本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<A.画像形成装置の装置構成>
まず、本実施の形態に従う画像形成装置1の装置構成について説明する。本実施の形態に従う露光走査については、任意の電子写真方式に適用可能である。以下では、典型例として、カラー画像を形成するタンデム式の画像形成装置について例示する。但し、カラー画像を形成するサイクル方式(典型的には、4サイクル方式)にも適用できるし、モノクロ画像を形成する装置構成にも適用できる。また、電子写真方式に従う画像形成機能を搭載していれば、複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)、プリンター、ファクシミリといった実装形態については、特に制限はない。
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置1の装置構成を示す要部断面図である。図1を参照して、画像形成装置1は、中間転写ベルト20に沿って配列された、イメージングユニット10K,10C,10M,10Y(以下、「イメージングユニット10」と総称する場合もある。)を含む。イメージングユニット10K,10C,10M,10Yは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各色のトナー像を形成する。
イメージングユニット10K,10C,10M,10Yは、それぞれ、感光体11K、11C、11M、11Y(以下、「感光体11」と総称する場合もある。)と、感光体11の周辺に配置された、書込部12K、12C、12M、12Y(以下、「書込部12」と総称する場合もある。)と、現像部13K、13C、13M、13Y(以下、「現像部13」と総称する場合もある。)と、1次転写部14K、14C、14M、14Y(以下、「転写部14」と総称する場合もある。)と、クリーニング部15K、15C、15M、15Y(以下、「クリーニング部15」と総称する場合もある。)と、帯電部16K、16C、16M、16Y(以下、「帯電部16」と総称する場合もある。)とを含む。
感光体11でのトナー像を形成するプロセスについて説明する。画像形成装置1における画像形成プロセスは、主として、画像形成装置1内の制御部100によって制御される。
各感光体11は、画像形成装置1での画像形成プロセスに応じて、図中の矢印A方向に回転する。また、中間転写体である中間転写ベルト20は、中間転写体駆動ローラー21,22,23により張架されて、図中の矢印B方向に回転する。
書込部12は、形成すべき画像に応じて、レーザー光を感光体11上に走査する。感光体11の表面は、書込部12の上流側に配置されている帯電部16によって、所定電位に帯電されており、書込部12によりレーザー光が走査された部分(感光部分)は、当該所定電位とは異なる電位になる。感光体11の回転により、感光部分は現像部13に接触し、現像部13から供給されるトナーによってトナー像として現像される。感光体11の回転により、現像されたトナー像は、中間転写ベルト20との接触位置まで到達すると、転写部14によって所定の電位が印加されることで、感光体11から中間転写ベルト20へ転写される。
各イメージングユニット10から各色のトナー像がタイミングを合わせて中間転写ベルト20へ転写されることで、4色のトナー像が重ね合わされて、目的のカラー画像が形成される。重ね合わされたカラー画像は、2次転写ローラー32にて、給紙ローラー31によってタイミングを合わせて給紙された媒体30に転写される。媒体30に転写されたカラー画像は、図示しない定着装置により媒体30上に定着される。
一方、トナー像が転写された後の感光体11は、クリーニング部15によりその表面に残留する残りトナーなどが除去されて、再度、帯電部16により帯電されることで、次のトナー像を形成する準備が整えられる。
<B.書込部12の構成および動作>
次に、図1に示すイメージングユニット10に含まれる書込部12の構成および動作について説明する。
図2は、本実施の形態に従う画像形成装置1のイメージングユニット10に含まれる書込部12の構成および動作を説明する模式図である。本実施の形態に従う書込部12は、複数のビーム(レーザ光)を用いて感光体11上を走査することで、静電潜像を形成する。走査に用いられるビーム数は、例えば、8本または32本といった任意の数に設計できる。一般的には、ビーム径を小さくして、ビーム数を増加させるほど、解像度を高めることができる。説明の便宜上、以下では、ビーム数が2本である書込部12について説明する。但し、本明細書の全体を考慮すれば、本発明がより多くのビーム数を有する書込部に応用できることは当業者にとって自明であろう。
図2を参照して、書込部12は、走査に用いるビームであるレーザー光を発生させる光源として、2つのレーザーダイオード(Laser Diode;以下「LD」とも記載する。)121,122と、レーザーダイオード121,122から照射されるレーザー光を感光体11上の目的の位置に導くための偏向器123とを含む。
偏向器123としては、典型的には、ポリゴンミラーで構成される。書込部12が書き込むべき画像の濃淡に応じたタイミングで、レーザーダイオード121,122は、レーザー光を照射するとともに、偏向器123は、レーザーダイオード121,122からのレーザー光のビームが感光体11上の所定位置(主走査方向における所定位置)に入射するように、その回転角度(回転位置)を変化させる。このような動作によって、偏向器123は、レーザーダイオード121(LD1)およびレーザーダイオード122(LD2)からそれぞれ照射される第1および第2のビームを感光体11上に走査させる。
このようなレーザーダイオード121,122および偏向器123の連係によって、感光体11上に目的の静電潜像が形成される。すなわち、書込部12においては、複数の光源であるレーザーダイオード121,122が発したレーザー光を偏向器123にて目的の方向に偏向させ、光学系である走査レンズ124,125を介して、感光体11上に集光させる。このような一連の動作により、レーザー光による走査露光が実現される。
以下の説明では、偏向器123によるビームの走査は、感光体11の回転軸方向に沿って行なわれ、この走査方向を「主走査方向」と称す。この主走査方向と直交する方向を「副走査方向」と称す。
図2の左下部に示すように、レーザーダイオード121,122からの走査に用いられるそれぞれのビームは、感光体11上で副走査方向に離れた位置に配置され、それぞれ異なった主走査方向に平行なラインを走査する。図中において、レーザーダイオード121(LD1:第1の光源)から照射されたレーザー光をビーム1として記し、レーザーダイオード122(LD2:第2の光源)から照射されたレーザー光をビーム2として記す。
図2には、2つの走査レンズ124および125を光学系として図示するが、感光体11の大きさ、書込部12の取り付け位置などに応じて、最適な光学系を設計すればよい。
偏向器123によるレーザー光の走査のタイミングなどは、偏向器123で偏向されるレーザー光の一部を監視することで制御される。書込部12は、走査に用いられるレーザー光の一部を受光するSOS(Start Of Scan)センサー126を含む。SOSセンサー126は、偏向器123からレーザー光を受光すると、主走査位置の基準位置を示す基準信号(SOS信号)を制御部100へ出力する。制御部100は、SOSセンサー126からの基準信号に基づいて、複数の光源であるレーザーダイオード121,122を制御する。
制御部100は、書込部12の制御に関するコンポーネントとして、タイミング生成部102と、光量ムラ補正部110と、補正データ106とを含む。タイミング生成部102は、SOSセンサー126からの基準信号を受けて、主走査方向の走査の開始位置(開始タイミング)を取得する。
光量ムラ補正部110は、感光体11上の主走査位置に応じて、レーザーダイオード121(LD1)およびレーザーダイオード122(LD2)から照射されるそれぞれのビームの発光光量を調整する。より具体的には、光量ムラ補正部110は、タイミング生成部102にて決定された開始タイミングに従って、補正データ106を参照しつつ、レーザーダイオード121,122の発光光量を制御する。特に、光量ムラ補正部110は、レーザーダイオード121(LD1)およびレーザーダイオード122(LD2)の別に、感光体11上の走査方向に沿って定義される複数の区間ごとにそれぞれ補正値が定義された補正データ106に含まれる補正値情報に基づいて、発光光量を調整するように構成される。このような構成を採用することで、レーザーダイオード121,122の発光光量の大きさは、形成されるべき画像および各走査時におけるビームの主走査位置に応じて、それぞれ調整される。
図2に示すように、感光体11上の主走査方向の任意の位置にビームを照射できるように、偏向器123および光学系(走査レンズ124,125)が設計されるが、主走査方向の各位置についての光学経路上の光学特性(光学部品の透過率の差および反射率の差)は、均一ではないので、主走査位置に応じて、照射されるビーム強度のムラ(光量ムラ)が生じ得る。光量ムラ補正部110は、このような感光体11に入射するビーム強度のムラを補正するものである。
<C.複数ビームによる走査の課題およびその解決手段>
次に、複数ビームによる走査において生じる課題およびその解決手段について説明する。
(c1:光量ムラ補正)
上述したように、ビーム走査に係る光学系の不均一などに起因して、主走査方向に生じる光量ムラを補正する必要がある。図3は、光量ムラ補正を説明するための模式図である。
光量ムラは、主走査方向の各位置についての光学経路上の光学特性(光学部品の透過率の差および反射率の差)の不均一性に起因するものである。このような光学特性の不均一性を抑制するために、例えば、光学部品に特殊なコーティングを施すことで、透過率および反射率を向上させて、主走査方向の各位置についての光学特性差を抑制するという対処も存在する。図3(A)に示すように、レーザーダイオード(光源)の発光光量を制御せず、主走査位置に依存した光学特性(相対値)の変化を可能な限り抑制することで、最終的に感光体11上に生じる光量ムラを低減するというアプローチである。
しかしながら、当該コーティングは、主走査方向に沿って一様に行なっているため、光量ムラをゼロにすることまではできず、結果的に、数%の光量ムラが存在する場合もある。また、光学部品に施されるコーティングは、製品のコストアップにつながるという問題もあった。
そこで、図3(B)に示すように、レーザーダイオード(光源)の発光光量を、光学特性差に応じて制御することで、最終的に感光体11上に生じる光量ムラを略ゼロに低減できる。この場合には、主走査位置に依存した光学特性の変化が大きくても、発光光量を制御することで、感光体11上に主走査位置に依存することなく、ビーム強度を略一定に制御できる。
光量ムラをより高精度に補正するためには、光学系が有している光学特性の不均一性について、より多くの補正ポイントを設定することで、補正後の照射強度のプロファイルを所定の特性に近づける必要がある。一方で、より多くの補正ポイントを設定すると、補正ポイントごとに設定される補正データの量が増加し、その補正データを保持するメモリー容量が増加するとともに、補正ポイントを設定するための回路規模も増加するという課題がある。
(c2:複数ビームによる走査)
複数ビームによる走査を採用する場合には、以下のような処理が実施される。図4は、複数ビームでの走査により画像を形成する処理を説明するための模式図である。図4には、ビーム1およびビーム2を走査させて画像を形成する処理を模式的に示す。
このような複数ビームでの画像形成を用いることで、LD1により走査されたビーム1とLD2により走査されたビーム2とを2次元的に合成した潜像が感光体11上に形成されることになる。すなわち、形成される画像は、ビーム1とビーム2の走査されたビームの合成となる。
このような複数ビームによる走査を行なう場合において、上述のような光量ムラを補正するときには、各ビームについて補正データを用意する必要がある。上述したように、光量ムラ補正をより高精度に実施するためには、より多くのリソースが必要になるが、複数ビームを用いることで、さらに多くのリソースが必要になる。
本実施の形態に従う画像形成装置1は、複数ビームを用いて画像形成する場合においても、主走査方向に生じる光量ムラを、より少ないリソースで効率的に補正する方法を提供する。具体的には、複数の光源(レーザーダイオード)の各々について、光量ムラを補正する位置およびその補正量を個別に設定することにより、少ない補正ポイント数でより高精度に補正を行なう。すなわち、複数の光源からの発光光量をより高精度に制御する。
(c3:関連技術に係る光量ムラ補正の実装例)
次に、関連技術に係る光量ムラ補正の実装例について説明する。図5は、ビーム数が1の露光走査における光量ムラ補正を説明するための図である。
図5(A)には、主走査位置についての感光体11上の光量の変化特性(光量ムラ補正前)を示す。すなわち、図5(A)に示す変化特性は、光源であるレーザーダイオードから一定光量の出射光で走査した場合の感光体11上に現れる光量の比を示す。図5(A)に示すような、主走査位置ごとに生じる感光体11上の光量比の差は、偏向器123の反射率の差や光学素子の透過率の差などに起因するものである。
図5(B)には、主走査位置についてのレーザーダイオードの発光光量の変化特性を示す。感光体11上の光量比の逆数に応じてレーザーダイオードの発光光量を制御すれば、感光体11上の光量を一定にし、光量ムラを抑制できる。本来は、図5(B)の発光光量(理想値)に従って発光光量を制御すべきであるが、現実の実装では、主走査位置に関連付けて設定される補正ポイントごとに、レーザーダイオードの発光光量が制御される。すなわち、図5(B)の発光光量(理想値)を発光光量の目標値として、補正ポイントごとに光量補正値が設定される。
このような光量ムラ補正によって、図5(C)に示すような、主走査位置についての感光体11上の光量の変化特性(光量ムラ補正後)を得ることができる。すなわち、発光光量を制御しつつ走査されたレーザー光により、光学特性の不均一によって生じた光量ムラを相殺できる。
次に、複数のビームを用いて走査する場合について説明する。図6は、ビーム数が2の露光走査における光量ムラ補正を説明するための図である。図6には、LD1およびLD2からそれぞれ照射される2本のビームについて、同一の補正ポイントごとに光量ムラ補正がなされる例を示す。
図6(A)には、LD1に対する光量ムラ補正による特性変化を示し、図6(B)には、LD2に対する光量ムラ補正による特性変化を示す。複数のビームを用いた走査の場合、それら複数のビームに対してそれぞれ光量ムラ補正を行なう。図6(A)と図6(B)とを比較するとわかるように、回路規模が大きくならないように、複数のビームに対して同一の主走査位置に補正ポイントを配置して光量ムラ補正を行なう。この結果、図6(C)に示すように、複数のビームで走査したとしても、単一のビームで走査した場合と同等の補正後の特性となる。すなわち、図6(C)に示すように、光量ムラ補正がなされた後であっても、感光体11上には、ある程度の光量ムラが残ることになる。
(c4:解決手段)
本実施の形態においては、補正ポイントの過大な増加を抑制しつつ、光量ムラ補正のための補正ポイント(位置)および補正量を、複数のビームに対してそれぞれ異なる値に設定することで、光量ムラをより高精度で補正する。より具体的には、本実施の形態においては、レーザーダイオード121(LD1)についての複数の区間の境界を定義する補正ポイント群の少なくとも一部の補正ポイント(第1の補正ポイント)は、レーザーダイオード122(LD2)についての複数の区間の境界を定義する補正ポイントのうち、隣接する補正ポイント(第2の補正ポイント)の間に設定される。
なお、本明細書において、「補正ポイント」は、主走査方向におけるビームの走査に関連付けられた位置または区間を指定するための情報を意味し、感光体11上の主走査方向における相対位置または絶対位置(すなわち、主走査位置)を用いて定義されてもよいし、ビームの走査速度が既知であれば、感光体11上の主走査方向の予め定められた基準位置からの遅延時間などを用いて定義されてもよい。さらに、偏向器123の変位量(変位角度または変位位相など)を用いて定義されてもよい。以上のとおり、本明細書における「補正ポイント」は、ビームの発光光量を変化させる条件または設定を定義可能な種々の物理量を意味する。
以下、本実施の形態に従ういくつかの具体例について説明する。但し、本発明の技術的範囲は、本願の特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきである。
<D.光量ムラ補正その1>
まず、本実施の形態に従う画像形成装置に用いられる光量ムラ補正の一例について説明する。
図7は、本実施の形態に従う画像形成装置に用いられる光量ムラ補正(その1)を説明するための図である。図7(A)には、LD1に対する光量ムラ補正による特性変化を示し、図7(B)には、LD2に対する光量ムラ補正による特性変化を示す。
図7(A)と図7(B)とを比較するとわかるように、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントの位置(主走査位置)は、レーザーダイオード122(LD2)の2つの補正ポイントの間に設定されている。同様に、レーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントの位置(主走査位置)は、レーザーダイオード121(LD1)の2つの補正ポイントの間に設定されている。
より具体的には、図7(A)に示される区間1−2と区間2−3との境界となる補正ポイントは、図7(B)に示される区間1−2の開始位置を定義する補正ポイントと区間1−2の終了位置を定義する補正ポイントとの間に配置されることになる。同様に、図7(B)に示される区間1−2と区間2−3との境界となる補正ポイントは、図7(A)に示される区間2−3の開始位置を定義する補正ポイントと区間2−3の終了位置を定義する補正ポイントとの間に配置されることになる。
図7(A)および図7(B)に示すように、レーザーダイオード121(LD1)およびレーザーダイオード122(LD2)にそれぞれ異なる補正ポイントを設定した上で、2本のビームをそれぞれ走査することで、図7(C)に示すような合成結果が得られる。図7(C)に示す合成結果は、図7(A)および図7(B)に示される光量ムラ補正後のプロファイルを積分したものに相当する。
図7(C)と図6(C)とを比較すると、複数のビームに対して同一の主走査位置に補正ポイントを配置する場合に比較して、光量ムラをより抑制できていることがわかる。これは、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントとレーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントとを互いに2つの補正ポイントの間に配置することで、光量ムラをより細やかに補正できるからである。
このように、図6に示すように、2つのレーザーダイオードについて同一の補正ポイントを設定するのではなく、それぞれのレーザーダイオードについて独立に発光光量を調整することで、トータルで生じる光量ムラを低減できる。
図4を参照して説明したように、感光体11上を露光するビームは、レーザーダイオード121(LD1)およびレーザーダイオード122(LD2)からそれぞれ出力された2本のビームが隣接して走査されて画像が形成される。本実施の形態においては、2つのレーザーダイオードについての補正ポイントが互いにその間に配置されているので、隣接したビームを積分して得られる光量は、区間ごとのギャップを補うように機能する。
このように、レーザーダイオード121(LD1)についての複数の区間の境界を定義する補正ポイント群の少なくとも一部の補正ポイント(第1の補正ポイント)は、レーザーダイオード122(LD2)についての複数の区間の境界を定義する補正ポイントのうち、隣接する補正ポイント(第2の補正ポイント)の間に設定される。逆に言えば、レーザーダイオード122(LD2)についての複数の区間の境界を定義する補正ポイント群の少なくとも一部の補正ポイント(第2の補正ポイント)は、レーザーダイオード121(LD1)についての複数の区間の境界を定義する補正ポイントのうち、隣接する補正ポイント(第1の補正ポイント)の間に設定される。すなわち、一方のレーザーダイオードの補正ポイントは、他方のレーザーダイオードの2つの補正ポイントの間に設定される。
レーザーダイオード間の光量を互いに補間するという意味から見れば、レーザーダイオード121(LD1)についての補正ポイントの各々は、隣接する2つのレーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントの中心に設定されてもよい。言い換えれば、レーザーダイオード122(LD2)についての補正ポイントの各々は、隣接する2つのレーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントの中心に設定されてもよい。すなわち、一方のレーザーダイオードの補正ポイントは、他方のレーザーダイオードの補正ポイント間隔の中心に設定されてもよい。
<E.駆動回路の構成およびその動作>
次に、上述の光量補正を実現するための駆動回路の構成およびその動作について説明する。
図8は、本実施の形態に従うレーザーダイオードを駆動するため回路構成を示す模式図である。図9は、図8に示す回路構成の動作を示すシーケンスチャートである。
図8を参照して、制御部100は、レーザーダイオード121,122を含む発光部120を駆動する。発光部120は、レーザーダイオード121,122からの発光を検出するための受光ダイオード127を含む。
制御部100は、レーザーダイオード121および122をそれぞれ駆動する個別の回路を含み、それぞれの回路が独立して動作可能になっている。より具体的には、制御部100は、光量ムラ補正部110として、レーザーダイオード121(LD1)に関連付けられた、抵抗1111と、電流出力増幅器1112と、サンプルホールド部1113と、電流出力増幅器1114と、デジタルアナログ変換器1115と、スイッチング部1116と、コンデンサ1117とを含む。また、制御部100は、光量ムラ補正部110として、レーザーダイオード122(LD2)に関連付けられた、抵抗1121と、電流出力増幅器1122と、サンプルホールド部1123と、電流出力増幅器1124と、デジタルアナログ変換器1125と、スイッチング部1126と、コンデンサ1127とを含む。
補正データ106として、レーザーダイオード121(LD1)に対して光量ムラ補正を行なうための補正ポイントを指定する光量ムラ補正位置情報1と、各補正ポイントにおける光量ムラ補正の値を指定する光量ムラ補正値情報1とを含む。同様に、補正データ106として、レーザーダイオード122(LD2)に対して光量ムラ補正を行なうための補正ポイントを指定する光量ムラ補正位置情報2と、各補正ポイントにおける光量ムラ補正の値を指定する光量ムラ補正値情報2とを含む。すなわち、レーザーダイオード121(LD1)に対する光量ムラ補正値情報1と、レーザーダイオード122(LD2)に対する光量ムラ補正値情報2とはそれぞれ個別に設定される。
タイミング生成部102は、SOSセンサー126(図2)からの主走査位置の基準位置を示す基準信号(SOS信号)と、図示しない内部クロックからのクロック信号CLKとに従って、それぞれのレーザーダイオードについてのサンプルホールド信号SH(SH1,SH2)を生成する。また、タイミング生成部102は、光量ムラ補正位置情報1および光量ムラ補正位置情報2に基づいて、それぞれ光量ムラ補正タイミング信号1および光量ムラ補正タイミング信号2を生成する。タイミング生成部102は、補正ポイントが増加するほど、各補正ポイントを処理するための回路規模が大きくなる。
光量ムラ補正部110においては、まず、受光ダイオード127により検出された光源(レーザーダイオード121,122)の発光光量の大きさを示す検出電流Imが抵抗1111を流れる。電流出力増幅器1112は、抵抗1111に生じる電圧VEVR(発光光量の大きさに比例)と、予め定められた光量基準1を示す光量基準電圧VRM1とを比較し、差動電流ISH1を出力する。この差動電流ISH1は、電圧VEVRと光量基準電圧VRM1との大きさに応じて、以下のような値になる。
VEVR<VRM1:差動電流ISH1…ソース方向
VEVR<VRM1:差動電流ISH1…シンク方向
サンプルホールド部1113は、タイミング生成部102からのサンプルホールド信号SH1に従って、スイッチを開閉することで、その出力段に接続されているコンデンサ1117に差動電流ISHを充放電することで、チャージ電圧VCHを生じさせる。電流出力増幅器1114は、コンデンサ1117にサンプルホールドされて生じるチャージ電圧VCHを電圧電流変換(V−I変換)して参照電流IREF1をデジタルアナログ変換器1115へ出力する。デジタルアナログ変換器1115は、光量ムラ補正用のデジタルアナログ変換器(DAC)である。デジタルアナログ変換器1115は、光量ムラ補正タイミング信号1と光量ムラ補正値情報1とに応じた増幅度に従って、参照電流IREF1から補正電流IREV1を生成する。補正電流IREV1は、光量ムラ補正値に相当する電流である。
スイッチング部1116は、画像信号VIDEOに従って、補正電流IREV1をスイッチング(ON/OFF)することで、駆動電流Iop1を生成し、発光部120のレーザーダイオード121へ供給する。レーザーダイオード121は、駆動電流Iop1の大きさに応じた光量で発光する。
レーザーダイオード122(LD2)に関連付けられた、抵抗1121、電流出力増幅器1122、サンプルホールド部1123、電流出力増幅器1124、デジタルアナログ変換器1125、スイッチング部1126、および、コンデンサ1127についても、レーザーダイオード121(LD1)と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
図9を参照して、図8に示す回路構成のより詳細な動作について説明する。制御部100の各エレメントは、クロック信号CLKに従って動作を行なう。SOSセンサー126からの基準信号(SOS信号)を基準位置として、予め定められたオフセット時間D1だけ遅れたタイミングからサンプルホールド信号SH1が活性化される。サンプルホールド信号SH2が活性化されるタイミングと、サンプルホールド信号SH1が活性化されるタイミングとは、予め定められたオフセット時間D2だけ、ずらされている。これらのオフセット時間D1,D2は、偏向器123とSOSセンサー126との位置関係、および、レーザーダイオード間のスポット位置の差などに基づいて予め決定される。
そして、タイミング生成部102は、光量ムラ補正位置情報1および2に従って、レーザーダイオード121および122のそれぞれについて、補正区間を定義する。これらの補正区間は、レーザーダイオード間でそれぞれ独立して定義可能になっている。
例えば、上述の図7に示すような補正パターンを実現するためには、以下のような補正データ106(光量ムラ補正位置情報および光量ムラ補正値情報)が採用される。
上述のような補正データ106(光量ムラ補正位置情報および光量ムラ補正値情報)は、典型的には、発光光量の調整後に感光体11上に現れるビーム強度の変動量の積分値が最小になるように設定される。すなわち、複数のビームの光量ムラ補正結果の積分値を最小とするように補正量が設定される。この積分値を最小にする補正データ106(光量ムラ補正位置情報および光量ムラ補正値情報)については、シミュレーションを用いて決定してもよいし、ある程度の経験則に基づいて決定してもよい。
<F.光量ムラ補正その2>
上述の光量ムラ補正その1では、主走査方向の全区間にわたって、一方のレーザーダイオードの補正ポイントを他方のレーザーダイオードの補正ポイントの間に設定する構成について例示したが、このような補正ポイントの設定を必要な区間のみに限定してもよい。この場合には、残りの区間については、複数のレーザーダイオードの間で設定される補正ポイントが共通化される。このような構成を採用することで、補正ポイントを設定するためのリソース(レジスタ)の肥大化を防止することができる。
図10は、本実施の形態に従う画像形成装置に用いられる光量ムラ補正(その2)を説明するための図である。図10(A)には、LD1に対する光量ムラ補正による特性変化を示し、図10(B)には、LD2に対する光量ムラ補正による特性変化を示す。
図10(A)と図10(B)とを比較するとわかるように、主走査方向の特定区間(個別領域)において、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントの位置(主走査位置)は、レーザーダイオード122(LD2)の2つの補正ポイントの間に設定されている。同様に、レーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントの位置(主走査位置)は、レーザーダイオード121(LD1)の2つの補正ポイントの間に設定されている。
一方、主走査方向の残りの区間(同一領域)において、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントと、レーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントとは、同一の位置(主走査位置)に設定されている。同一領域は、発光光量(理想値)の変化が緩やかな区間であり、この区間については、複数のレーザーダイオードの間で、同一の補正ポイントが設定される。
個別領域と同一領域とは、光量補正値の変化プロファイルの主走査方向についての変化度合いに応じて決定してもよい。すなわち、図10(A)および図10(B)に示すように、発光光量(理想値)の変化が急峻な区間については、複数のレーザーダイオードについての補正ポイントをそれぞれ個別に設定し、発光光量(理想値)の変化が緩やかな区間については、複数のレーザーダイオードに対して同一の補正ポイントを設定する。このように設定された補正ポイントを用いて、光量ムラ補正を実施する。
図10(A)および図10(B)に示すように、設定される光量補正値の変化が相対的に大きな区間(すなわち、個別領域に含まれる各区間)の境界を定義するレーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントは、隣接する2つのレーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントの間に設定される。一方、設定される光量補正値の変化が相対的に小さな区間(すなわち、同一領域の各区間)の境界を定義するレーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントは、レーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントと同一の走査位置に設定される。つまり、特異点では補正ポイントの間隔を狭めてもよい。
このような補正ポイントの設定方法を採用することで、図10(C)に示すような合成結果が得られる。図10(C)に示されるように、より少ない補正ポイント数で光量ムラを抑制できる。
光量ムラ補正値を設定できる数は、補正データ106(光量ムラ補正位置情報および光量ムラ補正値情報)などを格納しているレジスタ数によって制限されることになる。この制限に対して、上述の方法を採用することで、光量ムラ補正の実施に必要リソースの増加量を抑制するとともに、光量ムラをより高精度に補正することができる。
以上のように、光量ムラ補正その2においては、レーザーダイオード121(LD1)についての補正ポイント群としては、レーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントと同一の走査位置に設定される補正ポイントを含み得る。逆に言えば、レーザーダイオード122(LD2)についての補正ポイント群としては、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントと同一の走査位置に設定される補正ポイントを含み得る。
図10においては、光量ムラの変化特性が急峻なところと緩やかなところで領域(個別区間および同一領域)を分けて補正ポイントの設定方法を変更しているが、領域を分けずに補正ポイントごとに同一の補正ポイントと個別の補正ポイントとを選択的に設定してもよい。例えば、光量ムラの変化特性の特異点(カーブのピークまたはカーブの変化点など)においては、補正ポイントを同一に設定し、他の補正ポイントは個別に設定してもよい。
<G.光量ムラ補正その3>
上述の光量ムラ補正その1では、一方のレーザーダイオードの補正ポイントを他方のレーザーダイオードの対応する2つの補正ポイント(区間)の中心に設定する構成について例示したが、以下では、他方のレーザーダイオードについての対応する区間に相対して設定される補正ポイントの位置(すなわち、位相)を状況に応じて変化させる方法について説明する。このような構成を採用することで、光量ムラをより高精度に補正できる。
図11は、本実施の形態に従う画像形成装置に用いられる光量ムラ補正(その3)を説明するための図である。図11(A)には、一方のレーザーダイオードについての補正ポイントを、他方のレーザーダイオードについての対応する区間の中心に設定する例を示す。すなわち、図11(A)においては、レーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントは、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントに対して中心に配置されている。
一方、図11(B)には、一方のレーザーダイオードについての補正ポイントを、他方のレーザーダイオードについての対応する区間を基準として設定する位相を異ならせる例を示す。すなわち、図11(B)においては、レーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントをレーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントの間の異なった位相位置に配置されている。
すなわち、図11(B)に示すように、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントとレーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントとを合成して得られる補正ポイントの群が、発光光量(理想値)に可能な限り追従するように、それぞれの補正ポイントを最適化することが好ましい。言い換えれば、一方のレーザーダイオードの補正ポイントを、他方のレーザーダイオードの補正ポイント間隔の中心ではなく、最終的に得たい光量のプロファイルに合わせて、補正ポイントを設定する位置(対応する区間内における相対位置(位相))を調整することで、光量ムラをより高精度に補正できる。
このように、主走査位置によって、他の光源に対する補正タイミングの相対位置を変更してもよい。このとき、光量ムラの特性に応じて補正タイミングを設定することが好ましい。
以上のように、光量ムラ補正その3においては、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントに対応する、2つのレーザーダイオード122(LD2)の補正ポイントにより定義される区間において、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントが設定される位相は、主走査位置に依存して異ならせてある。特に、レーザーダイオード121(LD1)の補正ポイントが設定される位相は、各区間に設定される補正値に応じて設定されることが好ましい。
上述のような補正ポイントの設定方法を採用することで、設定可能な補正ポイントの範囲で、光量ムラの補正をより高精度に行なうことができる。
<H.光量ムラ補正その4>
上述の光量ムラ補正の例では、主として、補正ポイントの設定方法について説明したが、補正ポイントに加えて、光量補正値についても、複数の光源を考慮して決定することが好ましい。以下では、複数の光源を考慮して、各レーザーダイオードについての発光光量の目標値(理想値)の設定方法について説明する。
図12は、本実施の形態に従う画像形成装置に用いられる光量ムラ補正(その4)を説明するための図である。図12(A)には、LD1に対する光量ムラ補正による特性変化を示し、図12(B)には、LD2に対する光量ムラ補正による特性変化を示す。
図12には、レーザーダイオード121(LD1)についての発光光量の目標値(理想値)を主として設定した上で、レーザーダイオード121(LD1)についての発光光量の目標値(理想値)に応じて、レーザーダイオード122(LD2)についての発光光量の目標値(理想値)を決定する例を示す。
すなわち、図12(A)に示すレーザーダイオード121(LD1)についての発光光量の目標値(理想値)は、図7(A)に示す発光光量の目標値(理想値)と同様である。一方、図12(B)に示すレーザーダイオード122(LD2)についての発光光量の目標値(理想値)は、レーザーダイオード122(LD2)の単独の補正値としては決定せず、レーザーダイオード121(LD1)についての発光光量の目標値(理想値)を考慮して、最適化されている。
より具体的には、レーザーダイオード121(LD1)についての補正後に照射されるビーム強度のムラ(光量ムラ)をより多くキャンセルできるように、レーザーダイオード122(LD2)についての発光光量の目標値(理想値)が決定される。レーザーダイオード122(LD2)についての発光光量の目標値(理想値)は、例えば、レーザーダイオード121(LD1)の光量ムラ補正後のプロファイルと、レーザーダイオード122(LD2)の光量ムラ補正後のプロファイルとの合計を積分した結果がより小さくなるように設定される。
すなわち、複数のビームの光量ムラ補正結果の積分値を最小化するように、光量ムラ補正の値を指定する光量ムラ補正値情報を決定してもよい。すなわち、複数のレーザーダイオードのそれぞれに設定される光量ムラ補正値情報の少なくとも一方は、レーザーダイオード121(LD1)およびレーザーダイオード122(LD2)のビームの発光光量の調整後に感光体11上に現れるビーム強度の変動量の積分値が最小になるように設定される。
このような光量補正値の設定方法を採用することで、感光体11上に現れる光量ムラをより高精度に補正できる。
<I.付記>
上述の光量ムラ補正その1〜その4については、全体的または部分的に適宜組み合わせてもよい。さらに、本実施の形態に従う画像形成装置は、以下のような局面を含み得る。
本実施の形態のある局面に従う画像形成装置は、複数の光源と、偏向器と、SOS(Start Of Scan)センサーと、主走査方向の光量可変タイミングを生成するタイミング生成部と、タイミング生成部からの信号と光量ムラ補正値とから、光源への駆動電流を可変制御する光量ムラ補正部とを含む。主走査位置に依存して、複数の光源の光量を補正パラメータに基づいて可変させる場合に、当該複数の光源の光量可変タイミングをお互いの補正タイミングの間に設定する。また、補正データは光源ごとに設定される。
補正タイミングを他の光源の補正タイミングの中心に設定してもよい。
主走査位置により光量可変タイミングを他の光源の間に設定する場合と同一のタイミングに設定してもよい。
光量可変タイミングを光量ムラの特異点では同一のタイミングに設定し、それ以外の点については他の光源の間に設定してもよい。
主走査位置によって、他の光源に対する補正タイミングの相対位置を変更してもよい。
光量ムラのカーブに合わせて補正タイミングを設定してもよい。
複数のビームの光量ムラ補正結果の積分値を最小とするように補正量を設定してもよい。
<J.まとめ>
本実施の形態に従う画像形成装置のイメージングユニットに含まれる書込部は、光学系の特性差によって生じる、感光体の主走査方向における光量ムラを補正するため、レーザーダイオードの発光光量を主走査位置に依存して可変させる。このような構成において、本実施の形態に従う書込部は、複数のビームに対しての光量ムラ補正の位置および補正量をそれぞれ異なる値に設定することで、最終的に得られる光量ムラをより小さくする。
すなわち、光量ムラ補正を行なうための複数のビームについての補正位置(補正ポイント)および補正量をそれぞれ異なる位置および値に最適化して設定することで、最終的に形成された画像では、隣接するラインの光量ムラ補正ポイントが異なった位置で行なわれることにより、補正ポイント数を増やすことなく、光量ムラをより低減できる。
以上のとおり、本実施の形態に従う画像形成装置では、補正ポイントの増加などによるリソースの増加を抑制しつつ、複数ビームを用いた走査の特性を利用して、最適な補正ポイントなどを設定することで、光量ムラをより効率的に低減できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。