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JP6581474B2 - 像振れ補正装置及びその制御方法、プログラム、記憶媒体 - Google Patents

像振れ補正装置及びその制御方法、プログラム、記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、撮像装置において、流し撮りをする場合に発生する像振れを補正する技術に関するものである。
従来より、移動している被写体のスピード感を表現する撮影技術として、流し撮りという手法が知られている。この撮影技術では、撮影者が被写体の動きに合わせてカメラをパンニングすることにより、移動している被写体を静止させて背景は流すことを目的とする。流し撮り撮影においては撮影者が被写体の動きに合わせてカメラをパンニングする必要があるが、パンニング速度が速すぎたり遅すぎたりすると、被写体の移動速度とパンニング速度の間に差が発生し、被写体がブレた画像になることも多い。
そこで、特許文献1では、「露光前に算出した撮像装置に対する被写体の相対角速度」と「角速度センサから得た露光中の撮像装置の角速度」に基づいて、露光中のレンズの光学系の一部または撮像部を移動させて被写体のブレを補正する方法が提案されている。撮像装置に対する被写体の相対角速度は、「時間的に連続した画像から検出した被写体の像面上の移動量」と「角速度センサ」の出力とから算出される。
特開平4−163535号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、比較的大きな被写体において撮影者の希望する位置でない位置のブレを補正してしまう可能性がある。図17は撮影者から見て右から左へ動いている電車の模式図であるが、3つの点(A,B,C)を撮影者からみた角速度はそれぞれ異なることが分かっている。図18は、図17の3つの点の角速度をある期間サンプリングした結果をグラフにした図であり、横軸が時間を示し、左から右へ時間が経過している。また、縦軸が角速度を示し、下から上へ角速度が増加している。図18からわかるように、ある時刻に被写体のどの部分の角速度を算出するかによって、その被写体の角速度は異なってくる。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、流し撮り撮影において、精度の高い像振れ補正を可能とする像振れ補正装置を提供することである。
本発明に係わる像振れ補正装置は、撮像手段により撮像された連続する少なくとも2つの画像を用いて画面上の複数の位置について被写体の動き量を検知する第1の検知手段と、前記第1の検知手段の検知結果に基づいて、画面上の被写体の範囲を決定する決定手段と、ユーザにより指定された画面上の位置と前記決定手段により決定された被写体の範囲とに基づいて注目点を決定する注目点決定手段と、前記注目点の画面上の動き量に基づいて、前記画面上の複数の位置について被写体の動き量を検知する枠を決定する枠位置決定手段と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、流し撮り撮影において、精度の高い像振れ補正を可能とする像振れ補正装置を提供することができる。
本発明の像振れ補正装置を搭載した撮像装置の第1の実施形態であるカメラの構成を示すブロック図。 像振れ補正装置の構成を示すブロック図。 パンニング制御の動作の一例を示すフローチャート。 パンニングが行われている場合の横方向の角速度データと、所定値α、βの関係を示した図。 流し撮りアシストモードにおける像振れ補正装置の構成を示すブロック図。 流し撮りアシストモードにおける撮影動作を示すフローチャート。 動き量検出部の動作を示すフローチャート。 テンプレート枠の配置状態を示す図。 動き量のヒストグラムを示す図。 主被写体エリアを示す図。 テンプレート枠の配置状態を示す図。 第1の実施形態における被写体位置別の角速度のデータの例を示す図。 被写体角速度決定の動作を示すフローチャート。 第2の実施形態における被写体位置別の角速度のデータの例を示す図。 第2の実施形態における被写体の動き量取得動作を示すフローチャート。 手ブレ量を説明するための図。 被写体位置の違いによる角速度の違いを示した図。 大きな被写体の角速度の状態を示す図。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の像振れ補正装置を搭載した撮像装置の第1の実施形態であるカメラの構成を示すブロック図である。図1において、カメラ100はカメラ本体にレンズが一体的に組み込まれている。ただし、本発明は、レンズとカメラ本体が一体的に構成されたカメラに限らず、カメラ本体に対してレンズが着脱可能に構成された一眼レフタイプのカメラに対しても適用可能である。
カメラ100は、主撮影光学系102、焦点距離を変更可能なズームレンズ群103、カメラの振れに起因する光軸に対する像振れを光軸と直交する方向に移動することにより光学的に補正するシフトレンズ群104を有する撮影レンズユニット101を備える。撮影レンズユニット101は、被写体像を後述する撮像素子112上に結像させる。また、撮影レンズユニット101は、ズームレンズ群103の位置を検出するズームエンコーダ105、シフトレンズ群104の位置を検出する位置センサ106、カメラの振れを検出する角速度センサ107を備える。さらに、角速度センサ107の出力を増幅するアンプ108、カメラ制御用マイクロコンピューター(以下マイコン)130、シフトレンズ群104を駆動するドライバ109、シフトレンズ群104の位置センサ106の出力を増幅するアンプ110を備える。
カメラ100は、また、シャッター111、CMOSセンサ等の撮像素子112、アナログ信号処理回路113、カメラ信号処理回路114、撮像素子112およびアナログ信号処理回路113の動作タイミングを設定するタイミングジェネレータ115を備える。また、電源スイッチ、レリーズスイッチ、流し撮りアシストモードの選択スイッチ等で構成されるカメラ操作スイッチ群116、シャッター駆動用モータ117、シャッター駆動用モータ117を駆動するドライバ118を備える。また、撮影した映像を記録するメモリカード119、カメラで撮影しようとしている画像をモニタし、また撮影した画像を表示する液晶パネル(以下LCD)120を備える。LCD120は、撮影した画像を連続して表示することによりライブビュー表示を行うことができる。また、ライブビュー表示の画面上に重ねるように枠(以下像振れ補正枠)が表示され、撮影者(ユーザ)は像振れ補正枠を動かすことにより像振れを抑える位置をカメラに指示することができる。また、像振れ補正枠は任意の位置に撮影者が変更可能である。図8には、像振れ補正枠1003が示されている。
カメラ信号処理回路114は、動き量検出部135を備える。マイコン130は、像振れ補正制御を行う像振れ補正制御部131、流し撮りアシスト用の制御を行う流し撮り制御部132、シャッターを制御するシャッター制御部133、被写体の角速度を算出する被写体角速度算出部134を備える。マイコン130はその他にもフォーカスレンズ制御、絞り制御等も行うが、説明を分かりやすくするために、図1では省略している。また、像振れ補正のためには、例えば横方向と縦方向といった、直交する2軸に関して振れの検出および補正を行うが、2つの軸について全く同じ構成であるため、ここでは1軸分のみについて記載している。図1において、操作スイッチ群116によりカメラの電源がONされると、その状態変化をマイコン130が検出し、カメラ100の各回路への電源供給および初期設定が行われる。
流し撮りアシストモードの設定が行われていない通常モードの状態では、角度速度センサ107が手ブレ等によるカメラ100の振れを検出し、その検出結果を用いて像振れ補正制御部131により、シフトレンズ群104を駆動して像振れ補正動作が行われる。
ここで像振れ補正機能に関して説明する。図2は像振れ補正装置の構成を示すブロック図であり、図1と共通の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。図2において、像振れ補正制御部131は、A/D変換器401、フィルタ演算部402、積分器403、加算器404、PWM出力部405、A/D変換器406、パンニング制御部407を備える。A/D変換器401は、角速度センサ107で検出された振れ信号をデジタル信号に変換する。角速度センサ107の出力データのサンプリングは1〜10kHz程度の周波数で行われる。ハイパスフィルタ(HPF)等で構成されるフィルタ演算部402は、角速度センサ107の出力に含まれているオフセット成分の除去を行い、またカットオフ周波数を変更することによりパンニング対策を行う。積分器403は、シフトレンズの駆動目標データを生成するために角速度データを角変位データに変換する。A/D変換器406は、シフトレンズ群104の位置を検出する位置センサ106の出力をデジタルデータに変換する。加算器404は、シフトレンズ群104の駆動目標値から現在のシフトレンズ位置を減算してシフトレンズ群104の実際の駆動量のデータを算出する。PWM出力部405は、算出された駆動量のデータをシフトレンズ駆動用のドライバ109に出力する。パンニング制御部407は、角速度データの状態からカメラ100がパンニングされているか否かを判定する。また、パンニングされていると判定された場合は、フィルタ演算部402のカットオフ周波数の変更制御、および積分器403の出力の調整を行う。
図3は、マイコン130内の像振れ補正制御部131によるパンニング制御の動作の一例を示すフローチャートである。以下、パンニング制御について、図3を用いて説明する。
図3において、S501では、A/D変換器401でデジタル値に変換された角速度データの平均値(所定サンプリング回数分の平均値)が所定値αよりも大きいか否かが判定される。所定値α以下の場合はパンニングが行われていないと判断される。所定値αよりも大きい場合は、S502において、所定値βより大きいか否かが判定される。そして、所定値β以下の場合は、ゆっくりとしたパンニングが行われていると判断される。また、所定値βよりも大きい場合は、速いパンニングが行われていると判断し、S503でフィルタ演算部402内にあるHPFのカットオフ周波数を最大値に設定し、S504で像振れ補正制御を強制的にOFFとする。これは、HPFのカットオフ周波数を高くすることによりシフトレンズが徐々に停止するようにし、像振れ補正制御をOFFしたときの違和感をなくすためである。また、速いパンニング時は手ブレの大きさに対してパンニングによる移動量が非常に大きくなるため、像振れ補正をOFFすることで手ブレが残っても違和感はないためである。この設定を行わず、パンニングを大きな振れとして補正しようとすると、パンニング開始時には画像の振れが停止するが、その後シフトレンズ群104が補正端に到達した瞬間に突然画像が大きく動き、非常に不自然な動きとして見えてしまう。
その後、S505では、積分器403の出力を現在のデータから徐々に初期位置のデータに変更することで、シフトレンズ群104を初期位置に動かすようにする。これは次に像振れ補正動作を再開する場合に、シフトレンズ群104の位置が駆動範囲の初期位置にあることが望ましいためである。
一方、S502で角速度データの平均値が所定値β以下であった場合(ゆっくりとしたパンニングが行われていると判断された場合)はS506へと進む。そして、角速度データの大きさに応じてHPFのカットオフ周波数を設定する。これは、ゆっくりとしたパンニングが行われている場合は手ブレの影響を完全に無視することができないためであり、パンニング時の画像の追従性を不自然にならない程度に保ちながら、手ブレの補正を行うためである。
また、S501で角速度データの平均値が所定値α以下であった場合(パンニングが行われていないと判断された場合)は、S507でHPFのカットオフ周波数を通常時の値に設定する。そして、速いパンニングでない場合は、S508において像振れ補正制御の強制OFF設定を解除する。
図4はパンニングが行われている場合の横方向の角速度データと、所定値α、βの関係を示した図であり、角速度データ701の例が示されている。この例では、右方向にパンニングした場合に+方向の出力、左方向にパンニングした場合に−方向の出力となる。図4の例では、右方向の急激なパンニングと、左右方向のゆっくりとしたパンニングが検出されている。図4からわかるように、パンニング中は角速度データが初期値(ここでは0)から大きく外れる。そのため、このデータを積分してシフトレンズの駆動目標値を算出した場合、DC的なオフセット成分により、積分器403の出力が非常に大きな値となり、制御不能状態になってしまう。そのため、パンニングが検出された場合は、HPFのカットオフ周波数を高く変更することにより、DC成分をカットすることが必要となる。急激なパンニングの場合は、特に顕著になるために、よりカットオフ周波数を上げることにより、積分器403の出力が増大しないようにする。また、パンニング速度が速い場合は、パンニング速度による画像の動きが手ブレに対して非常に大きくなるため、パンニング方向に関して像振れ補正機能をOFFとしても特に違和感は生じない。以上のようにパンニング制御が行われることにより、パンニング中のライブビュー画像の表示において、違和感のない画像をモニタすることが可能となる。
次に、流し撮りアシストモードについて説明する。図1において、操作スイッチ群116により流し撮りアシストモードが設定されると、カメラ信号処理回路114内の動き量検出部135は、撮像した連続するフレームの映像から被写体の動き量を検出し出力する。そして、マイコン130は、この動き量と、角速度センサ107で検出された角速度データを受信する。
ここで、角速度データはカメラ100の流し撮り速度に対応しているため、角速度データと、主被写体の像面上の移動量とレンズの現在の焦点距離から算出される角速度との差分を算出すると、それはカメラに対する主被写体の角速度となる。被写体角速度算出部134では、ライブビューのモニタ用の画像を処理するタイミングで、毎フレームにつき、この主被写体の角速度を算出している。また、被写体角速度算出部134は、算出した被写体の角速度と算出時の画像が生成された時刻の組み合わせ情報の過去数フレーム分を流し撮り制御部132へ送信する。
図5は流し撮りアシストモードにおける像振れ補正装置の構成を示すブロック図であり、図1、図2と共通の構成に対しては同じ符号を付している。図5において、流し撮り制御部132は、カメラ情報取得部601、角速度データ出力部602、被写体角速度決定部603、加算器604、第2の積分器605、設定変更部606を備える。カメラ情報取得部601は、特に、流し撮りアシストモードの設定情報、レリーズ情報を取得する。角速度データ出力部602は、所定のタイミングでカメラの角速度データをサンプリングし、被写体角速度算出部134へ出力する。被写体角速度決定部603は、被写体角速度算出部134で算出した被写体の角速度とその算出時の画像が生成された時刻の組み合わせ情報の過去数フレーム分と現状の時刻とから露光時の被写体の角速度を決定する。加算器604は、角速度センサの角速度と被写体の角速度との差分を算出する。第2の積分器605は、所定期間のみ積分動作を行う。設定変更部606は、カメラ情報取得部601が取得したモード情報に応じて、設定を変更する。
操作スイッチ群116の操作により流し撮りアシストモードが設定されると、その情報がカメラ情報取得部601で読み込まれ、設定変更部606に通知される。設定変更部606は、通知されたモード情報に従い、パンニング制御部407の設定変更を行う。ここで行われる設定変更は、急激なパンニング状態に移行しやすくする変更であり、具体的には、前述のパンニング判定用の所定値βおよびαを変更する。また、加算器604は角速度センサにより検出された角速度と、主被写体の角速度の差を計算し、第2の積分器605へと送る。第2の積分器605は、カメラ情報取得部601で取得された露光期間中を示す信号により積分動作を開始し、その他の期間はシフトレンズの位置が中央となる値を出力する。ここで、露光期間以外はシフトレンズを中央位置に配置しようとした場合、露光期間終了時は現在のシフトレンズ位置から中央位置までシフトレンズが急峻に移動することになる。しかし、露光期間終了直後は撮像素子112からの画像信号の読み出しを行っているため、LCD上では画像が消失する。そのため、シフトレンズの急峻な移動による画像の動きは問題とはならない。また、第2の積分器605の出力は、加算器404で、積分器403の出力、およびシフトレンズ群104の位置情報と共に加算され、シフトレンズ群104の駆動量が算出される。
流し撮りアシストモードが設定されている場合に、実際に撮影者により流し撮り動作が行われると、パンニング制御部407が即座に急なパンニング状態に対するパンニング制御を行う。それにより、振れ補正動作が禁止され、シフトレンズ群104は、カメラのパンニングの角速度と被写体の角速度の差分に対応した量を補正することになる。そのため流し撮り失敗の原因となる露光期間中のカメラのパンニング速度と被写体の速度の差分がシフトレンズの動作で相殺され、その結果として流し撮りが成功する(アシストされる)。
図6は、流し撮りアシストモードにおける撮影動作を示すフローチャートである。図6において、S201では、レリーズスイッチが半押し(スイッチSW1がON)されたか否かが検出される。SW1がONされると、S202へと進み、時間計測カウンタをインクリメントする。SW1がONされていない場合は、S203において、時間計測カウンタをリセットする。
S204では、主被写体の角速度がすでに算出されているか否かを確認する。算出されている場合は、S205においてさらに時間計測カウンタが所定時間Tになっているか否かが確認される。主被写体の角速度がまだ算出されていない場合、およびすでに算出されていても一定時間が経過している場合は、S206において主被写体の角速度を算出する。ここで、主被写体の角速度を算出し直すのは、時間と共に主被写体の速度が変化する場合を考慮しての処置である。主被写体の角速度が算出されるたびに、流し撮り制御部132の被写体角速度決定部603へ通知が送られる。
S207では、被写体角速度算出部134から取得した過去数フレームの被写体角速度から角加速度を算出し、レリーズが切られてから露光開始までのタイムラグ分を加味して被写体角速度決定部603において露光時の被写体角速度を算出して決定する。S208では、レリーズスイッチが全押し(スイッチSW2がON)されたか否かが検出される。SW2がONされていなければ、S201へ戻る。S208においてSW2がONされると、S209において露光開始のためにシャッター制御部133によりシャッター制御が行われる。
S210では、流し撮り制御部132と像振れ補正制御部131が連動してシフトレンズ群104を動かし、被写体の像振れ補正を行う。S211では、露光完了か否かを判断し、露光完了であればS212に進み、未完了であればS210に進む。S212では、SW2がONされたか否かが判定される。SW2がONされていれば、S209へ戻り次の撮影を開始する。SW2がONされていなければ、S201へ戻る。
図7は、動き量検出部135の動作を示すフローチャートである。S101では、1回目の撮像を行い比較元の画像を取得し、S102に進む。S102では、次の撮像の前に、被写体の動き量を取得する枠(動き量取得枠)を複数配置した枠(テンプレート枠)を画面に配置し、S103に進む。テンプレート枠によって、動き量を取得する位置を複数指定することができる。S102でのテンプレート枠の位置は、前述の像振れ補正枠1003が中心になるように配置する。図8(a)において、画角1001と動き量取得枠1002とテンプレート枠1004と像振れ補正枠1003の例を示す。テンプレート枠1004は、動き量取得枠1002が横7つ縦5つ配置された7×5の大きな枠である。ライブビュー中には、動き量取得枠1002およびテンプレート枠は表示されない。像振れ補正枠1003が画角1001の端に設定された場合は、図8(b)に示すようにテンプレート枠1004は端で止まるように配置される。
S103では、ライブビューのための撮像をしながらテンプレート枠1004の配置に従って複数の動き量を検知してS104に進む。S104では、動き量の検知結果を取得してS105に進む。S105では、取得した動き量からヒストグラムを生成してS106に進む。
図9はヒストグラムの例を示した図であり、横軸が動き量を示し縦軸が度数を示している。S106では、ヒストグラムから主被写体のエリアを決定しS107に進む。ここで、ヒストグラムに示される動き量は、撮影者が撮影しようとしている主被写体に対応した動き量と、流れている背景に対応した動き量の2種類が含まれる。本実施形態では、流し撮りが目的であるため、検出された動き量のうち、動き量の小さいデータが主被写体の動き量となり、この動き量の値が主被写体の像面上の移動量となる。集合1101の方が動き量がより0に近いので、集合1101を主被写体、集合1102を背景と判断する。主被写体と判断された動き量に対応する動き量取得枠1002の画角上の位置を主被写体エリアとして決定する。図10は主被写体エリアのイメージ図であり、テンプレート枠1004のうちグレーに塗られている部分が主被写体エリアである。
S107では、全ての動き量取得枠1002(本実施形態では7×5個分)とテンプレート枠1004の配置座標と、主被写体エリアの情報を被写体角速度算出部134へ送り、S108に進む。S108では、主被写体エリアの中から像振れ補正枠1003の中心座標に最も近い動き量取得枠1002の中心座標を注目点として1点決定し(注目点決定)、S109に進む。図10では、注目点1201が示されている。注目点が既に決まっている場合は、基本的にそのまま継続する。しかし、注目点が像振れ補正枠1003の中心から閾値以上離れた場合や動き量が正しく算出できずに注目点を見失った場合には、再度像振れ補正枠1003の中心座標に最も近い動き量取得枠1002の中心座標を注目点とする。
S109では、注目点と注目点を内包する動き量取得枠(注目枠)1002の動き量と像振れ補正枠1003の位置から次のテンプレート枠1004の配置を決定して(枠位置決定)、S103へ戻る。配置の決定方法は、注目点から注目枠の動き量分ずれた位置にある動き量取得枠1002の中心が注目点の動いた位置になるように配置を決定する。
図11は次のテンプレート枠1004の配置の例を示す図である。図11(a)において、注目枠の動き量が矢印1301で示されており、前回のテンプレート枠1004の配置が破線で示され、次のテンプレート枠1304の配置が実線で示されている。また、図11(b)では、注目枠の動き量が矢印1303で示されており、次のテンプレート枠1306の配置が実線で示されている。図11(a)では、注目点の動き先(追跡した先)が注目枠内なので、次のテンプレート枠1304の配置においても、テンプレート枠1304の左上から右に5番目、下に3番目の動き量取得枠で動き量を検知することとなる。一方、図11(b)は、注目点の動き先が注目枠外なので、次のテンプレート枠1306の配置ではテンプレート枠1306の左上から右に4番目、下に3番目の位置の動き量取得枠で動き量を検知することとなる。これにより、注目枠の被写体は、次のフレームでも同じ被写体の位置で動き量を検知することが可能となる。
ここで、テンプレート枠の枠配置の調整を行わないと、被写体の異なる位置で動き量を検知することになり、露光時の被写体の角速度予測において誤差の要因となる。枠配置の調整は毎フレーム行うが、1004にあたるテンプレート枠はS102で決定したテンプレート枠に固定し、動き量も毎フレームの動き量を積分して利用する。これにより像振れ補正枠1003に対してテンプレート枠が大きくずれることがなくなる。これは、撮影者がレリーズ動作を行うまでは、被写体のどこの位置の像振れを止めればよいのかわからないため、常に像振れ補正枠1003はテンプレート枠の中央近傍にあることが望まれるためである。
ここで、上記のS107についてもう少し詳しく説明する。S107で情報を渡された被写体角速度算出部134では、動き量検出部135から取得したすべての動き量(本実施形態では7×5個分)と、テンプレート枠1004の配置座標と、主被写体エリア情報と、自身が持つ過去のフレームで蓄積した情報(図12参照)とに基づいて被写体の角速度を決定する。図12では、過去のフレームで蓄積した情報として、同じ被写体位置の最大5フレーム分の角速度情報と最新フレームの画角における座標とを1つのインデックスとして最大35個分保持している。ここでの座標は、画角の左上を原点として右下に向かって大きくなる座標系である。また、座標に「空き」の表示がされているインデックスは、情報を保持していないインデックスを意味している。
図13は、被写体角速度算出部134の動作を示すフローチャートである。本処理は動き量検出部135から動き量を取得すると開始される。S1501では、動き量検出部135から取得した35個の動き量から主被写体エリアの動き量があれば1つ選択してS1502に進み、なければS1505に進む。S1501では、選択して処理を行った情報を保持しておき、S1502〜S1504の繰り返し処理で全ての主被写体エリアの動き量の処理を行う。
S1502では、動き量を焦点距離情報と画素ピッチに基づいて角速度へ変換し、加速度センサ107で取得した角速度を加味して被写体の角速度情報を算出し、S1503に進む。S1503では、動き量に対応する座標情報に一致するインデックスを検索し、あればそのインデックスを処理インデックスとして決定する。一致するインデックスがない場合は、空きインデックスを検索し、あればそのインデックスを処理インデックスとして決定する。空きインデックスもない場合は、像振れ補正枠1003の中心から最も遠い座標のインデックスの情報を削除し、そのインデックスを処理インデックスとして決定する。
S1503の処理の後はS1504に進む。S1504では、処理インデックスの中で最も古いフレームの被写体の角速度情報を最も新しいフレームの情報で書き換え、座標情報も動き先の座標に変更しS1501へ戻る。図12のように蓄積される情報は、S1502、S1503、S1504の繰り返しにより生成されることとなる。本実施形態では、蓄積する情報として被写体の角速度情報を保持しているが、被写体の角速度算出前の各種情報を保持してもよい。
S1505ではインデックスの中から像振れ補正枠1003の中心に最も近い座標のインデックスを主被写体インデックスとして決定し、S1506に進む。S1506では、主被写体インデックスにおける複数フレームについて算出した被写体の角速度と、算出時の画像が生成された時刻を流し撮り制御部132へ送り処理を終了する。
本実施形態によれば、テンプレート枠を被写体の動きに応じて調整し、被写体の候補となる角速度を被写体位置別に保持しておくことにより、高精度に被写体の角速度を算出することができ、精度の高い流し撮りの像振れ補正を行うことができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係わる撮像装置について説明する。図14は、第2の実施形態における被写体角速度算出部134で生成された蓄積情報を示す図である。第2の実施形態では、被写体角速度算出部134の動作が第1の実施形態と異なる。第1の実施形態では、S1504において、角速度を毎フレーム保持して座標は最新のもののみを保持しているのに対して、第2の実施形態では毎フレームにつき角速度と座標の両方を保持する。
図15は、第2の実施形態における動き量検出部135の動作を示すフローチャートである。第1の実施形態との動作の違いは、S107とS108の処理の間にS110の処理が挿入されている点である。S107において被写体角速度算出部134へ情報を送った後、S110では、最新フレームについて被写体角速度算出部134で処理した蓄積情報を取得し、その蓄積情報から手ブレ量(後述)を検知する。図16(a)を参照して、撮像装置の手ブレ量の検知方法について説明する。図16(a)では、注目点の軌跡1801〜1807を時系列に順番に並べている。説明を分かりやすくするために水平方向の動きのみについて説明する(垂直方向は水平方向と同様である)。左右の折り返しの間の距離(手ブレ幅)1808は、手ブレによる移動距離を意味している。手ブレ幅の中心が1809で示され、手ブレ幅の中心から最新位置までのずれ量(振れ量)が1810で示されている。図16では、注目点が往復しているが、注目点が往復していない場合は、手ブレ量は検知できない。また、第2の実施形態におけるS108では、S110において手ブレ量が検知されると、像振れ補正枠1003の中心座標から手ブレ量分ずらした点を注目点として更新する。図18(b)にイメージ図を示す。1811で示される点が、新たな注目点となる。
本実施形態によれば、撮影者が手ブレで被写体を正確に捉えられていない場合に、手ブレによるブレ分を補正した被写体位置で被写体の角速度を算出することで、良好な流し撮りの像振れ補正を行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、像振れを補正する構成として、撮影レンズユニットに光軸と直交する方向に移動するシフトレンズを備える場合について説明した。しかし、これに限定されず、チルトさせるなどの撮影レンズの光軸と異なる方向に移動することにより光路を変更する光学素子を用いてもよいし、可変頂角プリズムなどを用いて光路を変更してもよい。また、撮像素子をシフトさせることにより像振れ補正をするようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、カメラ本体に配置された角速度センサによりカメラの振れを検出するように説明したが、角速度センサは撮影レンズ側に配置されていてもよい。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
100:カメラ、101:撮影レンズユニット、102:主撮影光学系、103:ズームレンズ群、104:シフトレンズ群、105:ズームエンコーダ、106:位置センサ、107:角速度センサ、109:ドライバ、111:シャッター、112:撮像素子、113:アナログ信号処理回路、114:カメラ信号処理回路

Claims (12)

  1. 撮像手段により撮像された連続する少なくとも2つの画像を用いて画面上の複数の位置について被写体の動き量を検知する第1の検知手段と、
    前記第1の検知手段の検知結果に基づいて、画面上の被写体の範囲を決定する決定手段と、
    ユーザにより指定された画面上の位置と前記決定手段により決定された被写体の範囲とに基づいて注目点を決定する注目点決定手段と、
    前記注目点の画面上の動き量に基づいて、前記画面上の複数の位置について被写体の動き量を検知する枠を決定する枠位置決定手段と、
    を具備することを特徴とする像振れ補正装置。
  2. 前記注目点を該注目点の動き量に基づいて追跡した後の注目点の位置と前記ユーザに指定された画面上の位置との差分が閾値よりも大きくなった場合に、前記注目点を変更する変更手段をさらに具備することを特徴とする請求項に記載の像振れ補正装置。
  3. 前記注目点の軌跡を用いて装置の振れ幅を算出し、該振れ幅と前記画面上の被写体の動き量の検知のタイミングとに基づいて、振れの中心からの前記注目点のずれ量を算出する算出手段と、前記ずれ量と前記ユーザにより指定された画面上の位置とに基づいて、前記注目点を変更する変更手段とをさらに具備することを特徴とする請求項に記載の像振れ補正装置。
  4. 前記決定手段は、前記画面上における動き量の少ない範囲を、前記被写体の範囲と決定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
  5. 前記決定手段は、流し撮りを行う場合の、ブレの無い状態で撮影しようとする被写体の範囲を前記被写体の範囲として決定することを特徴とする請求項に記載の像振れ補正装置。
  6. 前記被写体の範囲内の被写体位置の情報と、前記第1の検知手段の検知結果と装置の動きを検知する第2の検知手段の検知結果に基づく前記被写体位置の動き量の情報とを組で保持する保持手段と、
    前記保持手段に保持された前記被写体位置の情報と前記被写体位置の動き量の情報とに基づいて、前記被写体位置における被写体像の振れを補正するように、被写体像の振れを補正する補正手段の動作を制御する制御手段と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正装置。
  7. 前記第2の検知手段は、装置の角速度を検知することを特徴とする請求項に記載の像振れ補正装置。
  8. 前記補正手段は、撮影光学系の光軸と異なる方向に移動することにより被写体からの光の光路を変更することを特徴とする請求項6または7に記載の像振れ補正装置。
  9. 前記補正手段は、前記撮影光学系の光軸と直交する方向に移動することにより被写体からの光の光路を変更するシフトレンズであることを特徴とする請求項8に記載の像振れ補正装置。
  10. 撮像手段により撮像された連続する少なくとも2つの画像を用いて画面上の複数の位置について被写体の動き量を第1の検知手段により検知する第1の検知工程と、
    前記第1の検知工程における検知結果に基づいて、画面上の被写体の範囲を決定する決定工程と、
    ユーザにより指定された画面上の位置と前記決定工程において決定された被写体の範囲とに基づいて注目点を決定する注目点決定工程と、
    前記注目点の画面上の動き量に基づいて、前記画面上の複数の位置について被写体の動き量を検知する枠を決定する枠位置決定工程と、
    を有することを特徴とする像振れ補正装置の制御方法。
  11. 請求項10に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  12. 請求項10に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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