JP6590049B2 - 板状物の端面加工装置 - Google Patents
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Description
このような板ガラスは、例えば、オーバーフロー・ダウンドロー法によって長尺・帯状に成形される。この際、成形された板ガラスの幅方向の両側縁部には、幅方向の中央部に比べて肉厚なビードが形成される。
そして、長尺・帯状の板ガラスは、幅方向に切断(割断)された後、前記ビードを含む両側縁部が切断されて除去されることで所定寸法の矩形板状に切断される。
こうして、均一な厚みのガラス基板に形成された矩形板状の板ガラスは、その後、切断された各端面において、例えば特許文献1に示されるような、外周面に環状の溝部が予め形成された回転砥石によって、粗研磨加工や仕上げ研磨加工等の端面加工が施され、最終製品として形成される。
図7(a)は従来の端面加工装置101の全体的な構成を示した平面図であり、図7(b)は図7(a)中の矢印Yの方向から見た拡大正面図である。
なお、以下の説明においては便宜上、図7(a)における矢印Aの方向を端面加工装置101の前方と規定して記述する。また、図7(b)においては、上下方向を端面加工装置101の上下方向と規定して記述する。
そして、これら複数の吸引孔を介して、矩形板状の板ガラスWは、吸着定盤110に吸着されて堅固に保持される。
この際、板ガラスWは、水平且つ前後方向に延出するとともに、左右両側の側縁部が吸着定盤110の外部へとはみ出した姿勢をもって、吸着定盤110の上面に保持される。
また、これらの回転砥石120・120・・・は、それぞれ、軸心方向を板ガラスWの厚み方向、即ち、上下方向(吸着定盤110の延出方向との側面視直交方向)として着脱可能に配置され、軸心を中心にして回転駆動可能に設けられる。
この際、図7(b)に示すように、板ガラスWの左右両側の側縁部は、各回転砥石120の外周面に形成された環状の溝部120a内に嵌挿されるとともに、前記側縁部の端面が溝部120aの底面に当接される。
従って、回転砥石の交換作業に時間がかかり、タイムロスを生じさせ、生産効率の低下を招く要因となっていた。
先ず、本発明を具現化する端面加工装置1の構成について、図1および図2を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図2の上下方向を端面加工装置1の上下方向と規定して記述する。
また、図1においては、矢印Aの方向を端面加工装置1の前方と規定して記述する。
端面加工装置1は、主に、吸着定盤10、回転砥石20、および溝形成機構部30等により構成される。
従って、以下の説明においては、主に、吸着定盤10の一方側(例えば、本実施形態においては右側)に設けられる一対の回転砥石20および溝形成機構部30に着目して記述することとし、他の複数の回転砥石20・20・・・、および溝形成機構部30・30・・・についての記述は省略する。
なお、溝形成機構部30は、複数の回転砥石20・20・・・のうちの、一部の回転砥石20・20・・・に対応して設けることも可能である。例えば、図7に示す粗研磨用回転砥石120Xを従来の回転砥石120とし、仕上げ研磨用回転砥石120Yを本発明の回転砥石20とし、溝形成機構部30を設けてもよい。
吸着定盤10は、平面視矩形状に形成され、その上面には図示せぬ無数の吸引孔が穿孔されている。
回転砥石20は、板ガラスWの端面に対して面取り加工や研磨加工等の端面加工を施すためのものである。
回転砥石20は、基体となる円盤形状の台金20aや、台金20aの外周面に即して固定される砥粒層20bなどにより構成される。
なお、鋼の材質としては、例えば、炭素工具鋼、合金工具鋼、または高速度鋼等を用いることが可能である。
また、砥粒層20bは、結合材、および多数の砥粒からなる混合物を、焼成することによって作製される。
また、これらの結合材と砥粒との割合については、結合材が30〜97体積%、砥粒が3〜70体積%となるようにするのが適当である。
なお、砥粒の粒径は、その研磨量や仕上げ表面粗さの要求レベルに応じて選択すればよく、例えば、#100〜3000、好ましくは#600〜1000の範囲で適宜決定すればよい。
また、吸着定盤10の左右両側の各側において一列に配置される回転砥石20・20・・・は、吸着定盤10に対して近接離反方向(本実施形態においては、左右方向)に移動可能な構成となっている。
溝形成機構部30は、装着された回転砥石20の外周面において、板ガラスWの端面と対応する位置に、周方向に沿った環状の溝部20cを形成するための溝形成手段であって、各回転砥石20に対して各々配設される。
溝形成機構部30は、図1に示すように、水平方向(板ガラスWの板面に沿った方向であり、例えば、本実施形態においては前後方向)に延出する回動アーム31を備え、回動アーム31の延出方向の中央部には、軸心方向を上下方向とする回動シャフト32が、軸受部材33を介して貫設されている。
また、回動アーム31の延出方向の一端部(例えば、本実施形態においては前端部)には、例えば超硬材からなるブレード34が着脱可能に固設される。
また、付勢手段35の近傍には、例えばエアシリンダー等からなるアクチュエーター36が設けられており、当該アクチュエーター36の伸縮ロッド36aによって回動アーム31の他端部を押圧することにより、ブレード34が回転砥石20の外周面より離反する方向に、回動アーム31が回動されるようになっている。
つまり、回動アーム31、回動シャフト32、軸受部材33、付勢手段35、およびアクチュエーター36により、ブレード34を当接位置と離間位置とに切り替え可能な切り替え手段が構成されている。
さらに、溝形成機構部30は、回転砥石20と一体的に移動可能に構成されている。
換言すると、溝形成機構部30は、ブレード34によって、板ガラスWの端面と対応する位置(例えば、本実施形態においては、上下方向に一致する位置であって、板ガラスの端面と対向する位置)であって、回転砥石20の外周面に、環状の溝部20bを形成するように構成されている。
これにより、本実施形態における端面加工装置1においては、例えば、回転砥石20の交換作業を行う度に、回転砥石20の上下位置を、板ガラスWの上下位置と一致させるための調整作業が必要になることもない。
よって、前述したような、回転手段21に回転砥石20を装着した後の調整作業が不要となるため、回転砥石20の交換作業に時間がかかることもなく、生産効率の低下を招くこともない。
次に、本実施形態における端面加工装置1によって板ガラスWの端面加工を行う際の端面加工方法について、図2乃至図4を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図3における矢印Aの方向を端面加工装置1の前方と規定して記述する。
具体的には、初期状態においては、回転手段21および溝形成機構部30は、所定の基準位置Sp1(例えば、図3においては、吸着定盤10に対して後方、且つ右方に離反した位置)に位置している。
この場合、回転手段21は停止しており、溝形成機構部30は、アクチュエーター36の伸縮ロッド36aが伸長して、ブレード34が離間位置に位置した状態となっている。また、回転手段21には、回転砥石20は未だ装着されていない。
第一の復帰運転は、回転砥石20を板ガラスWの端面加工開始位置の近傍にまで移動させながら、当該回転砥石20の外周面に環状の溝部20aを形成するものである。
ステップS104における第一の復帰運転では、まず、回転手段21による回転砥石20の回転駆動が開始されるとともに、溝形成機構部30におけるアクチュエーター36の伸縮ロッド36aが縮退することによりブレード34が当接位置に移動され、回転砥石20の外周面にブレード34が当接する(ステップS105)。
回転砥石20の移動方向としては、回転砥石20が、吸着定盤10に対して相対的に基準位置Sp1から前方へと移動し、板ガラスWの端面加工開始位置の近傍に位置する所定の第一停止位置Sp2(例えば、図3においては、吸着定盤10に対して前方、且つ右方に離反した位置)にて停止する。
第一停止位置Sp2に回転砥石20が到達して停止すると、溝形成機構部30におけるアクチュエーター36の伸縮ロッド36aが伸長し、回転砥石20の外周面よりブレード34が離反する(ステップS107)。
このように、ステップS104における第一の復帰運転中に、回転砥石20の外周面に環状の溝部20cを形成する溝形成工程が実施される。
研磨運転が開始されると、回転砥石20は、溝形成機構部30とともに、吸着定盤10に近接する方向へ移動し、所定の加工開始位置Sp3(例えば、図3においては、吸着定盤10に対して前方、且つ右側に近接した位置)に到達して停止する。
つまり、回転砥石20は、研磨運転の開始時に、板ガラスWの端面の一端側(即ち、後述するように、板ガラスWの端面加工を行う際の開始位置となる前端側)の近傍(加工開始位置Sp3)に予め移動される。
回転駆動される回転砥石20が加工開始位置Sp3から第二停止位置Sp4まで移動する間に、回転砥石20の溝部20cが、板ガラスWの各端面(例えば、図3においては右側端面)の前端側から後端側にかけての全範囲に渡って当接することとなり、板ガラスWの端面加工が実施される。
また、この際、吸着定盤10においては、前記ステップS108によって端面加工の施された板ガラスWが搬出される一方、新たな未加工の板ガラスWが所定の載置姿勢によって吸着定盤10の上面に載置される。
第二の復帰運転は、回転砥石20の外周面に環状の溝部20aを形成することなく、単に、回転砥石20を板ガラスWの端面加工開始位置の近傍にまで移動させるものである。
ステップS110における第二の復帰運転では、回転砥石20の外周面からブレード34が離反した状態で、回転砥石20が、吸着定盤10に対して相対的に基準位置Sp1より前方へと移動し、第一停止位置Sp2にて停止する。
なお、第二の復帰運転では、ブレード34が回転砥石20の外周面から離反しているので、回転砥石20の外周面に対する溝部20cの形成は行われない。
以降、ステップS109にて溝部20cが規定の使用寿命に到達していないと判断されるまで、第二の復帰運転(ステップS110)および研磨運転(ステップS108)が繰り返し実行される。
なお、ステップS109では、予め設定された所定の板ガラスWの加工枚数の加工終了をもって、前記溝部20cの規定の使用寿命に到達したと判断してもよい。
具体的には、図2に示すように、回転砥石20は、回転手段21とともに、回転軸心方向(本実施形態においては上下方向)に沿って所定のストローク分だけ所定の方向(本実施形態においては上方)に移動して停止する。
これにより、板ガラスWの端面には、回転砥石20の外周面における環状の溝部20cが形成されていない部分が対向することとなる。
このように、回転砥石20の段替えは、板ガラスWの端面が、使用寿命に到達した溝部20cと対向している状態から、回転砥石20の外周面における環状の溝部20cが形成されていない部分と対向する状態へ切り替える動作である。
この場合、ステップS112の段替え後に形成される溝部20cは、前回形成された溝部20cよりも下方に形成される。
これにより、端面加工装置1による板ガラスWの端面加工は終了する。
なお、引き続き、端面加工装置1によって板ガラスWの端面加工を行う場合には、前記ステップS102以降の各ステップを順に実行することとなる。つまり、使用寿命に到達した回転砥石20を溝部20cが未形成の新たな回転砥石20に交換した後、端面加工装置1の自動運転を再開する。
よって、本実施形態の端面加工装置1によれば、回転砥石20の外周面に環状の溝部20cを形成するための新たなステップを別途設ける必要もなく、タイムロスによる生産効率の低下を招くこともない。
以下、従来の端面加工装置101によって板ガラスWの端面加工を行う際の端面加工方法について、図8および9を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図9の上下方向を端面加工装置101の上下方向と規定して記述する。
また、その一方において、吸着定盤(図示せず)の上面に、板ガラスWを所定の載置姿勢によって載置する。
復帰運転では、回転砥石120は、基準位置Sp1より第一停止位置Sp2へ移動して停止する。
加工開始位置Sp3にて停止すると、回転砥石120は、回転手段121による回転駆動を開始する。
具体的には、前述した本実施形態の端面加工装置1におけるステップS108と同様に、回転砥石120は、回転駆動を行いながら、加工開始位置Sp3より第二停止位置Sp4へと移動して停止する。
これにより、回転砥石120は、板ガラスWの各端面の前端から後端にかけての全範囲に渡って、回転駆動しながら環状の溝部120aを介して当接しつつ移動することとなり、板ガラスWの端面加工が実施される。
回転砥石120が、再び基準位置Sp1にて停止すると、判定手段によって、板ガラスWの上下位置と一致する環状の溝部120aが、規定の使用寿命に到達しているかどうかの判断が実行される(ステップS207)。
具体的には、図9に示すように、回転砥石120は、回転手段121とともに、所定のストローク分だけ垂直方向に上昇して停止する。
これにより、回転砥石120の外周面において、板ガラスWの端面の上下位置と一致する箇所には、未使用の環状の溝部120aが位置することとなる。
そして、段替えを終了した回転砥石120は、図8に示すように、前述したステップS202以降の動作を再び繰り返すこととなる。
これにより、端面加工装置101による板ガラスWの端面加工は終了する。
なお、引き続き、端面加工装置101によって板ガラスWの端面加工を行う場合は、再び、ステップS201以降の各ステップを順に実行することとなる。
これに対して、本実施形態の端面加工装置1においては、図4に示すように、ステップS101において、板ガラスWの上下位置と一致するように、ブレード34の上下位置を一度調整するだけであり、その後、回転砥石20の交換作業を何度行ったとしても、当該回転砥石20の上下位置を調整する必要はないため、タイムロスが生じ生産効率が低下することもない。
次に、本実施形態における端面加工装置1において、溝形成機構部30の有効性を判断するために本発明者らが行った検証実験について、図1を用いて説明する。
この際の諸条件として、回転砥石20の回転数を3820[rpm]とし、回転砥石20の外周面へのブレード34の押圧力を3〜4[N]とし、且つ、ブレード34の当接時間を3[s]として、回転砥石20の外周面に、環状の溝部20cを形成することとした。
また、本発明者らは、この回転砥石20を用いて、0.3〜0.5[mm]の厚み寸法からなる板ガラスWの端面加工を行った結果、溝部20cの形成後に微調整等が必要なかったことを確認するとともに、角部付近のバタツキの発生を抑制しつつ、各端面の前端から後端にかけての全範囲に渡って、板ガラスWの端面加工を行うことが可能であることを確認した。
次に、別実施形態における端面加工装置201の構成について、図5を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、図5における矢印Aの方向を端面加工装置201の前方と規定して記述する。
即ち、端面加工装置201においては、板ガラスWの端面を加工することによって、回転砥石220の外周面に環状の溝部を形成する構成となっている。
これにより、回転砥石220の外周面(より具体的には、回転砥石220の外周面における板ガラスWの端面と当接される部位)においては、再び環状の溝部が未形成の状態となる。
その後、板ガラスWの端面を研磨することによって、回転砥石220の外周面に、再び新たな環状の溝部が形成される。
その結果、板ガラスWの角部付近を均一に研磨することが困難となる一方、回転砥石220自身が板ガラスWの角部によって傷付けられるおそれもあり、板ガラスWの品質低下を引き起こすおそれがあった。
そして、図5(a)に示すように、二枚目以降の板ガラスWについては、前側の角部を除くことなく端面全体に渡って端面加工を行う制御としている。
加えて、端面加工装置1においても、予め溝形成機構部30で溝部20cを形成することから、板ガラスWの角部付近のバタツキの発生を抑制しつつ、板ガラスWの端面加工を行うことが可能となり、加工終了後の板ガラスWの品質向上を図ることができる。
20c 溝部
30 溝形成機構部(溝形成手段)
34 ブレード
35 付勢手段
36 アクチュエーター
S204 第一のステップ
S205 第一のステップ
S206 第一のステップ
S207 第二のステップ
W 板ガラス(板状物)
Claims (7)
- 板状物の端面を、回転手段に着脱可能な回転砥石の外周面で加工する端面加工装置であって、
前記端面加工装置は、前記回転砥石の前記外周面に周方向に沿った環状の溝部を形成する溝形成手段を備え、
前記溝形成手段は、前記回転砥石と一体的に移動可能に構成されており、
溝部が未形成の状態の前記回転砥石を前記回転手段に装着した後に、
前記溝形成手段は、前記回転砥石の前記外周面に、周方向に沿った環状の前記溝部を形成する、
ことを特徴とする板状物の端面加工装置。 - 前記端面加工装置は、前記回転砥石による前記板状物の前記端面の加工を実行する加工工程と、後続する前記板状物の端面加工の準備を行う準備工程と、を交互に実施し、
前記溝形成手段と前記回転砥石は、前記回転砥石によって前記板状物の前記端面加工を行う際の加工開始位置と加工終了位置とを交互に移動する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の板状物の端面加工装置。 - 前記回転砥石は、回転軸心方向に沿って移動可能に設けられ、
前記端面加工装置は、前記溝部が使用寿命に到達していると判断した場合に、段替えを実行する、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の板状物の端面加工装置。 - 前記段替えを実行した後に、前記溝形成手段が前記回転砥石の前記外周面への前記溝部の形成を実行する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の板状物の端面加工装置。 - 前記溝形成手段は、前記板状物の前記端面の上下位置と一致するように調整されている、
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の板状物の端面加工装置。 - 前記溝形成手段は、前記回転砥石の前記外周面に当接することで前記環状の溝部を形成するブレードを有し、
前記ブレードの上下位置が、前記板状体の前記端面の上下位置と一致するように調整されている、
ことを特徴とする、請求項5に記載の板状物の端面加工装置。 - 前記溝形成手段は、前記ブレードを前記回転砥石の前記外周面に当接する当接位置と前記回転砥石の前記外周面から離反する離間位置とに切り替え可能な切り替え手段を有する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の板状物の端面加工装置。
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