以下、本発明に係るベルト搬送装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてカラー画像の形成が可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のカラーデジタルプリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの基本的な構成及び動作は、現像工程で使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
画像形成部Sは、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム101を有する。感光ドラム101は、図中矢印R1方向に回転駆動される。画像形成部Sにおいて、感光ドラム1の周囲には、次の各機器が配置されている。まず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ102が配置されている。次に、露光手段としてのレーザスキャナ103が配置されている。次に、現像手段としての現像器104が配置されている。次に、一次転写手段としてのローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ105が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーナ107が配置されている。
回転する感光ドラム101の表面は、帯電ローラ102により所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に略一様に帯電される。帯電した感光ドラム101の表面は、レーザスキャナ103により画像信号に応じて露光され、感光ドラム101上に画像信号に応じた静電潜像(静電像)が形成される。レーザスキャナ103は、各画像形成部Sに対応した画像信号が入力され、この画像信号に応じて感光ドラム101の表面にレーザ光を照射し、感光ドラム101上の電荷を中和して静電潜像を形成する。感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像器104により現像剤としてのトナーで現像される。本実施例では、一様に帯電された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム101上の露光部に、感光ドラム101の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。
画像形成装置100は、各画像形成部Sの各感光ドラム101と対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト106を有する。中間転写ベルト106は、図中矢印R2方向に回転駆動される。上述の一次転写ローラ105は、中間転写ベルト106の内周面側において、各画像形成部Sの各感光ドラム101に対向して配置されている。一次転写ローラ105は、中間転写ベルト106を介して感光ドラム101に向けて付勢(押圧)され、中間転写ベルト106と感光ドラム101とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。また、中間転写ベルト106の外周面側において、中間転写ベルト106を張架する複数の張架ローラのうちの一つである二次転写対向ローラ203に対向して、二次転写手段としてのローラ型の二次転写部材である二次転写ローラ108が配置されている。二次転写ローラ108は、中間転写ベルト106を介して二次転写対向ローラ203に向けて付勢(押圧)され、中間転写ベルト106と二次転写ローラ108とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。なお、一次転写ローラ105、中間転写ベルト106、中間転写ベルト106を張架する複数の張架ローラなどは、本実施例におけるベルト搬送装置としての中間転写ユニット200を構成する。中間転写ユニット200については、後述して更に詳しく説明する。
感光ドラム101上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ105の作用により、回転する中間転写ベルト106上へ静電的に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ105には、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性の一次転写バイアスが印加される。例えば、後述するカラーモード時には、各画像形成部Sの各感光ドラム101上に形成された各色のトナー像が、各一次転写部N1において中間転写ベルト106上に順次重ね合わせるようにして転写される。これにより、中間転写ベルト106上にフルカラー画像用の多重トナー像が形成される。一次転写工程後に感光ドラム101上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、ドラムクリーナ107により感光ドラム101上から除去されて回収される。
一方、カセット111、112、手差しトレー113のいずれかから送り出された紙などの記録材(転写材、記録媒体、シート)Pは、給送ローラ114、搬送ローラ115などにより、レジストローラ116へと送られる。そして、停止しているレジストローラ116に対して記録材Pの先端が突き当たり、ループを形成した後、中間転写ベルト106上のトナー像と同期してレジストローラ116の回転が開始され、記録材Pが二次転写部N2へと搬送される。
中間転写ベルト106上のトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ108の作用によって、記録材P上へ静電的に転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ108には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の二次転写バイアスが印加される。二次転写工程後に中間転写ベルト106上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーナ117により中間転写ベルト106上から除去されて回収される。
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着器109へと送られ、ここで熱及び圧力によりトナー像が記録材P上に定着される。その後、記録材Pは、排出部110a、110bのいずれかから機外へと排出される。
本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKが、中間転写ベルト106上にトナー像を形成するトナー像形成手段を構成する。
2.中間転写ユニット
次に、本実施例におけるベルト搬送装置としての中間転写ユニット200の概略構成について説明する。
ここで、中間転写ベルト106の移動方向(搬送方向)と略直交する方向(幅方向)を「スラスト方向」ともいう。このスラスト方向は、感光ドラム101、張架ローラ201〜205の回転軸線方向と略平行である。また、画像形成装置100に関して、スラスト方向における図1の紙面手前を「前側」、紙面奥側を「奥側」とする。また、画像形成装置100に関して、上下方向は、鉛直方向における上下方向をいうものであるが、真上、真下のみを意味するものではなく、基準とする位置又は要素に対して水平よりも上方、下方であることも含む。また、画像形成装置100における位置又は要素の配置関係は、画像形成装置100が通常用いられる姿勢に配置された場合における配置関係についていうものである。
図2は、中間転写ユニット200の概略断面図である(感光ドラム101、二次転写ローラ108も併せて示されている。)。中間転写ユニット200は、中間転写体としての中間転写ベルト106を有する。本実施例では、中間転写ベルト106は、ポリイミド製の無端状のベルト(フィルム)で構成されている。なお、中間転写ベルト106の材質としては、ポリイミドに限らず、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネートなどの樹脂を用いてもよい。中間転写ベルト106は、複数の張架ローラとしての、駆動ローラ201、テンションローラ204、補助ローラ205、アイドラローラ202、及び二次転写対向ローラ203の5個のローラにより張架されている。
なお、4個の感光ドラム101は、中間転写ベルト106の移動方向に沿って略直線状に配列されている。本実施例では、4個の感光ドラム101の配列方向は、略水平方向である。より詳細には、本実施例では、4個の感光ドラム101は、これらの全ての中間転写ユニット200側の共通の接線が略水平になるように略直線状に配列されている。
駆動ローラ201は、図示しない駆動源によって回転駆動され、中間転写ベルト106を図中矢印R2方向に回転(周回移動、搬送)させる。駆動ローラ201の表面は、中間転写ベルト106を滑り無く搬送するために、摩擦係数の高いゴム層で形成されている。駆動ローラ201は、回転軸線方向の両端部において、軸受部材(図示せず)を介してフレーム240により回転可能に支持されている。
テンションローラ204は、回転軸線方向の両端部において、テンションローラ軸受部材207により回転可能に支持されている。テンションローラ軸受部材207は、図中矢印A方向(中間転写ベルト106の内周面側から外周面側に向かう方向及びその逆方向)に移動可能にフレーム240に取り付けられている。テンションローラ軸受部材207は、第1の付勢部材としてのテンションバネ208により、中間転写ベルト106の内周面側から外周面側に向けて付勢されている。これにより、テンションローラ204は、中間転写ベルト106の内周面側から外周面側に向けて付勢されて、中間転写ベルト106の内周面に加圧されている。したがって、中間転写ベルト106の長さやその他の部品の寸法が公差によりばらついても、その影響はテンションローラ204の位置が図中矢印A方向に移動することで吸収され、中間転写ベルト106は略一定の張力で張架される。
補助ローラ205は、後述するカラーモード時にアイドラローラ202との間に画像転写面(略平面状に張られて感光ドラム101からトナー像が転写される面)を形成する。補助ローラ205は、回転軸線方向の両端部において、移動可能にフレーム240に取り付けられた補助ローラ軸受部材250により回転可能に支持されている。
アイドラローラ202は、後述するカラーモード時に補助ローラ205との間に画像転写面を形成すると共に、後述する白黒モード時にテンションローラ204との間で画像転写面を形成する。アイドラローラ202は、回転軸線方向の両端部において、軸受部材(図示せず)を介してフレーム240により回転可能に支持されている。
二次転写対向ローラ(二次転写内ローラ)203は、二次転写ローラ(二次転写外ローラ)108との間に中間転写ベルト106を挟持して二次転写部N2を形成する。二次転写対向ローラ203は、回転軸線方向の両端部において、軸受部材(図示せず)を介してフレーム240により回転可能に支持されている。
また、中間転写ユニット200は、前述の各一次転写ローラ105Y、105M、105C、105Kを有する。各一次転写ローラ105Y、105M、105C、105Kは、それぞれ中間転写ベルト106を介して感光ドラム101Y、101M、101C、101Kに対向して配置されている。各一次転写ローラ105は、中間転写ベルト106の搬送方向において補助ローラ205とアイドラローラ202との間に配置されている。一次転写ローラ105は、中間転写ベルト106の内周面に接触可能な接触部材の一例である。各一次転写ローラ105は、回転軸線方向の両端部において、フレーム240に移動可能に取り付けられた一次転写ローラ軸受部材210により回転可能に支持されている。一次転写ローラ軸受部材210は、フレーム240により一方向(図中の上下方向)に移動可能にガイドされており、付勢手段としての一次転写バネ209により感光ドラム101に向かう方向に付勢されている。本実施例では、一次転写バネ209は、弾性部材である圧縮コイルバネで構成され、フレーム240と一次転写ローラ軸受部材210との間に圧縮されて配置されている。各一次転写ローラ105は、それぞれに対応する感光ドラム101との間に中間転写ベルト106を挟持して一次転写部N1を形成する。
3.感光ドラムと中間転写ベルトの離接状態
次に、感光ドラム1と中間転写ベルト106との当接・離間の状態(離接状態)について説明する。
本実施例の画像形成装置100は、画像形成モードをカラーモードと白黒モード(単色モード)とに切り替えて画像形成動作を実行することができる。図2は、カラーモード時の状態を示しており、図3は白黒モード時の状態を示す図2と同様の図である。
カラーモードは、全ての画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて画像を形成してフルカラー画像を形成することのできる画像形成モードである。また、白黒モードは、ブラック用の画像形成部SKにおいてのみ画像を形成して白黒画像を形成する画像形成モードである。カラーモードの実行時には、全ての画像形成部SY、SM、SC、SKで、感光ドラム101に中間転写ベルト106が接触される。白黒モードの実行時には、画像形成に使用しないイエロー、マゼンタ、シアンの各色用の画像形成部SY、SM、SCでは、感光ドラム101から中間転写ベルト106が離間される。これは、イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の感光ドラム101や中間転写ベルト106の摩耗を低減して、これらの長寿命化を図るなどのためである。
本実施例では、カラーモードと白黒モードとでの感光ドラム101と中間転写ベルト106との離接状態は、イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の一次転写ローラ105Y、105M、105C及び補助ローラ205が移動することによって切り替えられる。イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の一次転写ローラ105Y、105M、105C及び補助ローラ205は、第2の移動機構としての離接機構によって移動される。図4は、この離接機構220を示す斜視図である。図4は、カラーモード時の状態を示している。
なお、詳しくは後述するように、離接機構220と連動して、テンションローラ204の付勢部材を支持する支持部材が、第1の移動機構としてのテンション調節機構(以下、単に「調節機構」ともいう。)によって移動される。図5は、この調節機構230を離接機構220と共に示す斜視図である。図5は、白黒モード時の状態を示している。
本実施例では、離接機構220と調節機構230とは、共通の駆動源としての駆動モータ215によって駆動される。駆動モータ215の動作は、画像形成装置100の装置本体に設けられた制御部300によって制御される。
本実施例では、離接機構220、調節機構230、及び駆動モータ215は、中間転写ユニット200内に設けられている。
ここで、本実施例では、離接機構220は、スラスト方向の両端部側に、実質的に同じ(中間転写ベルト106の実質的なスラスト方向の中央に対して線対称)構成要素を有する。調節機構230についても同様である。また、本実施例では、離接機構220、調節機構230のスラスト方向の両端部側の構成要素は、共通の駆動モータ215によって駆動される。以下の説明では、煩雑さを避けるため、離接機構220、調節機構230については、スラスト方向の一方の端部側(前側)の構成要素に注目して説明する。本実施例では、スラスト方向の他方の端部側(奥側)の構成要素も同期して同様の動作を行う。また、イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の一次転写ローラ105Y、105M、105Cの移動に関する構成は、実質的に同じであり、同期して同様の動作を行う。以下の説明では、煩雑さを避けるため、代表してイエロー用の一次転写ローラ105Yに注目して説明する。このとき、イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の一次転写ローラ105Y、105M、105C、感光ドラム101Y、101M、101Cを、それぞれカラー用のものとして総称し、符号の末尾のY、M、Cは省略することがある。
4.離接機構の構成
次に、離接機構220の構成について説明する。図4に示すように、離接機構220は、直線移動する第2のリンクとしての離接リンク(スライダリンク)212を有する。離接リンク212は、図中矢印Eで示すように、感光ドラム101の配列方向と略平行に往復移動可能にフレーム240に支持されている。また、離接機構220は、離接リンク212に駆動モータ215の駆動力を伝達する第2のカムとしての離接カム(偏心カム)214を有する。離接カム214は、フレーム240に回転可能に支持されており、離接リンク212に設けられたコロ213と係合している。また、離接機構220は、離接リンク212に接続された離接アーム211を有する。離接アーム211は、離接リンク212の移動方向と略直交する軸線の周りを回動して、カラー用の一次転写ローラ105の一次転写ローラ軸受部材210を移動させる。離接アーム211は、回動中心穴211aを介してフレーム240に回動可能に支持されている。そして、離接アーム211は、一端部に設けられた突起211bが、離接リンク212のアーム係合部(係合穴)212aと係合し、他端部に設けられた作用部211cが、一次転写ローラ軸受部材210と係合している。
5.離接機構の動作
本実施例では、画像形成装置100は、カラーモードと白黒モードとのうち使用頻度が高い方をデフォルトの画像形成モードとする設定を制御部300に記憶させておくことが可能である。まず、白黒モードをデフォルトの画像形成モードとして設定した場合を例に説明する。
画像形成装置100の待機時には、中間転写ユニット200は図3の状態にある。すなわち、カラー用の一次転写ローラ105及び補助ローラ205は、上方に退避しており、中間転写ベルト106の内周面から離間している。また、中間転写ベルト106は、カラー用の感光ドラム101から離間している。一方、ブラック用の一次転写ローラ105Kは、中間転写ベルト106を介してブラック用の感光ドラム101Kと当接し、一次転写部N1Kを形成している。
白黒モードのジョブが開始されると、次のような動作が行われる。白黒モードのジョブは、画像形成装置100の操作部において白黒コピーが選択されたり、画像形成装置100と接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器から画像形成装置100に白黒プリントのジョブが送られてきたりした場合に開始される。中間転写ユニット200は、図3の状態のまま駆動ローラ201が図中反時計回りに回転を始め、中間転写ベルト106が図中矢印R2方向(反時計回り)に回転を始める。このとき、カラー用の感光ドラム101は停止したままであり、ブラック用の感光ドラム101Kのみが中間転写ベルト106の回転開始と同時に図中矢印R1方向(時計回り)に回転を始める。
一方、カラーモードのジョブが開始されると、次のような動作が行われる。カラーモードのジョブは、画像形成装置100の操作部においてカラーコピーが選択されたり、画像形成装置100と接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器から画像形成装置100にカラープリントのジョブが送られてきたりした場合に開始される。制御部300は、駆動モータ215によって離接機構220を動作させ、図3の状態から図2の状態に変化させる。
一次転写ローラ軸受部材210は、一次転写バネ209によって下方、すなわち、感光ドラム101に向かう方向に付勢されている。図5に示すように、白黒モード時の状態では、カラー用の一次転写ローラ105を支持する一次転写ローラ軸受部材210は、離接アーム211によって一次転写バネ209の付勢力に抗して持ち上げられている。これにより、白黒モード時の状態では、カラー用の一次転写ローラ105は、中間転写ベルト106の内周面から離間されている。このとき、離接カム214は、一次転写バネ209の付勢力に抗してコロ213を介して離接リンク212を支持している。そして、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態に切り替える際には、制御部300は、駆動モータ215を回転させることで、離接カム214を図中矢印R4方向に回転させる。すると、離接カム214とコロ213との接触を維持するようにして、離接リンク212が図5の状態から図4の状態へと図中矢印Eに沿って左側へと並進移動する。このとき、作用部211cが、一次転写バネ209の付勢力によって、一次転写ローラ軸受部材210を介して押し下げられ、離接リンク212がアーム係合部212aで突起211bを押すようにして離接アーム212を図中反時計回り回動させる。
また、このとき上記離接アーム211と同様に、離接リンク212によって、離接リンク212の移動方向と略直交する軸線の周り回動する補助ローラ軸受部材250が回動される。これにより、補助ローラ205は、中間転写ベルト106の内周面側から外周面側に向けて移動される。
このようにして、カラーモード時には、カラー用の一次転写ローラ105は、中間転写ベルト106を介してそれぞれに対応するカラー用の感光ドラム101と当接し、一次転写部N1を形成する。また、カラーモード時には、補助ローラ205が下方へ移動することにより、アイドラローラ202との間で画像転写面を形成する。これにより、イエロー用の一次転写部N1Yで中間転写ベルト106が傾くことが抑制され、イエロー用の一次転写部N1Yを正しく形成することが可能となる。そして、図2の状態になった後、4個の感光ドラム101と中間転写ベルト106は略同時に図中矢印R1方向(時計回り)に回転を始める。ジョブの終了後は、上述とは逆の動作で図3の状態に戻る。
カラーモードをデフォルトの画像形成モードとして設定した場合は次のようになる。すなわち、画像形成装置100の待機時には、中間転写ユニット200は図2の状態にあり、カラーモードのジョブが選択された場合はそのまま中間転写ベルト106の回転が開始される。一方、白黒モードのジョブが選択された場合は、図2の状態から図3の状態へ変更された後に、中間転写ベルト106の回転が開始され、ジョブの終了後には再び図2の状態へと戻る。
6.テンションローラの支持構成及び調節機構の構成
まず、テンションローラ204の支持構成について説明する。前述のように、テンションローラ204は、図中矢印A方向に移動可能にフレーム240に取り付けられたテンションローラ軸受部材207により回転可能に支持されている。このテンションローラ軸受部材207は、テンションバネ208により、中間転写ベルト106の内周面側から外周面側に向けて付勢されている。これにより、テンションローラ204は、中間転写ベルト106の内周面側から外周面側に向けて付勢されて、中間転写ベルト106の内周面に加圧されている。テンションバネ208は、支持部材231によって支持されている。本実施例では、支持部材231は、回動軸231bを中心として図中矢印B方向に回動(揺動)可能にフレーム240に支持されている。支持部材231の一端部には、テンションバネ208を支持する支持座面231aが設けられている。支持部材231の回動軸231bは、支持座面231aの移動軌跡がテンションバネ208の伸縮方向と略一致するよう配置されている。本実施例では、テンションバネ208は、弾性部材である圧縮コイルバネで構成され、テンションローラ軸受部材207と支持座面231aとの間に圧縮されて配置されている。
支持部材231は、テンションバネ208がテンションローラ204を付勢することによる反力を受ける。この反力に抗するように、第2の付勢部材としての支持バネ232が設けられている。支持バネ232は、図中矢印B方向に沿って図中反時計回りに支持部材231を回動させるように付勢する。つまり、支持バネ232は、支持部材231を、テンションバネ208の付勢力を大きくする方向に移動するように付勢する。そして、支持部材231は、フレーム240に突き当てられて、上記方向の回動が止められる。本実施例では、支持バネ232は、弾性部材である引張コイルバネで構成され、フレーム240と支持部材231とにそれぞれ設けられた係止部に伸長方向の両端部が引っ掛けられて取り付けられている。
次に、調節機構230の構成について説明する。図5に示すように、調節機構230は、直線移動する第1のリンクとしての調節リンク(スライダリンク)233を有する。調節リンク233は、図中矢印Cで示すように、感光ドラム101の配列方向と略平行に往復移動可能にフレーム240に支持されている。また、調節機構230は、調節リンク233に駆動モータ215の駆動力を伝達する第1のカムとしての調節カム(偏心カム)234を有する。調節カム234は、調節リンク233に設けられたカム係合部(係合穴)233a内に配置され、調節リンク233と係合している。支持部材231は、調節リンク233と接続され、回動軸231bを中心として調節リンク233の移動方向と略直交する軸線の周りを回動されるようになっている。
本実施例では、調節機構230は、離接機構220と連動する。つまり、調節カム234と離接カム214とは、同一の回転軸(図示せず)上に設けられ、共通の駆動モータ215によって同期して同方向に回転する。このように、支持部材231は、調節リンク233、調節カム234を介して、離接機構220と接続されている。駆動モータ215によって調節カム234、離接カム214がそれぞれ図中矢印R3、R4方向に回転されることで、調節リンク233と離接リンク212とが連動して移動する。これにより、支持部材231と、カラー用の一次転写ローラ105及び補助ローラ205と、が連動して移動する。なお、本実施例では、調節リンク233と離接リンク212とは、それぞれ図中矢印C、E方向に沿って、同期して逆方向に移動する。
7.調節機構の動作
図6は、調節機構230を示す側面図であり、図6(a)が白黒モード時の状態、図6(b)がカラーモード時の状態を示している。
白黒モード時には、中間転写ベルト106の周長に対し張架経路の長さが短くなる傾向にある。そのため、白黒モード時には、カラーモード時に比べて中間転写ベルト106の張力が低下する。したがって、調節機構230は、カラーモード時の状態から白黒モード時の状態に切り替える際には、支持部材231を回動させて支持座面231aをテンションローラ204に対して前進させ、テンションバネ208の付勢力を増加させる(大きくする)。これにより、中間転写ベルト106に対するテンションローラ204の加圧力を増加させる(大きくする)。また、調節機構230は、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態へ切り替える際、支持部材231を回動させて支持座面231aをテンションローラ204に対して退避させ、テンションバネ208の付勢力を減少させる(小さくする)。これにより、中間転写ベルト106に対するテンションローラ204の加圧力を減少させる(小さくする)。
まず、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態に切り替える際の動作について更に詳しく説明する。この場合、図6(b)に示すように、駆動モータ215によって駆動されて調節カム234が図中矢印R3方向に回転し、調節リンク233を図中矢印C1方向に引っ張って移動させる。すると、調節リンク233が、その一端部に連結された支持部材231を、支持バネ232(図5)の付勢力に抗して図中矢印B1方向に回動させる。その結果、支持部材231の支持座面231aがテンションローラ204に対して後退して、テンションバネ208の付勢力Fを減少させる。
次に、カラーモード時の状態から白黒モード時の状態に切り替える際の動作について更に詳しく説明する。この場合、図6(a)に示すように、駆動モータ215によって駆動されて調節カム234が図中矢印R3方向に回転する。すると、支持バネ232(図5)の付勢力によって支持部材231が図中矢印B2方向に回動されて、調節リンク233を引っ張って図中矢印C2方向に移動させる。その結果、支持部材231の支持座面231aがテンションローラ204に対して前進して、テンションバネ208の付勢力Fを増加させる。
図7は、調節機構230におけるテンションバネ208の付勢力の変化を力学的に表した模式図である。図7(a)は白黒モード時の状態、図7(b)はカラーモード時の状態を示す。なお、図7においては、テンションバネ208、支持バネ232は、圧縮コイルばねとして図示されているが、本実施例ではテンションバネ208は圧縮コイルバネ、支持バネ232は引張コイルバネで構成されている。図7(b)のカラーモード時の状態から図7(a)の白黒モード時の状態に切り替える場合、支持部材231は支持バネ232の付勢力によって移動される。一方、図7(a)の白黒モード時の状態から図7(b)のカラーモード時の状態に切り替える場合は、支持部材231は支持バネ232の付勢力に抗して移動される。つまり、調節機構230においては、カラーモード時の状態から白黒モード時の状態に切り替える場合の方が、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態に切り替える場合よりも、調節カム234を駆動する駆動モータ215の負荷は小さい。
ここで、離接機構220においては、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態に切り替える際は、一次転写バネ209の付勢力によって離接アーム211が押し下げられる。一方、カラーモード時の状態から白黒モード時の状態へ切り替える際には、一次転写バネ209の付勢力に抗して離接アーム211を持ち上げる。そのため、離接機構220においては、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態に切り替える場合の方が、カラーモード時の状態から白黒モード時の状態に切り替える場合よりも、離接カム214を駆動する駆動モータ215の負荷は小さい。
このように、離接機構220において駆動負荷のより大きいカラーモード時の状態から白黒モード時の状態への切り替えの際には、調節機構230における駆動負荷がより小さくなるように構成されている。つまり、一次転写バネ209の付勢力に抗して一次転写ローラ105を中間転写ベルト106から離間させる動作と、支持バネ232の付勢力によってテンションバネ208の付勢力を増加させる動作と、が組み合わされる。一方、調節機構230において駆動負荷がより大きい白黒モード時の状態からカラーモード時の状態への切り替えの際には、離接機構220における駆動負荷がより小さくなるように構成されている。つまり、一次転写バネ209の付勢力によって一次転写ローラ105を中間転写ベルト106を介して感光ドラム101に当接させる動作と、支持バネ232の付勢力に抗してテンションバネ208の付勢力を減少させる動作と、が組み合わされる。これによって、離接機構220と調節機構230とを共通の駆動モータ215で駆動する場合でも、駆動モータ215の負荷を平準化することができる。したがって、駆動ローラ215の小型化、低コスト化を図ることが可能となる。
8.テンションローラの付勢力
次に、テンションローラの付勢力について更に詳しく説明する。一次転写ローラ105が中間転写ベルト106の張架経路の内側に退避する白黒モード時には、カラーモード時に比べて中間転写ベルト106の張架経路の長さが短くなり、中間転写ベルト106の周長が余る傾向にある。そのため、調整機構230は、カラーモード時の状態から白黒モード時の状態に切り替える際には、中間転写ベルト106を内周面側から外周面側に向けて押圧するテンションローラ204を、内周面側から外周面側に張り出させるように移動させる。このとき、主として2つの要因によって中間転写ベルト7の張力が低下する。
一つは、テンションローラ204の移動に伴うテンションバネ208の伸長により、付勢力が低下することである。ただし、これはテンションローラ204の移動量に合わせてテンションバネの支持座面231aを移動させることで抑制できる。
もう一つの要因は、テンションローラ204への中間転写ベルト106の巻き付き角度の変化によるものである。一般に、テンションローラ204に単位付勢力Fを作用させた際に中間転写ベルト106に付与される張力Tは、図8に示すように付勢方向に対する中間転写ベルト106の張り角度をθとすると、次式で表される。
Fcosθ F =T1cosθ1+T2cosθ2
ここで、上記式中のT及びθの添字1、2は、それぞれ中間転写ベルト106の移動方向におけるテンションローラ204の上流側、下流側を表す。また、θFは、付勢方向と中間転写ベルト106の張力による反力方向とのずれ角度である。
通常、テンションバネ208の付勢効率を高めるために、θFが小さくなるように付勢方向を設定し、このとき上式の左辺はほぼFとみなせる。上式より、単位付勢力Fに対する中間転写ベルト106の張力Tは、中間転写ベルト106の張り角度θが90度に近いほど大きく、小さな付勢力で大きな張力が得られることがわかる。
しかし、テンションローラ204を外側に張り出させるように移動させる場合、張架経路の長さの変化ΔLに対する張り角度θの変化は、テンションローラ204への中間転写ベルト106の巻き付きが少ないほど大きく、上式のcosθの変化量も大きくなる。例えば、図9(a)のように、中間転写ベルト106が180度折り返すようテンションローラ204に巻き掛けられている場合を考える。この場合、張架経路の長さの変化ΔLに対するテンションローラ204の移動量DはΔL/2であるが、張り角度θは0度のままであり、cosθ=1を保つ。一方、図9(b)のように、テンションローラ204への中間転写ベルト106の巻き付きが少ない場合、張架経路の長さの変化ΔLに対してテンションローラ204は変位しやすい(D>ΔL/2)。そして、cosθはθが90度近傍での変化率が最も大きいため、張り角度θが大きくなるのに伴って又は90°に近づくにつれて、張力の変化も大きくなる。
さらに、中間転写ベルト106の移動方向においてテンションローラ204の上流側又は下流側に隣接して配置された張架ローラが移動する場合には、上記張力の変化への影響は更に大きくなる。例えば、本実施例では中間転写ベルト106の移動方向においてテンションローラ204の下流側に隣接して配置された補助ローラ205が、画像形成モードに応じて一次転写ローラ105と共に移動する。そして、白黒モード時には、補助ローラ205は一次転写ローラ105と共に中間転写ベルト106から離間する。この場合、図10に示すように、テンションローラ204に対する中間転写ベルト106の張り角度は、画像形成モードによって大きく変化する。そして、白黒モード時の状態(図10(a))での中間転写ベルト106の張力は、カラーモード時の状態(図10(b))での張力に比べて低下する。
したがって、テンションバネ208の支持座面231aの移動量は、画像形成モードの切り替えによる張架経路の長さの変化に伴うテンションローラ204の移動量より大きく設定することが望ましい。これにより、テンションローラ204に対する中間転写ベルト106の張り角度の変化による中間転写ベルト106の張力の変化を補うことができる。
このように、中間転写ベルト106の周長に対し張架経路の長さが短くなる傾向にある白黒モード時には、カラーモード時に比べて中間転写ベルト106の張力が低下する。したがって、調節機構230は、次のように設定することが望ましい。つまり、白黒モードで所望の張力を得られるようにテンションバネ208を設定する。そして、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態へ切り替える際に、支持部材231の支持座面231aをテンションローラ204に対して退避させ、テンションバネ208によるテンションローラ204の付勢力を減少させるようにする。
9.効果
本実施例によれば、駆動モータ215によって一次転写ローラ105を一次転写バネ209の弾性加圧力に抗して移動させる際には、テンションバネ208の支持部材231は支持バネ232の弾性引張力で自動的に移動する。これにより、一次転写ローラ205が中間転写ベルト106から離間し、テンションバネ208の弾性加圧力が増加する。また、一次転写ローラ105が一次転写バネ209の弾性加圧力によって自動的に移動する際には、駆動モータ215によってテンションバネ208の支持部材231を支持バネ232の弾性引張力に抗して移動させる。これにより、一次転写ローラ105が中間転写ベルト106を介して感光ドラム101に当接し、テンションバネ208の弾性加圧力が減少する。したがって、一次転写ローラ105の移動とテンションバネ208の弾性加圧力の増減とを共通の駆動モータ215によって行いながら、駆動ローラ215への負荷を分散し、平準化することで、駆動力を有効に利用することができる。その結果、駆動モータ215の小型化、低コスト化を図ることが可能となる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図11は、本実施例における調節機構230を示す側面図であり、図11(a)が白黒モード時の状態、図11(b)がカラーモード時の状態を示している。
本実施例では、テンションローラ204を中間転写ベルト106の内周面側から外周面側に向けて付勢する付勢部材として、第1のテンションバネ(第3の付勢部材)208aと、第2のテンションバネ(第1の付勢部材)208bと、を有する。第1のテンションバネ208aは、フレーム204に設けられた固定座面240aに支持されている。固定座面240aは、支持部材231の移動にかかわらず第1のテンションバネ208aを固定位置で支持する支持部の一例である。一方、第2のテンションバネ208bは、実施例1におけるテンションバネ208と同様に、回動可能な支持部材231の一端部に設けられた支持座面231aに支持されている。第1、第2のテンションバネ208a、208bは、それぞれ弾性部材である圧縮コイルバネで構成され、テンションローラ軸受部材207とそれぞれに対応する座面との間に圧縮されて配置されている。
図12は、調節機構230における第1、第2のテンションバネ208a、208bの付勢力の変化を力学的に表した模式図である。図12(a)は白黒モード時の状態、図12(b)はカラーモード時の状態を示す。なお、図12においては、第1、第2のテンションバネ208a、208b、支持バネ232は、圧縮コイルバネとして図示されている。ただし、上述のように、本実施例では第1、第2のテンションバネ208a、208bは圧縮コイルバネ、支持バネ232は引張コイルバネで構成されている。
本実施例では、実施例1と同様に、テンションバネの付勢力を減少させる際には、支持部材231を支持バネ232による回転付勢力に抗して回転させる必要がある。支持バネ232は、テンションバネの反力に抗して支持部材231の支持座面231の位置を維持するために、支持部材231が回転しないような付勢力を発揮するように設定される。すなわち、テンションバネの付勢力が大きいほど、支持バネ232の付勢力の設定はより大きくなり、支持部材231を回動させるためにはよい大きな力が必要になる。つまり、駆動モータ215への負荷がより大きくなる。
この点、本実施例では、白黒モード時とカラーモード時とで共通の付勢力を固定座面240aに支持された第1のテンションバネ208aで発揮する(図中Fa)。一方、白黒モード時に必要となる追加分の付勢力を移動可能な支持座面231aに支持された第2のテンションバネ208bで発揮する(図中Fb)。このように、本実施例では、テンションローラ204を付勢する付勢力を、固定座面240aと移動可能な支持座面231aとにそれぞれ支持された第1、第2のテンションバネ208a、208bに配分する。図13は、カラーモード時と白黒モード時とでの、第1、第2のテンションバネ208a、208bがテンションローラ204に与える付勢力を模式的に示す。
これにより、支持部材231の支持座面231aに作用するテンションバネの反力を下げ、支持部材231を回転付勢する支持バネ232の付勢力を弱くすることが可能となる。その結果、支持部材231を回動させる調節リンク233の引張力を低減し、駆動モータ215への負荷を低減することができる。
なお、より詳細には、前述のように画像形成モードの変更に応じてテンションローラ204が移動するため、第1のテンションバネ208aの付勢力Faは、カラーモード時よりも白黒モード時の方が低下する。したがって、第2のテンションバネ208bの付勢力は、白黒モード時における第1のテンションバネ208aの付勢力の低下分を見込んだ設定とすることが望ましい。
以上、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、白黒モード時の状態からカラーモード時の状態に切り替える際の駆動モータ215への負荷を更に低減することが可能となる。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、画像形成部の数は4個であったが、これに限定されるものではなく、より多くてもより少なくてもよい。また、各色用の画像形成部の並び順も上述の実施例のものに限定されるものではない。
また、上述の実施例では、5個の張架ローラによって中間転写ベルトを張架しているが、中間転写ベルトを張架する張架ローラの数はこれに限定されるものではなく、より多くてもより少なくてもよい。
また、上述の実施例では、離接機構は一次転写ローラ軸受部材を移動させる構成とされていたが、これに限定されるものではなく一次転写ローラ軸受部材を支持するホルダやフレームを移動させる構成とされていてもよい。この場合、そのホルダやフレームの自体が、自重により接触部材をベルトの内周面側から外周面側に向けて付勢する付勢手段であってもよい。
また、上述の実施例では、補助ローラと一次転写ローラとを共通の離接機構によって移動させる構成とされていたが、少なくとも一つの張架ローラと接触部材とをそれぞれ移動させる移動機構が個別に設けられていてもよい。
また、上述の実施例では、一次転写ローラは、対応する感光ドラムから中間転写ベルトを離間させる際には中間転写ベルトの内周面から離間された。斯かる構成は、感光ドラムからの中間転写ベルトの離間距離を確保しやすいなどの利点を有する。しかし、本発明は斯かる構成に限定されるものではなく、接触部材はベルトの外周面側から内周面側に移動した際にベルトの内周面から離間せずに接触したままであってもよい。
また、上述の実施例では、中間転写ベルトの移動方向においてテンションローラの上流側又は下流側に隣接して配置された張架ローラとして、下流側に隣接して配置された補助ローラが画像形成モードに応じて移動された。斯かる構成は、感光ドラムからの中間転写ベルトの離間距離を確保しやすいなどの利点を有する。しかし、本発明は斯かる構成に限定されるものではなく、テンションローラに隣接する張架ローラは画像形成モードに応じて移動されなくてもよい。
また、上述の実施例では、中間転写方式の画像形成装置を例に説明したが、直接転写方式の画像形成装置にも本発明を適用することができる。図14は、直接転写方式の画像形成装置の要部の概略断面図である。図14において、図1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。図14の画像形成装置100は、図1の画像形成装置100における中間転写ベルト106に代えて、記録材担持体としての無端状のベルトで構成された記録材担持ベルト160を有する。図14の画像形成装置100では、各画像形成部Sで感光ドラム101に形成されたトナー像は、各転写部Nにおいて、記録材担持ベルト160上に担持されて搬送される記録材Pに転写される。このような直接転写方式の画像形成装置100においても、離接機構と調節機構とを共通の駆動源で駆動しようとすれば、中間転写方式の画像形成装置100と同様の課題が生じ得る。したがって、本発明は直接転写方式の画像形成装置にも適用することができ、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。さらに、本発明は、ベルトが感光体ベルトや静電記録誘電体ベルトであるベルト搬送装置及びこれを備えた画像形成装置などにおいても適用できるものである。