以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、太陽光発電システム100の構成例を示すブロック図である。太陽光発電システム100は、たとえば単相3線の通電路P1を介して商用電力系統CS及び電力負荷系統LSと電気的に接続される電力制御システムである。この太陽光発電システム100では、太陽電池ストリング1及び蓄電装置2と商用電力系統CSとによる系統連系運転が可能である。また、太陽光発電システム100では、発電した電力を直流から交流に変換し、通電路P1を介して商用電力系統CSに出力して、該電力を電力会社に売電することも可能となっている。なお、以下では、通電路P1を介して商用電力系統CSに電力を出力することを逆潮流(及び売電)と呼び、逆潮流する電力を逆潮流電力と呼ぶ。また、電力が商用電力系統CSから通電路P1に出力されることを受電(及び買電)とよび、受電する電力を受電電力と呼ぶ。
通電路P1は、商用電力系統CSと電気的に接続された系統電力網であり、第1通電路P1a及び第2通電路P1bを含んで構成される交流通電路である。第1通電路P1aは太陽光発電システム100の後述するパワーコンディショナ3に接続される交流通電路である。なお、以下ではパワーコンディショナ3をPCS(Power Conditioning System)3と呼ぶ。
第2通電路P1bは商用電力系統CSに接続される交流通電路である。この第2通電路P1bには、電力量計Mが設けられている。電力量計Mは、第2通電路P1bにおいて電力が流れる方向、その電力量及び電力値を検知する電力検知器であり、その検知結果を示す検知信号をPCS3に出力する。たとえば、電力量計Mは、第2通電路P1bにおいて電力が逆潮流している場合、太陽光発電システム100が商用電力系統CSに売電していることと、逆潮流電力の電力量及び電力値とを検知する。また、電力量計Mは、第2通電路P1bにおいて電力を受電している場合、太陽光発電システム100が商用電力系統CSから買電していることと、受電電力の電力量及び電力値とを検知する。
また、第1通電路P1a及び第2通電路P1b間には、電力負荷系統LSが接続されている。この電力負荷系統LSは、たとえば家庭内の電化製品、工場の設備装置などの負荷機器であり、第1通電路P1a及び/又は第2通電路P1bから供給される電力を消費する。
次に、太陽電池ストリング1は、1又は直列接続された複数の太陽電池モジュールを含む発電装置であり、太陽光を受けて発電し、発電した直流電力をPCS3に出力する。以下では、太陽電池ストリング1からPCS3に出力される電力を発電電力と呼ぶ。なお、PCS3に接続される太陽電池ストリング1の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。複数であれば、たとえば、互いに並列接続される複数の太陽電池ストリング1がPCS3に接続されていてもよい。この場合、各太陽電池ストリング1は、太陽電池ストリング1に逆電流が流れることを防止する逆流防止装置を介してPCS3に接続されていてもよい。
蓄電装置2は、繰り返し充放電可能な充放電機能を有する。たとえば蓄電装置2は、PCS3から供給される直流電力を充電でき、その蓄電量に応じた直流電力をPCS3に放電することもできる。以下では、充電の際にPCS3から蓄電装置2に供給される電力を充電電力と呼び、放電の際に蓄電装置2からPCS3に出力される電力を放電電力と呼ぶ。この蓄電装置2の構成は特に限定しない。たとえば、蓄電装置2はリチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、及び鉛電池などの二次電池を含んでいてもよい。或いは、蓄電装置2は電気二重層キャパシタなどを含んでいてもよい。また、蓄電装置2の数は、図1の例示に限定されず、複数であってもよい。
PCS3は、太陽電池ストリング1及び蓄電装置2と商用電力系統CSとの間に設けられる電力変換装置であり、通電路P1及び直流通電路P2、P3と電気的に接続されている。すなわち、PCS3は、通電路P1を介して商用電力系統CSに接続され、直流通電路P2を介して太陽電池ストリング1に接続され、直流通電路P3を介して蓄電装置2に接続されている。PCS3は、通常時には、たとえばMPPT(maximum power point tracking)制御により、発電電力が最大となるように太陽電池ストリング1の動作電圧(動作点)を制御する。但し、PCS3は、太陽電池ストリング1での発電量を制限する必要がある場合、太陽電池ストリング1の動作電圧を最大出力動作電圧からずれた値に設定して、その発電電力を調整する。このほか、PCS3は、蓄電装置2の充放電機能を制御することもできる。たとえばPCS3は、蓄電装置2に充電電力を供給して充電させたり、蓄電装置2を放電させて放電電力の供給を受けたりする。
このPCS3は、DC/DCコンバータ31と、双方向インバータ32と、チョッパ制御方式の双方向DC/DCコンバータ33と、平滑コンデンサ34と、通信部35と、記憶部36と、CPU(central processing unit)37と、を有する。DC/DCコンバータ31、双方向インバータ32、及び双方向DC/DCコンバータ33はバスラインBLを介して相互に接続されている。バスラインBLは直流電流が流れる伝送路である。
DC/DCコンバータ31は、太陽電池ストリング1及びバスラインBL間に設けられ、太陽電池ストリング1の発電電力を所定の電圧値の直流電力に変換してバスラインBLに出力する。また、DC/DCコンバータ31は太陽電池ストリング1に逆電流が流れることを防止する逆流防止装置としても機能している。
双方向インバータ32は、CPU37により制御される電力変換部であり、蓄電装置2が接続されるバスラインBL及び第1通電路P1a間に設けられている。双方向インバータ32は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、図1に示すような双方向の電力変換を行うことができる。すなわち、双方向インバータ32は、第1通電路P1aから入力される交流電力を直流電力にAC/DC変換してバスラインBLに出力できる。また、双方向インバータ32は、バスラインBLから入力される直流電力(発電電力及び蓄電装置2の放電電力のうちの少なくとも一方)を商用電力系統CS及び電力負荷系統LSの電力規格に応じた交流周波数の交流電力にDC/AC変換して第1通電路P1aに出力できる。なお、以下では、双方向インバータ32が第1通電路P1aから入力される電力を電力変換してバスラインBLに出力することを順変換方向aの電力変換と呼ぶ。さらに、順変換方向aの電力変換モードを順変換モードと呼び、順変換する電力の電力変換量を順変換量と呼ぶ。また、双方向インバータ32がバスラインBLから入力される電力を電力変換して第1通電路P1aに出力することを逆変換方向bの電力変換と呼ぶ。さらに、逆変換方向bの電力変換モードを逆変換モードと呼び、逆変換する電力の電力変換量を逆変換量と呼ぶ。双方向インバータ32の更なる構成は後に詳述する。
双方向DC/DCコンバータ33は、CPU37により制御される充放電電力変換部であり、バスラインBL及び直流通電路P3間に設けられている。双方向DC/DCコンバータ33は、バスラインBLから入力される直流電力を蓄電装置2に適した直流の充電電力にDC/DC変換して直流通電路P3に出力することができる。また、双方向DC/DCコンバータ33は、蓄電装置2の放電電力を双方向インバータ32の仕様に応じた電力にDC/DC変換してバスラインBLに出力することもできる。なお、以下では、双方向DC/DCコンバータ33がバスラインBLから入力される電力を電力変換して直流通電路P3に出力することを充電方向Aの電力変換と呼ぶ。さらに、充電方向Aの電力変換を充電変換と呼び、充電変換する電力の電力変換量を充電変換量と呼ぶ。また、双方向DC/DCコンバータ33が蓄電装置2の放電電力を電力変換してバスラインBLに出力することを放電方向Bの電力変換と呼ぶ。さらに、放電方向Bの電力変換を放電変換と呼び、放電変換する電力の電力変換量を放電変換量と呼ぶ。本実施形態では、双方向DC/DCコンバータ33には、チョッパ制御方式のものが適しているが、正負反転型の制御方式のコンバータは適していない。
平滑コンデンサ34は、バスラインBLに接続される容量素子であり、バスラインBLを流れる直流電力の電圧変動を除去又は軽減する。
通信部35は、コントローラ4と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。
記憶部36は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する記憶媒体である。記憶部36は、PCS3の各構成要素(特にCPU37)で用いられる制御情報及びプログラムなどを格納している。
CPU37は、記憶部36に格納された制御情報及びプログラムなどを用いて、PCS3の各構成要素を制御するコンピュータユニットである。CPU37は機能的要素として電力監視部371、蓄電監視部372、変換制御部373、及び電力判定部374を有している。
電力監視部371は第2通電路P1bを流れる電力(逆潮流電力、受電電力)を監視する。たとえば電力監視部371は、電力量計Mから出力される検知信号に基づいて第2通電路P1bにおいて電力が流れる方向、その電力量及び電力値などを検知する。
蓄電監視部372は蓄電装置2の状態を監視する。たとえば、蓄電監視部372は蓄電装置2から出力される状態通知信号に基づいて蓄電装置2の状態を検知する。なお、この蓄電装置2の状態は、蓄電容量、蓄電量、充放電動作の状態(たとえば、充電動作及び充電電力の電力値、放電動作及び放電電力の電力値、充放電動作の停止)などを含む。
変換制御部373は、双方向インバータ32及び双方向DC/DCコンバータ33を制御し、特にこれらの電力変換方向及び電力変換動作などを制御する。また、変換制御部373は、蓄電装置2の充放電機能を制御する充放電制御部としても機能する。たとえば、変換制御部373は、太陽光発電システム100の状態(売電、買電、電力の自家消費、及びこれらの電力値など)、蓄電装置2の状態、及びユーザ入力などに基づいて、双方向インバータ32及び双方向DC/DCコンバータ33の電力変換動作を検知するとともに、該電力変換動作の制御を行う。なお、電力変換動作の制御は、電力変換方向の切り替え、電力変換量の調節、及び電力変換停止などを含む。変換制御部373は、これらの電力変換動作を制御することによって、蓄電装置2の充放電機能を制御する。
電力判定部374は、電力量計Mの検知結果及び蓄電装置2の状態などに基づく様々な判定を行う。
次に、コントローラ4について説明する。コントローラ4は、表示部41と、入力部42と、通信部43と、CPU44と、を備えている。表示部41はディスプレイ(不図示)に太陽光発電システム100に関する情報などを表示する。入力部42は、ユーザ入力を受け付け、該ユーザ入力に応じた入力信号をCPU44に出力する。通信部43は、PCS3と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。通信部43は、たとえば、入力部42が受け付けたユーザ入力に関する情報などをPCS3に送信する。CPU44は、情報を非一時的に保持するメモリ(不図示)に格納された制御情報及びプログラムなどを用いて、コントローラ4の各構成要素を制御する。
次に、双方向インバータ32の構成について説明する。図2は、双方向インバータ32の構成例を示す等価回路図である。双方向インバータ32はフルブリッジ回路321と、リアクトル322a、322bとを有している。また、フルブリッジ回路321はバスラインBLの高電位側の入出力端TH及び低電位側の入出力端TLに接続されている。また、リアクトル322a、322bの一端はそれぞれ後述するようにフルブリッジ回路321に接続されている。また、他端はそれぞれ第1通電路Paの第3入出力端T3及び第4入出力端T4に接続されている。
フルブリッジ回路321は、上アームスイッチ部SW1、SW3及び下アームスイッチ部SW2、SW4がフルブリッジ接続された電力変換回路である。フルブリッジ回路321は、双方向の電力変換を行い、すなわちバスラインBLを流れている直流電力及び第1通電路P1aを流れている交流電力のうちの一方を他方に変換する。また、このフルブリッジ回路321は第1スイッチ列321a及び第2スイッチ列321bを有する。これらは並列に接続されており、各スイッチ列321a、321bの一端はバスラインBLの高電位側の入出力端THに接続され、他端はバスラインBLの低電位側の入出力端TLに接続されている。
スイッチ列321a、321bにおいて、各上アームスイッチ部SW1、SW3の一端は、バスラインの入出力端THに接続され、さらにバスラインBL及び双方向DC/DCコンバータ33を介して直流通電路P3の高電位側の第1入出力端T1と電気的に接続されている。また、第1スイッチ列321aでは、上アームスイッチ部SW1の他端が下アームスイッチ部SW2の一端と直列接続されている。第2スイッチ列321bでは、上アームスイッチ部SW3の他端が下アームスイッチ部SW4の一端と直列接続されている。また、スイッチ列321a、321bにおいて、各下アームスイッチ部SW2、SW4の他端は、バスラインBLの低電位側の入出力端TLに接続され、さらにバスラインBL及び双方向DC/DCコンバータ33を介して直流通電路P3の低電位側の第2入出力端T2と電気的に接続されている。また、第1スイッチ列321aでは、上アームスイッチ部SW1及び下アームスイッチ部SW2間がリアクトル322aを介して第1通電路P1aのU相側の第3入出力端T3に接続されている。第2スイッチ列321bでは、上アームスイッチ部SW3及び下アームスイッチ部SW4間がリアクトル322bを介して第1通電路P1aのW相側の第4入出力端T4に接続されている。
各アームスイッチ部SW1〜SW4はそれぞれ、スイッチング素子Q1〜Q4と、ダイオードD1〜D4と、を有する。スイッチング素子Q1〜Q4はたとえばMOSFET、IGBTなどのトランジスタを用いることができる。スイッチング素子Q1〜Q4のON/OFFは変換制御部373により制御される。ダイオードD1〜D4はそれぞれスイッチング素子Q1〜Q4と逆方向に並列接続される整流素子である。
上アームスイッチ部SW1において、スイッチング素子Q1の一端は、ダイオードD1のカソード、上アームスイッチ部SW3、及び入出力端THに接続され、さらにバスラインBL及び双方向DC/DCコンバータ33を介して直流通電路P3の高電位側の第1入出力端T1と電気的に接続されている。また、他端はダイオードD1のアノード、下アームスイッチ部SW2、及びリアクトル322aに接続されている。
下アームスイッチ部SW2において、スイッチング素子Q2の一端はダイオードD2のカソード、上アームスイッチ部SW1、及びリアクトル322aに接続されている。また、他端は、ダイオードD2のアノード、下アームスイッチ部SW4、及び入出力端TLに接続され、さらにバスラインBL及び双方向DC/DCコンバータ33を介して直流通電路P3の低電位側の第2入出力端T2と電気的に接続されている。
上アームスイッチ部SW3において、スイッチング素子Q3の一端は、ダイオードD3のカソード、上アームスイッチ部SW1、及び入出力端THに接続され、さらにバスラインBL及び双方向DC/DCコンバータ33を介して直流通電路P3の高電位側の第1入出力端T1と電気的に接続されている。また、他端はダイオードD3のアノード、下アームスイッチ部SW4、及びリアクトル322bに接続されている。
下アームスイッチ部SW4において、スイッチング素子Q4の一端はダイオードD4のカソード、上アームスイッチ部SW3、及びリアクトル322bに接続されている。また、他端は、ダイオードD4のアノード、下アームスイッチ部SW2、及び入出力端TLに接続され、さらにバスラインBL及び双方向DC/DCコンバータ33を介して直流通電路P3の低電位側の第2入出力端T2と電気的に接続されている。
リアクトル322a、322bは、たとえばコイルなどの誘導素子であり、第3入出力端T3及び第4入出力端T4間の交流電力を平滑化してその波形をほぼ正弦波にする。リアクトル322aは第1スイッチ列321aと第3入出力端T3との間に接続されている。すなわち、リアクトル322aの一端は上アームスイッチ部SW1及び下アームスイッチ部SW2間に接続され、他端は第1通電路P1aの第3入出力端T3に接続されている。また、リアクトル322bは第2スイッチ列321bと第4入出力端T4との間に接続されている。すなわち、リアクトル322bの一端は上アームスイッチ部SW3及び下アームスイッチ部SW4間に接続され、他端は第1通電路P1aの第4入出力端T4に接続されている。なお、図2の例示に限定されず、フルブリッジ回路321は、リアクトル322a、322bのうちの一方を有する構成であってもよい。
次に、双方向インバータ32の制御例を実施例と比較例とを挙げて説明する。双方向インバータ32は変換制御部373によりユニポーラ変調方式の制御パターンを用いて制御される。また、制御パターンは後述する第1及び第2制御パターンを含んでいる。各制御パターンで用いられるフルブリッジ回路321の切換モードは力行モードと回生モードとを有している。たとえば、蓄電装置2が放電動作を行う場合に双方向インバータ32が逆変換を行う際、双方向インバータ32(フルブリッジ回路321)は力行モードで制御される。また、蓄電装置2が充電動作を行う場合に双方向インバータ32が順変換を行う際、双方向インバータ32(フルブリッジ回路321)は回生モードで制御される。すなわち、本実施形態において、力行モードは逆変換モードに相当し、回生モードは順変換モードに相当する。
<実施例>
実施例では、第1及び第2制御パターンの一方を用いた双方向インバータ32の制御により、蓄電装置2などの対地電圧の絶対値が低く抑えられえる。たとえば、第1及び第2制御パターンのうちの一方を用いた制御により、直流通電路P3に接続された蓄電装置2の正極電位Vb+及び負極電位Vb−のうち、対地電圧(電位)の絶対値が大きい方の配線での対地電圧の絶対値が低く抑えられる。こうすることで、直流通電路P3及び蓄電装置2の対地電圧の絶対値が法定の閾値(家庭内の電力設備での150[V]など)を越えないようにする。
(第1制御パターン)
まず、双方向インバータ32の第1制御パターンを説明する。図3Aは、第1制御パターンが採用される場合の双方向DC/DCコンバータ33及び蓄電装置2の等価回路である。図3Bは、第1制御パターンにおける双方向インバータ32の制御例を示す表である。図4A及び図4Bは、第1制御パターンにおける力行モードでの双方向インバータ32の制御例を示し、図5A及び図5Bは、第1制御パターンにおける回生モードでの双方向インバータ32の制御例を示している。図6は、第1制御パターンにおける第3入力端T3での交流電圧Vt3及び交流電流It3の波形と蓄電装置2の負極電位Vb−及び正極電位Vb+の波形とを示すグラフである。なお、実際には、バスラインBLにはDC/DCコンバータ31も接続されており、通電路P1には電力負荷系統LSも接続されているが、図4A〜図5Bではそれらの図示を省略している。このことは、後述する他の図8A〜9Bにおいても同様である。
図3Aでは、双方向DC/DCコンバータ33において、蓄電装置2の正極と電気的に接続される通電経路にリアクトルLcが接続されている。そのため、蓄電装置2の負極電位Vb−はバスラインBLの低電位側の入出力端TLの電位VTLとほぼ同じになる。このような場合、双方向インバータ32の制御には第1制御パターンが用いられる。
((第1制御パターンの力行モード))
第1制御パターンにおいて双方向インバータ32が力行モードで制御される場合、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正である期間では、図3Bの上表に示すように、スイッチング素子Q1はPWM制御される。また、スイッチング素子Q2、Q3はOFFにされ、スイッチング素子Q4はONにされる。また、図6に示すように、力行モードにおける交流電圧Vt3及び交流電流It3の各位相はほぼ一致し、両者のずれ量は0°となっている。
この期間において、スイッチング素子Q1に入力されるPWM信号がHighレベル(以下、Hと呼ぶ。)になると、スイッチング素子Q1はONとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図4Aにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第1入出力端T1からバスラインBLの高電位側の入出力端TH、スイッチング素子Q1、及びリアクトル322aを経由して第3入出力端T3に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第4入出力端T4に入力され、リアクトル322b、スイッチング素子Q4を経由してバスラインBLの低電位側の入出力端TLに流れて直流通電路P3の第2入出力端T2に出力される。
一方、PWM信号がLowレベル(以下、Lと呼ぶ。)になると、スイッチング素子Q1はOFFとされるが、誘導電流によりリアクトル322a、322bを流れる電流は維持される。この電流は、リアクトル322a、第3入出力端T3、商用電力系統CS、第4入出力端T4、リアクトル322b、スイッチング素子Q4、及び下アームスイッチ部SW2のダイオードD2を含む閉回路を図4Aにおける破線の矢印に示す方向に流れる。すなわち、該電流は、リアクトル322aから第3入出力端T3、商用電力系統CS、及び第4入出力端T4を経由してリアクトル322bに流れ、リアクトル322bからスイッチング素子Q4、及びダイオードD2を経由してリアクトル322aに流れる。
よって、力行モードにおいて第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正である期間でのバスラインBLの低電位側の入出力端TLの電位VTLは通電路P1のW相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2も通電路P1のW相の電位とほぼ同じになる。
次に、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負となる期間では、図3Bの上表に示すように、スイッチング素子Q1、Q4はOFFにされる。また、スイッチング素子Q2はONにされ、スイッチング素子Q3はPWM制御される。
この期間において、スイッチング素子Q3に入力されるPWM信号がHになると、スイッチング素子Q3はONとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図4Bにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第1入出力端T1からバスラインBLの高電位側の入出力端TH、スイッチング素子Q3、及びリアクトル322bを経由して第4入出力端T4に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第3入出力端T3に入力され、リアクトル322a、スイッチング素子Q2を経由してバスラインBLの低電位側の入出力端TLに流れて直流通電路P3の第2入出力端T2に出力される。
一方、PWM信号がLになると、スイッチング素子Q3はOFFとされるが、誘導電流によりリアクトル322a、322bを流れる電流は維持される。この電流は、リアクトル322a、スイッチング素子Q2、下アームスイッチ部SW2のダイオードD4、リアクトル322b、第4入出力端T4、商用電力系統CS、及び第3入出力端T3を含む閉回路を図4Bにおける破線の矢印に示す方向に流れる。すなわち、該電流は、リアクトル322aからスイッチング素子Q2、及びダイオードD4を経由してリアクトル322bに流れ、リアクトル322bから第4入出力端T4、商用電力系統CS、及び第3入出力端T3を経由してリアクトル322aに流れる。
よって、力行モードにおいて第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負である期間でのバスラインBLの低電位側の入出力端TLの電位VTLは通電路P1のU相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2も通電路P1のU相の電位とほぼ同じになる。
以上の結果、第1制御パターンの力行モードでは、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2には、電位Vt3が正の期間でのW相の電位と、電位Vt3が負の期間でのU相の電位とが交互に現れる。なお、蓄電装置2の負極電位Vb−は第2入出力端T2の電位Vt2とほぼ同じとなる。そのため、蓄電装置2の負極電位Vb−の波形にも図6に示すようにW相の電位及びU相の電位が交互に現れ、電位Vt2及び蓄電装置2の負極電位Vb−は0[V]に近い値で推移する。また、蓄電装置2の正極電位Vb+は、負極電位Vb−に蓄電装置2の電位(たとえば100V)を加算した値と同じになり、0[V]に近い値で推移する。従って、力行モードにおいて、電位Vt2、蓄電装置2の負極電位Vb−及び正極電位Vb+を低く抑えることができる。よって、双方向インバータ32のバスラインBL側に繋がる直流通電路P3の対地電圧を低く抑えることができ、たとえば該対地電圧を法定の閾値(家庭内の電力設備での150[V]など)以下になるように抑えることもできる。
((第1制御パターンの回生モード))
次に、第1制御パターンにおいてフルブリッジ回路321が回生モードで動作する場合、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正となる期間では、図3Bの下表に示すように、スイッチング素子Q1、Q3、Q4はOFFにされる。また、スイッチング素子Q2はPWM制御される。また、図6に示すように、回生モードにおける交流電圧Vt3の位相は交流電流It3の位相とほぼ半波長(すなわち1/2周期)ずれている。
この期間において、スイッチング素子Q2に入力されるPWM信号がHになると、スイッチング素子Q2はONとされる。そして、フルブリッジ回路321では、図5Aにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。この電流は、リアクトル322a、スイッチング素子Q2、下アームスイッチ部SW4のダイオードD4、リアクトル322b、第4入出力端T4、商用電力系統CS、及び第3入出力端T3を含む閉回路内を流れる。すなわち、電流は、リアクトル322aからスイッチング素子Q2、及びダイオードD4を経由してリアクトル322bに流れ、リアクトル322bから第4入出力端T4、商用電力系統CS、及び第3入出力端T3を経由してリアクトル322aに流れる。
一方、PWM信号がLになると、スイッチング素子Q2はOFFとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図5Aにおける破線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第2入出力端T2からバスラインBLの低電位側の入出力端TL、下アームスイッチ部SW4のダイオードD4、及びリアクトル322bを経由して第4入出力端T4に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第3入出力端T3に入力され、リアクトル322a、上アームスイッチ部SW1のダイオードD1を経由してバスラインBLの高電位側の入出力端THに流れて直流通電路P3の第1入出力端T1に出力される。
よって、回生モードにおいて第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正である期間でのバスラインBLの低電位側の入出力端TLの電位VTLは通電路P1のW相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2も通電路P1のW相の電位とほぼ同じになる。
次に、フルブリッジ回路321が回生モードで動作する場合、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負である期間では、図3Bの下表に示すように、スイッチング素子Q1〜Q3はOFFにされる。また、スイッチング素子Q4はPWM制御される。
この期間において、PWM信号がLになると、スイッチング素子Q4はOFFとされる。そして、フルブリッジ回路321では、図5Bにおける破線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第2入出力端T2からバスラインBLの低電位側の入出力端TL、下アームスイッチ部SW2のダイオードD2、及びリアクトル322aを経由して第3入出力端T3に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第4入出力端T4に入力され、リアクトル322b、上アームスイッチ部SW3のダイオードD3を経由してバスラインBLの高電位側の入出力端THに流れて直流通電路P3の第1入出力端T1に出力される。
一方、スイッチング素子Q4に入力されるPWM信号がHになると、スイッチング素子Q4はONとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図5Bにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、電流が、リアクトル322a、第3入出力端T3、商用電力系統CS、第4入出力端T4、リアクトル322b、スイッチング素子Q4、及び下アームスイッチ部SW2のダイオードD2を含む閉回路内を流れる。すなわち、電流は、リアクトル322aから第3入出力端T3、商用電力系統CS、及び第4入出力端T4を経由してリアクトル322bに流れ、リアクトル322bからスイッチング素子Q4、及びダイオードD2を経由してリアクトル322aに流れる。
よって、回生モードにおいて第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負である期間でのバスラインBLの低電位側の入出力端TLの電位VTLは通電路P1のU相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2も通電路P1のU相の電位とほぼ同じになる。
以上の結果、第1制御パターンの回生モードでは、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2には、電位Vt3が正の期間でのU相の電位と、電位Vt3が負の期間でのW相の電位とが交互に現れる。従って、蓄電装置2の負極電位Vb−の波形にも図6に示すようにU相の電位及びW相の電位が交互に現れ、電位Vt2及び蓄電装置2の負極電位Vb−は0[V]に近い値で推移する。また、蓄電装置2の正極電位Vb+は、負極電位Vb−に蓄電装置2の電位(たとえば100V)を加算した値と同じになり、0[V]に近い値で推移する。従って、回生モードにおいても力行モードと同様に電位Vt2、蓄電装置2の負極電位Vb−及び正極電位Vb+を低く抑えることができる。よって、双方向インバータ32のバスラインBL側に繋がる直流通電路P3の対地電圧を低く抑えることができ、たとえば該対地電圧を法定の閾値(家庭内の電力設備での150[V]など)以下になるように抑えることもできる。
(第2制御パターン)
次に、双方向インバータ32の第2制御パターンを説明する。図7Aは、第2制御パターンが採用される場合の双方向DC/DCコンバータ33及び蓄電装置2の等価回路である。図7Bは、第2制御パターンにおける双方向インバータ32の制御例を示す表である。図8A及び図8Bは、第2制御パターンにおける力行モードでの双方向インバータ32の制御例を示し、図9A及び図9Bは、第2制御パターンにおける回生モードでの双方向インバータ32の制御例を示している。図10は、第2制御パターンにおける第3入力端T3での交流電圧Vt3及び交流電流It3の波形と蓄電装置2の負極電位Vb−及び正極電位Vb+の波形とを示すグラフである。
図7Aでは、双方向DC/DCコンバータ33において、蓄電装置2の負極と電気的に接続される通電経路にリアクトルLcが接続されている。そのため、蓄電装置2の正極電位Vb+はバスラインBLの高電位側の入出力端THでの電位VTHとほぼ同じになる。このような場合、双方向インバータ32の制御には第2制御パターンが用いられる。
((第2制御パターンの力行モード))
第2制御パターンにおいてフルブリッジ回路321が力行モードで動作する場合、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正となる期間では、図7Bの上表に示すように、スイッチング素子Q1はONにされる。また、スイッチング素子Q2、Q3はOFFにされ、スイッチング素子Q4はPWM制御される。
この期間において、スイッチング素子Q4に入力されるPWM信号がHになると、スイッチング素子Q4はONとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図8Aにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第1入出力端T1からバスラインBLの高電位側の入出力端TH、スイッチング素子Q1、及びリアクトル322aを経由して第3入出力端T3に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第4入出力端T4に入力され、リアクトル322b、スイッチング素子Q4を経由してバスラインBLの低電位側の入出力端TLに流れて直流通電路P3の第2入出力端T2に出力される。
一方、PWM信号がLになると、スイッチング素子Q4はOFFとされるが、誘導電流によりリアクトル322a、322bを流れる電流は維持される。この電流は、リアクトル322a、第3入出力端T3、商用電力系統CS、第4入出力端T4、リアクトル322b、上アームスイッチ部SW3のダイオードD3、及びスイッチング素子Q1を含む閉回路内を図8Aにおける破線の矢印に示す方向に流れる。すなわち、該電流は、リアクトル322aから第3入出力端T3、商用電力系統CS、及び第4入出力端T4を経由してリアクトル322bに流れ、リアクトル322bからダイオードD3、及びスイッチング素子Q1を経由してリアクトル322aに流れる。
よって、第2制御パターンの力行モードにおいて、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正である期間では、バスラインBLの高電位側の入出力端THの電位VTHは通電路P1のU相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1も通電路P1のU相の電位とほぼ同じになる。
次に、フルブリッジ回路321が力行モードで動作する場合、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負である期間では、図7Bの上表に示すように、スイッチング素子Q1、Q4はOFFにされる。また、スイッチング素子Q2はPWM制御され、スイッチング素子Q3はONにされる。
この期間において、スイッチング素子Q2に入力されるPWM信号がHになると、スイッチング素子Q2はONとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図8Bにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第1入出力端T1からバスラインBLの高電位側の入出力端TH、スイッチング素子Q3、及びリアクトル322bを経由して第4入出力端T4に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第3入出力端T3に入力され、リアクトル322a、スイッチング素子Q2を経由してバスラインBLの低電位側の入出力端TLに流れて直流通電路P3の第2入出力端T2に出力される。
一方、PWM信号がLになると、スイッチング素子Q2はOFFとされるが、誘導電流によりリアクトル322a、322bを流れる電流は維持される。従って、フルブリッジ回路321では、図8Bにおける破線の矢印に示す方向に電流が流れる。この電流は、リアクトル322a、上アームスイッチ部SW1のダイオードD1、スイッチング素子Q3、リアクトル322b、第4入出力端T4、商用電力系統CS、及び第3入出力端T3を含む閉回路内を流れる。すなわち、該電流は、リアクトル322a、ダイオードD1、及びスイッチング素子Q3を経由してリアクトル322bに流れ、リアクトル322bから第4入出力端T4、及び第3入出力端T3を経由してリアクトル322aに流れる。
よって、第2制御パターンの力行モードにおいて、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負である期間では、第1入出力端T1の電位Vt1が通電路P1のW相の電位と同じになる。
バスラインBLの高電位側の入出力端THの電位VTHは通電路P1のW相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1も通電路P1のW相の電位とほぼ同じになる。
以上の結果、第2制御パターンの力行モードでは、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1には、電位Vt3が正の期間でのU相の電位と、電位Vt3が負の期間でのW相の電位とが交互に現れる。なお、蓄電装置2の正極電位Vb+は第1入出力端T1の電位Vt1とほぼ同じとなる。そのため、蓄電装置2の正極電位Vb+の波形にも図10に示すようにU相の電位及びW相の電位が交互に現れ、電位Vt1及び蓄電装置2の正極電位Vb+は0[V]に近い値で推移する。また、蓄電装置2の負極電位Vb−は、正極電位Vb+から蓄電装置2の電位(たとえば100V)を減算した値と同じになり、0[V]に近い値で推移する。従って、力行モードにおいて、電位Vt1、蓄電装置2の正極電位Vb+及び負極電位Vb−を低く抑えることができる。よって、双方向インバータ32のバスラインBL側に繋がる直流通電路P3の対地電圧を低く抑えることができ、たとえば該対地電圧を法定の閾値(家庭内の電力設備での150[V]など)以下になるように抑えることもできる。
((第2制御パターンの回生モード))
次に、第2制御パターンにおいてフルブリッジ回路321が回生モードで動作する場合、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正となる期間では、図7Bの下表に示すように、スイッチング素子Q1、Q2、Q4はOFFにされる。また、スイッチング素子Q3はPWM制御される。
この期間において、スイッチング素子Q3に入力されるPWM信号がHになると、スイッチング素子Q3はONとされる。そして、フルブリッジ回路321では、図9Aにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。この電流は、第3入出力端T3、リアクトル322a、上アームスイッチ部SW1のダイオードD1、スイッチング素子Q3、リアクトル322b、第4入出力端T4、及び商用電力系統CSを含む閉回路内を流れる。すなわち、電流は、商用電力系統CSから通電路P1を経由して第3入出力端T3、リアクトル322a、ダイオードD1、スイッチング素子Q3、リアクトル322b、及び第4入出力端T4に流れ、第4入出力端T4から通電路P1を経由して商用電力系統CSに流れる。
一方、PWM信号がLになると、スイッチング素子Q3はOFFとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図9Aにおける破線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第2入出力端T2からバスラインBLの低電位側の入出力端TL、下アームスイッチ部SW4のダイオードD4、及びリアクトル322bを経由して第4入出力端T4に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第3入出力端T3に入力され、リアクトル322a、上アームスイッチ部SW1のダイオードD1を経由してバスラインBLの高電位側の入出力端THに流れて直流通電路P3の第1入出力端T1に出力される。
よって、第2制御パターンの回生モードにおいて、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が正である期間では、バスラインBLの高電位側の入出力端THの電位VTHは通電路P1のU相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1も通電路P1のU相の電位とほぼ同じになる。
次に、フルブリッジ回路321が回生モードで動作する場合、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負となる期間では、図7Bの下表に示すように、スイッチング素子Q1はPWM制御される。また、スイッチング素子Q2〜Q4はOFFにされる。
この期間において、スイッチング素子Q1に入力されるPWM信号がHになると、スイッチング素子Q1はONとされる。そして、フルブリッジ回路321では、図9Bにおける実線の矢印に示す方向に電流が流れる。この電流は、第4入出力端T4、リアクトル322b、上アームスイッチ部SW3のダイオードD3、スイッチング素子Q1、リアクトル322a、第3入出力端T3、及び商用電力系統CSを含む閉回路内を流れる。すなわち、電流は、商用電力系統CSから通電路P1を経由して第4入出力端T4、リアクトル322b、ダイオードD3、スイッチング素子Q1、リアクトル322a、及び第3入出力端T3に流れ、第3入出力端T3から通電路P1を経由して商用電力系統CSに流れる。
一方、PWM信号がLになると、スイッチング素子Q1はOFFとされる。従って、フルブリッジ回路321では、図9Bにおける破線の矢印に示す方向に電流が流れる。すなわち、該電流は、直流通電路P3の第2入出力端T2からバスラインBLの低電位側の入出力端TL、下アームスイッチ部SW2のダイオードD2、及びリアクトル322aを経由して第3入出力端T3に流れて通電路P1に出力される。また、該電流は、商用電力系統CSを経由して通電路P1から第4入出力端T4に入力され、リアクトル322b、上アームスイッチ部SW3のダイオードD3を経由してバスラインBLの高電位側の入出力端THに流れて直流通電路P3の第1入出力端T1に出力される。
よって、第2制御パターンの回生モードにおいて、第3入出力端T3での交流電圧Vt3が負である期間では、バスラインBLの高電位側の入出力端TLHの電位VTHは通電路P1のW相の電位と同じになる。従って、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1も通電路P1のW相の電位とほぼ同じになる。
以上の結果、第2制御パターンの回生モードでは、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1には、電位Vt3が正の期間でのU相の電位と、電位Vt3が負の期間でのW相の電位とが交互に現れる。従って、蓄電装置2の負極電位Vb+の波形にも図10に示すようにU相の電位及びW相の電位が交互に現れ、電位Vt1及び蓄電装置2の正極電位Vb+は0[V]に近い値で推移する。また、蓄電装置2の負極電位Vb−は、正極電位Vb+から蓄電装置2の電位(たとえば100V)を減算した値と同じになり、0[V]に近い値で推移する。従って、回生モードにおいても力行モードと同様に電位Vt1、蓄電装置2の正極電位Vb+及び負極電位Vb−を低く抑えることができる。よって、双方向インバータ32のバスラインBL側に繋がる直流通電路P3の対地電圧を低く抑えることができ、たとえば該対地電圧を法定の閾値(家庭内の電力設備での150[V]など)以下になるように抑えることもできる。
<比較例>
比較例では、双方向DC/DCコンバータ33においてリアクトルLcが蓄電装置2の正極と電気的に接続される通電経路に接続される場合(図3A参照)、双方向インバータ32の第2制御パターン(図8A〜図9B参照)を用いて制御される。また、双方向DC/DCコンバータ33においてリアクトルLcが蓄電装置2の負極と電気的に接続される通電経路に接続される場合(図7A参照)、双方向インバータ32の第1制御パターン(図4A〜図5B参照)を用いて制御される。このような場合、双方向インバータ32のバスラインBL側に繋がる直流通電路P3の対地電圧を低く抑えることができず、該対地電圧を法定の閾値(家庭内の電力設備での150[V]など)以下になるように抑えることも難しくなる。
たとえば、図3Aの構成において、第2制御パターンを用いて双方向インバータ32を制御する場合を考える。この場合、力行モードにおいて、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2には、電位Vt3が正の期間におけるU相の電位からバスラインBLの電位差(たとえば300〜350[V])を減算した電位と、電位Vt3が負の期間におけるW相の電位からバスラインBLの電位差を減算した電位とが交互に現れる。また、回生モードにおいて、電位Vt3が正の期間におけるU相の電位からバスラインBLの電位差を減算した電位と、電位Vt3が負の期間でのW相の電位からバスラインBLの電位差を減算した電位とが交互に現れる。さらに、蓄電装置2の負極電位Vb−は入出力端TLの電位VTLと同じになる。なお、正極電位Vb+は負極電位Vb−に蓄電装置2の電位(たとえば100[V])を加算した値と同じになる。そのため、電位Vt2、蓄電装置2の負極電位Vb−及び正極電位Vb+は0[V]から大きく離れた値で推移する。従って、この場合、直流通電路P3及び蓄電装置2の対地電圧を低く抑えることができない。よって、双方向DC/DCコンバータ33においてリアクトルLcが蓄電装置2の正極と電気的に接続される場合(図3A参照)、変換制御部363は双方向インバータ32の制御に第2制御パターンを用いない。
また、図7Aの構成において、第1制御パターンを用いて双方向インバータ32を制御する場合を考える。この場合、力行モードにおいて、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1には、電位Vt3が正の期間におけるW相の電位にバスラインBLの電位差(たとえば300〜350[V])を加算した電位と、電位Vt3が負の期間におけるU相の電位にバスラインBLの電位差を加算した電位とが交互に現れる。また、回生モードにおいて、電位Vt3が正の期間におけるW相の電位にバスラインBLの電位差を加算した電位と、電位Vt3が負の期間でのU相の電位にバスラインBLの電位差を加算した電位とが交互に現れる。さらに、蓄電装置2の正極電位Vb+は入出力端THの電位VTHと同じになる。なお、負極電位Vb−は正極電位Vb+から蓄電装置2の電位(たとえば100[V])を減算した値と同じになる。そのため、電位Vt1、蓄電装置2の負極電位Vb−及び正極電位Vb+は0[V]から大きく離れた値で推移する。従って、この場合も、直流通電路P3及び蓄電装置2の対地電圧を低く抑えることができない。よって、双方向DC/DCコンバータ33においてリアクトルLcが蓄電装置2の負極と電気的に接続される場合(図7A参照)、変換制御部363は双方向インバータ32の制御に第1制御パターンを用いない。
以上、本実施形態によれば、電力変換装置3は、交流通電路P1及び直流通電路P3と電気的に接続され、直流通電路P3を流れる直流電力を交流電力に変換して交流通電路P1に出力する第1変換モード(逆変換モード)と、交流通電路P1を流れる交流電力を直流電力に変換して直流通電P3に出力する第2変換モード(順変換モード)と、を有する電力変換装置3であって、上アームスイッチ部SW1、SW3及び下アームスイッチ部SW2、SW4を有するスイッチ列321a、321bを複数含む電力変換回路321と、電力変換回路321を制御する制御部373と、を備え、上アームスイッチ部SW1、SW3の一端が直流通電路P3の第1入出力端T1と電気的に接続されるとともに他端が下アームスイッチ部SW2、SW4の一端及び交流通電路P1と電気的に接続され、下アームスイッチ部SW2、SW4の他端が直流通電路P3の第2入出力端T2と電気的に接続され、第1入出力端T1の電位Vt1は第2入出力端T2の電位Vt2よりも高く、制御部373は、第1制御パターン及び第2制御パターンのうちの一方を用いて電力変換回路321を制御することより、直流通電路P1の対地電圧の絶対値を閾値(たとえば家庭内の電力設備での法定の電圧閾値150[V]など)以下に低減し、第1制御パターンでは、第1変換モード(逆変換モード)にて上アームスイッチ部SW1、SW3のスイッチング素子Q1、Q3が高周波スイッチング(たとえばPWM信号に基づく切換制御)されるとともに、第2変換モード(順変換モード)にて下アームスイッチ部SW2、SW4のスイッチング素子Q2、Q4が高周波スイッチングされ、第2制御パターンでは、第1変換モード(逆変換モード)にて下アームスイッチ部SW2、SW4のスイッチング素子Q2、Q4が高周波スイッチングされるとともに、第2変換モード(順変換モード)にて上アームスイッチ部SW1、SW3のスイッチング素子Q1、Q3が高周波スイッチングされる構成とされる。
この構成によれば、直流通電路P3と交流通電路P1との間に接続される電力変換装置3の電力変換回路321を第1制御パターン又は第2制御パターンを用いて制御することにより、直流通電路P3の対地電圧の絶対値を閾値(家庭内の電力設備での法定の電圧閾値150[V]など)以下に低減する。すなわち、第1制御パターンでは、直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2に交流通電路P1の電位Vt3、Vt4に応じた電位が現れる。また、第1制御パターンでは、直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1に交流通電路P1の電位に応じた電位Vt3、Vt4が現れる。従って、第1制御パターン及び第2制御パターンを使い分けて電力変換回路321を制御することにより、直流通電路P3の対地電圧を低く抑えることができる。
また、本実施形態によれば、上述の電力変換装置3において、直流通電路P3には直流電源装置2が接続され、制御部373は、第1制御パターン及び第2制御パターンのうち、直流電源装置2の配線における対地電圧Vb+、Vb−の絶対値がより低くなる方の制御パターンを用いて電力変換回路321を制御する構成とされる。
この構成によれば、第1制御パターン又は第2制御パターンを用いて電力変換回路321を制御することにより、直流通電路P3に接続される直流電源装置2の対地電圧の絶対値をより確実に低く抑えることができる。
また、本実施形態によれば、上述の電力変換装置3において、制御部373は、下アームスイッチ部SW2、SW4の他端の電位VTLが直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2と同じであれば、制御部373は第1制御パターンを用いて電力変換回路321を制御し、上アームスイッチ部SW1、SW3の一端の電位VTHが直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1と同じであれば、第2制御パターンを用いて電力変換回路321を制御する構成とされる。
この構成によれば、電力変換回路321及び直流通電路P3間の電気的な接続の構成に応じて、対地電圧の絶対値の低減により適した制御パターンを選択することができる。
また、本実施形態によれば、上述の電力変換装置3において、複数のスイッチ列321a、321bは、上アームスイッチ部SW1、SW3及び下アームスイッチ部SW2、SW4間が交流通電路P1の第3入出力端T3と電気的に接続される第1スイッチ列321aと、上アームスイッチ部SW1、SW3及び下アームスイッチ部SW2、SW4間が交流通電路P1の第4入出力端T4と電気的に接続される第2スイッチ列321bとを含み、第1制御パターンでは、第1変換モード(逆変換モード)にて、第3入出力端T3の交流電圧Vt3が正であれば第1スイッチ列321aにおける上アームスイッチ部SW1のスイッチング素子Q1が高周波スイッチングされるとともに第2スイッチ列321bにおける下アームスイッチ部SW4のスイッチング素子Q4がONにされ、交流電圧Vt3が負であれば第2スイッチ列321bにおける上アームスイッチ部SW3のスイッチング素子Q3が高周波スイッチングされるとともに第1スイッチ列321aにおける下アームスイッチ部SW2のスイッチング素子Q2がONにされ、第2変換モードにて、交流電圧Vt3が正であれば第1スイッチ列321aの下アームスイッチ部SW2のスイッチング素子Q2が高周波スイッチングされ、交流電圧Vt3が負であれば第2スイッチ列321bの下アームスイッチ部SW4のスイッチング素子Q4が高周波スイッチングされる構成とされる。
この構成によれば、第1制御パターンの第1変換モードでは、下アームスイッチ部SW2、SW4の他端の電位VTLには、第3入出力端T3の電位Vt3が正の期間における第4入出力端T4の電位Vt4と、電位Vt3が負の期間における第3入出力端T3の電位Vt3とが交互に現れる。また、第2変換モードでは、電位VTLには、第3入出力端T3の電位Vt3が正の期間における第3入出力端T3の電位Vt3と、電位Vt3が負の期間における第4入出力端T4の電位Vt4とが交互に現れる。従って、下アームスイッチ部SW2、SW4の他端の電位VTLが直流通電路P3の第2入出力端T2の電位Vt2と同じとなるように、直流通電路P3及び電力変換回路321間が接続されていれば、第1制御パターンを用いた電力変換回路321の制御によって、直流通電路P3の対地電圧の絶対値を低く抑えることができる。
また、本実施形態によれば、上述の電力変換装置3において、複数のスイッチ列321a、321bは、上アームスイッチ部SW1、SW3及び下アームスイッチ部SW2、SW4間が交流通電路P1の第3入出力端T3と電気的に接続される第1スイッチ列321aと、上アームスイッチ部SW1、SW3及び下アームスイッチ部SW2、SW4間が交流通電路P1の第4入出力端T4と電気的に接続される第2スイッチ列321bとを含み、第2制御パターンでは、第1変換モードにて、第3入出力端T3の交流電圧Vt3が正であれば第2スイッチ列321bにおける下アームスイッチ部SW4のスイッチング素子Q4が高周波スイッチングされるとともに第1スイッチ列321aにおける上アームスイッチ部SW1のスイッチング素子Q1がONにされ、交流電圧Vt3が負であれば第1スイッチ列321aにおける下アームスイッチ部SW2のスイッチング素子Q2が高周波スイッチングされるとともに第2スイッチ列321bにおける上アームスイッチ部SW3のスイッチング素子Q3がONにされ、第2変換モードにて、交流電圧Vt3が正であれば第2スイッチ列321bの上アームスイッチ部SW3のスイッチング素子Q3が高周波スイッチングされ、交流電圧Vt3が負であれば第1スイッチ列321aの上アームスイッチ部SW1のスイッチング素子Q1が高周波スイッチングされる構成とされる。
この構成によれば、第2制御パターンの第1変換モードでは、上アームスイッチ部SW1、SW3の一端の電位VTHには、第3入出力端T3の電位Vt3が正の期間における第3入出力端T3の電位Vt3と、電位Vt3が負の期間における第4入出力端T4の電位Vt4とが交互に現れる。また、第2変換モードでは、電位VTHには、第3入出力端T3の電位Vt3が正の期間における第3入出力端T3の電位Vt3と、電位Vt3が負の期間における第4入出力端T4の電位Vt4とが交互に現れる。従って、上アームスイッチ部SW1、SW3の一端の電位VTHが直流通電路P3の第1入出力端T1の電位Vt1と同じとなるように、直流通電路P3及び電力変換回路321間が接続されていれば、第2制御パターンを用いた電力変換回路321の制御によって、直流通電路P3の対地電圧の絶対値を低く抑えることができる。
また、本実施形態によれば、上述の電力変換装置3において、交流通電路P1は、電力系統CSと電気的に接続された系統電力網であり、電力負荷LSにも接続されている構成とされる。
この構成によれば、交流通電路P1及び直流通電路P3間で双方向の電力変換を行う電力変換装置3を、電力系統CSと連系運転して電力負荷LSに電力供給可能な電力システムに適用することができる。
また、本実施形態によれば、上述の電力変換装置3において、複数のスイッチ列321a、321bのうちの少なくとも1つは、一端が上アームスイッチ部SW1、SW3及び下アームスイッチ部SW2、SW4間に接続されて他端が交流通電路P1と電気的に接続される誘導素子322a、322bをさらに有する構成とされる。
この構成によれば、上アームスイッチ部SW1、SW3のスイッチング素子Q1、Q3又は下アームスイッチ部SW2、SW4のスイッチング素子Q2、Q4が高周波スイッチングされる際、誘導素子322a、322bの作用により、直流通電路P3及び電力変換回路321間の電流を途切れなく流すことができる。従って、電力変換回路321の電力変換を維持することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、太陽光発電システム100は2つの太陽電池ストリング1a、1bを有する。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。また、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図11は、太陽光発電システム100の他の構成例を示すブロック図である。図11に示すように、太陽電池ストリング1は2つの太陽電池ストリング1a、1bを含んで構成される。なお、図11の例示に限定されず、太陽電池ストリング1は3以上であってもよい。
各太陽電池ストリング1a、1bはそれぞれPCS3a、3bを介して通電路P1に接続されている。通電路P1は、第1通電路P1a、第2通電路P1b、及び第3通電路P1cを含んで構成される。PCS3aは、第1通電路P1aを介して商用電力系統CSに接続され、直流通電路P2aを介して太陽電池ストリング1aに接続されている。なお、PCS3aの構成は第1実施形態のPCS3(図1参照)と同様であるため、その説明は割愛する。
PCS3bは、太陽電池ストリング1bの発電を制御する電力変換装置である。PCS3bは、第3通電路P1cを介して商用電力系統CSに接続され、直流通電路P2bを介して太陽電池ストリング1bに接続されている。PCS3bは、通常時には、たとえばMPPT制御により、太陽電池ストリング1bの発電電力が最大となるようにその動作電圧(動作点)を制御する。但し、PCS3bは、太陽電池ストリング1bの発電を制限する必要がある場合、その動作電圧を最大出力動作電圧からずれた値に設定して、その発電電力を調整する。
このPCS3bは、インバータ32bと、通信部35bと、記憶部36bと、CPU37と、を有している。
インバータ32bは、CPU37bにより制御される直流電力変換部であり、太陽電池ストリング1b及び第3通電路P1c間に設けられている。インバータ32bは、PWM制御又はPAM制御などによって、太陽電池ストリング1bから出力される直流の発電電力を商用電力系統CS及び電力負荷LSの電力規格に応じた交流周波数の交流電力に変換して第3通電路P1cに出力することができる。また、インバータ32bは太陽電池ストリング1bに逆電流が流れることを防止している。
通信部35bは、コントローラ4の通信部43と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。
記憶部36bは、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する不揮発性の記憶媒体である。記憶部36bは、PCS1bの各機能要素(特にCPU37b)で用いられる制御情報及びプログラムなどを格納している。
CPU37bは、記憶部36bに格納された情報及びプログラムなどを用いて、PCS3bの各構成要素を制御する制御部である。たとえば、CPU37bは、コントローラ4から出力される制御信号に基づいて、インバータ32bを制御し、特にその電力変換を制御する。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、分散型電源が太陽光以外の再生可能エネルギーを利用した発電(風力、水力、地熱、バイオマス、太陽熱など自然エネルギー発電、廃棄物発電など)を行う。以下では、第1及び第2実施形態と異なる構成について説明する。また、第1及び第2実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
ここでは、再生可能エネルギーを利用した発電システムの一例として、風力発電システム100cを挙げて説明する。風力発電システム100cは、風力を利用した発電方式で電力供給を行う分散型電源である。
図12は、風力発電システム100cの構成例を示すブロック図である。図12に示すように、風力発電システム100cは、蓄電装置2、及びコントローラ4のほか、風力発電装置1c及びPCS3cを備えている。
風力発電装置1cは、たとえば水平軸プロペラ式の風車(不図示)と、風車の回転により駆動される発電機(不図示)とを含んで構成される。風車のブレードが風を受けると、風車が回転する。その回転力が発電機に伝達され、交流の電力が発電機から発電電力として出力される。この風力発電装置1cは交流通電路P2cを介してPCS3cに接続されている。
PCS3cは、双方向インバータ32、双方向DC/DCコンバータ33、平滑コンデンサ34、通信部35、記憶部36、及びCPU37のほかに、AC/DCコンバータ31cを有している。AC/DCコンバータ31cは、風力発電装置1c及びバスラインBL間に設けられ、風力発電装置1cの交流の発電電力を直流の電力に変換してバスラインBLに出力する。また、AC/DCコンバータ31cは、風力発電装置1cに逆電流が流れることを防止する逆流防止装置としても機能している。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上述の第1〜第3実施形態では、フルブリッジ回路321の構成は図2などの例示に限定されない。たとえば、フルブリッジ回路321において、3つ以上のスイッチ列が並列接続される構成であってもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態では、通電路P1には商用電力系統CSが接続されているが、商用電力系統CS以外の交流電力源が通電路P1に接続されていてもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態において、CPU37の機能的な構成要素371〜374のうちの少なくとも一部又は全部は、物理的な構成要素(たとえば電気回路、素子、装置など)で実現されていてもよい。
また、上述の第1〜第3実施形態では、太陽光発電システム100、100cのPCS3、3a〜3cを例示して本発明を説明しているが、本発明はこれらの例示に限定されない。本発明は、蓄電装置2が接続される直流通電路(たとえばバスラインBL)と交流通電路(たとえば通電路P1)との間に接続される双方向インバータ32を有する装置に広く適用することができる。