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JP6500825B2 - 監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、対象装置が備えるシャフトまたは軸受に作用する負荷を監視する監視装置に関するものである。
熱流束を検出する熱流束センサとして、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許第5376086号公報
ところで、加工対象物としての帯状材料を2個の成形ローラの間に通して加工対象物を搬送しつつ、2個の成形ローラから加工対象物に対して荷重を印加し、加工対象物の成形加工を連続して行う成形加工機が知られている。この成形加工機は、加工対象物を所望の形状に成形するため、成形ローラから加工対象物に印加する荷重が常に一定であり、且つ、2個の成形ローラ間のギャップも常に一定であることが望まれる。
一般に、成形加工機は、加工対象物を成形加工した完成品の外観検査により良否判別を行っている。しかし、完成品の外観検査は、検査にかかる作業工数の増大、および、不良品が発見された際の成形加工機の運転停止による稼働率の低下が懸念される。
そこで、成形加工機の運転中に成形ローラに接続するシャフトに作用する負荷、またはそのシャフトを回転可能に支持する軸受に作用する負荷を監視できる監視装置の実現が望まれる。しかし、そのような監視装置の実現には、次の課題が存在する。
すなわち、監視装置の実現のために、シャフトまたは軸受の径方向外側にロードセルを取り付けることが考えられる。しかし、成形加工機の運転中にシャフトは回転するので、シャフトにロードセルを取り付けることは、配線の取り回しが困難である。また、軸受は、その軸受が備える内輪と外輪と転動体との隙間の変化、または転動体の変形などを生じる。そのため、軸受にロードセルを取り付けたとしても、シャフトまたは軸受に作用する負荷を検出することは困難である。
なお、上述した監視装置に関する課題は、成形加工機を監視の対象装置とするものに限らず、シャフトおよび軸受を備えた種々の装置を監視の対象装置とするものについても同様に言えることである。
本発明は上記点に鑑みて、対象装置が備えるシャフトまたは軸受に作用する負荷を監視する監視装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の監視装置は、対象装置(50)を監視するものである。対象装置は、ハウジング(51)と、そのハウジングに取り付けられる軸受(61〜64)と、その軸受の径方向内側にハウジングに対して回転可能に設けられたシャフト(52、53)とを備える。
監視装置は、複数の熱流束センサ(10〜14)と、検出部(20)とを備える。複数の熱流束センサは、軸受の径方向外側で互いに軸受の周方向に離れた位置に設けられ、軸受側の面と軸受とは反対側の面との間を通過する熱流束に応じた信号を出力する。
検出部は、複数の熱流束センサの出力に基づき、シャフトまたは軸受の径方向に作用する負荷を検出する。
これによれば、シャフトが回転すると、軸受が備える内輪、外輪および転動体の摩擦熱により軸受の全周が加熱され、軸受の全周からハウジングに熱流が生じる。この熱流は、複数の熱流束センサの出力の温度ドリフトとなる。また、シャフトの回転中に、シャフトの径方向に負荷が加わると、その負荷が作用する方向における軸受の一部の加熱量が大きくなり、その軸受の一部からハウジングに流れる熱流が大きくなる。この熱流により、複数の熱流束センサの出力のうち、一部の熱流束センサの出力が大きくなる。そのため、検出部は、互いに軸受の周方向に離れた位置に設けられた複数の熱流束センサの熱起電力の差に対応する出力に基づき、熱流束センサの出力から温度ドリフトを除き、シャフトまたは軸受の径方向に作用する負荷に相当する出力信号を取り出すことが可能である。したがって、監視装置は、対象装置のシャフトの回転中にシャフトまたは軸受の径方向に作用する負荷を監視できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態における監視装置を取り付けた対象装置の模式図である。 図1のII−II線での断面図である。 図2のIII−III線での断面図である。 図3中の熱流束センサの平面図である。 図4のV−V線での断面図である。 第1実施形態におけるシャフトに作用する負荷の検出方法を説明するための図である。 第1実施形態において時間経過に伴ってシャフトに作用する負荷変動の一例を示す図である。 第2実施形態において時間経過に伴う熱流束センサの出力電圧の変動の一例を示す図である。 第3実施形態における監視装置を取り付けた対象装置の部分断面図である。 第4実施形態における監視装置を取り付けた対象装置の部分断面図である。 第5実施形態における監視装置を取り付けた対象装置の部分断面図である。 第6実施形態における監視装置を取り付けた対象装置の部分断面図である。 第7実施形態における監視装置を取り付けた対象装置の部分断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態の監視装置について説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態の監視装置1は、対象装置としての成形加工機50に取り付けられ、その成形加工機50が備えるシャフトまたは軸受に作用する負荷を監視するものである。
まず、成形加工機50について説明する。
図1および図2に示すように、成形加工機50は、ハウジング51、そのハウジング51に対し軸周りに回転可能に設けられた2本のシャフト52、53、およびその2本のシャフト52、53の端部に固定された2個の成形ローラ54、55等を備えている。以下の説明では、図1の上側のシャフト52および成形ローラ54をそれぞれ第1シャフト52および第1成形ローラ54といい、図1の下側のシャフト53および成形ローラ55をそれぞれ第2シャフト53および第2成形ローラ55という。
成形加工機50は、加工対象物56としての帯状材料を第1成形ローラ54と第2成形ローラ55との間に通して加工対象物56を搬送しつつ、その第1成形ローラ54および第2成形ローラ55から加工対象物56に対して荷重を印加し、加工対象物56の成形加工を行うものである。なお、加工対象物56の搬送方向に複数個の成形加工機50を設置することで、加工対象物56の形状を徐々に変形させることが可能である。
図2に示すように、第1シャフト52は、ハウジング51に設けられた孔57に挿通されている。第1シャフト52は、第1シャフト52の軸方向に互いに離れた位置に設けられた2個の軸受61、62により、ハウジング51に対して回転可能に支持されている。以下の説明では、第1成形ローラ54側に設けられた軸受を第1軸受61といい、その第1軸受61よりも第1成形ローラ54から離れた位置に設けられた軸受を第2軸受62という。
第2シャフト53も、ハウジング51に設けられた孔58に挿通されている。第2シャフト53も、第1シャフト52の軸方向に互いに離れた位置に設けられた2個の軸受63、64により、ハウジング51に対して回転可能に支持されている。以下の説明では、第2成形ローラ55側に設けられた軸受を第3軸受63といい、その第3軸受63よりも第2成形ローラ55から離れた位置に設けられた軸受を第4軸受64という。
図3は、第1シャフト52、第1軸受61およびハウジング51の一部を示したものである。
第1軸受61は、内輪611、外輪612および複数の転動体613などを備えている。内輪611は、筒状に形成され、第1シャフト52の径方向の外壁に嵌合している。外輪612は、筒状に形成され、ハウジング51に設けられた軸受穴65に嵌合している。複数の転動体613は、球状に形成され、内輪611と外輪612との間で自転可能かつ公転可能に設けられている。なお、図示していない保持器により、複数の転動体613同士の周方向の間隔は、ほぼ一定に保たれている。
なお、この第1軸受61の構成と、第2軸受62、第3軸受63および第4軸受64の構成とは、同一である。
次に、成形加工機50を監視する監視装置1について説明する。
図2および図3に示すように、監視装置1は、複数の熱流束センサ10、および検出部20などを備えている。
複数の熱流束センサ10は、第1軸受61の径方向外側に4個設けられ、第2軸受62の径方向外側にも4個設けられている。以下の説明では、第1軸受61に設けられた4個の熱流束センサを第1軸受用熱流束センサといい、第2軸受62に設けられた4個の熱流束センサを第2軸受用熱流束センサという。なお、4個の第1軸受用熱流束センサの構成と、4個の第2軸受用熱流束センサの構成とは、いずれも同一である。
図4および図5に示すように、熱流束センサ10は、絶縁基材100、表面保護部材110、裏面保護部材120が一体化され、この一体化されたものの内部で第1、第2層間接続部材130、140が交互に直列に接続された構造を有する。なお、図4では、表面保護部材110を省略している。絶縁基材100、表面保護部材110、裏面保護部材120は、フィルム状であって、熱可塑性樹脂等の可撓性を有する樹脂材料で構成されている。絶縁基材100は、その厚さ方向に貫通する複数の第1、第2ビアホール101、102が形成されている。第1、第2ビアホール101、102に互いに異なる金属や半導体等の熱電材料で構成された第1、第2層間接続部材130、140が埋め込まれている。絶縁基材100の表面100aに配置された表面導体パターン111によって第1、第2層間接続部材130、140の一方の接続部が構成されている。絶縁基材100の裏面100bに配置された裏面導体パターン121によって第1、第2層間接続部材130、140の他方の接続部が構成されている。
熱流束センサの厚さ方向にて、熱流束が熱流束センサを通過すると、第1、第2層間接続部材130、140の一方の接続部と他方の接続部に温度差が生じる。これにより、ゼーベック効果によって第1、第2層間接続部材130、140に熱起電力が発生する。熱流束センサは、この熱起電力をセンサ信号(例えば、電圧信号)として出力する。
図3では、4個の第1軸受用熱流束センサを示している。4個の第1軸受用熱流束センサは、第1軸受61の径方向外側で互いに第1軸受61の周方向に離れた位置に設けられている。
以下の説明では、第1軸受61の径方向外側において、第1シャフト52の軸心521を挟んで対称となる一方の位置に設けられた熱流束センサを第1熱流束センサ11と称し、他方の位置に設けられた熱流束センサを第2熱流束センサ12と称する。また、第1熱流束センサ11および第2熱流束センサ12に対し第1軸受61の周方向に離れた位置において、第1シャフト52の軸心521を挟んで対称となる一方の位置に設けられた熱流束センサを第3熱流束センサ13と称し、他方の位置に設けられた熱流束センサを第4熱流束センサ14と称する。
第1〜第4熱流束センサ11〜14は、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1と、第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14とを結ぶ直線L2とが直交するように配置されている。なお、第1〜第4熱流束センサ11〜14は、その直線L1、L2同士が所定の角度で交差するように配置されていればよい。
また、第1〜第4熱流束センサ11〜14は、第1シャフト52の軸心521と第2シャフト53の軸心531(図2参照)とを含む面αを除いた位置に配置されている。また、第1、第4熱流束センサ11、14と、第2、第3熱流束センサ12、13は、その面αに対して対称となる位置に配置されている。
上述したように、第1〜第4熱流束センサ11〜14はフィルム状であり、それを構成する絶縁基材100、表面保護部材110および裏面保護部材120は可撓性を有する。そのため、第1〜第4熱流束センサ11〜14は、第1軸受61の径方向の外壁に沿った曲面形状となっている。
第1〜第4熱流束センサ11〜14は、ハウジング51の軸受穴65の内壁から径方向外側に凹む凹部59に設けられている。第1軸受61の外壁と第1〜第4熱流束センサ11〜14との間には、熱伝導部材としての熱伝導シート15が設けられている。また、ハウジング51の凹部59の内壁と第1〜第4熱流束センサ11〜14との間にも、熱伝導部材としての熱伝導シート16が設けられている。
これにより、第1軸受61の外壁と第1〜第4熱流束センサ11〜14とハウジング51の凹部59の内壁との間に隙間が形成されることが防がれる。そのため、第1軸受61、熱伝導シート15、第1〜第4熱流束センサ11〜14、熱伝導シート16およびハウジング51の間を熱流が良好に流れる。このとき、第1〜第4熱流束センサ11〜14は、その厚さ方向にて、軸受側の面と軸受とは反対側の面との間を通過する熱流束に応じた信号を出力する。
なお、熱伝導シート15、16は、第1軸受61の外壁と第1〜第4熱流束センサ11〜14との間、および、ハウジング51の凹部59の内壁と第1〜第4熱流束センサ11〜14との間の少なくとも一方に設けられていればよい。また、熱伝導部材として、熱伝導シートに代えて例えば熱伝導ゲルとしてもよい。
第1〜第4熱流束センサ11〜14が出力した信号は、検出部20に入力される。検出部20は、マイクロコンピュータ、記憶装置等を有して構成される。
検出部20は、第1熱流束センサ11の熱起電力と第2熱流束センサ12の熱起電力との差に対応する電圧信号を検出する。以下の説明において、その電圧信号を第1信号V1と称する。また、検出部20は、第3熱流束センサ13の熱起電力と第4熱流束センサ14の熱起電力との差に対応する電圧信号を検出する。以下の説明において、その電圧信号を第2信号V2と称する。
具体的には、第1軸受61から第1熱流束センサ11を経由してハウジング51に熱流束が流れたときに第1熱流束センサ11において高電位となる配線21と、第1軸受61から第2熱流束センサ12を経由してハウジング51に熱流束が流れたときに第2熱流束センサ12において高電位となる配線22とが接続されている。また、第1軸受61から第1熱流束センサ11を経由してハウジング51に熱流束が流れたときに第1熱流束センサ11において低電位となる配線23と、第1軸受61から第2熱流束センサ12を経由してハウジング51に熱流束が流れたときに第2熱流束センサ12において低電位となる配線24とが接続されている。そのため、配線21、22においては第1熱流束センサ11または第2熱流束センサ12の熱起電力が高い方から低い方へ熱起電力の差に応じた電流が流れる。また、配線23、24においては第1熱流束センサ11または第2熱流束センサ12の熱起電力が低い方から高い方へ熱起電力の差に応じた電流が流れる。したがって、配線23、24に検出抵抗を接続し、その検出抵抗の両端電圧を計測することで、検出部20は、第1熱流束センサ11の熱起電力と第2熱流束センサ12の熱起電力との差に対応する出力としての第1信号V1を検出することが可能である。
ところで、第1シャフト52が回転すると、第1軸受61が備える内輪611、外輪612および転動体613の摩擦熱により軸受の全周が加熱され、第1軸受61の全周からハウジング51に熱流が生じる。この熱流は、第1〜第4熱流束センサ11〜14の出力の温度ドリフトとなる。また、第1シャフト52の回転中に、第1シャフト52の径方向に負荷が加わると、その負荷が作用する方向における第1軸受61の一部の加熱量が大きくなり、その第1軸受61の一部からハウジング51に流れる熱流が大きくなる。この熱流により、第1〜第4熱流束センサ11〜14の出力のうち、一部の熱流束センサの出力が大きくなる。そのため、検出部20は、第1熱流束センサ11の熱起電力と第2熱流束センサ12の熱起電力との差に対応する出力に基づき、第1熱流束センサ11および第2熱流束センサ12の出力から温度ドリフトを除いた上で、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1に平行な方向において、第1シャフト52または第1軸受61に作用する負荷に相当する出力信号を取り出すことが可能である。
第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14との配線の接続方法も、上述した第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12との配線の接続方法と同様である。そのため、検出部20は、第3熱流束センサ13の熱起電力と第4熱流束センサ14の熱起電力との差に対応する出力としての第2信号V2を検出することが可能である。そのため、検出部20は、その第2信号V2に基づき、第3熱流束センサ13および第4熱流束センサ14の出力から温度ドリフトを除いた上で、第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14とを結ぶ直線L2に平行な方向において、第1シャフト52または第1軸受61に作用する負荷に相当する出力信号を取り出すことが可能である。
次に、検出部20が行うシャフト52に作用する負荷の検出方法について、図6を参照して説明する。
図6では、第1シャフト52を符号52の破線にて概念的に示している。また、第1シャフト52が軸周りに回転する際の第1シャフト52の径方向に加わる負荷の一例を矢印Aで示している。その矢印Aで示した負荷を分解した2つの分力を矢印Bと矢印Cにて示している。ここで、矢印Bの方向は、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1に平行な方向である。また、矢印Cの方向は、第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14とを結ぶ直線L2に平行な方向である。
また、図6では、第1熱流束センサ11の熱起電力を概念的に矢印Dで示し、第2熱流束センサ12の熱起電力を概念的に矢印Eで示している。上述したように、第1信号V1は、第1熱流束センサ11の熱起電力と第2熱流束センサ12の熱起電力との差に対応する出力である。この第1信号V1は、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1に平行な方向における、第1シャフト52の径方向に加わる負荷の分力Bに相当するものである。
また、図6では、第3熱流束センサ13の熱起電力を概念的に矢印Fで示し、第4熱流束センサ14の熱起電力を概念的に矢印Gで示している。上述したように、第2信号V2は、第3熱流束センサ13の熱起電力と第4熱流束センサ14の熱起電力との差に対応する出力である。この第2信号V2は、第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14とを結ぶ直線L2に平行な方向における、第1シャフト52の径方向に加わる負荷の分力Cに相当するものである。そのため、検出部20は、2つの分力B、Cを合成することで、第1シャフト52または第1軸受61に作用する負荷Aの向きおよび大きさを検出することができる。
続いて、検出部20が行う異常検出方法について説明する。
図7の横軸は、成形加工機50が動作を開始してからの時間経過を示す。図7の縦軸は第1シャフト52に作用する負荷を示す。
図7は、成形加工機50が動作する際、時間経過に伴って第1シャフト52に作用する負荷変動の一例を示したものである。
成形加工機50が備える第1、第2成形ローラ54、55の断面形状が周方向に同一である場合、第1シャフト52に作用する負荷は、基本的に一定である。しかしながら、成形加工機50が置かれた環境温度の変化、または成形加工機50の経年変化による磨耗、劣化などにより、第1シャフト52および第2シャフト53に作用する負荷は、例えば数時間から数年の時間経過と共に変動を伴うことがある。また、加工対象物56の板厚または材質の変更などによっても、第1シャフト52および第2シャフト53に作用する負荷が変動することがある。
図7の一点鎖線Hに示すように、検出部20は、第1シャフト52に対して許容される負荷の値を所定の判定値Hとして記憶している。この判定値は、予め実験などにより設定されるものである。
図7の実線Iに示すように、第1シャフト52に作用する負荷の絶対値は、時刻t1から時刻t2の間で、所定の判定値Hより大きくなっている。この場合、検出部20は、時刻t1から時刻t2の間で、第1シャフト52に対し異常な負荷が作用していることを検出する。
次に、シャフトの軸心の傾きまたは振れの検出方法について説明する。
図2に示すように、監視装置1は、第1軸受61に設けられた4個の第1軸受用熱流束センサに加えて、第2軸受62に設けられた4個の第2軸受用熱流束センサを備えている。
4個の第1軸受用熱流束センサと4個の第2軸受用熱流束センサとは同一の構成である。第1軸受用熱流束センサと同様に、第2軸受用熱流束センサが出力した信号も、検出部20に入力される。
検出部20は、4個の第1軸受用熱流束センサの出力に基づき、第1シャフト52に第1軸受61が設けられた箇所における第1シャフト52に作用する負荷を検出することが可能である。同様に、検出部20は、4個の第2軸受用熱流束センサの出力に基づき、第1シャフト52に第2軸受62が設けられた箇所における第1シャフト52に作用する負荷を検出することが可能である。
図2では、正常時の第1シャフト52の軸心521を一点鎖線で示している。ここで、第1軸受61が設けられた箇所において第1シャフト52に作用する負荷の向きが矢印Kであり、第2軸受62が設けられた箇所において第1シャフト52に作用する負荷の向きが矢印Lであるとする。この場合、図2の二点鎖線Mで示したように、検出部20は、第1シャフト52が正常時の位置から径方向の一方に振れていることを検出できる。
これに対し、第1軸受61が設けられた箇所において第1シャフト52に作用する負荷の向きが矢印Kであり、第2軸受62が設けられた箇所において第1シャフト52に作用する負荷の向きが矢印Nであるとする。この場合、図2の破線Oで示したように、検出部20は、第1シャフト52が正常時の位置から傾いていることを検出できる。
このように、検出部20は、第1軸受用熱流束センサの出力および第2軸受用熱流束センサの出力に基づき、第1シャフト52の軸心521の傾きまたは振れを検出することが可能である。
以上説明したとおり、本実施形態の監視装置1は、次の作用効果を奏する。
(1)本実施形態では、複数の熱流束センサ10は、第1軸受61の径方向外側で互いに第1軸受61の周方向に離れた位置に設けられている。そのため、検出部20は、複数の熱流束センサ10の熱起電力の差に対応する出力に基づき、複数の熱流束センサ10の出力から温度ドリフトを除いた上で、第1シャフト52または第1軸受61の径方向に作用する負荷に相当する出力信号を取り出すことが可能である。したがって、監視装置1は、成形加工機50の第1シャフト52の回転中に第1シャフト52または第1軸受61の径方向に作用する負荷を監視することができる。
(2)本実施形態では、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とは、第1シャフト52の軸心521を挟んで対称となる位置に設けられる。
これによれば、第1シャフト52に対し、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1の一方に負荷が作用した場合、その一方の側にある熱流束センサの熱起電力が大きくなり、他方の側にある熱流束センサの熱起電力が小さくなる。そのため、検出部20は、第1熱流束センサ11の熱起電力と第2熱流束センサ12の熱起電力との差に対応する出力に基づき、第1シャフト52または第1軸受61の径方向に作用する負荷を検出することができる。
(3)本実施形態では、検出部20は、第1熱流束センサ11の熱起電力と第2熱流束センサ12の熱起電力との差に対応する出力としての第1信号V1と、第3熱流束センサ13の熱起電力と第4熱流束センサ14の熱起電力との差に対応する出力としての第2信号V2とに基づき、第1シャフト52または第1軸受61に作用する負荷の向きまたは大きさを検出する。
これによれば、第1信号V1は、第1シャフト52の径方向に作用する負荷Aを第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1に平行な方向に分解した分力Bに相当するものとなる。また、その場合、第2信号V2は、第1シャフト52の径方向に作用する負荷Aを第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14とを結ぶ直線L2に平行な方向に分解した分力Cに相当するものとなる。そのため、検出部20は、第1信号V1と第2信号V2とに基づいて検出される2つの分力B、Cを合成することで、第1シャフト52または第1軸受61に作用する負荷Aの向きまたは大きさを検出することができる。
(4)本実施形態では、検出部20は、第1シャフト52に作用する負荷の大きさの絶対値が所定の判定値Hより大きくなった場合、第1シャフト52に対し異常な負荷が作用していることを検出する。
これによれば、検出部20は、第1シャフト52に対し異常な負荷が作用していることを正確に検出することが可能である。
(5)本実施形態では、複数の熱流束センサ10はいずれも、第1シャフト52の軸心521と第2シャフト53の軸心531とを含む面αを除いた位置に設けられている。
第1成形ローラ54と第2成形ローラ55により加工対象物56の成形加工を行う場合、第1シャフト52の軸心521と第2シャフト53の軸心531とを含む面αに沿って第1シャフト52に大きな負荷が作用することが考えられる。そのため、仮に第1シャフト52の軸心521と第2シャフト53の軸心531とを含む面αに熱流束センサ10を設けると、その熱流束センサ10が破損するおそれがある。したがって、その面αを除いた位置に熱流束センサ10を設けることで、熱流束センサ10の破損を防ぐことができる。
(6)本実施形態では、複数の第2軸受用熱流束センサは、第2軸受62の径方向外側で互いに第2軸受62の周方向に離れた位置に設けられる。
これによれば、検出部20は、第1軸受用熱流束センサの出力により、第1軸受61の位置における第1シャフト52の径方向に作用する負荷を検出し、第2軸受用熱流束センサの出力により、第2軸受62の位置における第1シャフト52の径方向に作用する負荷を検出することが可能である。そのため、検出部20は、第1軸受61の位置における第1シャフト52の径方向に作用する負荷、および第2軸受62の位置における第1シャフト52の径方向に作用する負荷に基づき、第1シャフト52の軸心521の傾きまたは振れを検出できる。
(7)本実施形態では、第1軸受61の外壁と熱流束センサ10との間に熱伝導シート15が設けられ、ハウジング51の凹部59の内壁と熱流束センサ10との間に熱伝導シート16が設けられる。
これによれば、熱伝導シート15、16により、第1軸受61の外壁と熱流束センサ10と凹部59の内壁とが密着するので、その間を熱流が良好に流れる。そのため、監視装置1は、熱流束センサ10による熱流束の検出精度を高めることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の監視装置1は、検出部20が行う異常検出方法が、第1実施形態の異常検出方法と異なる。
図8は、成形加工機50が動作する際、時間経過に伴う第1信号V1および第2信号V2の変動の一例を示したものである。図8の横軸は、成形加工機50が動作を開始してからの時間経過を示す。図8の縦軸は、電圧を示す。
図8では、第1信号V1の変動を実線Pで示し、第2信号V2の変動を破線Qで示している。第1信号V1は、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1の一方に作用する負荷が大きくなる場合、正の電圧信号となるものとする。また、第1信号V1は、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とを結ぶ直線L1の他方に作用する負荷が大きくなる場合、負の電圧信号となるものとする。
第2信号V2も、第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14とを結ぶ直線L2の一方に作用する負荷が大きくなる場合、正の電圧信号となるものとする。また、第2信号V2も、第3熱流束センサ13と第4熱流束センサ14とを結ぶ直線L2の他方に作用する負荷が大きくなる場合、負の電圧信号となるものとする。
図8の一点鎖線R、Sに示すように、検出部20は、第1シャフト52に対して許容される負荷に対応する電圧信号の値を所定の判定値R、Sとして記憶している。この判定値R、Sは、予め実験などにより設定されるものである。
図8では、時刻t3から時刻t4の間で、第1信号V1が所定の判定値Rより大きくなっている。この場合、検出部20は、時刻t3から時刻t4の間で、第1シャフト52に対し異常な負荷が作用していることを検出する。
第2実施形態では、検出部20は、第1信号V1または第2信号V2のいずれか一方が所定の判定値R、Sを超えた場合、シャフトに対し異常な負荷が作用していることを検出する。
これによれば、検出部20は、第1信号V1または第2信号V2に基づき、第1シャフト52に対し異常な負荷が作用していることを検出することが可能である。
(第3実施形態)
第3実施形態の監視装置1は、軸受に対する第1〜第4熱流束センサ11〜14の取り付け方法が、第1実施形態の取り付け方法と異なる。
図9に示すように、成形加工機50が備えるハウジング51は、凹部59の内壁から第1軸受61の径外方向へ延びるねじ穴66を有する。このねじ穴66にねじ部材30が挿通されている。ねじ部材30は、ねじ穴66の内壁に形成された雌ねじに螺合している。ねじ部材30の軸受側の先端部は、第1〜第4熱流束センサ11〜14に当接している。ねじ部材30は、第1軸受61の外壁に対し熱流束センサ10を押圧し、第1軸受61の外壁と熱流束センサ10との間に隙間ができることを防いでいる。
ねじ部材30は、例えばアルミニウムなど、熱伝導率が比較的大きい材料から形成されたものである。ハウジング51は、例えばステンレス、鉄またはアルミニウムなど、ねじ部材30の熱伝導率と同じか、またはそれより小さい材料から形成されたものである。
第3実施形態では、熱流束センサ10とねじ部材30とが当接することで、熱流束センサ10とねじ部材30との間を熱流が良好に流れる。そのため、監視装置1は、熱流束センサ10による熱流束の検出精度を高めることができる。
また、第3実施形態では、ハウジング51が熱伝導率の小さい材料から形成されている場合でも、ねじ部材30の熱伝導率を大きくすることで、熱流束センサ10とねじ部材30との間を熱流が良好に流れる。したがって、監視装置1は、熱流束センサ10による熱流束の検出精度を高めることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態の監視装置1も、軸受に対する第1〜第4熱流束センサ11〜14の取り付け方法が、第1実施形態の取り付け方法と異なる。
図10は、第1シャフト52の軸心521に平行な要部断面図である。図10に示すように、第1軸受61とハウジング51の凹部59の内壁との間には、第1軸受61側から順に、熱流束センサ10、第1楔部材31および第2楔部材32が設けられている。第1楔部材31は、第2楔部材32側に第1傾斜面311を有している。この第1傾斜面311は、ハウジング51の凹部59における第1シャフト52の軸方向の開口591側から反対側に向けて、熱流束センサ10からの距離が遠くなるように傾斜している。
第2楔部材32は、第1楔部材31側に第2傾斜面321を有している。この第2傾斜面321も、ハウジング51の凹部59における第1シャフト52の軸方向の開口591側から反対側に向けて、熱流束センサ10からの距離が遠くなるように傾斜している。第1傾斜面311と第2傾斜面321とはその傾斜角が対応したものとなっている。そのため、熱流束センサ10に第1楔部材31を載置した後、凹部59における第1シャフト52の軸方向の開口591側から反対側に向けて第2楔部材32を入れると、第1軸受61の外壁、熱流束センサ10、第1楔部材31、第2楔部材32および凹部59の内壁が密着する。したがって、それらの部材を熱流が良好に流れるので、監視装置1は、熱流束センサ10による熱流束の検出精度を高めることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態は、第4実施形態の変形例である。
図11に示すように、第5実施形態では、第1軸受61とハウジング51の凹部59の内壁との間には、第1軸受61側から順に、第3楔部材33、第4楔部材34および熱流束センサ10が設けられている。第3楔部材33は、第4楔部材34側に第3傾斜面331を有している。この第3傾斜面331は、ハウジング51の凹部59における第1シャフト52の軸方向の開口591側から反対側に向けて、第1軸受61からの距離が遠くなるように傾斜している。
第4楔部材34は、第3楔部材33側に第4傾斜面341を有している。第4傾斜面341も、ハウジング51の凹部59における第1シャフト52の軸方向の開口591側から反対側に向けて、第1軸受61からの距離が遠くなるように傾斜している。第3傾斜面331と第4傾斜面341とはその傾斜角が対応したものとなっている。そのため、熱流束センサ10に第3楔部材33を載置した後、凹部59における第1シャフト52の軸方向の開口591側から反対側に向けて第4楔部材34を入れると、第1軸受61の外壁、第3楔部材33、第4楔部材34、熱流束センサ10および凹部59の内壁が密着する。したがって、それらの部材を熱流が良好に流れるので、監視装置1は、熱流束センサ10による熱流束の検出精度を高めることができる。
なお、第4実施形態と第5実施形態とを組み合わせ、第1軸受61とハウジング51の凹部59の内壁との間に、第1軸受61側から順に、第3楔部材33、第4楔部材34熱流束センサ10、第1楔部材31および第2楔部材32を設ける構成としてもよい。
(第6実施形態)
第6実施形態の監視装置1は、第1軸受61の径方向外側に第1熱流束センサ11および第2熱流束センサ12のみが設けられており、第3熱流束センサおよび第4熱流束センサが設けられていない。
第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とは、第1軸受61の径方向外側で互いに第1軸受61の周方向に離れた位置に設けられている。また、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とは、第1シャフト52の軸心521を挟んで対称となる位置に設けられている。
また、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とは、第1シャフト52の軸心521と第2シャフト53の軸心531とを含む面α上に配置されている。
第1、第2熱流束センサ11、12が出力した信号は、検出部20に入力される。検出部20は、第1熱流束センサ11の熱起電力と第2熱流束センサ12の熱起電力との差に対応する出力としての第1信号V1を検出する。検出部20は、第1信号V1に基づき、第1シャフト52の径方向に作用する負荷を検出する。
成形加工機50では、第1シャフト52および第2シャフト53に対し、第1シャフト52の軸心521と第2シャフト53の軸心531とを含む面αに沿う方向に作用する負荷が大きいものとなる。そのため、第1熱流束センサ11と第2熱流束センサ12とをその面α上に配置することで、検出部20は、第1シャフト52に対して大きく作用する負荷を検出することが可能である。
また、検出部20は、第1信号V1と予め設定された所定の判定値とを比較し、第1信号V1が所定の判定値より大きくなる場合に、第1シャフト52に対し異常な負荷が作用していることを検出することが可能である。
(第7実施形態)
第7実施形態の監視装置1は、第1軸受61の径方向外側に第1熱流束センサ11、第2熱流束センサ12および第3熱流束センサ13が設けられている。
第1〜第3熱流束センサ11〜13は、第1軸受61の径方向外側で互いに第1軸受61の周方向に離れた位置に設けられている。
第1〜第3熱流束センサ11〜13が出力した信号は、検出部20に入力される。検出部20は、第1〜第3熱流束センサ11〜13が出力した信号の差に基づき、それらの熱流束センサ11〜13の出力から温度ドリフトを除き、第1シャフト52または第1軸受61の径方向に作用する負荷に相当する出力信号を取り出すことが可能である。したがって、監視装置1は、第1シャフト52の回転中に第1シャフト52または第1軸受61の径方向に作用する負荷を監視することができる。
また、検出部20は、第1シャフト52または第1軸受61に作用する負荷と予め設定された所定の判定値とを比較し、その負荷が所定の判定値より大きくなる場合に、第1シャフト52に対し異常な負荷が作用していることを検出することが可能である。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)上記各実施形態では、異常診断の対象である対象装置を成形加工機50として説明したが、対象装置は、シャフトおよび軸受を備えた種々の装置であってもよい。
(2)上記各実施形態では、軸受を球状の転動体613を備えた玉軸受として説明したが、軸受は、例えば転動体が円柱状のコロ軸受、または、転動体を備えないすべり軸受、磁気軸受、流体軸受等であってもよい。
(3)上記各実施形態では、第1シャフト52の第1軸受61に複数個の第1軸受用熱流束センサを設け、第1シャフト52の第2軸受62に複数個の第2軸受用熱流束センサを設けた。これに対し、第2シャフト53の第3軸受63および第4軸受64にも、それぞれ複数個の熱流束センサを設けてもよい。
また、第1シャフト52の第1軸受61のみに複数個の第1軸受用熱流束センサを設け、第1シャフト52の第2軸受62には第2軸受用熱流束センサを設けなくてもよい。
(4)上記各実施形態では、熱流束センサとして、図4および図5に示す構造のものを用いたが、他の構造のものを用いてもよい。
(5)上記各実施形態では、各軸受に2個から4個の熱流束センサを設けたが、熱流束センサは軸受に5個以上設けてもよい。
(6)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、監視装置が備える複数の熱流束センサは、軸受の径方向外側で互いに軸受の周方向に離れた位置に設けられ、軸受側の面と軸受とは反対側の面との間を通過する熱流束に応じた信号を出力する。検出部は、複数の熱流束センサの出力に基づき、シャフトまたは軸受の径方向に作用する負荷を検出する。
また、第2の観点によれば、複数の前記熱流束センサは、第1熱流束センサおよび第2熱流束センサを有する。第1熱流束センサと第2熱流束センサとは、シャフトの軸心を挟んで対称となる位置に設けられる。検出部は、第1熱流束センサの熱起電力と第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力に基づき、シャフトの径方向に作用する負荷を検出する。
これによれば、シャフトに対し、第1熱流束センサと第2熱流束センサとを結ぶ直線の一方に負荷が作用した場合、その一方の側にある熱流束センサの熱起電力が大きくなり、他方の側にある熱流束センサの熱起電力が小さくなる。そのため、検出部は、第1熱流束センサの熱起電力と第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力に基づき、シャフトまたは軸受の径方向に作用する負荷を検出することができる。
また、第3の観点によれば、検出部は、第1熱流束センサの熱起電力と第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力が所定の判定値を超えた場合、シャフトに対し異常な負荷が作用していることを検出する。
これによれば、検出部は、シャフトまたは軸受の径方向に作用する負荷が、所定の判定値に相当する負荷より大きくなった場合、シャフトに対し異常な負荷が作用していることを検出することが可能である。
また、第4の観点によれば、複数の前記熱流束センサは、第3熱流束センサおよび第4熱流束センサをさらに備える。第3熱流束センサは、第1熱流束センサと第2熱流束センサとを結ぶ直線に対し交差する方向で、軸受の径方向外側に設けられる。第4熱流束センサは、第3熱流束センサに対しシャフトの軸心を挟んで対称となる位置で、軸受の径方向外側に設けられる。
これによれば、検出部は、第1熱流束センサの熱起電力と第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力に加え、第3熱流束センサの熱起電力と第4熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力によっても、シャフトまたは軸受の径方向に作用する負荷を検出することができる。
また、第5の観点によれば、検出部は、第1熱流束センサの熱起電力と第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力としての第1信号と、第3熱流束センサの熱起電力と第4熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力としての第2信号とに基づき、シャフトまたは軸受に作用する負荷の向きまたは大きさを検出する。
これによれば、シャフトの径方向に負荷が作用した場合、第1信号は、その負荷を第1熱流束センサと第2熱流束センサとを結ぶ直線に平行な方向に分解した分力に相当するものとなる。また、その場合、第2信号は、その負荷を第3熱流束センサと第4熱流束センサとを結ぶ直線に平行な方向に分解した分力に相当するものとなる。そのため、検出部は、第1信号と第2信号とに基づいて検出される2つの分力を合成することで、シャフトまたは軸受に作用する負荷の向きまたは大きさを検出することができる。
また、第6の観点によれば、検出部は、シャフトまたは軸受に作用する負荷の大きさの絶対値が所定の判定値より大きくなった場合、シャフトに対し異常な負荷が作用していることを検出する。
これによれば、検出部は、シャフトに対し異常な負荷が作用していることを正確に検出することが可能である。
また、第7の観点によれば、前記軸受および複数の前記熱流束センサは、それぞれ第1軸受、第1軸受用熱流束センサである。対象装置は、第1軸受からシャフトの軸方向に離れた位置に設けられる第2軸受をさらに備えるものである。
監視装置は、第2軸受の径方向外側で互いに第2軸受の周方向に離れた位置に設けられ、第2軸受側の面と第2軸受とは反対側の面との間を通過する熱流束に応じた信号を出力する複数の第2軸受用熱流束センサをさらに備える。
検出部は、第1軸受用熱流束センサの出力および第2軸受用熱流束センサの出力に基づき、シャフトの軸心の傾きまたは振れを検出する。
これによれば、検出部は、第1軸受用熱流束センサの出力により、第1軸受の位置におけるシャフトの径方向に作用する負荷を検出し、第2軸受用熱流束センサの出力により、第2軸受の位置におけるシャフトの径方向に作用する負荷を検出する。そのため、検出部は、第1軸受の位置におけるシャフトの径方向に作用する負荷、および第2軸受の位置におけるシャフトの径方向に作用する負荷に基づき、シャフトの軸心の傾きまたは振れを検出することができる。
また、第8の観点によれば、対象装置が備えるハウジングは、軸受に熱流束センサが設けられる位置に熱流束センサを収容する凹部を有するものである。
監視装置は、軸受の外壁と熱流束センサとの間、および、凹部の内壁と熱流束センサとの間の少なくとも一方に設けられる熱伝導部材をさらに備える。
これによれば、熱伝導部材により、軸受の外壁と熱流束センサと凹部の内壁とが密着するので、その間を熱流が良好に流れる。そのため、監視装置は、熱流束センサによる熱流束の検出精度を高めることができる。
また、第9の観点によれば、対象装置が備えるハウジングは、軸受に熱流束センサが設けられる位置に熱流束センサを収容する凹部を有するものである。
監視装置は、軸受の外壁と熱流束センサとの間、および、凹部の内壁と熱流束センサとの間の少なくとも一方に設けられる楔部材をさらに備える。
これによれば、楔部材により、軸受の外壁と熱流束センサと凹部の内壁とが密着するので、その間を熱流が良好に流れる。そのため、監視装置は、熱流束センサによる熱流束の検出精度を高めることができる。
また、第10の観点によれば、対象装置が備えるハウジングは、軸受に熱流束センサが設けられる位置に熱流束センサを収容する凹部、および凹部の内壁から軸受の径外方向へ延びるねじ穴を有するものである。
監視装置は、ねじ穴を挿通して熱流束センサに当接するねじ部材をさらに備える。
これによれば、ねじ部材により、軸受の外壁に対し熱流束センサを押圧し、軸受の外壁と熱流束センサとの間に隙間ができることを防ぐことが可能である。また、熱流束センサとねじ部材とが当接することで、熱流束センサとねじ部材との間を熱流が良好に流れる。そのため、監視装置は、熱流束センサによる熱流束の検出精度を高めることができる。
また、第11の観点によれば、ねじ部材の熱伝導率は、ハウジングの熱伝導率と同じか、またはそれより大きい。
これによれば、ハウジングが熱伝導率の小さい材料から形成されている場合でも、ねじ部材の熱伝導率を大きくすることで、熱流束センサとねじ部材との間を熱流が良好に流れる。したがって、監視装置は、熱流束センサによる熱流束の検出精度を高めることができる。
1 監視装置
10 熱流束センサ
11 第1熱流束センサ
12 第2熱流束センサ
13 第3熱流束センサ
14 第4熱流束センサ
20 検出部
50 対象装置

Claims (11)

  1. ハウジング(51)と、前記ハウジングに取り付けられる軸受(61〜64)と、前記軸受の径方向内側に前記ハウジングに対して回転可能に設けられたシャフト(52、53)とを備えた対象装置(50)を監視する監視装置であって、
    前記軸受の径方向外側で互いに前記軸受の周方向に離れた位置に設けられ、前記軸受側の面と前記軸受とは反対側の面との間を通過する熱流束に応じた信号を出力する複数の熱流束センサ(10〜14)と、
    複数の前記熱流束センサの出力に基づき、前記シャフトまたは前記軸受の径方向に作用する負荷を検出する検出部(20)とを備える監視装置。
  2. 複数の前記熱流束センサは、第1熱流束センサ(11)および第2熱流束センサ(12)を有し、
    前記第1熱流束センサと前記第2熱流束センサとは、前記シャフトの軸心(521)を挟んで対称となる位置に設けられ、
    前記検出部は、前記第1熱流束センサの熱起電力と前記第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力に基づき、前記シャフトの径方向に作用する負荷を検出する請求項1に記載の監視装置。
  3. 前記検出部は、前記第1熱流束センサの熱起電力と前記第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力が所定の判定値(R、S)を超えた場合、前記シャフトに対し異常な負荷が作用していることを検出する請求項2に記載の監視装置。
  4. 複数の前記熱流束センサは、
    前記第1熱流束センサと前記第2熱流束センサとを結ぶ直線(L1)に対し交差する方向で、前記軸受の径方向外側に設けられた第3熱流束センサ(13)と、
    前記第3熱流束センサに対し前記シャフトの軸心を挟んで対称となる位置で、前記軸受の径方向外側に設けられた第4熱流束センサ(14)とをさらに備える請求項2または3に記載の監視装置。
  5. 前記検出部は、前記第1熱流束センサの熱起電力と前記第2熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力としての第1信号(V1)と、前記第3熱流束センサの熱起電力と前記第4熱流束センサの熱起電力との差に対応する出力としての第2信号(V2)とに基づき、前記シャフトまたは前記軸受に作用する負荷の向きまたは大きさを検出する請求項4に記載の監視装置。
  6. 前記検出部は、前記シャフトまたは前記軸受に作用する負荷の大きさの絶対値が所定の判定値(H)より大きくなった場合、前記シャフトに対し異常な負荷が作用していることを検出する請求項5に記載の監視装置。
  7. 前記軸受および複数の前記熱流束センサは、それぞれ第1軸受(61)、第1軸受用熱流束センサであり、
    前記対象装置は、前記第1軸受から前記シャフトの軸方向に離れた位置に設けられる第2軸受(62)をさらに備えるものであり、
    前記監視装置は、前記第2軸受の径方向外側で互いに前記第2軸受の周方向に離れた位置に設けられ、前記第2軸受側の面と前記第2軸受とは反対側の面との間を通過する熱流束に応じた信号を出力する複数の第2軸受用熱流束センサをさらに備え、
    前記検出部は、前記第1軸受用熱流束センサの出力および前記第2軸受用熱流束センサの出力に基づき、前記シャフトの軸心の傾きまたは振れを検出する請求項1ないし6のいずれか1つに記載の監視装置。
  8. 前記対象装置が備える前記ハウジングは、前記軸受に前記熱流束センサが設けられる位置に前記熱流束センサを収容する凹部(59)を有するものであり、
    前記監視装置は、前記軸受の外壁と前記熱流束センサとの間、および、前記凹部の内壁と前記熱流束センサとの間の少なくとも一方に設けられる熱伝導部材(15、16)をさらに備える請求項1ないし7のいずれか1つに記載の監視装置。
  9. 前記対象装置が備える前記ハウジングは、前記軸受に前記熱流束センサが設けられる位置に前記熱流束センサを収容する凹部を有するものであり、
    前記監視装置は、前記軸受の外壁と前記熱流束センサとの間、および、前記凹部の内壁と前記熱流束センサとの間の少なくとも一方に設けられ、前記軸受の外壁と前記熱流束センサとを密着させるか、または前記凹部の内壁と前記熱流束センサとを密着させることの可能な楔部材(31〜34)をさらに備える請求項1ないし8のいずれか1つに記載の監視装置。
  10. 前記対象装置が備える前記ハウジングは、前記軸受に前記熱流束センサが設けられる位置に前記熱流束センサを収容する凹部、および前記凹部の内壁から前記軸受の径外方向へ延びるねじ穴(66)を有するものであり、
    前記監視装置は、前記ねじ穴を挿通して前記熱流束センサに当接するねじ部材(30)をさらに備える請求項1ないし9のいずれか1つに記載の監視装置。
  11. 前記ねじ部材の熱伝導率は、前記ハウジングの熱伝導率と同じか、またはそれより大きい請求項10に記載の監視装置。
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