JP6581739B1 - マンドレル - Google Patents
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Abstract
Description
このような動力伝達軸に用いられる管体として、繊維強化プラスチックで形成されたものがある。繊維強化プラスチック製であって動力伝達軸に用いられる管体の製造方法は、例えば、熱硬化性樹脂を含浸した連続繊維をマンドレルに何重にも巻き付けて筒状の成形体を形成する。その後、成形体を加熱し樹脂を硬化させ、筒状の管体が形成される。その後、硬化した管体の端部の開口からマンドレルを引き抜き、製造工程が終了する(下記特許文献1参照)。
しかしながら、樽形状のマンドレルを用いて上記形状の管体を形成しようとすると、マンドレルの中央部が外側に膨らみ、管体の開口を通過できず、管体からマンドレルを引き抜くことができない。
図1に示すように、動力伝達軸101は、FF(Front−engine Front−drive)ベースの四輪駆動車に搭載されるプロペラシャフトである。
動力伝達軸101は、車両の前後方向に延在する略円筒状の管体102と、管体102の前端に接合するカルダンジョイントのスタブヨーク103と、管体102の後端に接合する等速ジョイントのスタブシャフト104と、を備えている。
スタブヨーク103は、車体の前部に搭載された変速機と管体102とを連結する連結部材である。スタブシャフト104は、車体の後部に搭載された終減速装置と管体102とを連結する連結部材である。
動力伝達軸101は、変速機から動力(トルク)が伝達されると軸線O1回りに回転し、その動力を終減速装置に伝達する。
管体102は、管体102の大部分を占める本体部110と、本体部110の前側に配置された第一接続部120と、本体部110の後側に配置された第二接続部130と、本体部110と第二接続部130との間に位置する傾斜部140と、を備えている。
図2に示すように、本体部110の前端部(他端部)111には、第一接続部120が連続し、本体部110の後端部(一端部)112には、傾斜部140が連続している。
第二接続部130内には、スタブシャフト104のシャフト部104aが嵌め込まれている。シャフト部104aの外周面は、多角形状に形成されている。第二接続部130の内周面は、シャフト部104aの外周面に倣った多角形状に形成されている。このため、スタブシャフト104と管体102とが互いに相対回転しないように構成されている。
以上から、車両が前方から衝突されて動力伝達軸101に衝突荷重が入力すると、軸線O1に対して傾斜する傾斜部140にせん断力が作用する。そして、傾斜部140に作用するせん断力が所定値を超えると、傾斜部140の前端部(脆弱部)が破損する。このため、車両衝突時、車体の前部に搭載されたエンジンや変速機は速やかに後退し、衝突エネルギーは車体の前部により吸収される。
図3に示すように、第一実施形態のマンドレル1は、略円柱状の胴部2と、胴部2の両端から突出する一対の軸部3と、を備えている。
なお、一対の軸部3は、他の装置に引っ掛けて胴部2を浮かせた状態にするための構成である。よって、本発明は、胴部2のみから構成されてもよい。
胴部2は、樹脂を含浸した連続炭素繊維、或いはプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート)を巻き付けるための芯材である。
胴部2は、円柱状の円柱部4と、円柱部4の一端部4cから離間するに連れて次第に縮径する縮径部5と、縮径部5の一端側に位置し円柱部4よりも小径な小径部6と、を備えている。
また、縮径部5は、傾斜部140を形成する部位であり、小径部6は、第二接続部130を形成する部位である。
胴部2は、第一金属材料7で形成された部位と、第一金属材料7よりも熱膨張率が大きい第二金属材料8で形成された部位と、を備えている。
円柱部4の他端部4aと縮径部5と小径部6とのそれぞれは、第一金属材料7で形成されている。一方で、円柱部4における中央部4bから一端部4cまでの領域の外周部は、第二金属材料8で形成されている。以下、第二金属材料8で形成された部位を膨張部9という。
よって、胴部2は、一端部(縮径部5と小径部6)及び他端部(円柱部4の他端部4a、)よりも中央部(膨張部9)の方が加熱時の膨張量が大きい(図3の二点鎖線M参照)。
このため、膨張部9を加熱すると、膨張部9の外周面9bは、軸線O2方向の両端部よりも中央部の方が径方向外側に突出する。また、膨張時の外周面9bの断面形状は、緩やかな曲線を描き、中央部が外側に向けて突出する円弧状となる(図3の二点鎖線M参照)。
図4に示すように、管体102の製造方法は、マンドレル1に材料を巻き付ける巻き付け工程(ステップS1)と、材料及びマンドレル1を加熱する加熱工程(ステップS2)と、マンドレル1を冷却する冷却工程(ステップS3)と、管体102からマンドレル1を引き抜く脱芯工程(ステップS4)と、を備えている。
管体102を形成する材料は、樹脂を含浸した連続炭素繊維又はプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート)が挙げられる。つまり、マンドレル1は、フィラメントワインディング法又はシートワインディング法に利用することができる。
ここで、フィラメントワインディング法によって製造される第一成形体は、繊維(炭素繊維)の連続性が保たれるため機械的強度(特にねじり強度)が高い。
一方、シートワインディング法によれば、マンドレルの軸線方向に延在するように炭素繊維を配置することができ、軸線O1方向に高弾性化した第二成形体を製造できる。
つまり、上記した製造方法によれば、管体102の内部で、軸線O1回りに巻回された繊維からなる繊維層と、軸線O1方向に延在する繊維からなる繊維層と、が積層しており、機械的強度が高く、かつ、軸線O1方向に高弾性化した管体2を製造できる。
なお、周方向に配向する繊維としてPAN系(Polyacrylonitrile)繊維が好ましく、軸線O1方向に配向する繊維としてピッチ繊維が好ましい。
中間生成物11は、円柱部4の他端部4aに形成された中間第一接続部12と、膨張部9に形成された中間本体部13と、縮径部5に形成された中間傾斜部14と、小径部6に形成された中間第二接続部15と、を備えている。
なお、巻き付け工程(ステップS1)では、中間生成物11の径方向の厚みW1に関し、円柱部4と縮径部5と小径部6との各部位において均一となるように形成されている。また、マンドレル1にプリプレグを巻き付ける際、プリプレグをローラでマンドレル1に押圧しながら巻き付けてもよい。
所定温度は、使用する熱硬化性樹脂によって異なり、大凡130°〜180°である。
本実施形態では、加熱装置としてオーブン20を利用している。マンドレル1及び中間生成物11は、オーブン20内に搬入されて所定温度で焼成される。
特に、膨張部9は、軸線O2方向の端部よりも中央部は径方向外側に大きく膨らむことから、本体部110の厚みW2は本体部110の端部から本体部110の中央部に向うに連れて次第に薄くなる。
当該工程によれば、マンドレル1が縮小し、マンドレル1の外周面と管体102の内周面との間に隙間C1が形成される。また、マンドレル1の円柱部4の外径r1は、第一接続部120の内径r2(図6参照)よりも小さくなる。
ここで、マンドレル1の最大外径は、円柱部4の外径r1であり(図3、図7参照)、第一接続部120の内径r2よりも小さい。よって、マンドレル1が管体102の内周面に引っ掛かることなく、スムーズにマンドレル1を引き抜くことができる。
また、本実施形態によれば、マンドレル1を壊すことなく管体102から脱芯することができるため、管体102を製造する度に壊す砂型や溶融部材などの芯材よりもコストを低減することができる。
次に第二実施形態のマンドレル31を説明する。
図8に示すように、第二実施形態のマンドレル31は、外周形状が円形の胴部32と、胴部2の両端から突出する一対の軸部3と、を備えている。
胴部32は、円筒状の円筒部34と、円筒部34の一端部34cから離間するに連れて次第に縮径する縮径部35と、縮径部35の一端側に位置し円筒部34よりも小径な小径部36と、を備えている。
円筒部34と縮径部35と小径部36とのそれぞれは、内部に空間C2が形成され、中空状となっている。
また、円筒部34の他端部34aの径方向の厚みはW3となっており、比較的薄く形成されている。同様に、縮径部35と小径部36の径方向の厚みもW3となっている。
一方で、円筒部34における中央部34bから一端部34cまでの領域は、厚みがW4となっており、他の部位よりも厚い肉厚部39を構成している。
また、上記構成によれば、肉厚部39における膨張量は、軸線O1方向の端部よりも中央部の方が大きい。このため、軸線O1の端部から中央部に向うに肉薄となる本体部110を形成することができる。
また、本実施形態によれば、マンドレル31を壊すことなく管体102から脱芯することができるため、管体102を製造する度に壊す砂型や溶融部材などの芯材よりもコストを低減することができる。
次に第三実施形態のマンドレル41を説明する。
図10に示すように、第三実施形態のマンドレル41は、略円柱状の胴部2と、胴部2の両端から突出する一対の軸部3と、胴部2内に配置された加熱装置42と、を備えている。胴部2及び軸部3は、第一実施形態で説明したため、加熱装置42に絞って説明する。
管体102の製造方法は、巻き付け工程(ステップS1)と、加熱工程(ステップS2)と、冷却工程(ステップS3)と、脱芯工程(ステップS4)と、を備えており(図4参照)、第一実施形態との変更点は、加熱工程(ステップS2)のみである。以下、変更点の加熱工程(ステップS2)について説明する。
上記工程によれば、加熱装置42により加熱された胴部2が膨張し、中間生成物11が径方向外側に膨らむ。
また、胴部2の膨張量が所定量となると、中間生成物11が外型50のキャビィテイ面51に当接するようになり、中間生成物11の膨張が停止する。
また、外型50を用いているため、中間生成物11の膨張が外型50によって制限される。このため、管体102の形状をより所望のものとすることができる。
2 胴部
4 円柱部
4a,34a 他端部(両端部)
5,35 縮径部(両端部)
6,36 小径部(両端部)
7 第一金属材料(第一材料)
8 第二金属材料(第二材料)
9 膨張部(中央部)
32 胴部
34 円筒部
39 肉厚部(中央部)
50 外型
101 動力伝達軸
102 管体
110 本体部
120 第一接続部
130 第二接続部
140 傾斜部
Claims (4)
- 繊維強化プラスチック製であって動力伝達軸に用いられる管体の製造に用いられるマンドレルであって、
樹脂を含浸した連続繊維が巻き付けられる胴部を備え、
前記胴部は、加熱により膨張する材料により形成され、
前記胴部は、両端部よりも中央部の方が加熱時の膨張量が大きく、
前記胴部の中央部には、膨張部が設けられ、
前記膨張部は、前記胴部の端部を形成する第一材料よりも熱膨張率が高い第二材料により形成され、
前記膨張部の厚みは、軸線方向の中央部に向うに連れて厚く形成され、
前記膨張部を軸線方向に切った断面形状は、中央部が径方向内側に突出するように弓形となっている
ことを特徴とするマンドレル。 - 繊維強化プラスチック製であって動力伝達軸に用いられる管体の製造に用いられるマンドレルであって、
樹脂を含浸した連続繊維が巻き付けられる胴部を備え、
前記胴部は、加熱により膨張する材料により形成され、
前記胴部は、両端部よりも中央部の方が加熱時の膨張量が大きく、
前記胴部は、筒状となっているとともに全体が同一材料で形成され、
前記胴部の中央部には、前記胴部の端部の厚みよりも厚い肉厚部が設けられている
ことを特徴とするマンドレル。 - 前記肉厚部の厚みは、軸線方向の中央部に向うに連れて厚く形成され、
前記肉厚部の内周面を軸線方向に切った断面形状は、中央部が径方向内側に突出するように曲線状となっていることを特徴とする請求項2に記載のマンドレル。 - 前記胴部の端部の外周形状は、多角形状となっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマンドレル。
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