JP6596323B2 - コンバータ装置、駆動制御装置、モータ、およびコンプレッサ - Google Patents
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Description
インバータ装置を利用する製品の小型化および高性能化に伴い、高調波抑制制御の基準となる搬送波の周波数(キャリア周波数)が増加しており、例えば、15kHz〜35kHz程度のキャリア周波数が使用されている。
コンバータ部が発生する高調波電流を抑制するため、整流ダイオードに半導体スイッチング素子を並列に接続し、スイッチング素子をオンオフにスイッチングすることで波形を正弦波に近づける高調波対策がとられる場合がある(例えば、特許文献1)。
そうしたノイズ対策はコストが高い上、今後も周波数が増加すれば、ノイズフィルタにより大型化を招くので、コントローラのサイズに収めるのに限界が来る。
しかも、ノイズ対策のために必要なスイッチング素子は、オンオフに切り替えられる毎に損失を伴うので、周波数が高いと、スイッチングによる損失増加を招く。
高負荷領域では、高調波を抑制するためにスイッチングを行うが、高調波抑制制御の搬送波周波数が低いことで、上述したようにノイズが十分に軽減されているから、高周波スイッチング用の高価なノイズフィルタは必要ない。
その上、高調波抑制制御の搬送波周波数が低いことにより、単位時間あたりのスイッチング回数が減少するので、スイッチング素子におけるスイッチング損失を抑えることができる。低負荷領域ではスイッチング素子をスイッチングしていないので、それらスイッチング素子によるスイッチング損失が発生しない。
以上より、本発明によれば、高調波抑制制御に低い周波数の搬送波を用いることにより、高調波を許容値内に収めつつ、コストを抑えて十分にノイズ対策を図るとともに、損失を抑えて効率を向上させることができる。
図1に示すモータ用の駆動制御装置1は、交流を直流に変換するコンバータ部10(コンバータ装置)と、コンバータ部10から入力される直流を交流に変換してモータ2(負荷)へと供給するインバータ部20とを備えている。
モータ2は、図9に示すコンプレッサ3に適用することができる。コンプレッサ3は、モータ2と、モータ2を駆動制御する駆動制御装置1と、モータ2により駆動されて冷媒を圧縮する圧縮機構4と、モータ2および圧縮機構4を収容するハウジング3Aとを備えており、空気調和機を構成する。
インバータ部20は、半導体スイッチング素子21のスイッチングにより生成された駆動電流を巻線u,v,wに供給する。
コンバータ部10は、リアクトル5と、整流ダイオード6a,6bおよびスイッチング素子7a,7bと、高速ダイオード8a,8bを有するコンバータ回路9と、コンバータ回路9を駆動する駆動部11a,11bと、入力電流検出部12と、位相検出部13と、平滑コンデンサ14と、駆動部11a,11bにPWM信号を与えることで電源高調波を抑制するためのPWMコンバータ制御を行う制御部15とを備えている。
リアクトル5としては、コンバータ回路9に用いられる典型的なリアクトルと比べてインダクタンスが大きく、安価なものが使用されている。典型的なリアクトルは、PWM信号の高い周波数に対応可能な、例えば0.1〜0.5mHのインダクタンスを有するものが使用されるのに対して、リアクトル5のインダクタンスは、その数十〜数百倍、つまり、数mH〜数十mH程度である。
同じく一対のスイッチング素子7a,7bは、整流ダイオード6a,6bのそれぞれに並列に接続されている。
スイッチング素子7a,7bとしては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の半導体スイッチング素子を用いることができる。Siを用いた典型的なMOSFETの他、Siを用いたSJ−MOSFET(スーパージャンクション構造のMOSFET)や、SiC,GaN,Ga2O3等を用いたワイドギャップの半導体を用いることもできる。
そして、高速ダイオード8aが整流ダイオード6aおよびスイッチング素子7aに直列に接続され、高速ダイオード8bが整流ダイオード6bおよびスイッチング素子7bに直列に接続されている。高速ダイオード8a,8bは、逆流が可能なリカバリー時間(逆回復時間)が短いファストリカバリー特性を有している。
入力電流検出部12は、コンバータ回路9への入力電流を検出する。
位相検出部13は、交流電源ACの位相を検出する。
平滑コンデンサ14は、コンバータ回路9からの出力電流を平滑化する。
制御部15は、20kHz以下の低い周波数の搬送波(キャリア)を使用している。搬送波の周波数(キャリア周波数)は、10kHz以下であることが好ましい。本実施形態の制御部15では、数kHzの搬送波が採用されている。
永久磁石同期モータの場合は、回転数の増加により誘起電圧が増大するため、高回転であるほど大きなインバータ出力を必要とする。また、負荷が高いほど、入力電流が大きいほど、直流電圧の降下が大きくなる傾向がある。そうした状況下にも、変調率を可変に設定することで対処することができる。
図2(a)は、三角波である搬送波A0と、正弦波である信号波A1とを示している。搬送波A0は鋸波であってもよい。
上述したように搬送波A0の周波数は数kHzである。信号波A1の周波数は、商用電源(交流電源AC)の電源周波数である。そして、搬送波A0に対する信号波A1の変調率はほぼ1である。
PWM信号生成部152は、搬送波A0と信号波A1とを比較し、搬送波A0の電圧に対して信号波A1の電圧が大きい時間だけオフであるPWM信号S1を生成する。図2(b)に示すように、搬送波A0の周波数と同じ周波数で、パルス幅が可変なPWM信号S1が生成される。
PWM信号生成部152は、位相検出部13により検出された電源の位相に基づいて、図4(a)に示すように電源位相のゼロクロスθ0と同期した、あるいは図4(b)に示すように電源位相のゼロクロスθ0からシフトしたPWM信号S1を生成することができる。
スイッチング素子7aのオン時には、交流電源ACはリアクトル5を通じてスイッチング素子7aおよび整流ダイオード6bにより短絡される。このときリアクトル5に蓄えられた電荷は、スイッチング素子7aのオフ時に整流ダイオード6aおよびスイッチング素子7bを通じて平滑コンデンサ14に放出される。これによってコンバータ回路9が出力する直流電圧が上がり、正弦波に近づく。
スイッチング素子7a,7bは、オンオフ(PWMコンバータ制御)により、直流の波形を正弦波に近づけて高調波を低減するために設けられている。但し、PWMコンバータ制御の搬送波の周波数が高いと、サージによるノイズが増加する側面もある。
そして、入力電流が相対的に小さい低負荷領域にある場合には、PWMコンバータ制御を行わないため、連続したオフ信号(フルオフ信号)を駆動部11a,11bに与える。そうすると、スイッチング素子7a,7bはオンオフにスイッチングされない。つまりスイッチング素子7a,7bは低負荷領域では機能しない。
一方、入力電流が相対的に大きい高負荷領域にある場合には、PWMコンバータ制御を行うため、PWM信号S1を駆動部11a,11bに与える。そうすると、スイッチング素子7a,7bがオンオフにスイッチングされる。
以上より、フルオフ信号は、PWMコンバータ制御のオフ状態を示し、PWM信号S1は、PWMコンバータ制御のオン状態を示している。
その場合は、図5に示すように、オフ状態からオン状態へと切り替わるときの入力電流IONに対して、オン状態からオフ状態へと切り替わるときの入力電流IOFFが小さい。
こうすると、入力電流がIONとIOFFとの間で変動しているときにPWMコンバータ制御のオンオフ状態がハンチングすることを防ぐことができる。
高負荷領域では、高調波を抑制するためにスイッチングを行うが、高調波抑制制御の搬送波周波数が低いことでノイズが十分に軽減されているため、高周波スイッチング用の高価なノイズフィルタは不要である。
本実施形態の駆動制御装置1を含めたコンプレッサ3は、高調波電流の国際規格であるIEC61000−3−2に適合する。
以上より、本実施形態によれば、高調波を許容値内に収めつつ、コストを抑えて十分に高調波対策を図るとともに、損失を抑えて効率を向上させることができる。
このことは、空気調和機用のコンプレッサに適用されるモータ2にあっては、JIS C9612に基づく空調機の評価指標である通年エネルギー消費効率(Annual Energy Consumption:APF)の観点から、意義が大きい。APFは、所定の冷房期間及び所定の暖房期間を通じて室内側空気から除去する熱量及び室内側空気に加える熱量の総和と、同期間内に消費する電力量の総和との比を示しており、運転頻度が高い低速度域運転に重み付けして算出されるためである。つまり、空気調和機のコンプレッサ3を動作させるモータ2の駆動制御は、低負荷領域における効率こそ重要である。
そして、好ましいことに、空気調和機のコンプレッサ3および駆動制御装置1を収容する筐体には、インダクタンスの大きさに見合ったサイズのリアクトル5を収容可能な程度のスペースであれば、十分な余裕がある。
上記実施形態のスイッチング素子7a,7bは、図1に示す回路上で左右に配置されているが、図6に示すように、上下に配置することもできる。図6に示す構成の場合は、ダイオード8a,8bにファストリカバリー特性は要求されない。
PWM信号S1,S1を同一の波形にすると、制御部15の出力、そして駆動部11a,11bを共通化することができるので、コストを抑え、小型化を図ることができる。
本発明のコンバータ装置は、空気調和機のコンプレッサを動作させるモータの電源の他にも、例えば、照明、ヒーター、コンピュータや家電製品等の電源として広く利用することができる。
2 モータ
3 コンプレッサ
3A ハウジング
4 圧縮機構
5 リアクトル
6a,6b 整流ダイオード(整流素子)
7a,7b スイッチング素子
8a,8b 高速ダイオード
9 コンバータ回路
10 コンバータ部
11a,11b 駆動部
12 入力電流検出部
13 位相検出部
14 平滑コンデンサ
15 制御部
16 入力電圧検出部
20 インバータ部
21 半導体スイッチング素子
101 区間
151 変調率設定部
152 PWM信号生成部
153 PWMコンバータ制御切替部
A0 搬送波
A1 信号波
AC 交流電源
IOFF 入力電流
ION 入力電流
S1 PWM信号
Claims (14)
- 交流電源に接続されるリアクトルと、
整流素子および前記整流素子に並列に接続されたスイッチング素子を有するコンバータ回路と、
前記コンバータ回路を駆動する駆動部と、
前記コンバータ回路からの出力電流を平滑化する平滑コンデンサと、
10kHz以下の低い周波数の搬送波を使用して前記駆動部を制御する制御部と、
前記コンバータ回路への入力電圧を検出する入力電圧検出部と、を備え、
前記制御部は、
負荷に対応する変調率の信号波および前記搬送波を用いることでPWM信号を生成して前記駆動部に与えるとともに、
相対的に低い負荷である低負荷領域にある場合には前記スイッチング素子をオンオフするPWMコンバータ制御を行わず、
相対的に高い負荷である高負荷領域にある場合には前記PWMコンバータ制御を行い、
前記制御部は、
前記入力電圧に応じて前記変調率の上限を定める、
ことを特徴とするコンバータ装置。 - 前記コンバータ回路への入力電流を検出する入力電流検出部を備え、
前記制御部は、
前記入力電流が相対的に小さい前記低負荷領域にある場合には前記PWMコンバータ制御を行わず、
前記入力電流が相対的に大きい前記高負荷領域にある場合には前記PWMコンバータ制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバータ装置。 - 前記PWMコンバータ制御が行われないオフ状態から前記PWMコンバータ制御が行われるオン状態へと切り替わるときの前記入力電流に対して、前記PWMコンバータ制御が行われるオン状態から前記PWMコンバータ制御が行われないオフ状態へと切り替わるときの前記入力電流が小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンバータ装置。 - 前記制御部は、
前記負荷または前記入力電流に応じて前記変調率を可変に設定する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のコンバータ装置。 - 前記交流電源の位相を検出する位相検出部を備え、
前記制御部は、検出された前記位相を用いて、前記交流電源の位相に対して同期した、あるいはシフトした前記PWM信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコンバータ装置。 - 一対の前記整流素子の各々に前記スイッチング素子が並列に接続され、
一対の前記スイッチング素子には、前記駆動部により同一の前記PWM信号が与えられる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコンバータ装置。 - 一対の前記整流素子の各々に前記スイッチング素子が並列に接続され、
前記制御部は、
一対の前記スイッチング素子のいずれか一方について前記PWMコンバータ制御が行われる区間の全体に亘り他方をオンにする、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のコンバータ装置。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載のコンバータ装置と、
前記コンバータ装置から入力される直流を交流に変換して前記負荷へと供給するインバータ部と、を備える、
ことを特徴とする駆動制御装置。 - 前記負荷は、空気調和機を構成するコンプレッサに用いられるモータである、
ことを特徴とする請求項8に記載の駆動制御装置。 - 請求項8または9に記載の駆動制御装置を備える、
ことを特徴とするモータ。 - 請求項10に記載のモータと、
前記モータにより駆動されて流体を圧縮する圧縮機構と、
前記モータおよび前記圧縮機構を収容するハウジングと、を備える、
ことを特徴とするコンプレッサ。 - 前記制御部は、
前記圧縮機構の回転数が相対的に小さい場合には前記PWMコンバータ制御を行わず、
前記回転数が相対的に大きい場合には前記PWMコンバータ制御を行う、
ことを特徴とする請求項11に記載のコンプレッサ。 - 前記コンプレッサは、空気調和機を構成している、
ことを特徴とする請求項11または12に記載のコンプレッサ。 - 交流電源に接続されるリアクトルと、整流素子および前記整流素子に並列に接続されたスイッチング素子を有するコンバータ回路と、前記コンバータ回路からの出力電流を平滑化する平滑コンデンサと、前記コンバータ回路を駆動する駆動部を制御する制御部と、前記コンバータ回路への入力電圧を検出する入力電圧検出部と、を備えたコンバータ装置を制御する方法であって、
負荷に対応する変調率の信号波および10kHz以下の低い周波数の搬送波を用いることでPWM信号を生成して前記コンバータ回路を駆動するとともに、
相対的に低い負荷である低負荷領域にある場合には前記スイッチング素子をオンオフするPWMコンバータ制御を行わず、
相対的に高い負荷である高負荷領域にある場合には前記PWMコンバータ制御を行い、
前記入力電圧に応じて前記変調率の上限を定める、
ことを特徴とするコンバータ装置の制御方法。
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