。
なお、加速度検出部221は、車載端末201の前後方向の加速度および左右方向の加速度も計測する。加速度検出部221は、上下方向の加速度に基づいて絶対高を推定する際、上下方向の加速度が計測された期間に計測された前後方向の加速度の値および左右方向の加速度の値を参照する。
計測された前後方向の加速度の値および左右方向の加速度の値が0である、すなわち車両が前後方向および左右方向に加速または減速をしていない場合、加速度検出部221は、上下方向の加速度をそのまま用いて絶対高を推定する。
計測された前後方向の加速度の値が0でない、すなわち車両が前後方向に加速または減速をしている場合、加速度検出部221は、前後方向の加速度が0でない期間に計測された上下方向の加速度のデータを、絶対高の推定に用いない対象外のデータとする。加速度検出部221は、例えば、前後方向の加速度が0でない期間に計測された上下方向の加速度のデータに、対象外のデータであることを示す識別情報を付与する。
その理由は、例えば、前後方向に加速度が生じている場合、運転手がブレーキペダルやアクセルペダルを操作することによって、車両を減速または加速させている可能性がある。すなわち、前後方向に加速度が生じている場合、推定された車載端末の絶対高には路面からの高さ以外の要素が含まれており、推定された車載端末の絶対高は路面からの高さに相当しないと考えられるためである。
また、計測された左右方向の加速度の値が0でない、すなわち車両が左右方向に加速または減速をしている場合、加速度検出部221は、左右方向の加速度が0でない期間に計測された上下方向の加速度のデータを、絶対高の推定に用いない対象外のデータとする。加速度検出部221は、例えば、左右方向の加速度が0でない期間に計測された上下方向の加速度のデータに、対象外のデータであることを示す識別情報を付与する。
その理由は、例えば、左右方向に加速度が生じている場合、車両がカーブしている橋梁を走行している可能性がある。橋梁がカーブしていると走行する時車体に遠心力がかかり、左右方向に加速度が生じるためである。すなわち、左右方向に加速度が生じている場合、推定された車載端末の絶対高には路面からの高さ以外の要素が含まれており、推定された車載端末の絶対高は路面からの高さに相当しないと考えられるためである。
なお、計測された前後方向の加速度の値および左右方向の加速度の値が0でない場合であっても、実質的に車両が前後方向および左右方向に加速または減速をしていないと考えられる場合(例えば、加速度の値が略0である場合)であれば、加速度検出部221は、対応する期間に計測された上下方向の加速度を用いて絶対高を推定してもよい。
車高検出部231は、路面から車載端末201が搭載されている車両の車体下部までの距離(以下、路面との相対車高という。)を常時計測する機能を有する。車高検出部231は、例えば、超音波センサを用いて路面との相対車高を計測する。路面との相対車高は、例えば、最低地上高である。
車高検出部231は、所定の期間に計測された相対車高から、過去に計測された相対車高の平均値を減算する。過去に計測された相対車高は、例えば、橋梁の沈降の影響などが反映されていない平常時の相対車高である。平常時の相対車高を減算することによって、車高検出部231は、所定の期間における車両の懸架装置(サスペンション)の上下方向の振動幅を算出する。
なお、平常時の相対車高は、比較的短い周期で更新される値である。すなわち、平常時の相対車高には、例えば、車両の積荷の積載状況も反映される。車高検出部231は、比較的最近の移動平均値(例えば、現在から1時間前までのデータの移動平均値)である平常時の相対車高を、過去に計測された相対車高の平均値として用いる。
勾配推定部241は、所定の期間に車両が走行した路面の勾配を推定する機能を有する。勾配推定部241は、加速度検出部221が推定した車載端末201の絶対高から、車高検出部231が算出した懸架装置の上下方向の振動幅を減算する。
懸架装置の上下方向の振動幅を減算する理由は、路面の凹凸などに起因する懸架装置による車両の上下方向の動作への影響を、推定された車載端末の絶対高から取り除くためである。懸架装置による影響を推定された車載端末の絶対高から取り除くことによって、勾配推定部241は、推定された車載端末の絶対高を補正する。
次いで、勾配推定部241は、補正された車載端末201の絶対高を、過去に推定された短時間にわたる車載端末201の絶対高の平均値から減算する。過去に推定された車載端末の絶対高は、例えば、橋梁の沈降の影響などが反映されていない橋梁の進入前の平常時の絶対高である。
勾配推定部241は、測定対象の橋梁に対して、例えば、橋梁の所定区間ごとに上記処理を行う。勾配推定部241は、対象の橋梁の端から端にかけて上記処理を行った後、算出結果を用いて、橋梁の勾配を推定する。
橋梁の勾配の推定方法の具体例を、図3を参照して説明する。図3は、橋梁の勾配の推定に使用される測定値の具体例を示す説明図である。
図3に示す高さAは、車両が橋梁区間に進入する前の、車両に設置された車載端末201の絶対高の平均値を示す。高さAは、加速度検出部221により推定される。推定された高さAには、所定量の累積誤差が含まれる。
図3に示す高さBは、車両が橋梁区間を走行している時の、車両に設置された車載端末201の絶対高を示す。高さBは、加速度検出部221により推定される。推定された高さBには、所定量の累積誤差が含まれる。
図3に示すように、車両が橋梁区間内に存在する時、車両の懸架装置が上下方向に振動する。すなわち、図3に示す高さAから高さBが減算された幅Cには、懸架装置が上下方向に振動した幅である振動幅が含まれている。よって、本実施形態において橋梁の沈降量を求める際、単に絶対高の差分をとるだけでなく、懸架装置の振動幅も考慮することが求められる。
図3に示す高さDは、車両が橋梁区間に進入する前の、路面との相対車高の平均値を示す。また、図3に示す高さEは、車両が橋梁区間を走行している時の、路面との相対車高を示す。高さDおよび高さEは、車高検出部231により計測される、車載端末201から垂直に降下した場所付近の相対車高である。車高検出部231は、E−Dの計算を行うことによって、車両が橋梁区間を走行している時の、車両の懸架装置の上下方向の振動幅を算出する。
次いで、勾配推定部241は、加速度検出部221が推定した車載端末201の絶対高である高さBから、車高検出部231が算出した懸架装置の上下方向の振動幅(E−D)を減算する。
次いで、勾配推定部241は、減算された車載端末201の絶対高を、過去に推定された短時間にわたる車載端末201の絶対高の平均値である高さAから減算する。すなわち、勾配推定部241は、A−(B−(E−D))の計算を行い、計算結果と対応する車両の走行距離などを用いて橋梁の勾配を推定する。
データ記録部251は、勾配推定部241が推定した勾配の情報を記録する機能を有する。データ記録部251は、勾配の推定に使用されたデータが計測された期間に位置検出部211が計測した位置情報および時刻情報を、勾配情報と対応付けて記録する。
データ送信部261は、データ記録部251に対応付けて記録されている勾配情報、位置情報、および時刻情報を、ネットワーク400を介してデータ解析サーバ300に所定の間隔で送信する機能を有する。勾配情報の推定および送信が各車載端末で繰り返し実施されることによって、各大型自動車の走行履歴に対応する勾配情報が収集される。
次に、データ解析サーバ300の構成を説明する。図2に示すように、データ解析サーバ300は、データ受信部310と、橋梁抽出部320と、橋梁記憶部330と、劣化診断部340と、劣化表示部350とを含む。
データ受信部310は、車載端末201〜20Nから併せて送信された勾配情報、位置情報、および時刻情報を受信する機能を有する。
橋梁抽出部320は、データ受信部310が受信した位置情報を用いて、位置情報に対応付けられた勾配情報が対応する橋梁の情報を抽出する機能を有する。橋梁記憶部330には橋梁の識別情報や位置情報が記憶されている。橋梁抽出部320は、受信された位置情報に対応する橋梁記憶部330に記憶されている位置情報を探索し、データ受信部310が受信した勾配情報に対応する橋梁を決定する。
対応する橋梁を決定した後、橋梁抽出部320は、データ受信部310が併せて受信した勾配情報と時刻情報を、決定された橋梁の勾配履歴データとして橋梁記憶部330に保存する。
橋梁記憶部330は、各橋梁の勾配履歴データを蓄積する機能を有する。勾配履歴データには少なくとも、橋梁の識別情報、橋梁の位置情報、橋梁の勾配情報、および勾配情報が取得された年月日や時刻を示す時刻情報が含まれる。各車載端末から送信されたデータに対して橋梁抽出部320が上記作業を繰り返し実施することによって、橋梁記憶部330には、各橋梁の勾配履歴データが蓄積される。
劣化診断部340は、所定の周期で橋梁記憶部330に蓄積されている勾配履歴データに基づいて、各橋梁を診断する機能を有する。所定の周期は、例えば1週間である。
診断する際、劣化診断部340は、例えば、橋梁記憶部330に記憶されている勾配情報のうち、取得された時間が近い複数の勾配情報を用いて、勾配の平均値を算出する。平均値が算出されることによって、勾配情報が示す勾配に含まれる個々の車両や計測条件の違いなどによる誤差の影響が小さくなる。
劣化診断部340は、例えば、各橋梁の勾配の経時変化の様子を確認することによって、各橋梁を診断する。具体的には、劣化診断部340は、勾配の経時変化の最新の傾向と、勾配の経時変化の過去の傾向とを比較する。
劣化診断部340は、例えば、各橋梁の勾配の経時変化量が、過去の経時変化量の分散値を超えているか否かを確認する。過去の経時変化量の分散値を超えている場合、劣化診断部340は、劣化表示部350に対して、対象の橋梁および橋梁の劣化状況を示す内容を表示させる指示を出力する。
劣化表示部350は、ユーザに対して劣化橋梁および劣化状況を示す内容を表示する機能を有する。劣化表示部350は、例えば、劣化診断部340から通知された橋梁の劣化に対する注意をユーザに喚起するように表示する。
図4は、劣化表示部350による表示の内容の一例を示す説明図である。図4に示すように、劣化表示部350は、ユーザに通知しなければならない内容を一覧で表示してもよい。図4に示すように、表示内容には、例えば、橋梁名、劣化レベル、橋梁の所在地が含まれる。
劣化レベルは、例えば、劣化診断部340が勾配の経時変化量に応じて判定したレベルである。なお、劣化表示部350は、他の方法で橋梁の劣化状況を示してもよい。また、表示内容には、最終診断日や劣化が最初に確認された年月日など、他の情報が含まれていてもよい。
図5は、劣化表示部350による表示の内容の他の一例を示す説明図である。図5に示すように、劣化表示部350は、ユーザに通知しなければならない劣化橋梁を地図上に表示してもよい。
図5に示すように、劣化表示部350は、例えば、指定された範囲に対応する地図上の橋梁のうち、劣化度合いの大きい橋梁を、ユーザに分かるように強調して表示する。なお、劣化表示部350は、他の方法で劣化橋梁を地図上に表示してもよい。
[動作の説明]
以下、本実施形態の劣化橋梁診断システム100の動作を図6を参照して説明する。図6は、第1の実施形態の劣化橋梁診断システム100による劣化橋梁診断処理の動作を示すフローチャートである。なお、本例では車載端末201の動作を説明するが、他の車載端末の動作も車載端末201の動作と同様である。
車載端末201が設置されている車両が走行中、橋梁区間に進入したとする。加速度検出部221は、計測された車載端末201の上下方向の加速度から、車両が橋梁区間に進入する前の車載端末201の絶対高の平均値を算出する(ステップS101)。
次いで、加速度検出部221は、計測された車載端末201の上下方向の加速度から、車両が橋梁区間を走行している時の、車載端末201の絶対高を推定する(ステップS102)。
次いで、車高検出部231は、車両が橋梁区間に進入する前に計測された路面との相対車高と、車両が橋梁区間を走行している時に計測された路面との相対車高から、車両が橋梁区間を走行している時の、車両の懸架装置の振動幅を算出する(ステップS103)。
次いで、勾配推定部241は、推定された車載端末201の絶対高、および算出された懸架装置の振動幅を用いて、橋梁の勾配を推定する(ステップS104)。
次いで、データ記録部251は、勾配の推定に使用されたデータが計測された期間に位置検出部211が計測した位置情報および時刻情報を、推定された勾配を示す勾配情報と対応付けて記録する(ステップS105)。
データ送信部261は、データ記録部251に対応付けて記録されている勾配情報、位置情報、および時刻情報を、所定の間隔でデータ解析サーバ300に送信する(ステップS106)。
データ受信部310は、車載端末201〜20Nからそれぞれ併せて送信された勾配情報、位置情報、および時刻情報を受信する(ステップS107)。
次いで、橋梁抽出部320は、橋梁記憶部330に記憶されている勾配履歴データが示す橋梁のうち、データ受信部310が受信した勾配情報に対応する橋梁を決定する。対応する橋梁を決定した後、橋梁抽出部320は、データ受信部310が併せて受信した勾配情報と時刻情報を、決定された橋梁の勾配履歴データとして橋梁記憶部330に保存する(ステップS108)。
劣化診断部340は、橋梁記憶部330に記憶されている勾配履歴データに基づいて、各橋梁を診断する(ステップS109)。劣化度合いが所定の基準を超える橋梁が確認された場合、劣化診断部340は、劣化表示部350に対して、劣化橋梁および劣化状況を示す内容を表示させる指示を出力する。
劣化表示部350は、劣化診断部340から出力された指示に基づいて、ユーザに対して劣化橋梁および劣化状況を示す内容を表示する(ステップS110)。表示された後、劣化橋梁診断システム100は、劣化橋梁診断処理を終了する。
本実施形態の劣化橋梁診断システムは、コストを大きくかけずに劣化した橋梁を抽出できる。その理由は、大型自動車が通常通り走行する間に、大型自動車に設置された車載端末が、大型自動車が通過した橋梁の勾配を推定し、データ解析サーバに勾配情報を送信するためである。すなわち、各橋梁にセンサを設置することなく橋梁の劣化状況を把握できるため、劣化橋梁診断システムは、劣化橋梁の抽出に要するコストを低減させる。
また、本実施形態の勾配推定部は、車両の懸架装置による影響を考慮して橋梁の勾配を推定するため、単に平らな場所における車載端末の絶対高と橋梁における車載端末の絶対高との差分をとって勾配を推定する方法に比べて、誤差の小さい勾配を推定できる。
実施形態2.
[構成の説明]
次に、本発明の第2の実施形態を、図面を参照して説明する。図7は、劣化橋梁診断システム100の第2の実施形態の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態の劣化橋梁診断システム100の車載端末201は、図2に示す車載端末201と異なり、車高検出部231の代わりに前方撮影部271が含まれている。前方撮影部271以外の図7に示す劣化橋梁診断システム100の構成は、図2に示す劣化橋梁診断システム100の構成と同様である。前方撮影部271は、車両の進行方向の映像を常時撮影する機能を有する。
本実施形態では、車両の懸架装置の上下方向の振動幅が、前方撮影部271が撮影した映像から算出される。前方撮影部271は、所定期間の懸架装置の上下方向の振動幅を求めるように指示された際、所定期間内の映像および所定期間の直前の映像に対して、垂直方向に相関処理を行う。前方撮影部271は、相関処理により相関ピーク位置のずれ幅を求める。
例えば、垂直方向に画像を相関処理すると、相関ピーク位置の変位より、2つの画像間において垂直方向にずれた画素のずれ幅が分かる。また、車両の懸架装置が上下方向に振動することによって、前方撮影部271により撮影される映像も、上下方向に振動する。
すなわち、映像の相関処理において相関のピークをとる垂直方向のずれ幅が、車両の懸架装置の上下方向の振動幅であると考えられる。本実施形態の勾配推定部241は、前方撮影部271が上記の方法で求めた相関のピークをとる垂直方向のずれ幅を、車両の懸架装置の上下方向の振動幅として扱う。
なお、超音波センサなどで相対車高を直接計測する場合とは異なり、画像の上下方向での相関処理自体では、現在と過去の画像間でのピーク位置のずれ量、すなわち、上下間における相対的な変位量しか計測されない。
具体的に説明すると、相対車高を直接計測する場合、所定期間の測定値を平均化すれば、平常時の相対車高が得られる。一方、画像の上下方向での相関処理において、ピーク位置のずれ量を平均化すると、ピーク位置のずれ量はゼロになる。
そこで、ピーク位置のずれ量の変化がほぼゼロの区間を意図的に選ぶ方法がある。この方法では、前方撮影部271は、選ばれた区間を、懸架装置による車体の上下動がない区間、すなわち、凹凸などの影響がなく、相対車高が通常値である区間と見なす。
車両が選ばれた区間を通過した後からピーク位置のずれ量を積分することによって、前方撮影部271は、車高の懸架装置による上下動を算出できる。このような動作を連続的に行うことによって、前方撮影部271は、ピーク位置のずれ量の変化のみを用いて、相対車高の通常値からのずれ幅を算出できる。なお、画素単位で算出されるピーク位置のずれ量を車体の懸架装置による上下動の幅に換算する尺度は、センサ設置時に較正して求めればよい。
[動作の説明]
以下、本実施形態の劣化橋梁診断システム100の動作を図8を参照して説明する。図8は、第2の実施形態の劣化橋梁診断システム100による劣化橋梁診断処理の動作を示すフローチャートである。なお、本例では車載端末201の動作を説明するが、他の車載端末の動作も車載端末201の動作と同様である。
ステップS201〜S202の処理は、図6に示すステップS101〜S102の処理と同様である。
前方撮影部271は、車両が橋梁区間を走行している時に撮影した映像を用いて、車両が橋梁区間を走行している時の、車両の懸架装置の振動幅を算出する(ステップS203)。
ステップS204〜S210の処理は、図6に示すステップS104〜S110の処理と同様である。
本実施形態の勾配推定部は、前方撮影部が算出した車両の懸架装置の振動幅を用いて、橋梁の勾配を推定する。よって、本実施形態の劣化橋梁診断システムは、車載端末が路面との相対車高を計測する構成要素を備えていなくても、車両の懸架装置による影響が排除された橋梁の勾配を推定できる。
実施形態3.
[構成の説明]
次に、本発明の第3の実施形態を、図面を参照して説明する。図9は、劣化橋梁診断システム100の第3の実施形態の構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、本実施形態の劣化橋梁診断システム100の車載端末201は、図2に示す車載端末201と異なり、車高検出部231の代わりに姿勢検出部281が含まれている。姿勢検出部281以外の図9に示す劣化橋梁診断システム100の構成は、図2に示す劣化橋梁診断システム100の構成と同様である。
姿勢検出部281は、車載端末201が設置された車両の前後方向の傾きを常時計測する機能を有する。姿勢検出部281は、例えば、姿勢計を用いて車両の傾きを計測する。
車載端末201は車両に固定されているため、例えば、車両が前方に傾いた橋梁を走行する時、姿勢検出部281が計測する車両の前後方向の傾きは橋梁の勾配に相当する。本実施形態では、姿勢検出部281が橋梁の勾配に相当するデータを直接計測する。すなわち、姿勢検出部281が計測したデータが、そのまま勾配情報になる。
また、本実施形態の加速度検出部221は、計測された前後方向の加速度、上下方向の加速度、および左右方向の加速度の情報に基づいて、加速度が生じている期間に計測された勾配情報に、対象外のデータであることを示す識別情報を付与する。
その理由は、例えば、前後方向に加速度が生じている場合、運転手がブレーキペダルやアクセルペダルを操作することによって、車両を減速または加速させている可能性がある。また、例えば、上下方向に加速度が生じている場合、車両が橋梁内の凹凸を通過している可能性がある。また、例えば、左右方向に加速度が生じている場合、車両がカーブしている橋梁を走行している可能性がある。すなわち、加速度が生じている場合、計測された車両の前後方向の傾きには橋梁の勾配以外の要素が含まれており、計測された車両の傾きは橋梁の勾配に相当しないと考えられるためである。
なお、計測された加速度の値が0でない場合であっても、実質的に車両が加速または減速をしていないと考えられる場合(例えば、加速度の値が略0である場合)であれば、加速度検出部221は、対応する期間に計測された勾配情報に、対象外のデータであることを示す識別情報を付与しなくてもよい。
また、本実施形態の勾配推定部241は、計測された勾配情報のうち、対象外のデータであることを示す識別情報が付与されていない勾配情報を選択し、データ記録部251に記録する。識別情報が付与されている勾配情報は、無効データとして扱われる。
[動作の説明]
以下、本実施形態の劣化橋梁診断システム100の動作を図10を参照して説明する。図10は、第3の実施形態の劣化橋梁診断システム100による劣化橋梁診断処理の動作を示すフローチャートである。なお、本例では車載端末201の動作を説明するが、他の車載端末の動作も車載端末201の動作と同様である。
車載端末201が設置されている車両が走行中、橋梁区間に進入したとする。姿勢検出部281は、車両の前後方向の傾きを計測する(ステップS301)。
次いで、加速度検出部221は、計測された車載端末201の前後方向の加速度および上下方向の加速度の情報を用いて、傾きが計測された期間に加速度が生じていたか否かを確認する(ステップS302)。加速度が生じていた場合、加速度検出部221は、計測された勾配情報に、対象外のデータであることを示す識別情報を付与する。
次いで、勾配推定部241は、計測された勾配情報のうち、識別情報が付与されていない勾配情報を選択し、データ記録部251に記録する。データ記録部251は、車両の前後方向の傾きが計測された期間に位置検出部211が計測した位置情報および時刻情報を、勾配情報と対応付けて記録する(ステップS303)。
ステップS304〜S308の処理は、図6に示すステップS106〜S110の処理と同様である。
本実施形態の勾配推定部は、加速度検出部が計測した加速度情報に基づいて、車両が加速していない時に姿勢検出部が計測した車両の前後方向の傾きを橋梁の勾配とする。よって、橋梁の勾配が直接求められるため、第1の実施形態や第2の実施形態に比べて、本実施形態の劣化橋梁診断システムが収集する橋梁の勾配に含まれる誤差はさらに小さい。
実施形態4.
[構成の説明]
次に、本発明の第4の実施形態を、図面を参照して説明する。図11は、劣化橋梁診断システム100の第4の実施形態の構成例を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施形態の劣化橋梁診断システム100の車載端末201は、図2に示す車載端末201と異なり、車高検出部231が含まれていない。車高検出部231以外の図11に示す劣化橋梁診断システム100の構成は、図2に示す劣化橋梁診断システム100の構成と同様である。
本実施形態の勾配推定部241は、加速度検出部221が推定した車載端末201の絶対高に対して、数秒周期の短時間移動平均処理を実施する。短時間移動平均処理が実施されることによって、推定された車載端末201の絶対高から、懸架装置の上下方向の振動の影響が排除される。
その理由は、通常懸架装置の上下方向の振動は2〜3秒程度で収束する。よって、車載端末の絶対高に対して数秒周期で移動平均処理を実施した場合、絶対高に含まれる懸架装置の上下方向の振動幅が0になると考えられるためである。勾配推定部241は、移動平均処理後の車載端末201の絶対高を、過去に推定された短時間にわたる車載端末201の絶対高の平均値から減算する。
[動作の説明]
以下、本実施形態の劣化橋梁診断システム100の動作を図12を参照して説明する。図12は、第4の実施形態の劣化橋梁診断システム100による劣化橋梁診断処理の動作を示すフローチャートである。なお、本例では車載端末201の動作を説明するが、他の車載端末の動作も車載端末201の動作と同様である。
ステップS401〜S402の処理は、図6に示すステップS101〜S102の処理と同様である。
勾配推定部241は、加速度検出部221が推定した車載端末201の絶対高に対して、数秒周期の短時間移動平均処理を実施する(ステップS403)。次いで、勾配推定部241は、移動平均処理後の車載端末201の絶対高を用いて、橋梁の勾配を推定する(ステップS404)。
ステップS405〜S410の処理は、図6に示すステップS105〜S110の処理と同様である。
本実施形態の勾配推定部は、加速度検出部が計測した加速度情報以外の計測情報を用いずに、懸架装置の上下方向の振動の影響が排除された橋梁の勾配を推定できる。よって、本実施形態の劣化橋梁診断システムは、第1〜第3の実施形態に比べてよりコストをかけずに誤差の小さい橋梁の勾配を収集できる。
以下、車載端末201のハードウェア構成、およびデータ解析サーバ300のハードウェア構成の具体例を説明する。図13は、本発明による車載端末のハードウェア構成例を示す説明図である。図14は、本発明によるデータ解析サーバのハードウェア構成例を示す説明図である。
図13に示す車載端末201は、CPU(Central Processing Unit)21と、主記憶部22と、通信部23と、補助記憶部24とを備える。また、車載端末201は、人が操作するための入力部25や、人に処理結果または処理内容の経過を提示するための出力部26を備えてもよい。
図14に示すデータ解析サーバ300は、CPU31と、主記憶部32と、通信部33と、補助記憶部34とを備える。また、データ解析サーバ300は、人が操作するための入力部35や、人に処理結果または処理内容の経過を提示するための出力部36を備えてもよい。
主記憶部22および主記憶部32は、データの作業領域やデータの一時退避領域として用いられる。主記憶部22および主記憶部32は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
通信部23および通信部33は、有線または無線のネットワーク(情報通信ネットワーク)を介して、周辺機器との間でデータを入力および出力する機能を有する。
補助記憶部24および補助記憶部34は、ハードディスク装置などの記憶装置である。補助記憶部24および補助記憶部34は、例えばROM(Read Only Memory)である。
入力部25および入力部35は、データや処理命令を入力する機能を有する。入力部25は、例えばタッチパネルである。入力部35は、例えばキーボードやマウスである。
出力部26および出力部36は、データを出力する機能を有する。出力部26は、例えば液晶パネルである。出力部36は、例えば液晶ディスプレイ装置などの表示装置、またはプリンタなどの印刷装置である。
また、図13に示すように、車載端末201において、各構成要素は、システムバス27に接続されている。また、図14に示すように、データ解析サーバ300において、各構成要素は、システムバス37に接続されている。
補助記憶部24は、例えば、位置検出部211、加速度検出部221、車高検出部231、勾配推定部241、前方撮影部271、および姿勢検出部281をそれぞれ実現するためのプログラムを記憶している。
また、主記憶部22は、例えば、データ記録部251の記憶領域として利用される。また、データ送信部261は、例えば、通信部23を介して、勾配情報などを送信する。
なお、車載端末201は、ハードウェアにより実現されてもよい。例えば、車載端末201は、内部に図2、図7、図9、図11に示すような機能を実現するプログラムが組み込まれたLSI(Large Scale Integration)などのハードウェア部品が含まれる回路が実装されてもよい。
また、車載端末201は、図13に示すCPU21が図2、図7、図9、図11に示す各構成要素が有する機能を提供するプログラムを実行することによって、ソフトウェアにより実現されてもよい。
ソフトウェアにより実現される場合、CPU21が補助記憶部24に格納されているプログラムを、主記憶部22にロードして実行し、車載端末201の動作を制御することによって、各機能がソフトウェアにより実現される。
補助記憶部34は、例えば、橋梁抽出部320、劣化診断部340、および劣化表示部350をそれぞれ実現するためのプログラムを記憶している。
また、主記憶部32は、例えば、橋梁記憶部330の記憶領域として利用される。また、データ受信部310は、例えば、通信部33を介して、勾配情報などを受信する。
なお、データ解析サーバ300は、ハードウェアにより実現されてもよい。例えば、データ解析サーバ300は、内部に図2、図7、図9、図11に示すような機能を実現するプログラムが組み込まれたLSIなどのハードウェア部品が含まれる回路が実装されてもよい。
また、データ解析サーバ300は、図14に示すCPU31が図2、図7、図9、図11に示す各構成要素が有する機能を提供するプログラムを実行することによって、ソフトウェアにより実現されてもよい。
ソフトウェアにより実現される場合、CPU31が補助記憶部34に格納されているプログラムを、主記憶部32にロードして実行し、データ解析サーバ300の動作を制御することによって、各機能がソフトウェアにより実現される。
次に、本発明の概要を説明する。図15は、本発明による抽出システムの概要を示すブロック図である。本発明による抽出システム60は、車両に設置される車載端末70(例えば、車載端末201)と、車載端末70と通信可能に接続されているサーバ80(例えば、データ解析サーバ300)とを備えた抽出システムであって、車載端末70は、車両が走行した場合の、当該車両が走行した場所の勾配を示す勾配情報を取得する取得部71(例えば、勾配推定部241)と、取得された勾配情報をサーバ80に送信する送信部72(例えば、データ送信部261)とを含み、サーバ80は、車載端末70から送信された勾配情報に基づいて、経時変化量が所定値を超える勾配情報に対応する場所を抽出する抽出部81(例えば、劣化診断部340)を含む。
そのような構成により、抽出システムは、コストを大きくかけずに勾配の経時変化量が存在する場所を抽出できる。
また、車載端末70は、車載端末70の加速度を計測する加速度計測部(例えば、加速度検出部221)を含み、加速度計測部は、車両が走行している時に計測された垂直方向の加速度に基づいて、所定の位置から車載端末70までの距離を算出し、取得部71は、距離に基づいて勾配情報を取得してもよい。
そのような構成により、抽出システムは、加速計を用いて橋梁の勾配を推定できる。
また、加速度計測部は、車両が走行している時に計測された垂直方向の加速度に基づいて、当該車両が走行した場所の路面から車載端末70までの高さを場所における絶対高として算出し、取得部71は、傾斜している場所における絶対高と平らな場所における絶対高とを用いて勾配情報を取得してもよい。
そのような構成により、抽出システムは、絶対高に基づいて橋梁の勾配を推定できる。
また、車載端末70は、車両が走行した場所の路面から車両の車体下部までの距離である相対車高を計測する距離計測部(例えば、車高検出部231)を含み、距離計測部は、傾斜している場所で計測された相対車高と平らな場所で計測された相対車高との差分を取得し、取得部71は、勾配情報を取得する際に差分が減算された傾斜している場所における絶対高を用いてもよい。
そのような構成により、抽出システムは、車両の懸架装置の振動の影響が排除された橋梁の勾配を推定できる。
また、車載端末70は、車両の進行方向の映像を撮影する撮影部(例えば、前方撮影部271)を含み、撮影部は、車両が走行している時に撮影された映像から、その映像が撮影された場所で垂直方向に移動した画素の移動量を算出し、取得部71は、勾配情報を取得する際に移動量が減算された絶対高を用いてもよい。
そのような構成により、抽出システムは、カメラで撮影された映像を用いることによって、車両の懸架装置の振動の影響が排除された橋梁の勾配を推定できる。
また、取得部71は、勾配情報を取得する際に移動平均処理が実施された絶対高を用いてもよい。
そのような構成により、抽出システムは、コストをよりかけずに、車両の懸架装置の振動の影響が排除された橋梁の勾配を推定できる。
また、車載端末70は、車載端末70の加速度を計測する加速度計測部(例えば、加速度検出部221)と、車両の前後方向の傾きを計測する姿勢計測部(例えば、姿勢検出部281)とを含み、取得部71は、車両が走行した際に計測された傾きの情報のうち、計測された加速度が0である期間に計測された傾きの情報を勾配情報として取得してもよい。
そのような構成により、抽出システムは、誤差が多く含まれていない橋梁の勾配を取得できる。
また、サーバ80は、抽出された場所の情報を表示する表示部(例えば、劣化表示部350)を含んでもよい。
そのような構成により、抽出システムは、ユーザに対して劣化した橋梁を通知できる。
また、表示部は、抽出された場所の情報と、抽出された場所の勾配情報の経時変化量に対応する内容を併せて表示してもよい。
そのような構成により、抽出システムは、ユーザに対して劣化した橋梁と、橋梁の劣化状況を通知できる。
また、表示部は、抽出された場所を、地図上に強調して表示してもよい。
そのような構成により、抽出システムは、ユーザに対して劣化した橋梁の場所を分かりやすく通知できる。
図16は、本発明による抽出サーバの概要を示すブロック図である。本発明による抽出サーバ90は、車両に設置された車載端末と通信可能に接続されている抽出サーバであって、車載端末から送信された、車両が走行した場合の、当該車両が走行した場所の勾配を示す勾配情報に基づいて、経時変化量が所定値を超える勾配情報に対応する場所を抽出する抽出部91(例えば、劣化診断部340)を含む。
そのような構成により、抽出サーバは、コストを大きくかけずに勾配の経時変化量が存在する場所を抽出できる。
また、本発明による表示装置は、車載端末から取得した車両が走行した場所の勾配を示す勾配情報に基づいて、経時変化量が所定値を超える勾配情報に対応する場所を地図上に表示する表示装置でもよい。
また、表示装置は、車載端末から取得した車両が走行した場所の勾配を示す勾配情報に基づいて、経時変化量が所定値を超える勾配情報に対応する場所を抽出する抽出部を備えていてもよい。