JP6507652B2 - アルミニウム又はアルミニウム合金部材およびその製造方法 - Google Patents
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本発明により形成した陽極酸化皮膜の表面を、電子顕微鏡を用いて観察し、皮膜表面に存在する微細孔の孔径を測定する試験を行った。孔径は、微細孔の開口部の孔径の平均値(5つの微細孔の平均値)とした。一連の処理の前後で、陽極酸化皮膜の孔径が1.5〜2倍に拡大しているものについては、その評価結果を○とし、2倍を超えて拡大しているものを◎とし、それ以外のもの、例えば、1.5倍未満の変化のものや、細孔が塞がってしまっているもの、皮膜の溶解により細孔(セル構造)が崩れてしまったものを×とした。また、陽極酸化皮膜の膜厚については、膜厚計(フィッシャーインストルメンツ社製)にて測定を行い、陽極酸化処理の前後で、膜厚が20%以上薄くなっている場合は、評価結果を×とし、それ以外は○とした。膜厚も、陽極酸化皮膜の平均膜厚(5つの部分の平均値)である。総合評価の結果は、細孔径の評価結果と膜厚の評価結果のどちらか一方が×の場合は×とし、それ以外の場合は細孔径の評価結果に合わせて○か◎とした。
アルミニウム合金A1100材の試験片を、200g/Lの濃度の硫酸浴に陽極として浸漬し、電流密度2A/dm2で直流電流を10分間通電することにより、試験片の表面に陽極酸化皮膜を形成した。この陽極酸化皮膜は、電子顕微鏡を用いて観察したところ、細孔径が15nmで、膜厚は20μmであった。図3に、陽極酸化皮膜の表面の電子顕微鏡写真を示す。写真中の黒い部分が細孔である。この陽極酸化皮膜を対照例1として、以下の試験例1〜4において、処理前後の細孔径や膜厚の変化を判断する基準として用いた。
アルミニウム合金A1100材の試験片を、200g/Lの濃度の硫酸浴に陽極として浸漬し、電流密度2A/dm2の直流電流を10分間通電することにより、細孔径が15nm、膜厚が20μmの陽極酸化皮膜を形成した。次に、前処理として、以下の表1に示すように、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウムのpHが異なるリン酸化合物の試薬を用いて、リン酸イオン濃度が0.01〜6mol/Lになるように調製した水溶液(20℃)に、陽極酸化皮膜を形成した試験片を2分間浸漬した。その後、水和処理として、水酸化リチウム一水和物を用いてリチウムイオン濃度が0.2g/Lとなるように調製したpH13の水溶液(25℃)に、前処理をした試験片を1分間浸漬した。この水和処理をした後の試験片の表面を、電子顕微鏡にて観察し、表面に存在する細孔径を測定するとともに、膜厚計にて陽極酸化皮膜の膜厚を測定した。試験例1において測定した各値を、上述の対照例1の基準値と比較し、評価した結果を表1に示す。
アルミニウム合金A1100材の試験片を、200g/Lの濃度の硫酸浴に陽極として浸漬し、電流密度2A/dm2の直流電流を10分間通電することにより、陽極酸化皮膜を形成した。次に、前処理として、リン酸を試薬として用いてリン酸イオン濃度が1mol/Lになるように調製した水溶液に、5〜50℃の間の各温度で、陽極酸化皮膜を形成した試験片を2分間浸漬した。その後、水和処理として、試験例1と同様に、リチウムイオン濃度が0.2g/Lとなるように調製したpH13の水溶液(25℃)に、前処理をした試験片を1分間浸漬した。この水和処理をした後の試験片の表面を、試験例1と同様に、電子顕微鏡で細孔径を測定するとともに、膜厚計で膜厚を測定した。この試験例2において測定した各値を、上述の対照例1の基準値と比較し、評価した結果を表2に示す。
アルミニウム合金A1100材の試験片を、200g/Lの濃度の硫酸浴に陽極として浸漬し、電流密度2A/dm2の直流電流を10分間通電することにより、陽極酸化皮膜を形成した。次に、前処理として、リン酸を試薬として用いてリン酸イオン濃度が1mol/Lになるように調製した水溶液(20℃)に、陽極酸化皮膜を形成した試験片を15秒間〜10分間の各種時間で浸漬した。その後、水和処理として、試験例1と同様に、リチウムイオン濃度が0.2g/Lとなるように調製したpH13の水溶液(25℃)に、前処理をした試験片を1分間浸漬した。この水和処理をした後の試験片の表面を、試験例1と同様に、電子顕微鏡で細孔径を測定するとともに、膜厚計で膜厚を測定した。この試験例3において測定した各値を、上述の対照例1の基準値と比較し、評価した結果を表3に示す。
アルミニウム合金A1100材の試験片を、200g/Lの濃度の硫酸浴に陽極として浸漬し、電流密度2A/dm2の直流電流を10分間通電することにより、陽極酸化皮膜を形成した。次に、前処理として、リン酸を試薬として用いてリン酸イオン濃度が1mol/Lになるように調製した水溶液(20℃)に、陽極酸化皮膜を形成した試験片を2分間浸漬した。その後、水和処理として、表4に示すように、水酸化リチウム一水和物を用いてリチウムイオン濃度が0.01〜25g/Lの範囲となるように調製したpH13の水溶液に、5〜80℃の間の温度で、前処理をした試験片を5秒間〜10分間の間の時間で、浸漬した。この水和処理をした後の試験片の表面を、試験例1と同様に、電子顕微鏡で細孔径を測定するとともに、膜厚計で膜厚を測定した。この試験例4において測定した各値を、上述の対照例1の基準値と比較し、評価した結果を表4に示す。
20 前処理されるアルミニウム又はアルミニウム合金部材
22 陽極酸化皮膜
24、34 孔
26 リン酸イオン
30 水和処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金部材
32 水和化合物
Claims (8)
- アルミニウム又はアルミニウム合金と、その表面に形成された陽極酸化皮膜とを備えるアルミニウム又はアルミニウム合金部材であって、前記陽極酸化皮膜の表面には複数の孔が存在し、前記孔は塞がれておらず、その内表面が水和化合物で覆われており、前記水和化合物がリチウム−アルミニウム水和物を含むものであるアルミニウム又はアルミニウム合金部材。
- 前記水和化合物でその内表面が覆われた孔は、部材表面における孔径が10nm以上である請求項1に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金部材。
- 前記陽極酸化皮膜の膜厚が10μm以上である請求項1又は2に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金部材。
- 前記リチウム−アルミニウム水和物がLiH(AlO2)2・5H2Oを含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金部材。
- 陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金を、リン酸イオンを含む前処理液に浸漬して前処理を行う工程と、
前記前処理を行ったアルミニウム又はアルミニウム合金上の陽極酸化皮膜を、リチウムイオンを含む水和処理液で水和処理して、前記陽極酸化皮膜の表面に存在する複数の孔の孔径を拡大し、且つこの孔の内表面を、リチウム−アルミニウム水和物を含む水和化合物で覆う工程と
を含むアルミニウム又はアルミニウム合金部材の製造方法。 - 前記前処理液のリン酸イオン濃度が0.1〜2.0mol/Lの範囲である請求項5に記載の製造方法。
- 前記前処理液の温度が10〜30℃の範囲である請求項5又は6に記載の製造方法。
- 前記前処理液に浸漬する時間が30秒間〜4分間の範囲である請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
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