[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP6571774B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6571774B2
JP6571774B2 JP2017526200A JP2017526200A JP6571774B2 JP 6571774 B2 JP6571774 B2 JP 6571774B2 JP 2017526200 A JP2017526200 A JP 2017526200A JP 2017526200 A JP2017526200 A JP 2017526200A JP 6571774 B2 JP6571774 B2 JP 6571774B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
sensitive
repeating unit
radiation
atom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017526200A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2017002430A1 (ja
Inventor
研由 後藤
研由 後藤
直也 畠山
直也 畠山
啓太 加藤
啓太 加藤
惠瑜 王
惠瑜 王
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JPWO2017002430A1 publication Critical patent/JPWO2017002430A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6571774B2 publication Critical patent/JP6571774B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • G03F7/038Macromolecular compounds which are rendered insoluble or differentially wettable
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • G03F7/039Macromolecular compounds which are photodegradable, e.g. positive electron resists
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • G03F7/075Silicon-containing compounds
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/26Processing photosensitive materials; Apparatus therefor
    • G03F7/30Imagewise removal using liquid means
    • G03F7/32Liquid compositions therefor, e.g. developers

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、並びにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程に好適な感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法に関する。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うためにレジストの画像形成方法として化学増幅という画像形成方法が用いられている。ポジ型の化学増幅の画像形成方法を例に挙げ説明すると、露光で露光部の酸発生剤が分解し酸を生成させ、露光後のベーク(Post Exposure Bake:PEB)でその発生酸を反応触媒として利用してアルカリ不溶の基をアルカリ可溶基に変化させ、アルカリ現像により露光部を除去する画像形成方法である。
半導体素子の微細化のために、露光光源の短波長化及び投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。露光光源としてArFエキシマレーザーを使用する場合、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されている。また、解像力を更に高める技術として、投影レンズと試料との間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)を満たす方法(即ち、液浸法)が提唱されている。また、更に短い波長(13.5nm)の紫外光で露光を行なうEUV(Extreme ultra violet)リソグラフィも提唱されている。
近年では、有機溶剤を含んだ現像液(以下、「有機溶剤現像液」ともいう)を用いて現像を行う有機溶剤現像プロセスを含むネガ型画像形成方法も開発されつつある(例えば、特許文献1及び2を参照)。
特開2012−13812号公報 特開2011−100089号公報
集積回路はその集積度をますます高めており、それに伴い、レジストパターンのエッチング耐性の更なる改善や、レジストパターンの幅及びピッチの狭小化が求められている。回路線幅が縮小されると、露光領域と未露光領域との露光量の差(光学的なコントラスト)が低下し、低露光領域、中間露光領域、高露光領域での現像液に対する溶解速度の差が小さくなり、コントラストの劣化がもたらされる。このようなコントラストの劣化は、微細なラインパターンの線幅バラツキ(Line Width Roughness:LWR)などを引き起こす。
本発明は、上記実情を鑑みて開発されたものであり、エッチング耐性に優れ、露光部と未露光部との溶解コントラストが高く、かつ、LWR性能に優れるパターンを形成することができる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、感活性光線性又は感放射線性膜を提供することを目的とする。また、本発明は、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法、及び、そのパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一態様において、以下の通りである。
[1]
Si原子を有する繰り返し単位(a)を含む樹脂(A)、架橋剤(B)、及び活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。但し、Si原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、上記脱離基のみにSi原子を含む場合、該繰り返し単位は上記繰り返し単位(a)には含まれない。
[2]
上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の樹脂(A)の含有率が、該組成物中の全固形分を基準として50質量%以上である、[1]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[3]
上記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シロキサン構造を有する、[1]又は[2]に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[4]
上記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シルセスキオキサン構造を有する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[5]
上記樹脂(A)中のSi原子の含有率が10質量%以上である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。但し、上記樹脂(A)が、酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有する繰り返し単位であって、上記脱離基にSi原子を有する繰り返し単位を含む場合、上記脱離基に含まれるSi原子は、Si原子の上記含有率には含まれない。
[6]
上記樹脂(A)が、上記架橋剤(B)と反応し得る架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)を含む、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。但し、上記架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)は、酸の作用により分解し脱離する脱離基で上記架橋性反応基が保護された構造を有してもよい。
[7]
上記架橋剤(B)として、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、フェノール系架橋剤、エポキシ系架橋剤、ビニルエーテル系架橋剤及びグリコールウリル系架橋剤から選択される少なくとも1種を含む、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[8]
上記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位(c)を含有する、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[9]
上記樹脂(A)が、ラクトン構造、スルトン構造及び環状炭酸エステル構造の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b)を含有する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[10]
有機溶剤を含む現像液を用いた現像用である[1]〜[9]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
[11]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を含む感活性光線性又は感放射線性膜。
[12]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を含む感活性光線性又は感放射線性膜を形成すること、
上記感活性光線性又は感放射線性膜を露光すること、及び
露光後の上記感活性光線性又は感放射線性膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、パターンを形成すること、
を含むパターン形成方法。
[13]
[12]に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
本発明により、エッチング耐性に優れ、露光部と未露光部との溶解コントラストが高く、かつ、LWR性能に優れるパターンを形成することができる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、感活性光線性又は感放射線性膜を提供することが可能となった。また、本発明により、上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法、及び、そのパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法を提供することが可能となった。
以下、本発明の好適態様について詳細に説明する。
本明細書における基及び原子団の表記において、置換又は無置換を明示していない場合は、置換基を有さないものと置換基を有するものの双方が含まれる。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線、イオンビーム等の粒子線等を意味する。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も含まれる。
本明細書では、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」を意味する。また、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
〔感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)〕
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」又は「本発明のレジスト組成物」とも言う)は、Si原子を有する繰り返し単位(a)(以下、「繰り返し単位(a)」とも言う。)を含む樹脂(A)と、架橋剤(B)と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)とを含有する。
本発明は、Si原子を有する繰り返し単位(a)を含む樹脂(A)(以下、「樹脂(A)」とも言う。)と、架橋剤(B)とを併用したことを第一の特徴とする。
ここで、樹脂(A)に含まれるSi原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、上記脱離基のみにSi原子を含む場合、この繰り返し単位は繰り返し単位(a)には含まれない。
すなわち、Si原子を有する繰り返し単位が、脱離基のみにSi原子を含む繰り返し単位である場合、露光並びにその後の加熱(Post Exposure Bake:PEB)によりSi原子を含む脱離基が揮発し、得られるパターン中のSi原子の含有率が低くなる。これに対し、Si原子を有する繰り返し単位(a)においては、そのようなことは生じないため、得られるパターン中のSi原子の含有率が低減することはなく、エッチング耐性に優れるパターンを得ることが可能となる。
一方、Si原子を含む有機分子は疎水性が高いため、Si原子を有する繰り返し単位(a)を含む樹脂(A)を含有するレジスト組成物を用いてネガ型パターンを形成する場合、未露光部では繰り返し単位(a)の疎水性により、有機溶剤現像液に対する溶解速度は向上する。一方、本発明の組成物は架橋剤を含有するため、露光部では発生酸を触媒とした架橋反応が進行し、有機溶剤現像液の浸透性が低下することで溶解速度は低下する。このように露光部と未露光部との溶解コントラストが高まる結果、LWRに優れるパターンが得られると推測される。
なお、本発明の組成物は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
[1]樹脂(A)
樹脂(A)は、Si原子を有する繰り返し単位(a)を含む。
樹脂(A)に含有されるSi原子の含有率は、樹脂(A)の全質量に対し、10質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、18質量%以上であることが特に好ましい。
また、本発明の一形態において、樹脂(A)に含有されるSi原子の含有率は、樹脂(A)の全質量に対し、例えば30質量%以下であることが好ましい。
ここで、樹脂(A)が、酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有する繰り返し単位であって、上記脱離基にSi原子を有する繰り返し単位を含む場合、上記脱離基に含まれるSi原子は、Si原子の上記含有率に含まれない。
なお、本明細書において、Si原子および酸分解性基の両方を有する繰り返し単位は、Si原子を有する繰り返し単位(a)にも、酸分解性基を有する繰り返し単位にも該当する。例えば、Si原子および酸分解性基の両方を有する繰り返し単位のみからなる樹脂は、Si原子を有する繰り返し単位(a)および酸分解性基を有する繰り返し単位を含む樹脂に該当する。なお、「酸分解性基」については、後掲の酸分解性基を有する繰り返し単位(c)において説明する。
まず、Si原子を有する繰り返し単位(a)について説明し、その後、樹脂(A)が含んでいてもよい繰り返し単位について説明する。
[1−1]Si原子を有する繰り返し単位(a)
Si原子を有する繰り返し単位(a)は、Si原子を有すれば特に制限されない。例えば、シラン構造(−SiR−:Rは有機基)を有する繰り返し単位、シロキサン構造(−SiR−O−:Rは有機基)を有する繰り返し単位、Si原子を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位、Si原子を有するビニル系繰り返し単位などが挙げられる。
Si原子を有する繰り返し単位(a)は、酸分解性基を有さないのが好ましい。
本発明の一形態において、Si原子を有する繰り返し単位(a)は、シロキサン構造を有することが好ましく、シルセスキオキサン構造を有するのがより好ましい。なお、シロキサン構造又はシルセスキオキサン構造を主鎖に有しても、側鎖に有してもよいが、側鎖に有するのが好ましい。
シルセスキオキサン構造としては、例えば、カゴ型シルセスキオキサン構造、はしご型シルセスキオキサン構造(ラダー型シルセスキオキサン構造)、ランダム型シルセスキオキサン構造などが挙げられる。なかでも、カゴ型シルセスキオキサン構造が好ましい。
ここで、カゴ型シルセスキオキサン構造とは、カゴ状骨格を有するシルセスキオキサン構造である。カゴ型シルセスキオキサン構造は、完全カゴ型シルセスキオキサン構造であっても、不完全カゴ型シルセスキオキサン構造であってもよいが、完全カゴ型シルセスキオキサン構造であることが好ましい。
また、はしご型シルセスキオキサン構造とは、はしご状骨格を有するシルセスキオキサン構造である。
また、ランダム型シルセスキオキサン構造とは、骨格がランダムのシルセスキオキサン構造である。
上記カゴ型シルセスキオキサン構造は、下記式(S)で表されるシロキサン構造であることが好ましい。
上記式(S)中、Rは、1価の置換基を表す。複数あるRは、同一であっても、異なってもよい。
上記置換基は特に制限されないが、具体例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、ブロック化メルカプト基(例えば、アシル基でブロック(保護)されたメルカプト基)、アシル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、シリル基、ビニル基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基、(メタ)アクリル基含有基およびエポキシ基含有基などが挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1〜30)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2〜30)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2〜30)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの炭素数6〜18の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
Si原子を有する繰り返し単位(a)は、下記式(I)で表されるのが好ましい。
上記式(I)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Lは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
上記式(I)中、Xは、水素原子又は有機基を表す。
有機基としては、例えば、フッ素原子、水酸基などの置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられ、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
上記式(I)中、Aは、Si含有基を表す。なかでも、下記式(a)または(b)で表される基が好ましい。
上記式(a)中、Rは、1価の置換基を表す。複数あるRは、同一であっても、異なってもよい。Rの具体例および好適な態様は上述した式(S)と同じである。*は、上記式(I)中のLとの結合位置を表す。なお、上記式(I)中のAが上記式(a)で表される基である場合、上記式(I)は下記式(I−a)で表される。
上記式(b)中、Rは、それぞれ独立に、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の具体例および好適な態様は、上述した式(S)中のRと同じである。*は、上記式(I)中のLとの結合位置を表す。
樹脂(A)が含むSi原子を有する繰り返し単位(a)は、1種であってもよいし2種以上を併用していてもよい。
樹脂(A)に含まれるSi原子を有する繰り返し単位(a)の含有率(Si原子を有する繰り返し単位(a)が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、1〜70モル%であることが好ましく、3〜50モル%であることがより好ましい。
[1−2]酸分解性基を有する繰り返し単位
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(c)」とも言う。)を含むことが好ましい。酸分解性基を有する繰り返し単位(c)はSi原子を有さないのが好ましい。
ここで、酸分解性基は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基をいう。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、有機溶剤を含む現像液中で難溶化又は不溶化する基であれば特に限定されず、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(従来レジストの現像液として用いられている、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、又はアルコール性水酸基等が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、フッ素化アルコール基(ヘキサフルオロイソプロパノール基など))は除く。アルコール性水酸基としては、pKa(酸解離定数)が12以上且つ20以下の水酸基であることが好ましい。
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基(脱離基)としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
36とR37とが結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環若しくは多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数5の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級アルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位(c)として、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。一般式(AI)で表される繰り返し単位は、酸の作用により極性基としてカルボキシル基を発生するものであり、複数のカルボキシル基において、水素結合による高い相互作用を示すため、形成されるネガ型パターンを、上述した本発明の組成物中の溶剤に対して、より確実に、不溶化又は難溶化することができる。
一般式(AI)に於いて、
Xaは、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx〜Rxの2つが結合して環構造を形成してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基、フェニレン基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。Tは、単結合であることがより好ましい。
a1のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
a1のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられ、メチル基であることが好ましい。
a1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
Rx、Rx及びRxのアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが好ましく挙げられる。アルキル基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
Rx、Rx及びRxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx、Rx及びRxの2つが結合して形成する環構造としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環などの単環のシクロアルカン環、ノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、アダマンタン環などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5又は6の単環のシクロアルカン環が特に好ましい。
Rx、Rx及びRxは、各々独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることがより好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、シクロアルキル基(炭素数3〜8)、ハロゲン原子、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。なかでも、酸分解前後での有機溶剤を含む現像液に対する溶解コントラストをより向上させる観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有さない置換基であることがより好ましく(例えば、水酸基で置換されたアルキル基などではないことがより好ましく)、水素原子及び炭素原子のみからなる基であることが更に好ましく、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基であることが特に好ましい。
一般式(AI)において、Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基であり、Rx〜Rxの2つが結合して環構造を形成しないことが好ましい。これにより、酸の作用により分解し脱離する基としての−C(Rx)(Rx)(Rx)で表される基の体積の増大を抑制でき、露光工程、及び、露光工程後に実施しても良い露光後加熱工程において、露光部の体積収縮を抑制できる傾向となる。
以下に一般式(AI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。
具体例中、Rxは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ独立にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)を表す。Xaは、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Zは、置換基を表し、複数存在する場合、複数のZは互いに同じであっても異なっていてもよい。pは0又は正の整数を表す。Zの具体例及び好ましい例は、Rx〜Rxなどの各基が有し得る置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
また、樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位(c)として、特開2014−202969号公報の段落<0057>〜<0071>に記載の繰り返し単位を有することも好ましい。
また、樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位(c)として、特開2014−202969号公報の段落<0072>〜<0073>に記載のアルコール性水酸基を生じる繰り返し単位を有していてもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位(c)は、1種類であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位(c)を含有する場合、その含有率(繰り返し単位(c)が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、20〜90モル%であることが好ましく、40〜80モル%であることがより好ましい。中でも、樹脂(A)が上記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有するとともに、上記一般式(AI)で表される繰り返し単位の樹脂(A)の全繰り返し単位に対する含有量が40モル%以上であることが好ましい。
[1−3]架橋剤と反応し得る架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)
樹脂(A)は、本発明の組成物が含有する架橋剤と反応し得る架橋性反応基を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(d)」とも言う。)を含むことが好ましい。
架橋性反応基としては、例えば、アルコール性水酸基、チオール基、アミノ基、エポキシ基、オキセタン基、ビニルオキシ基、カルボキシル基、エステル基等が挙げられる。架橋効率と扱いやすさなどの観点から、繰り返し単位(d)が有する架橋性反応基は、アルコール性水酸基、カルボキシル基が好ましい。
このような架橋性反応基を樹脂(A)が含有することにより、露光部では架橋性反応基が酸の作用によって架橋剤と反応し、感活性光線性又は感放射線性膜が有機溶剤を含む現像液に対して実質的に不溶となる。
なお、本発明において、架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)は、酸の作用により分解し脱離する脱離基で架橋性反応基が保護された構造を有していてもよい。
架橋性反応基が脱離基で保護された構造としては、例えば、架橋性反応基であるカルボキシル基が、前述の酸分解性基を有する繰り返し単位(c)で具体例を挙げた脱離基で保護された酸分解性基が挙げられる。
また、架橋性反応基であるアルコール性水酸基が脱離基で保護された構造としては、炭酸エステル基、アセタール基、第3級エーテル基等の構造が挙げられ、好ましくは、炭酸エステル基、アセタール基である。アルコール性水酸基が1,2−ジオール、1,3−ジオール構造を有している場合は、環状エステル、環状オルトエステル等の構造が好ましい例として挙げられる。
樹脂(A)が含み得る、架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)は、1種であってもよいし2種以上を併用していてもよい。
樹脂(A)が、架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)を含有する場合、その含有率(繰り返し単位(d)が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、1〜80モル%であることが好ましく、5〜80モル%であることがより好ましい。
[1−4]ラクトン構造、スルトン構造及び環状炭酸エステル構造の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b)
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及び、環状炭酸エステル構造の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(b)」とも言う。)を含むのが好ましい。
ラクトン構造又はスルトン構造としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができ、好ましくは5〜7員環ラクトン構造又は5〜7員環スルトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、又は、5〜7員環スルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−21)のいずれかで表されるラクトン構造、又は、下記一般式(SL1−1)〜(SL1−3)のいずれかで表されるスルトン構造、を有する繰り返し単位を有することがさらに好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)、(LC1−17)であり、特に好ましいラクトン構造は(LC1−4)である。このような特定のラクトン構造を用いることでLWR、現像欠陥が良好になる。
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90%以上のものが好ましく、より好ましくは95%以上である。
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(III)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(III)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
又はウレア結合
を表す。ここで、Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。
は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
nは、−R−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、−R−Z−は存在せず、単結合となる。
は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
のアルキレン基、シクロアルキレン基、Rにおけるアルキル基は、各々置換されていてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子やメルカプト基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
における好ましい鎖状アルキレン基としては炭素数が1〜10の鎖状のアルキレンが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。好ましいシクロアルキレン基としては、炭素数3〜20のシクロアルキレン基であり、例えば、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、ノルボルニレン基、アダマンチレン基等が挙げられる。本発明の効果を発現するためには鎖状アルキレン基がより好ましく、メチレン基が特に好ましい。
で表されるラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基は、ラクトン構造又はスルトン構造を有していれば限定されず、具体例として一般式(LC1−1)〜(LC1−21)及び、(SL1−1)〜(SL1−3)の内のいずれかで表されるラクトン構造又はスルトン構造が挙げられ、これらのうち(LC1−4)で表される構造が特に好ましい。また、(LC1−1)〜(LC1−21)におけるnは2以下の整数がより好ましい。
また、Rは無置換のラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基、或いはメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基が好ましく、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(シアノラクトン)を有する1価の有機基がより好ましい。
以下にラクトン構造又はスルトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
本発明の効果を高めるために、2種以上のラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を併用することも可能である。
樹脂(A)がラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位を含有する場合、ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5〜60モル%が好ましく、より好ましくは5〜55モル%、更に好ましくは10〜50モル%である。
また、樹脂(A)は、カーボネート構造(環状炭酸エステル構造)を有する繰り返し単位を有していてもよい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(A−1)中、R は、水素原子又はアルキル基を表す。
は、nが2以上の場合は各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の−O−C(=O)−O−で表される基と共に単環又は多環構造を形成する原子団を表す。
nは0以上の整数を表す。
一般式(A−1)について詳細に説明する。
で表されるアルキル基は、フッ素原子等の置換基を有していてもよい。R は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
で表される置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基である。好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数3〜5の分岐状アルキル基等を挙げることができる。アルキル基はヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。
nは置換基数を表す0以上の整数である。nは、例えば、好ましくは0〜4であり、より好ましくは0である。
Aにより表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、又はその組み合わせ等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明の一形態において、Aは、単結合、アルキレン基であることが好ましい。
Zにより表される、−O−C(=O)−O−を含む単環としては、例えば、下記一般式(a)で表される環状炭酸エステルにおいて、n=2〜4である5〜7員環が挙げられ、5員環又は6員環(n=2又は3)であることが好ましく、5員環(n=2)であることがより好ましい。
Zにより表される、−O−C(=O)−O−を含む多環としては、例えば、下記一般式(a)で表される環状炭酸エステルが1又は2以上の他の環構造と共に縮合環を形成している構造や、スピロ環を形成している構造が挙げられる。縮合環又はスピロ環を形成し得る「他の環構造」としては、脂環式炭化水素基であってもよいし、芳香族炭化水素基であってもよいし、複素環であってもよい。
上記一般式(A−1)で表される繰り返し単位に対応する単量体は、例えば、Tetrahedron Letters,Vol.27,No.32 p.3741(1986)、Organic Letters,Vol.4,No.15 p.2561(2002)等に記載された、従来公知の方法により、合成することができる。
樹脂(A)には、一般式(A−1)で表される繰り返し単位のうちの1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
樹脂(A)において、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位(好ましくは、一般式(A−1)で表される繰り返し単位)の含有率は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、3〜80モル%であることが好ましく、3〜60モル%であることが更に好ましく、3〜40モル%であることが特に好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、低欠陥性、低LWR(Line Width Roughness)、低PEB(Post Exposure Bake)温度依存性、プロファイル等を向上させることができる。
以下に、一般式(A−1)で表される繰り返し単位の具体例(繰り返し単位(A−1a)〜(A−1w))を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
なお、以下の具体例中のR は、一般式(A−1)におけるR と同義である。
[その他の繰り返し単位]
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有していてもよい。このような繰り返し単位としては、例えば、特開2014−098921号公報の段落<0081>〜<0084>に記載された繰り返し単位が挙げられる。
また、樹脂(A)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有してもよい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられる。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、例えば、特開2014−098921号公報の段落<0085>〜<0086>に記載された繰り返し単位が挙げられる。
また、樹脂(A)は、更に極性基(例えば、アルカリ可溶性基、水酸基、シアノ基等)を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、例えば、特開2014−106299号公報の段落<0114>〜<0123>に記載された繰り返し単位が挙げられる。
また、樹脂(A)は、例えば、特開2009−258586号公報の段落<0045>〜<0065>に記載された繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明の方法に用いられる樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されない。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂(A)に要求される性能、特に、(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明の組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂(A)は実質的には芳香族基を有さないことが好ましい。より具体的には、樹脂(A)の全繰り返し単位中、芳香族基を有する繰り返し単位が全体の5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、理想的には0モル%、すなわち芳香族基を有する繰り返し単位を有さないことが更に好ましい。また、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
樹脂(A)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができ、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50mol%以下であることが好ましい。
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、更には後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶剤が挙げられる。より好ましくは本発明の組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
上述のとおり、樹脂(A)中のSi原子の含有率は、好ましくは10質量%以上である。
ただし、上述したSi原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、上記脱離基がSi原子を有する場合、樹脂(A)中のSi原子の含有率に脱離基中のSi原子の量は含めない。すなわち、脱離基中にSi原子があっても、そのSi原子の量は、樹脂(A)中のSi原子の含有率に含めない。
例えば、後掲の比較例4で使用の樹脂A−19の右側の繰り返し単位は、TMS(トリメチルシリル基)に由来するSi原子を有するが、上記繰り返し単位は下記脱離基(*:結合位置)で極性基(−COOH)が保護された構造を有するため、脱離基中のTMSに由来するSi原子の量は、樹脂中のSi原子の含有率に含めない。なお、上記繰り返し単位は、脱離基のみにSi原子を含むため、本発明における繰り返し単位(a)にも該当しない。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜11,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.6、更に好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.1〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)から求められる標準ポリスチレン換算値である。
・カラムの種類:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー(株)製、7.8mmID×30.0cm
・展開溶媒:THF(Tetrahydrofuran:テトラヒドロフラン)
・カラム温度:40℃
・流量:1ml/min
・サンプル注入量:10μl
・装置名:HLC−8120(東ソー(株)製)
本発明の組成物の全固形分中の樹脂(A)の含有率は、50質量%以上であることが好ましい。樹脂(A)の含有率は、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。樹脂(A)の含有率に関し、上限は特に制限されないが、本発明の一形態においては、95質量%以下であることが好ましい。
本発明において、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
[2]架橋剤
本発明の組成物は、酸架橋性基を有する化合物(以下、「架橋剤(B)」又は「化合物(B)」ともいう)を含有する。
本発明の一形態において、架橋剤(B)は、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、フェノール系架橋剤、エポキシ系架橋剤、ビニルエーテル系架橋剤及びグリコールウリル系架橋剤から選択される化合物であることが好ましく、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、本発明の他の形態において、架橋剤(B)は、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を分子内に2個以上含む化合物であることが好ましい。また、LWR向上の観点からは、化合物(B)はメチロール基を含んでいることが好ましい。
化合物(B)として、好ましくは、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化フェノール化合物、アルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物及びアルコキシメチル化ウレア系化合物が挙げられる。特に好ましい化合物(B)としては、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、分子量が1200以下のフェノール誘導体やアルコキシメチルグリコールウリル誘導体が挙げられる。
アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基が好ましい。
上記化合物(B)の例のうち、ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物とホルムアルデヒドとを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。また、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールとを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。
別の好ましい化合物(B)の例として、更にアルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物及びアルコキシメチル化ウレア系化合物のようなN−ヒドロキシメチル基又はN−アルコキシメチル基を有する化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレア等が挙げられ、EP0,133,216A、西独特許第3,634,671号明細書、西独特許第3,711,264号明細書、EP0,212,482Aに開示されている。
また、別の好ましい化合物(B)の例として、エチレングリコールビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどのビニルエーテル系架橋剤が挙げられる。
また、別の好ましい化合物(B)の例として、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤が挙げられる。
化合物(B)の具体例の中で特に好ましいものを以下に挙げる。
式中、L〜Lは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
本発明の一形態において、化合物(B)は、下記一般式(I)で表されるフェノール系化合物であることが好ましい。
一般式(I)中、
及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数5以下の炭化水素基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアシル基を表す。
及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数2以上の有機基を表す。R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい。
本発明の一形態において、R及びRは、好ましくは炭素数5以下の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数4以下の炭化水素基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
及びRにより表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、シクロアルキル基として、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキル基が好ましく、アリール基としては、例えば、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、アシル基としては、例えば、アルキル部位の炭素数が1〜6のアシル基が好ましい。
本発明の一形態において、R及びRは、アルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
及びRにより表される炭素数2以上の有機基としては、例えば、炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、また、R及びRが互いに結合して形成して以下に詳述する環を形成していることが好ましい。
及びRが互いに結合して形成される環としては、例えば、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。
これらの環は置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アリール基、アルコキシメチル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシ基等が挙げられる。
以下に、R及びRが互いに結合して形成する環の具体例を挙げる。式中の*は、フェノール核との連結部位を表す。
本発明の一形態において、一般式(I)中のR及びRが結合してベンゼン環を含む多環縮合環を形成していることが好ましく、フルオレン構造を形成していることがより好ましい。
化合物(B)は、例えば、一般式(I)中のR及びRが結合して、下記一般式(I−a)で表されるフルオレン構造を形成していることが好ましい。
式中、
及びRは、各々独立に、置換基を表す。置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルコキシメチル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシ基等が挙げられる。
n1及びn2は、各々独立に、0〜4の整数を表し、好ましくは0又は1を表す。
*は、フェノール核との連結部位を表す。
また、本発明の一形態において、化合物(B)は、下記一般式(I−b)で表されることが好ましい。
式中、
1b及びR6bは、各々独立に、炭素数5以下のアルキル基を表す。
2b及びR5bは、各々独立に、炭素数6以下のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。
Zは、式中の炭素原子と共に環を形成するのに必要な原子群を表す。
Zが式中の炭素原子と共に形成する環については、上述した一般式(I)の説明において、R及びRが互いに結合して形成する環について説明したものと同様である。
本発明の一形態において、化合物(B)は、分子内に4つ以上の芳香環と、アルコキシメチル基及び/又はヒドロキシメチル基を合計で2つ有する化合物であることが好ましい。
次に、一般式(I)で表される化合物(B)の製造方法について説明する。
一般式(I)で表される化合物(B)の母核となるビスフェノール化合物は、一般に、対応する2分子のフェノール化合物と、対応する1分子のケトンとを、酸触媒存在下、脱水縮合反応することにより合成される。
得られたビスフェノール体をパラホルムアルデヒドとジメチルアミンとで処理して、アミノメチル化することにより、下記一般式(I−C)で表される中間体を得る。続いて、アセチル化、脱アセチル化、アルキル化を経て、目的の酸架橋剤が得られる。
式中、R、R、R及びRは、一般式(I)中の各基と同義である。
本合成法は、従来の塩基性条件下にてヒドロキシメチル体を経由するような合成方法(たとえば、特開2008−273844号公報)に比べてオリゴマーを生成しづらいため、パーティクル形成抑止効果がある。
以下に、一般式(I)で表される化合物(B)の具体例を示す。
本発明において、化合物(B)は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。良好なパターン形状の観点からは、2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
酸架橋性基を含む化合物(B)は、酸架橋性基を有する繰り返し単位を含む樹脂(以下、化合物(B”)とも称する)の態様であってもよい。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中における架橋剤(B)の含有率は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分中、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%である。
[3]活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)(以下、「酸発生剤」又は「化合物(C)」とも言う)を含有する。酸発生剤としては、特に限定されないが、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物であることが好ましい。酸発生剤は低分子化合物であってもよく、樹脂(例えば、上述した樹脂(A)など)に含まれていてもよい。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができ、例えば、特開2010−61043号公報の段落<0039>〜<0103>に記載されている化合物、特開2013−4820号公報の段落<0284>〜<0389>に記載されている化合物などが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
本発明の組成物が含有する酸発生剤としては、例えば、下記一般式(3)で表される活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(特定酸発生剤)を好適に挙げることができる。
(アニオン)
一般式(3)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
Xfは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。このアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。また、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。Xfは、フッ素原子又はCFであることがより好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
4及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
4及びRとしてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。R4及びRは、好ましくは水素原子である。
少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基の具体例および好適な態様は一般式(3)中のXfの具体例および好適な態様と同じである。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
2価の連結基としては、例えば、−COO−(−C(=O)−O−)、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜10)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜6)又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基などが挙げられる。これらの中でも、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CO−、−O−、−SO−、−COO−アルキレン基−、−OCO−アルキレン基−、−CONH−アルキレン基−又は−NHCO−アルキレン基−が好ましく、−COO−、−OCO−、−CONH−、−SO−、−COO−アルキレン基−又は−OCO−アルキレン基−がより好ましい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。なかでも環状の有機基であることが好ましい。
環状の有機基としては、例えば、脂環基、アリール基、及び複素環基が挙げられる。
脂環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。単環式の脂環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環基としては、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性の抑制及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)の向上の観点から好ましい。
アリール基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基及びアントリル基が挙げられる。中でも、193nmにおける光吸光度が比較的低いナフチル基が好ましい。
複素環基は、単環式であってもよく、多環式であってもよく、多環式の方がより酸の拡散を抑制可能である。また、複素環基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。芳香族性を有している複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及びピリジン環が挙げられる。芳香族性を有していない複素環としては、例えば、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、スルトン環及びデカヒドロイソキノリン環が挙げられる。複素環基における複素環としては、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、又はデカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。また、ラクトン環及びスルトン環の例としては、前述の樹脂(A)において例示したラクトン構造及びスルトン構造が挙げられる。
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、多環、スピロ環のいずれであってもよく、炭素数3〜20が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及びスルホン酸エステル基が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
一態様において、一般式(3)中のoが1〜3の整数であり、pが1〜10の整数であり、qが0であることが好ましい。Xfは、フッ素原子であることが好ましく、R4及びRは共に水素原子であることが好ましく、Wは多環式の炭化水素基であることが好ましい。oは1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。pが1〜3の整数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましく、1が特に好ましい。Wは多環のシクロアルキル基であることがより好ましく、アダマンチル基又はジアマンチル基であることが更に好ましい。
(カチオン)
一般式(3)中、Xは、カチオンを表す。
は、カチオンであれば特に制限されないが、好適な態様としては、例えば、後述する一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)中のカチオン(Z-以外の部分)が挙げられる。
(好適な態様)
特定酸発生剤の好適な態様としては、例えば、下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、一般式(3)中のアニオンを表し、具体的には、下記のアニオンを表す。
201、R202及びR203により表される有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)及び(ZI−4)における対応する基を挙げることができる。
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つと、単結合又は連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)及び(ZI−4)を挙げることができる。
先ず、化合物(ZI−1)について説明する。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、ベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含する。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
一般式(ZI−3)中、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、各々結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
上記環構造としては、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。環構造としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
5cとR6c、及び、R5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基であることが好ましく、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等を挙げることができる。
Zcは、一般式(3)中のアニオンを表し、具体的には、上述のとおりである。
1c〜R5cとしてのアルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのアルコキシ基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのアルキルカルボニルオキシ基及びアルキルチオ基におけるアルキル基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのアルキル基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのシクロアルキルカルボニルオキシ基におけるシクロアルキル基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのシクロアルキル基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのアリールオキシ基及びアリールチオ基におけるアリール基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのアリール基の具体例と同様である。
本発明における化合物(ZI−2)又は(ZI−3)におけるカチオンとしては、米国特許出願公開第2012/0076996号明細書の段落<0036>以降に記載のカチオンを挙げることができる。
次に、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、下記一般式(ZI−4)で表される。
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。2個のR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2個のR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
は、一般式(3)中のアニオンを表し、具体的には、上述のとおりである。
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
本発明における一般式(ZI−4)で表される化合物のカチオンとしては、特開2010−256842号公報の段落<0121>、<0123>、<0124>、及び、特開2011−76056号公報の段落<0127>、<0129>、<0130>等に記載のカチオンを挙げることができる。
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
は、一般式(3)中のアニオンを表し、具体的には、上述のとおりである。
酸発生剤(特定酸発生剤を含む。以下同様。)は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は580以上であることが好ましく、600以上であることがより好ましく、620以上であることがさらに好ましく、640以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。
酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
酸発生剤は、公知の方法で合成することができ、例えば、特開2007−161707号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
酸発生剤は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤の組成物中の含有率(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。
酸発生剤として、上記一般式(ZI−3)又は(ZI−4)により表される化合物を含む場合、組成物中に含まれる酸発生剤の含有率(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、5〜35質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましく、9〜30質量%が更に好ましく、9〜25質量%が特に好ましい。
[4]疎水性樹脂
本発明の組成物は、疎水性樹脂(以下、「疎水性樹脂(D)」又は単に「樹脂(D)」ともいう)を含有してもよい。なお、疎水性樹脂(D)は樹脂(A)とは異なることが好ましい。
疎水性樹脂(D)は、界面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂を添加することの効果として、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角の制御、液浸液追随性の向上、アウトガスの抑制などを挙げることができる。
疎水性樹脂(D)は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“珪素原子”、及び、“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することがさらに好ましい。
疎水性樹脂(D)が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂(D)に於ける上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂(D)がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基及びフッ素原子を有するアリール基は、それぞれ、1つの水素原子がフッ素原子で置換されたシクロアルキル基及びフッ素原子を有するアリール基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、及びフッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されない。
一般式(F2)〜(F4)中、
57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ、及びR65〜R68の少なくとも1つは、各々独立に、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
疎水性樹脂(D)は、珪素原子を含有してもよい。珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、又は環状シロキサン構造を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の例としては、米国特許出願公開第2012/0251948号明細書〔0519〕に例示されたものを挙げることが出来る。
また、上記したように、疎水性樹脂(D)は、側鎖部分にCH部分構造を含むことも好ましい。
ここで、疎水性樹脂(D)中の側鎖部分が有するCH部分構造(以下、単に「側鎖CH部分構造」ともいう)には、エチル基、プロピル基等が有するCH部分構造を包含する。
一方、疎水性樹脂(D)の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα−メチル基)は、主鎖の影響により疎水性樹脂(D)の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH部分構造に包含されない。
より具体的には、疎水性樹脂(D)が、例えば、下記一般式(M)で表される繰り返し単位などの、炭素−炭素二重結合を有する重合性部位を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含む場合であって、R11〜R14がCH「そのもの」である場合、そのCHは、本発明における側鎖部分が有するCH部分構造には包含されない。
一方、C−C主鎖から何らかの原子を介して存在するCH部分構造は、本発明におけるCH部分構造に該当する。例えば、R11がエチル基(CHCH)である場合、本発明におけるCH部分構造を「1つ」有する。
上記一般式(M)中、
11〜R14は、各々独立に、側鎖部分を表す。
側鎖部分のR11〜R14としては、水素原子、1価の有機基などが挙げられる。
11〜R14についての1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基などが挙げられ、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。
疎水性樹脂(D)は、側鎖部分にCH部分構造を有する繰り返し単位を有する樹脂であることが好ましく、このような繰り返し単位として、下記一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、下記一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を有していることがより好ましい。
以下、一般式(II)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
上記一般式(II)中、Xb1は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Rは1つ以上のCH部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表す。ここで、酸に対して安定な有機基は、より具体的には、樹脂(A)において説明した“酸分解性基”を有さない有機基であることが好ましい。
b1のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられ、メチル基であることが好ましい。
b1は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
としては、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基が挙げられる。上記のシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、及び、アラルキル基は、更に、置換基としてアルキル基を有していてもよい。
は、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基又はアルキル基置換シクロアルキル基が好ましい。
としての1つ以上のCH部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH部分構造を2個以上10個以下有することが好ましく、2個以上8個以下有することがより好ましい。
一般式(II)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。なお、本発明はこれに限定されない。
一般式(II)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
以下、一般式(III)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
上記一般式(III)中、Xb2は水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、Rは1つ以上のCH部分構造を有する、酸に対して安定な有機基を表し、nは1から5の整数を表す。
b2のアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基等が挙げられ、メチル基である事が好ましい。
b2は、水素原子であることが好ましい。
は、酸に対して安定な有機基であるため、より具体的には、上記樹脂(A)において説明した“酸分解性基”を有さない有機基であることが好ましい。
としては、1つ以上のCH部分構造を有する、アルキル基が挙げられる。
としての1つ以上のCH部分構造を有する酸に安定な有機基は、CH部分構造を1個以上10個以下有することが好ましく、1個以上8個以下有することがより好ましく、1個以上4個以下有することが更に好ましい。
nは1から5の整数を表し、1〜3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことが更に好ましい。
一般式(III)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に挙げる。なお、本発明はこれに限定されない。
一般式(III)で表される繰り返し単位は、酸に安定な(非酸分解性の)繰り返し単位であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解して、極性基を生じる基を有さない繰り返し単位であることが好ましい。
疎水性樹脂(D)が、側鎖部分にCH部分構造を含む場合であり、更に、特にフッ素原子及び珪素原子を有さない場合、一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)の含有量は、疎水性樹脂(D)の全繰り返し単位に対して、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。含有量は、疎水性樹脂(D)の全繰り返し単位に対して、通常、100モル%以下である。
疎水性樹脂(D)が、一般式(II)で表される繰り返し単位、及び、一般式(III)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一種の繰り返し単位(x)を、疎水性樹脂(D)の全繰り返し単位に対し、90モル%以上で含有することにより、疎水性樹脂(D)の表面自由エネルギーが増加する。その結果として、疎水性樹脂(D)がレジスト膜の表面に偏在しにくくなり、水に対するレジスト膜の静的/動的接触角を確実に向上させて、液浸液追随性を向上させることができる。
また、疎水性樹脂(D)は、(i)フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合においても、(ii)側鎖部分にCH部分構造を含む場合においても、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
(x)酸基、
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基、
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましい酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基が挙げられる。
酸基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に、直接、酸基が結合している繰り返し単位、或いは、連結基を介して樹脂の主鎖に酸基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、更には酸基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。酸基(x)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。
酸基(x)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位に対し、1〜50モル%が好ましく、より好ましくは3〜35モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
酸基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されない。式中、Rxは水素原子、CH、CF、又は、CHOHを表す。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基(y)としては、ラクトン構造を有する基が特に好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(D)中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%であることが好ましく、3〜98モル%であることがより好ましく、5〜95モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂(D)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。疎水性樹脂(D)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(D)中の全繰り返し単位に対し、1〜80モル%が好ましく、より好ましくは10〜80モル%、更に好ましくは20〜60モル%である。
疎水性樹脂(D)は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
フッ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(D)に含まれる全繰り返し単位中10〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(D)に含まれる全繰り返し単位中、10〜100モル%が好ましく、20〜100モル%がより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂(D)が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂(D)が、フッ素原子及び珪素原子を実質的に含有しない形態も好ましい。また、疎水性樹脂(D)は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。
疎水性樹脂(D)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000である。
また、疎水性樹脂(D)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
疎水性樹脂(D)の組成物中の含有率は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましい。
疎水性樹脂(D)は、残留単量体やオリゴマー成分が0.01〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3質量%である。また、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3の範囲である。
疎水性樹脂(D)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。
[5]酸拡散制御剤
本発明の組成物は、酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用する。酸拡散制御剤としては、塩基性化合物、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物、又は、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を使用することができる。
[5−1]
塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表し、ここで、R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
これら一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジン等を挙げることができ、更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
好ましい化合物の具体例としては、米国特許出願公開第2012/0219913号明細書 <0379>に例示された化合物を挙げることができる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物は、塩基性化合物を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、塩基性化合物の含有率は、組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
酸発生剤と塩基性化合物の組成物中の使用割合は、酸発生剤/塩基性化合物(モル比)=2.5〜300が好ましく、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。
[5−2]
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(以下、「化合物(F)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基として、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、ヘミアミナールエーテル基であることが特に好ましい。
化合物(F)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が特に好ましい。
化合物(F)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表すことができる。
一般式(d−1)において、
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
Rbとして好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。より好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基である。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体等が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許出願公開第2012/0135348号明細書 <0466>に開示された構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
化合物(F)は、下記一般式(6)で表される構造を有するものであることが特に好ましい。
一般式(6)において、Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基は、Rbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(F)の具体的としては、米国特許出願公開第2012/0135348号明細書 <0475>に開示された化合物を挙げることができるが、これに限定されない。
一般式(6)で表される化合物は、特開2007−298569号公報、特開2009−199021号公報などに基づき合成することができる。
本発明において、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有する低分子化合物(F)は、一種単独でも又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の組成物における化合物(F)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.001〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%である。
[5−3]
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(以下、「化合物(PA)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、且つ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基或いは電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジン、イミダゾール、ピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(PA)とプロトンからプロトン付加体が生成する時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
本発明においては、活性光線又は放射線の照射により化合物(PA)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaが、pKa<−1を満たすことが好ましく、より好ましくは−13<pKa<−1であり、更に好ましくは−13<pKa<−3である。
本発明に於いて、酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示している。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994−2007 ACD/Labs)。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する上記プロトン付加体として、例えば、下記一般式(PA−1)で表される化合物を発生する。一般式(PA−1)で表される化合物は、プロトンアクセプター性官能基とともに酸性基を有することにより、化合物(PA)に比べてプロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物である。
一般式(PA−1)中、
Qは、−SOH、−COH、又は−WNHWを表す。ここで、Rは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜30)を表し、W及びWは、各々独立に、−SO−又は−CO−を表す。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
Xは、−SO−又は−CO−を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子、又は−N(R)R−を表す。ここで、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、Rは単結合又は2価の有機基を表す。Rは、Rと結合して環を形成していてもよく、Rと結合して環を形成していてもよい。
Rは、プロトンアクセプター性官能基を有する1価の有機基を表す。
化合物(PA)は、イオン性化合物であることが好ましい。プロトンアクセプター性官能基はアニオン部、カチオン部のいずれに含まれていてもよく、アニオン部位に含まれていることが好ましい。
また、本発明においては、一般式(PA−1)で表される化合物を発生する化合物以外の化合物(PA)も適宜選択可能である。例えば、イオン性化合物であって、カチオン部にプロトンアクセプター部位を有する化合物を用いてもよい。より具体的には、下記一般式(7)で表される化合物などが挙げられる。
式中、Aは硫黄原子又はヨウ素原子を表す。
mは1又は2を表し、nは1又は2を表す。但し、Aが硫黄原子の時、m+n=3、Aがヨウ素原子の時、m+n=2である。
Rは、アリール基を表す。
は、プロトンアクセプター性官能基で置換されたアリール基を表す。Xは、対アニオンを表す。
の具体例としては、前述した酸発生剤のアニオンと同様のものを挙げることができる。
R及びRのアリール基の具体例としては、フェニル基が好ましく挙げられる。
が有するプロトンアクセプター性官能基の具体例としては、前述の式(PA−1)で説明したプロトンアクセプター性官能基と同様である。
以下に、カチオン部にプロトンアクセプター部位を有するイオン性化合物の具体例としては、米国特許出願公開第2011/0269072号明細書<0291>に例示された化合物を挙げることが出来る。
なお、このような化合物は、例えば、特開2007―230913号公報及び特開2009―122623号公報などに記載の方法を参考にして合成できる。
化合物(PA)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化合物(PA)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
[5−4]
本発明の組成物では、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を酸拡散制御剤として使用することができる。
酸発生剤と、酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物であることが好ましい。
式中、R51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z2cは置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基(ただし、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Yは直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、Mは各々独立に、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである。
として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、一般式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び一般式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンを挙げることができる。
一般式(d1−1)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0198〕に例示された構造を挙げることが出来る。
一般式(d1‐2)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0201〕に例示された構造を挙げることが出来る。
一般式(d1‐3)で表される化合物のアニオン部の好ましい例としては、特開2012−242799号公報の段落〔0209〕及び〔0210〕に例示された構造を挙げることが出来る。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩は、(C)カチオン部位とアニオン部位とを同一分子内に有し、かつ、カチオン部位とアニオン部位とが共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(CA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(CA)としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
一般式(C−1)〜(C−3)中、
、R、Rは、炭素数1以上の置換基を表す。
は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−Xは、−COO、−SO 、−SO 、−N−Rから選択されるアニオン部位を表す。Rは、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基:−C(=O)−、スルホニル基:−S(=O)−、スルフィニル基:−S(=O)−を有する1価の置換基を表す。
、R、R、R、Lは互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C−3)において、R〜Rのうち2つを合わせて、N原子と2重結合を形成してもよい。
〜Rにおける炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基などが挙げられる。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。
2価の連結基としてのLは、直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。Lは、より好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
一般式(C−1)で表される化合物の好ましい例としては、特開2013−6827号公報の段落〔0037〕〜〔0039〕及び特開2013−8020号公報の段落〔0027〕〜〔0029〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C−2)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012−189977号公報の段落〔0012〕〜〔0013〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
一般式(C−3)で表される化合物の好ましい例としては、特開2012−252124号公報の段落〔0029〕〜〔0031〕に例示された化合物を挙げることが出来る。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩の含有量は、組成物の固形分基準で、0.5〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜8.0質量%であることがより好ましく、1.0〜8.0質量%であることがさらに好ましい。
[6]溶剤
本発明の組成物は、通常、溶剤を含有する。
組成物を調製する際に使用することができる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤を挙げることができる。
これらの溶剤の具体例は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書<0441>〜<0455>に記載のものを挙げることができる。
本発明においては、有機溶剤として構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、水酸基を含有しない溶剤としては前述の例示化合物が適宜選択可能であり、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(Propylene glycol monomethyl ether:PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、酢酸アルキルなどが好ましく、これらの内でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(Propylene glycol monomethyl ether acetate:PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤であることが好ましい。
[7]界面活性剤
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有してもしなくてもよく、含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することがより好ましい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落<0276>に記載の界面活性剤が挙げることができる。
また、本発明では、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落<0280>に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また、いくつかの組み合わせで使用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の使用量は、組成物の全固形分に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.0005〜1質量%である。
一方、界面活性剤の添加量を、組成物の全量(溶剤を除く)に対して、10ppm以下とすることで、疎水性樹脂の表面偏在性があがり、それにより、レジスト膜表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性を向上させることができる。
[8]その他の添加剤
本発明の組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもしなくてもよい。このようなカルボン酸オニウム塩は、米国特許出願公開第2008/0187860号明細書<0605>〜<0606>に記載のものを挙げることができる。
これらのカルボン酸オニウム塩は、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドとカルボン酸とを適当な溶剤中、酸化銀と反応させることによって合成できる。
本発明の組成物がカルボン酸オニウム塩を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分に対し、一般的には0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
本発明の組成物には、必要に応じて更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物)等を含有させることができる。
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号公報、特開平2−28531号公報、米国特許第4,916,210号明細書、欧州特許第219294号明細書等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の組成物の固形分濃度は、通常1.0〜10質量%であり、好ましくは、2.0〜5.7質量%、更に好ましくは2.0〜5.3質量%である。固形分濃度を上記範囲とすることで、レジスト溶液を基板上に均一に塗布することができ、更にはラインウィズスラフネスに優れたレジストパターンを形成することが可能になる。その理由は明らかではないが、恐らく、固形分濃度を10質量%以下、好ましくは5.7質量%以下とすることで、レジスト溶液中での素材、特には光酸発生剤の凝集が抑制され、その結果として、均一なレジスト膜が形成できたものと考えられる。
固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の質量の質量百分率である。
本発明の組成物の調製方法は特に制限されないが、上述した各成分を所定の有機溶剤、好ましくは上記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過するのが好ましい。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば特開2002−62667号公報のように、循環的な濾過を行ったり、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ったりしてもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理などを行ってもよい。
本発明の組成物は、活性光線又は放射線に照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、更にその他のフォトファブリケーション工程、平版印刷板、酸硬化性組成物に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、このような感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法に関するものであり、以下に、本発明のパターン形成方法に含まれ得る工程について説明する。
〔工程(1)の手順〕
工程(1)の手順は特に制限されないが、本発明の組成物を基板上に塗布して、必要に応じて、硬化処理を施す方法(塗布法)や、仮支持体上で感活性光線性又は感放射線性膜を形成して、基板上に感活性光線性又は感放射線性膜を転写する方法などが挙げられる。なかでも、生産性に優れる点で、塗布法が好ましい。
上記基板としては特に制限されず、シリコン、SiN、SiO2やTiNの無機基板、SOG(Spin on Glass)等の塗布系無機基板等、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。更に、必要に応じて、レジスト膜と基板との間に反射防止膜を形成させてもよい。反射防止膜としては、公知の有機系、無機系の反射防止膜を適宜用いることができる。また、本発明のパターン形成方法は、例えば特開2008−083384号公報に開示されたような2層レジストプロセスと組合せてもよく、国際公開第2011/122336号パンフレットに開示されたような露光及び現像を複数回有するプロセスと組合せてもよい。本発明と国際公開第2011/122336号パンフレットに開示されたプロセスを組み合せる場合、本発明のパターン形成方法を国際公開第2011/122336号パンフレットの請求項1における第2のネガ型パターン形成方法として適用するのが好ましい。
〔感活性光線性又は感放射線性膜〕
感活性光線性又は感放射線性膜の厚みは特に制限されないが、より高精度な微細パターンを形成することができる理由から、1〜500nmであることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましい。組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
[工程(2):露光工程]
工程(2)は、工程(1)で形成された膜(感活性光線性又は感放射線性膜)に活性光線又は放射線を照射(露光)する工程である。
露光に使用される光は特に制限されないが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、電子線等を挙げることができる。好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、さらに好ましくは1〜200nmの波長の遠紫外光が挙げられる。
より具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、電子線等が挙げられ、なかでも、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線であることが好ましく、ArFエキシマレーザーであることがより好ましい。
露光工程においては液浸露光方法を適用することができる。液浸露光方法は、位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることが可能である。液浸露光は、例えば、特開2013−242397号公報の段落<0594>〜<0601>に記載された方法に従って、行うことができる。
なお、本発明の組成物を用いて形成された感活性光線性又は感放射線性膜の後退接触角が小さすぎると、液浸媒体を介して露光する場合に好適に用いることができず、かつ水残り(ウォーターマーク)欠陥低減の効果を十分に発揮することができない。好ましい後退接触角を実現する為には、上記の疎水性樹脂(D)を組成物に含ませることが好ましい。あるいは、感活性光線性又は感放射線性膜の上層に、上記の疎水性樹脂(D)により形成される液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。疎水性樹脂(D)を含む感活性光線性又は感放射線性膜上にトップコートを設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、感活性光線性又は感放射線性膜上層部への塗布適正、液浸液難溶性である。トップコートは、組成物膜と混合せず、さらに組成物膜上層に均一に塗布できることが好ましい。
トップコートについては、特に限定されず、従来公知のトップコートを、従来公知の方法によって形成でき、例えば、特開2014−059543号公報の段落<0072>〜<0082>の記載に基づいてトップコートを形成できる。
特開2013−61648号公報に記載された塩基性化合物を含有するトップコートをレジスト膜上に形成することが好ましい。
また、液浸露光方法以外によって露光を行う場合であっても、感活性光線性又は感放射線性膜上にトップコートを形成してもよい。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があるので、動的な状態に於ける感活性光線性又は感放射線性膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能が感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物には求められる。
工程(2)の後、後述する工程(3)の前に、工程(2)で活性光線又は放射線が照射された膜に加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)を施してもよい。本工程により露光部の反応が促進される。加熱処理(PEB)は複数回行ってもよい。
加熱処理の温度は、70〜130℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましい。
加熱処理の時間は、30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒であることがさらに好ましい。
加熱処理は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
[工程(3):現像工程]
本発明のパターン形成工程は、現像工程を有する。現像液としては、特に限定されず、例えば、アルカリ現像液及び有機溶剤を含む現像液が挙げられる。
アルカリ現像液は、アルカリを含むアルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の種類は特に制限されないが、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩、無機アルカリ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルコールアミン、環状アミン等を含むアルカリ水溶液などが挙げられる。なかでも、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に代表される4級アンモニウム塩の水溶液であることが好ましい。アルカリ現像液には、アルコール類、界面活性剤等を適当量添加してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常、0.1〜20質量%である。また、アルカリ現像液のpHは、通常、10.0〜15.0である。
工程(3)は、工程(2)で活性光線又は放射線が照射された膜を、有機溶剤を含む現像液(以下、「有機溶剤現像液」とも言う)を用いて現像する工程である。トップコートの剥離と現像を同時に行えるという点において、有機溶剤を含む現像液を用いて現像することが好ましい。
有機溶剤現像液としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができ、具体的には例えば、特開2014−048500号公報の段落<0461>〜<0463>に記載されたものの他、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、イソ酪酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸ブチル及び酢酸イソアミルが挙げられる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機溶剤現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
特に、有機溶剤現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
有機溶剤現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。有機溶剤現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウエハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウエハ面内の寸法均一性が良化する。
有機溶剤現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、米国特許第5360692号明細書、米国特許第5529881号明細書、米国特許第5296330号明細書、米国特許第5436098号明細書、米国特許第5576143号明細書、米国特許第5294511号明細書、米国特許第5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
有機溶剤現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。本発明で用いられる有機溶剤現像液が含有し得る塩基性化合物の具体例及び好ましい例としては、酸拡散制御剤として前述した、組成物が含有し得る塩基性化合物におけるものと同様である。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。なお、吐出される現像液の吐出圧の好適範囲、及び、現像液の吐出圧を調整する方法等については、特に限定されないが、例えば、特開2013−242397号公報の段落<0631>〜<0636>に記載された範囲及び方法を用いることができる。
本発明のパターン形成方法においては、有機溶剤現像液を用いて現像する工程(有機溶剤現像工程)、及び、アルカリ水溶液を用いて現像を行う工程(アルカリ現像工程)を組み合わせて使用してもよい。これにより、より微細なパターンを形成することができる。
アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
本発明において、有機溶剤現像工程によって露光強度の弱い部分が除去されるが、更にアルカリ現像工程を行うことによって露光強度の強い部分も除去される。このように現像を複数回行う多重現像プロセスにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、通常より微細なパターンを形成できる(特開2008−292975号公報<0077>と同様のメカニズム)。
本発明のパターン形成方法においては、アルカリ現像工程及び有機溶剤現像工程の順序は特に限定されないが、アルカリ現像を、有機溶剤現像工程の前に行うことがより好ましい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後には、リンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、より好ましくは、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、更に好ましくは、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、特に好ましくは、1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、最も好ましくは、炭素数5以上の1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。
炭化水素系溶剤を含有するリンス液としては、炭素数6〜30の炭化水素化合物が好ましく、炭素数8〜30の炭化水素化合物がより好ましく、炭素数10〜30の炭化水素化合物が特に好ましい。中でも、デカン及び/又はウンデカンを含むリンス液を用いることにより、パターン倒れが抑制される。
有機溶剤としてエステル系溶剤を用いる場合には、エステル系溶剤(1種または2種以上)に加えて、グリコールエーテル系溶剤を用いてもよい。この場合の具体例としては、エステル系溶剤(好ましくは、酢酸ブチル)を主成分として、グリコールエーテル系溶剤(好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME))を副成分として用いることが挙げられる。これにより、残渣欠陥がより抑制される。
ここで、リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状の1価アルコールが挙げられ、具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノールなどを用いることができ、特に好ましい炭素数5以上の1価アルコールとしては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールなどを用いることができる。
各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃に於いて0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下が更に好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下が最も好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウエハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウエハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウエハを上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、トップコート形成用組成物など)は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、100ppt以下が更に好ましく、10ppt以下が特に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が最も好ましい。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、これらの材質とイオン交換メディアを組み合わせた複合材料であってもよい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
現像液、リンス液等の有機系処理液は、静電気の帯電、引き続き生じる静電気放電に伴う薬液配管や各種パーツ(フィルター、O−リング、チューブなど)の故障を防止する為、導電性の化合物を添加しても良い。導電性の化合物としては特に制限されないが、例えば、メタノールが挙げられる。添加量は特に制限されないが、好ましい現像特性、リンス特性を維持する観点で、10質量%以下が好ましく、更に好ましくは、5質量%以下である。薬液配管の部材に関しては、SUS(ステンレス鋼)、或いは帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又はフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂など)で被膜された各種配管を用いることができる。フィルターやO−リングに関しても同様に、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又はフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂など)を用いることができる。
本発明の方法により形成されるパターンに対して、パターンの表面荒れを改善する方法を適用しても良い。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、国際公開第2014/002808号パンフレットに開示された水素を含有するガスのプラズマによってレジストパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、特開2004−235468号公報、米国特許出願公開第2010/0020297号明細書、特開2008−83384号公報、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N−1”EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されているような公知の方法を適用してもよい。
本発明のパターン形成方法は、DSA(Directed Self−Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACS Nano Vol.4 No.8 Page4815−4823参照)にも用いることができる。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば特開平3−270227号公報及び特開2013−164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
また、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法、及び、この製造方法により製造された電子デバイスにも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA(Office Automation)・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
<合成例1:樹脂A−1の合成>
窒素気流下シクロヘキサノン214gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した。これに後掲の樹脂A−1の各繰り返し単位に相当するモノマーを左から順に67.3g、4.81g、35.33gと、重合開始剤V−601(和光純薬製、2.28g)とをシクロヘキサノン396gに溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた反応液を更に80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後メタノール:水(9:1)の混合液に20分かけて滴下し、析出した粉体をろ取、乾燥すると、酸分解性樹脂である下記樹脂A−1(76g)が得られた。NMR(Nuclear Magnetic Resonance;核磁気共鳴)法から求めた繰り返し単位の組成比(モル比)は30/10/60であった。得られた樹脂A−1の重量平均分子量は、上掲の条件下における標準ポリスチレン換算で12000、分散度(Mw/Mn)は1.7であった。
上記合成例1と同様の操作を行い、後掲の樹脂A−2〜A−19を合成した。
<レジスト組成物の調製>
下記表1に示す成分を表1に示す含有率(全固形分中の含有率)になるように表1に示す溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度4.9質量%の溶液を調製した。次いで、得られた溶液を0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過することで、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)を調製した。
<評価>
[レジスト膜の形成]
調製したレジスト組成物を、有機反射防止膜(Brewer社製ARC29A)を塗布した8インチSiウエハ(直径200mmのSiウエハ)上に、東京エレクトロン社製スピンコーターAct8を用いて塗布し、90℃、60秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚140nmの感活性光線性又は感放射線性膜(レジスト膜)を得た。
[有機溶剤現像液を用いたレジストパターンの形成]
(ArF液浸露光)
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚95nmの反射防止膜を形成した。その上に得られたレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間に亘ってベーク(PB:Prebake)を行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.900、インナーシグマ0.812、XY偏向)を用い、ピッチ90nm、スペース幅35nmのラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を用いた。
その後、105℃で60秒間加熱(PEB:Post Exposure Bake)した。次いで、有機溶剤現像液(酢酸ブチル)で30秒間パドルして現像し、リンス液〔メチルイソブチルカルビノール(Methyl isobutyl carbinol:MIBC)〕で30秒間パドルしてリンスした。続いて、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させることにより、ピッチ90nm、スペース幅35nmのラインアンドスペースのパターンを形成した。
[露光部の溶解速度の評価]
露光部の溶解速度の評価は、8インチSiウェハ上にレジスト組成物を100nmの膜厚になるよう塗布し、90℃で60秒間ベークした。それを過剰露光(30mJ)及び85℃で60秒間ベークすることで十分に脱保護反応をさせ、現像液に30秒間浸漬した後、残膜の膜厚を測定した。(100nm−残膜)/30秒で得られる値(nm/秒)が露光部溶解速度となる。
[LWR評価]
得られたピッチ90nm、スペース幅35nmのラインアンドスペースのパターンについて走査型顕微鏡(日立社製S9380)で観察し、ラインパターンの長手方向のエッジ2μmの範囲について、線幅を50ポイント測定し、その測定ばらつきについて標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
[エッチング耐性の評価]
得られたピッチ90nm、スペース幅35nmのラインアンドスペースのパターンをプラズマエッチング装置(日立ECRプラズマエッチング装置U−621)を用いてエッチングし、そのエッチング速度を求めた(プラズマ条件:Ar 500ml/分、N 500 ml/分、O 10 ml/分)。なお、エッチング速度は、プラズマの安定化を鑑みて、以下のとおりエッチングを開始してから10秒間でエッチングされた膜厚と、エッチングを開始してから5秒間でエッチングされた膜厚との差から求めた。結果を表1に示す。
なお、実用上、エッチング速度は、7nm/sec(秒)以下であることが好ましく、5nm/sec以下であることがより好ましく、2nm/sec以下であることがさらに好ましい。
(エッチング速度)={(10秒間でエッチングされた膜厚)−(5秒間でエッチングされた膜厚)}/5
[アルカリ現像液を用いたレジストパターンの形成]
また、実施例1〜25に対し、現像液を2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に変更した以外は同様の条件で上記評価を行った。この場合においても、良好なレジストパターンが形成されることを確認した。
表1中、樹脂(A)の構造は下記のとおりである。ここで、繰り返し単位の組成比はモル比である。また、Meはメチル基、Etはエチル基、iBuはイソブチル基を表す。また、繰り返し単位の組成比、樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)は、上述した樹脂A−1と同様の方法により求めた。
表1中、酸発生剤(C)の構造は下記のとおりである。
表1中、架橋剤(B)の構造は下記のとおりである。
表1中、酸拡散制御剤(E)の構造は下記のとおりである。
表1中、疎水性樹脂(D)の構造は下記のとおりである。
各疎水性樹脂について、各繰り返し単位の組成比(モル比;左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を下記表2に示す。これらは上述した樹脂A−1と同様の方法により求めた。
表1中、溶剤については以下のとおりである。
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
A2:シクロヘキサノン
A3:γ―ブチロラクトン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
B2:乳酸エチル
表1中、界面活性剤については以下のとおりである。
W−1:メガファックF176(DIC(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(DIC(株)製)(フッ素系及びシリコン系)
W−3:PF6320(OMNOVA Solutions Inc.製)(フッ素系)

Claims (19)

  1. Si原子を有する繰り返し単位(a)と酸分解性基を有する繰り返し単位(c)とを含む樹脂(A)、架橋剤(B)、及び活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
    前記樹脂(A)の含有率が、該組成物中の全固形分を基準として50質量%以上であり、
    前記活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)として下記一般式(3)で表される化合物を少なくとも含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物;但し、Si原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、前記脱離基のみにSi原子を含む場合、該繰り返し単位は前記繰り返し単位(a)には含まれない。
    式中、
    Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
    及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R及びRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。
    Lは、2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lは同一でも異なっていてもよい。
    Wは、環状構造を含む有機基を表す。
    oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
    は、カチオンを表す。
  2. 前記樹脂(A)が、ラクトン構造、スルトン構造及び環状炭酸エステル構造の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b)を含有する、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  3. Si原子を有する繰り返し単位(a)とラクトン構造、スルトン構造及び環状炭酸エステル構造の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b)とを含む樹脂(A)、架橋剤(B)、及び活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
    前記樹脂(A)の含有率が、該組成物中の全固形分を基準として50質量%以上であり、
    前記活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)として下記一般式(3)で表される化合物を少なくとも含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物;但し、Si原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、前記脱離基のみにSi原子を含む場合、該繰り返し単位は前記繰り返し単位(a)には含まれない。
    式中、
    Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
    及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R及びRが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。
    Lは、2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lは同一でも異なっていてもよい。
    Wは、環状構造を含む有機基を表す。
    oは、1〜3の整数を表す。pは、0〜10の整数を表す。qは、0〜10の整数を表す。
    は、カチオンを表す。
  4. 前記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シロキサン構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  5. 前記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シルセスキオキサン構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  6. Si原子を有する繰り返し単位(a)を含む樹脂(A)、架橋剤(B)、及び活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
    前記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シルセスキオキサン構造を有し、
    前記樹脂(A)の含有率が、該組成物中の全固形分を基準として50質量%以上である感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物;但し、Si原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、前記脱離基のみにSi原子を含む場合、該繰り返し単位は前記繰り返し単位(a)には含まれない。
  7. 前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位(c)を含有する、請求項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  8. 前記樹脂(A)が、ラクトン構造、スルトン構造及び環状炭酸エステル構造の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b)を含有する、請求項6又は7に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  9. Si原子を有する繰り返し単位(a)を含む樹脂(A)、架橋剤(B)、及び活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
    前記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シロキサン構造を有し、
    前記樹脂(A)が、酸分解性基を有する繰り返し単位(c)を含有し、
    前記樹脂(A)の含有率が、該組成物中の全固形分を基準として50質量%以上である感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物;但し、Si原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、前記脱離基のみにSi原子を含む場合、該繰り返し単位は前記繰り返し単位(a)には含まれない。
  10. Si原子を有する繰り返し単位(a)を含む樹脂(A)、架橋剤(B)、及び活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(C)を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であって、
    前記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シロキサン構造を有し、
    前記樹脂(A)が、ラクトン構造、スルトン構造及び環状炭酸エステル構造から選択される少なくとも1種を含有する繰り返し単位(b)を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物;但し、Si原子を有する繰り返し単位が、酸の作用により分解し脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有し、かつ、前記脱離基のみにSi原子を含む場合、該繰り返し単位は前記繰り返し単位(a)には含まれない。
  11. 前記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の樹脂(A)の含有率が、該組成物中の全固形分を基準として50質量%以上である、請求項10に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  12. 前記Si原子を有する繰り返し単位(a)が、シルセスキオキサン構造を有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  13. 前記樹脂(A)中のSi原子の含有率が10質量%以上である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物;但し、前記樹脂(A)が、酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有する繰り返し単位であって、前記脱離基にSi原子を有する繰り返し単位を含む場合、前記脱離基に含まれるSi原子は、Si原子の前記含有率には含まれない。
  14. 前記樹脂(A)が、前記架橋剤(B)と反応し得る架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物;但し、前記架橋性反応基を有する繰り返し単位(d)は、酸の作用により分解し脱離する脱離基で前記架橋性反応基が保護された構造を有してもよい。
  15. 前記架橋剤(B)として、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、フェノール系架橋剤、エポキシ系架橋剤、ビニルエーテル系架橋剤及びグリコールウリル系架橋剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  16. 有機溶剤を含む現像液を用いた現像用である請求項1〜15のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を含む感活性光線性又は感放射線性膜。
  18. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を含む感活性光線性又は感放射線性膜を形成すること、
    前記感活性光線性又は感放射線性膜を露光すること、及び
    露光後の前記感活性光線性又は感放射線性膜を、有機溶剤を含む現像液を用いて現像し、パターンを形成すること、を含むパターン形成方法。
  19. 請求項18に記載のパターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。
JP2017526200A 2015-07-01 2016-04-18 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法 Active JP6571774B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015132979 2015-07-01
JP2015132979 2015-07-01
PCT/JP2016/062227 WO2017002430A1 (ja) 2015-07-01 2016-04-18 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017002430A1 JPWO2017002430A1 (ja) 2018-04-05
JP6571774B2 true JP6571774B2 (ja) 2019-09-04

Family

ID=57608500

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017526200A Active JP6571774B2 (ja) 2015-07-01 2016-04-18 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6571774B2 (ja)
TW (1) TW201702743A (ja)
WO (1) WO2017002430A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020095068A (ja) * 2017-03-31 2020-06-18 富士フイルム株式会社 パターン形成方法、電子デバイスの製造方法
TW202212379A (zh) * 2020-07-22 2022-04-01 日商富士軟片股份有限公司 組成物、轉印薄膜、積層體之製造方法、電路配線之製造方法及電子器件之製造方法
CN113087913A (zh) * 2021-03-15 2021-07-09 北京化工大学常州先进材料研究院 一种双键改性笼型倍半硅氧烷及其光阻组合物

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3944734B2 (ja) * 2003-01-10 2007-07-18 信越化学工業株式会社 オルガノシロキサン系高分子化合物及び光硬化性樹脂組成物並びにパターン形成方法及び基板保護用皮膜
JP4466184B2 (ja) * 2004-04-27 2010-05-26 旭硝子株式会社 感光性樹脂組成物及びその塗膜硬化物
JP2009215423A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Chisso Corp かご型シルセスキオキサン構造を含む重合体とそれを含むネガ型レジスト材料
JP5520590B2 (ja) * 2009-10-06 2014-06-11 富士フイルム株式会社 パターン形成方法、化学増幅型レジスト組成物及びレジスト膜
JP5618746B2 (ja) * 2010-10-06 2014-11-05 富士フイルム株式会社 感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、反射防止膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子
JP6492444B2 (ja) * 2013-09-04 2019-04-03 Jsr株式会社 感放射線性樹脂組成物、硬化膜、その形成方法、及び電子デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
TW201702743A (zh) 2017-01-16
WO2017002430A1 (ja) 2017-01-05
JPWO2017002430A1 (ja) 2018-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6457640B2 (ja) パターン形成方法、積層体、及び、有機溶剤現像用レジスト組成物
KR101719664B1 (ko) 패턴 형성 방법 및 그 패턴 형성 방법에 사용되는 현상액
JP6655628B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
WO2020158417A1 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法
US10018913B2 (en) Active-light-sensitive or radiation-sensitive resin composition, pattern forming method, and method for manufacturing electronic device
JP6757335B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
KR20160058922A (ko) 감활성 광선성 또는 감방사선성 수지 조성물, 및 패턴 형성 방법
WO2017135003A1 (ja) パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及び、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物
JP6368786B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法
TWI667535B (zh) 感光化射線性或感放射線性樹脂組成物、圖案形成方法、及電子裝置的製造方法
US11156917B2 (en) Actinic ray-sensitive or radiation-sensitive resin composition, resist film, pattern forming method, and method for manufacturing electronic device
WO2017110352A1 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
JP7212029B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法
JP6571774B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法
JP6979514B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
KR101747772B1 (ko) 감활성광선성 또는 감방사선성 수지 조성물, 패턴 형성 방법, 전자 디바이스의 제조 방법, 전자 디바이스
JP6846151B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
WO2018042892A1 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
JP6676657B2 (ja) パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、半導体デバイス製造プロセス用樹脂の製造用モノマー、樹脂、樹脂の製造方法、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、感活性光線性又は感放射線性膜
KR101842887B1 (ko) 감활성광선성 또는 감방사선성 수지 조성물, 패턴 형성 방법, 전자 디바이스의 제조 방법 및 전자 디바이스
WO2023140191A1 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法
JPWO2016052301A1 (ja) ネガ型のパターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及び、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物
WO2019188455A1 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及びポリエステル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190716

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190808

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6571774

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250