JP6589227B1 - 制御装置、空調制御システム、制御情報の算出方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
以下、本発明の一実施形態による空調制御システムおよび最適な制御情報の算出方法について図1〜図12を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における空調制御システムの一例を示す図である。空調制御システム100は、ビル4に備えられた1台以上空調機31〜3mを、ユーザの快適性を保ちつつ低コストで運転するための制御システムである。さらに本実施形態の空調制御システム100は、エリア毎にそのエリアに対する空調の優先度を設定したうえで、空調機31〜3m全体での経済性やエリア毎の快適性を所望の状態に制御することを特徴とする。ここでエリアとは、空調対象の単位となる空間のことである。エリアは、ビル4内の1つの部屋、1つのフロアであってもよいし、複数のビルを跨る複数の部屋や複数のフロアを1つのエリアとして設定してもよい。また、1つのエリアには、異なる冷媒系統(ブロック)に属する複数の室内機が設置されていてもよい。
図2を用いてDRASクライアント2の構成について説明する。DRASクライアント2は、運転情報取得部21と、料金情報取得部22と、制御情報算出部23と、判定部24と、運転状態予測部25と、評価部26と、基準設定部27と、通信部28と、記憶部29とを備える。
運転情報取得部21は、空調機31〜3mの運転情報を取得する。運転情報とは、例えば、空調機31の運転による消費電力量、運転時の室内温度、設定温度および室外温度等である。運転情報取得部21は、例えば所定の時間毎に空調機31〜3mの運転情報を取得し、記憶部29に取得した運転情報を記録する。
料金情報取得部22は、DRASサーバ1が送信した電力料金のスケジュール情報を取得する。電力料金のスケジュール情報については、後に図3を用いて説明する。
この電力制限値は、図3で例示した電力料金単価の場合に、ユーザが設定した室内の設定温度をなるべく達成しつつ、最安の電力料金で空調機31等を運転するための空調機31等が消費する電力の上限値である。
図4の例の場合、単価が30円の時間帯(14:00〜14:10)では、前半が14kW、後半が7kwとなっている。続いて、単価が10円の時間帯(14:10〜14:20)では前半が3kW、後半が7kwとなっている。最後に単価が100円の時間帯(14:20〜14:30)では前半、後半ともに0kwとなっている。
DRASクライアント2では、制御情報算出部23が算出した運転制限スケジュールが示す条件下での30分後までの空調機31〜3mの運転状態を運転状態予測部25が予測し、評価部26がその30分間の運転による電力料金、エリア毎の快適性を評価する。そして、制御情報算出部23は、評価部26による評価結果に基づいて、より適切な運転制限スケジュール情報を再設定する。例えば、快適性が良好でも電力料金が高額になる場合には、制御情報算出部23は運転制限スケジュールの電力制限値を抑え、より低電力で運転を行う条件を再設定する。また、例えば、電力料金は非常に安くなるが快適性も低い場合、制御情報算出部23は運転制限スケジュールの電力制限値を上昇させ、電力料金が相対的に上昇してもユーザが設定した設定温度を実現することにより、快適性を向上させる条件を再設定する。図4に例示する電力制限運転のスケジュール情報は、このようにして最適化された所定時間毎の電力制限値である。
図6は本発明の一実施形態における電力制限運転を説明する第二の図である。
図5、図6において縦軸は消費電力量(kW)、横軸は時間(分)を示している。図6の場合、縦軸はさらに電力制限値(kW)を示している。
図5に示すグラフ51は、平常運転時の制御(本実施形態の電力制限値による運転制限を設けない制御)によって空調機31を運転したときの消費電力量の時間推移を示している。
図6に示すグラフ61は、本実施形態のエリア複合RTP制御によって空調機31〜3mを運転したときの空調機31についての消費電力量の時間推移を示している。また、グラフ62は、制御情報算出部23が算出した空調機31に対する運転制限スケジュール(電力制限値の時間推移)を示している。
次に評価部26が式(1)に、運転状態予測部25が模擬した30分間の運転状態情報を代入し評価値を算出する。なお、α、βa、Cb Pi等の定数については予め設定され記憶部29に記録されている。また時間毎の電力料金単価R(m)には料金情報取得部22が取得した電力料金スケジュール情報を用いる。各エリアの目標温度Tb Si(m)については、各室内機iを通じて設定された値を用いる。
図7にマルチコアのCPUによって、式(1)の評価値Jcが最小となる最適解を探索したときの様子を示す。縦軸は評価値Jcの値、横軸は探索開始からの経過時間を示している。各コアにSAアルゴリズムを実行させて並列に解の探索を実行させたことにより、複数のグラフが表示されている。0.5秒付近で一旦1つの値に収束しているのは、それまでに得られた中で最も良質な解を全てのコアで実行中のアルゴリズムに与え同期させる処理を行ったことによる。図7に示すように1秒の手前から以降は評価値Jcの値に大きな変化は無く、その後わずかに低下して10秒に至っている。探索開始から1秒を経過する手前の評価値の値は1500を下回り、その後、10秒経過時には評価値Jcの値は1397を記録した。もし、評価値Jcの値が、例えば1450程度であっても実用上問題が無い程度に低コスト且つ高快適性を実現することができれば、上限となる10秒間をかけて探索処理を行う必要は無い。図7の例では、解の探索は1秒弱で十分と考えられる。そこで、本実施形態では、所定の基準を設け、探索中の解がこの基準に達したら探索を打ち切り、基準を満たしたと判定した時点の準最適解を最終的な解として採用する。
図8は、本発明の一実施形態における探索打ち切り処理を説明する第二の図である。
図8のドットで示す領域K1は、一例として、NL=5、Nb=20、Nh=6(NALL=5120)の探索空間から10000点をサンプリングしたときの評価値Jcのヒストグラムである。横軸に評価値Jcの値、縦軸に出現率を示す。サンプリングした値の標本平均XJCは2072、標本標準偏差SJCは128.3である。図8のグラフK2は、標本平均XJCと標本標準偏差SJCを用いて算出した正規分布のグラフである。図示するようにサンプリングした評価値Jcの分布は正規分布に近似できる。他のサンプリング例でも評価値Jcの分布が概ね正規分布となることが実験的に確認できている。そこで、本実施形態では、探索空間を構成する評価値Jcが正規分布に従うと仮定し、以下の処理手順により解が正規分布の下位何%に到達しているのかを計算し、所定の基準より下位に達していれば(小さな値となっていれば)探索を打ち切る処理を行う。
図9に実際に上記手順で探索を打ち切った実行例を示す。図中J´cminは、予め全探索により発見した厳密最小解J´cmin=111である。一方、上記の[1]〜[7]の手順で解の探索及び探索の打ち切りを実行したところ、探索の開始から0.02秒が経過した時に厳密最小解J´cminと同じ値の解Jcmin=111を得ることができた。
図10を用いて、解の探索および探索打ち切り処理に先立ち必要となる処理の流れを説明する。まず、基準設定部27が、これから行う空調と同様の条件(例えば、各エリアの設定温度や何分先までの評価値を算出するか等)を設定して、ランダムに生成した複数の電力制限スケジュール情報に基づいて評価値Jcのサンプリングを行う(ステップS1)。運転状態の予測には、運転状態予測部25を用いることができる。また、1つの評価値Jcのサンプルを得るための計算時間を定め、その計算時間で得られた評価値Jcを複数(例えば、1万個)算出する。サンプルを得るための計算時間には、サンプリングした複数の評価値Jcの分布が正規分布に従うような適切な時間を設定することができる。例えば、図7に例示した例では計算時間を10秒として設定すると、多数の解が最適解付近に収束してしまい、サンプリングした評価値Jcが正規分布とならない。従って、図7に示す例では、計算時間を、例えば0.8〜1秒程度に制限してサンプリングを行う。次に基準設定部27は、サンプリングした複数の評価値Jcに基づいて、標本平均XJCと標本標準偏差SJCを算出する(ステップS2)。次に基準設定部27は、基準となる所定の下側確率を設定する(ステップS3)。下側確率PJC END(例えば、0.01%)は、ユーザが入力してもよい。次に基準設定部27は、標本平均XJCと標本標準偏差SJCと下側確率PJC ENDを記憶部29に記録する(ステップS4)。
図11を用いて運転制限スケジュール情報の生成処理の流れについて説明する。記憶部29には、式(1)〜(4)に用いられる定数(α,βa等)が記録されている。また、予め図10で説明した処理により、記憶部29には標本平均XJCと標本標準偏差SJCと下側確率PJC ENDが記録されている。空調制御システム100の構成は、図1の構成を前提とする。
次に運転情報取得部21が、複数の空調機31〜3mそれぞれの運転状態情報を取得する(ステップS12)。運転状態情報には、ブロック単位での単位時間毎の消費電力量、外気温度、室内機単位での室内温度、ユーザによる設定温度等の情報が含まれている。運転情報取得部21は、取得した運転状態情報を記憶部29に記録する。
また、上記例では最適化手法として、SAアルゴリズムを用いたが、探索中の解の分布が正規分布に従うならば、他の方法であっても本実施形態の探索打ち切り処理を適用することができる。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述のDRASクライアント2(制御装置)は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
1・・・DRASサーバ
2・・・DRASクライアント
3・・・ゲートウェイ
31、32、33、34、3m・・・空調機
4・・・ビル
301、302、303、304、30m・・・室外機
311、312、313、31n、321,322、323、32n、331、332、333、33n、341、342、343、34n、3m1、3m2、3m3、3mn・・・室内機
21・・・運転情報取得部
22・・・料金情報取得部
23・・・制御情報算出部
24・・・判定部
25・・・運転状態予測部
26・・・評価部
261・・・電力料金評価部
262・・・快適性評価部
27・・・基準設定部
28・・・通信部
29・・・記憶部
Claims (10)
- 空調機の制御情報を算出する制御情報算出部と、
前記制御情報に基づいて前記空調機を運転した場合の評価値を算出する評価部と、
前記評価値が、所定の基準を満たすかどうかを判定する判定部と、
サンプリング後の前記評価値の分布が正規分布と近似するように設定された所定の時間をかけてランダムに生成された前記制御情報に基づいて予めサンプリングされた複数の前記評価値と、
を備え、
前記判定部は、前記評価部が算出した判定対象の前記評価値が、前記予めサンプリングされた複数の前記評価値の分布を近似して得られる正規分布に基づいて設定される所定の範囲の値か否かによって、前記評価値の判定を行う、
制御装置。 - 前記判定部は、判定対象の前記評価値の前記正規分布における下側確率が、所定の値以下となると当該評価値が前記範囲の値であると判定する、
請求項1に記載の制御装置。 - 前記制御情報算出部は、SA(Simulated Annealing)アルゴリズムによって、前記評価値が前記範囲の値となるような前記制御情報を算出する、
請求項1または請求項2に記載の制御装置。 - 前記判定部は、前記評価値の算出を開始してからの経過時間が所定時間を上回るか、または、前記評価値の算出回数が所定回数を上回ると、前記評価値が所定の基準を満たすと判定する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。 - 前記制御情報を変更したときの前記評価値を複数サンプリングして、前記評価値の標本平均と標本標準偏差を算出し、前記基準の設定を受け付ける基準設定部、
をさらに備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置。 - 前記基準設定部は、サンプリングした前記評価値が正規分布に従うように計算時間を定めて前記評価値をサンプリングする、
請求項5に記載の制御装置。 - 時間毎の電力料金単価の情報を取得する料金情報取得部と、
室外機と1台以上の室内機を備える空調機について、1台以上の前記空調機の運転状態に関する運転状態情報を取得する運転情報取得部と、
前記運転状態情報と所定の予測モデルとに基づいて、未来の所定期間における前記空調機の運転状態を予測する予測部と、をさらに備え、
前記評価部は、前記予測部が予測した運転状態に基づく前記所定期間における前記室内機が空調対象とするエリア毎の快適性の評価値と、前記時間毎の電力料金単価の情報に基づく前記所定期間における前記空調機の動作に必要な電力料金の評価値と、に基づく前記空調機の全てを対象とする運転に関する評価値を算出し、
前記制御情報算出部は、前記評価値が所定の基準を満たすような前記制御情報を算出する、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の制御装置。 - 請求項7に記載の制御装置と、
前記制御装置が算出する制御情報に基づいて運転する1台以上の空調機と、
を備える空調制御システム。 - 空調機の制御情報を算出するステップと、
前記制御情報に基づいて前記空調機を運転した場合の評価値を算出するステップと、
サンプリング後の前記評価値の分布が正規分布と近似するように設定された所定の時間をかけて前記制御情報をランダムに生成し、該制御情報に基づいて複数の前記評価値をサンプリングするステップと、
前記評価値を算出するステップにおいて算出された判定対象の前記評価値が、前記サンプリングされた複数の前記評価値の分布を近似して得られる正規分布に基づいて設定される所定の範囲の値か否かによって、前記評価値が所定の基準を満たすかどうかを判定するステップと、
を有する制御情報の算出方法。 - 制御装置のコンピュータを、
空調機の制御情報を算出する手段、
前記制御情報に基づいて前記空調機を運転した場合の評価値を算出する手段、
サンプリング後の前記評価値の分布が正規分布と近似するように設定された時間をかけてランダムに生成された前記制御情報に基づいて複数の前記評価値をサンプリングする手段、
前記評価値を算出する手段が算出した判定対象の前記評価値が、前記サンプリングされた複数の前記評価値の分布を近似して得られる正規分布に基づいて設定される所定の範囲の値か否かによって、前記評価値が所定の基準を満たすかどうかを判定する手段、
として機能させるためのプログラム。
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