以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図3は本発明の一実施の形態を示す図である。
(内容物充填システム)
まず図1により本実施の形態による内容物充填システム(無菌充填システム、アセプティック充填システム)について説明する。
図1に示す内容物充填システム10は、ボトル(容器)30に対して飲料等の内容物を充填するシステムである。ボトル30は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。ボトル30の材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又はPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。このほか、容器としては、ガラス、缶、紙、パウチ、またはこれらの複合容器であっても良い。本実施の形態においては、容器としてボトルを用いる場合を例にとって説明する。
図1に示すように、内容物充填システム10は、ボトル供給部21と、殺菌装置11と、エアリンス装置14と、無菌水リンス装置15と、充填装置(フィラー)20と、キャップ装着装置(キャッパー、巻締及び打栓機)16と、製品ボトル搬出部22とを備えている。これらボトル供給部21、殺菌装置11、エアリンス装置14と、無菌水リンス装置15、充填装置20、キャップ装着装置16、および製品ボトル搬出部22の搬送方向に沿って、上流側から下流側に向けてこの順に配設されている。また、殺菌装置11、エアリンス装置14と、無菌水リンス装置15、充填装置20、およびキャップ装着装置16の間には、これらの装置間でボトル30を搬送する複数の搬送ホイール12が設けられている。
ボトル供給部21は、外部から内容物充填システム10へ空のボトル30を順次受け入れ、受け入れたボトル30を殺菌装置11へ向けて搬送するものである。
なお、ボトル供給部21の上流側に、プリフォームを二軸延伸ブロー成形することによりボトル30の成形を行うボトル成形部(図示せず)が設けられていても良い。このように、プリフォームの供給からボトル30の成形を経て、ボトル30への内容物の充填および閉栓に至る工程を連続して行っても良い。この場合、外部から内容物充填システム10まで、容積の大きいボトル30の形態ではなく容積の小さいプリフォームの形態で運搬することができるので、運送費を低減することができる。
殺菌装置11は、殺菌剤をボトル30に噴射することにより、ボトル30内を殺菌するものである。これにより、内容物の充填前に殺菌剤によってボトル30が殺菌され、細菌の芽胞の生存は許容するが細菌の栄養細胞、カビ及び酵母の生存を許容しない状態となる。殺菌剤としては、例えば過酸化水素水溶液が用いられる。殺菌装置11においては、過酸化水素水溶液のミスト又はガスが生成され、ミスト又はガスがボトル30の内外面に噴霧される。このようにボトル30内が過酸化水素水溶液のミスト又はガスで殺菌されるので、ボトル30の内面がムラなく殺菌される。
エアリンス装置14は、ボトル30に無菌の加熱エア又は常温エアを供給することにより、過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル30内から異物、過酸化水素等を除去するものである。
無菌水リンス装置15は、殺菌剤である過酸化水素により殺菌されたボトル30に対して、無菌の15℃〜85℃の水による洗浄を行うものである。これによりボトル30に付着した過酸化水素を洗い流し、且つ異物が除去される。
なお、本実施の形態において、上述した殺菌装置11により、容器殺菌装置13が構成されている。
充填装置20は、ボトル30の口部からボトル30内へ、予め殺菌処理された内容物を充填するものである。この充填装置20において、空の状態のボトル30に対して内容物が充填される。この充填装置20において、複数のボトル30が回転(公転)されながら、ボトル30の内部へ内容物が充填される。この内容物は常温でボトル30内に充填されても良い。内容物は予め加熱等により殺菌処理され、3℃以上かつ40℃以下の常温まで冷まされた上でボトル30内に充填される。上述したようにボトル30内では細菌の芽胞の生存が許容される。このため、従来のように内容物を高温まで加熱した状態でボトル30に充填したり、ボトル30に内容物を充填した後長時間保持したり、ボトル30に充填してキャップ33で閉じた製品ボトル35(後述)を外部から加熱して殺菌したりする必要が生じない。
ところで、充填装置20から充填される内容物は、菌の繁殖に影響を及ぼす所定の特性を有している。本実施の形態において、この所定の特性とは、内容物のpHであっても良い。より具体的には、内容物は、酸性の飲料からなっていても良い。この飲料の酸性度は、好ましくはpH4.6未満、より好ましくはpH4.0未満である。pH4.0以上かつpH4.6以下の飲料には、例えばトマトジュース、野菜ジュースなどがあり、pH4.0未満の飲料には、例えばレモンティー、オレンジジュース、乳性炭酸飲料、機能性飲料、炭酸入りレモンジュース、ぶどうジュース、果汁ジュースなどがある。
一般に、細菌の芽胞は酸性度がある程度高い(例えば、pH4.6未満、好ましくは4.0未満の)液体の中では、発芽することなく静菌状態を持続し、このため、内容物が腐敗することなく保存される。したがって、上述したように、充填装置20で充填される前のボトル30内には細菌の芽胞が生きたまま残留するが、細菌の芽胞の発芽を抑止しうる(例えば、pH4.6未満、好ましくは4.0未満の)酸性度を有する殺菌処理済みの内容物がボトル30内に充填されることにより、飲料が変質したり腐敗したりすることが防止される。
キャップ装着装置16は、ボトル30の口部にキャップ33を装着することにより、ボトル30を閉栓するものである。キャップ装着装置16において、ボトル30の口部はキャップ33により閉じられ、ボトル30内に外部の空気や微生物が侵入しないように密封される。キャップ装着装置16において、内容物が充填された複数のボトル30が回転(公転)しながらその口部にキャップ33が装着される。このようにして、ボトル30の口部にキャップ33を装着することにより、製品ボトル35が得られる。
キャップ33は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される。キャップ殺菌装置18は、例えば無菌チャンバ70(後述)の内側であってキャップ装着装置16の近傍に配置されている。キャップ殺菌装置18において、内容物充填システム10の外部から搬入されたキャップ33は、予め多数集められ、キャップ装着装置16に向かって列になって搬送される。キャップ33がキャップ装着装置16に向かう途中で、過酸化水素のミスト又はガスがキャップ33の内外面に向かって吹き付けられた後、ホットエアで乾燥し、殺菌処理される。
製品ボトル搬出部22は、キャップ装着装置16でキャップ33を装着された製品ボトル35を、内容物充填システム10の外部へ向けて連続的に搬出するものである。
なお、内容物充填システム10は、無菌チャンバ70を有している。無菌チャンバ70の内部に、上述した殺菌装置11、エアリンス装置14、無菌水リンス装置15、充填装置20、キャップ殺菌装置18、およびキャップ装着装置16が収容されている。このような内容物充填システム10は、例えば無菌充填システムからなっていても良い。この場合、無菌チャンバ70の内部が無菌状態に保持されている。
あるいは、内容物充填システム10は、85℃以上かつ100℃未満の高温下で内容物を充填する高温充填システムであっても良い。また、55℃以上かつ85℃未満の中温下で内容物を充填する中温充填システムであっても良い。他方、本実施の形態による技術思想は、レトルト殺菌など後殺菌を用いた無菌包装にも適用することが出来る。
(内容物充填方法)
次に、上述した内容物充填システム10(図1)を用いた内容物充填方法について説明する。なお、以下において、通常時における充填方法、すなわち実際に飲料等の内容物をボトル30に充填して製品ボトル35を製造する内容物充填方法について説明する。
まず複数の空のボトル30が、内容物充填システム10の外部からボトル供給部21へ順次供給される。このボトル30は、搬送ホイール12によってボトル供給部21から殺菌装置11へ送られる(容器供給工程)。
次に、容器殺菌装置13を構成する殺菌装置11において、ボトル30に対して殺菌剤である過酸化水素水溶液を用いて殺菌処理が行われる(殺菌工程)。このとき、過酸化水素水溶液は、一旦沸点以上で気化させたガス又はミストであり、ボトル30に向かって供給される。過酸化水素水溶液のミストは、ボトル30の内面全体に付着し、ボトル30内の細菌の栄養細胞、カビ及び酵母を殺菌する。このボトル30内に供給する過酸化水素のミストの量は、例えば5μL/ボトル以上かつ50μL/ボトル以下であり、過酸化水素ガスの場合、1mg/L以上かつ5mg/L以下であり、その殺菌力は細菌の栄養細胞、カビ及び酵母を殺菌するが、細菌の芽胞は殺菌しない程度とされる。これにより、過酸化水素の使用量の低減化が可能となる。
続いて、ボトル30は、搬送ホイール12によってエアリンス装置14に送られ、エアリンス装置14において、無菌の加熱エア又は常温エアを供給することにより、過酸化水素の活性化を行いつつ、ボトル30から異物、過酸化水素等が除去される。次いで、ボトル30は、搬送ホイール12によって無菌水リンス装置15に搬送される。この無菌水リンス装置15において、無菌の15℃〜85℃の水による洗浄が施される(リンス工程)。具体的には、無菌の15℃〜85℃の水が、5L/min以上かつ15L/min以下の流量でボトル30内に供給される。その際、好ましくはボトル30は倒立状態とされ、下向きになった口部からボトル30内へ無菌水が供給され、この無菌水は口部からボトル30の外方に流出する。この温水によって、ボトル30に付着した過酸化水素を洗い流し、且つ異物が除去される。
続いて、ボトル30は、搬送ホイール12によって充填装置20に搬送される。この充填装置20において、ボトル30は回転(公転)されながら、その口部からボトル30内へ内容物が充填される(充填工程)。
この充填装置20でボトル30に充填される前に、予め内容物が調合され、加熱殺菌処理が行われる。上述したように、内容物は、菌の繁殖に影響を及ぼす特性である所定のpHを有していても良い。具体的には、内容物は、好ましくはpH4.6未満、より好ましくはpH4未満の酸性の飲料からなっていても良い。加熱温度は、一般的に内容物の酸性度がpH4.0未満の場合は60℃以上かつ120℃以下程度、pH4.0以上の場合は115℃以上かつ150℃以下程度とされる。これにより、充填前の内容物中の製品ボトル35内で発育しうる微生物が全て殺菌される。加熱殺菌処理された内容物は、3℃以上かつ40℃以下程度の常温まで冷却される。
充填装置20においては、殺菌されたボトル30に、上記殺菌処理され常温まで冷やされた内容物が常温で充填される。充填時の内容物の温度は、例えば3℃以上かつ40℃以下程度である。内容物の酸性度は、上述したように、好ましくはpH4.6未満、より好ましくはpH4未満であり、具体的には、トマトジュース、野菜ジュース、レモンティー、オレンジジュース、乳性炭酸飲料、機能性飲料、炭酸入りレモンジュース、ぶどうジュース、果汁ジュース等が挙げられる。すなわち、このような内容物充填方法によれば、pH4.6以上の麦茶、混合茶およびミルク入り飲料を除いたほとんど全ての種類の飲料を充填した製品ボトル35を製造することが可能となる。言うまでもなく、コーラやサイダーなど動物又は植物の組成成分を含まず、炭酸ガス圧1.0kg/cm2(20℃)以上の炭酸飲料の製品ボトル35も製造可能である。
続いて、内容物が充填されたボトル30は、搬送ホイール12によってキャップ装着装置16に搬送される。
一方、キャップ33は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌処理される(キャップ殺菌工程)。この間、まずキャップ33は、内容物充填システム10の外部からキャップ殺菌装置18に搬入される。続いて、キャップ33は、キャップ殺菌装置18において、過酸化水素のミスト又はガスが吹き付けられて、その内外面が殺菌処理された後、ホットエアで乾燥し、キャップ装着装置16に送られる。
次いで、キャップ装着装置16において、充填装置20から搬送されてきたボトル30の口部に殺菌済みのキャップ33を装着することにより、製品ボトル35が得られる(キャップ装着工程)。
その後、製品ボトル35は、キャップ装着装置16から製品ボトル搬出部22へ搬送され、内容物充填システム10の外部へ向けて搬出される。
なお、上記殺菌工程からキャップ装着工程に至る各工程は、無菌チャンバ70で囲まれた無菌の雰囲気内すなわち無菌の環境下で行われる。この無菌チャンバ70内は、予め過酸化水素の噴霧、温水の放水等により、細菌の芽胞の生存は許容するが細菌の栄養細胞、カビ及び酵母の生存は許容しないように殺菌処理されている。そして、殺菌処理後は無菌エアが常時無菌チャンバ70外に向かって吹き出るように、無菌チャンバ70内に陽圧の無菌エアが供給される。
なお、内容物充填システム10におけるボトル30の生産(搬送)速度は、100bpm以上かつ1500bpm以下とすることが好ましい。ここでbpm(bottle per minute)とは、1分間当たりのボトル30の搬送速度をいう。
(内容物充填システムにおける初発菌確認方法)
次に、上述した内容物充填システム10(図1)を用いて、ボトル30の無菌性を検証する初発菌確認方法について説明する。
本実施の形態による初発菌確認方法は、内容物充填システム10において内容物が充填されるボトル30の無菌性が確保されているか否かを確認するものである。この初発菌確認方法は、例えば内容物充填システム10が完成した直後の初期段階、すなわち実際に内容物充填システム10を用いてボトル30への充填を行い製品ボトル35の製造を開始するよりも前に行われても良い。あるいは、本実施の形態による初発菌確認方法は、内容物充填システム10における工程又は装置に何らかの変更が生じた場合や、内容物充填システム10を一定期間使用しなかった場合等、無菌性に影響を及ぼすおそれが生じた場合に行っても良い。あるいは、本初発菌確認方法は、無菌性に影響を及ぼすおそれが生じたか否かに関わらず、所定の充填サイクル毎に定期的に行われても良い。
まず、本実施の形態による初発菌確認方法を行う前に、内容物充填システム10の個々の要素に対してそれぞれ無菌性が確保されているか否かのテストを個別に行う。具体的には、例えば、内容物の供給ラインが正しく昇温されるか否かのテスト(SIP昇温確認テスト)、ボトル30やキャップ33が正しく殺菌されるか否かのテスト(ボトル殺菌テスト、キャップ殺菌テスト)、及び、無菌チャンバ70が殺菌されるか否かのテスト(チャンバー殺菌テスト)等が行われる。
このようなテストを行った後、ボトル30の無菌性を評価するため、本実施の形態による初発菌確認方法が実行される。具体的には、内容物充填システム10に多数のボトル30を流し、容器殺菌装置13(殺菌装置11)によってボトル30を殺菌せずに、各ボトル30に、実際に充填される内容物に代えて、所定の培地を充填してキャップ33により閉栓する。その後、一定期間の経過後に各ボトル30に充填された培地が腐敗しないことを確認する(容器の初発菌確認方法)。
以下、本実施の形態による内容物充填システム10の初発菌確認方法(容器の初発菌確認方法)について、図2および図3を参照して更に説明する。図2は、本実施の形態による初発菌確認方法を示すフロー図であり、図3は、本実施の形態による初発菌確認方法を実行する際の内容物充填システムを示す概略平面図である。なお、図3において、図1に示す内容物充填システム10と同一部分には同一の符号を付してある。
まず、図3に示すように、内容物充填システム10に検証用の空のボトル30を流す。
この場合、外部から内容物充填システム10のボトル供給部21へ、空のボトル30を供給する(容器供給工程、図2のステップS1)。ボトル30の本数は予め定められており、例えば100本以上300,000本以下(好ましくは1,000本以上30,000本以下)の所定の本数とすることができる。
次に、ボトル30は、容器殺菌装置13の殺菌装置11に送られる。容器殺菌装置13の殺菌装置11、エアリンス装置14及び無菌水リンス装置15は予め停止されており、ボトル30に対して殺菌処理が行われることはない。このため、殺菌装置11によってボトル30を殺菌することなく、ボトル30は、殺菌装置11、エアリンス装置14及び無菌リンス装置15をそのまま通過して充填装置20に搬送される(非殺菌容器搬送工程、図2のステップS2)。なお、ボトル30は、殺菌装置11、エアリンス装置14及び無菌リンス装置15を通過する代わりに、他の迂回経路を用いて充填装置20に送られても良い。
ここで、ボトル30のみを殺菌せずに、無菌チャンバ70内を搬送させ、後述するように培地を充填装置(フィラー)20で充填する方法を説明する。まず過酸化水素ガス方式の場合、殺菌装置11において、過酸化水素ガスをボトル30内に導入させないようにバイパスさせるか、又は過酸化水素ガスの供給を停止させる。また、エアがボトル30内に供給されるとボトル30内の初発菌数を正確に測定できないため、エアをバイパスさせる必要がある。
図5は、殺菌装置11を示す概略断面図である。図5に示すように、所定の駆動源からの動力で回転するホイール51が、機台52上に起立する旋回軸53に水平に取り付けられている。ホイール51の盤面からは支柱54が上方に伸び、支柱54の上端に過酸化水素ガスが流入するマニホルド55が固定される。マニホルド55の上部中央からは旋回軸53の軸心の延長線上で導管56が上方に伸び、この導管56が機台52に連結される無菌チャンバ70のフレーム部材にベアリング57を介して保持される。これにより、マニホルド55はホイール51と一体で旋回軸53の回りを回転可能である。
また、ホイール51の盤面からは他の支柱58が上方に伸び、この支柱58の上部にボトル30のグリッパー60が取り付けられる。支柱58及びグリッパー60は所定のピッチでホイール51の回りに多数配置される。多数のグリッパー60は支柱58を介してホイール51に連結され、ホイール51の回転と共に回転する。
マニホルド55の回りからは各グリッパー60に向って過酸化水素ガスの供給管59がそれぞれ伸び、各供給管59の先端にノズル61が取り付けられる。ノズル61は上記支柱58に固定され、その先端の開口がグリッパー60に保持されたボトル30の口部に正対する。これにより、ホイール51が回転すると、ノズル61はグリッパー60に保持されたボトル30と共に旋回軸53の回りを旋回し、過酸化水素ガスをボトル30に吹き付ける。また、ホイール51の周囲には、グリッパー60に保持されたボトル30の通り道を囲むようにトンネル62が設けられる。
マニホルド55の導管56の上端には、シール部材64を介して導管63が接続される。導管56はマニホルド55と一体で導管63に対して回転し、シール部材64が両管56、63の接続部からの過酸化水素ガスの漏れを防止する。導管63には、導管63内の過酸化水素ガスの通過を制御する第1のバルブ41が取り付けられている。第1のバルブ41の上流側からは、バイパス用導管67が分岐している。バイパス用導管67は、無菌チャンバ70の内部に連通している。バイパス用導管67には、バイパス用導管67内の過酸化水素ガスの通過を制御する第2のバルブ43が取り付けられている。なお、バイパス用導管67は、ベアリング57とノズル61との間から延びていても良い。
導管63の上流側にはブロア65、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタ66及び電熱器69で構成されるガス供給装置が設けられる。過酸化水素添加装置68は、電熱器69の前後の一方又は両方に組み込まれる。過酸化水素添加装置68を電熱器69よりも下流側に設置する場合は、過酸化水素ガスの状態で配管に混気すると良い。過酸化水素がガス状態でないと、過酸化水素の残留値が増加する傾向にある。一方、過酸化水素添加装置68を電熱器69よりも上流側に設置する場合は、過酸化水素をスプレー等の液状で配管内に添加しても良い。その場合、電熱器69の設定温度は、供給する殺菌剤の沸点以上にすることが好ましいが、ボトル30の殺菌強度に応じて100℃以上(好ましくは130℃以上)にしても良い。また、スプレーの更に上流側に別の電熱器を設け、無菌のホットエアー(80℃以上)にスプレーしても良い。または、過酸化水素添加装置68は、電熱器69の前後両方に組み込んでも良い。ボトル30の材質がPET(ポリエチレンテレフタレート)の場合、過酸化水素が吸着しやすく残留値が増加しやすいが、材質がHDPE(高密度ポリエチレン)の場合、過酸化水素の吸着量は1/5〜1/20と極めて少ない。そのため、過酸化水素水をガス化させ無菌エアに添加する方式だけでなく、過酸化水素水をスプレーし、混気する方式を採用しても良い。この過酸化水素ガスは、各供給管59を通ってノズル61からボトル30へと吹き出し、ボトル30を殺菌する。なお、無菌チャンバ70には、無菌チャンバ70内の圧力を測定する圧力計71が取り付けられている。また、殺菌剤は過酸化水素の濃度1%以上を含むものであれば良い。35%の過酸化水素水をエタノールで希釈したものを用いても良い。
図5において、通常の生産時には、殺菌装置11の第1のバルブ41を開放するとともに第2のバルブ43を閉鎖することにより、過酸化水素ガスが、通常用いられる導管63を経由してボトル30内に導入される。一方、容器の初発菌確認を行う場合、第1のバルブ41を閉鎖するとともにバイパス側の第2のバルブ43を開放する。これにより、過酸化水素ガスは、バイパス用導管67を経由するようになるので、ボトル30内に導入されることがない。なお、容器の初発菌確認を行う場合、第1のバルブ41を開放するとともにバイパス側の第2のバルブ43を開放するようにしても良い。
次のエアリンス装置14によるエアリンス工程でも同様に、ボトル30内を無菌エアで置換させないように、無菌エアをバイパスさせるか無菌エアの供給を停止する必要がある。しかしながら、無菌チャンバ70内には、通常の製造時と同様に無菌エアを供給し、陽圧状態にて雑菌が無菌チャンバ70内に混入しないようにすることが好ましい。なお、エアリンス装置14の構成は、図5に示す殺菌装置11と略同一の構成としても良い。
本実施の形態のように無菌水リンス装置15を搭載した設備の場合は、ボトル30を無菌水で洗浄すると正確な初発菌数が把握できないため、ボトル30に無菌水が接触しない程度まで無菌水の流量を下げる必要がある。無菌水リンスを停止させた状態で機械をドライ運転すると、無菌水リンス装置15のデストリビューターが摩耗し、破損する恐れがあるため、無菌水は供給しつつその流量を最小にすることが好ましい。過酢酸製剤を用いた薬剤リンス方式の場合も同様の考えを用いると良い。
次いで、充填装置20において、ボトル30の口部からボトル30内へ所定量の培地が充填される(培地充填工程、図2のステップS3)。
充填装置20でボトル30に充填される前に、予め培地が調製され、加熱殺菌処理が行われる。この培地の特性は、内容物充填システム10で充填される内容物の特性であって、菌の繁殖に影響を及ぼす特性に合わせられる。本実施の形態において、培地のpHは、内容物のpHに合わせて酸性に調製されており、例えばpHが4.0以上かつ4.6以下となっている。より具体的には、内容物のpHがpH4.0未満である場合は、培地のpHは、その上限であるpH4.0に調製されていることが好ましい。また、内容物のpHがpH4以上かつ4.6未満である場合は、培地のpHは、その上限であるpH4.6に調製されていることが好ましい。他方、製造する製品ボトル35のうち最もpHが高い製品の規格が、例えばpH3.5±0.2である場合、培地のpHを、pH3.5、又は上限値であるpH3.7、あるいは、上限値をやや上回るpH3.8またはpH3.9に調整し、無菌検証試験を行っても良い。
このように、培地を内容物の特性に合わせ、そのpHを3.5以上かつ4.6以下、好ましくは4.0以上かつ4.6以下としたことにより、培地は、細菌の芽胞の生存は許容するが細菌の栄養細胞、カビ及び酵母の生存は許容しない環境となっている。このため、培地における菌の生育環境を実際に充填される内容物に近づけることができる。
このような培地としては、一般的に炭素源としての、有機炭素源であるグルコース、デキストロースなどの単糖類、二糖類、多糖類や無機炭素源である炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを0.2〜3重量%と、窒素源(補酵素含む)としての、カゼインペプトン、鶏肉ペプトン、心筋ペプトン、ゼラチンペプトン、大豆ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、肉エキス、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硝酸塩などを0.5〜3重量%と、微量ミネラル又は緩衝剤としての塩化ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウムなどを0.05〜1重量%とを、水に溶解させることにより作成する。培地のpHの調製は、塩酸、酒石酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを培地に溶解することによって行う。
培地は液処理設備23で所定の殺菌法により加熱滅菌(UHT)または濾過滅菌され、充填装置20で充填される。液処理設備23で炭酸飲料も製造する場合、濾過滅菌された炭酸ガスを製品液に添加する炭酸ガス溶解装置(カーボネーター)24を充填装置20の前に設置する必要がある。培地充填の際、炭酸ガスを添加すると静菌作用を持った培地になる恐れがあるため、炭酸ガスの供給を止めるか、炭酸ガスを空気に代えると良い。炭酸ガスを空気へ変更することで、図示しない炭酸ガス無菌設備の濾過フィルターも含めた無菌性を確認することも可能になる。
続いて、培地が充填されたボトル30は、充填装置20から、ボトル30内のヘッドスペースのガスを置換するガス置換装置25の下を通過して、キャップ装着装置16に送られる。ガス置換装置25は、通常の製造時には濾過滅菌された不活性ガス(窒素や二酸化炭素)をボトル30の口部にブローしているが、培地を充填する際は不活性ガス(窒素や二酸化炭素)の供給を止めるか、不活性ガスを空気に代えると良い。空気へ変更することで、ヘッドスペースのガス置換装置25の濾過フィルターも含めた無菌性を確認することも可能になる。
一方、キャップ33は、予めキャップ殺菌装置18によって殺菌される(キャップ殺菌工程、図2のステップS8)。キャップ33は、内容物充填システム10の外部からキャップ殺菌装置18に搬入され、過酸化水素のミスト又はガスが吹き付けられて、その内外面が殺菌処理され、ホットエアで過酸化水素を活性化させつつ除去し、無菌水で洗浄し、キャップ装着装置16に送られる。このキャップ殺菌工程は、上述した通常の内容物充填方法におけるキャップ殺菌工程と同様にして実行される。
続いて、このキャップ装着装置16において、ボトル30の口部にキャップ殺菌装置18で殺菌された殺菌済みキャップ33を装着する(キャップ装着工程、図2のステップS4)。なお、このキャップ装着工程は、上述した通常の内容物充填方法におけるキャップ装着工程と同様にして実行される。このようにして、ボトル30の内部に培地が充填され、口部をキャップ33で密栓することにより、検証用ボトル36が得られる。
次に、培地が充填された検証用ボトル36は、製品ボトル搬出部22から外部へ搬出され、包装工程で箱詰めされる。箱詰めされたケースは、コンベア上で手動又は自動で傾け(あるいは反転させ)ボトル30の内面に培地を確実に接触させる(培地接触工程、図4のステップS5)。その後、複数の検証用ボトル36は、25℃以上40℃以下の所定温度に維持された恒温庫37に搬送され、この恒温庫37で静置されて培養される(培養工程、図2のステップS6)。製品ボトル35がホットベンダーなどで加温販売される場合は、高温菌の無菌性も確認する方が望ましく、検証用ボトル36は、40℃以上65℃以下の温度で培養する。
所定期間(例えば3日以上10日以下)の経過後、全ての検証用ボトル36を恒温庫37から取り出し、検証用ボトル36内の培地に菌が生残あるいは繁殖しているか否かを検証する(検証工程、図2のステップS7)。この検証の結果、菌が生残あるいは繁殖した検証用ボトル36が所定本数以下(例えばゼロ)であれば、ボトル30に初発菌が生じておらず、無菌性が確保されていると判断する。一方、検証の結果、菌が生残あるいは繁殖した検証用ボトル36が所定本数以上(例えば1本以上)あれば、ボトル30に初発菌が生じていると判断し、対策を講じる。例えば、ボトル30の搬送及び搬入経路の殺菌を実施したり、あるいは、容器殺菌装置13(殺菌装置11)における殺菌条件を調製(強化)したりしても良い。また、菌の種類によっては容器殺菌装置13(殺菌装置11)を作動することで、ボトル30を十分殺菌可能な場合もあり、この場合は、実際に飲料等の内容物をボトル30に充填する際、容器殺菌装置13を作動すれば十分であると判断することができる。
以上のように本実施の形態によれば、容器殺菌装置13によって殺菌されないボトル30に培地を充填し、キャップ33によりこれを閉栓した後、ボトル30内の培地に菌が生残あるいは繁殖しているか否かを検証する。これにより、ボトル30に初発菌が生じているか否かのバイオバーデンを正確に把握することができ、実際に飲料等の内容物をボトル30に充填する前に、ボトル30に対する殺菌対策を講じることができる。
また、本実施の形態によれば、実際に充填される酸性の内容物に合わせ、検証の際に用いられる培地のpHを4.0以上かつ4.6以下としたので、培地は、細菌の芽胞の生存は許容する一方、細菌の栄養細胞、カビ及び酵母の生存は許容しないようになっている。
これにより、培地により内容物充填システム10の無菌性を総合的に評価する際、菌の生育環境を実際の内容物に近づけた状態で検証することができる。これにより、殺菌を行うための設備を過剰なものとする必要がなく、殺菌に要する薬剤や熱エネルギーを減らすことができ、製品ボトル35の製造コストを削減することができる。例えば、内容物充填システム10の飲料供給系配管内をSIP(Sterilizing in Place)処理する際に用いられる蒸気や熱水等の温度を低下したり、蒸気や熱水等を流す時間を短縮することができる。
また、無菌チャンバ70内に対してCOP(Cleaning out of Place)処理又はSOP(Sterilizing out of Place)処理を行うのに要する時間を短縮することもできる。
なお、実際に充填される内容物が低酸性ないし中性の飲料である場合は、培地のpHを一般的な培地と同様に7.0(6.0以上8.0以下)と低酸性ないし中性域にしてもよい。この場合、ほぼ全ての菌を検出することが可能である。
上記において、容器の殺菌装置としては過酸化水素殺菌および温水殺菌を行う殺菌装置を用いる場合について説明したが、これに限らない。ボトルの内外面を過酢酸リンスで殺菌した後、内外面を無菌水リンスする過酢酸殺菌方式や電子線をボトルの内面又は外面から照射しボトルを殺菌した後、無菌エアでエアリンスを行う電子線殺菌方式、UV殺菌など全ての殺菌装置を適用することができる。ボトルを殺菌するだけでなくプリフォームやカップ、パウチの殺菌で用いても良い。また、上記において、容器としてPETボトルを用いる場合を例にとって説明しため、培地として、好気性細菌用の培地を用いたが、これに限られるものではない。缶詰などのレトルト容器を用いる場合、培地として、嫌気性細菌用の培地を用いても良い。
(変形例)
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
上述した実施の形態において、ボトル30に初発菌が生じているか否かを検証する場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、キャップ33に初発菌が生じているか否かを検証しても良い。すなわち、内容物充填システム10に多数のボトル30を流し、各ボトル30を殺菌した後、各ボトル30に、実際に充填される内容物に代えて、所定の培地を充填する。次に、キャップ殺菌装置18によって殺菌されないキャップ33によってボトル30を閉栓する。その後、一定期間の経過後に各ボトル30に充填された培地が腐敗しないことを確認する(キャップの初発菌確認方法)。
以下、本変形例による内容物充填システム10の初発菌確認方法(キャップの初発菌確認方法)について、図3および図4を参照して説明する。図4は、変形例による初発菌確認方法を示すフロー図である。
まず、上記と同様にして、内容物充填システム10に検証用の空のボトル30を流す。
この場合、外部から内容物充填システム10のボトル供給部21へ、空のボトル30を供給する(容器供給工程、図4のステップS11)。ボトル30の本数は予め定められており、例えば1,000本以上300,000本以下(好ましくは3,000本以上30,000本以下)の所定の本数とすることができる。
次に、ボトル30は、容器殺菌装置13の殺菌装置11に送られ、この殺菌装置11において、ボトル30に対して殺菌剤である過酸化水素水溶液を用いて殺菌処理が行われる(殺菌工程、図4のステップS12)。なお、この殺菌工程は、上述した通常の内容物充填方法における殺菌工程と同様にして実行される。
続いて、ボトル30は、エアリンス装置14及び無菌水リンス装置15に順次送られ、このエアリンス装置14及び無菌水リンス装置15において、ボトル30に対してエア及び無菌水による洗浄が施される(リンス工程、図4のステップS13)。なお、このリンス工程は、上述した通常の内容物充填方法におけるリンス工程と同様である。
次いで、ボトル30は、充填装置20に搬送される。この充填装置20において、ボトル30の口部からボトル30内へ所定量の殺菌処理済み培地が充填される(培地充填工程、図4のステップS14)。なお、この培地充填工程は、上述した容器の初発菌確認方法における培地充填工程と同様である。
一方、キャップ殺菌装置18は予め停止されており、キャップ33に対して殺菌処理が行われることはない。このため、キャップ33は、キャップ殺菌装置18によって殺菌されることなく、キャップ殺菌装置18をそのまま通過してキャップ装着装置16に搬送される(非殺菌キャップ搬送工程、図4のステップS18)。なお、キャップ33は、キャップ殺菌装置18を通過する代わりに、他の迂回経路を用いてキャップ装着装置16に送られても良い。
続いて、培地が充填されたボトル30は、キャップ装着装置16に送られる。このキャップ装着装置16において、ボトル30の口部に殺菌処理されていないキャップ33を装着する(キャップ装着工程、図4のステップS15)。このようにして、ボトル30の内部に培地が充填され、口部を非殺菌のキャップ33で密栓することにより、検証用ボトル36が得られる。
次に、培地が充填された検証用ボトル36は、製品ボトル搬出部22から外部へ搬出され、包装工程で箱詰めされる。箱詰めされたケースは、コンベア上で手動又は自動で傾け(あるいは反転させ)キャップ33の内面に培地を確実に接触させる(培地接触工程、図4のステップS16)。その後、複数の検証用ボトル36は恒温庫37に搬送され、この恒温庫37で静置されて培養される(培養工程、図4のステップS17)。なお、この培養工程は、上述した容器の初発菌確認方法における培養工程と同様である。
所定期間(例えば3日以上10日以下)の経過後、全ての検証用ボトル36を恒温庫37から取り出し、検証用ボトル36内の培地に菌が生残あるいは繁殖しているか否かを検証する(検証工程、図4のステップS18)。この検証の結果、実際のキャップのバイオバーデンを正確に把握することができる。一方、検証の結果、菌が生残あるいは繁殖した検証用ボトル36が所定本数以上(例えば1本以上)であれば、キャップ33に初発菌が生じていると判断し、対策を講じる。例えば、キャップ33の搬送及び搬入経路の殺菌を実施しても良く、または、キャップ殺菌装置18における殺菌条件を調製(強化)しても良い。また、菌の種類によってはキャップ殺菌装置18を作動することでキャップ33を十分殺菌できる場合もあり、この場合は、実際に飲料等の内容物をボトル30に充填する際、キャップ殺菌装置18を作動すれば十分であると判断することができる。
以上のように本変形例によれば、殺菌済みのボトル30に培地を充填し、キャップ殺菌装置18によって殺菌されないキャップ33によりこれを閉栓した後、ボトル30内の培地に菌が生残あるいは繁殖しているか否かを検証する。これにより、キャップ33に初発菌が生じているか否かを正確に把握することができ、実際に飲料等の内容物をボトル30に充填する前に、キャップ33に対する殺菌対策を講じることができる。
なお、上記実施の形態および変形例を組合せ、ボトル30およびキャップ33のいずれかに初発菌が生じているか否かを一度に検証しても良い。すなわち、容器殺菌装置13によってボトル30を殺菌することなく、ボトル30を充填装置20に搬送し、充填装置20を用いて、殺菌されていないボトル30内に殺菌済み培地を充填する。続いて、キャップ殺菌装置18によってキャップ33を殺菌することなく、キャップ33をキャップ装着装置16に搬送し、キャップ装着装置16を用いて、殺菌されていないキャップ33によりボトル30を閉栓する。その後、ボトル30内の培地に菌が生残あるいは繁殖しているか否かを検証するようにしても良い。
次に、上記実施の形態における具体的実施例について説明する。
(実施例1)
殺菌した飲料を、無菌雰囲気で殺菌した500mL容量のPETボトルに常温充填して、殺菌したキャップで密封する600bpm(bottle per minute)の飲料充填システムを用いた。この飲料充填システムを用いて、3000本の殺菌処理を行わないPETボトルに対して、pH4.0の殺菌済みの酸性培地を常温充填し、殺菌済みのキャップで閉栓した。次に、これらを27℃で1週間培養し、その後、PETボトルを全数検査したところ、培地が腐敗したPETボトルが1本だけ存在した。この腐敗した培地に含まれる菌を同定したところ、薬剤耐性の低い菌(Cladosporium cladosporioides)であった。このため、実際に飲料をPETボトルに充填する際、容器殺菌装置を作動すれば十分殺菌可能であると判断した。
(実施例2)
殺菌した飲料を、無菌雰囲気で殺菌した500mL容量のPETボトルに常温充填して、殺菌したキャップで密封する600bpm(bottle per minute)の飲料充填システムを用いた。この飲料充填システムを用いて、3000本の殺菌済みのPETボトルに対して、pH4.0の殺菌済みの酸性培地を常温充填し、殺菌処理を行わないキャップで閉栓した。次に、これらを27℃で1週間培養し、その後、PETボトルを全数検査したところ、培地が腐敗したPETボトルが1本だけ存在した。この腐敗した培地に含まれる菌を同定したところ、A.nigerと推定された。このため、実際に飲料をPETボトルに充填する際、キャップ殺菌装置を作動すれば十分殺菌可能であると判断した。