JP6582216B2 - 三相ブラシレスdcモータの制御方法及び該制御方法を用いたモータ制御装置 - Google Patents
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Description
ところで、このような従来の三相ブラシレスDCモータを、サーボモータ等として回転位置制御に用いる場合には、ホールICに加えてエンコーダ装置が必要になり、構成が複雑になるとともに製造コストも上昇する。
しかしながら、このような構成においては、周方向におけるホール素子の位置やロータマグネットの位置、コイルの相間隔等、三相ブラシレスDCモータの各部の寸法ばらつきに起因して、ロータマグネットの機械的な回転位置と、2つのホール素子の出力から把握される回転位置との関係にずれが生じ、モータ効率が低下したり、回転位置制御する際の位置精度が低下したりするおそれがある。
特に、例えばハウジングの外径が7mm以下の場合等、小型モータにおいては、前述の寸法ばらつき等の影響が大きく、工夫を要する。
この構成によれば、測定工程による測定値を回転位置の基準としているため、製品毎に生じるモータ各部の寸法のばらつき等に起因して、転流制御や回転位置制御のタイミングがずれるのを防ぐことができる。
このモータ制御装置Aは、モータ10の磁気検出部Hc,Hsの出力に基づき転流角度を計算する演算部20と、該演算部20の出力信号に基づきインバータ回路に駆動指令を発する制御部30と、この制御部30の駆動指令に基づき三相ブラシレスDCモータへ駆動電力を供給するインバータ回路40とを備えている。
このロータ11の中心部には、長尺軸状のシャフト(図示せず)が固定され、該シャフトはその両端側もしくは一端側が軸受(図示せず)により回転自在に支持されている。
U相コイル12u、V相コイル12v、W相コイル12wの各々は、コギングトルクの発生を抑制するために、各コイル内に磁性体コアを有さない構成とされる。
そして、これらU相コイル12u、V相コイル12v、W相コイル12wは、例えば、スター結線やデルタ結線等、周知のモータ結線方法により結線されている。
このハウジング13は、本実施例の作用効果を効果的に発揮する態様として、外径7mm以下のものを用いている。
図示例によれば、一方の磁気検出部Hsは、周方向においてV相コイル12vとW相コイル12wの間の中央となる位置(換言すればU相コイル12uに対し180°間隔を置いて対向する位置)に配置される。
他方の磁気検出部Hcは、一方の磁気検出部Hsに対し、V相コイル12v側(図示例によれば、反時計回り)に90°間隔を置いて配置される。
磁気検出部Hc,Hsは、それぞれ、数百mV以下のアナログ電圧を電圧信号として出力し、この電圧信号は、差動増幅回路などの増幅回路によって増幅する。本実施例では、図4に示すように0〜5Vの範囲で増幅した電圧信号を得られるように構成した。
この演算部20は、磁気検出部Hc,Hsからの入力があると、これら磁気検出部Hc,Hsの出力電圧を、後述する式1に基づいて逆正接角度に変換し、この逆正接角度を制御部30に入力する。
この制御部30は、二つの磁気検出部Hc,Hsの出力から把握される回転角度に応じて、三相コイル12の電流方向を変化させて(言い換えれば転流して)ロータ11を回転させるように、インバータ回路40に駆動指令を発する。
このインバータ回路40には、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)方式のインバータが用いられる。
この制御方法では、モータ10を駆動回転させる前段階として、モータ10を強制的に1回転以上回転させ、その直後に、三相コイル12のうちの二相のみに、一方をN極に他方をS極にするように駆動電力を通電することで、ロータ11を静止させ、この静止状態で二つの磁気検出部Hc,Hsの出力をそれぞれ測定する(以降、この工程を測定工程と称する。)。この測定工程は、通常、同一のモータについて、実運転の前に1回のみ行えばよいが、実運転の度にその前に行ったり、あるいは定期的に行ったりすることも可能である。
そして、モータ10を実運転する際には、この測定工程による測定値を転流の基準に用いた転流制御や、回転位置制御等が行われる。
なお、図示例では、図2に示す位置を初期位置として、ロータ11を1回転以上回転させるようにしている。
この測定工程では、先ず、ロータ11を初期位置から約90°回転した位置で静止するように、三相コイル12のうちの二つの相を、転流を行わない通電状態に維持し(例えば図3(a)の例示によればW相コイル12wをN極、V相コイル12vをS極に維持し)、この静止状態のまま、磁気検出部Hc,Hsの出力電圧を測定する。
すなわち、ロータ11を前述のように静止させて磁気検出部Hc,Hsの出力を測定する操作が、図3(a)〜(f)及び図10ステップ1〜6に示すように、計6回行われる。
この表中の「通電パターン」において、「W→V」や「U→V」等は、「→」の左側に示す相のコイルがN極、同「→」の右側に示す相のコイルがS極になるように通電することを意味する。
同表中、「ロータ角度」は、図2の状態を0°とした場合のロータ11の機械的な角度であり、以降、角度Aと称する場合もある。
同表中、「Hs信号」は、磁気検出部Hsの出力電圧であり、2.5Vを中心としたサインカーブ上に位置する。
同表中、「Hc信号」は、磁気検出部Hcの出力電圧であり、2.5Vを中心としたコサインカーブ上に位置する。
詳細に説明すれば、先ず、以下の式1に基づき逆正接角度を求める。
逆正接角度(°)=arctan((Hs信号−中心電圧)/(Hc信号−中心電圧))・・・式1
ここで、中心電圧は、磁気検出部Hc,Hsの出力範囲の中心となる電圧であり、図示例によれば2.5Vである。
図5の表中、2列目は、「Hs信号−中心電圧」の値を示し、0Vを中心としたサインカーブ上に位置する。
また、図5の表中、3列目は、「Hc信号−中心電圧」の値を示し、0Vを中心としたコサインカーブ上に位置する。
角度Bは、二つの磁気検出部Hc,Hsの出力値から計算される角度である。図示例の場合、角度Bは、角度Aよりも90°小さい角度になっている(図6参照)。
例えば、図7(a)に示す位置を初期位置とし、ロータ11を時計方向へ回転させる場合、先ず、W相がN極、V相がS極となるように、三相コイル12への通電が行われる。
なお、図7〜9中、「sin」は一方の磁気検出部Hsを示し、「cos」は他方の磁気検出部Hcを示す。
また、図7〜9中のグラフは、磁気検出部Hs,Hcの出力波形を示し、同グラフ中の太い縦線は、その回転位置において、磁気検出部Hc,Hsの出力値から計算される回転角(角度B)を示す。
ここで、回転位置の基準は、例えば、図3(a)に示す状態の磁気検出部Hc,Hsの測定値から計算される角度Bとすればよい。
また、回転角度は、演算部20から入力された逆正接角度を、磁気検出部Hc,Hs出力の正負情報に応じた計算によってロータ1回転内の絶対角度に変換することで算出される(図5参照)。
また、目標値は、ロータ11を停止させる回転角度であり、図示しない記憶装置に予め記憶されたものとすればよい。
この他例では、極数及びスロット数に応じて、上述した測定工程における測定回数および通電相の切り換え順序、実運転における転流の回数および通電相の切り換え順序等を適宜に変更する。また、必要に応じて、初期位置からの転流回数をカウントし、そのカウント値を回転角度の算出に用いてもよい。
11:ロータ
12:三相コイル
12u:U相コイル
12v:V相コイル
12w:W相コイル
13:ハウジング
20:演算部
30:制御部
40:インバータ回路
A:モータ制御装置
Hc,Hs:磁気検出部
Claims (7)
- マグネットのN極とS極を周方向へ交互に配置したロータと、該ロータの周囲に配設された三相コイルと、該ロータの周囲に周方向に間隔を置いて配置された二つの磁気検出部とを備えた三相ブラシレスDCモータの制御方法において、
前記三相コイルのうちの二相のみに、一方をN極に他方をS極にするように駆動電力を通電することで、前記ロータを静止させ、この静止状態で前記二つの磁気検出部の出力をそれぞれ測定する測定工程を行い、この測定工程による測定値を回転位置の基準に用いて制御するようにしたことを特徴とする三相ブラシレスDCモータの制御方法。 - 前記ロータを強制的に1回転以上回転させた後に、前記測定工程を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の三相ブラシレスDCモータの制御方法。
- 前記測定工程では、
W相をN極にV相をS極にして前記二つの磁気検出部の出力を測定する工程と、
V相をS極にU相をN極にして前記二つの磁気検出部の出力を測定する工程と、
U相をN極にW相をS極にして前記二つの磁気検出部の出力を測定する工程と、
W相をS極にV相をN極にして前記二つの磁気検出部の出力を測定する工程と、
V相をN極にU相をS極にして前記二つの磁気検出部の出力を測定する工程と、
U相をS極にW相をN極にして前記二つの磁気検出部の出力を測定する工程と、を順次に行うことを特徴とする請求項1又は2記載の三相ブラシレスDCモータの制御方法。 - 前記測定工程では、二つの磁気検出部による測定値から前記ロータの1回転内の絶対角度を求め、この絶対角度を転流角度とし、
前記ロータの1回転内の角度が前記転流角度になった際に転流を行う転流制御をすることを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載の三相ブラシレスDCモータの制御方法。 - 前記ロータの回転中における二つの磁気検出部による出力値に基づき、前記測定工程による測定値を回転位置の基準とした回転角度を求め、この回転角度が目標値になった場合に、前記ロータの回転を制動するようにしたことを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載の三相ブラシレスDCモータの制御方法。
- 請求項1〜5何れか1項記載の制御方法により三相ブラシレスDCモータを制御するようにしたことを特徴とするモータ制御装置。
- 前記三相コイルの外周を覆うハウジングの外径を7mm以下にしたことを特徴とする請求項6記載のモータ制御装置。
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