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JP6501773B2 - 結晶形態のダサチニブの塩 - Google Patents

結晶形態のダサチニブの塩 Download PDF

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JP6501773B2 JP2016528496A JP2016528496A JP6501773B2 JP 6501773 B2 JP6501773 B2 JP 6501773B2 JP 2016528496 A JP2016528496 A JP 2016528496A JP 2016528496 A JP2016528496 A JP 2016528496A JP 6501773 B2 JP6501773 B2 JP 6501773B2
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Description

発明の詳細な説明
BMS−354825としても知られるダサチニブは、国際公開第00/62778号パンフレット及び米国特許第6,596,746号に開示された。ダサチニブ、化学的にN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニル]アミノ]−5−チアゾールカルボキサミドは、以下の構造:
Figure 0006501773
によって表される。
ダサチニブは、ブリストル・マイヤーズスクイブ社によって製造され、商標名Sprycel(登録商標)(有効成分としてダサチニブ一水和物を含有する)の下で販売された薬物である。ダサチニブは、イマチニブ処理及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)後の慢性骨髄性白血病(CML)の患者に使用するために承認された経口デュアルBCR/ABL及びSrcファミリーチロシンキナーゼ阻害剤である。
本発明は、主に結晶性物質、好ましくは、式1(上記参照)の化合物、好ましくは式1の化合物のカチオン、並びにグルタル酸、ニコチン酸及びサッカリンからなる群から選択される第2の医薬的に許容される化合物、好ましくはそのアニオンを含む、結晶形態のダサチニブの塩に関する。
本発明は更に前記物質又は、好ましくは塩を含む医薬組成物に関する。更には、本発明は、前記物質又は、好ましくは、塩を調製するための方法にも関する。本発明はまた、疾患を治療するために前記物質、又は好ましくは、塩又は医薬組成物を使用する幾つかの態様にも関する。本発明の更なる詳細並びに更なる態様は、本明細書において以下に記載されている。
ダサチニブは、60に近い固体形態:米国特許第7491725B2号明細書、米国特許出願公開第2006/0004067A1号明細書、米国特許第7973045B2号明細書、及び国際公開第2010/067374号パンフレットに記載される、一水和物、4つの無水形態及び非溶媒和形態で存在することが知られており、本明細書ではN−6、T1H1−7、B、及びI形態と呼ばれる。更なる形態(例えば、52溶媒和物)は、国際公開第2007/035874号パンフレット、米国特許出願公開第2006/0004067A号明細書、国際公開第2009/053854A2号パンフレット、米国特許第8067423B号明細書、国際公開第2010/062715号パンフレット、及び中国特許第102030745号明細書から知られている。特に、特許出願の国際公開第2010/062715号パンフレットは、溶媒のイソソルビドジメチルエーテル、N,N’−ジメチルエチレン尿素及びN,N’−ジメチル−N、N’−プロピレン尿素を含む。イソソルビドジメチルエーテルは、化粧品及び医薬製剤で使用されている。
結晶形態のダサチニブの一部の塩は、国際公開第2007/035874号パンフレットに記載されている。
医薬的に有用な化合物の新しい形態の発見は、医薬製品の性能特性を改善する機会を提供している。これは、製剤科学者が、改善された特性を有する薬物の新しい剤形を設計するために利用できる材料の幅を広げる。
ダサチニブのような化合物は、異なる結晶構造及び融点、X線回折パターン、赤外線スペクトル、ラマンスペクトル、及び固体NMRスペクトルのような物理的特性を有する多様な結晶形態を生じ得る。1つの結晶形態は、別の結晶形態とは異なる熱挙動を生じさせ得る。熱挙動は、キャピラリー融点、熱重量分析(TGA)、及び示差走査熱量測定(DSC)などの技術によって、並びに多形形態と区別するために使用されている結晶形態の溶媒の含有量によって実験室で測定され得る。
他の固体形態、特にN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニル]アミノ]−5−チアゾールカルボキサミドの結晶形態を提供することが継続的に必要性とされている。理由の1つは、前記化合物の非常に複雑な多形構造、及びこれに関連するダサチニブを含む単一で且つ純粋な結晶形態を生成する困難さである。別の課題は、製造、製剤、安定性、及び生物学的効率を最適化するためのダサチニブの固体形態を提供することである。好ましくは、新たな固体形態は、溶解性、それらの多形構造のより低い複雑性、特に溶媒和物の低下した形成傾向及び/又は濾過、乾燥及び結晶化における改善された挙動に関する利点を示すべきである。
本発明に関連する好ましい対象によれば、新たな結晶形態は、本質的に残留溶剤を含まない。
発明の要旨:
本発明は、新規な分子の結晶性物質、好ましくは式1の化合物(INN:ダサチニブ)、好ましくは式1
Figure 0006501773
の化合物のカチオン、並びに
グルタル酸、ニコチン酸及びサッカリン、好ましくはそれらのアニオンからなる群から選択される第2の化合物
を含む、結晶形態のダサチニブの塩を提供する。これらの物質を含有する新規な医薬組成物及びかかる物質の製造方法並びに前記物質又は組成物を、疾患を治療するために使用する態様も本明細書に記載されている。
本明細書に記載されているダサチニブと酸との間のpKaの差(「第2化合物」を参照のこと)が、かなり高く、塩が形成されている可能性がある。従って、本明細書に記載された分子の結晶性物質は、同じ結晶相内にダサチニブと第2の化合物を(即ち、分子結晶の形で)含有し、以下、主に塩と呼ばれる。
物質又は、好ましくは、塩は、好ましくは、サッカリネート、例えば、サッカリネート水和物又はサッカリネートイソプロパノール溶媒和物、グルタレート及びニコチネートからなる群から選択され、その際、ダサチニブ対有機酸のモル比は2:1〜1:2の範囲、好ましくは約1:1である。
本発明の新規な固体形態は、特に、改善された溶解度、低下した吸湿性及びそれに対応する改善された貯蔵安定性、並びに改善された予備の挙動、例えば、結晶化及び不純物の除去に関して有利である(以下を参照のこと)。
発明の詳細な説明
本発明は、式1(INN:ダサチニブ)の化合物、好ましくは式1
Figure 0006501773
の化合物のカチオン、及びグルタル酸、ニコチン酸及びサッカリン、好ましくはそれらのアニオンからなる群から選択される第2の化合物を含む又はそれらからなる、分子結晶性物質、好ましくは結晶形態のダサチニブの塩に関する。
前述のように、本発明による物質又は、好ましくは、塩は、結晶形態、即ち、物質であるか、又は好ましくは、塩は、非晶質形態のダサチニブを好ましくは実質的に含まないか又は、それぞれ、非晶質のダサチニブを全く含有しない。
好ましくは、物質又は、好ましくは、塩は、サッカリネート、好ましくはサッカリネート水和物又はサッカリネートイソプロパノール溶媒和物、グルタレート及びニコチネートからなる群から選択される。
好ましくは、物質又は、好ましくは、塩は、ダサチニブと有機酸のモル比が2:1〜1:2の範囲、好ましくは約1:1であることを特徴とする。
好ましい実施態様では、それぞれ、本発明による物質又は、好ましくは、塩はグルタレートであり、第2の化合物はグルタル酸である。好ましくは、かかる塩は、5.6°、5.8°、11.1°、15.8°、16.7°、23.3°、23.5°及び25.2°に位置する以下のピークから選択される少なくとも1つの、好ましくはより多くの又は全ての特徴的なピーク(2θ±0.2°2θで表現(CuKα線))でPXRD(powder X−ray diffraction;粉末X線回折)パターンを有する。
更に好ましい実施態様では、それぞれ、本発明による物質又は、好ましくは、塩はニコチネートであり、第2の化合物はニコチン酸である。好ましくは、かかる塩は、5.9°、11.0°、14.7°、19.9°、24.3°、25.8°及び27.3°に位置する以下のピークから選択される少なくとも1つの、好ましくはより多くの又は全ての特徴的なピーク(2θ±0.2°2θで表現(CuKα線))でPXRDパターンを有する。
更に一層好ましい実施態様では、それぞれ、本発明による物質又は、好ましくは、塩は、サッカリネートであり、第2の化合物はサッカリンである。好ましくは、物質又は、好ましくは、塩はサッカリネートイソプロパノール溶媒和物であり、4.3°、8.0°、14.9°、20.8°、23.7°及び25.5°に位置する以下のピークから選択される少なくとも1つの、好ましくはより多くの又は全ての特徴的なピーク(2θ±0.2°2θで表現(CuKα線))でPXRDパターンを有するか、又はサッカリネート水和物であり、15.1°、20.4°、21.6°及び24.4°に位置する以下のピークから選択される又は9.7°、13.4°、15.1°、20.4°、20.7°、21.6°、22.6°、23.5°、24.4°及び25.2°に位置する以下のピークから選択される少なくとも1つの、好ましくはより多くの又は全ての特徴的なピーク(2θ±0.2°2θで表現(CuKα線))でPXRDパターンを有する。
本発明の別の課題は、(本明細書に記載の)本発明による物質又は、好ましくは、塩を得る方法であって、以下の工程:
a)式1
Figure 0006501773
の化合物(INN:ダサチニブ)を、適切な溶媒又は溶媒混合物中に提供する工程;
b)グルタル酸、又はニコチン酸、又は特に、サッカリンを工程a)の混合物に添加する工程;
c)任意に工程b)の組成物を濃縮する工程;
d)結晶化する工程;
e)任意に工程d)で得られた懸濁液を蒸発乾固又は平衡化する工程;及び
f)得られた沈殿物を単離する工程
を含む、前記方法である。
本発明の別の課題は、(本明細書に記載される)本発明による物質又は、好ましくは、塩を得る方法であって、以下の工程:
a)ダサチニブとしても知られる、式1の化合物を、適切な溶媒又は溶媒の混合物中に提供する工程;
b)サッカリンを工程a)の混合物に添加し;好ましくは組成物を約60℃に加熱する工程;
c)任意に工程b)の組成物を約60℃で撹拌する及び/又は工程b)の組成物を濃縮する工程;
d)工程b)又はc)の組成物を約40℃に冷却し;任意に組成物をシード添加し;任意に組成物を約40℃で1時間撹拌する工程;
e)工程d)の組成物を約20℃に冷却し、且つ約20℃で撹拌する工程;
f)得られた沈殿物を単離する工程
を含む、前記方法である。
温度がある程度まで「約」に一致するものとして上記される場合、これは一般に所定の温度付近の一定の温度範囲を指定するので;「約60℃」は50〜80℃、特に55〜70℃の温度範囲を意味し;「約40℃」は30〜50℃、特に35〜45℃の温度範囲を意味し;「約20℃」は0〜30℃、特に10〜25℃の温度範囲を意味する。「約1時間」の時間は、0.5〜2時間、特に0.5〜1.5時間の範囲を意味する。有利なシード添加工程は、通常、同じ物質の予備結晶化で得られた、0.1〜10%(組成物中の全ダサチニブの質量)、好ましくは約1%の所望の物質又は塩のシード結晶の添加によって達成される。
本発明の結晶性の物質又は塩は、他の形態の既知の他のダサチニブと同様に医薬組成物において使用されてよい。更に、当該結晶性物質又はその塩は、例えば、結晶性塩の形で、純粋な活性成分(特に当該第2の化合物と組み合わせた活性成分であるが、低下した濃度の他の望ましくない成分)を生成するために中間体又は出発物質として利用されてよい。従って、本発明は、更にダサチニブの精製方法であって、例えば、上記の結晶性組成物を得るための方法の工程d)、e)及び/又はf)によって予測されるように、結晶性の物質、又は好ましくは、ダサチニブ及びグルタル酸、ニコチン酸又は特にサッカリンの結晶性の塩を、沈殿及び/又は単離する工程によって特性解析する、前記方法を提供する。本発明の方法は、好ましくは、この目的のためにダサチニブと共に塩形成剤としてサッカリンを利用する。結晶性の物質、又は好ましくは結晶性の塩は、最も好ましくは、上記組成物の、当該実施例におけるものである。
精製方法は、好都合には、当該結晶性の物質又は塩の結晶化について上記されたのと同じ工程(a)〜(f)に従う。医薬品として使用するために、こうして得られた生成物は、必要であれば、使用されてよいが、第2の化合物は、好都合には当該技術分野で知られた従来の分離技術を用いて再び分離されてよい。
例は、以下の工程:
a)式1の化合物(ダサチニブとしても知られる)を適切な溶媒又は溶媒の混合物中に提供する工程;
b)工程a)の混合物にサッカリンを添加する工程;
c)工程b)の組成物を約60℃に加熱する工程;
d)任意に工程c)の組成物を約60℃で撹拌する工程;
e)工程c)又はd)の組成物を約40℃に冷却する工程;
f)任意に工程e)の組成物をシード添加する工程;
g)任意に工程e)又はf)の組成物を約40℃で約1時間撹拌する工程;
h)工程e)、f)又はg)の組成物を約20℃に冷却する工程;
i)工程h)の組成物を約20℃で撹拌する工程;
j)得られた沈殿を単離する工程
を含む方法である。
好ましくは、式1の化合物(工程a)と第2の化合物(グルタル酸、又はニコチン酸、又はサッカリン)(工程b))のモル比は、2:1〜1:2、好ましくは約1:1の範囲である。
工程b)は、通常、固体形態で又は溶液、一般的に水、アルコール、ケトン、アセトンの溶液、又は溶媒の混合物として、好ましくはメタノール、イソプロパノール、水の溶液又は適切な溶媒の混合物として、グルタル酸、又はニコチン酸、又はサッカリンを提供することを含む。
好ましくは、工程a)で使用される溶媒は、水又は水混和性有機溶媒、例えば、アルコール(例えば、メタノール又は特にエタノール)又は非プロトン性極性有機溶媒、例えば、DMSO、DMF、又はNMP、又はそれらの混合物である。特に好ましいのは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水又は適切な溶媒の混合物の使用である。
工程a)及び/又はb)による溶液又は懸濁液は、好ましくは、濃縮された溶液である。
更に好ましい実施態様では、工程d)、e)及び/又はf)において適切なシード結晶が添加される。工程a)におけるダサチニブの濃度は、溶媒1ml当たり0.1〜約1000mg、好ましくは5〜300mgの範囲であってよい。工程b)におけるグルタル酸、又はニコチン酸、又はサッカリンの濃度は、溶媒1ml当たり0.1〜約500mg、好ましくは5〜200mgの範囲であってよい。
本方法は、好ましくは15〜120℃の範囲の温度で実施される。好ましい方法では、工程a)、b)及び/又はc)は、20〜90℃の範囲の温度で実施される。好ましくは、懸濁液は温度調整され、その後、単離工程が実施される前に冷却される。
任意に、懸濁液からの溶媒は、単離前に完全に蒸発される。
好ましい方法では、結晶性組成物は、結晶を濾過し、例えば、真空下で、不活性ガス流中で又は周囲温度で、又は約90℃まで高められた温度で乾燥させることによって単離される。
周囲温度とは、好ましくは、室温、好ましくは20〜30℃、最も好ましくは20〜25℃であることを意味する。
本発明の物質又は、好ましくは、塩は、一般に、0.1〜100μmの間、好ましくは1〜50μmの間、好ましくは1〜10μmの間のメジアン径を有する典型的な粒度分布を有する微粉末として得られる。この粒径範囲は、製剤工程における好ましい取り扱い特性を保持しながら、速い溶解プロファイルを保証する。
本発明の物質又は、好ましくは、塩は、他の形態の既知のダサチニブと同様に、医薬組成物において使用されてよい。更に、当該物質又は塩は、純粋な活性成分を生成するための中間体又は出発材料として使用されてよい。
本発明の更なる態様は、活性成分として、本発明による物質又は、好ましくは、塩、好ましくは好ましいものとして本明細書に上記された塩を含み、好ましくは更に1つ、2つ、3つ又はそれ以上の医薬的に許容される担体及び/又は希釈剤、及び/又は更なる成分、特に1つ、2つ、3つ又はそれ以上の医薬賦形剤を含む、医薬組成物である。
組成物中の物質又は好ましくは塩の量は、投与時間の間の製剤の種類と所望の投与計画に依存する。それぞれの経口製剤中の量は、0.1〜300mg、好ましくは1.0〜250mg、特に5.0〜200mgであってよい。
経口製剤(本発明による好適な医薬組成物として)は、カプセル、錠剤、丸剤及びトローチ剤などの固形製剤、又は液体懸濁液製剤であってよい。
本発明による物質又は、好ましくは、塩は、粉末、顆粒、懸濁液の形で直接使用されてよいか又はそれらは、成分を混合し、任意にそれらを微粉化し、その後、例えば、ハード又はソフトゼラチンから構成されるカプセルを充填し、錠剤、丸剤又はトローチを圧縮する際に、他の医薬的に許容される成分と一緒に組み合わされるか、又は懸濁液中に懸濁されてよい。コーティングは、丸剤を形成するために圧縮後に適用されてよい。
医薬的に許容される成分は、様々な種類の配合でよく知られており、例えば、バインダー、例えば、天然又は合成ポリマー、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、甘味料及び他の矯味剤、コーティング材、防腐剤、染料、増粘剤、アジュバント、抗菌剤及び様々な製剤の種類のための担体であってよい。
バインダーの例は、トラガカントゴム、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、及び生体分解性ポリマー、例えば、ジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール及び/又は脂肪族ヒドロキシルカルボン酸のホモポリエステル又はコポリエステル;ジカルボン酸、アルキレンジアミン、及び/又は脂肪族アミノカルボン酸のホモポリアミド又はコポリアミド;対応するポリエステル−ポリアミド−コポリマー、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン及びポリカーボネートである。生物分解性ポリマーは、直鎖状、分枝鎖状又は架橋であってよい。具体的な例は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びポリ−d,l−ラクチド/グリコリドである。他のポリマーの例は、水溶性ポリマー、例えば、ポリオキサアルキレン(ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン及びそれらの混合されたポリマー、ポリアクリルアミド及びヒドロキシアルキル化ポリアクリルアミド、ポリマレイン酸及びそのエステル又はアミド、ポリアクリル酸及びそのエステル又はアミド、ポリビニルアルコール及びそのエステル又はエーテル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、及び天然ポリマー、例えば、キトサン、カラギーナン又はヒアルロン酸である。
賦形剤の例は、リン酸二カルシウムなどのリン酸塩である。
崩壊剤の例は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム又はアルギン酸である。
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性又は中性であってもよい。界面活性剤の例は、レシチン、リン脂質、オクチルスルフェート、デシルスルフェート、ドデシルスルフェート、テトラデシルスルフェート、ヘキサデシルスルフェート及びオクタデシルスルフェート、Naオレエート又はNaカプレート、1−アシルアミノエタン−2−スルホン酸、例えば、1−オクタノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−デカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ドデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−テトラデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ヘキサデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、及び1−オクタデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、及びタウロコール酸及びタウロデオキシコール酸、胆汁酸及びその塩、例えば、コール酸、デオキシコール酸及びグリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム又はラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化ヒマシ油及びナトリウムジオクチル−スルホスクシネート、コカミドプロピルベタイン及びラウリルベタイン、脂肪アルコール、コレステロール、グリセロールモノステアレート又はジステアレート、グリセロールモノ又はジオレアート及びグリセロールモノ又はジパルミテート、及びポリオキシエチレンステアレートである。
甘味剤の例は、スクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテームである。
香味剤の例は、ペパーミント、ウィンターグリーン又は果実風味の油、例えば、チェリー又はオレンジフレーバーである。
コーティング材料の例は、ゼラチン、ワックス、セラック、糖又は生物分解性ポリマーである。
防腐剤の例は、メチル又はプロピルパラベン、ソルビン酸、クロロブタノール、フェノール、及びチメロサールである。
アジュバントの例は芳香剤である。
増粘剤の例は、合成ポリマー、脂肪酸及び脂肪酸塩並びにエステル及び脂肪アルコールである。
固体担体の例は、タルク、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナ等である。
本発明による製剤はまた、等張剤、例えば、糖、緩衝液又は塩化ナトリウムも含んでよい。
本発明の組成物は、飲料溶液を提供するために、水性環境中で崩壊し得る泡錠又は粉末として製剤化されてもよい。
最も好ましい経路は経口投与である。用量は、好都合には単位剤形で提示されてよく、医薬の分野で周知の方法のいずれかによって調製されてよい。
カプセル投与量は、当然ながら、ゼラチン又は他の従来のカプセル化材料から作られ得るカプセル内に固体組成物を含有する。錠剤及び粉末はコーティングされてよい。錠剤及び粉末は腸溶性コーティングでコーティングされてよい。腸溶性コーティングされた粉末形態は、フタル酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアルコールフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、スチレンとマレイン酸のコポリマー、メタクリル酸とメチルメタクリレートのコポリマー、及び類似の材料を含むコーティングを有してよく、必要であれば、それらは適切な可塑剤及び/又は増量剤と共に使用されてよい。コーティングされた錠剤は、錠剤の表面にコーティングを有してよく又は腸溶性コーティングを有する粉末又は顆粒を含む錠剤であってもよい。
本発明の物質又は、好ましくは、塩及びそれらを含有するその製剤又は組成物は、それぞれ、所与の状態を治療する及び/又は併用療法を提供するのに有効である他の治療薬と組み合わせて投与することもできる。
本発明の物質又は、好ましくは、塩、及び本発明による医薬組成物は、BCR/ABL及びSrcファミリーチロシンキナーゼを阻害する必要性に関連した疾患の有効な治療に有用である。本発明の物質又は、好ましくは、塩及びそれぞれの医薬組成物は、慢性骨髄性白血病だけでなく、進行性前立腺癌の治療にも有用である。
本発明の物質又は、好ましくは、塩、及び本発明による医薬組成物は、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、Ablチロシンキナーゼ阻害効果を哺乳動物にもたらす治療法において使用することもできる。
本発明の物質又は、好ましくは、塩は、単一成分として又は他の固体形態との混合物として使用されてよい。
上記に鑑み、本発明はまた、医薬品としての使用のための、好ましくは癌、特に慢性骨髄白血病(CML)及び/又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の治療における使用のための、本発明の物質又は、好ましくは塩、及び本発明による医薬組成物にも関する。
以下において、本発明は、本発明を例示する選択された例としてより厳密に記載される。以下において、どこに記載されていても、室温は22〜25℃の範囲の温度を示し、パーセンテージは、特記されない限り、質量によって与えられる。
略語:
DSC 示差走査熱量測定
DVS 動的蒸気収着
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
DMSO ジメチルスルホキシド
NMR 核磁気共鳴
TG−FTIR フーリエ変換赤外分光分析と結合された熱重量測定
r.h. 相対湿度(特記されない限り、空気)
TGA 熱重量測定
v/v 体積基準体積
PXRD 粉末X線回折
機器:
粉末X線回折:
測定は、ブラッグブレンターノ反射ジオメトリにおけるCuKα放射線を用いるBruker D8アドバンス粉末X線回折装置で行った。一般的に、2θ値は、同等の機器及び試料の調製方法が使用されている場合、±0.1〜0.2°の誤差の範囲内で正確であり且つ他の測定からの結果と同等である。相対ピーク強度は、結晶の異なる好ましい向きのために同じ結晶形態の異なる試料によって大幅に変化し得る。試料は、平坦な表面を得るためにわずかな圧力を加える以外に特別な処理を行わずに調製した。一般に、0.1mm、0.5mm又は1.0mmの深さのシリコン単結晶試料ホルダーを使用した。管電圧と電流は、それぞれ40kV及び40mAであった。X線回折計はLynxEye検出器を備えている。変数発散スリットを3°ウィンドウで使用した。工程サイズは37秒の工程時間で0.02°2θであった。試料を測定の間、0.5rpsで回転させた。
赤外分光法(TG−FTIR)に結合された熱重量測定:
FT赤外分光法と一緒になった熱重量測定は、赤外分光法によって揮発性物質を同定しながら、加熱時に所定の試料の質量損失を監視することが可能な周知の方法である。そのため、TG−FTIRは、溶媒和物又は水和物を同定するための適切な方法である。
TG−FTIRは、ブルカー社のFT−IR分光計Vector22又はIFS28に結合されている、ネッチ社のサーモマイクロバランスTG209で行った。測定は窒素雰囲気下で且つ10℃/分の加熱速度で25〜250℃の範囲にわたりマイクロピンホールを有するアルミニウムるつぼを用いて行った。
H−NMR:H−NMRスペクトルをブルカー社DPX300分光計で記録した。 溶媒:重水素化−DMSO
示差走査熱量測定:DSCを密封した金の試料パンを使用してTA機器DSC Q2000で実施する。加熱速度は毎分10℃である。
動的蒸気収着:DVSをProjekt Messtechnik社、D−89077(独国、ウルム)のSPS11−100n「Sorptions Pruefsystem」を用いて25℃で行う。約25mgの試料をアルミニウム試料のパンに入れる。湿度プログラム:2時間にわたり50%の相対湿度(室温)、50%(室温)〜95%(室温)(毎時湿度変化率5%)、5時間にわたり95%(室温)、95%(室温)〜50%(室温)(毎時湿度変化率5%)、2時間にわたり50%(室温)。
高圧液体クロマトグラフィー:HPLCは、UV−vis検出器を備えたAgilent 1100 HPLCクロマトグラフ上で行われる。使用されるカラム型は、Waters XTerra MS C18、250×4.6ミリメートル、5μm(FK−CC14B)である。この方法は、水性の酢酸アンモニウム/酢酸及びメタノールを55/45の比で使用するイソクラティック法である。適用流量は毎分1.0mlであり、注入量は20マイクロリットルであり、検出波長は321nmである。
溶媒:全ての実験について、標準グレードの溶媒が使用される。
図1は結晶性ダサチニブサッカリネート(水和物)のPXRDパターンを示す。 図2は結晶性ダサチニブサッカリネート(イソプロパノール溶媒和物)のPXRDパターンを示す。 図3は結晶性ダサチニブグルタレートのPXRDパターンを示す。 図4は結晶性ダサチニブニコチネートのPXRDパターンを示す。 図5は結晶性ダサチニブサッカリネート(水和物)のPXRDパターンを示す。
実施例
実施例1:結晶性ダサチニブサッカリネート(水和物)の調製
126mgのダサチニブ(一水和物形態)と46mgのサッカリンを5ミリリットルの水に懸濁する。懸濁液を70℃に加熱し、70℃で45分間撹拌する。混合物を室温まで冷却し、室温で6日間撹拌する。実験期間中毎日、混合物を、一般的な超音波浴内で約1分間の超音波処理に供す。撹拌して6日後、得られた懸濁液を濾過し、室温で空気乾燥させる。室温での乾燥後、得られた固体生成物を粉末のX線回折によって特性解析し、表1に示されるような位置にピークを示す図1に示されるものと類似のPXRDパターンが得られる。生成物を約60℃/30ミリバールで更に1時間乾燥させ、H−NMR分光法、TG−FTIR及び粉末X線回折を行う。H−NMRは、1:1のダサチニブ対サッカリンのモル比を示し、表1に示されるような位置にピークを示す図1に示されるようなPXRDパターンが得られる。TG−FTIRは、固体材料が結晶性水和物であると仮定できるように、水の損失に起因する約2.3%の質量損失を明らかにする。
Figure 0006501773
実施例2:結晶性ダサチニブサッカリネート(イソプロパノール溶媒和物)の調製
126mgのダサチニブ(一水和物形態)と46mgのサッカリンを3ミリリットルのイソプロパノールに懸濁する。懸濁液を70℃に加熱し、70℃で45分間撹拌する。懸濁液を室温に冷却し、室温で16時間撹拌し、1分間超音波処理し、再び室温で3時間撹拌する。室温での濾過及び空気中での乾燥後、固体生成物をPXRD、TG−FTIR及びH−NMR分光法によって特性解析価する。H−NMR分光法は、1:1のダサチニブ対サッカリンのモル比を示す。TG−FTIRは、固体材料がイソプロパノール溶媒和物であると仮定できるように、イソプロパノールの損失に起因する約15%の質量損失を示す。図2に示される得られたPXRDパターンは、表2に示されるような位置にピークを示す。
Figure 0006501773
実施例3:結晶性ダサチニブグルタレートの調製
127mgのダサチニブ(一水和物形態)と34mgのグルタル酸を、60℃で10mlのメタノールに溶解し、60℃で0.5時間撹拌する。溶媒を約2.5時間以内に60℃で乾燥窒素流を用いて蒸発させ、乾燥した試料を60℃で1時間保持する。試料を冷却し、室温で一晩保存する。H−NMR分光法は、約1:1のダサチニブ対グルタル酸のモル比を示す。固体材料は、粉末X線回折によって更に特性解析される。図3に示す得られたPXRDパターンは鋭いピークを示す。PXRDパターンのピーク位置を表3に記載する。
Figure 0006501773
実施例4:結晶性ダサチニブニコチネートの調製
127mgのダサチニブ(一水和物形態)と31mgのニコチン酸を、60℃で10mlのメタノールに溶解し、60℃で0.5時間撹拌する。溶媒を、約2.5時間以内に60℃で乾燥窒素流を用いて蒸発させ、乾燥した試料を60℃で1時間保持する。試料を冷却し、室温で一晩保存する。H−NMR分光法は、1:1のダサチニブ対ニコチン酸のモル比を示す。固体材料は、粉末X線回折によって更に特性解析される。図4に示す得られたPXRDパターンは鋭いピークを示す。PXRDパターンのピーク位置を表4に記載する。
Figure 0006501773
実施例5:結晶性ダサチニブサッカリネート(水和物)の調製
30.34gのダサチニブ(一水和物形態)と11.43gのサッカリンを、800mlのエタノール/水(30:70v/v)に室温で懸濁する。懸濁液を、パドル撹拌機を用いて攪拌し、60℃に加熱し、完全に溶解するまで60℃で撹拌する。次に、溶液を約1時間で40℃に冷却し、6mlのエタノール/水(30:70v/v)中に約0.42gの結晶性ダサチニブサッカリネート塩(一水和物)を含有する超音波処理した懸濁液を用いてシード添加する。形成された弱い懸濁液を40℃で0.5時間撹拌し、1時間で35℃に冷却する。懸濁液を、6mlのエタノール/水(30:70v/v)中に0.43gの結晶性ダサチニブサッカリネート塩(一水和物)を含有する超音波処理した懸濁液を用いて再びシード添加し、5K/時間の冷却速度で22℃まで冷却する。懸濁液を22℃で16時間撹拌して濾過する。懸濁液を容易に濾過装置に移し、容易に濾過する。固体材料を200mlのエタノール/水(30:70v/v)で洗う。固体材料を次いで室温で約20分空気乾燥させ、真空乾燥機内で、室温で/約30ミリバールで15分間乾燥させ、約1時間で80℃に加熱し、80℃で/約30ミリバールで約2時間乾燥させる。収率:33.9g。H−NMR分光法、DSC、DVS、HPLC及び粉末X線回折を行う。H−NMRは、1:1のダサチニブ対サッカリンのモル比及び図5に示すようなPXRDパターンを示す。DSCは、約140℃の開始温度を有する吸熱ピークを示す。試料のHPLC純度は100%(面積%)である。結晶化プロセスは、ダサチニブ一水和物の出発物質中に存在する弱い不純物(約0.05面積%)を除去した。DVSは、材料が吸湿性でないことを示す。

Claims (7)

  1. ダサチニブの塩の結晶であって、前記塩が、ダサチニブサッカリネート水和物及びダサチニブサッカリネートイソプロパノール溶媒和物からなる群から選択される、前記結晶
  2. CuKα線を用いて測定したPXRDパターンにおいて、2θが15.1°±0.2°、20.4°±0.2°、21.6°±0.2°及び24.4°±0.2°である特性ピークを有することを特徴とする、請求項1に記載のダサチニブサッカリネート水和物の結晶
  3. CuKα線を用いて測定したPXRDパターンにおいて、2θが9.7°±0.2°、13.4°±0.2°、15.1°±0.2°、20.4°±0.2°、20.7°±0.2°、21.6°±0.2°、22.6°±0.2°、23.5°±0.2°、24.4°±0.2°及び25.2°±0.2°である特性ピークを有することを特徴とする、請求項1に記載のダサチニブサッカリネート水和物の結晶
  4. CuKα線を用いて測定したPXRDパターンにおいて、2θが4.3°±0.2°、8.0°±0.2°、14.9°±0.2°、20.8°±0.2°、23.7°±0.2°及び25.5°±0.2°である特性ピークを有することを特徴とする、請求項1に記載のダサチニブサッカリネートイソプロパノール溶媒和物の結晶
  5. 活性成分として、請求項1からまでのいずれか1項に記載の結晶を含み、更に1つ以上の医薬的に許容される担体及び/又は希釈剤、及び/又は更に1つ以上の医薬賦形剤を含む、医薬組成物。
  6. 前記医薬組成物中の前記結晶の全量が0.1〜300mgの範囲である、請求項に記載の医薬組成物。
  7. 癌、慢性骨髄白血病及び/又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療における使用のための、請求項又はに記載の医薬組成物。
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