JP6553932B2 - 廃液固化剤、その製造方法及びその用途 - Google Patents
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Description
重量平均粒子径が200μm以上350μm以下である吸水性樹脂と、吸水性樹脂に対して0.05重量%以上5重量%以下のメタノール指数が100以上である疎水性物質と親水性物質を含む廃液固化剤である。
まず、本発明における吸水性樹脂について説明する。本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。即ち、水膨潤性としてERT441.2−02で規定されるCRC(遠心分離機保持容量)が5g/g以上で、かつ、水不溶性としてERT470.2−02で規定されるExt(水可溶分)が50重量%以下を満たす高分子ゲル化剤を指す。
水溶性エチレン性不飽和単量体(以下単に単量体と略す)としては、アクリル酸及び/又はその塩を主成分として使用することが好ましいが、その他の単量体を併用してもよいし、その他の単量体を主成分として吸水性樹脂を得ても良い。アクリル酸以外で前記単量体としては、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩等の酸基含有不飽和単量体、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、水溶性でないもの(疎水性不飽和単量体)も共重合成分とすることもできる。
吸水性樹脂は架橋構造を必須とする。吸水性樹脂としては、架橋性単量体を使用しない自己架橋型のものであってもよいが、一分子中に、2個以上の重合性不飽和基や、2個以上の反応性基を有する架橋性単量体(吸水性樹脂の内部架橋剤とも言う)を共重合又は反応させたものが更に好ましい。内部架橋剤は単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよいし、また、重合前、重合中、重合後の反応系に一括添加してもよく、分割添加してもよい。少なくとも1種又は2種類以上の内部架橋剤を使用する場合には、最終的に得られる吸水性樹脂や廃液固化剤の吸収特性等を考慮して、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を重合時に必須に用いることが好ましい。
本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種又は2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤を併用してもよい。
本発明に適用される重合方法としては、特に限定されないが、吸水特性や重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましく、連続ベルト重合、連続ニーダー重合の何れでも適用される。
前述の重合後に得られる吸水性樹脂は、通常は含水ゲル状架橋重合体であり、必要に応じて乾燥し、乾燥の前及び/又は後で通常粉砕される。
本工程は、上記重合工程及び/又はゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められ、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%、更に好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%である。
上述した乾燥温度や乾燥時間を上記範囲とすることで、得られる吸水性樹脂のCRC(吸水倍率)やExt(水可溶分)、色調を所望する範囲とすることができる。
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程であり、混合工程、加熱処理工程及び冷却工程(任意)から構成される。
本発明の廃液固化剤に用いられる吸水性樹脂(前述のようにして、表面に架橋処理をして得られた吸水性樹脂) は、迅速かつ均一な廃液固化や少量での廃液固化という効果を達成する上で、後述の特定粒度(後述の廃液固化剤の粒度に記載)に調整されることが好ましい。
させて造粒してもよい。逆相の凝集による造粒には無機微粒子(例えば、親水性シリカ微粒子)の添加(米国特許4732968号)や、2段重合(欧州特許807646号)が用いられる。
次に、本発明における疎水性物質について説明する。本発明で用いられる廃液固化剤で使用される疎水性物質は、水不溶性又は水難溶性物質であって安定的に非吸水性(非水膨潤性)である非揮発性の疎水性物質である。非吸水性(非水膨潤性)とは、後述する吸水倍率(CRC)が1g/g以下、好ましくは0.5g/g以下であることを意味する。
本発明においては、疎水性の指標としてメタノール指数も用いる。メタノール指数とは25℃の純水50mlに疎水性物質1gを添加した場合に、この疎水性物質が固体である場合、これを湿潤するために必要な25℃メタノール容量(ml)、又は、この疎水性物質が液体である場合、これを分散及び/又は乳化するために必要な25℃メタノール容量(ml)をいう。
炭化水素としては、メタノール指数が100以上が好ましく150以上がより好ましく150以上が更に好ましく用いられるが、例えば低分子量ポリエチレン(例えば、分子量1,500〜2,000程度)等を用いることができる。なお、住友精化株式会社製微粉末ポリエチレン(フローセンF−1.5)のメタノール指数は、200以上である。
脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルはカルボキシル基あるいはカルボキシ基由来のエステル構造、アミド構造を有するため特にアクリル酸(塩)を原料とする吸水性樹脂に混合した場合に吸水性樹脂との親和性が高く、吸水性樹脂表面からの脱落等が生じにくいことから疎水化処理剤として好ましく用いられる。これらの中でもメタノール指数が100以上が好ましく150以上がより好ましく150以上が更に好ましく用いられるが、炭素数が12(C12)以上の脂肪酸、及び炭素数が12(C12)以上の脂肪酸からなる脂肪酸アミド、脂肪酸エステルであることが好ましい。脂肪酸としては、具体的には、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等を挙げることが出来る。なお、ステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)のメタノール指数は、100である。但し、該メタノール指数の測定に際しては、ステアリン酸として乳鉢で磨り潰した後、JIS200μmふるいで通過した粉末を使用した。脂肪酸アミドとしては、具体的には、例えば、ステアリルアミド、パルチミルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、エルカ酸アミド等を挙げることが出来る。なお、エルカ酸アミド(東京化成工業株式会社製)のメタノール指数は、150である。但し、該メタノール指数の測定に際しては、エルカ酸アミドとして乳鉢で磨り潰した後、JIS200μmふるいで通過した粉末を使用した。
金属石鹸は、有機酸である脂肪酸、石油酸、高分子酸等のアルカリ金属塩以外の金属塩からなる。金属石鹸を構成する有機酸としては、カプロン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の長鎖又は分枝の脂肪酸、安息香酸、ミリスチシン酸、ナフテン酸、ナフトエ酸、ナフトキシ酢酸等の石油酸、ポリ(メタ)アクリル酸やポリスルホン酸等の高分子酸が例示できるが、分子内にカルボキシル基を有する有機酸であることがアクリル酸(塩)を原料とする吸水性樹脂に混合した場合に吸水性樹脂との親和性が高く、吸水性樹脂表面からの脱落等が生じにくいことから疎水化処理剤として好ましく、より好ましくはカプロン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、牛脂肪酸や、ヒマシ硬化脂肪酸等の脂肪酸である。更に好ましくは、分子内に不飽和結合を有しない脂肪酸で、例えばカプロン酸、オクチル酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸である。最も好ましくは、炭素数が分子内に12個以上の分子内に不飽和結合を有しない長鎖脂肪酸で例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸である。
シリコン系化合物は、例えば親水性二酸化珪素のシラノール基(Si−OH)にシリコン化合物(ヘキサメチレンシラザン、モノメチルトリクロロシラザン、ジメチルジクロロシラン、シリコンオイル等)を付加させた疎水性二酸化珪素化合物等が挙げられるが特に限定されるものではない。
界面活性剤は、親水性原子団と親油性原子団を同時に持つ物質である。親水性原子団としては、−COO−、−OSO3−等のイオン性のものと、ポリオキシエチレン鎖等の非イオン性のものがある。親油性原子団としては、アルキル基、アルキルアリル基等の直鎖状又は環状化合物がある。また、疎水性かつ疎油性の原子団として、パーフルオロアルキル基等のフッ素含有化合物がある。界面活性剤を構造的に見ると、イオンに解離するイオン性界面活性剤と、イオンに解離しない非イオン性界面活性剤があり、イオン性界面活性剤は、水溶液の状態で解離するときの電荷の種類によって、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤に分類できるが特に限定されるものではない。なお、フッ素系界面活性剤としては、ノニオン性のものとして商品名DS−403パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物;ダイキン工業株式会社製、カチオン性のものとして商品名フタージェント300;株式会社ネオス製があげられる。
本発明においては疎水性物質と共に親水性物質も使用する事がより好ましい形態である。本発明において(II)疎水性物質に記載した疎水性物質は、水あるいは水系廃液よりも密度が大きく本来沈降する吸水性樹脂(真密度が約1.6g/cm3前後)を疎水化する事によって廃液に浮遊させる効果を有するが、その疎水化によって廃液を吸収してゲル化(固化)する速度を減じてしまうという好ましくない効果も有する。親水性物質と疎水性物質をいずれも表面近傍に付着させる事によって、本発明の効果を増す事ができる。この付着工程は親水性物質と疎水性物質をそれぞれ別の工程で付着させても、同じ工程で付着させても良い。それぞれに最適な付着条件があるため、別の工程でそれぞれ付着させることが好ましい。
本発明の廃液固化剤の製造方法は、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合することによって得られる架橋構造を有する吸水性樹脂粒子と疎水性物質を混合する工程を含む製造方法であり、更に親水性物質を混合する工程を有する事が好ましく、あるいは親水性物質と疎水性物質を同時に混合する工程を含む。
本発明で用いる該疎水性物質が粉体である場合、疎水性物質を粉体そのままで吸水性樹脂に例えばドライブレンド法のように直接混合させる方法や、あるいは上記表面架橋剤と水及び必要に応じて親水性有機溶媒が混合された表面架橋剤溶液に該疎水性物質をスラリー状に分散させて吸水性樹脂に混合する手法や、水や親水性有機溶媒中に該疎水性物質をスラリー状に分散させて吸水性樹脂に混合する手法が用いられる。
本上記の本発明に係る廃液固化剤の製造方法においては、本発明の効果を阻害しない範囲で更に、必要に応じて、消臭剤、抗菌剤、香料、発泡剤、顔料、染料、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、タンパク架橋剤、還元剤、水、塩類、キレート剤、殺菌剤、ポリエチレングリコールやポリエチレンイミン等の親水性高分子、ポリエステル樹脂やユリア樹脂等の熱硬化性樹脂等を添加する等、種々の機能を付与する工程を含んでいてもよい。これらの疎水性又は親水性物質の使用量は吸水性樹脂100重量部に対して通常0〜30重量部、好ましくは0〜10重量の範囲、より好ましくは0〜1重量部の範囲である。
上記製法を一例として得られる本発明の廃液固化剤は、廃液に処理剤を投入することによって前記廃液をゲル状に固化させる廃液の処理方法に用いられる粒子状の前記処理剤であって、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合することによって得られる架橋構造を有する吸水性樹脂を必須とし、2.5重量%塩化ナトリウム水溶液に一括で投入した際、一部が沈降し、一部が浮遊し、浮遊した固化剤の少なくとも一部が沈降しながら膨潤し、かつ浮遊した固化剤の少なくとも一部が浮遊したまま膨潤することを特徴とする廃液固化剤である。
吸水性樹脂の含有量は廃液固化剤中の通常50〜100重量%、好ましくは70〜99重量%、更に好ましくは80〜98重量%とされ、吸水性樹脂以外の微量成分として好ましくは前記の疎水性物質や親水性物質や水が用いられる。
本発明の廃液固化剤は、本発明で用いられる該疎水性物質と、親水性物質と、本発明で用いられる該吸水性樹脂を含み、25℃の2.5重量%塩化ナトリウム水溶液3500mlを入れた、軸方向を鉛直として置かれた有効容量3500mlの容器に充填した廃液固化剤120gを一括で投入した時点から、2.5%塩化ナトリウム水溶液全量が2.5%塩化ナトリウム水溶液を吸収した廃液固化剤に置き換わるまでの時間が35分以下であり、好ましくは30分以下、より好ましくは25分以下、更に好ましくは15分以下であり、特に好ましくは10分以下であり、最も好ましくは8分以下である。
本発明の廃液固化剤の吸水倍率(CRC)は生理食塩水に対して通常30g/g以上、好ましくは34g/g以上、より好ましくは40g/g以上、更により好ましくは45g/g以上とされる。上限は特に問わないが、通常100g/g程度で十分である。吸水倍率が低い場合、多量の固化剤が必要である上、固化時間も長くなる。吸水倍率は前記の吸水性樹脂の内部架橋及び表面架橋を適宜調整すればよい。吸水倍率(CRC)の測定方法については、実施例で後述する。
本発明の粒子状廃液固化剤は粒子形状であるが、廃液固化剤は好ましくは850μm未満で106μm以上の粒子が全体の90〜100重量%であり、より好ましくは、95〜100重量%、更には好ましくは98〜100重量%とされる。また、廃液固化剤の重量平均粒子径の下限は好ましくは150μm、より好ましくは200μm、上限は好ましくは350μm、より好ましくは300μmである。平均粒子径が350μmを超えると固化剤が浮遊状態を保ったまま膨潤する状態に制御する事が困難になり、150μmを下回ると粉立ち等から廃液固化の作業環境が悪くなる。粒子径の制御は造粒、粉砕や分級、逆相での重合制御で適宜調整すればよい。また、上記粒子径は吸水性樹脂の段階で調整すればよく、よって、好ましい吸水性樹脂の粒子径でもある。なお、吸水性樹脂や廃液固化剤は造粒されることで、より固化時間が短縮され、浮遊も調整される。
その形状としては、例えば、米国特許5244735号公報の図1及び2に記載の逆相懸濁重合で得られる球形状及び/又は楕円体状若しくはウインナーソーセージ状の一次粒子形状や、NONWOVENSWORLDOctober−November2000(MarketingTechnologyService,Inc.発行)の75頁の図1に記載の凝集した数珠(agglomeratedbeads)のような球形状粒子及び/又は楕円体状粒子が凝集した一次粒子造粒物の形状、米国特許5981070号公報の図2、3及び4や上記NONWOVENSWORLDOctober−November2000の75頁の図1の結晶体(Crystals)のような、単量体水溶液を重合した含水ゲル状重合体の破砕物に由来する形状である不定形状やその造粒物の形状が挙げられる。
本発明の廃液固化剤は、固化効率の観点から一定値以上の加圧下吸収倍率を有することも好ましい。荷重が2.06kPa及び/又は4.83kPaの圧力下(荷重下)での加圧下吸収倍率は3g/g以上、好ましくは5g/g以上、より好ましくは10g/g以上、更に好ましくは20g/g以上、最も好ましくは25g/g以上である。加圧下吸収倍率は例えば前記の表面架橋を調整することにより適宜調整すればよい。
吸湿時の流動性(以下、単に吸湿流動性と略す)とは、例えば25℃相対湿度90%RHといった高湿度の環境放置下でのブロッキング又はケーキング性や粉体としての流動性であり、本発明の廃液固化剤は、廃液固化剤の含水率が通常約10〜30重量%の範囲において、ブロッキング又はケーキングがなく、吸湿流動性の優れた特徴を示す。
また、本発明の廃液固化剤は衝撃力を与えた後でも、その吸湿時の流動性は低下することなく、良好かつ安定した粉体の流動性を示す。
本発明の廃液固化剤は吸湿時のみならず、含水率が10%未満においても、付着性が少なく、内部摩擦係数又は内部摩擦角が小さいために、安息角が小さくなり粉体の流動性が優れる特徴を示す。前記粉体特性における内部摩擦係数や内部摩擦角は粉体層の剪断試験から求めることができる。粉体の剪断試験を行う装置としては剪断箱式、リング剪断式、あるいは平行平板式等があり、例えばJenikeShearCell等がある。本発明の廃液固化剤は前記粉体特性を有するため、該廃液固化剤の製造プロセス等で使用するホッパや粉体貯蔵槽等の簡素化に有用となる。
本発明の廃液固化剤のかさ密度は通常0.30〜2.5g/cm3、好ましくは0.50〜0.80g/cm3、更に好ましくは0.60〜0.80g/cm3であり、真密度は(欧州特許736060号で規定)通常1.1〜2.0g/cm3、更には1.2〜1.8g/cm3の範囲である。本発明の廃液固化剤は真密度が1.1g/cm3を超えていても、水(密度1.0)に浮遊するという特徴を有する。かさ密度や真密度は単量体組成(かさ密度及び真密度、特に真密度)や粒子径の調整で適宜制御される。かさ密度及び真密度が前記範囲から外れると、固化や浮遊の制御が困難になったり、輸送の問題を発する場合がある。
本発明の廃液固化方法は、廃液に処理剤を投入することによって前記廃液をゲル状に固化させる廃液の処理方法であって、前記処理剤として前述した本発明の廃液固化剤を用いるものである。本発明の廃液固化剤は、飲料廃液、工場廃液、放射線廃液、糞尿廃液等各種の廃液の固化に使用でき、廃液中に有機物や固体分散物等が含まれていてもよく、その迅速かつ均一な固化から、従来の問題を多く抱えた医療廃液の固化に好ましく使用される。廃液とは、廃棄するための水性液又は濾漏した水性液を指す。本発明の固化方法としては、種々の容器形状(縦長、横長等)や固化剤の投入方法(廃液への一括投入/分割投入、廃液への前投入/後投入)等が広く適用できるが、本発明の廃液固化剤は、その迅速かつ均一な固化から、好ましくは縦長容器中の廃液の固化に好ましく使用される。なお、投入には粉体のまま投入してもよいし、水溶性、水壊性ないし透水性の容器ないし袋に廃液固化剤を入れた状態で、投入してもよい。
本発明の廃液固化用包装体は、前記本発明の廃液固化剤を包装してなるものであることを特徴とする。本発明の包装体の形状や材質は、特に限定されるものではない。包装体の大きさとしては、10〜3500gの廃液固化剤を密封することができ、その一部を開放して、そこから廃液固化剤を取り出せるものが好ましく、例えば、ポリ広口ビン、水溶性又は透水性の包装体等が挙げられる。ポリ広口ビンとしては、ソフトパッキン付ポリ広口ビン(市販品では、例えば、テラオカ研究機器製カタログ800記載のもの;材質ポリエチレン)等が挙げられる。
本発明の吸水性樹脂又は廃液固化剤の粒度(粒度分布、重量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、米国特許第7638570号のカラム27、28に記載された「(3)Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率、または単に吸水倍率と呼ぶ)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
25℃の2.5重量%塩化ナトリウム水溶液3500mlを入れた、軸方向を鉛直として置かれた有効容量3500mlの容器(上部内径128mm、底部内径102mm、高さ370mm)の上部から、ソフトパッキン付ポリ広口ビン(材質ポリエチレン、テラオカ研究機器カタログ800記載、内容量200cc)に充填した廃液固化剤120gを投入する。廃液固化剤を投入した時点から、2.5重量%塩化ナトリウム水溶液全量が2.5重量%塩化ナトリウム水溶液を吸収した廃液固化剤に置き換わるまでの時間を固化時間とする。ただし、35分以内にゲル化が生じなかった場合はゲル化せずと評価した。
また、固化剤の使用量を減量した場合は、その使用量と固化時間を記録する。
中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液5500g(単量体濃度38重量%)に、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)4.5gを溶解し、単量体水溶液〔a001〕とした後、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。
次に、内容積10Lのシグマ型羽根を2本有する双腕型のジャケット付きステンレス製ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記単量体水溶液〔a001〕を投入し、液温を30℃に保ちながら反応器内に窒素ガスを吹き込み、系内の溶存酸素が1ppm以下となるように窒素置換した。
続いて、上記単量体水溶液〔a001〕を撹拌させながら、重合開始剤として10重量%の過硫酸ナトリウム水溶液29.8g及び0.2重量%のL−アスコルビン酸水溶液6.0gをそれぞれ別々に添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。
そして、生成した含水ゲル状架橋重合体〔b001〕をゲル粉砕しながら30〜80℃で重合し、重合開始から17分後に重合ピーク温度86℃を示し、重合を開始して60分後に、含水ゲル状架橋重合体〔b001〕を取り出した。なお、得られた含水ゲル状架橋重合体〔b001〕は、その径が約1〜5mmに細分化されていた。
続いて、乾燥物〔b011〕をロールミルを用いて粉砕し、更に目開きが450μmと106μmのJIS標準篩を用いて分級した。なお、目開き450μmの篩上に残存した粒子は、再度ロールミルで粉砕し、また目開き106μmの篩を通過した粒子(微粉)は、90℃の温水を加えて混合し、その後、上述した乾燥条件及び粉砕条件で処理した。該微粉は粉砕に供された全量に対して13重量%を占めていた。これら一連の操作によって、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末〔A010〕を得た。なお、該吸水性樹脂粉末〔A010〕のCRC(吸水倍率)は41.8[g/g]であった。
製造例1記載の方法と同様にして得られた乾燥物〔b012〕をロールミルで粉砕し、更に目開きが710μmと106μmのJIS標準篩を用いて分級した。なお、目開き710μmの篩上に残存した粒子は、再度ロールミルで粉砕し、また目開き106μmの篩を通過した粒子(微粉)は、90℃の温水を加えて混合し、その後、上述した乾燥条件及び粉砕条件で処理した。該微粉は粉砕に供された全量に対して10重量%を占めていた。これら一連の操作によって、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末〔A020〕を得た。なお、該吸水性樹脂粉末〔A020〕のCRC(遠心分離機保持容量)は42.5[g/g]であった。
吸水性樹脂〔A111〕100重量部にステアリン酸亜鉛0.08重量部加えて25℃・相対湿度50%RH下でスリーワンモーター(ヘイドン社製、タイプ600G)を用いて100rpmで25分間攪拌することにより吸水性樹脂〔A112〕を得た。吸水性樹脂〔A112〕を実施例1の固化剤1として固化試験を行い、結果を下記の表1に示す。
実施例1のステアリン酸亜鉛0.08重量部を0.10重量部に替える他は同様の操作を行い吸水性樹脂〔A113〕を得た。吸水性樹脂〔A113〕を実施例2の固化剤2として、下記の表1に示す。
実施例1のステアリン酸亜鉛0.08重量部を0.12重量部に替える他は同様の操作を行い吸水性樹脂〔A114〕を得た。吸水性樹脂〔A114〕を実施例3の固化剤3として、下記の表1に示す。
実施例1のステアリン酸亜鉛0.08重量部を0.04重量部に替える他は同様の操作を行い吸水性樹脂〔A115〕を得た。吸水性樹脂〔A115〕を比較例1の固化剤4として、下記の表1に示す。
吸水性樹脂〔A221〕100重量部にステアリン酸亜鉛0.04重量部加えて25℃・相対湿度50%RH下でスリーワンモーター(ヘイドン社製、タイプ600G)を用いて100rpmで25分間攪拌することにより吸水性樹脂〔A222〕を得た。吸水性樹脂〔A222〕を比較例2の固化剤5として、下記の表1に示す。
実施例1のステアリン酸亜鉛0.08重量部を6.0重量部に替える他は同様の操作を行い吸水性樹脂〔A116〕を得た。吸水性樹脂〔A116〕を比較例3の固化剤6として、下記の表1に示す。
製造例1において、吸水性樹脂粒子〔A110〕に加えるヒュームドシリカAEROSIL200を0.3重量部に替えて、吸水性樹脂〔A117〕を得た。さらに、吸水性樹脂〔A117〕100重量部にステアリン酸亜鉛0.6重量部加えて25℃・相対湿度50%RH下でスリーワンモーター(ヘイドン社製、タイプ600G)を用いて100rpmで25分間攪拌することにより吸水性樹脂〔A118〕を得た。吸水性樹脂〔A118〕を実施例4の固化剤7として、下記の表1に示す。
実施例4において、固化試験に使用する固化剤7の量を108g(120gから10%減量)とした以外は同様に評価し、結果を下記表1に示す。
比較例2のステアリン酸亜鉛0.04重量部を0.16重量部に替える他は同様の操作を行い吸水性樹脂〔A223〕を得た。吸水性樹脂〔A223〕を比較例4の固化剤8とし、さらに、固化試験に使用する固化剤8の量を108g(120gから10%減量)にして評価し、結果を下記表1に示す。
中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液5500g(単量体濃度38重量%)に、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)2.4gを溶解し、単量体水溶液〔a003〕とした後、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。
次に、内容積10Lのシグマ型羽根を2本有する双腕型のジャケット付きステンレス製ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記単量体水溶液〔a003〕を投入し、液温を30℃に保ちながら反応器内に窒素ガスを吹き込み、系内の溶存酸素が1ppm以下となるように窒素置換した。
続いて、上記単量体水溶液〔a003〕を撹拌させながら、重合開始剤として10重量%の過硫酸ナトリウム水溶液29.8g及び0.2重量%のL−アスコルビン酸水溶液6.0gをそれぞれ別々に添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。
そして、生成した含水ゲル状架橋重合体〔b003〕をゲル粉砕しながら30〜80℃で重合し、重合開始から19分後に重合ピーク温度88℃を示し、重合を開始して60分後に、含水ゲル状架橋重合体〔b003〕を取り出した。なお、得られた含水ゲル状架橋重合体〔b003〕は、その径が約1〜5mmに細分化されていた。
吸水性樹脂〔A331〕100重量部にステアリン酸亜鉛1.0重量部加えて25℃・相対湿度50%RH下でスリーワンモーター(ヘイドン社製、タイプ600G)を用いて100rpmで25分間攪拌することにより吸水性樹脂〔A332〕を得た。吸水性樹脂〔A332〕を実施例6の固化剤9として、下記の表1に示す。
実施例6において、固化試験に使用する固化剤9の量を102g(120gから15%減量)とした以外は同様に評価し、結果を下記表1に示す。
実施例6において、固化試験に使用する固化剤9の量を96g(120gから20%減量)とした以外は同様に評価し、結果を下記表1に示す。
Claims (10)
- 廃液に固化剤を投入することによって前記廃液をゲル状に固化させる廃液の処理方法に用いられる粒子状の前記固化剤であって、
重量平均粒子径が200μm以上350μm以下である吸水性樹脂と、吸水性樹脂に対して0.05重量%以上5重量%以下のメタノール指数が100以上である疎水性物質と親水性物質を含み、
上記吸水性樹脂の吸水倍率が、40g/g以上である廃液固化剤。 - 疎水性物質が脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩である請求項1に記載の廃液固化剤。
- 疎水性物質の1分子内の炭素数が12以上である請求項1又は2に記載の廃液固化剤。
- 親水性物質が無機微粒子である請求項1〜3の何れか1項に記載の廃液固化剤。
- 前記親水性物質を0.3重量%以上3.0重量%以下含む請求項1〜4の何れか1項に記載の廃液固化剤。
- 廃液に処理剤を投入することによって前記廃液をゲル状に固化させる廃液の処理方法に用いられる粒子状の前記固化剤の製造方法であって、該製造方法は、アクリル酸とその塩を主成分とする単量体を重合することによって得られる、架橋構造を有し、かつその表面が架橋処理された吸水性樹脂粒子に対し、0.05〜5.0重量%のメタノール指数が100以上である疎水性物質と0.3重量%以上3.0重量%以下の親水性物質とを混合する工程を含み、前記吸水性樹脂粒子は重量平均粒子径が200μm以上350μm以下に調整されており、
上記吸水性樹脂の吸水倍率が、40g/g以上であることを特徴とする、廃液固化剤の製造方法。 - 疎水性物質が脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩である請求項6に記載の廃液固化剤の製造方法。
- 親水性物質が無機微粒子である請求項6又は7に記載の製造方法。
- 無機微粒子が平均粒子径が200μm以下の二酸化ケイ素及びケイ酸(塩)である請求項6〜8の何れか1項に記載の製造方法。
- 前記吸水性樹脂の微粉末を造粒する工程を含む、請求項6〜9の何れか1項に記載の製造方法。
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