本発明の第1の実施形態に係る給水装置10を、図1,2,3を用いて説明する。図1は、給水装置10を示す概略図である。本実施形態では、重力が作用する方向を下方向として上下方向Vを設定する。
図1に示すように、給水装置10は、供給先1まで給水可能に形成されている。供給先1は、一例として、複数の蛇口である。給水装置10は、第1のポンプ装置20Aと、第2のポンプ装置20Bと、第1のポンプ装置20Aの後述するポンプ21に連結される第1の連結管30Aと、第2のポンプ装置20Bの後述するポンプ21に連結される第2の連結管30Bと、第1の連結管30Aに連結される第1の逆止弁装置40Aと、第2の連結管30Bに連結される第2の逆止弁装置40Bと、逆止弁装置40A,40Bに連結される合流管50と、合流管50に設けられた流量検出装置60と、合流管50に連結されて供給先1へ水を導く配管80と、合流管50に連結されるアキュムレータ90と、合流管50に設けられた圧力検出装置100と、ポンプ装置20A,20Bの動作を制御可能に構成される制御盤110と、を有している。
ポンプ装置20A,20Bは、互いに同じ構造である。この為、第1のポンプ装置20Aを代表して説明する。第2のポンプ装置20Bの構成は、第1のポンプ装置20Aの構成と同じ符号を付して説明を省略する。第1のポンプ装置20Aは、水を増圧するポンプ21と、ポンプ21を駆動可能に構成された電動モータ22と、を有している。
図2は、連結管30A,30Bと、逆止弁装置40A,40Bと、合流管50と、を一部切欠して示す平面図である。図2に示すように、第1の連結管30Aの一端は、第1のポンプ装置20Aのポンプ21の吐出口23に連結されている。第2の連結管30Bの一端は、第2のポンプ装置20Bのポンプ21の吐出口23に連結されている。
第1の逆止弁装置40Aは、第1の逆止弁装置40Aの二次側から一次側へ戻ることを防止可能に構成されている。第2の逆止弁装置40Bは、第2の逆止弁装置40Bの二次側から一次側へ戻ることを防止可能に構成されている。
図2は、合流管50が切欠された状態を示している。合流管50は、第1の逆止弁装置40Aに連結される第1の流路部51と、第2の逆止弁装置40Bに連結される第2の流路部52と、流路部51,52に連結されかつ配管80に連結される第3の流路部53と、を有している。流路部51,52は一例として略直線状に並ぶように配置されており、第3の流路部53は、流路部51,52に対して略直交する方向に延びている。
第1の流路部51と第2の流路部52とが連結される部分は、合流部Gとなる。第3の流路部53は、合流部Gの二次側に位置する。
配管80は、例えば複数の配管から構成されており、合流管から供給先1までの流路を形成している。
このように、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21から供給先1までの間は、連結管30A,30Bと合流管50と配管80とによって、連結されている。連結管30A,30Bと合流管50と配管80とによって、ポンプ21から蛇口1まで水を導く流路5が形成されている。
図3は、合流管50及び流量検出装置60の断面図である。図2,3に示すように、流量検出装置60は、合流管50の第3の流路部53に設けられている。
流量検出装置60は、収容部61と、収容部61内に設置される回転軸66と、回転軸66に回転可能に支持される羽根車67と、羽根車67の回転を検出し、羽根車67の回転に比例した信号を出力可能に構成された検出部68と、を有している。
収容部61は、第3の流路部53の内面に形成される底壁部62と、底壁部62上に形成され、内面が所定の曲率半径を有する曲面に形成された周壁部63(図2に示す)と、収容部61の一端を液密に塞ぐ蓋部材64と、を有している。
底壁部62は、第3の流路部53の内面の上下方向Vに沿って略中央位置から上下方向Vに対して直交する方向に沿って第3の流路部53内に突出している。周壁部63は、底壁部62の周縁に一体に形成されている。周壁部63によって、図2に示すように、羽根車67を回転可能に収容する収容空間Sが形成されている。周壁部63は、収容空間Sと第3の流路部53内とを連通する開口部65を有している。開口部65は、羽根車67を第3の流路部53内に露出可能に形成されている。
第3の流路部53の周壁部において周壁部63内の収容空間Sと上下方向Vに対向する部分には、開口53aが形成されている。周壁部63は、開口53aの縁まで延びている。蓋部材64は、開口53aを閉塞可能に形成されている。開口53aと蓋部材64との間には、開口53aと蓋部材64との間を液密にシールするシール構造が設けられている。
回転軸66は、上下方向Vに平行となる姿勢で底壁部62に固定されている。羽根車67は、回転軸66回りに回転可能に形成されている。羽根車67は、具体的には、内部に回転軸66を回転可能に収容する円筒形状の基部67aと、基部67aの周面に設けられる複数の羽根部67bと、を有している。羽根部67bは、基部67aの軸線回りに等間隔に離間して設置されている。基部67aの蓋部材64側の端部には、磁石69が埋め込まれている。磁石69は、基部67aの軸線に対して径方向にずれた位置に配置されている。
回転軸66は、羽根部67bの径方向外側の一部が開口53aを通して収容部61から出る位置に配置されている。第3の流路部53を流れる水が開口53aを通して収容部61から出る羽根部67bに当たることによって、羽根車67が回転する。この為、羽根車67の回転速度は、流量に比例して増減する。
検出部68は、蓋部材64内に設けられている。検出部68は、ホールIC68aを有している。ホールIC68aは、磁石69に起因する磁束を検出する。検出部68は、検出した磁束に応じた信号、言い換えると、羽根車67の回転に応じた信号を出力する。
図1に示すように、圧力検出装置100は、合流管50内の圧力を検出し、検出した圧力に応じた信号を出力可能に構成されている。
制御盤110は、第1のポンプ装置20Aの電動モータ22に供給される電流を制御可能な第1のインバータ111Aと、第2のポンプ装置20Bの電動モータ22に供給される電流を制御可能な第2のインバータ111Bと、インバータ111A,111Bの動作を制御する制御部112と、を有している。
制御部112は、流量検出装置60の検出部68と圧力検出装置100とに信号線で接続されており、流量検出装置60の検出部68の出力値と、圧力検出装置100の出力値と、を受信可能に形成されている。
制御部112は、記憶部112aを有している。制御部112は、流量検出装置60の出力値を記憶部112aに記憶し、記憶した流量検出装置60の出力値に基づいて、予め設定された所定の期間ごとに羽根車67の回転速度を算出する。そして、制御部112は、算出した回転速度の情報を記憶部112aに記憶する。また、制御部112は、算出した回転速度の過去の情報を、記憶部112aに予め設定された所定個数記憶する。
本実施形態では、制御部112は、一例として、上記の所定期間として1秒間ごとに羽根車67の回転速度を算出し、過去の3つの回転速度の情報を記憶部112aに記憶する。そして、新たに回転速度の情報が算出されると、最も古い情報は、削除される。
制御部112は、圧力検出装置100の出力値と、流量検出装置60の出力値とに基づいて、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を制御する。
なお、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を制御するとは、インバータ111A,111Bを制御することによって電動モータ22の回転を制御してポンプ21の回転速度を制御することである。また、ポンプ21が駆動するとは、電動モータ22に電流が供給されることである。ポンプ21の駆動が停止されるとは、電動モータ22への電流の供給が停止されることである。
本実施形態では、制御部112は、一例として、吐出し圧力一定制御を行う。吐出し圧力一定制御は、吐出し圧力が予め設定される所定の値となるように、ポンプ装置20A,20Bを制御する制御方式である。
制御部112は、ポンプ装置20A,20Bのうち一方のポンプ21のみが駆動している状態で圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下の状態が増台判定時間維持されたと判定すると、他方のポンプ装置のポンプ21を起動する。
制御部112は、1台のポンプ21のみ駆動している状態では、駆動しているポンプ21を可変速運転する。可変速運転とは、インバータを制御することによって電動モータ22に供給される電流を制御し、電動モータ22の回転速度を制御する運転である。2台のポンプ21が駆動している状態では、後に起動したポンプ21を定速運転させ、先に起動したポンプ21に対して可変速運転させる。言い換えると、最初に起動したポンプを可変速運転する。
また、制御部112は、1台のポンプ21が駆動している状態において圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下となったと判定したときの、羽根車67の最新の回転速度を、次にポンプ21を2台から1台に減台するときに用いる停止判定用閾値として記憶部112aに記憶する。ここで言う最新の回転速度は、判定の直前に記憶部112aに記憶された回転速度の情報である。本実施形態では、一例として、ポンプ21の駆動台数が1台から2台に増台されるときに、毎回、停止判定用閾値の情報を更新する。
そして、制御部112は、2台のポンプ21が駆動している状態において、最新の回転速度から求めた流量値が停止判定用閾値以下となる状態が停止判定時間維持されると、ポンプ21の駆動台数を、2台から1台に減台する。停止判定時間は、一定の時間であり、制御部112の記憶部112aに予め記憶されている。
次に、給水装置10の動作を説明する。ポンプ装置20A,20Bのポンプ21が駆動していない状態で供給先1の蛇口が開くと、蛇口から水が吐出されることによって、流路5内の圧力が低下する。
制御部112は、圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下となったと判定すると、ポンプ装置20A,20Bのうちのいずれか一方のポンプ21を起動する。ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の起動される順番は、予め決定されている。
ポンプ21が駆動されることによって、流路5内に水が供給される為、流路5内の圧力が増台する。制御部112は、吐出し圧力が予め設定される圧力となるように、駆動中のポンプ装置のポンプ21を制御する。
蛇口1が閉められることによって、流路5内の流量が減少する。制御部112は、流量検出装置60の出力値に基づいて羽根車67の回転速度が停止判定用閾値以下となったと判定すると、駆動しているポンプ21の駆動を停止する。
また、1台のポンプ21が駆動している状態であっても、供給先1の多数の蛇口が開かれると、流路5内の圧力が低下する。制御部112は、1台のポンプ21のみが駆動している状態で圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内圧力が起動圧力以下になったと判定すると、制御部112は、停止判定用閾値を記憶部112aに記憶したのち、他方のポンプ装置のポンプ21を起動する。
制御部112は、複数のポンプ21が駆動している状態では、先に起動したポンプ21を可変速運転させ、後に起動したポンプ21を定速運転させて吐出し圧力を制御する。
2台のポンプ21が駆動している状態で蛇口1が閉められると、流路5内を流れる水の流量が減少する。制御部112は、羽根車67の回転速度が停止判定用閾値以下となる状態が停止判定時間維持されると、2台のポンプ21のうち先発ポンプの駆動を停止する。
このように構成された給水装置10では、合流部Gの二次側に流量検出装置60が設けられることによって、流量検出装置60は、ポンプ装置20A,20Bに対して共通して用いられる。この為、複数のポンプ装置20A,20Bを備える構成であっても、流量検出装置60を共通して用いることによって、給水装置10の部品点数が増加することを防止できる。
また、停止判定用閾値は、流路5内の圧力が起動圧力以下なったと判定される毎に設定されて記憶部112aに記憶される。言い換えると、停止流量は、自動的に更新される。この為、給水装置10の出荷時に、停止流量を制御部112に設定する作業が不要となる。
また、流量に比例する信号を出力する流量検出装置として、羽根車67を用いる構造を採用することによって、流量検出装置60の構造を簡素にすることができる。
また、制御部112は、流路5内の圧力が起動圧力以下となる状態が、増台判定時間維持された場合のみ、ポンプ21の駆動台数を増台する為、流路5内の圧力が変動するような用途の場合に不用にポンプ21の増台することを防止できる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る給水装置10を説明する。本実施形態では、制御部112の動作が第1の実施形態に対して異なる。なお、本実施形態の給水装置10の構造は、第1の実施形態の給水装置10と同じである。この為、本実施形態の給水装置10は、図1〜3を用いて説明する。
本実施形態では、制御部112は、1台のポンプ21が駆動している状態において圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下になったと判定すると、最新の回転速度から求めた流量値に省エネ運転用係数α1を乗じた値を停止判定用閾値として記憶部112aに記憶する。省エネ運転用係数α1は、1より大きい値である。本実施形態では、一例として、省エネ運転用係数α1は、1より大きく、1.2以下のいずれかの値が用いられている。
この為、停止判定用閾値は、流路5内の圧力が起動圧力以下となったと判定されたときの回転速度から求めた流量値に対して大きくなる。停止判定用閾値を、流路5内の圧力が起動圧力以下となったときの最新の回転速度から求めた流量値に対して大きい値に設定することは、ポンプ21の駆動台数を2台から1台へ減台するときの流量を、ポンプ21の駆動台数を1台から2台へ増大するときの流量に対して大きくすることである。
停止判定用閾値を、流路5内の圧力が起動圧力以下となったときの最新の回転速度から求めた流量値に対して大きい値に設定することよって、より大流量域で減台することになるので、2台のポンプ21が同時に駆動する時間を短くすることができる。2台のポンプ21が同時に駆動する時間を短くすることによって、給水装置10を省エネ運転することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る給水装置10を説明する。本実施形態では、制御部112の動作が第2の実施形態に対して異なる。なお、本実施形態の給水装置10の構造は、第1の実施形態の給水装置10と同じである。この為、本実施形態の給水装置10は、図1〜3を用いて説明する。
本実施形態では、制御部112は、省エネ運転用係数α1に代えて、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に応じた省エネ運転用係数α11,α12を記憶部112aに記憶しており、この省エネ運転用係数α11,α12を用いる。
具体的には、第1のポンプ装置20Aのポンプ21のみが駆動している状態で圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下となった判定されると、第1の省エネ運転用係数α11が用いられる。
第1の省エネ運転用係数α11は、1より大きい値である。第1の省エネ運転用係数α11は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずに、省エネ運転を行うことができるように設定されている。
第1のポンプ装置20Aのポンプ21のみが駆動している状態において圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下になったと判定されたときの回転速度から求めた流量値に第1の省エネ運転用係数α11を乗ずることによって算出された停止判定用閾値は、第1のポンプ装置20Aのポンプ21が可変速運転をしており、かつ、第2のポンプ装置20Bのポンプ21が定速運転をしている状態から、第1のポンプ装置20Aのポンプ21を減台する判定に用いられる。
第2のポンプ装置20Bのポンプ21のみが駆動している状態で圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下となった判定された場合には、第2の省エネ運転用係数α12が用いられる。第2の省エネ運転用係数α12は、1より大きい値である。第2の省エネ運転用係数α12は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずに、省エネ運転を行うことができるように設定されている。
第2のポンプ装置20Bのポンプ21のみが駆動している状態において圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下になったと判定されたときの回転速度から求めた流量値に第2の省エネ運転用係数α12を乗ずることによって算出された停止判定用閾値は、第2のポンプ装置20Bのポンプ21が可変速運転をしており、かつ、第1のポンプ装置20Aのポンプ21が定速運転をしている状態から、第2のポンプ装置20Bのポンプ21を減台する判定に用いられる。
本実施形態では、省エネ運転用係数α11,α12を用いて停止判定用閾値を算出することによって、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずに、省エネ運転を行うことができるように設定されている。このことについて、具体的に説明する。
本実施形態では、給水装置10は、複数のポンプ装置20A,20Bを有している為、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態によって、羽根車67の近傍の水の流速分布が変化する。
例えば、第2のポンプ装置20Bのポンプ21が定速運転をしており、かつ、第1のポンプ装置20Aのポンプ21が可変速運転を行っている状態では、第2の流路部52を通って合流管50内へ流入する水の流量は、第1の流路部51を通って合流管50内へ流入する水の流量に対して、多い。
また、第1のポンプ装置20Aのポンプ21が定速運転をしており、かつ、第2のポンプ装置20Bのポンプ21が可変速運転を行っている状態では、第1の流路部51を通って合流管50内へ流入する水の流量は、第2の流路部52を通って合流管50内へ流入する水の流量に対して、多い。
羽根車67の近傍の流速分布は、第1のポンプ装置20Aのポンプ21から吐き出される水の流量と第2のポンプ装置20Bのポンプ21から吐き出される水の流量とによって、変化する。言い換えると、羽根車67の近傍の流速分布は、ポンプ装置20A、20Bのポンプ21の運転状態によって、変化する。
この為、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21から吐出される水の吐出量の合計値が同じであっても、第1のポンプ装置20Aのポンプ21から吐き出される流量に対する第2のポンプ装置20Bのポンプ21から吐き出される水の流量の割合が異なる場合では、羽根車67の近傍の流速分布が変化する。
この為、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態によって、流路5内の圧力が起動圧力以下となったときの羽根車67の回転速度から求めた流量値が異なる。省エネ運転用係数α11,α12は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態によって、流路5内の圧力が起動圧力以下となったと判定したときの羽根車67の回転速度から求めた流量値が異なる場合であっても、正確な停止判定用閾値を算出できるように設定された係数である。省エネ運転用係数α11,アルファ12は、例えば実験等によって求めることができる。
本実施形態では、省エネ運転を行う為の停止判定用閾値をより正確に求めることができるので、省エネ運転用係数α11,α12は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずに、省エネ運転を行うことができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る給水装置10を説明する。本実施形態では、制御部112の動作が第1の実施形態に対して異なる。なお、本実施形態の給水装置10の構造は、第1の実施形態の給水装置10と同じである。この為、本実施形態の給水装置10は、図1〜3を用いて説明する。
本実施形態では、制御部112は、ポンプ21の駆動台数が2台から1台に減台した後、チャタリング判定時間以内に圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下になったと判定すると、チャタリングが発生していると判定して、当該判定時での最新の羽根車67の回転速度から求めた流量値にチャタリング防止用係数α2を乗じた値を停止判定用閾値として記憶部112aに記憶する。
チャタリング判定時間は、一定の時間であり、制御部112に予め記憶されている。チャタリング防止用係数α2は、1より小さい値である。本実施形態では、一例として、チャタリング防止用係数α2は、1より小さく、0.8以上のいずれかの値が用いられている。
本実施形態では、流路5内の圧力が起動圧力以下となった判定されたときの羽根車67の最新の回転速度から求めた流量値にチャタリング防止用係数α2を乗じた値を停止判定用閾値として設定することによって、停止判定用閾値は、判定時の最新の回転速度から求めた流量値よりも小さくなる。
この為、前回の減台時にチャタリングが発生したと判定されたときの最新の回転速度から求めた流量値よりも小さい流量値となるまで2台のポンプ21が駆動するので、チャタリングの発生を防止できる。
次に、本発明の第5の実施形態に係る給水装置10を説明する。本実施形態では、制御部112の動作が第4の実施形態に対して異なる。なお、本実施形態の給水装置10の構造は、第1の実施形態の給水装置10と同じである。この為、本実施形態の給水装置10も、図1〜3を用いて説明する。
本実施形態では、制御部112は、第4の実施形態で説明されたチャタリング防止用係数α2に代えて、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に応じたチャタリング防止用係数α21,α22を記憶部112aに記憶しており、このチャタリング防止用係数α21,α22を用いる。
具体的には、第1のポンプ装置20Aのポンプ21のみが駆動している状態で圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下となった判定された場合には、第1のチャタリング防止用係数α21が用いられる。
第1のチャタリング防止用係数α21は、1より小さい値である。第1のチャタリング防止用係数α21は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずにチャタリングを防止できる値に設定されている。
第1のポンプ装置20Aのポンプ21のみが駆動されている状態において圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下になったと判定されたときの回転速度から求めた流量値に第1のチャタリング防止用係数α21を乗ずることによって算出された停止判定用閾値は、第1のポンプ装置20Aのポンプ21が可変速運転をしており、かつ、第2のポンプ装置20Bのポンプ21が定速運転をしている状態から、第1のポンプ装置20Aのポンプ21を減台する判定に用いられる。
第2のポンプ装置20Bのポンプ21のみが駆動している状態で圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内圧力が起動圧力以下となった判定された場合には、第2のチャタリング防止用係数α22が用いられる。第2のチャタリング防止用係数α22は、1より小さい値である。第2のチャタリング防止用係数α22は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずに、チャタリングを防止できるように設定されている。
第2のポンプ装置20Bのポンプ21のみが駆動している状態において圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下になったと判定されたときの回転速度から求めた流量値に第2のチャタリング防止用係数α22を乗ずることによって算出された停止判定用閾値は、第2のポンプ装置20Bのポンプ21が可変速運転をしており、かつ、第1のポンプ装置20Aのポンプ21が定速運転をしている状態から、第2のポンプ装置20Bのポンプ21が減台されるときに用いられる。
本実施形態では、チャタリング防止用係数α21,α22を用いて停止判定用閾値を算出することによって、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずに、チャタリングを防止できるようになる。このことについて、具体的に説明する。
本実施形態では、給水装置10は、複数のポンプ装置20A,20Bを有している為、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態によって、第4の実施形態で説明したように、羽根車67の近傍の水の流速分布が変化する。
チャタリング防止用係数α21,α22は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態によって、流路5内の圧力が起動圧力以下となった判定されたときの羽根車67の回転速度から求めた流量値が異なる場合であっても、正確な停止判定用閾値を算出できるように設定された係数である。
本実施形態では、チャタリングを防止する為の停止判定用閾値をより正確に求めることができるので、省エネ運転用係数α11,α12は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21の運転状態に影響されずに、チャタリングを防止できる。
次に、本発明の第6の実施形態に係る給水装置10を説明する。本実施形態では、制御部112の動作が第1の実施形態に対して異なる。なお、本実施形態の給水装置10の構造は、第1の実施形態の給水装置10と同じである。この為、本実施形態の給水装置10は、図1〜3を用いて説明する。
本実施形態の制御部112は、増台判定用低下閾値β1と、停止判定用低下閾値β2との情報を記憶部112aに記憶している。
増台判定用低下閾値β1は、一定の値である。増台判定用低下閾値β1は、流路5内の圧力が急激に低下することを防止する為に用いられている。具体的には、増台判定用低下閾値β1は、駆動するポンプ台数を圧力検出装置100の出力値と起動圧力とに対してその都度増台しても流路5内の圧力低下を防止できない状態を判定する為に用いられる。増台判定用低下閾値β1は、任意に設定することができる。
制御部112は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21がいずれも駆動していない状態において、圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力の所定時間当たりの低下量を算出する。そして、制御部112は、流路5内の圧力の圧力が起動圧力以下になったと判定し、かつ、流路5内の圧力の所定時間当たりの低下量が増台判定用低下閾値β1以上であると判定すると、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を同時に駆動する。ここで用いられる所定時間は、予め設定された一定の時間である。
または、制御部112は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21がいずれも駆動していない状態において、圧力検出装置100の出力値に基づいて流路5内の圧力が起動圧力以下になった判定しかつ流路5内の圧力の所定時間当たりの圧力の低下量が増台判定用低下閾値β1以上であると判定すると、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を、所定の第1のインターバルをあけて順番に起動する。この所定の第1のインターバルは、圧力検出装置100の出力値と起動圧力とを比較し、この比較結果に基づいてポンプ21を駆動するのにかかる時間に対して短い時間に設定されている。
停止判定用低下閾値β2は、一定の値である。本実施形態では、停止判定用低下閾値β2は、流路5内の圧力が急激に増台することを防止する為に用いられる。具体的には、停止判定用低下閾値β2は、羽根車67の回転速度から求めた流量値と停止判定用閾値とを比較してその比較結果に基づいてその都度ポンプ21の駆動台数を減台しても流路5内の圧力上昇を防止できない状態を判定する為に用いられる。停止判定用低下閾値β2は、任意に設定することができる。
制御部112は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21が駆動している状態において、羽根車67の回転速度から求めた流量値の所定時間当たりの低下量を算出し、記憶部112aに記憶している。そして、制御部112は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21が駆動している状態において、羽根車67の回転速度から求めた流量値が停止判定用閾値以下になった判定し、かつ、羽根車67の回転速度から求めた流量値の所定時間当たりの低下量が停止判定用低下閾値β2以上であると判定すると、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を同時に停止する。なお、ここで用いられる所定時間は、予め設定された一定時間である。
または、制御部112は、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21が駆動している状態において、流量検出装置60の羽根車67の回転速度から求めた流量値が停止判定用閾値以下になったときの羽根車67の回転速度から求めた流量値の所定時間当たりの低下量が、停止判定用低下閾値β2以上となると、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を、所定の第2のインターバルをあけて順番に減台する。この所定の第2のインターバルは、羽根車67の回転速度から求めた流量値と停止判定用閾値とを比較し、この比較結果に基づいてポンプ21を減台するのにかかる時間に対して短い時間に設定されている。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、増台判定用低下閾値β1を用いて流路5内の圧力が急激に低下している状態を判定して、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を同時に起動し、または、所定の第1のインターバルをあけて順番に起動することによって、流路5内の圧力が急激に低下する状態を早期に解消し、流路5内の圧力を予め設定された吐出し圧力に戻すことができる。
また、停止判定用低下閾値β2を用いて流路5内の圧力が急激に上昇している状態を判断して、ポンプ装置20A,20Bのポンプ21を同時に停止し、または、所定の第2のインターバルをあけて順番に停止することによって、流路5内の圧力が急激に上昇する状態を早期に解消し、流路5内の圧力を予め設定された吐出し圧力に戻すことができる。
なお、本発明は、上記の第1〜6の実施形態に限定されるものではない。第1〜6の実施形態では、ポンプ21は、一例として2台用いられた。他の例としては、ポンプ21は、3台以上用いられてもよい。
例えば、給水装置10が5台のポンプ21を有する場合では、ポンプ21の運転状態として、1台のポンプ21のみが駆動する運転状態、2台のポンプ21が駆動する運転状態、3台のポンプ21が駆動する運転状態、4台のポンプ21が駆動する運転状態、5台のポンプ21が駆動する運転状態がある。そして、上記各運転状態において、駆動するポンプ21の組み合わせは、複数ある。
例えば5台のポンプ21が駆動する運転状態に至るまでの間に、制御部112は、ポンプ21の駆動台数を2台から1台に減台する判定に用いる停止判定用閾値を設定し、記憶部112aに記憶する。ポンプ21の駆動台数を3台から2台に減台する判定に用いる停止判定用閾値を設定し、記憶部112aに記憶する。ポンプ21の駆動台数を4台から3台に減台する判定に用いる停止判定用閾値を設定し、記憶部112aに記憶する。ポンプ21の駆動台数を5台から4台に減台する判定に用いる停止判定用閾値を設定し、記憶部112aに記憶する。
そして、記憶された停止判定用閾値は、更新されるまで保存される。例えば、ポンプ21の駆動台数が4台と5台との間で増減台が繰り返されると、ポンプ21の駆動台数を5台から4台に減台するときに用いる停止判定用閾値が更新されるが、ポンプ21の駆動台数を2台から1台に減台する判定に用いる停止判定用閾値は、前回記憶された値がそのまま維持される。同様に、ポンプ21の駆動台数を3台から2台に減台するときに用いる停止判定用閾値は、前回記憶された値がそのまま維持される。ポンプ21の駆動台数を4台から3台に減台する判定に用いる停止判定用閾値は、前回記憶した値がそのまま維持される。
このように、ポンプ21の全台数を2以上のm台とし、nを1以上であってかつm以下の自然数とすると、ポンプ21の駆動台数がn台のときに流路5内の圧力が起動圧力以下であると判定すると、ポンプ21の駆動台数をn+1台に増台するとともに、記憶されている回転速度のうち最新の回転速度から求めた流量値に基づいて次にポンプ21の駆動台数をn+1台からn台に減台するときに用いる停止判定用閾値を設定し、記憶部112aに記憶する。
具体的には、第1の実施形態では、最新の回転速度から求めた流量値をそのまま停止判定用閾値として設定し、記憶部112aに記憶する。第2,3の実施形態では、最新の回転速度から求めた流量値に省エネ用係数を乗じた値を停止判定用閾値として設定し、記憶する。第4,5の実施形態では、最新の回転速度から求めた流量値にチャタリング防止用係数を乗じた値を停止判定用閾値として設定し、記憶する。
そして、記憶された停止判定用閾値は、次に、ポンプ21の駆動台数をn+1台からn台に減台するときに用いられる。
また、第1〜6の実施形態では、制御部112は、ポンプ21の駆動台数がn台のときに流路5内の圧力が起動圧力以下であると判定すると、その毎に、ポンプ21の駆動台数をn+1台からn台に減台する判定に用いる停止判定用閾値を検出し、記憶している。この為、例えば、ポンプ21の駆動台数が4台と5台との間で増減台を繰り返す場合では、ポンプ21の駆動台数を5台から4台に減台するときに用いる停止判定用閾値は、流路5内の圧力が起動圧力以下であるとの判定毎に更新される。
他の例としては、停止判定用閾値は、所定の期間ごとに設定されるようにしてもよい。言い換えると、停止判定用閾値が1度設定されて記憶されると、所定期間の間は、更新されなくてもよい。具体的には、ポンプ21の駆動台数が4台の状態において流路5内の圧力が起動圧力以下であると判定すると、ポンプ21の駆動台数を5台から4台に減台する判定に用いる停止判定用閾値が設定される。停止判定用閾値が設定されて記憶された後、ポンプ21の駆動台数が4台と5台との間で増減台が繰り返されても、所定期間は、停止判定用閾値は更新されなくてもよい。
または、ポンプ21の駆動台数をn+1台からn台に減台する停止判定用閾値が一旦設定されて記憶されると、その値を固定値として設定し、更新しなくてもよい。
または、停止判定用閾値の情報は、給水装置10の出荷時などに、固定値として予め制御部112に記憶されていてもよい。固定して予め記憶させる場合では、n+1台からn台に減台する判定に用いられる減台用閾値のすべてが記憶される。例えば、ポンプ21の全台数を3台である場合では、3台から2台へ減台するときに用いられる停止判定用閾値と、2台から1台に減台するときに用いられる停止判定用閾値が記憶される。
さらに、予め記憶される停止判定用閾値は、第2,3の実施形態で説明されたように、省エネ運転を可能とする値に設定されてもよい。または、第3,4の実施形態で説明されたように、チャタリングを防止することを可能とする値に設定されてもよい。
さらに、制御部112に予め記憶された停止判定用閾値の情報は、制御部112のマイコンソフトウェア開発用のノートパソコン等によって、変更可能であってもよい。
また、制御部112は、第2〜6の実施形態で説明された機能を複数有してもよい。例えば、制御部112は、第2の実施形態で説明したように、省エネ運転用係数α1を用いて停止判定用閾値を設定する機能と、第4の実施形態で説明したように、チャタリング防止用係数α2を用いて停止判定用閾値を設定する機能と、第6の実施形態で説明したように増台判定用低下閾値β1を用いて流路5内圧力が急激に低下したと判定すると駆動停止中のポンプ21を全てまたは1台ずつ起動し、第6の実施形態で説明したように停止判定用低下閾値β2を用いて流路5内の圧力が急激に上昇したと判定すると駆動中のポンプ21を全て同時にまたは1台ずつ駆動を停止する機能と、を有してよい。
なお、第1〜6の実施形態では、給水装置10は、液体の一例として水を供給している。他の例としては、給水装置10は、水以外の液体を供給してもよい。
また、第1〜6の実施形態では、羽根車式の流量検出装置60が用いられた。他の例では、流量に比例した信号を出力可能な、電磁式、超音波式、カルマン渦式流量計が用いられてもよい。
また、第1〜6の実施形態では、ポンプ21の制御の一例として、吐出し圧力一定制御が用いられた。他の例としては、推定末端圧力一定制御が用いられてもよい。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。