以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態では、共用車両管理装置を、複数のユーザが複数のステーションに配置された複数の共用車両を共用するカーシェアリングシステムを管理運営する共用車両管理システムに適用した例を用いて説明する。本実施形態のカーシェアリングシステムは、一のステーションから借り出した共用車両を、他のステーションへ返却することが許される、いわゆる乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムである。なお、各ステーションは、共用車両を駐車させることができ、共用車両の貸出及び返却を行ったり、利用されていない共用車両を待機させたりできる場所であり、カーシェアリングシステムのために予め用意した駐車場などが挙げられる。
ここで、図1Aは、本実施形態の共用車両管理装置100を備えた共用車両管理システム1000において、ユーザが共用車両を利用する方法の一例を示す概要図である。図1Aでは、ユーザU1が共用車両V2を利用し、共用車両V2の帰着ステーションとしてステーションST2を設定しており、一方、ユーザU2が、ユーザ端末装置400Xを用いて、いずれかの共用車両を利用予約しようとしている場面を示している。本実施形態の共用車両管理システム1000においては、ユーザU2は、ユーザ端末装置400Xを操作することで、共用車両管理装置100が管理する複数のステーションの中から、共用車両の貸出しを希望するステーション(貸出ステーション)を選択し、選択した貸出ステーションで待機している共用車両の利用予約をする。
たとえば、図1Aに示す場面において、ユーザU2が貸出ステーションとしてステーションST1を選択した場合には、ステーションST1で待機している共用車両V1を利用予約できる。この際には、併せて、任意のステーションを、共用車両を利用後に返却するためのステーション(帰着ステーション)として設定してもよい。あるいは、ユーザU2は、共用車両の利用予約をした後、所望のタイミングで、この帰着ステーションを設定してもよい。これにより、ユーザU2は、予約した共用車両に乗車して共用車両を利用できるようになり、その後、利用した共用車両を、設定した帰着ステーションに返却することで、乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムを利用できるようになっている。
一方、図1Aに示す場面において、ユーザU2が貸出ステーションとしてステーションST2を選択した場合には、ステーションST2には待機している共用車両が存在しないため、共用車両管理装置100は、ステーションST2には現在利用可能な共用車両が存在せず、ステーションST2からは共用車両の貸出を行うことができない旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信する。
以上が本実施形態におけるワンウェイ・カーシェアリングシステムの基本構成である。本実施形態では、このようなワンウェイ・カーシェアリングシステムにおいて、ユーザにより帰着ステーションに返却された共用車両の駆動エネルギーの残量が少なくなっている場合には、カーシェアリングシステムの運営を行うスタッフ等が、共用車両を所定の駆動エネルギー補給スポット(共用車両の駆動エネルギーの補給を行うことができる施設等)に移動させ、駆動エネルギーの補給を行うようになっている。
すなわち、各ステーションに駆動エネルギーを補給可能な設備を設置すると、カーシェアリングシステムの設備費が増加することとなり、また、カーシェアリングシステムで利用された共用車両は、定期的に整備を行う必要があるが、この際には、カーシェアリングシステムの技術スタッフ等が各ステーションを巡回して整備を行うのでは人手が不足してしまう。そのため、本実施形態におけるカーシェアリングシステムでは、ユーザにより帰着ステーションに返却された共用車両について、駆動エネルギーの補給が必要となった場合や、整備が必要となった場合には、共用車両を、駆動エネルギー補給スポットとしても機能する整備場等に回収して、整備場等にて駆動エネルギーの補給や整備を一括して行うことで作業効率を向上させている。
図1Bは、本実施形態の共用車両管理システム1000を示す構成図である。図1Bに示すように、本実施形態の共用車両管理システム1000は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1〜Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1〜200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置400X〜400Z(以下、ユーザ端末装置400Xと総称することもある)と、を有する。本実施形態の共用車両管理システム1000を構成する、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Zの台数は限定されない。
共用車両管理装置100、車載装置200V1〜200Vn及びユーザ端末装置400X〜400Zは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、本発明の本実施形態に係るユーザ端末装置400Xに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Xは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、各ユーザによる所望の貸出ステーションの共用車両Vnの利用を求める利用予約などの入力情報を受け付ける入力装置410と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。
ユーザ端末装置400Xの入力装置410としては、たとえば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。表示装置430としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置410と兼用することができる。
本実施形態の制御装置440は、ユーザ端末装置400Xに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Xを操作するユーザの現在位置の情報を取得し、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。
また、制御装置440は、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める利用予約などの入力情報を受け付け、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。なお、本実施形態では、共用車両Vnの利用予約としては、ユーザが利用予約を送信してから直ぐに共用車両Vnを利用開始する即時利用や、共用車両Vnを希望の時刻から利用開始する予約利用などを求める予約が挙げられる。
上述した利用予約には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。なお、本実施形態のユーザ端末装置400Xは、必要に応じて、共用車両管理装置100から、各ステーションの情報や、各ステーションにおける利用候補の共用車両Vnの情報などを受信する。本実施形態では、帰着ステーションの設定は、このように利用予約を送信するタイミングで行ってもよいし、共用車両Vnの利用予約を送信した後で、共用車両Vnを利用中の所望のタイミングで行ってもよい。
加えて、本実施形態においては、ユーザ端末装置400Xは、ユーザに対して共用車両Vnの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能するものであってもよい。この場合には、ユーザ端末装置400Xは、たとえば、予めユーザ端末装置400Xに備えられたROMなどに地図情報を記憶させておき、表示装置430に、地図情報とともに、ユーザが現在利用している共用車両Vnの現在位置と、ユーザが設定した帰着ステーションの位置とを表示し、共用車両Vnの現在位置から帰着ステーションまでの走行経路を案内するように構成することができる。
本実施形態の車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。
本実施形態においては、制御装置230は、車載装置200Vnに備えらえた認証装置(不図示)を用いて、共用車両Vnに乗車したユーザが、該共用車両Vnの利用予約を行ったユーザと一致するか否かのユーザ認証を行う。たとえば、制御装置230は、認証装置として、NFC(Near Field Communication)による通信が可能な装置を用いて、ユーザが所有するユーザ端末装置400Xや会員カードなどからユーザのID情報を読み取り、さらに、通信装置220を介して共用車両管理装置100にアクセスして、共用車両Vnの予約情報を取得し、共用車両Vnに乗車したユーザのユーザ認証を行う。
また、制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報や、共用車両Vnの駆動エネルギーの残量の情報を、通信装置220を介して、共用車両管理装置100に送信する。なお、駆動エネルギーの残量の情報は、制御装置230が、共用車両Vnに備えられた各センサ(不図示)を用いて検出することができる。
さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報などを、ユーザに通知する。本実施形態では、制御装置230は、たとえば、共用車両管理装置100から、各ステーションの情報や、各ステーションにおける利用可能な共用車両Vnの情報などを受信して、ユーザに通知する。
なお、本実施形態においては、車載装置200Vnは、上述したユーザ端末装置400Xと同様に、共用車両Vnの現在位置から帰着ステーションまでの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能するものであってもよい。
本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1000のサーバとして機能し、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vn及びユーザ端末装置400Xとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報、及び各ステーションの情報などを記憶するデータベース30とを備える。
本実施形態においては、制御装置10は、各ユーザ端末装置400X及び各車載装置200Vnから、通信装置20を介して受信した情報を、適宜データベース30に記憶させる。そして、制御装置10は、後述する各機能により、通信装置20が受信した情報、及びデータベース30に記憶させた情報に基づいて、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却の管理を行う。
たとえば、本実施形態においては、図2に示すように、地図上の所定の利用領域(図2に破線で示す領域)内にて、丸印で示すステーションが複数設けられ、ユーザがステーションST1で借りた共用車両Vnを利用し、その後共用車両VnをステーションST2に返却するような場面において、制御装置10は、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却の管理を行うことができる。なお、図2に示す例では、隣り合うステーション間の距離が等しくなるように、各ステーションが配置されているが、配置の態様はこれに限定されるものではない。
さらに、制御装置10は、ユーザにより利用されて帰着ステーションに返却された共用車両Vnについて、駆動エネルギーの残量に基づいて駆動エネルギーの補給を行うか否かを判定し、判定結果に応じて、駆動エネルギーの補給を行う旨の指令情報を生成する。たとえば、本実施形態のカーシェアリングシステムでは、共用車両管理装置100は、ユーザによる共用車両Vnの利用を許容する利用可能時間帯(営業時間)を設定し、この利用可能時間帯の終了時刻から、次の利用可能時間帯の開始時刻までの時間である営業時間外に、共用車両Vnの駆動エネルギーの補給を行う。あるいは、ユーザに返却された時点で駆動エネルギーの残量が所定値(後述する第1閾値や第2閾値など)以下となった共用車両については、営業時間内であっても駆動エネルギーの補給を行ってもよい。
本実施形態のカーシェアリングシステムでは、上述したステーションの他に、共用車両Vnの駆動エネルギーの補給を行うための駆動エネルギー補給スポットを設け、カーシェアリングシステムの運営を行うスタッフ等が、制御装置10により生成された指令情報にしたがって、共用車両Vnを駆動エネルギー補給スポットに移動させて駆動エネルギーの補給を行う。本実施形態では、駆動エネルギーの補給を行うための駆動エネルギー補給スポットを、共用車両Vnの貸出及び返却を行うステーション以外に設けることにより、各ステーションに駆動エネルギーの補給機を設けることによるコストを低減できる。さらに、本実施形態では、特定の駆動エネルギー補給スポットにて駆動エネルギーの補給と、併せて共用車両Vnの整備とを行うことで、駆動エネルギーの補給及び整備を効率的に行うことができる。
本実施形態の共用車両管理装置100のデータベース30は、共用車両情報31と、ステーション情報32と、ユーザから受け付けた利用予約33と、ユーザによる共用車両Vnの利用に関する利用実績34と、地図情報35とを記憶する。なお、図1Bに示す例では、データベース30を一つだけ設けた例を示したが、本実施形態の共用車両管理装置100では、データベース30を複数設け、各データベース30に、共用車両情報31、ステーション情報32、利用予約33、利用実績34及び地図情報35を別々に記憶してもよい。
データベース13に記憶する共用車両情報31は、各共用車両VnのID、車種・車型、出力などを含む情報である。データベース13に記憶するステーション情報32は、各ステーションSTの位置情報、各ステーションSTの最大駐車可能台数、各ステーションSTの駐車台数又は空車台数、目印となる周辺の地名、各ステーションST間の距離や道路勾配などを含む情報である。
また、利用予約33は、各ユーザがユーザ端末装置400Xや車載装置200Vnを用いて、共用車両Vnの利用を求めるために入力した入力情報である。利用実績34は、各ユーザが共用車両Vnの利用を行った実績の情報などを記憶した情報であり、たとえば、各ユーザにより共用車両Vnが利用された際における、共用車両Vnの利用時間の情報などが挙げられる。
データベース13に記憶する地図情報35は、少なくとも図2に示す全てのステーションSTを包含する地図情報であり、道路、ノード間の距離・勾配・道路幅・道路種、建造物の名称などを含む情報である。
本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、図1Bに示すように、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザからの利用予約を受け付ける利用予約受付機能と、ユーザにより利用された共用車両Vnが帰着ステーションに返却される時点での駆動エネルギー残量を推定する返却時エネルギー残量推定機能と、ユーザに貸し出す共用車両Vnを選択する共用車両選択機能と、返却受付機能と、通知機能とを実現する。本実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。
以下において、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
まず、本実施形態の制御装置10が実行する利用予約受付機能について説明する。制御装置10は、利用予約受付機能により、ユーザ端末装置400Xから、共用車両Vnの利用を求める利用予約を取得し、取得した利用予約の情報を、利用予約33としてデータベース30に記憶させる。なお、利用予約には、上述したように、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する返却時エネルギー残量推定機能について説明する。本実施形態では、制御装置10は、ユーザが上記利用予約にて設定した貸出ステーションに、ユーザに貸出可能な共用車両Vnが少なくとも1台存在する場合には、当該共用車両Vnについて、共用車両Vnごとに、ユーザにより利用されて帰着ステーションに返却される時点での駆動エネルギー残量を推定する。
たとえば、図3Aに示すように、ユーザがステーションST3を貸出ステーションとして設定し、ステーションST4を帰着ステーションとして設定した場面において、ステーションST3に貸出可能な2台の電気自動車(共用車両V3、V4)が待機している場合を例に説明する。なお、図3A及び後述する図4Aでは、共用車両が電気自動車である例を示すが、本実施形態の共用車両としては、電動モータを走行駆動源として備える上記電気自動車以外にも、内燃機関を走行駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を走行駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを走行駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。
図3Aに示す場面では、まず、本実施形態の制御装置10は、共用車両V3、V4の現在の駆動エネルギー残量(共用車両V3、V4に備えられたバッテリの充電量)の情報を、共用車両V3の車載装置200V3及び共用車両V4の車載装置200V4からそれぞれ取得する。ここで、図3Aの場面では、共用車両V3のバッテリの現在の充電量が40%であり、共用車両V4のバッテリの現在の充電量が70%であるとする。
次いで、制御装置10は、共用車両V3、V4が、ステーションST3(貸出ステーション)からステーションST4(帰着ステーション)まで走行したと仮定した場合における駆動エネルギーの消費量の予測値(以下、「予測消費量」という。)を算出する。予測消費量は、たとえば、ステーションST3からステーションST4までの走行路における距離、勾配、車両の平均走行速度などに応じて算出することができる。この際においては、ユーザがステーションST4に到着するまでの間に、迂回や寄り道をすることを想定した走行路を予測し、予測した走行路に基づいて予測消費量を算出してもよい。
そして、制御装置10は、共用車両V3、V4の現在の駆動エネルギー残量の情報と、算出した予測消費量とに基づいて、共用車両V3、V4がステーションST4に返却される時点での駆動エネルギーの残量を、返却時エネルギー残量として推定する。たとえば、図3Aの場面では、共用車両V3の返却時エネルギー残量を20%と推定し、共用車両V4の返却時エネルギー残量が50%と推定する。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する共用車両選択機能について説明する。本実施形態では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションにおける利用可能な共用車両Vnの中から、当該共用車両Vnの上記返却時エネルギー残量に基づいて、ユーザに貸し出す共用車両Vnを選択する。
本実施形態では、制御装置10は、ユーザに貸し出す共用車両Vnを選択する際には、図3Aに示す第1距離と第2距離との関係に応じて、異なる処理を実行する。なお、第1距離は、貸出ステーションから、当該貸出ステーションの最寄りの駆動エネルギー補給スポットRまでの距離である。また、第2距離は、帰着ステーションから、当該帰着ステーションの最寄りの駆動エネルギー補給スポットRまでの距離である。本実施形態では、制御装置10は、データベース30の地図情報35を参照して、各ステーションの位置情報と、各駆動エネルギー補給スポットRの位置情報とを抽出し、抽出した情報に基づいて第1距離及び第2距離を算出する。
本実施形態では、制御装置10は、図3Aに示すように第2距離が第1距離より短い場合には、ユーザに貸し出す共用車両Vnが、ユーザによって利用されることで、より駆動エネルギー補給スポットRに近い位置に移動すると判断する。一方、制御装置10は、図4Aに示すように第2距離が第1距離より長い場合には、ユーザに貸し出す共用車両Vnが、ユーザによって利用されることで、より駆動エネルギー補給スポットRから遠い位置に移動すると判断する。
以下、第2距離が第1距離より短い場面において、制御装置10がユーザに貸し出す共用車両Vnを選択する処理を説明する。
第2距離が第1距離より短い場面では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションにおける利用可能な共用車両Vnのうち、返却時エネルギー残量が所定の第1閾値以下となる共用車両Vnを、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択する。なお、第1閾値は、共用車両Vnについて駆動エネルギーの補給が必要であるか否かを判定する基準となる値であり、任意の値を設定できる。
本実施形態では、たとえば、図3Aに示す場面にて第1閾値を25%と設定すると、共用車両V3の返却時エネルギー残量(20%)は第1閾値以下となり、一方では、共用車両V4の返却時エネルギー残量(50%)は第1閾値超となっている。すなわち、図3Bに示すように、共用車両V3のバッテリの現在の充電量は40%であるのに対して、共用車両V3がユーザにより利用されてバッテリの充電量が低下すると、共用車両V3の返却時エネルギー残量は20%と低い値になり、駆動エネルギーの補給が必要となる基準値である第1閾値以下となる。これに対し、図3Bに示すように、共用車両V4の現在の充電量は70%であり、共用車両V4がユーザにより利用されてバッテリの充電量が低下したとしても、共用車両V4の返却時エネルギー残量は50%と高い値であり、駆動エネルギーの補給が必要となる基準値である第1閾値より大きい値となる。
そのため、図3Aに示すように第2距離が第1距離より短い場面では、共用車両V3,V4が、ユーザによって利用されることで駆動エネルギー補給スポットRに近い位置に移動することとなるため、本実施形態の制御装置10は、返却時エネルギー残量が第1閾値以下となる共用車両V3(すなわち、ユーザにより帰着ステーションに返却された時点で駆動エネルギーの補給が必要となる共用車両V3)を、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして優先的に選択する。これにより、本実施形態によれば、駆動エネルギーの補給が必要となる共用車両Vnが、ユーザの利用により駆動エネルギー補給スポットRに近い位置に移動することとなるため、その共用車両Vnを回収して駆動エネルギー補給スポットRにて駆動エネルギーを補給するのに要する時間が短縮され、その結果、駆動エネルギーの補給が行われた共用車両Vnをユーザがすぐに利用できるようになり、共用車両Vnの稼働率が向上する。
なお、第2距離が第1距離より短い場面において、ユーザが設定した貸出ステーションに、返却時エネルギー残量が第1閾値以下となる共用車両Vnが複数存在する場合には、制御装置10は、当該共用車両Vnのうち、返却時エネルギー残量が最も少ない共用車両Vnを、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択するようにしてもよい。
また、第2距離が第1距離より短い場面において、ユーザが設定した貸出ステーションに、返却時エネルギー残量が第1閾値以下となる共用車両Vnが存在しない場合には、制御装置10は、返却時エネルギー残量が第1閾値超の共用車両Vnを、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択してもよい。
次いで、図4Aに示すように第2距離が第1距離より長い場面において、制御装置10がユーザに貸し出す共用車両Vnを選択する処理を説明する。なお、図4Aでは、ユーザがステーションST3を貸出ステーションとして設定し、ステーションST5を帰着ステーションとして設定した場面において、ステーションST3に貸出可能な2台の電気自動車(共用車両V3、V4)が待機している様子を示した。
図4Aに示すように第2距離が第1距離より長い場面では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションにて利用可能な共用車両Vnのうち、返却時エネルギー残量が所定の第2閾値以上となるような共用車両Vnを、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択する。なお、第2閾値は、第1閾値と同様に、共用車両Vnについて駆動エネルギーの補給が必要であるか否かを判定する基準となる値であり、任意の値を設定できる。なお、第2閾値は、上述した第1閾値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
たとえば、図4Aに示す場面において第2閾値を30%と設定すると、図4Aに示すように、共用車両V3の返却時エネルギー残量(15%)は第2閾値未満となり、一方では、共用車両V4の返却時エネルギー残量(45%)は第2閾値以上となっている。すなわち、図4Bに示すように、共用車両V3のバッテリの現在の充電量が40%であるのに対して、共用車両V3の返却時エネルギー残量は15%と低い値になり、第2閾値未満となる。これに対し、図4Bに示すように、共用車両V4の現在の充電量は70%であるところ、返却時エネルギー残量は45%と高い値であり、第2閾値以上となる。
そのため、図4Aに示すように第2距離が第1距離より長い場面では、共用車両V3,V4が、ユーザによって利用されることで駆動エネルギー補給スポットRから遠い位置に移動することとなるため、本実施形態の制御装置10は、返却時エネルギー残量が第2閾値以上となる共用車両V4(すなわち、ユーザにより帰着ステーションに返却された時点で、また駆動エネルギーの補給の必要性が低い共用車両V4)を、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして優先的に選択する。これにより、本実施形態によれば、ユーザが共用車両Vnを駆動エネルギー補給スポットRから遠い位置に移動させる場合に、駆動エネルギーの補給の必要性が低い共用車両Vnが優先的にユーザに貸し出され、その結果、ユーザにより利用されている間に共用車両Vnが駆動エネルギー不足となることを防止できる。
なお、第2距離が第1距離より長い場面において、ユーザが設定した貸出ステーションに、返却時エネルギー残量が第2閾値以上となる共用車両Vnが存在しない場合には、制御装置10は、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして、返却時エネルギー残量が第2閾値未満である共用車両Vnを選択してもよい。あるいは、この場合には、制御装置10は、当該貸出ステーションの共用車両Vnは、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択しないようにしてもよい。すなわち、当該貸出ステーションでの共用車両Vnの貸出を禁止するようにしてもよい。
本実施形態では、以上のようにして、制御装置10が、ユーザに貸し出す共用車両Vnを選択する。
本実施形態では、上述した第1閾値及び第2閾値は、第2距離が長いほど高い値に設定し、第2距離が短いほど低い値に設定することができる。すなわち、第2距離は、ユーザが設定した帰着ステーションから、当該帰着ステーションの最寄りの駆動エネルギー補給スポットRまでの距離を示すものであるため、この第2距離が長い場合には、当該帰着ステーションから駆動エネルギー補給スポットRまで共用車両Vnを回送するのにより多くの駆動エネルギーを必要とするため、第1閾値及び第2閾値をより高い値に設定する、一方、第2距離が短い場合には、第1閾値及び第2閾値をより低い値に設定する。
また、本実施形態では、第1閾値及び第2閾値は、上述した予測消費量(共用車両Vnが、貸出ステーションから帰着ステーションまで走行したと仮定した場合における駆動エネルギーの消費量の予測値)の値が大きいほど高い値に設定し、上記予測消費量の値が小さいほど低い値に設定してもよい。すなわち、予測消費量は、上述したように、たとえば、貸出ステーションから帰着ステーションまでの走行路における距離、勾配、車両の平均走行速度などに応じて算出されるものであり、算出された予測消費量の値が大きい場合には、この予測消費量と、ユーザにより共用車両Vnが利用された場合の実際の駆動エネルギーの消費量と間の誤差は大きくなり易い。また、ユーザにより共用車両Vnが実際に利用された際の駆動エネルギーの消費量が、予測消費量の値を大きく超えてしまうと、当該共用車両Vnが帰着ステーションに返却された後、駆動エネルギー補給スポットまで回送するだけの駆動エネルギーが残らなくなるおそれがある。
そのため、本実施形態では、予測消費量の値が大きいほど、予測消費量と実際の駆動エネルギーの消費量との差が大きくなり易いことから、第1閾値及び第2閾値を高く設定し、ユーザによる共用車両Vnの利用で駆動エネルギーが予測消費量より多く消費されたとしても、ユーザにより返却された共用車両Vnの駆動エネルギーが不足することを防止できる。一方、予測消費量の値が小さいほど、予測消費量と実際の駆動エネルギーの消費量との差は小さくなり易いことから、第1閾値及び第2閾値を低く設定する。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する返却受付機能について説明する。制御装置10の返却受付機能は、ユーザにより、車載装置200Vn又はユーザ端末装置400Xを介して送信される共用車両Vnの返却要求に応じて、共用車両Vnの返却を受け付ける機能である。
たとえば、図1Aに示すように、共用車両V2の帰着ステーションがステーションST2に設定されている場合には、ユーザU1が、共用車両V2をステーションST2に停車させた後で、車載装置200V2を操作して共用車両管理装置100に返却要求を送信することで、制御装置10は、共用車両V2の返却を受け付けることができる。
なお、ユーザが送信する返却要求には、ユーザが利用した共用車両VnのID情報及び現在位置情報が含まれており、制御装置10は、受信した返却要求に含まれる共用車両VnのID情報に基づき、データベース30に記憶された利用予約33の中から、該共用車両VnのID情報に対応する情報を読み出し、該共用車両Vnが、予め設定された帰着ステーションに位置しているか否かを判定し、共用車両Vnが帰着ステーションに位置していると判定された場合には、共用車両Vnが正しく返却されたものとして処理する。
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する通知機能について説明する。制御装置10は、通知機能により、各車載装置200Vn及び各ユーザ端末装置400Xと通信して、ユーザに対して、上述した共用車両選択機能により選択した共用車両Vnの情報、共用車両Vnの利用予約を受け付けた旨の情報、及びユーザによる共用車両Vnの返却が完了した旨の情報などを通知する。
本実施形態においては、以上のようにして、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能により、カーシェアリングシステムの管理運営が行われる。
本実施形態によれば、共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションから、当該貸出ステーションに最も近い位置に存在する駆動エネルギー補給スポットRまでの距離である第1距離と、ユーザが設定した帰着ステーションから、当該帰着ステーションに最も近い位置に存在する駆動エネルギー補給スポットまでの距離である第2距離とを比較し、第2距離が第1距離より短い場合には、当該ユーザに貸し出す共用車両として、返却時エネルギー残量が所定の第1閾値以下である共用車両を優先的に選択する。これにより、帰着ステーションに返却された共用車両Vnについて駆動エネルギー補給スポットRにて駆動エネルギーを補給する際に、共用車両Vnの回収に要する時間を短縮できるようになり、その結果、共用車両Vnの回収によりユーザが当該共用車両Vnを利用できない時間が短縮され、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率が向上する。
次いで、本実施形態の動作例を説明する。図5は、本実施形態の共用車両管理装置100によるカーシェアリングシステムの制御手順を示すフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートは、一のユーザが、共用車両Vnを利用予約する旨の利用要求を送信し、共用車両Vnを利用した後、共用車両Vnを帰着ステーションに返却するまでの制御手順を示すものである。
まず、ステップS101では、共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザから、ユーザ端末装置400Xを介して利用要求が送信されたか否かを判定する。なお、利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザにより設定された貸出ステーションの情報、ユーザにより設定された帰着ステーションの情報などが含まれる。そして、ステップS101において、利用要求が送信されたと判定された場合には、ステップS102へ進む。一方、ステップS101において、利用要求が送信されていないと判定された場合には、ステップS101で待機する。
ステップS102では、制御装置10は、ステップS101でユーザから送信された利用要求を受信し、利用予約33としてデータベース30に記憶させる。
ステップS103では、制御装置10は、ステップS102で受信した利用要求を参照し、ユーザが設定した貸出ステーション及び帰着ステーションが現在利用可能であるか否かを判定する。具体的には、貸出ステーションとして設定されたステーションに待機している共用車両Vnが存在し、且つその共用車両Vnが現在貸出を受付可能な状態であれば、当該貸出ステーションが現在利用可能であると判定する。なお、共用車両Vnを貸出可能な状態としては、共用車両Vnの駆動エネルギー残量が所定閾値以上であり且つ保守状態が所定基準を満たす状態が挙げられる。また、帰着ステーションとして設定されたステーションに、新たに共用車両Vnを駐車可能なスペースが存在する場合には、当該帰着ステーションが現在利用可能であると判定する。そして、ステップS103において、貸出ステーション及び帰着ステーションが現在利用可能であると判定された場合には、ステップS104へ進む。一方、ステップS103において、貸出ステーション及び帰着ステーションのうち少なくとも一方が現在利用可能ではないと判定された場合には、ステップS111へ進み、ステップS111では、制御装置10は、ユーザ端末装置400Xを介して、ユーザに対して現在利用可能ではない貸出ステーションや帰着ステーションを再設定するよう通知し、上述したステップS101に戻る。
ステップS104では、制御装置10は、貸出共用車両の選択処理により、ステップS102における利用要求を送信したユーザに対して貸し出す共用車両Vnの選択を行う。ここで、図6は貸出共用車両の選択処理の一例を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、貸出共用車両の選択処理を説明する。
まず、図6に示すステップS201では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションで待機している各共用車両Vnの現在の駆動エネルギーの残量の情報を、共用車両Vnごとに取得する。なお、駆動エネルギーの残量の情報は、たとえば、車載装置200Vnが共用車両Vnから取得し、車載装置200Vnの通信装置220により、所定のタイミングで、共用車両管理装置100に送信される。
ステップS202では、制御装置10は、ステップS201で取得した共用車両Vnの現在の駆動エネルギーの残量の情報に基づき、上述したように、ユーザが設定した貸出ステーションで待機している各共用車両Vnの返却時エネルギー残量を、共用車両Vnごとに推定する。
ステップS203では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーション及び帰着ステーションの情報に基づいて、上述した第1距離及び第2距離を算出する。
ステップS204では、制御装置10は、第2距離が第1距離より短いか否かを判定する。そして、ステップS204において、第2距離が第1距離より短いと判定された場合には、ステップS205へ進む。一方、ステップS204において、第2距離が第1距離より短くないと判定された場合には、ステップS208へ進む。
ステップS204において、第2距離が第1距離より短いと判定された場合には、ステップS205へ進み、ステップS205では、制御装置10は、ステップS202で推定した返却時エネルギー残量が、上述した第1閾値以下である共用車両Vnが存在するか否かを判定する。
そして、ステップS205において、返却時エネルギー残量が第1閾値以下である共用車両Vnが存在すると判定された場合には、ステップS206へ進み、ステップS206では、制御装置10は、返却時エネルギー残量が第1閾値以下である共用車両Vnのうち1台を、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択し、図5のステップS105へ進む。一方、ステップS205において、返却時エネルギー残量が第1閾値以下である共用車両Vnが存在しないと判定された場合には、ステップS207へ進み、ステップS207では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションで待機する共用車両Vnのうち1台を、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択し、図5のステップS105へ進む。
また、ステップS204において、第2距離が第1距離より短くないと判定された場合には、ステップS208へ進み、ステップS208では、制御装置10は、ステップS202で推定した返却時エネルギー残量が、上述した第2閾値以上である共用車両Vnが存在するか否かを判定する。
そして、ステップS208において、返却時エネルギー残量が第2閾値以上である共用車両Vnが存在すると判定された場合には、ステップS209へ進み、ステップS209では、制御装置10は、返却時エネルギー残量が第2閾値以上である共用車両Vnのうち1台を、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択し、図5のステップS105へ進む。一方、ステップS208において、返却時エネルギー残量が第2閾値以上である共用車両Vnが存在しないと判定された場合には、ステップS210へ進み、ステップS210では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションで待機する共用車両Vnのうち1台を、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択し、図5のステップS105へ進む。
続いて、図6に戻り、図6に示すステップS105では、制御装置10は、ユーザから、共用車両Vnを返却しようとする返却要求が送信されたか否かを判定する。なお、ユーザにより送信される返却要求には、ユーザのID情報、並びにユーザが利用した共用車両VnのID情報及び位置情報が含まれる。そして、ステップS105において、返却要求が送信されたと判定された場合には、ステップS106へ進む。一方、ステップS105において、返却要求が送信されていないと判定された場合には、ステップS105で待機する。
ステップS106では、制御装置10は、ステップS105でユーザから送信された返却要求を受信する。
ステップS107では、制御装置10は、ステップS106で受信した返却要求、及びデータベース30に記憶された利用予約33の情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnが、共用車両Vnに対して設定された帰着ステーションに位置しているか否かを確認する。
ステップS108では、制御装置10は、ステップS106で受信した返却要求、及びデータベース30に記憶された利用予約33の情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両VnのID情報と、利用予約33に含まれる共用車両VnのID情報とが一致するか否かを確認する。
ステップS109では、制御装置10は、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnについて、返却処理を完了することができるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、ステップS107及びステップS108で確認した情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnについて、現在位置が設定された帰着ステーションの位置と一致しており、且つID情報が利用予約33に含まれる共用車両VnのID情報と一致していると判断した場合には、共用車両Vnの返却処理を完了できると判定する。そして、ステップS109において、共用車両Vnの返却処理を完了できると判定された場合には、ステップS110へ進む。一方、ステップS109において、共用車両Vnの返却処理を完了できないと判定された場合には、ステップS112へ進み、制御装置10は、共用車両Vnの返却処理を中断して上述したステップS105に戻る。
ステップS109において、共用車両Vnの返却処理を完了することができると判定された場合には、ステップS110へ進み、ステップS110では、制御装置10は、共用車両Vnの返却処理を完了させ、ユーザによる共用車両Vnの利用時間を算出し、算出した利用時間に応じて、ユーザに対して共用車両Vnの利用料を課金し、本処理を終了する。
本実施形態では、以上のようにして、共用車両管理装置100が、ユーザから共用車両Vnを利用予約するための利用要求を受け付け、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却を管理する。
なお、上述した図6のステップS210では、制御装置10は、ユーザが設定した貸出ステーションで待機する共用車両Vnのうち1台を、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択する処理を行う例を示したが、この処理に代えて、ユーザに貸し出す共用車両Vnを選択することなく、利用可能な共用車両Vnが存在しない旨をユーザに通知し、その後、上述した図5のステップS111に進むように制御手順を変更してもよい。
本発明に係る共用車両管理システムの実施形態は、以上のように構成され動作するので、以下の効果を奏する。
[1]本実施形態では、第2距離が第1距離より短い場面では、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして、返却時エネルギー残量が所定の第1閾値以下である共用車両Vnを優先的に選択する。これにより、駆動エネルギーの補給が必要となる共用車両Vnが、ユーザの利用により駆動エネルギー補給スポットRに近い位置に移動することとなるため、その共用車両Vnを回収して駆動エネルギー補給スポットRにて駆動エネルギーを補給するのに要する時間が短縮され、その結果、駆動エネルギーの補給が行われた共用車両Vnをユーザがすぐに利用できるようになり、共用車両Vnの稼働率が向上する。
[2]本実施形態では、第2距離が第1距離より短い場面において、ユーザが設定した貸出ステーションに、返却時エネルギー残量が第1閾値以下となる共用車両Vnが複数存在する場合には、制御装置10は、当該共用車両Vnのうち、返却時エネルギー残量が最も少ない共用車両Vnを、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択する。これにより、駆動エネルギーの補給の必要性が特に高い共用車両Vnが、優先的に駆動エネルギー補給スポットRの近くに移動されることとなり、その結果、ユーザにより利用されている間に共用車両Vnが駆動エネルギー不足となることを防止でき、カーシェアリングシステムの利便性が向上する。
[3]本実施形態では、第2距離が第1距離より長い場面では、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして、返却時エネルギー残量が所定の第2閾値以上である共用車両Vnを優先的に選択する。これにより、ユーザが共用車両Vnを駆動エネルギー補給スポットRから遠い位置に移動させる場合に、駆動エネルギーの補給の必要性が低い共用車両Vnが優先的にユーザに貸し出され、その結果、ユーザにより利用されている間に共用車両Vnが駆動エネルギー不足となることを防止でき、カーシェアリングシステムの利便性が向上する。
[4]本実施形態では、第2距離が第1距離より長い場面において、ユーザが設定した貸出ステーションに、返却時エネルギー残量が第2閾値以上となる共用車両Vnが存在しない場合には、制御装置10は、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして、返却時エネルギー残量が第2閾値未満である共用車両Vnを選択してもよい。これにより、ユーザに貸出可能な共用車両Vnの選択肢が増え、カーシェアリングシステムの利便性が向上する。あるいは、この場合には、制御装置10は、当該貸出ステーションの共用車両Vnは、ユーザに貸し出す共用車両Vnとして選択しないようにしてもよい。これにより、ユーザにより利用されている間に共用車両Vnが駆動エネルギー不足となることを防止され、カーシェアリングシステムの利便性が向上する。
[5]本実施形態では、第1閾値及び第2閾値は、第2距離が長いほど高い値に設定され、第2距離が短いほど低い値に設定される。これにより、第2距離(ユーザが設定した帰着ステーションから、当該帰着ステーションの最寄りの駆動エネルギー補給スポットRまでの距離)が長い場合においても、ユーザに貸し出す共用車両Vnについて、ユーザによって貸出ステーションに返却された後に、この第2距離を走行するのに必要な駆動エネルギーを確保することができるため、共用車両Vnを駆動エネルギーの不足なく駆動エネルギー補給スポットRまで回送できるようになる。
[6]本実施形態では、第1閾値及び第2閾値は、共用車両Vnが貸出ステーションから帰着ステーションまで走行したと仮定した場合における駆動エネルギーの消費量(予測消費量)の値が大きいほど高い値に設定され、上記予測消費量の値が小さいほど低い値に設定される。これにより、ユーザによる共用車両Vnの利用で駆動エネルギーが予測消費量より多く消費されたとしても、ユーザにより返却された共用車両Vnの駆動エネルギーの不足が防止され、カーシェアリングシステムの利便性が向上する。
[7]本実施形態の共用車両管理方法を実行すると、上述の作用及び効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、ユーザが利用予約をする際に、まず貸出ステーション及び帰着ステーションを設定し、その後、共用車両管理装置100の制御装置10が、ユーザに貸し出す共用車両Vnを選択する方法を示したが、ユーザに共用車両Vnを貸し出す方法としては、このような例に限定されず、次のような方法を用いてもよい。すなわち、共用車両管理装置100の制御装置10は、各ステーションに待機している共用車両Vnについて、ユーザに利用されていずれかのステーションに返却されたと仮定した場合の返却時エネルギー残量を予め算出しておき、この返却時エネルギー残量が第1閾値以下となるような共用車両Vnは、上述した第2距離が第1距離より短くなる場合(ユーザが利用することによって、共用車両Vnの位置が駆動エネルギー補給スポットにより近くなる場合)にのみ、ユーザに貸し出すようにしてもよい。
なお、上述した実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10は、本発明の利用受付手段、取得手段、残量推定手段、選択手段、距離算出手段及び消費量算出手段に、共用車両管理装置100のデータベース30は本発明の記憶手段に、それぞれ相当する。