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JP6504430B2 - 中間基材およびその中間基材を用いた繊維強化プラスチック部品の製造方法 - Google Patents

中間基材およびその中間基材を用いた繊維強化プラスチック部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊維強化プラスチックの成形に用いられる中間基材およびその中間基材を用いた繊維強化プラスチック部品の製造方法に関し、とくに、長手方向に筒状に延びる中空部を有し、かつ、円周方向に伸縮性を有する中間基材、およびその中間基材を用いた繊維強化プラスチック部品の製造方法に関する。
特許文献1には、補強用連続繊維糸と熱可塑性樹脂繊維糸を筒状にブレーディングした筒状の中間基材の製造方法が開示されている。しかし、ブレードを用いた方法では、筒状基材の周方向に繊維が伸びる割合が小さく、長手方向に横断面形状が任意に変化する繊維強化プラスチックの中間基材を作製することは困難である。仮にブレーディングした筒状の中間基材の一部を周方向に伸縮できた場合であっても、中間基材の長手方向の長さが短くなってしまう。そのためブレードでは成形すべき製品の形状毎にブレードによるプリフォームを作製する必要がある。また一般的に、ブレードは生産速度が遅く、歩留まりが悪いという問題がある。
また、特許文献2には、炭素繊維束に熱可塑性合成繊維糸の掛合糸をこれらの糸に張力を変化させて巻縫い掛合してうねりを設けた複合繊維糸を経糸および/または緯糸として編物状シートを編成した繊維強化複合編物材料が開示されている。しかし、この方法では、まず上記複合繊維糸を作製する必要があるが、その作製工程が複雑であり、たとえその複合繊維糸を用いて筒状の編物中間基材を編成することができたとしても、長手方向に沿って一方向に延びた強化繊維が配置されていないため構造部材に求められる十分な剛性、強度を得ることが困難である。
さらに、一般的に、熱硬化もしくは熱可塑性プリプレグシートを丸めて筒状の中間基材を作製する方法も知られているが、この方法では、常温での賦型性が悪く、作業性に問題がある。また、長手方向に横断面形状が変化する製品形状の場合、プリプレグ中の繊維の追従性が悪いため、横断面形状が変化する形状の基材の形成は困難な場合が多い。また、形状変化部分では、通常、繊維に切れ目を設ける必要があり、最終成形品に強度的な弱点を生じるおそれがある。
特開平6−278217号公報 特開2013−91870号公報
そこで本発明の課題は、長手方向に一様な筒状に延びる中空部を有する形状に編成された中間基材であって、長手方向に断面形状や周長が変化する複雑な製品形状に対しても容易に追従でき、自動車等の構造部材に要求される剛性、強度および耐衝撃性を有し、生産性が良く、しかも、同じ形状の中間基材を用いて異なる形状の製品形状を容易に作製することが可能な、多種多様な要求に良好にかつ容易に応えることができる筒状繊維強化プラスチック成形用の中間基材、およびその中間基材を用いた繊維強化プラスチック部品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る中間基材は、繊維強化プラスチックの成形に用いられる中間基材で、かつ、少なくとも一部の繊維が、連続繊維からなる強化繊維と連続繊維からなる熱可塑繊維をコミングルした混合繊維糸から構成され、長手方向に筒状に延びる中空部を有する形状に編成された中間基材であって、円周方向に±15%以上の伸縮性を有することを特徴とするものからなる。
このような本発明に係る中間基材においては、連続繊維からなる強化繊維と連続繊維からなる熱可塑繊維をコミングルした混合繊維糸を用いて、中空部を有する筒状の中間基材に編成されているので、ブレード等に比べて中間基材の形状変化に対する自由度が大きく、中間基材の長手方向の長さを保ったまま、円周方向に±15%以上の伸縮性を有する中間基材が実現される。所定の混合繊維糸を用いて所定形状の編物を形成すればよいだけなので、生産速度が速く、歩留まりが良く、優れた生産性を達成できる。また、円周方向に±15%以上の伸縮性を有するので、最終成形製品に合わせて成形時に中間基材を長手方向に横断面形状が変化する基材形状とする際にも、極端に大きな断面形状の変化がないかぎり、強化繊維を複雑な形状や横断面形状の変化に対して容易に追従させることができる。しかも、予め筒状に編成されている中間基材を横断面形状が変化するように形状変化させることになるので、強化繊維の配列に局部的に大きな乱れが生じることはなく、その中間基材を用いて最終的に成形される成形品に局部的な強度上の弱点部が発生することは適切に防止される。さらに、横断面形状が変化するように形状変化させようとする中間基材の形状変化後の形状が多種にわたっても、その範囲が、上記の円周方向における±15%以上の伸縮性によって吸収できる範囲内である限り(つまり、中間基材の形状変化後の形状が極端に異ならない限り)、同じ中間基材から多種の形状変化後の形状を有する成形品を作製することが可能になる。
上記本発明に係る中間基材においては、例えば、上記中空部の長手方向に沿って延在する経糸として、強化繊維が100tex以上4000tex以下の混合繊維糸、周方向に沿って延在する緯糸として、強化繊維が400tex以下の混合繊維糸、上記中空部の長手方向に沿って延在する鎖糸として、強化繊維が500tex以下の混合繊維糸が用いられている形態が好ましい。このような形態においては、中間基材の長手方向については成形品に成形した際に比較的高い機械特性(剛性、強度および耐衝撃性)の確保が可能になり、中間基材の周方向については中間基材段階での所望の伸縮性と成形品に成形した際に車体構造における必要最低限の機械特性の確保が可能になる。緯糸の強化繊維が400texより大きく、また、鎖糸が500texより大きくなると中間基材の生産性が低下してしまい好ましくない。最も好ましい形態としては、経糸の強化繊維が約800〜2000tex、緯糸の強化繊維が約200tex、鎖糸の強化繊維が約130texであることが好ましい。
また、本発明に係る中間基材においては、上記中空部の長手方向に沿って延在する経糸、周方向に沿って延在する緯糸および上記中空部の長手方向に沿って延在する鎖糸の強化繊維として同種の強化繊維を用いることもできるが、種類が互いに異なっている強化繊維を用いることもできる。とくに後者の形態では、中間基材における各方向に、互いに異なる主機能を持たせることが可能になり、中間基材全体、さらにはそれを用いて成形した成形品全体に関しても、各方向にそれぞれ望ましい主要求機能を持たせることが可能になる。
例えば、上記中空部の長手方向に沿って延在する経糸および周方向に沿って延在する緯糸の強化繊維として炭素繊維を含み、上記中空部の長手方向に沿って延在する鎖糸の強化繊維としてガラス繊維を含む形態を採用できる。このような形態においては、中空部の長手方向および周方向に対しては、最終成形品での高い機械特性(強度、弾性率等)が期待でき、中間基材の横断面方向に対しては、中間基材段階での優れた伸縮性が期待できる。また、中空部の長手方向に沿って延在する経糸の強化繊維として炭素繊維を含み、周方向に沿って延在する緯糸の強化繊維としてガラス繊維を含む形態を採用すれば、長手方向については成形品に成形した際の比較的高い機械特性の確保が可能になり、周方向については車体構造において必要最低限の機械特性を確保しつつ、低コストな中間基材とすることができる。
また、本発明に係る中間基材においては、上記混合繊維糸に用いられる熱可塑繊維として、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維を使用することが好ましい。PPSは耐熱性や耐薬品性などの環境特性が高く、自動車の電着塗装工程を通すことが可能となり、また高い機械特性を得ることができる。
また、本発明に係る中間基材においては、上記筒状に延びる中空部を有する中間基材の少なくとも内面側に熱可塑フィルムまたは熱可塑不織布が配置されている形態を採ることもできる。このようにすれば、例えば筒状の中間基材を加熱しその中空部内を加圧して中間基材の横断面形状を長手方向に沿って変化させる場合、中間基材の内面に断面形状変化のための内圧をより確実に負荷することが可能になる。また、コミングルされた熱可塑繊維だけでは熱可塑性材料の量が不足するような場合、十分な量の熱可塑性材料を補うこともできる。このような熱可塑フィルムまたは熱可塑不織布の材料としては、上述の混合繊維糸に用いられる熱可塑繊維と同様、PPSを使用することが好ましい。
このような本発明に係る中間基材は、とくに、長手方向に沿って横断面形状が変化する成形品の成形用中間基材として好適なものであり、例えば、自動車用ボディのAピラー、Bピラー、サイドシル、ルーフブレースなどの少なくとも一部の成形に用いられる中間基材として好適なものである。
本発明に係る繊維強化プラスチック製中空部品の製造方法は、上記のような中間基材を用いて繊維強化プラスチック製中空部品を製造する方法であって、
前記中間基材を、前記熱可塑繊維に使用している樹脂の融点以上の温度に予熱する工程と、
予熱された中間基材を、前記熱可塑繊維に使用している樹脂の固化温度よりも低い温度の型締め前の金型内に配置する工程と、
前記金型の型締めを行うとともに前記中間基材を内部から加圧する工程と、
前記中間基材を,前記金型との接触を介して冷却することにより、長手方向において断面形状が変化した中空部品として固化させる工程と、
を有することを特徴とする方法からなる。
このような本発明に係る繊維強化プラスチック製中空部品の製造方法においては、とくに、中間基材の内部からの加圧により、長手方向において断面形状が変化した中空部品形状への中間基材の賦形と固化をほぼ同時に行うことができる。そのため、事前の複雑な部品形状へのプリフォーム賦形工程を省くことができ、一工程を減らすことができるため、所望の断面形状の繊維強化プラスチック製中空部品の製造を低コスト化することができる。また、中間基材は混合繊維から構成されているため含浸のスピードが速く、ボイドや未含浸部の無い所望の強度を有する部品とすることが可能となる。
本発明に係る中間基材によれば、特定の混合繊維糸を用いて円周方向に±15%以上の伸縮性を有する筒状の中間基材として編成されているので、長手方向において横断面形状や周長が変化する製品形状であっても、形状変化に対する大きな自由度を達成できるとともに変化形状に繊維を良好にかつ容易に追従させて沿わせることができ、所望形状の筒状の成形品を容易にかつ確実に得ることができる。また、自動車等の構造部材に要求される剛性、強度および耐衝撃性を付与することができる。所定の混合繊維糸を用いて所定形状の筒状編物を形成すればよいので、所望形状の基材の作製を容易に行うことができ、生産速度が速く、歩留まりが良く、優れた生産性を達成できる。さらに、中間基材の形状変化後の形状が互いに極端に異ならなければ、同じ中間基材から多種の形状変化後の形状を有する成形品を作製することが可能になり、さらなる生産性向上やコストダウンに寄与することもできる。
また、本発明に係る繊維強化プラスチック製中空部品の製造方法によれば、上記のような中間基材を用いて、所望の断面形状でかつ所望の強度を有する繊維強化プラスチック製中空部品を、低コストでしかも短時間で効率よく製造することができる。
本発明の一実施様態に係る混合繊維糸、中間基材の図である。 本発明の一実施態様に係る中間基材の部分構成図である。 本発明に係る中間基材を用いて成形可能な製品形状の例を示す概略図であ る。 本発明の一実施様態に係る中間基材を用いた繊維強化プラスチック製中空部品の製造方法の概略工程図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る中間基材は、繊維強化プラスチックの成形に用いられる中間基材で、かつ、少なくとも一部の繊維が、連続繊維からなる強化繊維と連続繊維からなる熱可塑繊維をコミングルした混合繊維糸から構成され、長手方向に筒状に延びる中空部を有する形状に編成された中間基材であって、円周方向に±15%以上の伸縮性を有するものからなる。混合繊維糸に用いられる連続繊維からなる強化繊維としては、例えば、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維、さらにはこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維を用いることができ、混合繊維糸に用いられる連続繊維からなる熱可塑繊維としては、例えば、PPS繊維やナイロン繊維、PP(ポリプロピレン)繊維を用いることができる。
図1(a)に示すように、例えば、連続繊維からなる強化繊維(例えば、炭素繊維)と、連続繊維からなる熱可塑繊維(例えば、PPS繊維)がコミングルされて混合繊維糸11や12が形成される。このような混合繊維糸11、12を用いて、例えば図1(b)に示すような、長手方向に筒状に延びる中空部を有する中間基材20が編成される(中間基材編成工程)。
図2に中間基材の編成形態の一例を例示する。図に示す例では、筒状の基材として編成された中間基材21の一部分31の表側(図(A))と裏側(図(B))とを示すように、中間基材31の中空部の長手方向に沿って延在する経糸32として2本一組の経糸32が用いられ、鎖糸35を用いて、経糸32の両面に緯糸33および34が把持するように編成された形態となっている。上記のような中間基材11においては、前述したように、特定の混合繊維糸を用いて円周方向に±15%以上の伸縮性を有する筒状の基材として編成されているので、長手方向において変化する横断面形状を変化させることが要求される場合にあっても、形状変化に対する大きな自由度を達成できるとともに変化形状に繊維を良好にかつ容易に追従させて沿わせることができる。また、所定の混合繊維糸を用いて所定形状の筒状編物を形成すればよいだけなので、所望形状の基材の作製を容易に行うことができ、生産速度が速く、歩留まりが良く、優れた生産性を達成できる。さらには、このような成形品成形用基材を用いて最終的に成形される成形品(図示略)に局部的な強度上の弱点部が発生することも適切に防止される。さらにまた、同じ中間基材11から多種の形状変化後の形状を有する成形品を作製することも可能になり、さらなる生産性向上やコストダウンに寄与することもできる。上記のような中間基材の編成形態は特に限定されず、例えば鎖糸の形態としては、一般的に知られている開き目、閉じ目や、またトリコット構造とすることにより変化させることができ、必要な伸縮量に応じて、編み構造を決定すれば良い。
図2に示した経糸32には例えば強化繊維が100tex以上4000tex以下の混合繊維糸が用いられる。また、周方向に沿って延在する緯糸(1)33、緯糸(2)34として、強化繊維が400tex以下の混合繊維糸が用いられ、中空部の長手方向に沿って延在する鎖糸35として、強化繊維が500tex以下の混合繊維糸が用いられている。このような形態においては、前述したように、中間基材31の長手方向については成形品に成形した際の比較的高い機械特性の確保が可能になり、中間基材31の周方向については中間基材段階での所望の伸縮性と成形品に成形した際の車体構造における必要最低限の機械特性の確保が可能になる。これら経糸、緯糸および鎖糸の強化繊維としては、同種の強化繊維を用いることもでき、互いに異種の強化繊維を用いることもできる。混合繊維糸に用いる熱可塑繊維量としては、必要な剛性、強度に応じて適宜変更すれば良いが、wf(繊維重量含有率)が20〜80%の範囲内であることが好ましい。
上記のような中間基材は図3に示すように、成形時に(a)に示した断面形状が円筒のままで、長手方向に沿って周長が大きくなる場合、(b)に示した端部の断面形状が四角形となり周長が大きくなる場合、(c)、(d)のように長手方向の一部の周長が小さくなる場合や大きくなる場合など様々な形状変化に追随することが可能となる。
図4に、上記のような中間基材を用いた繊維強化プラスチック部品の製造方法の一例を例示する。図4(A)に示すようにエアー導入口61を有する金属製の治具51に、(B)に示すように中間基材22を配置する。その後、(B)に示した状態のまま予熱炉(図示略)で中間基材22に用いられている熱可塑繊維に使用している樹脂の融点以上に加熱する。図示例では、次に(C)に示すようにシール部材71、72を用いて中間基材22の内部を金型外部に対してシールした後、(D)に示すように、熱可塑繊維に使用している樹脂の固化温度より低い温度に設定され、プレス機(図示略)に取り付けられている金型80の上型81および下型91間に、とくにバネ構造部101、102上に予熱された中間基材22を治具51とともに配置する。バネ構造部101、102を設けておくことによって、中間基材22がすぐに金型に接触し冷却されることにより中間基材22が所望の製品形状に賦形される前に固化してしまうことを防止することができる。
その後図4(D)の矢印で示すように上型81を降下させ、上型81と下型91が型締めされると同時にエアー導入口61からエアーを導入し、中間基材22を内部から加圧する。中間基材22に内圧を付与することによって、中間基材22を型締めされた金型80の内面に沿わせて製品形状に賦形し、それと同時に金型80との接触を介して冷却し、中間基材22を長手方向において断面形状が変化した所望形状の中空部品として固化させることができる。そのため、事前の複雑な部品形状へのプリフォーム工程を省くことができ、一工程を減らすことができるため、製造を低コストで行うことができる。上型81の下降速度やバネ構造部101、102のバネ定数や高さは、中間基材22が金型に接触し冷却されることによって中間基材22が製品形状に賦形される前に固化することを防止することができるように設定すれば良い。また、図4(C)に示したように、中間基材22の両端に内圧に対するシールを目的に必要に応じて設けられるシール部材71、72には、耐熱性のあるゴム等を用いることが好ましい。また、このようなシール部材71、72の代わりに、中間基材22の内側にエアー導入口61と接続された耐熱性のある風船体(図示略)を配置しておき、該風船体を介して中間基材22に内圧をかけてもよい。内圧は少なくとも0.1MPa以上かけることが好ましく、製品内部の空隙率を低下させ製品に必要な強度、剛性を得ることができるよう必要に応じて、設定すればよい。さらに、図示しないが、中間基材22が製品形状に効率よく賦形されるように上型81もしくは下型91に真空引きラインを設けてもよい。
なお、図4に示した本発明の一実施態様に係る中間基材22を用いた繊維強化プラスチック部品の製造方法はあくまで例示であって、図4に示した方法以外の方法も採用可能である。例えば、中間基材22に内圧をかける手段として、エアー導入口61を有する金属製治具51以外に、上述したような風船体や、他の手段を使用することができる。また、内圧の範囲についても適宜設定されればよい。さらに、上述したように上型81もしくは下型91に真空引きラインを設ける場合、その真空吸引のための装置や構造についても、適宜設定することができる。
図4(D)に示した工程において中間基材22が長手方向において断面形状が変化した所望形状の中空部品として固化された後、図4(E)に矢印で示すように上型81が上昇され、図4(F)に示すような製品形状45の、長手方向に断面形状が変化した繊維強化プラスチック製中空部品を得ることができる。また、このような中空部品製造工程においては、中間基材22が混合繊維から構成されているため、含浸のスピードが速く、ボイドや未含浸部のない、自動車用ボディ等に好適に使用できる強度を有する部品とすることが可能となる。
このように、前述したような中間基材22は、長手方向に断面形状や周長が変化するAピラー、Bピラーやルーフブレースなどの自動車用ボディに好適に使用でき、さらに、自動車ボディに限らず、あらゆる構造体に、本発明に係る中間基材を利用する技術の適用が可能である。
本発明に係る中間基材は、長手方向に筒状に延びる中空部を有するあらゆる繊維強化プラスチック製部品の製造に適用可能である。
11、12 混合繊維糸
20、21、22 中間基材
31 中間基材の一部分
32 経糸
33、34 緯糸
35 鎖糸
41、42、43、44、45 製品形状例
51 治具
61 エアー導入口
71、72 シール部材
80 金型
81 上型
91 下型
101、102 バネ構造部

Claims (8)

  1. 繊維強化プラスチックの成形に用いられる中間基材で、かつ、少なくとも一部の繊維が、連続繊維からなる強化繊維と連続繊維からなる熱可塑繊維をコミングルした混合繊維糸から構成され、長手方向に筒状に延びる中空部を有する形状に編成された中間基材であって、円周方向に±15%以上の伸縮性を有し、前記中空部の長手方向に沿って延在する経糸として、強化繊維が100tex以上の混合繊維糸、周方向に沿って延在する緯糸として、強化繊維が400tex以下の混合繊維糸、前記中空部の長手方向に沿って延在する鎖糸として、強化繊維が500tex以下の混合繊維糸が用いられていることを特徴とする中間基材。
  2. 繊維強化プラスチックの成形に用いられる中間基材で、かつ、少なくとも一部の繊維が、連続繊維からなる強化繊維と連続繊維からなる熱可塑繊維をコミングルした混合繊維糸から構成され、長手方向に筒状に延びる中空部を有する形状に編成された中間基材であって、円周方向に±15%以上の伸縮性を有し、前記中空部の長手方向に沿って延在する経糸、周方向に沿って延在する緯糸および前記中空部の長手方向に沿って延在する鎖糸の強化繊維の種類が互いに異なっていることを特徴とする中間基材。
  3. 前記中空部の長手方向に沿って延在する経糸および周方向に沿って延在する緯糸の強化繊維として炭素繊維を含み、前記中空部の長手方向に沿って延在する鎖糸の強化繊維としてガラス繊維を含む、請求項に記載の中間基材。
  4. 混合繊維糸に用いられる熱可塑繊維がPPS繊維である,請求項1〜のいずれかに記載の中間基材。
  5. 前記筒状に延びる中空部を有する中間基材の少なくとも内面側に熱可塑フィルムまたは熱可塑不織布が配置されている、請求項1〜のいずれかに記載の中間基材。
  6. 中間基材の少なくとも内面側に配置される熱可塑フィルムまたは熱可塑不織布がPPSからなる,請求項5に記載の中間基材。
  7. 自動車用ボディの少なくとも一部の成形に用いられる中間基材である、請求項1〜のいずれかに記載の中間基材。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の中間基材を用いて繊維強化プラスチック製中空部品を製造する方法であって、
    前記中間基材を、前記熱可塑繊維に使用している樹脂の融点以上の温度に予熱する工程と、
    予熱された中間基材を、前記熱可塑繊維に使用している樹脂の固化温度よりも低い温度の型締め前の金型内に配置する工程と、
    前記金型の型締めを行うとともに前記中間基材を内部から加圧する工程と、
    前記中間基材を,前記金型との接触を介して冷却することにより、長手方向において断面形状が変化した中空部品として固化させる工程と、
    を有することを特徴とする繊維強化プラスチック製中空部品の製造方法。
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