JP6582461B2 - 樹脂組成物及び易剥離性フィルム - Google Patents
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Description
本発明の樹脂組成物を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体(A)としては、JIS K6922−1(1998年)によるメルトマスフローレート(以下、MFR−Aと記す場合がある。)が3〜50g/10分の範囲にあるものである。MFR−Aが3g/10分未満では、溶融せん断粘度が高くなって押出機への負荷が大きくなるとともに、ドロ−ダウン性も悪くなるために好ましくない。一方、50g/10分を超える場合は、溶融膜の安定性や厚み精度が悪いなど成形安定性が悪くなる。
機種:ウォーターズ社製 150C ALC/GPC
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
流速:1ml/min
温度:140℃
測定濃度:30mg/30ml
注入量:100μl
カラム:東ソー(株)製 TSKgel GMH HR−H 3本
また、このエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式の関係を満たすものであると、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布が狭く、低温ヒートシール性を悪化させる低密度(高分岐数)成分が少なく、好ましい。
さらに、このエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の5℃におけるキシレン可溶分率(Sx(重量%))と密度が(2)式で示される関係を満たすものが、低温ヒートシール性の経時変化が少ないため好ましい。
5℃におけるキシレン可溶分率とは、エチレン・α−オレフィン共重合体中に含まれるα−オレフィン濃度の高い低分子量エチレン・α−オレフィン共重合体の重量分率を表すものである。
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、例えば、以下に例示するような公報に開示されている方法によって製造することができる。
(d)JIS K6922−1(1998年)による密度が870〜895kg/m3
(e)JIS K6922−1(1998年)によるメルトマスフローレートが0.1〜5g/10分
(f)JIS K6922−1(1998年)による密度が895〜920kg/m3
(g)JIS 6922−1(1998年)によるメルトマスフローレートが8〜30g/10分
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の混合割合(A1/A2)は低温シール性と耐ブロッキング性が良好となるため20/80〜80/20重量%であることが好ましく、35/65〜65/35重量%であると更に好ましい。
また、結晶性ポリプロピレン(B)としては、2種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明の樹脂組成物を構成する結晶性ポリプロピレン(B)の配合量は10〜40重量%の範囲であり、10重量%より少ないと易剥離性に劣るので好ましくなく、また40重量%を超えると剥離強度が低下し剥離外観も悪くなる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で要求される特性に応じて他の添加剤、例えば他の熱可塑性樹脂やゴム、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、滑剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、中和剤、発泡剤、充填剤、耐熱剤、カップリング剤、ガラス繊維などを配合していても良い。
以下に、物性の測定方法と評価方法を示す。
(1)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1998年)に準拠。
(2)密度
JIS K6922−1(1998年)に準拠。
(3)キシレン可溶分
実施例により合成されたエチレン・α−オレフィン共重合体を200℃のホットプレート上でキシレンに完全に溶解させる。これを5℃まで冷却後濾過する。濾過残分を乾燥させ、秤量し、可溶分を計算することで求めた。
(4)重量平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。
機種:ウォーターズ社製 150C ALC/GPC
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
流速:1ml/min
温度:140℃
測定濃度:30mg/30ml
注入量:100μl
カラム:東ソー(株)製 TSKgel GMH HR−H 3本
(5)吸熱曲線の最大ピーク温度(Tm)
示差走査型熱量計[パーキンエルマー(株)製 DSC−7]を用いて測定した。装置内で試料を200℃で5分間溶融させた後、10℃/分で30℃まで冷却したものについて、再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)を求めた。
(6)短鎖分岐数(SCB)
分子鎖中の短鎖分岐数(SCB)は、フーリエ変換型赤外吸収スペクトル装置[パーキンエルマー(株)製 FT−IRスペクトロメーター1760X]を用いて、1378cm−1に位置するメチル基に対応する吸収バンドの強度と4515〜3735cm−1に位置するメチレン連鎖に対応する強度の比を換算し求めた。
(7)低温シール性評価
ヒートシールテスター(テスター産業社製)にて、作成したフィルム厚み0.03mm、試料幅100mm幅の樹脂組成物層が向い合せになるように易剥離性フィルム2枚を重ねあわせ、更にシールバーへの融着防止を目的にポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100 0.012mm)を易剥離性フィルム2枚の上下に重ね合わせ圧力0.2MPa、時間0.5秒、シール温度を120℃から150℃まで10℃毎に変更した条件にてそれぞれヒートシールバーにより押さえて加熱接着を行った。試験片の該加熱接着部分を、引張試験機(島津製作所(株)社製、商品名オートグラフDCS500)を用いて、剥離速度300mm/分、T字剥離にて剥離強度を測定した。
ヒートシール温度120℃条件にて3N/15mm以上の剥離強度が得られ、易剥離性が得られるものを低温シール性〇、3N/15mm未満のものを×とした。
(8)剥離強度、易剥離性評価
ヒートシールテスター(テスター産業社製)にて、作成したフィルム厚み0.03mm、試料幅100mm幅の樹脂組成物層が向い合せになるように易剥離性フィルム2枚を重ねあわせ、更にシールバーへの融着防止を目的にポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100 0.012mm)を易剥離性フィルム2枚の上下に重ね合わせ圧力0.2MPa、時間0.5秒、シール温度を120℃から150℃まで10℃毎に変更した条件にてそれぞれヒートシールバーにより押さえて加熱接着を行った。試験片の該加熱接着部分を、引張試験機(島津製作所(株)社製、商品名オートグラフDCS500)を用いて、剥離速度300mm/分、T字剥離にて剥離強度を測定した。
(9)剥離外観評価
ヒートシールテスター(テスター産業社製)にて、作成したフィルム厚み0.03mm、試料幅100mm幅の樹脂組成物層が向い合せになるように易剥離性フィルム2枚を重ねあわせ、更にシールバーへの融着防止を目的にポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100 0.012mm)を易剥離性フィルム2枚の上下に重ね合わせ圧力0.2MPa、時間0.5秒、シール温度を120℃から150℃まで10℃毎に変更した条件にてそれぞれヒートシールバーにより押さえて加熱接着を行った。試験片の該加熱接着部分を、引張試験機(島津製作所(株)社製、商品名オートグラフDCS500)を用いて、剥離速度300mm/分、T字剥離にて剥離強度を測定した。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A1−1)の合成
[触媒溶液の調製]
予め乾燥し、窒素雰囲気下にした撹拌装置を備えた反応器に、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを3.25mmol、トルエン2.5lおよびトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(トリイソブチルアルミニウム20重量%希釈品)をアルミニウム原子当たり812mmol加えて1時間撹拌し、混合溶液を調製した。次に、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 3.9mmolをトルエン3lに懸濁させた溶液を前記の混合溶液に加え、1時間撹拌して触媒溶液とした(ジルコニウム濃度0.5mmol/l)。
槽型反応器を用いて重合を行った。エチレンおよび1−ヘキセンを連続的に反応器内に圧入して、全圧を900kg/cm2、エチレン濃度を47.0mol%、および1−ヘキセン濃度を52.8mol%になるように設定した。そして、水素を1時間当たり180Nl供給しながら反応器を1500rpmで撹拌した。
〜フィルムの製造方法〜
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A)として、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1)にエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−1)30重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2)にエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−1)30重量%、結晶性ポリプロピレン(B)として、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体(B1)(日本ポリプロ(株)社製、商品名FW4B;MFR=6.5)30重量%及び 低分子量ポリエチレンワックス(C)として、GPCによる数平均分子量が2,600のの低分子量ワックス(C1)(三洋化成株式会社製 サンワックス151−P)10重量%をタンブラーブレンダーを用いて混合した。得られた混合物を2軸押出機(東芝機械(株)社製、TEM50B)を用いて樹脂温度180℃にて溶融混練し樹脂組成物ペレットを得た。
次いで、この樹脂組成物ペレットを20/20/32mmΦのスクリューを有し、Tダイを備えた3層キャストフィルム成形機((株)プラスチック工学研究所社製)の内層の20mmφ押出機へ供給し、基材層として他の中間層20mmφ、外層32mmφ押出機にはポリプロピレン(日本ポリプロ(株)社製、商品名FW4B)を供給し、240℃の温度でTダイより共押し出し、キャスティングロール面上にキャスティングして内層/中間層/外層=5/10/15μmとなる厚み0.03mmの易剥離性フィルムを得た。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−1)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−2)30重量%とした以外は、実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−1)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−2)30重量%とした以外は、実施例2と同様にして易剥離性フィルムを得た。
結晶性ポリプロピレン(B1)30重量%及の代わりに、結晶性ポリプロピレン(B2)30重量%とした以外は、実施例2と同様にして易剥離性フィルムを得た。
フィルム成形時の基材層樹脂をポリプロピレン及の代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー(株)社製、商品名:ニポロン−ZZF330:MFR=2g/10分、密度920kg/m3)とした以外は、実施例2と同様にして易剥離性フィルムを得た。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−1)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−1)35重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−1)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−1)35重量%、低分子量ポリエチレンワックス(C)10重量%及の代わりに、分子量ポリエチレンワックス(C)0重量%及とした以外は、実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−2)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−2)20重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−2)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−2)20重量%、結晶性ポリプロピレン(B1)30重量%及の代わりに、結晶性ポリプロピレン(B1)50重量%及とした以外は、実施例3と同様にして易剥離性フィルムを得た。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−2)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A1−2)20重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−2)30重量%及の代わりに、エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A2−2)20重量%、低分子量ポリエチレンワックス(C)10重量%及の代わりに、分子量ポリエチレンワックス(C)30重量%及とした以外は、実施例1と同様にして成形加工したが成形加工安定性に劣り、易剥離性フィルムは得られなかった。
Claims (8)
- JIS K6922−1(1998年)に準拠して測定したメルトマスフローレートが3〜50g/10分、密度が870〜920kg/m3であるエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A)40〜87重量%、JIS K7210に準拠して測定したメルトマスフローレートが0.5〜10g/10分である結晶性ポリプロピレン(B)10〜40重量%、平均分子量1,000〜10,000の低分子量ポリエチレンワックス(C)3〜20重量%((A)、(B)、(C)の合計量は100重量%)を含み、全配合物をJIS K6922−1に準拠して測定したメルトマスフローレート(以下MFR(A+B+C))が5〜20g/10分であることを特徴とする樹脂組成物。
- エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A)が、下記の(a)〜(c)の要件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下
(b)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式の関係を満たす
Tm<−1.8×SCB+140 (1)
(c)α−オレフィンの炭素数が4以上12以下 - エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂(A)が、下記の(d)及び(e)の要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)と(f)及び(g)の要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)とからなり、エチレン・α−オレフィン共重合体(A1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)の配合比率が20/80重量%〜80/20重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
(d)JIS K6922−1(1998年)による密度が870〜895kg/m3
(e)JIS K6922−1(1998年)によるメルトマスフローレートが0.1〜5g/10分
(f)JIS K6922−1(1998年)による密度が895〜920kg/m3
(g)JIS K6922−1(1998年)によるメルトマスフローレートが8〜30g/10分 - 結晶性ポリプロピレン(B)が、プロピレンとエチレンのランダム共重合体、プロピレンとエチレンと1−ブテンのランダム共重合体より選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなる熱融着層を少なくとも基材の片面に備えた易剥離性フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなる熱融着層を備え、他層にプロピレン系樹脂又はエチレン系樹脂を用いて2層以上となるように共押出成形したことを特徴とする易剥離性フィルム。
- 請求項5又は6に記載の易剥離性フィルムから作成された包装袋。
- 請求項5又は6に記載の易剥離性フィルムから作成された蓋材。
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