ロングタームエボリューション(LTE)
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させる上での最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)と、エンハンストアップリンク(高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。
LTE(ロングタームエボリューション)に関する作業項目(WI)の仕様は、E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA):進化したUMTS地上無線アクセス)およびE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN):進化したUMTS地上無線アクセスネットワーク)と称され、最終的にリリース8(LTEリリース8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、スケーラブルな複数の送信帯域幅(例えば、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHz)が指定されている。ダウンリンクには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にマルチパス干渉(MPI)を受けにくく、また、サイクリックプレフィックス(CP)を使用しており、さらに、さまざまな送信帯域幅の構成に対応可能だからである。アップリンクには、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access:シングルキャリア周波数分割多元接続)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、ユーザ機器(UE)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTEリリース8/9では、数多くの主要なパケット無線アクセス技術(例えば、MIMO(多入力多出力)チャネル伝送技術)が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
LTEアーキテクチャ
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示し、図2は、E−UTRANのアーキテクチャをより詳細に示している。E−UTRANは、eNodeBから構成され、eNodeBは、UE向けの、E−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端処理する。eNodeB(eNB)は、物理(PHY)レイヤ、メディアアクセス制御(MAC)レイヤ、無線リンク制御(RLC)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP)レイヤ(これらのレイヤはユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む)をホストする。eNBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクQoS(サービス品質)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号、ダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。複数のeNodeBは、X2インタフェースによって互いに接続されている。
また、複数のeNodeBは、S1インタフェースによってEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)、S1−Uによってサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方で、eNodeB間のハンドオーバー時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして機能し、さらに、LTEと別の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インタフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、ダウンリンクデータ経路を終端させ、そのユーザ機器へのダウンリンクデータが到着したときにページングをトリガーする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えばIPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラの有効化/無効化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバー時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス階層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/整合性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インタフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインタフェースを終端させる。
LTE(リリース8)におけるコンポーネントキャリアの構造
3GPP LTE(リリース8以降)のダウンリンクコンポーネントキャリアは、時間−周波数領域において、いわゆるサブフレームに分割されている。3GPP LTE(リリース8以降)では、図3に示したように、各サブフレームが2つのダウンリンクスロットに分割されており、第1のダウンリンクスロットは、最初のいくつかのOFDMシンボルにおける制御チャネル領域(PDCCH領域)を含んでいる。各サブフレームは、時間領域における特定の数のOFDMシンボルからなり(3GPP LTE(リリース8以降)では12個または14個のOFDMシンボル)、OFDMシンボルそれぞれが、コンポーネントキャリアの帯域幅全体を範囲としている。したがって、OFDMシンボルそれぞれは、図4にも示したように、NDL RB×NRB sc個のそれぞれのサブキャリア上で送信される複数の変調シンボルからなる。
例えば、3GPP LTE(ロングタームエボリューション)において使用される、例えばOFDMを採用するマルチキャリア通信システムを考えると、スケジューラによって割り当てることのできるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB)は、図4に例示的に示したように、時間領域におけるNDL symb個の連続するOFDMシンボル(例:7個のOFDMシンボル)と、周波数領域におけるNRB sc個の連続するサブキャリアとして定義される(例:コンポーネントキャリアの12のサブキャリア)。したがって、3GPP LTE(リリース8)においては、物理リソースブロックは、NDL symb×NRB sc個のリソース要素からなり、時間領域における1スロットと、周波数領域における180kHzに対応する(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細については、例えば非特許文献1の6.2節を参照)(3GPPのウェブサイトにおいて入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている)。
1つのサブフレームは2つのスロットからなり、したがって、いわゆる「通常の」CP(サイクリックプレフィックス)が使用されているときにはサブフレームに14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張」CPが使用されているときにはサブフレームに12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語として、以下では、サブフレーム全体にわたる、同一のNRB sc個の連続するサブキャリアに等しい時間−周波数リソースを、「リソースブロックペア」、または同じ意味で「RBペア」または「PRBペア」と称する。
用語「コンポーネントキャリア」は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組合せを意味する。LTEの将来のリリースにおいて、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されない。代わりに、この用語は「セル」に変更される。「セル」は、ダウンリンクリソースおよび任意でアップリンクリソースの組合せを意味する。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との連結(linking)は、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報に示される。
コンポーネントキャリアの構造の同様の想定は、以降のリリースにも適用される。
論理チャネルおよびトランスポートチャネル
MAC層は、論理チャネルを通じてRLC層にデータ伝送サービスを提供する。論理チャネルは、RRCシグナリングなどの制御データを伝える制御論理チャネル、またはユーザプレーンデータを伝えるトラフィック論理チャネルのいずれかである。ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)、ページング制御チャネル(PCCH)、共通制御チャネル(CCCH)、マルチキャスト制御チャネル(MCCH)、および専用制御チャネル(DCCH)は、制御論理チャネルである。専用トラフィックチャネル(DTCH)およびマルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)は、トラフィック論理チャネルである。
MAC層からのデータは、トランスポートチャネルを通じて物理層と交換される。データは、無線送信方式に応じてトランスポートチャネルに多重化される。トランスポートチャネルは、次のようにダウンリンクまたはアップリンクとして分類される。ブロードキャストチャネル(BCH)、ダウンリンク共有チャネル(DL−SCH)、ページングチャネル(PCH)、およびマルチキャストチャネル(MCH)は、ダウンリンクトランスポートチャネルであり、アップリンク共有チャネル(UL−SCH)およびランダムアクセスチャネル(RACH)は、アップリンクトランスポートチャネルである。
ダウンリンクおよびアップリンクそれぞれにおいて、論理チャネルとトランスポートチャネルの間で多重化が実行される。
第1層/第2層(L1/L2)制御シグナリング
スケジューリング対象のユーザに、ユーザの割当てステータス、トランスポートフォーマット、およびその他のデータ関連情報(例:HARQ情報、送信電力制御(TPC)コマンド)を知らせる目的で、第1層/第2層制御シグナリングがデータと一緒にダウンリンクで送信される。第1層/第2層制御シグナリングは、サブフレーム内でダウンリンクデータと一緒に多重化される(ユーザ割当てがサブフレーム単位で変化しうるものと想定する)。なお、ユーザ割当てをTTI(送信時間間隔)ベースで実行することもでき、その場合、TTI長はサブフレームの倍数とすることができる。TTI長は、サービスエリアにおいてすべてのユーザに対して一定とする、ユーザ毎に異なる、あるいはユーザ毎に動的とすることもできる。第1層/第2層制御シグナリングは、一般的にはTTIあたり1回送信するのみでよい。一般性を失うことなく、以下では、TTIが1サブフレームに等しいものと想定する。
第1層/第2層制御シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)で送信される。PDCCHは、ダウンリンク制御情報(DCI)としてメッセージを伝え、このメッセージには、ほとんどの場合、ユーザ機器またはユーザ機器のグループのリソース割当て情報およびその他の制御情報が含まれる。一般的には、いくつかのPDCCHを1つのサブフレーム内で送信することができる。
なお、3GPP LTEでは、アップリンクデータ送信のための割当て(アップリンクスケジューリンググラントまたはアップリンクリソース割当てとも称する)も、PDCCHで送信されることに留意されたい。
アップリンクまたはダウンリンクの無線リソースを割り当てるために第1層/第2層制御シグナリングで送られる情報は(特にLTE(−A)リリース10)、一般的には以下の項目に分類することができる。
ユーザ識別情報: 割り当てる対象のユーザを示す。この情報は、一般には、CRCをユーザ識別情報によってマスクすることによってチェックサムに含まれる。
リソース割当て情報: ユーザに割り当てられるリソース(リソースブロック:RB)を示す。なお、ユーザに割り当てられるリソースブロックの数は動的とすることができる。
キャリアインジケータ: 第1のキャリアで送信される制御チャネルが、第2のキャリアに関係するリソース(すなわち第2のキャリアのリソースまたは第2のキャリアに関連するリソース)を割り当てる場合に使用される。
変調・符号化方式: 採用される変調方式および符号化率を決める。
HARQ情報: データパケットまたはその一部の再送信時に特に有用である、新規データインジケータ(NDI)や冗長バージョン(RV)など。
電力制御コマンド: 割り当てられたアップリンクデータまたは制御情報の送信時の送信電力を調整する。
基準信号情報: 割当てに関連する基準信号の送信または受信に使用される、適用されるサイクリックシフトや直交カバーコードインデックスなど。
アップリンクまたはダウンリンク割当てインデックス: 割当ての順序を識別するために使用され、TDDシステムにおいて特に有用である。
ホッピング情報: 例えば、周波数ダイバーシチを増大させるためにリソースホッピングを適用するかどうか、および適用方法の指示情報。
CSI要求: 割り当てられるリソースにおけるチャネル状態情報の送信をトリガーするために使用される。
マルチクラスタ情報: シングルクラスタ(リソースブロックの連続的なセット)またはマルチクラスタ(連続的なリソースブロックの少なくとも2つの不連続なセット)で送信を行うかを指示して制御するために使用されるフラグである。マルチクラスタ割当ては、3GPP LTE−(A)リリース10によって導入された。
なお、上記のリストは、これらに限定されるものではなく、また、使用されるDCIフォーマットによっては、リストした情報項目すべてを各PDCCH送信に含める必要はないことに留意されたい。
ダウンリンク制御情報は、全体的なサイズと、フィールドに含まれる情報とが異なるいくつかのフォーマットの形をとる。LTEにおいて現在定義されている異なるDCIフォーマットは、以下のとおりであり、非特許文献2の第5.3.3.1節に詳しく記載されている(この文書は、3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている)。DCIフォーマットと、DCIにおいて送信される具体的な情報に関するさらなる詳細については、技術規格、または非特許文献3(参照によって本明細書に組み込まれている)の9.3章を参照されたい。
フォーマット0: DCIフォーマット0は、アップリンク送信モード1または2におけるシングルアンテナポート送信を使用するPUSCHのためのリソースグラントを送信するのに使用される。
フォーマット1: DCIフォーマット1は、単一コードワードPDSCHの送信(ダウンリンク送信モード1,2,7)のためのリソース割当てを送信するのに使用される。
フォーマット1A: DCIフォーマット1Aは、単一コードワードPDSCHの送信のためのリソース割当てをコンパクトにシグナリングする目的と、非競合ランダムアクセスのために専用プリアンブルシグネチャ(dedicated preamble signature)を移動端末に割り当てる目的とに使用される。
フォーマット1B: DCIフォーマット1Bは、ランク1送信による閉ループプリコーディングを使用してのPDSCH送信(ダウンリンク送信モード6)のためのリソース割当てをコンパクトにシグナリングするのに使用される。送信される情報はフォーマット1Aと同じであるが、それに加えて、PDSCHの送信に適用されるプリコーディングベクトルのインジケータが送信される。
フォーマット1C: DCIフォーマット1Cは、PDSCHのための割当てを極めてコンパクトに送信するのに使用される。フォーマット1Cが使用されるとき、PDSCH送信は、QPSK変調の使用に制約される。このフォーマットは、例えば、ページングメッセージをシグナリングしたり、システム情報メッセージをブロードキャストしたりするために使用される。
フォーマット1D: DCIフォーマット1Dは、マルチユーザMIMOを使用してのPDSCH送信のためのリソース割当てをコンパクトにシグナリングするのに使用される。送信される情報は、フォーマット1Bの場合と同じであるが、プリコーディングベクトルのインジケータのビットのうちの1つの代わりに、データシンボルに電力オフセットが適用されるかを示すための1個のビットが存在する。この構成は、2基のユーザ機器の間で送信電力が共有されるか否かを示すために必要である。LTEの今後のバージョンでは、この構成は、より多くの数のユーザ機器の間で電力を共有する場合に拡張されうる。
フォーマット2: DCIフォーマット2は、閉ループMIMO動作の場合にPDSCHのためのリソース割当てを送信するのに使用される。
フォーマット2A:DCIフォーマット2Aは、開ループMIMO動作の場合にPDSCHのためのリソース割当てを送信するのに使用される。送信される情報はフォーマット2の場合と同じであるが、異なる点として、eNodeBが2つの送信アンテナポートを有する場合、プリコーディング情報は存在せず、4つのアンテナポートの場合、送信ランクを示すために2ビットが使用される。
フォーマット2B: リリース9において導入され、デュアルレイヤ・ビームフォーミングの場合にPDSCHのためのリソース割当てを送信するために使用される。
フォーマット2C: リリース10において導入され、閉ループシングルユーザMIMO動作またはマルチユーザMIMO動作(最大8レイヤ)の場合にPDSCHのためのリソース割当てを送信するために使用される。
フォーマット2D: リリース11において導入され、最大8レイヤの送信に使用され、主としてCoMP(協調マルチポイント)において使用される。
フォーマット3および3A: DCIフォーマット3および3Aは、それぞれ、2ビットまたは1ビットの電力調整を有する、PUCCHおよびPUSCHのための電力制御コマンドを送信するのに使用される。これらのDCIフォーマットは、ユーザ機器のグループのための個々の電力制御コマンドを含む。
フォーマット4: DCIフォーマット4は、アップリンク送信モード2における閉ループ空間多重化送信を使用する、PUSCHのスケジューリングに使用される。
次の表は、例示を目的として、50個のリソースブロックのシステム帯域幅と、eNodeBにおける4つのアンテナを想定した場合における、いくつかの利用可能なDCIフォーマットと一般的なビット数の概要を示している。右側の列に示したビット数は、その特定のDCIのCRCのビットを含む。
ユーザ機器がPDCCH送信を正常に受信したかを自身で識別できるようにする目的で、各PDCCH(すなわちDCI)に付加される16ビットのCRCによって誤り検出が提供される。さらには、ユーザ機器が自身を対象とするPDCCHを識別できることが必要である。このことは、理論的には、PDCCHペイロードに識別子を追加することによって達成できる。しかしながら、「ユーザ機器の識別情報」によってCRCをスクランブルする方がより効率的であり、追加のオーバーヘッドが節約される。CRCの計算およびスクランブリングは、非特許文献2(この文書は参照によって本明細書に組み込まれている)の5.3.3.2節「CRC attachment」において3GPPによって詳細に定義されているように行うことができる。この節には、巡回冗長検査(CRC)を通じてDCI送信に誤り検出を導入する方法が記載されている。簡潔に要約すると以下のようになる。
ペイロード全体を使用して、CRCパリティビットを計算する。パリティビットを計算して付加する。ユーザ機器の送信アンテナの選択が設定されていない、または適用可能ではない場合、付加した後、CRCパリティビットを対応するRNTIによってスクランブルする。
さらに、スクランブリングは、非特許文献2から明らかであるように、ユーザ機器の送信アンテナの選択にも依存しうる。ユーザ機器の送信アンテナの選択が設定されていない、または適用可能ではない場合、付加した後、CRCパリティビットを、アンテナ選択マスクおよび対応するRNTIによってスクランブルする。いずれの場合にも、スクランブリング処理にRNTIが関与するため、簡潔さのため、および一般性を失うことなく、実施形態の以下の説明では、CRCがRNTIによってスクランブルされる(および必要な場合にデスクランブルされる)ものと記載されているが、例えばアンテナ選択マスクなどのさらなる要素もスクランブリング処理において使用されうることを理解されたい。
したがって、ユーザ機器は、「ユーザ機器の識別情報」を適用することによってCRCをデスクランブルし、CRC誤りが検出されない場合、ユーザ機器は、そのPDCCHが自身を対象とする制御情報を伝えているものと判断する。CRCを識別情報によってスクランブルする上述したプロセスにおいては、「マスキング」および「デマスキング」という用語も使用される。
DCIのCRCをスクランブルする上述した「ユーザ機器の識別情報」は、SI−RNTI(システム情報無線ネットワーク一時識別子)とすることもでき、このSI−RNTIは、「ユーザ機器の識別情報」ではなく、送信される情報のタイプ(この場合にはシステム情報)に関連付けられる識別子である。SI−RNTIは、通常では仕様において決定され、したがってすべてのユーザ機器においてあらかじめ既知である。
さまざまな目的に使用されるさまざまなタイプのRNTIが存在する。非特許文献4の7.1章から引用した次の表は、さまざまな16ビットRNTIおよびその用途の概要を示している。
物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)および物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)
物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)は、例えば、ダウンリンクまたはアップリンクでデータを送信するためのリソースを割り当てるスケジューリンググラントを伝える。1つのサブフレームにおいて複数のPDCCHを送信することができる。
ユーザ機器へのPDCCHは、サブフレームの中の最初のNPDCCH symb個のOFDMシンボル(通常では1個、2個、または3個のOFDMシンボル(PCFICHによって示される)、例外的なケースでは2個、3個、または4個のOFDMシンボル(PCFICHによって示される))で送信され、OFDMシンボルはシステム帯域幅全体にわたり延びている。システム帯域幅は、一般にはセルまたはコンポーネントキャリアの範囲に等しい。時間領域における最初のNPDCCH symb個のOFDMシンボルと、周波数領域におけるNDL RB×NRB sc本のサブキャリアとによって占有される領域は、PDCCH領域または制御チャネル領域とも称される。周波数領域におけるNDL RB×NRB sc本のサブキャリアにわたる、時間領域における残りのNPDSCH symb=2*NDL symb−NPDCCH symb個のOFDMシンボルは、PDSCH領域または共有チャネル領域と称される(後述する)。
物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)に関するダウンリンクグラント(すなわちリソース割当て)において、PDCCHは、同じサブフレーム内の(ユーザ)データのためのPDSCHリソースを割り当てる。サブフレーム内のPDCCH制御チャネル領域は、一連のCCEからなり、サブフレームの制御領域におけるCCEの総数は、時間−周波数制御リソース全体にわたり分散している。制御チャネルの符号化率を効果的に低減するため、複数のCCEを組み合わせることができる。CCEは、さまざまな符号化率を達成するためツリー構造を使用する所定の方法において組み合わされる。
トランスポートチャネルのレベルにおいては、PDCCHを介して送信される情報は、第1層/第2層(L1/L2)制御シグナリングとも称される(第1層/第2層制御シグナリングの詳細については前述した説明を参照)。
拡張PDCCH
拡張PDCCH(EPDCCH)は、ユーザ機器に固有な基準信号に基づいて送信される。ユーザ機器に固有な基準信号を効率的に使用する目的で、拡張PDCCHのマッピングは、PDSCH領域内に配置される。帯域幅全体をブラインド復号しないようにするため、EPDCCHのサーチスペースは物理リソースブロック(PRB)ペアのセット内に制限される。物理リソースブロックペアのセットは、上位層のシグナリングによって最初に設定することができ、または、少なくともEPDCCHの検出を試みる前に受信装置によって認識されているものと想定する。
EPDCCHは、1つまたは複数の拡張制御チャネル要素(ECCE)の集合からなる。さらには、ECCEは、時間/周波数グリッドにおいてリソース要素にマッピングされたリソース要素グループから形成することができ、これらのリソース要素グループを拡張リソース要素グループ(EREG)と称する。
時分割複信:TDD
LTEは、TD−SCDMA(時分割同期符号分割多重アクセス)の進化もサポートするように設計されている統一フレームワーク(harmonized framework)において周波数分割複信(FDD)モードおよび時分割複信(TDD)モードで動作することができる。TDDでは、時間領域においてアップリンク送信とダウンリンク送信が分離されるが、周波数は同じままである。
用語「複信」は、2つの装置の間の双方向通信を意味し、一方向通信と区別される。双方向の場合、各方向におけるリンクを通じての送信を、同時に(「全二重」)または交替して(「半二重」)行うことができる。
非ペア無線スペクトル(unpaired radio spectrum)におけるTDDの場合、リソースブロックおよびリソース要素の基本的な構造は図4に示してあるが、無線フレームの複数のサブフレームのうちのいくつかをダウンリンク送信に利用することができる。残りのサブフレームは、アップリンク送信またはスペシャル(特殊)サブフレームに使用される。スペシャルサブフレームは、複数のユーザ機器から(アップリンクで)送信された信号がほぼ同時にeNodeBに到着するように、アップリンク送信のタイミングを進めることを可能にするうえで重要である。信号の伝搬遅延は、(反射およびその他の類似する影響を無視すると)送信装置と受信装置との間の距離に関係するため、eNodeBに近いユーザ機器によって送信される信号は、eNodeBから遠いユーザ機器によって送信される信号よりも伝搬時間が短い。同時に到着させるためには、遠い方のユーザ機器は、近い方のユーザ機器よりも早いタイミングで信号を送信しなければならず、このことは、3GPPシステムではいわゆる「タイミングアドバンス」手順によって解決される。この場合、TDDにおいてはさらなる要件として、送信と受信が同じキャリア周波数で行われるため、時間領域において分割してダウンリンクとアップリンクを確保する必要がある。eNodeBから遠いユーザ機器は、近いユーザ機器よりも早いタイミングでアップリンク送信を開始する必要があるが、逆に、ダウンリンク信号は、近いユーザ機器の方が遠いユーザ機器よりも早いタイミングで受信する。ダウンリンク受信からアップリンク送信に回路を切り替えることができるようにする目的で、スペシャルサブフレームにはガードタイムが定義されている。タイミングアドバンスの問題にさらに対処するため、遠いユーザ機器のガードタイムは、近いユーザ機器のガードタイムよりも長い必要がある。
3GPP LTEリリース8以降においては、このTDD構造は「フレーム構造タイプ2」として公知であり、7つの異なるアップリンク−ダウンリンク構成が定義されており、これらの構成により、さまざまなダウンリンク−アップリンク比率および切り替え周期が可能である。図5は、7つの異なるTDDアップリンク−ダウンリンク構成(番号:0〜6)の表を示しており、「D」はダウンリンクサブフレーム、「U」はアップリンクサブフレーム、「S」はスペシャルサブフレームを表す。表から理解できるように、7つの利用可能なTDDアップリンク−ダウンリンク構成は、40%〜90%のダウンリンクサブフレームを提供することができる(スペシャルサブフレームの一部はダウンリンク送信に利用可能であるため、簡潔さのためスペシャルサブフレームをダウンリンクサブフレームとして数えるとき)。
図6は、特に、5msのスイッチポイント周期(すなわちTDD構成0,1,2,6)の場合のフレーム構造タイプ2を示している。
図6は、長さ10msである無線フレームと、それぞれ5msの対応する2つのハーフフレームとを示している。無線フレームは、それぞれが1msの10個のサブフレームから構成されており、サブフレームそれぞれには、図5の表によるアップリンク−ダウンリンク構成のそれぞれによって定義されているように、アップリンク、ダウンリンク、またはスペシャルの各タイプが割り当てられている。
図5から理解できるように、サブフレーム#1はつねにスペシャルサブフレームであり、サブフレーム#6は、TDD構成0,1,2,6の場合にはスペシャルサブフレームであり、TDD構成3,4,5の場合にはダウンリンクサブフレームである。スペシャルサブフレームは、3つのフィールドとして、DwPTS(ダウンリンクパイロットタイムスロット)、GP(ガード期間)、およびUpPTS(アップリンクパイロットタイムスロット)を含む。
システムにおいて適用されるTDD構成は、移動局および基地局において実行される数多くの動作、例えば、無線リソース管理(RRM)測定、チャネル状態情報(CSI)測定、チャネル推定、PDCCH検出、HARQタイミングなどに影響する。
特に、ユーザ機器は、システム情報を読み取ることで、自身の現在のセルにおけるTDD構成に関して認識し、すなわち、測定のために監視するサブフレーム、CSIの測定および報告のために監視するサブフレーム、チャネル推定を取得するための時間領域フィルタリングのために監視するサブフレーム、PDCCHの検出のために監視するサブフレーム、またはUL/DL ACK/NACKフィードバックのために監視するサブフレームを認識する。
現在の半静的なTDDアップリンク/ダウンリンク構成方式の欠点
現在、LTE TDDでは、半静的に設定される7つの異なるアップリンク−ダウンリンク構成(以下では静的なTDD構成と称する)を提供することによって、非対称的なUL−DL割当てが可能である(図5を参照)。UL−DL割当てを調整するための現在のメカニズムは、システム情報取得手順またはシステム情報変更手順に基づいており、SIB(システム情報ブロック)によって、特に、SIB1におけるTDD構成パラメータによって、特定の静的なUL−DL TDD構成が示される(システム情報のブロードキャストに関する詳細については、非特許文献5(参照によって本明細書に組み込まれている)を参照)。
リリース8のシステム情報変更手順では、TDD UL/DL再構成のためにサポートされる時間スケールは、毎640ms以上である。ETWS(地震津波警報システム)を再利用すると、TDD UL/DL再構成のためにサポートされる時間スケールは、設定されているデフォルトのページングサイクルに応じて毎320ms以上である。
TDD UL/DL構成の半静的な割当ては、瞬間的なトラフィック状況に合致することもあれば、しないこともある。静的なTDD構成を変更するための時間スケールは、かなり大きい。ダウンリンク帯域幅を広げるためにより多くのダウンリンクサブフレームを動的に配置する目的で、あるいは、隣接セルの例えばアップリンク通信またはダウンリンク通信との干渉を緩和するために、より多くの空白のアップリンクサブフレームを動的に配置する目的で、TDD UL/DL構成をその時点のトラフィック需要により迅速に適合させることが有利である。したがって、リリース12では、TDD UL/DL構成のより動的な変更が採用されるものと予測される。
3GPPは、さまざまなタイプのTDD UL/DL再構成の時間スケールおよびそれそらの利点/欠点を検討するため、検討項目として非特許文献6に着手した。一般的に、この検討項目の結論として、TDD UL/DL再構成の時間スケールが速いと、TDD UL/DL再構成の時間スケールが遅いよりも大きな恩恵が得られる。さらには、要求される仕様の変更量は、サポートされる再構成の時間スケールに依存する。
迅速なTDD UL/DL構成方式の必要性
最近、TDD構成の再設定について深く検討されるようになっている。変化するチャネル条件およびトラフィック条件に、より良好に適合させることができるように、以前よりもTDD構成が頻繁に再設定される傾向にある。
TDD構成が変更されるおよその間隔は、例えば10ms〜640msの範囲内である。さらに、TDD構成の変更は、通常では複数のユーザ機器に通知しなければならない。
上記の2つの要件によって、TDD構成の変更を通知する処理は単純ではない。ユーザ機器ごとにメッセージを送信すれば、各ユーザ機器に新しいTDD構成がつねに通知されるが、このような方法においては、チャネルにおけるDCI情報量が増えて、その分だけ利用可能なデータ容量が減少する。逆に、ブロードキャストメッセージを使用すると、このような大きなDCIオーバーヘッドは発生しないが、必要な頻度のTDD構成の変更に対応するにはブロードキャストメッセージの頻度が少なすぎるため、適切ではない。
本発明の目的の1つは、TDD再構成の値を複数のユーザ機器に頻繁に送信できるようにすることである。本発明のより一般的な目的は、ブロードキャストメッセージでは間に合わない要件下で、いくつかのユーザ機器に到達させる必要のあるペイロードを送信することである。
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
より詳細には、本発明の一実施形態は、制御チャネルを送信するためのリソースを決定する方法であって、第1のユーザ機器と、第1のユーザ機器と同じセル内の第2のユーザ機器とにおいて、設定可能な無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を格納するステップ、を含み、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が、第1のユーザ機器および第2のユーザ機器に対して同じ値を有し、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が、第1のユーザ機器および第2のユーザ機器のための、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDDCH)内の共通サーチスペース、を定義するように設定される、方法、に関する。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、固定値、特に、0である、または、セル検出手順に関連付けられる値、特に、物理セルIDに基づいて、またはマスター情報ブロックによって伝えられる値に基づいて、または物理ブロードキャストチャネルの値に基づいて、または無線リソース制御(RRC)情報要素の値に基づいて、またはこれらの値の2つ以上に基づいて、計算される。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、物理セルID+1に等しい。
いくつかの実施形態においては、本方法は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいて、第1のユーザ機器もしくは第2のユーザ機器またはその両方にデータを送信するステップ、をさらに含む。
いくつかの実施形態においては、データを送信するステップは、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいて定義される1つまたは複数の拡張制御チャネル要素(ECCE)にデータをマッピングするステップ、を含む。
いくつかの実施形態においては、データを送信するステップは、データに巡回冗長検査(CRC)符号を付加するステップ、を含み、巡回冗長検査符号は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号と設定可能な無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、マスクされる。
いくつかの実施形態においては、データを送信するステップは、データに巡回冗長検査符号を付加するステップ、を含み、巡回冗長検査符号は、セル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号とセル無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、マスクされる。
いくつかの実施形態においては、高いアグリゲーションレベルのマッピング、特に、利用可能な最も高い2つのアグリゲーションレベルのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用され、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのマッピングには、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用されない。
いくつかの実施形態においては、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセット(2つの分散型のEPDCCH−PRBセット)(distributed Enhanced Physical Downlink Control Channel-Physical Resource Block sets)が使用され、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットよりも多くの高いアグリゲーションレベルの候補を提供し、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセット(localized Enhanced Physical Downlink Control Channel-Physical Resource Block set)が使用され、分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、低いアグリゲーションレベルのマッピング、特に、利用可能な最も低い2つのアグリゲーションレベルのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用され、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのマッピングには、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用されない。
いくつかの実施形態においては、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットよりも多くの低いアグリゲーションレベルの候補を提供し、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、データは、第1のユーザ機器もしくは第2のユーザ機器またはその両方と、送信装置との間で通信するための時分割複信(TDD)アップリンク/ダウンリンク構成の値を定義する。
いくつかの実施形態においては、データは、無線フレームの固定されたダウンリンクサブフレームのみにおいて、特に、サブフレーム0およびサブフレーム5において、送信される。
いくつかの実施形態においては、無線フレームの残りのサブフレームにおいて1つまたは複数の拡張制御チャネル要素にデータをマッピングする場合には、セル無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが利用可能であり、これら3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの1つのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
さらに、本発明の一実施形態は、第1のユーザ機器と、第1のユーザ機器と同じセル内の第2のユーザ機器のための、拡張物理ダウンリンク制御チャネル内の共通サーチスペースを定義する目的で、制御チャネルを送信するためのリソースを、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用して決定するように構成されている送信装置、に関する。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、固定値、特に、0である、または、セル検出手順に関連付けられる値、特に、物理セルIDに基づいて、またはマスター情報ブロックの値に基づいて、または物理ブロードキャストチャネルの値に基づいて、または無線リソース制御の値に基づいて、またはこれらの値の2つ以上に基づいて、計算される。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、物理セルID+1に等しい。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいて、第1のユーザ機器もしくは第2のユーザ機器またはその両方にデータを送信するようにさらに構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、データを送信するために、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいて定義される1つまたは複数の拡張制御チャネル要素にデータをマッピングするようにさらに構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、データを送信するために、データに巡回冗長検査符号を付加するようにさらに構成されており、巡回冗長検査符号は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号と設定可能な無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、マスクされる。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、データを送信するために、送信されるデータに巡回冗長検査符号を付加するようにさらに構成されており、巡回冗長検査符号は、セル無線ネットワーク一時識別子を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号とセル無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、マスクされる。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、高いアグリゲーションレベルのマッピング、特に、利用可能な最も高い2つのアグリゲーションレベルのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されており、本送信装置は、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのマッピングには、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用しないように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットを使用するように構成されており、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットよりも多くの高いアグリゲーションレベルの候補を提供し、本送信装置は、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットを使用するように構成されており、本送信装置は、分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、低いアグリゲーションレベルのマッピング、特に、利用可能な最も低い2つのアグリゲーションレベルのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されており、本送信装置は、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのマッピングには、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用しないように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットを使用するように構成されており、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットよりも多くの低いアグリゲーションレベルの候補を提供し、本送信装置は、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットを使用するように構成されており、本送信装置は、局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、データは、第1のユーザ機器もしくは第2のユーザ機器またはその両方と、送信装置との間で通信するための時分割複信(TDD)構成の値を定義する。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、固定されたダウンリンクサブフレームのみにおいて、特に、サブフレーム0およびサブフレーム5において、データを送信するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、残りのサブフレームにおいては、セル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI)を使用してデータを送信するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本送信装置は、3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットを使用するように構成されており、本送信装置は、これら3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの1つのみのマッピングに、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
さらに、本発明の一実施形態は、制御チャネルを受信するリソースを求める方法であって、第1のユーザ機器において、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を格納するステップ、を含み、第1のユーザ機器と、第1のユーザ機器と同じセル内の第2のユーザ機器とに共通のサーチスペースを拡張物理ダウンリンク制御チャネル内に定義するために、第1のユーザ機器によって、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される、方法、にさらに関する。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、固定値、特に、0である、または、セル検出手順に関連付けられる値、特に、物理セルIDに基づいて、またはマスター情報ブロックの値に基づいて、または物理ブロードキャストチャネルの値に基づいて、または無線リソース制御の値に基づいて、またはこれらの値の2つ以上に基づいて、計算される。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、物理セルID+1に等しい。
いくつかの実施形態においては、本方法は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいてデータを受信するステップ、をさらに含む。
いくつかの実施形態においては、データを受信するステップは、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいて定義される1つまたは複数の拡張制御チャネル要素からデータをブラインド復号するステップ、を含む。
いくつかの実施形態においては、データを受信するステップは、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号と設定可能な無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、巡回冗長検査符号をチェックするステップ、を含む。
いくつかの実施形態においては、データを受信するステップは、セル無線ネットワーク一時識別子を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号とセル無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、巡回冗長検査符号をチェックするステップ、を含む。
いくつかの実施形態においては、高いアグリゲーションレベル、特に、利用可能な最も高い2つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用され、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義には、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用されない。
いくつかの実施形態においては、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットよりも多くの高いアグリゲーションレベルの候補を提供し、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、低いアグリゲーションレベル、特に、利用可能な最も低い2つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用され、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義には、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用されない。
いくつかの実施形態においては、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットよりも多くの低いアグリゲーションレベルの候補を提供し、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
いくつかの実施形態においては、データは、送信装置と第1のユーザ機器との間で通信するための時分割複信(TDD)構成の値を定義する。
いくつかの実施形態においては、データは、固定されたダウンリンクサブフレームのみにおいて、特に、サブフレーム0およびサブフレーム5において、受信される。
いくつかの実施形態においては、残りのサブフレームにおいては、セル無線ネットワーク一時識別子を使用してデータを受信する。
いくつかの実施形態においては、3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが利用可能であり、これら3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの1つのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子が使用される。
さらに、本発明の一実施形態は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を格納するように構成されているユーザ機器であって、ユーザ機器と、ユーザ機器と同じセル内の第2のユーザ機器とに共通のサーチスペースを拡張物理ダウンリンク制御チャネル内に定義するために、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用する、ユーザ機器、に関する。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、固定値、特に、0である、または、セル検出手順に関連付けられる値、特に、物理セルIDに基づいて、またはマスター情報ブロックの値に基づいて、または物理ブロードキャストチャネルの値に基づいて、または無線リソース制御の値に基づいて、またはこれらの値の2つ以上に基づいて、計算される。
いくつかの実施形態においては、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値は、物理セルID+1に等しい。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいてデータを受信するようにさらに構成されている。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子の値に基づいて定義される1つまたは複数の拡張制御チャネル要素からデータをブラインド復号するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号と設定可能な無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、巡回冗長検査符号をチェックするように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、セル無線ネットワーク一時識別子を使用することによって、特に、巡回冗長検査符号とセル無線ネットワーク一時識別子の2進XOR演算によって、巡回冗長検査符号をチェックするように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、高いアグリゲーションレベル、特に、利用可能な最も高い2つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されており、本ユーザ機器は、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義には、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用しないように構成されている。
いくつかの実施形態においては、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットよりも多くの高いアグリゲーションレベルの候補を提供し、本ユーザ機器は、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、本ユーザ機器は、分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、低いアグリゲーションレベル、特に、利用可能な最も低い2つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義にのみ、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されており、本ユーザ機器は、残りのアグリゲーションレベルのうちの少なくとも1つのアグリゲーションレベルのサーチスペースの定義には、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用しないように構成されている。
いくつかの実施形態においては、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、2つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットが、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第1のセットよりも多くの低いアグリゲーションレベルの候補を提供し、本ユーザ機器は、2つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの第2のセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、1つの分散型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットと、1つの局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが使用され、本ユーザ機器は、局在型の拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、データは、送信装置とユーザ機器との間で通信するための時分割複信(TDD)構成の値を定義する。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、固定されたダウンリンクサブフレームのみにおいて、特に、サブフレーム0およびサブフレーム5において、データを受信するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、本ユーザ機器は、残りのサブフレームにおいては、セル無線ネットワーク一時識別子を使用してデータを受信するように構成されている。
いくつかの実施形態においては、3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットが利用可能であり、本ユーザ機器は、これら3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル−物理リソースブロックセットのうちの1つのみのサーチスペースの定義に、設定可能な無線ネットワーク一時識別子を使用するように構成されている。
本発明は、添付の図面を参照することによって深く理解されるであろう。しかしながら、図面に対応する実施形態は、いくつかの可能な設定・構成にすぎず、上述した個々の特徴は、互いに独立して実施することができる、または省くことができる。図面に示した同等の要素には、同等の参照記号を付してある。図面に示した同等の要素に関連する説明は、部分的に省略されていることがある。
LTEリリース11においては、拡張PDCCH(以下ではEPDCCHと称する)のサーチスペースには、ユーザ機器あたり最大で2つのEPDCCH−PRBセットを設定することができる。特に、同じ物理リソースブロック(PRB)からの拡張CCE(以下ではECCEと称する)のみがアグリゲート(結合)されるように、EPDCCHを介してのDCIのブラインド復号は、各EPDCCH−PRBセットごとに個別に実行される。ユーザ機器は、ブラインド復号に使用するべき(1つまたは複数の)ECCEを求めなければならないとき、示された送信に対応するRNTI値を使用する。現在、このRNTIはC−RNTIおよびSPS C−RNTIに限られている。
言い換えれば、ユーザ機器は、いくつかのECCEのうち、EPDCCHを形成しており自身のためのDCIを伝えているECCEを識別するために、自身が監視するべき(1つまたは複数の)ECCEを認識しなければならない。このような認識は、RNTIの値に基づいて行う。
さらに、ユーザ機器は、復号されたEPDCCHが自身を対象としているか否かを判定するため、ブラインド復号の後にC−RNTIの値を使用する。この処理は、復号されたEPDCCHに対して、C−RNTIを使用してCRCチェックを行うことによる。CRCチェックが失敗した場合、そのEPDCCHは、そのユーザ機器を宛先としていないものと判断される。したがって、現在、各ユーザ機器は自身のC−RNTIを2回使用する。すなわち、ブラインド復号を行うべき対象のEPDCCHを形成している(1つまたは複数の)ECCEのインデックスを識別するために1回使用し(通常では複数のEPDCCH候補が存在する)、復号されたEPDCCHに対してCRCチェックを行うために1回使用する。
したがって、複数のユーザ機器において共通メッセージを受信するためにC−RNTIを使用する現在の方式は効率的ではなく、なぜなら各ユーザ機器が異なるC−RNTIを有することにより、すべてのユーザ機器を対象とする共通メッセージを一度だけ送ることができず、ユーザ機器ごとに1回ずつ送らなければならない。たとえ2つのEPDCCH−PRBセットを使用するときでも、複数の異なるユーザ機器を、EPDCCHに関して同じPRBペアを監視するように設定することはできるが、ユーザ機器ごとにC−RNTIが異なるため、これらのユーザ機器は異なるEPDCCHのブラインド復号を試みる。
このことは、次の式(1)を検討することによりさらに明らかである。具体的には、次の式(1)は、(1つまたは複数の)EPDCCHのブラインド復号を行うためにユーザ機器においてECCEインデックスがどのように計算されるかを記述している。
この式において、
− 「L」は、アグリゲーションレベルを表す。
− 「Yp,k」は、後から説明するようにC−RNTIまたはSPS C−RNTIに基づいて生成される値である。ここで「p」は、p=0から始まるEPDCCH−PRBセットのインデックスを表し、LTEリリース11では最大で2つの異なるEPDCCH−PRBセットがサポートされる(すなわちp=0およびp=1がサポートされる)。「k」は、0〜9の範囲内の、無線フレーム内のサブフレームインデックス、または、後から概説するように初期化値としての値k=(−1)を表す。
− 「NECCE,p,k」は、サブフレームkにおけるEPDCCH−PRBセットpの中のECCEの総数を表す。
− 「m」は、0〜M−1の範囲内の値であり、m番目のEPDCCH候補を識別する。
− 「M」は、EPDCCH−PRBセットpの中のアグリゲーションレベルLにおける監視するEPDCCH候補の数を表す。
− 「b」は、EPDCCHが監視されるサービングセルに対してキャリアインジケータフィールドを使用するようにユーザ機器が設定されている場合、キャリアインデックスを定義し、それ以外の場合にはb=0である。
− 「i」は、アグリゲーションレベルLの場合に使用される拡張制御チャネル要素のインデックスを表し、0〜L−1の範囲内である。
この場合、特に、C−RNTIからの(1つまたは複数の)ECCEのインデックスの依存性は、値「Yp,k」によって与えられる。実際に、この値は、初期値Yp,−1から始まるアルゴリズムによって得られる。非特許文献7には、次の方法が開示されている。
変数Yp,kは、次式によって定義される。
この式において、
− Yp,−1=nRNTI≠0
− A0=39827
− A1=39829
− D=65537
−
、nsは、0〜19の範囲内の、無線フレーム内のスロット番号である。現在の実装においては、値Yp,−1はC−RNTIまたはSPS C−RNTIに等しく、したがって、各ユーザ機器のための(1つまたは複数の)ECCEのインデックスは、個々のユーザ機器に固有なC−RNTIまたはSPS C−RNTIに基づいて求められる。これに加えて、C−RNTIおよびSPS C−RNTIは、ブラインド復号に成功したEPDCCHを、マスクとしてC−RNTIまたはSPS C−RNTIを使用してのCRCチェックによって確認する目的にもさらに使用される。
したがって、上の説明から理解できるように、各ユーザ機器によってブラインド復号が行われる対象のEPDCCH候補を形成する(1つまたは複数の)ECCEのインデックスは、C−RNTIまたはSPS C−RNTIに基づいて求められる。すなわち、C−RNTIおよびSPS C−RNTIはユーザ機器ごとに異なるため、異なるユーザ機器は異なるEPDCCHのブラインド復号を試みる。このことは、複数のユーザ機器に同じデータを伝えようとする単一のeNodeBは、そのデータを複数の異なるEPDCCHを通じて、したがって複数の異なるECCEを通じて、複数の異なるユーザ機器に送信しなければならないことを意味する。データが送信される頻度が高すぎる場合、および送信されるデータが複数のユーザ機器に対して同じである場合、上述した結果として、受け入れることのできない送信オーバーヘッドが生じる。
本発明では、新規のRNTIフィールド(以下では設定可能なRNTIと称する)を定義し、ブラインド復号の対象の(1つまたは複数の)EPDCCHを決定するときにC−RNTIの代わりにこの設定可能なRNTIを使用することによって、上記の問題を解決する。この方法では、ユーザ機器は、新規の設定可能なRNTIの値に基づいて、EPDCCH候補のPRBを求める。言い換えれば、ブラインド復号する対象のEPDCCH候補を形成しているECCEのインデックスを、設定可能なRNTIの値に基づいて選択する。
新規の設定可能なRNTIのビットサイズは、C−RNTIのビットサイズに近いサイズとすることができる。ただし、C−RNTIは各ユーザ機器に固有であるのに対して、新規の設定可能なRNTIは、同じセル内の2基以上のユーザ機器に対して同じ値として設定することができる。場合によっては、セル内の最大ですべてのユーザ機器に対して、設定可能なRNTIの値を同じ値に設定することができる。いずれの場合にも、新規の設定可能なRNTIの値を同じにユーザ機器の数に関する決定は、eNodeB(eNB)に委ねられる。
具体的には、上の式(1)を参照すると、値Yp,−1は、新規の設定可能なRNTIに対応する。この方法では、ユーザ機器の(1つまたは複数の)ECCEのインデックスおよびしたがって(1つまたは複数の)EPDCCH候補は、新規の設定可能なRNTIに基づく。結果として、新規の設定可能なRNTIの値が同じである2基のユーザ機器は、同じ(1つまたは複数の)ECCEおよび同じ(1つまたは複数の)EPDCCH候補のブラインド復号を試みる。
EPDCCH候補が正常に復号された後、新規の設定可能なRNTIの値と、C−RNTIの値とに基づいて、CRCチェックを行うことができる。この方法では、同じ(1つまたは複数の)ECCEを介して2種類のDCIデータを送信することができる。このことについて、図7を参照しながら説明する。具体的には、図7を参照すると、以下の5基の異なるユーザ機器(ユーザ機器1〜ユーザ機器5)を概略的に示してある。
− ユーザ機器1は、RNTI1に等しいRNTIの値と、設定可能なRNTI1に等しい新規の設定可能なRNTIの値とを有する。
− ユーザ機器2は、RNTI2に等しいRNTIの値と、設定可能なRNTI1に等しい新規の設定可能なRNTIの値とを有する。
− ユーザ機器3は、RNTI3に等しいRNTIの値と、設定可能なRNTI2に等しい新規の設定可能なRNTIの値とを有する。
− ユーザ機器4は、RNTI4に等しいRNTIの値と、設定可能なRNTI2に等しい新規の設定可能なRNTIの値とを有する。
− ユーザ機器5は、RNTI5に等しいRNTIの値と、設定可能なRNTI3に等しい新規の設定可能なRNTIの値とを有する。
あるEPDDCHが、1基のユーザ機器(ユーザ機器1など)を対象とする場合、送信する前に、CRC計算においてC−RNTI1を使用することによってそのPDCCHをマスクすることができる。この方法では、ユーザ機器1およびユーザ機器2の両方が同じ(1つまたは複数の)ECCEのブラインド復号を試み、なぜなら、ECCEのインデックスは設定可能なRNTIの値に基づいて求められ、この値が、ユーザ機器1およびユーザ機器2の両方において同じ値(設定可能なRNTI1)であるためである。しかしながら、ユーザ機器2はメッセージを破棄し、なぜなら、設定可能なRNTI1に対するCRCチェックと、C−RNTI2に対するCRCチェックのいずれも成功しないためである。同様に、ユーザ機器1は、設定可能なRNTI1に対するCRCチェックには成功しない。しかしながら、C−RNTI1に対するCRCチェックには成功する。したがって、ユーザ機器1のみが、このEPDCCHの内容を正常に復号する。
これとは異なり、あるEPDCCHが2基以上のユーザ機器(ユーザ機器1およびユーザ機器2など)を対象としている場合、送信する前に、CRC計算において設定可能なRNTI1を使用することによってそのPDCCHをマスクすることができる。この方法においても、ユーザ機器1およびユーザ機器2の両方が同じ(1つまたは複数の)ECCEのブラインド復号を試み、なぜなら、ECCEのインデックスは設定可能なRNTIの値に基づいて求められ、この値が、ユーザ機器1およびユーザ機器2の両方において同じ値(設定可能なRNTI1)であるためである。その後、ユーザ機器2およびユーザ機器1の両方が、設定可能なRNTI1に対するCRCチェックに成功する。したがって、ユーザ機器1およびユーザ機器2に同じメッセージを個別に2回送る必要なしに、1つのECCEがユーザ機器1およびユーザ機器2の両方に到達する。
本発明のこの方法のさらなる利点として、追加で実行する必要のあるCRC演算が1回のみであるため、ユーザ機器における処理量が大幅に増大することはない。これとは対照的に、新規の設定可能なRNTIおよびC−RNTIに基づいて異なるECCEを2回求めて、対応するブラインド復号を行うオプションでは、余分なビタビ演算が加わり、ずっと多くの計算量が要求される。
上の例では、ユーザ機器は、最初に新規の設定可能なRNTIの値に対してCRCチェックを行い、次いでC−RNTIに対してCRCチェックを行うものと説明したが、本発明はこれに限定されない。これに代えて、逆の方法として、ユーザ機器は最初にC−RNTI値に対してCRCチェックを行い、次いで新規の設定可能なRNTIの値に対してCRCチェックを行うこともでき、あるいは、これらのチェックを並列に行うこともできる。当業者には、これは実装に依存するものであり、本発明には何ら影響しないことが理解されるであろう。
ここまで、新規の設定可能なRNTIの1つの可能な使用方法について説明してきたが、以下では、新規の設定可能なRNTIを生成もしくは送信またはその両方を行う方法について説明する。
新規の設定可能なRNTIは、各EPDCCH−PRBセットごとに異なる値に設定する、または、その時点で利用可能なセットの両方に対して同じ値に設定することができる。いずれの場合にも、設定可能なRNTIは、以下のメカニズムに基づいていずれかの値に設定することができる。
− 設定可能なRNTIを、固定値(例えば0に等しい値)に設定することができる。この方法では、ユーザ機器は、新規の設定可能なRNTIの値を計算する必要がなく、eNBも値を送信する必要がない。
− 設定可能なRNTIを、セル検出手順に関連付けられるパラメータ、例えば同期メカニズムにおいて使用される物理セル識別子(以下ではPCIDと称する)に基づいて、設定することができる。例えば、新規の設定可能なRNTIを、PCIDの何らかの値に、または値0を回避するためPCID+1に設定することができる。さらなる代替方法として、入力としてのPCIDに基づいて(より一般的には、セル検出手順に関連付けられる任意のパラメータに基づいて)出力値を生成することのできる任意の関数を、代わりに使用することができる。
上のいずれの場合も、新規の設定可能なRNTIをeNBからユーザ機器に送信する必要がなく、なぜならその値が固定されている、またはユーザ機器において別のパラメータに基づいて計算できるためである。これとは異なり、ユーザ機器が新規の設定可能なRNTIを受信する(直接的に受信する、または受信したストリームの値に基づいて間接的に計算する)必要がある場合には、新規の設定可能なRNTIの送信は、例えば以下の方法の少なくとも1つにおいて行うことができる。
− 設定可能なRNTIを、マスター情報ブロック(以下ではMIBと称する)から導くことができる。
− 同様に、設定可能なRNTIを、物理ブロードキャストチャネル(以下ではPBCHと称する)から導くことができる。これらの方法の利点として、MIBまたはPBCHを使用することによって、たとえアイドルモードにあるユーザ機器でも、新規の設定可能なRNTIの値を読み取ることができ、したがって対応するサーチスペースにアクセスして、例えばSIメッセージを取得することができる。非特許文献5の5.2.1.1節には、「MIBは、別の情報をセルから取得するために必要であるパラメータのうち最も重要かつ最も高い頻度で送信される(BCHで送信される)限られた数のパラメータを含む」と記載されている。非特許文献2の4.2節の表4.2−1には、BCHはPBCHで送信されることが指定されている。したがって、ユーザ機器において新規の設定可能なRNTIの値を計算する目的に、MIBおよびPBCHの両方を使用することができる。
− さらなる代替方法として、設定可能なRNTIを、無線リソース制御(以下ではRRCと称する)メッセージから導くことができる。このRRCの方法を使用する利点として、RRCメッセージは、いくつかのパラメータをユーザ機器に送信する目的にすでに使用されている。したがって、新規の設定可能なRNTIを、RRCシグナリングのペイロードに挿入することができる、または、ユーザ機器においてRRCメッセージの値に基づいて新規の設定可能なRNTIを計算することができる。
例えば、MIBまたはPBCHを使用する場合、新規の設定可能なRNTIを導くために使用される値を、1個または複数のビットを使用して示すことができる。例えば、MIBにおいて3個のビットがこのような方式で使用される場合、これらの3個のビットを、新規の設定可能なRNTIの最下位ビット(LSB)(あるいは最上位ビット(MSB))と解釈することができ、残りのビットは所定の値(0など)であるものと想定する。
さらなる代替方法として、新規の設定可能なRNTIの値を、MIBの値、PBCHの値、RRC情報要素の値のうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザ機器によって計算することができる。すなわち、これらのパラメータの任意の組合せを入力として、設定可能なRNTIの長さと同程度の値を出力できる任意の関数を使用することができる。例えば、MIB/PBCHまたはRRC情報要素における少なくとも1個のビットによって示される値を、ルックアップテーブルまたは式において使用して、新規の設定可能なRNTIの異なる値を選択または生成することができる。例えば、このような方式において2個のビットが使用される場合、次の表におけるような関係を使用して、新規の設定可能なRNTIを得ることができる。
上の表の数値は、設計時の単なる選択に依存するように見えるが、背景技術のセクションにおいてRNTIの表に示したように、値0000およびFFF4〜FFFCは現時点では使用されていないため、これらの値から選択することが好ましい。したがって、これらの値のうちの1つまたは複数を使用するならば、3GPP仕様の過去のリリースに従う実装との矛盾が生じることもない。
以下では、EPDCCHのサーチスペースに新規の設定可能なRNTIを使用する場合に関するさらなる例をいくつか示す。なお以下のいくつかの例は、互いに組み合わせる、または互いに独立して実施できることが、当業者には明らかであろう。
いくつかの実施形態においては、新規の設定可能なRNTIの使用を、時間領域において制約することができる。すなわち、サブフレームパターンによってユーザ機器を設定することができ、この場合、ユーザ機器は、PDCCHのユーザ機器に固有なサーチスペース(以下ではUSSと称する)を監視する、または、リリース11の挙動において(リリース11の文書は3GPPのウェブサイト/リリース11おいて入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている)、すなわちC−RNTIの値に等しいYp,−1の値を設定することによって、EPDCCHを監視する、または、上述した新規の挙動においてEPDCCHを監視する、のうちの少なくとも1つとすることができる。
言い換えれば、いくつかのサブフレームにおいてはC−RNTIを使用してEPDCCHのサーチスペースを定義することができ、その一方で、別のサブフレームにおいては新規の設定可能なRNTIを使用してEPDCCHのサーチスペースを定義することができる。TDD再構成が行われる特定のケースにおいてこのように設定する例を後から示す。
この方法の恩恵として、1つのEPDCCH−PRBセットのみが設定されている場合でも、効率的な送信を行うことができる。これに加えて、この方法では、例えば既存の特定のサブフレームパターン(ABSパターンまたはCSI測定パターンなど)にも位置合わせすることができる。実際に、多数のユーザ機器に共通のEPDCCH送信を受信させる必要がある場合、そのEPDCCH送信を、例えば干渉に対して保護する必要がある。干渉を正しく推定するためには、干渉の基本的な特性がサブフレームごとに大きく変動しないことが望ましい。しかしながら、干渉を引き起こすセルが、偶数番号のサブフレームにおいて送信を行わないようにシステムを動作させることが有利なことがあり、隣接するセルでは、偶数番号のサブフレームにおける干渉レベルが奇数番号のサブフレームにおける干渉レベルよりも低くなる。ユーザ機器における干渉の測定/推定においてこの設定を認識できるようにする目的で、偶数番号のサブフレームにおける第1のCSI測定パターンと、奇数番号のサブフレームにおける第2のCSI測定パターンとを使用するように、ユーザ機器を設定する。当然ながら、干渉の少ないサブフレーム(この例においては偶数番号のサブフレーム)においては、より高い信頼性の送信が可能である。したがって、新規の設定可能なRNTIを使用してのEPDCCHの検出を、このようなCSI測定パターンに対応するサブフレームに限定することは有利であり得る。このようにすることで、それ以外のサブフレームにおいては新規の設定可能なRNTIが使用されず、これによって、そのような他のサブフレームにおいては、さまざまな制御チャネルの送信の誤った検出の確率とブロッキング確率とが減少する。その一方で、新規の設定可能なRNTIを使用してサーチスペースを求めるサブフレーム(好ましくは、同一の送信において複数のユーザ機器を対象とする制御チャネルを送信するために使用されるサブフレーム)においては、干渉が低いために一般的に信頼性が向上する。
特定のケースとして、TDD再構成の値をいくつかのユーザ機器に送信する目的で新規の設定可能なRNTIを使用する場合には、ダウンリンク(以下ではDLと称する)サブフレームを、固定DLサブフレーム(Fixed DL subframe)とフレキシブルDLサブフレーム(Flexible DL subframe)とに分類することができる。ここで、固定DLサブフレームとは、採用されているUL/DL構成にかかわらずすべての無線フレームにおいてDまたはSであるサブフレームである。すなわち、サブフレーム#0,#1,#5,#6は、固定DLサブフレームである。さらに具体的には、サブフレーム#0およびサブフレーム#5は固定DLサブフレームであるのに対して、サブフレーム#1およびサブフレーム#6はスペシャルDLサブフレームとして定義されている。スペシャルサブフレームの仕様については、例えば非特許文献1(この文書は参照によって本明細書に組み込まれている)の4.2節に説明されている。残りのサブフレームは、TDD構成に応じてダウンリンクモードおよびアップリンクモードの両方に使用することができる。
TDD再構成に起因してDCIが失われる危険性なしに共通のDCIを検出できるように、新規の設定可能なRNTIを、固定DLサブフレームのみにおいて(すなわちサブフレーム#0,#1,#5,#6において、またはより好ましくはサブフレーム#0および#5において)使用することができる。このようにすることで、新しいTDD再構成の値を送信するDCIが、新規の設定可能なRNTIの同じ値を有するすべてのユーザ機器によって受信されるようにすることができる。これと同時に、C−RNTIは、フレキシブルDLサブフレームもしくはスペシャルサブフレームまたはその両方において(例えばサブフレーム#1,#2,#3,#4,#6,#7,#8,#9のいずれかにおいて)使用することができる。
FDDの場合において新規の設定可能なRNTIを適用する場合、隣接するセルからの干渉を最小にすることのできるサブフレームにおいて、新規の設定可能なRNTIを適用してサーチスペースを求めることが好ましい。1つのこのようなメカニズムでは、いわゆるMBSFNサブフレームを採用しており、MBSFNサブフレームは、FDDの場合における無線フレームのサブフレーム#1,#2,#3,#6,#7,#8に設定することができる。したがって、これらのサブフレームの1つまたは複数のみにおいて、新規の設定可能なRNTIを適用してサーチスペースを求めることが好ましく、さらには、新規の設定可能なRNTIを適用できるサブフレームが例えばRRC設定パターンによって決まる場合、設定可能なRNTIを使用できるサブフレームを、これらのサブフレームに制限することが好ましい。
この方法では、ユーザ機器における要求される復号処理量は増大せず、なぜなら各サブフレームに対して1つのEPDCCHサーチスペースのみが定義されるためである。しかしながら、いくつかのサブフレームにおいては新規の設定可能なRNTIに基づいてサーチスペースを定義し、残りのサブフレームにおいてはC−RNTIを使用することによって、新規の設定可能なRNTIが使用されているサブフレームにおいて1つのDCIメッセージを複数のユーザ機器に効率的に送信することが可能である一方で、C−RNTIが使用されているときには複数の異なるユーザ機器を対象とする複数の異なるEPDCCHサーチスペースを定義することも依然として可能である。この場合、サーチスペースが新規の設定可能なRNTIによって定義されているサブフレームにおいては、上述したようにC−RNTIおよび新規の設定可能なRNTIの両方に基づいてCRCチェックを行うことができるが、C−RNTIに基づく追加のCRCチェックを回避することによってユーザ機器における要求される計算量を減らすため、このようなサブフレームにおいては新規の設定可能なRNTIに基づくCRCチェックのみを行うことも可能である。
どのサブフレームにおいて新規の設定可能なRNTIに基づくEPDCCHサーチスペースを採用し、どのサブフレームにおいてC−RNTIに基づくEPDCCHサーチスペースを採用するかの決定は、固定とする、または時間の経過とともに変更することができ、後者の場合、変更は、DCIの一部として、または、新規の設定可能なRNTIの値をユーザ機器に送信するための上述した方法において新規の設定可能なRNTIの値と一緒に、ユーザ機器に伝えることができる。
いくつかの実施形態においては、新規の設定可能なRNTIの使用を、特定のアグリゲーションレベルに制約することができる。具体的には、広いカバレッジが要求されるのか、あるいは無線条件が良好であるユーザ機器にとって最適なカバレッジが要求されるのかに応じて、2つのケースを定義することができる。このようにすることで、サーチスペースの一部が新規の設定可能なRNTIによって決定され、サーチスペースの残りの部分が別のRNTI(C−RNTIなど)によって決定される。
最初のケース、すなわちユーザ機器の広いカバレッジを提供することが目標であるときには、高いアグリゲーションレベルのEPDCCH候補についてのみ、新規の設定可能なRNTIを使用して(1つまたは複数の)ECCEのインデックスを決定することができる。LTEリリース11では、一般にはアグリゲーションレベル1,2,4,8,16,32がサポートされる。この場合における高いアグリゲーションレベルとは、例えば、アグリゲーションレベル8,16,32、またはアグリゲーションレベル16,32、または少なくともアグリゲーションレベル32であり、低いアグリゲーションレベルは、例えば、アグリゲーションレベル1,2,4、またはアグリゲーションレベル1,2、または少なくともアグリゲーションレベル1である。しかしながら、1つのEPDCCH−PRBセットに対して、必ずしもこれらのアグリゲーションレベルすべてをサポートしない。特に、このケースでは、1つのEPDCCH−PRBセットに適用できる最も低い2つのアグリゲーションレベルよりも高いアグリゲーションレベル、より具体的には、1つのEPDCCH−PRBセットに適用できる最も高い1つまたは2つのアグリゲーションレベルのみがサポートされる。例えば、非特許文献7の表9.1.4−1aは、いわゆるケース1においてEPDCCH−PRBセットのPRBペアが2つである場合、少なくとも1回のブラインド復号においてアグリゲーションレベル2,4,8を適用できることを定義している。したがって、この実施形態によると、新規の設定可能なRNTIは、アグリゲーションレベル8のブラインド復号の試み、あるいはアグリゲーションレベル4および8のブラインド復号の試みにのみ適用可能である。残りのアグリゲーションレベルのブラインド復号の試みについては、ユーザ機器のC−RNTIに従って制御チャネル要素が求められることが好ましい。これにより、EPDCCH−PRBセットにおける低いアグリゲーションレベルでのDCI送信において衝突およびブロッキングの確率が減少する。すなわち、低いアグリゲーションレベルにおいては、新規の設定可能なRNTIを使用する代わりにC−RNTIを使用することによって、これらの低いアグリゲーションレベルのためのサーチスペースを分散させることができ、結果として衝突およびブロッキングの確率が下がる。
2つの分散型のEPDCCH−PRBセットの場合には、第1のセットが第2のセットよりも多くの高いアグリゲーションレベルの候補を提供するならば、第1のセットの高いアグリゲーションレベルに対しての新規の設定可能なRNTIを使用するため、第1のセットのみにおいて新規の設定可能なRNTIを使用することができる。同様に、局在型のEPDCCH−PRBセットと分散型のEPDCCH−PRBセットの場合には、分散型のセットのみに新規の設定可能なRNTIを使用することができる。
第2のケースにおいては、すなわち良好な無線条件下にあるユーザ機器に最適な共通のRNTIカバレッジを提供することが目標であるときには、低いアグリゲーションレベルのEPDCCH候補についてのみ、新規の設定可能なRNTIを使用して(1つまたは複数の)ECCEのインデックスを決定することができる。特に、1つのEPDCCH−PRBセットに適用できる最も高い2つのアグリゲーションレベルよりも低いアグリゲーションレベル、より具体的には、1つのEPDCCH−PRBセットに適用できる最も低い1つまたは2つのアグリゲーションレベルのみがサポートされる。例えば、非特許文献7の表9.1.4−1aは、いわゆるケース1においてEPDCCH−PRBセットのPRBペアが2つである場合、少なくとも1回のブラインド復号においてアグリゲーションレベル2,4,8を適用できることを定義している。したがって、この実施形態によると、新規の設定可能なRNTIは、アグリゲーションレベル2のブラインド復号の試み、あるいはアグリゲーションレベル2および4のブラインド復号の試みにのみ適用可能である。残りのアグリゲーションレベルのブラインド復号の試みについては、ユーザ機器のC−RNTIに従って制御チャネル要素が求められることが好ましい。このケースは、例えば、ユーザ機器との無線接続の品質が一般的に良好である小さいセルの場合に有用であり得る。
低いアグリゲーションレベルに対して新規の設定可能なRNTIを使用することによって、EPDCCH−PRBセットにおける高いアグリゲーションレベルでのDCI送信において衝突/ブロッキングの確率が減少する。2つの分散型のEPDCCH−PRBセットの場合、第1のセットよりも多くの低いアグリゲーションレベルの候補を提供する第2のセットのみにおいて、新規の設定可能なRNTIを使用することができる。同様に、局在型のEPDCCH−PRBセットと分散型EPDCCH−PRBセットの場合、局在型のセットのみに新規の設定可能なRNTIを使用することができる。
いくつかの実施形態においては、新規の設定可能なRNTIを適用するPRBセットは、既存のEPDCCH−PRBセットの一方または両方とする、または新しい第3のセットとすることができる。後者の場合、通常ではPDCCH共通サーチスペース(CSS)において使用されるブラインド復号の試み(現時点では合計で12回のブラインド復号)を、第3のセットに対するブラインド復号の試みに置き換えることができる。この方法では、ユーザ機器におけるさらなるブラインド復号動作を回避することが可能である。
要約すると、本発明は、新しいフィールドとして新規の設定可能なRNTIを提供し、このフィールドは、同じセル内の2基以上のユーザ機器に1つのパラメータを効率的に送信する目的で使用することができ、これは、新規の設定可能なRNTIを使用してEPDCCHのサーチスペースを定義し、2基以上のユーザ機器に対して新規の設定可能なRNTIの同じ値を使用することによる。この方法では、新規の設定可能なRNTIの同じ値を有するユーザ機器のサーチスペースが同一であり、新規の設定可能なRNTIの同じ値を有するすべてのユーザ機器に1つのメッセージを到達させることができる。これにより、複数のユーザ機器にメッセージ(DCIメッセージなど)を送信する効率が高まる。このような送信方式によって恩恵を受けうる1つのパラメータは、TDD構成であるが、本発明はこれに限定されない。さらに、EPDCCHサーチスペースを定義するときに新規の設定可能なRNTIを必ずしもつねに使用するのではなく、特定の場合にのみ共通のEPDCCHサーチスペースを提供する目的で、タイミングまたはアグリゲーションレベルに関して新規の設定可能なRNTIの使用を制限することができる。さらには、新規の設定可能なRNTIを使用して、2基以上のユーザ機器に共通のEPDCCHサーチスペースを定義するときであっても、個々のユーザ機器それぞれが、他のユーザ機器を宛先としていないユニキャストメッセージを依然として受信することができ、そのためには、新規の設定可能なRNTI(複数のユーザ機器に共通する)と、C−RNTI(個々の各ユーザ機器に固有である)の両方に対して、受信したメッセージのCRC値をチェックするだけである。この方法では、ブラインド復号の回数を増やすことなく、ユニキャストメッセージおよびブロードキャストメッセージを同じサーチスペースにおいて同時に送信することが可能である。
したがって、本発明によると、送信アーキテクチャをわずかに変更し、ユーザ機器における要求される計算量を少し増やすことによって、共通のEPDCCHサーチスペースを形成して複数のユーザ機器に共通のパラメータを効率的に送信することができる。