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JP6439487B2 - 繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体 Download PDF

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JP6439487B2
JP6439487B2 JP2015029176A JP2015029176A JP6439487B2 JP 6439487 B2 JP6439487 B2 JP 6439487B2 JP 2015029176 A JP2015029176 A JP 2015029176A JP 2015029176 A JP2015029176 A JP 2015029176A JP 6439487 B2 JP6439487 B2 JP 6439487B2
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Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体用基材及び繊維強化プラスチック成形体に関する。具体的には、本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂と、アクリル系ポリマーを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、難燃性が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。
炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む不織布(繊維強化プラスチック成形体用基材ともいう)から成形された繊維強化プラスチック成形体は、既にスポーツ、レジャー用品、航空機用材料、電子機器部材など様々な分野で用いられている。繊維強化プラスチック成形体においてマトリックスとなる樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂又はフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多い。しかし、熱硬化性樹脂を用いた場合、熱硬化性樹脂と強化繊維を混合した不織布は冷蔵保管しなければならず、長期保管ができないという難点がある。
このため、近年は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用い、強化繊維を含有した不織布の開発が進められている。このような熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた不織布は、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。また、熱可塑性樹脂を含む不織布は、熱硬化性樹脂を含む不織布と比較して成形加工が容易であり、加熱加圧処理を行うことにより成形加工品を成形することができるという利点を有している。さらに、熱可塑性樹脂を含む不織布から成形された繊維強化プラスチック成形体は、後工程としてアウトサート成形を施すことも可能である。
繊維強化プラスチック成形体には、その用途に応じて難燃性が求められる場合がある。特に、繊維強化プラスチック成形体が電子機器等に組み込まれる場合には、難燃化が必須条件となっている。繊維強化プラスチック成形体を難燃化する方法としては、不織布やマトリックス樹脂に難燃剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1及び2)。また、難燃性を高めるために、限界酸素指数の高い熱可塑性樹脂を用いることが検討されている。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエーテルイミド(PEI)等のスーパーエンプラ樹脂を用いることが検討されている(特許文献3)。
特開平9−278914号公報 特開平11−147965号公報 特開平3−180588号公報
上述したように、繊維強化プラスチック成形体の難燃性を高めることが検討されている。しかしながら、難燃性を高めるために多量のハロゲン系難燃剤を使用した場合、環境に悪影響を及ぼす場合があり問題となっていた。また、多量のノンハロゲン系難燃剤を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体の薄肉化が困難となり、繊維強化プラスチック成形体の軽量化が難しくなるという問題があった。
また、難燃性を高めるために、限界酸素指数の高いスーパーエンプラ樹脂を用いることも検討されている。しかし、用途や製造方法等によっては、スーパーエンプラ樹脂に限界酸素指数の低い燃焼性樹脂を混合しなければならない場合が発生する。例えば、他部材との接着性を確保するために他部材と同じ成分を混合しなければならない場合や、成形前の不織布の強度を十分に保ち生産効率を高めるためにバインダー成分を添加しなければならない場合などがある。このような場合、繊維強化プラスチック成形体の難燃化は十分ではなく、さらなる改良が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、限界酸素指数の低い燃焼性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体においても、難燃性を十分に高めることを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、熱可塑性樹脂として、スーパーエンプラ樹脂のみではなく限界酸素指数が低い樹脂を併用した場合であっても、繊維強化プラスチック成形体用基材にアクリル系ポリマーを含有させることによって、繊維強化プラスチック成形体の難燃性を十分に高め得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]強化繊維と、熱可塑性樹脂と、アクリル系ポリマーを含み、熱可塑性樹脂は、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材。
[2]アクリル系ポリマーは、アクリル繊維である[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[3]アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位を含む[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[4]アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位とを含むアクリルパルプである[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[5]アクリル系ポリマーの含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.5〜20質量%である[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[6]強化繊維は、炭素繊維である[1]〜[5]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[7]強化繊維の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して、30〜70質量%である[1]〜[6]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[8]さらにバインダー成分を含む[1]〜[7]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[9]強化繊維と、熱可塑性樹脂と、アクリル系ポリマーを含み、熱可塑性樹脂は、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体。
[10]アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位を含む[9]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[11]アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位とを含む[9]又は[10]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[12]厚みが1mm以下である[9]〜[11]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体。
[13]厚みが0.5mm以下である[9]〜[12]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体。
[14]繊維強化プラスチック成形体は、第1層と第2層を含み、第1層は、強化繊維と、第1の樹脂とを含み、第2層は、強化繊維と、第1の樹脂と、第2の樹脂とを含み、第1層が、第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い[9]〜[13]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体。
本発明によれば、限界酸素指数の低い燃焼性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体においても、その難燃性を十分に高めることができる。本発明によれば、多量の難燃剤を使用しなくとも繊維強化プラスチック成形体の難燃性を高めることができ、環境への負荷を少なくすることができる。また、薄型で軽量化された繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(繊維強化プラスチック成形体用基材)
本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂と、アクリル系ポリマーを含む繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材に用いられる熱可塑性樹脂は、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂を含む。
上述したように、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、アクリル系ポリマーを含有する。このため、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、限界酸素指数の低い第2の樹脂を含んでいるにも関わらず、難燃性に優れる繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。アクリル系ポリマーの限界酸素指数は20以下であり、通常であれば、難燃性を低下させる要素であると考えられる。しかし、本発明では、驚くべきことに、アクリル系ポリマーを繊維強化プラスチック成形体用基材に混合することにより、難燃性を高めることに成功した。
さらに、本発明では、多量の難燃剤を添加せずとも難燃性の高い繊維強化プラスチック成形体用を成形することができるため、繊維強化プラスチック成形体を薄肉化することが可能となる。本発明では、薄肉化した繊維強化プラスチック成形体においてもその難燃性を十分に高めることができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度は、250秒以下であることが好ましく、230秒以下であることがより好ましく、200秒以下であることがさらに好ましい。この数値は、数字が小さいほど空気が通りやすい(通気性が良い)ことを表す。本発明では、繊維強化プラスチック成形体用基材の透気度を上記範囲内とすることにより、加熱加圧工程における成形速度を高めることができ、生産効率を高めることができる。
(アクリル系ポリマー)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、アクリル系ポリマーを含む。本発明で用いるアクリル系ポリマーは、アクリル繊維であってもよく、アクリル系ポリマーを含むエマルジョンや、アクリル系ポリマーを水中に分散させた溶液であってもよい。
中でも、アクリル系ポリマーは、アクリル繊維であることが好ましい。アクリル繊維は、アクリロニトリル単位を含むことが好ましい。特に、アクリル繊維は、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位とを含むアクリルパルプであることが好ましい。ここで、「単位」とは、アクリル繊維(アクリル系ポリマー)を構成する繰り返し単位(モノマー単位)である。また、アクリルパルプとは、アクリル繊維において、繊維状の幹から細径のフィブリルが多数分岐した構造を有する、いわゆるフィブリル状物をいう。
本発明では、このようなアクリル繊維やアクリルパルプを用いることにより、強化繊維や熱可塑性樹脂繊維と、アクリル繊維との接点数を増やすことができる。これにより、繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維や熱可塑性樹脂繊維が毛羽立ったり、脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
アクリル繊維は、アクリロニトリルと(メタ)アクリレートを混合し、ブレンド紡糸法によって繊維状にしたものであることが好ましい。このようなアクリル繊維においては、アクリロニトリルポリマーと(メタ)アクリレートポリマーが海島構造を構成している。ここで、海島構造とは、アクリロニトリルポリマー中に、(メタ)アクリレートポリマーが微細な層分離構造を構成していることをいう。なお、本明細書中において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味する。」
アクリル繊維が含有する(メタ)アクリレート単位としては、アルキル(メタ)アクリルレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどに由来するモノマー単位が挙げられる。中でも、(メタ)アクリレート単位としては、アルキル(メタ)アクリルレート由来の単位を用いることが好ましく、メチル(メタ)アクリルレート又はエチル(メタ)アクリルレート由来の単位を用いることがより好ましい。
本発明で用いるアクリル繊維は、上記のような構造を有するため、繊維強化プラスチック成形体を成形する際に、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位との界面で細分化され、筋状の細いフィブリル状繊維が得られる。本明細書中においては、このようなフィブリル状のアクリル繊維をアクリルパルプと呼ぶ。アクリルパルプにおいては、具体的には、0.1〜1μm程度の細いフィブリル状繊維が得られる。このような構造は、繊維強化プラスチック成形体用基材の強度を高めることに加え、シート中に均一にアクリルパルプが分布するため難燃性の向上にも寄与しているものと考えられる。
本発明で用いるアクリルパルプのフリーネス(CSF)は、20〜600mlの範囲が好ましい。この範囲であれば繊維強化プラスチック成形体用基材の十分な強度が得られる。なお、外観を特に重視する用途においては、ビーター、ダブルディスクレファイナー、シングルディスクレファイナー等で叩解を進め、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)300ml以下にすることも好ましい。
アクリル繊維は、湿式抄紙法又は乾式抄紙法において、強化繊維及び熱可塑性樹脂と混合することができる。このような方法で抄紙することにより、アクリル繊維を繊維強化プラスチック成形体用基材中に均一に混合することができる。特に、アクリルパルプを使用した場合は、フィブリル状のパルプに強化繊維や樹脂繊維が絡みつくため、後述するバインダー成分を減少させることができる。本発明で用いるバインダー成分はマトリックス樹脂に比べ難燃性が劣るので、繊維強化プラスチック成形体用基材に含まれるバインダー成分を減少させることにより、より難燃性に優れた繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。なお、アクリルパルプを高叩解した場合は、アクリルパルプと強化繊維や樹脂繊維が十分に絡みつくためバインダー成分が不要になる。このような場合は、バインダー成分を抄紙前に混抄する工程や繊維強化プラスチック成形体用基材に含浸する工程を省略することができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材に用いるアクリル系ポリマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートなどの共重合物のエマルジョンや、アクリル系ポリマーを水中に分散させたものも使用することができる。
このようなアクリル系ポリマーは、スプレー若しくはディッピングにより繊維強化プラスチック成形体用基材に付与することができる。アクリル系ポリマーは、バインダー成分として、繊維強化プラスチック成形体用基材の表面領域に固定されることとなる。
エマルジョンや分散溶液に用いるアクリル系ポリマーは、必要に応じてスチレン共重合物としてもよく、アクリロニトリル共重合物とすることもできる。
アクリル系ポリマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートから選択されるいずれか1種のポリマーであってもよい。また、アクリル系ポリマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートから選択される2以上のモノマーの共重合物であってもよい。アクリル系ポリマーが上記のような共重合物である場合、重合の際に用いるモノマー量は、メチルメタクリレートが30〜100質量%、エチルメタクリレートとエチルエタクリレートの合計が0〜30質量%、メチルアクリレートが0〜20質量%であることが好ましい。
アクリル系ポリマーの含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜18質量%であることがより好ましく、2〜15質量%であることがさらに好ましい。アクリル系ポリマーの含有量を上記範囲内とすることにより、より難燃性が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
(強化繊維)
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの強化繊維は、1種のみを使用してもよく、複数種を使用してもよい。また、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維等の耐熱性に優れた有機繊維を含有していてもよい。
強化繊維として、例えば、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を使用した場合、繊維強化プラスチック成形体用基材に含まれる熱可塑性樹脂の溶融温度で加熱加圧処理することにより繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。
また、強化繊維として、アラミド繊維等の高耐熱性・高強度の有機繊維を使用した場合は、高度な平滑性の要求される精密な研磨用の機器に適する繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。アラミド等の有機繊維を強化繊維として含有する繊維強化プラスチック成形体用基材から形成される繊維強化プラスチック成形体は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用基材から形成される成形体よりも耐摩耗性に優れる。
強化繊維の質量平均繊維長は、6〜150mmであることが好ましく、6〜100mmであることがより好ましく、8〜60mmであることがさらに好ましい。強化繊維の質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から強化繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。また、強化繊維の質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。なお、本明細書において、質量平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の平均値である。
強化繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、一般的には繊維径が5〜25μm程度の繊維が好適に使用される。なお、本明細書において、平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を測定した繊維径の平均値である。
(炭素繊維)
強化繊維としては炭素繊維を用いることが好ましい。強化繊維に含まれる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等の炭素繊維を用いることができる。これらの炭素繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせ用いてもよい。また、これら炭素繊維の中でも、工業規模における生産性及び機械特性の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維を用いることが好ましい。
炭素繊維の質量平均繊維長は、6〜100mmであることが好ましく、6〜50mmであることがより好ましく、8〜50mmであることがさらに好ましい。炭素繊維の質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から炭素繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することが可能となる。また、炭素繊維の質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、強化繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
炭素繊維の単繊維強度は、4500MPa以上であることが好ましく、4700MPa以上であることがより好ましい。単繊維強度とは、モノフィラメントの引っ張り強度をいう。このような炭素繊維を使用した場合、曲げ強度が大幅に向上する。なお、単繊維強度は、JIS R7601「炭素繊維試験方法」に準じて測定することができる。
炭素繊維の平均繊維径は特に限定されないが、好ましい範囲としては5〜20μmが好ましい。炭素繊維の平均繊維径を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の強度を高めることができる。
炭素繊維の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して、30〜70質量%であることが好ましく、35〜70質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることがさらに好ましい。炭素繊維の含有量を上記範囲内とすることにより、より難燃性に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
(熱可塑性樹脂)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂繊維であることが好ましく、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成する。このような熱可塑性樹脂繊維を用いることによって、繊維強化プラスチック成形体用基材を加工する際の加熱加圧成形時間を短縮することができ、繊維強化プラスチック成形体の生産性を高めることができる。
熱可塑性樹脂は、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂を含む。本発明では、このような限界酸素指数の異なる樹脂を用いることにより、他部材との接着性を高めることができる。また、成形前の繊維強化プラスチック成形体用基材の強度を十分に高めることができる。
限界酸素指数が30以上の第1の樹脂としては、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から形成される樹脂を例示することができる。なお、ポリエーテルイミドの限界酸素指数(LOI)は47であり、ポリエーテルエーテルケトンの限界酸素指数(LOI)は43であり、ポリエーテルケトンケトンの限界酸素指数(LOI)は47であり、ポリフェニレンサルファイドの限界酸素指数(LOI)は33である。中でも、第1の樹脂は、ポリエーテルイミド及びポリフェニレンサルファイドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
限界酸素指数が27以下の第2の樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、アクリル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)等から形成される樹脂を例示することができる。これらの樹脂は用途に応じて選択することができる。なお、ポリカーボネートの限界酸素指数(LOI)は26であり、アクリルの限界酸素指数(LOI)は19であり、ポリエチレンの限界酸素指数(LOI)は17であり、ポリプロピレンの限界酸素指数(LOI)は18であり、ポリエステルの限界酸素指数(LOI)は18であり、ポリアミドの限界酸素指数(LOI)は24である。中でも、耐衝撃性の面から、第2の樹脂は、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリアミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリカーボネートであることがより好ましい。ポリアミドとしては、強度の面からナイロン6を好ましく例示できる。また、湿式抄紙法においては、ポリエチレンテレフタレートと変性ポリエチレンテレフタレートの芯鞘バインダー繊維も好ましく用いられる。
本発明において、「限界酸素指数」とは、燃焼を続けるのに必要な酸素濃度を表し、JIS K7201に記載された方法で測定した数値をいう。なお、限界酸素指数が20以下は、通常の空気中で燃焼することを示す数値である。
第1の樹脂及び第2の樹脂のガラス転移温度は、140℃以上であることが好ましい。第1の樹脂及び第2の樹脂には、繊維強化プラスチック成形体を形成する際に300℃から400℃というような温度条件下で十分に流動的であることが求められる。なお、PPS樹脂のようにガラス転移温度が140℃未満の第1の樹脂(スーパーエンプラ樹脂)であっても、樹脂の荷重たわみ温度が190℃以上となるスーパーエンプラを繊維化したものであれば使用可能である。
第1の樹脂及び第2の樹脂は、繊維状であることが好ましい。第1の樹脂繊維及び第2の樹脂繊維の質量平均繊維長は、各々、2〜100mmであることが好ましく、2〜50mmであることがより好ましく、5〜50mmであることがさらに好ましく、5〜40mmであることがよりさらに好ましく、10〜25mmであることが特に好ましい。熱可塑性樹脂繊維の質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から熱可塑性樹脂繊維が脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。また、質量平均繊維長を上記範囲内とすることにより、熱可塑性樹脂繊維の分散性を良好にすることができるため、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
本発明では、第2の樹脂の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して3〜20質量%とすることができ、5〜18質量%とすることもできる。第2の樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、他部材との接着性を高めつつも、難燃性を向上させることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材において、第1の樹脂と第2の樹脂の質量比は50:50〜99:1とすることができ、50:50〜90:10とすることもできる。第1の樹脂と第2の樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、他部材との接着性を高めつつも、難燃性を向上させることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材では、熱可塑性樹脂が繊維形態をしていることが好ましく、これにより基材中に空隙を存在させることができる。このように、熱可塑性樹脂が加熱加圧成形前には、繊維形態を維持しているため、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、基材自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用基材を巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
(強化繊維と熱可塑性樹脂の配合比)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材において、強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比は10:90〜80:20であることが好ましく、20:80〜70:30であることがより好ましく、30:70〜70:30であることがさらに好ましい。強化繊維と熱可塑性樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
(バインダー成分)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、バインダー成分をさらに含むことが好ましい。バインダー成分は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜9質量%であることがより好ましく、0.4〜8質量%であることがさらに好ましく、0.5〜7質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有量を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。なお、上述したアクリル系ポリマーは、バインダー成分として機能してもよい。但し、本発明においては、バインダー成分の含有量は、上述したアクリル系ポリマーを除いたバインダー成分の含有量をいう。
バインダー成分としては、一般的に不織布製造に使用される、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、PVA樹脂、各種澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドーアクリル酸エステルーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が使用できる。
本発明で好ましいバインダー成分として、ポリエステル樹脂及び変性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を変性することで融点を低下させたものであれば特に限定されないが、変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。変性ポリエチレンテレフタレートとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(coPET)が好ましく、例えば、ウレタン変性共重合ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂は熱可塑性樹脂と加熱溶融時に相溶するため、冷却後も熱や樹脂の機能を損ないにくいため、好ましく用いられる。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製、「メルティ4000(商品名)」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、上記芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製、「メルティ4080(商品名)」や、クラレ社製、「N−720(商品名)」等が好適に使用できる。
本発明では、バインダー成分として用いられる樹脂は、限界酸素指数が27以下であってもよい。一般にバインダー成分として用いられる樹脂は限界酸素指数が低い。しかし、バインダーのエマルジョン液又は水溶液(PVA等)をスプレー若しくはディッピングにより付与し、ヤンキードライヤー等を用いて片面を急速乾燥することで、バインダーを表層領域に偏在させることができる。このような構成とすることにより、より効果的に難燃性を高めることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、バインダー成分をさらに含むことが好ましいが、アクリル系ポリマーを含有するため、バインダー成分を添加しなくてもハンドリング性を向上させることもできる。また、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、アクリル系ポリマーを含有するため、他のバインダー成分の添加量を通常よりも抑制することができる。
(繊維形状)
本発明では、熱可塑性樹脂繊維と強化繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中で、各種繊維を均一に混合することができる。また、繊維の断面形状は円形に限定されず、楕円形等、異形断面のものも使用できる。
(繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程は、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維を混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法によって繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程を含む。湿式抄紙法は、熱可塑性樹脂繊維、強化繊維のチョップドストランドを溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブを形成する方法である。また、乾式抄紙法は、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維を気体中で混合し、次いでネット上に捕捉してマットを得る方法である。このような方法は、エアレイドと呼ばれることもある。
繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程は、強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維に加えて、アクリル系ポリマーを混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法によって繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程であってもよい。この場合、アクリル系ポリマーはアクリル繊維であることが好ましい。なお、上記工程では、さらにバインダー繊維を混合し、抄紙してもよい。
また、アクリル系ポリマーをエマルジョン液又は水溶液に混合して、スプレー若しくはディッピングにより繊維強化プラスチック成形体用基材に付与する場合、繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程の後に、さらにアクリル系ポリマーを含むエマルジョン液又は水溶液に混合して、スプレー若しくはディッピングする工程を含んでもよい。この場合、繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程でバインダー繊維を混合してもよく、バインダー成分を上記エマルジョン液又は水溶液に混合してもよい。
繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程では、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを不織布に内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことが好ましい。すなわち、繊維強化プラスチック成形体用基材を形成する工程は、湿式抄紙法で繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する工程と、バインダー成分を含む溶液等を不織布に内添、塗布又は含浸させる工程を含むことが好ましい。さらに、内添、塗布又は含浸後には、加熱乾燥させる工程を含む。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
なお、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用基材に内添、塗布又は含浸させた後は、その繊維強化プラスチック成形体用基材を急速に加熱することが好ましい。このような加熱工程を設けることにより、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンを繊維強化プラスチック成形体用基材の表層領域に移行させることができる。さらに、バインダー成分を水掻き膜状に局在させることができる。
湿式抄紙法で繊維強化プラスチック成形体用基材を抄紙する際には、円網抄紙機、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いて抄紙することが好ましい。
(繊維強化プラスチック成形体)
本発明は、強化繊維と、熱可塑性樹脂と、アクリル系ポリマーを含む繊維強化プラスチック成形体に関するものでものでもある。本発明の繊維強化プラスチック成形体に含有される熱可塑性樹脂繊維は、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂を含む。また、アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位を含むポリマーであることが好ましく、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位とを含むポリマーであることがより好ましい。
また、本発明の繊維強化プラスチック成形体は優れた難燃性を有する。具体的には、UL94試験(20mm垂直燃焼試験)において、V−1評価又はV−0評価であることが好ましく、V−0評価であることがより好ましい。また、繊維強化プラスチック成形体(幅13mm、長さ125mm)の上端をクランプに垂直に取り付け、下端(幅方向の辺)中央に、6インチ炎を2回接炎後、繊維強化プラスチック成形体の燃焼時間を測定した場合、燃焼時間は15秒以内であることが好ましく、12秒以内であることがより好ましく、10秒以内であることがさらに好ましく、8秒以内であることが特に好ましい。なお、繊維強化プラスチック成形体5本の燃焼時間の合計時間は、55秒以下であることが好ましく、50秒以下であることがより好ましく、45秒以下であることがさらに好ましく、40秒以下であることが特に好ましい。
繊維強化プラスチック成形体の厚みは、1mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上記のように薄肉化したものであって、優れた難燃性を発揮することができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、単層構造であってもよいが、多層構造であってもよい。例えば、繊維強化プラスチック成形体は、第1層と第2層を含む多層構造であることが好ましい。このような場合、第1層は、強化繊維と、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂とを含み、第2層は、強化繊維と、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂とを含むことが好ましい。また、第1層が、第2の樹脂を含む場合は、第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高いことが好ましい。このような構成とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の難燃性をより効果的に高めることができる。また、他部材との接着性を高めることも可能となる。
本発明では、第2の樹脂の含有量は、繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して3〜20質量%とすることができ、5〜18質量%とすることもできる。第2の樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、他部材との接着性を高めつつも、難燃性を向上させることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体において、第1の樹脂と第2の樹脂の質量比は50:50〜99:1とすることができ、50:50〜90:10とすることもできる。第1の樹脂と第2の樹脂の質量比を上記範囲内とすることにより、他部材との接着性を高めつつも、難燃性を向上させることができる。
(繊維強化プラスチック成形体の成形方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上述した繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形することにより成形される。繊維強化プラスチック成形体用基材は、目的とする形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。繊維強化プラスチック成形体は、繊維強化プラスチック成形体用基材を、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱した金型によって加熱加圧成形することで成形される。また、繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合、他種の繊維強化プラスチック成形体用基材を積層して熱プレスで加熱加圧成形することもできる。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、一般的な繊維強化プラスチック成形体用基材の加熱加圧成形方法を用いて加工される。
プレス成形の方法としては、各種存在するプレス成形の方法の中でも、大型の航空機などの成形体部材を作製する際によく使用されるオートクレーブ法や、工程が比較的簡便である金型プレス法が好ましく挙げられる。ボイドの少ない高品質な成形体を得るという観点からはオートクレーブ法が好ましい。一方、設備や成形工程でのエネルギー使用量、使用する成形用の治具や副資材等の簡略化、成形圧力、温度の自由度の観点からは、金属製の型を用いて成形をおこなう金型プレス法を用いることが好ましく、これらは用途に応じて選択することができる。
金型プレス法には、ヒートアンドクール法やスタンピング成形法を採用することができる。ヒートアンドクール法は、繊維強化プラスチック成形体用基材を型内に予め配置しておき、型締とともに加圧、加熱をおこない、次いで型締をおこなったまま、金型の冷却により該シートの冷却をおこない成形体を得る方法である。スタンピング成形法は、予め該基材を遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などの加熱装置で加熱し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化させた状態で、成形体型の内部に配置し、次いで型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する方法である。また、低密度の成形体を得る場合など、成形時の温度が比較的低い場合は、ホットプレス法を採用することもできる。
成形用の金型は大きく2種類に分類され、1つは鋳造や射出成形などに使用される密閉金型であり、もう1つはプレス成形や鍛造などに使用される開放金型である。本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材を用いた場合、用途に応じていずれの金型も使用することが可能である。成形時の分解ガスや混入空気を型外に排除する観点からは開放金型が好ましいが、過度の樹脂の流出を抑制するためには、成形加工中においては開放部をできるだけ少なくし、樹脂の型外への流出を抑制するような形状を採用することも好ましい。
さらに、金型には打ち抜き機構、タッピング機構から選択される少なくとも一種を有する金型を使用することができる。2段プレス機構を用いるなどの工夫で、熱プレス後に連続して、成形体を打ち抜き加工することも可能である。また、成形体は、その使用目的などによってはリブやボス等の強度補強・加工用の突起やネジ穴の形成、意匠性の付与を目的とした模様の付与を行うことができる。
繊維強化プラスチック成形体が多層構造である場合、他種の繊維強化プラスチック成形体用基材を積層して熱プレスで加熱加圧成形することもできる。また、繊維強化プラスチック成形体用基材を成形すると同時、或いは成形後にアウトサート成形やインサート成形によって、より複雑な形状部材を接着することも可能である。
繊維強化プラスチック成形体用基材から繊維強化プラスチック成形体を成形する際には、具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を150〜600℃の温度で加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体を成形する際の圧力としては、5〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。さらに、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度から熱可塑性樹脂のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却(ヒートアンドクール)成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
(表面層含有繊維強化プラスチック成形体)
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、さらに、表面層を有していてもよい。上述したように繊維強化プラスチック成形体が第1層と第2層を有する場合、第1層の表面上に表面層を設けることが好ましい。
表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を50質量%以上含んでいればよい。なお、表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、95質量%以上含むことがさらに好ましく、99質量%以上含むことが特に好ましい。中でも、表面層は、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリスチレン及びポリフェニレンエーテルから選択される少なくとも1種からなる層であることが特に好ましい。なお、表面層は、上記のいずれか1種のみから構成されてもよく、上記の樹脂の混合物から構成されてもよい。また、上記の樹脂以外の樹脂が併用されてもよい。
表面層を有する繊維強化プラスチック成形体は、塗装適性が高く、表面層の上に均一な塗装を施すことが可能となる。これにより、意匠性の高い繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
(繊維強化プラスチック成形体の用途)
本発明の繊維強化プラスチック成形体の用途としては、例えば、「OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体、及び筐体に貼り付けるリブ等の補強材、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材」、「インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品」、または「ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」、「エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング」、などの自動車、二輪車用部品、「ウィングレット、スポイラー」などの航空機用部品、「鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、外板パネルに貼り付ける補強材、天井パネル、エアコン等の噴出し口」などの鉄道車両用部品、「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来のシート(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)の補強材」などの部材等に好適に使用される。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体は薄くても難燃性に優れるため、電気絶縁性の高いガラス繊維を強化繊維として用いることで、電気絶縁用基板としても好適に用いることができる。
このように、本発明の繊維強化プラスチック成形体は、強度が高く、また優れた難燃性を有するため安全性が高いので、電気、電子機器用の筐体、自動車用の構造部品、航空機用の部品、土木、建材用のパネル、その他多種多様な用途に好ましく用いられる。
(アウトサート成形体)
本発明の繊維強化プラスチック成形体の表面に、アウトサート成形部材を付着固定させて、アウトサート成形体としてもよい。アウトサート成形部材は、繊維強化プラスチック成形体の表面上にアウトサート射出成形法によって成形されることが好ましい。なお、上述したように繊維強化プラスチック成形体が第1層と第2層を有する場合、第2層の表面上にアウトサート成形部材を設けることが好ましい。
アウトサート成形部材は、射出用強化繊維と射出用熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。ここで、繊維強化プラスチック成形体の第2層に含まれる熱可塑性樹脂と射出用熱可塑性樹脂の少なくとも一部は同種の樹脂であることが好ましい。さらに、第2層に含まれる限界酸素指数が27以下の第2の樹脂と、射出用熱可塑性樹脂の少なくとも一部が同種であることがより好ましい。例えば、第2層に含まれる第2の樹脂がポリカーボネートである場合、射出用熱可塑性樹脂はポリカーボネートを含むことが好ましい。このような樹脂を含むことにより、第2層に含まれる第2の樹脂と射出用熱可塑性樹脂が相溶するため、アウトサート成形部材と繊維強化プラスチック成形体の接合性を良好なものとすることができる。
射出用強化繊維としては、繊維強化プラスチック成形体に用いることができる強化繊維を例示することができる。また、射出用熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を例示することができ、第2の樹脂を好ましい樹脂として例示することができる。
アウトサート成形部材は、複雑な形状、かつ微細な構造とすることができる。このため、アウトサート成形体は、パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの筐体、トレイ、シャーシ、内装部材、またはそのケースなどの電気、電子機器部品に好ましく用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(第1層用不織布の作製)
繊維長12mmの炭素繊維(台湾プラスチック社製、CS815)をスラリー濃度0.5%となるように水中に投入し、分散剤としてエマノーン(登録商標)3199V(花王株式会社製)を、炭素繊維100質量部に対して1質量部となるよう添加した。尚、エマノーン3199Vはあらかじめ0.5%濃度の水溶液となるように水に溶解して添加した。その後、古紙離解用パルパーを用いて30秒間攪拌して初期分散を行った後、スラリー濃度0.15%となるように水で希釈した(炭素繊維スラリー)。
別容器にて、粉末のアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤である「スミフロック」の0.1%濃度水溶液を作製した。これを、上記の炭素繊維スラリーに、液全体に対して増粘剤の固形分添加量が60ppmとなるように添加した。その後、攪拌し、ほぼ完全に炭素繊維がモノフィラメント化するまで分散させた。
次いで、太さ2.2dtex、繊維長15mmのポリエーテルイミド繊維を表2の配合比となるように計量した。これを、スラリー濃度は10%となるように別容器に分取した水中に投入してポリエーテルイミド繊維スラリーを得た。尚、ポリエーテルイミド繊維は分散性が良好であったため、特に攪拌等の処置をせずとも十分に分散した。
更に、アクリロニトリルパルプ(三菱レイヨン社製、C300HS)を、スラリー濃度2.0%となるように水中に投入し、古紙離解用パルパーで3分間離解して、アクリロニトリルパルプスラリーを得た。
上記のポリエーテルイミド繊維スラリーと、アクリロニトリルパルプスラリーを表2の第1層に記載した配合比となるように、上記の炭素繊維スラリーに投入した(第1の原料スラリー)。
そして、この第1の原料スラリーを連続して傾斜ワイヤー型抄紙機に供給し、5.5L/minの速度で抄紙し、幅50cm、坪量250g/m2の第1層用不織布を得た。
(第2層用不織布の作製)
第1層用不織布の作製手順と同様にして、0.15%濃度の炭素繊維スラリーを作製した。そして、ポリエーテルイミド繊維及びポリカーボネート繊維(ダイワボウ社製、繊維径30μm、繊維長15mm)を、表2の第2層の配合比となるように軽量し、第1層用のポリエーテルイミド繊維スラリーと同様の方法でポリエーテルイミド繊維及びポリカーボネート繊維スラリーを得た。また、第1層と同様の方法でアクリロニトリルパルプスラリーを作製した。ポリエーテルイミド繊維、ポリカーボネート繊維スラリー及びアクリロニトリルパルプスラリーを、表2の第2層の配合比となるように上記の炭素繊維スラリーに投入した(第2層用の原料スラリー)。そして、この第2の原料スラリーを連続して傾斜ワイヤー型抄紙機に供給し、5.5L/minの速度で抄紙し、幅50cm、坪量を100g/m2の第2層用不織布を得た。
得られた第1層用不織布を2枚積層し、さらにその上に第2層用不織布を1枚積層し、繊維強化プラスチック成形体用基材を作製した。この繊維強化プラスチック成形体用基材を、プレス圧10MPa、加熱温度300℃で5分間プレスし、70℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。なお、繊維強化プラスチック成形体の各層の繊維の配合比は、繊維強化プラスチック成形体用基材の各層の配合比と同一である。
<実施例2>
表2に示す配合比となるように第1層用不織布と第2層用不織布の配合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化プラスチック成形体を得た。
<実施例3>
表2に示す配合比となるように第1層用不織布と第2層用不織布の配合比を変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化プラスチック成形体を得た。
<実施例4>
PVA繊維(クラレ社製、VPB−105−1)を1%濃度のスラリーとなるように容器に分取した水中に投入し、攪拌した。これを表2に示す配合比となるように炭素繊維スラリーに加えた。更に第1層用不織布と第2層用不織布の繊維配合比を表2に示したとおりとなるように変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維強化プラスチック成形体を得た。
<実施例5>
パラアラミドパルプ(帝人社製、トワロン1094)を2%濃度のスラリーとなるように古紙離解用パルパーに投入した。これを表2に示す配合比となるように炭素繊維スラリーに加えた。更に第1層用不織布と第2層用不織布の繊維配合比を表2に示したとおりとなるように変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維強化プラスチック成形体を得た。
<実施例6>
第1層用不織布の配合比と第2層用不織布の配合比を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。尚、PET(PET−変性PET芯鞘バインダー繊維、クラレ社製、N−720)及びPVA繊維(クラレ社製、VPB−105−1)は、表2に示す配合比となるように計量し、スラリー濃度1%となるように水中に投入し、攪拌して分散させてから第2層用不織布形成用の炭素繊維スラリー液に投入した。
<実施例7>
第1層用不織布の配合比を表2に示すように変更した以外は実施例6と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を得た。尚、アクリルエマルジョン(大日本インク社製、GM−4)は、固形分濃度6%に希釈し、ドライヤーの手前でスプレー噴霧して添加した。
<実施例8及び9>
第1層用不織布の配合比と第2層用不織布の配合比を表2に示すように変更した以外は、実施例5と同様にして繊維強化プラスチック成形体用を得た。
<比較例1〜5>
第1層用不織布の配合比を表3に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
<比較例6>
第1層用不織布の配合比と第2層用不織布の配合比を表3に示すように変更し、抄紙機をJIS P8222に規定された25cm角の角型手抄きに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
<評価>
(燃焼性試験)
実施例及び比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体の難燃性をUL94試験(20mm垂直燃焼試験)により評価した。具体的には、繊維強化プラスチック成形体(幅13mm、長さ125mm)の上端をクランプに垂直に取り付け、下端(幅方向の辺)中央に、6インチ炎を2回接炎後、繊維強化プラスチック成形体の燃焼時間を測定した。消火後直ちに20秒間再び接炎し除去した。上記燃焼試験を5本の繊維強化プラスチック成形体で行い、各繊維強化プラスチック成形体の燃焼時間と、5本の合計燃焼時間を記録した。
次いで、下記表1の判定基準に沿って、難燃性の評価を行った。具体的には、繊維強化プラスチック成形体に接炎後、煙っている状態にある時間(グローイング時間)を測定した。また、繊維強化プラスチック成形体がクランプの部分まで燃焼したか否かを調べた。さらに、繊維強化プラスチック成形体を燃焼させた際に、12インチ下に置かれた外科用脱脂綿の着火の有無を記録した。
難燃性の評価基準は下記表1の通りである。V−0が最も難燃性が高く、V−1、V−2の順に難燃性は低下する。
本発明では、V−1レベルを達成できたものであって、かつ試験片5本の合計燃焼時間が50秒以下のものを合格レベルとする。
Figure 0006439487
Figure 0006439487
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比較例に比べて実施例では、成形体の燃焼時間が短くなっており、難燃性が向上していることがわかる。また、実施例では、限界酸素指数が27以下の樹脂の占める割合が高い場合であっても、難燃性が向上していることがわかる。

Claims (12)

  1. 強化繊維と、熱可塑性樹脂と、アクリル系ポリマーを含む繊維強化プラスチック成形体用基材であって、
    前記熱可塑性樹脂は、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂を含み、
    前記アクリル系ポリマーの含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.5〜20質量%であり、
    前記アクリル系ポリマーは、アクリル繊維であり、
    前記第2の樹脂の含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して3〜20質量%であり、
    前記第1の樹脂と前記第2の樹脂の質量比は50:50〜99:1であることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体用基材。
  2. 前記アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位を含む請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  3. 前記アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位とを含むアクリルパルプである請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  4. 前記強化繊維は、炭素繊維である請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  5. 前記強化繊維の含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して、30〜70質量%である請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  6. さらにバインダー成分を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  7. 強化繊維と、熱可塑性樹脂と、アクリル繊維に由来するアクリル系ポリマーを含む繊維強化プラスチック成形体であって、
    前記熱可塑性樹脂は、限界酸素指数が30以上の第1の樹脂と、限界酸素指数が27以下の第2の樹脂を含み、
    前記アクリル系ポリマーの含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して0.5〜20質量%であり、
    前記第2の樹脂の含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して3〜20質量%であり、
    前記第1の樹脂と前記第2の樹脂の質量比は50:50〜99:1である繊維強化プラスチック成形体。
  8. 前記アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位を含む請求項に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  9. 前記アクリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位と(メタ)アクリレート単位とを含む請求項又はに記載の繊維強化プラスチック成形体。
  10. 厚みが1mm以下である請求項のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  11. 厚みが0.5mm以下である請求項10のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  12. 前記繊維強化プラスチック成形体は、第1層と第2層を含み、
    前記第1層は、前記強化繊維と、前記第1の樹脂とを含み、
    前記第2層は、前記強化繊維と、前記第1の樹脂と、前記第2の樹脂とを含み、
    前記第1層が、第2の樹脂を含む場合は、前記第2層に含まれる第2の樹脂の含有率は、前記第1層に含まれる第2の樹脂の含有率よりも高い請求項11のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体。
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