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JP6421634B2 - 溶鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉溶銑を転炉を用いて精錬して溶鋼を製造する方法であって、より具体的には転炉で溶銑に脱りん処理を施した後にその溶銑を残してスラグを排出し、その残した溶銑に脱炭、脱りん処理を施して溶鋼を製造した後、その処理後のスラグを残して溶鋼を出鋼し、その残したスラグを次チャージの溶銑の脱りん処理に利用することを繰り返す溶鋼の製造方法に関する。
転炉における溶銑の精錬は、転炉へ高炉溶銑を装入し、生石灰を主体とするフラックス投入と、酸素吹錬により溶銑を脱りん、脱炭し、鋼を溶製する方法が一般的だった。その後、多工程にわたる精錬機能を転炉に集約し、溶銑の熱エネルギーのロスを大幅に低減するとともに、転炉前後工程の諸経費の大幅な削減を図った製鋼法が、例えば特許文献1に開示されている。
この発明を要約して示すと、高炉溶銑を精錬して溶鋼を製造するに際し、第1工程として屑鉄、溶銑を転炉へ装入し、第2工程としてフラックスを添加し、スラグの塩基度(CaO/SiO)を1.0〜2.0、処理温度を1350℃以下で吹酸して脱りん処理を行い、第3工程として第2工程で生成したスラグを排出し、第4工程としてフラックス添加と吹酸により、所定の[C]、[P]まで脱炭、脱りん処理を行い、第5工程として第4工程で生成したスラグを残したまま出鋼し、第6工程として炭材を添加してスラグ中(FeO)を低減し、再び第1工程へ戻って、以降は第2工程でのフラックス中石灰添加量をゼロないしは前記第2工程における同添加量の25%以下として第6工程までを繰り返し実施する転炉製鋼法である。
この方法で第6工程が必要なのは、次チャージの第1工程時の(i)式による突沸を回避するためである。
FeO+[C]=CO+[Fe] ・・・・・(i)
しかしながら、第6工程に時間を要するため生産性が低下すること、およびスラグ中(FeO)濃度が低下するとスラグの融点が上昇するため、次チャージの第2工程でのスラグの溶解速度が低下して、第2工程での脱りん率が低下してしまうことという問題がある。
これらの問題を解決するため、例えば特許文献2には、炉内に残した脱炭スラグへ固化剤(軽焼ドロマイトまたは生ドロマイト)を装入して脱炭スラグを固化した後に、次チャージの注銑を行う方法が開示されている。
特許第2582692号明細書 特許第3486889号明細書
特許文献1に開示されている方法では、一炉で多数の工程を実施するため、炉体占有時間が長いので、生産性向上のためにはサイクルタイム短縮が不可欠である。そのために、特許文献2に記載された方法は炉内に残した脱炭スラグの固化時間を短縮するには有効である。また、特許文献1の方法では、次チャージの溶銑を装入する前に、屑鉄(スクラップ)を投入する。このスクラップは強力な冷材なので、炉内に残した脱炭スラグをほぼ完全に凝固し易い。但し、その際、スクラップと脱炭スラグのかなりの部分が転炉炉底に固着してしまい、次チャージの溶銑脱りん時(第2工程)の早期には炉底から剥離して浴面上へ浮上し難くなる。特許文献2に記載のように、固化剤のみを添加した場合であっても同様である。
なお、脱炭スラグの融点は通常1500℃以上と高温なため、溶銑脱りん時の温度1400℃以下では溶解しない。すると、固化した脱炭スラグは、第二工程で上吹き酸素や酸化鉄と溶銑中の[Si]とが反応((ii)、(iii)式)して生成したSiOと接触して低融点の溶融スラグを形成できず、脱りん反応が進み難くなってしまうという問題がある。
+[Si]=SiO ・・・・・(ii)
2FeO+[Si]=SiO+2[Fe] ・・・・・(iii)
本発明の目的は、高炉溶銑を転炉を用いて精錬して溶鋼を製造するに際し、前記した特許文献1に記載された発明を実施する際の生産性の低下や、脱りん率の低下等の問題を解決する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特許文献1に記載された発明において、その第6工程のFeO低減操作に代えて、スラグ組成と添加する固形剤の種類や量とを考慮しつつ、さらに従来ではスロッピングを誘発させがちであるために使用が控えられていたAl濃度の高い造塊滓を併せて用いるスラグ固化操作を加えることによって、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成した。本発明は、以下に列記のとおりである。
(1)高炉溶銑を精錬して溶鋼を製造する溶鋼の製造方法であって、第一工程として屑鉄および溶銑を転炉へ装入し、装入する副原料の量を調整してスラグの装入塩基度(CaO質量/SiO質量)を1.0〜2.0、処理温度を1350℃以下で吹酸して脱りん処理を行い、第二工程として第一工程で生成したスラグを排出し、第三工程としてフラックス添加と吹酸により、組成が質量%で、CaO=30〜50%、Al=1〜5%、T.Fe=10〜30%、SiO=8〜15%、MgO=6〜12%であって、塩基度:CaO質量/SiO質量=3.5〜5.0である脱炭スラグを生成させて脱炭、脱りん処理を行い、第四工程として第三工程で生成した脱炭スラグを残したまま出鋼し、第五工程として炉内に残した脱炭スラグへ、粒径が50mm以下であって10〜50mmの比率が20質量%以上とした生石灰、石灰石、軽焼ドロマイト、生ドロマイトおよび冷却固化した脱炭スラグから選ばれた1種または2種以上の固化剤と共に、粒径が10〜50mmであるとともに組成が質量%で、CaO=30〜50%、Al=10〜30%、T.Fe=5〜15%、SiO=8〜20%、である造塊スラグを添加して該脱炭スラグを固化させ、その後、再び第一工程へ戻って、次チャージの屑鉄および溶銑を前記第五工程を終えた転炉へ装入し、前記第一工程として規定した条件で脱りん処理を行って、以降の第五工程までを順次実施することを繰り返すことを特徴とする溶鋼の製造方法。
(2)前記第五工程において、炉内に残した脱炭スラグに添加する固化剤の質量を当該脱炭スラグの質量の10〜30%とし、かつ、添加する造塊スラグの質量を該固化剤の質量の10〜100%とすることを特徴とする上記(1)に記載の溶鋼の製造方法。
本発明において、造塊スラグとは、取鍋内の溶鋼を連続鋳造機等に供給し終えた後に取鍋内に残ったスラグのことである。その組成は本発明で用いることにしたCaO=30〜50%、Al=10〜30%、T.Fe=5〜15%、SiO=8〜20%、が一般的である。造塊スラグの中には造塊スラグを冷却する際に粉化し易いものもあるが、本発明では粉化し難く(塊の割合が多く)ハンドリングし易いものを用いる。
また、第一工程で調整する装入塩基度(CaO質量/SiO質量)とは、「装入する副原料中のCaO質量/{(溶銑中のSi質量+スクラップ中のSi質量)×2.14+装入する副原料中のSiO質量}で計算される値であって、前チャージで残留させ固化させた脱炭スラグや、添加したスラグ固化剤および造塊スラグも、装入副原料中に含めて計算する値である。したがって、第一工程で新たに装入する副原料は、前チャージでの条件およびこれから脱りん処理する溶銑および屑鉄の条件によっては、装入量を0とすることもあり得る。
本発明によれば、第五工程において転炉底の脱炭スラグ表面に添加された低融点の造塊スラグが、第一工程の早期に溶融して転炉底から剥離・浮上することで、転炉底に残された脱炭スラグが凸凹になる。すると、底吹きガスによって攪拌されて強く流動している溶銑が炉底に付着した凸凹スラグを剥離して浮上させ易くなり、第一工程で新たに生成したFeO,SiOや先に溶解・浮上した造塊スラグと溶銑浴上で速やかに反応して溶融スラグを生成するため、脱りん速度が向上して、第一工程後の脱りん率が向上する。
また、造塊スラグ中のAlが第一工程で生成する脱りんスラグのフォーミングを助長するので、第二工程のスラグ排出率が向上する。すると、第三工程へ持ち越されるりん酸の量が減るため、第三工程後の溶鋼中[P]濃度および第四工程後の鍋中溶鋼中[P]濃度を低減できる。
ところで、従来、第一工程で生成するスラグ中Al濃度が高いと、第一工程で激しくスロッピングするという問題があった。例えば、前チャージの脱炭スラグを炉底に固着させた状態で注銑し、造塊スラグを添加して第一工程(溶銑脱りん吹錬)を実施すると、炉底に固着した脱炭スラグの剥離・浮上が遅いため生成するスラグの塩基度が低く、しかも造塊スラグは早期に溶解するため、初期段階では炉内溶融スラグのアルミナ濃度が高いという、極めてスロッピングし易い状況を発生させていた。
それに対し、本法のようにAlを10〜30%含有する造塊スラグをスラグ固化剤に混ぜて適用すると、比較的早期に炉底に固着した脱炭スラグが剥離・浮上するようになるため、第一工程で生成する脱りんスラグの塩基度が早期に高くなる。また、脱炭スラグの溶解によって生成する脱りんスラグ量が増加するため、造塊スラグ由来のアルミナが薄まり、スラグ中Al濃度が低下する。その結果、第一工程におけるスロッピング挙動は造塊スラグを用いない従来法と同レベルにできているものと考えられる。
本発明を実施するための形態を、第一工程として屑鉄50tおよび溶銑290t(組成:[C]≒4.4質量%、[Si]≒0.4質量%、[P]≒0.10質量%)を転炉へ装入し、脱炭処理終了後の[C]≒0.10質量%で出鋼後の取鍋内溶鋼の[P]濃度が0.019質量%以下である溶鋼を製造する例を用いて説明する。勿論、本発明の技術的範囲は、以下に例示する屑鉄量や溶銑条件等の条件に限られず、通常の高炉溶銑を対象として通常の溶鋼を製造するために行う転炉製鋼法の全てに適用することが可能である。
以降の説明では、含有濃度に関する「%」は、特に断らない限り質量%の意味で用いる。
第一工程として、上記した屑鉄および溶銑を転炉へ装入し、スラグの装入塩基度が1.0〜2.0となるように、前チャージで残留させ固化させた脱炭スラグや、添加したスラグ固化剤および造塊スラグも考慮に入れて、副原料を装入する。適度に流動性のあるフォーミングスラグを形成して脱りん反応を促進させるためである。この副原料の炉内への装入時期は、溶銑を装入する前でも後でも良いが、その滓化に要する時間を考えて吹錬用酸素の供給を始めてから1分経過するより前に行うことが望ましい。この副原料には、一般的な生石灰のほか、石灰石や軽焼ドロマイト等を適宜用いれば良い。また温度調整用に酸化鉄を添加し、処理温度が一般的な1350℃以下で脱りん吹錬を行う。供給ガス流量は、上吹き酸素:40000Nm/h、底吹き酸素:3000Nm/h、底吹きLPG:200Nm/h程度である。
第二工程として、第一工程で生成したスラグを約80%排出する。
第三工程として、脱炭スラグの塩基度(CaO質量/SiO質量)3.5〜5であって、その組成が質量%で、CaO=30〜50%、Al=1〜5%、T.Fe=10〜30%、SiO=8〜15%、MgO=6〜12%となるように生石灰、軽焼ドロマイト(組成:CaO≒60%、MgO≒34%)を添加し、また温度調整用に酸化鉄を添加して、[C]≒0.10%まで脱炭吹錬(同時に脱りんも進行)を行う。この脱炭スラグの組成は、脱炭吹錬後に製品レベルまで脱りんが可能で且つ転炉耐火物の溶損を極力抑制可能なものである。供給ガス流量は、上吹き酸素:80000Nm/h、底吹き酸素:3000Nm/h、底吹きLPG:200Nm/h程度である。
第四工程として、第三工程で生成した脱炭スラグを炉内に残したまま出鋼する。
第五工程として、炉体を傾動して炉口から脱炭スラグの一部を排出して炉内に所定量残した脱炭スラグへ生石灰、石灰石、軽焼ドロマイト、生ドロマイトおよび冷却固化した脱炭スラグから選ばれた1種または2種以上の固化剤と共に、組成が質量%で、CaO=30〜50%、Al=10〜30%、T.Fe=5〜15%、SiO=8〜20%、である造塊スラグを添加して、炉内残留スラグとともに固化させる。その後、再び第一工程へ戻って、次チャージの屑鉄50tおよび溶銑290tと副原料とを前記第五工程を終えた転炉へ装入して脱りん処理を行う。
以降は、順次第五工程まで実施し、その後また第一工程から第五工程までを順次繰り返す。
この固化剤および造塊スラグの粒径は、後述する理由により、固化剤は50mm以下であって10〜50mmの比率が20質量%以上のものとし、造塊スラグは10〜50mmのものとする必要がある。この粒径は、10mm四方の網目を通過しなかったスラグの粒径を10mm以上とし、50mm四方の網目を通過したスラグの粒径を50mm以下とする。
なお、固化剤の添加時期は第四工程における出鋼の完了後、10分以内であることが好ましい。
また、添加する固化剤の質量は、炉内に残した脱炭スラグの質量の10〜30%とし、かつ、添加する造塊スラグ質量を該固化剤の質量の10〜100%とすることが好ましい。
炉内に残した脱炭スラグの質量は、転炉を傾動して炉口からスラグを排出する際の「炉体傾動角」から推定することができる。炉体傾動角と炉内残留スラグ量との相関関係は、生成スラグ量をマスバランス計算から推定し、炉体傾動角毎の排出スラグ量を測定して予め求めておく。脱炭スラグは比較的流動性が高いので、炉体傾動角と炉内残留スラグ量には良い相関がある。
したがって、本発明を実施するに際しては、炉体傾動角と炉内残留スラグ量との関係を予め調べておき、炉体傾動角から炉内残留スラグ量を把握して固化剤等の添加条件を調整することが好ましい。但し、繰り返し操業を行うことを通じて、経験的に炉内残留スラグ量を把握して固化剤等の条件を定めることにしても、本発明の諸要件を満足させて本発明の効果を享受することができる。
上記した固化剤および造塊スラグの添加条件を調査するために、装入塩基度を0.9〜2.2とし、固化剤を炉内残留スラグ量に対して0〜40質量%添加し、造塊スラグは固化剤に対し0〜120質量%添加して、他の条件は上記した本発明を実施するための形態で例示した条件に統一して、脱りん成績と注銑時の突沸現象の有無を調査した。
この調査に際しては、炉内の残留脱炭スラグの量は、転炉を傾動して炉口から排出したスラグを鍋に受けて、鍋ごと秤量して求め、転炉を傾動して炉口からスラグを排出する際の「炉体傾動角」から推定する方法との対応を併せて確認した。脱炭スラグは比較的流動性が高いので、炉体傾動角と炉内残留スラグ量には良い相関があることが確認された。
調査した結果を表1に示す。各条件で6Ch連続して実施し、2〜6Ch目の平均値を表1に記載した。
なお、評価基準は、注銑時に突沸せず、出鋼後の鍋中[P]が0.019質量%以下の場合に「○」(出鋼後の鍋中[P]が0.016質量%以下の場合は「◎」)、それ以外の場合に「×」とした。
Figure 0006421634
(1)第五工程における造塊スラグ添加の影響(本発明1、7、8、9、比較例1)
固化剤を添加する条件下で造塊スラグを添加しなかった場合(比較例1)、炉底に固着した脱炭スラグが次チャージの第一工程の早期に剥離・浮上し難かったため、第一工程での脱りん率が低下し、出鋼後鍋中[P]濃度が0.021%と高値になった。
一方、第五工程において粒径10〜50mmの造塊スラグを固化剤に対して10〜120%添加した場合(本発明1、7、8、9)、出鋼後の鍋中[P]濃度は、造塊スラグを添加したことで0.017%以下になった。但し、粒径10〜50mmの造塊スラグを固化剤に対して120%添加した場合(本発明9)は、他の10〜100%添加した場合に比べて出鋼後鍋中[P]濃度が0.017%と相対的に高目になったので、造塊スラグの固化剤に対する添加比率は10〜100%とすることが好適といえる。
これは、以下の様に考えられる。造塊スラグの粒径が適度に大きかったため、造塊スラグが炉内残留脱炭スラグへ均一溶解する前に固化した。そして、次チャージの注銑後、早期に造塊スラグが溶融・浮上した。それは、造塊スラグの融点が低く、溶銑温度でも溶融するためである。一方、脱炭スラグの融点は1500℃以上と高く、溶銑温度では溶融しない。
そして、上記のごとく造塊スラグが溶融浮上すると、転炉底に残された脱炭スラグが凸凹になる。すると、底吹きガスによって攪拌されて強く流動している溶銑が炉底に付着した凸凹スラグを剥離して浮上させ易くなり、第一工程で新たに生成したFeO,SiOや先に溶解・浮上した造塊スラグと溶銑浴上で速やかに反応して溶融スラグを生成するため、脱りん速度が向上して、第一工程後の脱りん率が向上した。但し、造塊スラグの添加量が100%を超えて多くなると、上記した機構が十分に機能しにくくなったと考えられる。
(2)第一工程での装入塩基度の影響(本発明2,3、比較例2、3)
第一工程での装入塩基度を1.0〜2.0とした場合(本発明2,3)、適度に流動性のあるフォーミングスラグが形成されて脱りん反応が進み、その後の第二工程で排滓率80%を確保できた。一方、装入塩基度が0.9と低い場合(比較例2)、スラグの脱りん能が低く、第一工程での脱りん率が低かった。そのため、第三工程へ持ち込まれる[P]量が増えて、出鋼後の鍋中[P]濃度が0.021質量%まで上昇してしまったと考えられる。そして、装入塩基度が2.2と高い場合(比較例3)、スラグの融点が高いため流動性が低く、あまりフォーミングもしなかったため、第二工程での排滓率が60%まで低下してしまった。そのため、第三工程へ持ち込まれる[P]量が増えて、出鋼後の鍋中[P]濃度が0.022質量%まで上昇してしまったと考えられる。
(3)固化剤添加の影響(本発明1、4、5、6)
固化剤の粒径は、50mm以下であって10〜50mmの比率が固化剤全体の20質量%以上のものとした。粒径が大き過ぎると、次チャージの第一工程で滓化させにくくなるし、一方、粒径が細かいものばかりでは固化剤添加時に溶融スラグと混じりにくいからである。
固化剤添加量を炉内残留脱炭スラグの10〜30%とした場合(本発明1、5)、次チャージの注銑時に突沸が生じず、出鋼後の鍋中[P]は目標値0.016質量%以下を達成した。
一方、固化剤添加量を炉内残留脱炭スラグ量の8%まで下げた場合(本発明4)、出鋼後の鍋中[P]は0.019質量%と目標0.019質量%以下をギリギリ達成した。これは、固化材添加量が少なく、その分造塊スラグ添加量が少なかったことで、炉底に固着した脱炭スラグが第一工程での早期に剥離・浮上し難かったことによると考えられる。
また、固化剤添加量を炉内残留脱炭スラグ量の40%まで増加した場合(本発明6)、脱炭スラグが強力に炉底へ固着してしまうが、造塊スラグを添加したことで、第一工程中にやや遅れてでも浮上できたため、出鋼後の鍋中[P]濃度が0.019質量%と目標0.019質量%以下をギリギリ達成するに止まったと考えられる。
(4)造塊スラグの粒径の影響(本発明1、比較例4、5)
造塊スラグの粒径を10mm未満とすると(比較例4)、炉内残留脱炭スラグへ細かく溶解してしまい、次チャージの第一工程で脱炭スラグが炉底から剥離・浮上する時期が顕著には早くならなかった。それは、上述した炉底に固着したスラグの凸凹が小さかったため、溶銑流動による固着スラグの剥離が遅くなったのだと考えられる。その結果、出鋼後鍋中[P]濃度は0.020質量%と目標0.019質量%以下を僅かに達成することができなかったと考えられる。
一方、造塊スラグの粒径を50mm超にすると(比較例5)、上記のごとく造塊スラグは溶融浮上するものの、転炉底に残された脱炭スラグにできる凸凹の数が少な過ぎて、底吹きガスによって攪拌されて強く流動している溶銑をもってしても、炉底に付着した脱炭スラグの剥離・浮上がそれほど早くならず、出鋼後鍋中[P]濃度は0.019質量%と目標0.019質量%以下を僅かに達成することができなかったと考えられる。
(5)固化剤無添加で造塊スラグのみ添加の影響(比較例6)
固化剤無添加で造塊スラグのみ添加したところ、次チャージの注銑時に突沸した。
この場合、鉄屑添加後も鉄屑と非接触な造塊スラグが溶融状態で存在していたため、注銑時に突沸してしまったと考えられる。
[実施例1]
本発明に係る所定の要件を満たして脱炭吹錬を行った後、炉体を傾動して炉口から脱炭スラグ(組成:CaO=30〜50%、Al=1〜5%、T.Fe=10〜30%、SiO=8〜15%、MgO=6〜12%、塩基度:CaO質量/SiO質量=3.5〜5.0)の一部を排出して炉内に約20kg/t残した脱炭スラグへ固化剤として石灰石(粒径50mm以下であって、粒径10〜50mmの比率が石灰石全体の20質量%以上としたもの)2kg/tと共に粒径10〜50mmの造塊スラグ(組成:CaO約45%、Al約20%、T.Fe約10%、SiO約10%、MgO約10%)1.0kg/tを添加(炉内残留スラグに対し固化剤は10質量%、造塊スラグは固化剤に対し50質量%)して脱炭スラグを固化した。
その後に、屑鉄50tを添加してから次チャージの注銑(290t(組成:[Si]約0.4%、[P]約0.10%))を行い、装入塩基度が1.4となるように生石灰4.7kg/tを添加し、目標処理温度を1330℃として脱りん吹錬(上吹き酸素流量40000Nm/h、底吹き酸素流量3000Nm/h、底吹きLPG流量200Nm/h)して脱りん処理を行った。
第二工程として第一工程で生成したスラグを約80%排出し、第三工程として脱炭スラグの組成をCaO=30〜50%、Al=1〜5%、T.Fe=10〜30%、SiO=8〜15%、MgO=6〜12%、塩基度:CaO質量/SiO質量=3.5〜5.0となるように生石灰5kg/t、軽焼ドロマイト(組成:CaO=60%、MgO=34%)3.5kg/tを添加し、[C]≒0.10%まで脱炭吹錬した(同時に脱りんも進行)。このとき、上吹き酸素流量は80000Nm/h、底吹き酸素流量を3000Nm/h、底吹きLPG流量を200Nm/hとした。
第四工程として第三工程で生成した脱炭スラグを炉内に残したまま出鋼し、出鋼後の[P]濃度が0.014%の溶鋼を得た。
第五工程として炉体を傾動して炉口から脱炭スラグの一部を排出して炉内に約20kg/t残した脱炭スラグへ固化剤として石灰石(粒径50mm以下であって、粒径10〜50mmの比率が石灰石全体の20質量%以上としたもの)2kg/tと共に粒径10〜50mmの造塊スラグ(組成:CaO約45%、Al約20%、T.Fe約10%、SiO約10%、MgO約10%)1.0kg/tを添加(炉内残留スラグに対し固化剤は10質量%、造塊スラグは固化剤に対し50質量%)して脱炭スラグを固化した。
その後に、再び第一工程へ戻って、屑鉄50tを添加してから次チャージの注銑(290t(組成:[Si]約0.4%、[P]約0.10%))を行い、第五工程までを繰り返し実施した。5Ch連続して実施して得られた平均値を表1の本発明1に示す。注銑時の突沸は発生せず、出鋼後鍋中[P]濃度は0.014質量%と低かった。
[比較例1]
本発明に係る所定の要件を満たして脱炭吹錬を行った後、炉体を傾動して炉口から脱炭スラグ(組成:CaO=30〜50%、Al=1〜5%、T.Fe=10〜30%、SiO=8〜15%、MgO=6〜12%、塩基度:CaO質量/SiO質量=3.5〜5.0)の一部を排出して炉内に約20kg/t残した脱炭スラグへ固化剤として石灰石(粒径50mm以下であって、粒径10〜50mmの比率が石灰石全体の20質量%以上としたもの)5kg/tを添加(炉内残留スラグに対し固化剤は10質量%)して脱炭スラグを固化した。
その後に、屑鉄50tを添加してから次チャージの注銑(290t(組成:[Si]約0.4%、[P]約0.10%)を行い、装入塩基度が1.4となるように生石灰5.0kg/tを添加し、目標処理温度を1330℃として脱りん吹錬(上吹き酸素流量40000Nm/h、底吹き酸素流量3000Nm/h、底吹きLPG流量200Nm/h)して脱りん処理を行った。
第二工程として第一工程で生成したスラグを約80%排出し、第三工程として脱炭スラグの組成をCaO=30〜50%、Al=1〜5%、T.Fe=10〜30%、SiO=8〜15%、MgO=6〜12%、塩基度:CaO質量/SiO質量=3.5〜5.0となるように生石灰5kg/t、軽焼ドロマイト(組成:CaO=60%、MgO=34%)4kg/tを添加し、[C]≒0.10%まで脱炭吹錬した(同時に脱りんも進行)。このとき、上吹き酸素流量は80000Nm/h、底吹き酸素流量を3000Nm/h、底吹きLPG流量を200Nm/hとした。
第四工程として第三工程で生成した脱炭スラグを炉内に残したまま出鋼し、第五工程として炉体を傾動して炉口から脱炭スラグの一部を排出して炉内に約20kg/t残した脱炭スラグへ固化剤として石灰石(粒径50mm以下であって、粒径10〜50mmの比率が石灰石全体の20質量%以上としたもの)2kg/tを添加(炉内残留スラグに対し固化剤は10質量%)して脱炭スラグを固化した。
その後に、再び第一工程へ戻って、屑鉄50tを添加してから次チャージの注銑(290t(組成:[Si]約0.4%、[P]約0.10%))を行い、第五工程までを繰り返し実施した。5Ch連続して実施して得られた平均値を表1の比較例1に示す。注銑時の突沸は発生せず、出鋼後鍋中[P]濃度は0.021質量%と目標値0.019%以下に未達だった。

Claims (2)

  1. 高炉溶銑を精錬して溶鋼を製造する溶鋼の製造方法であって、
    第一工程として屑鉄および溶銑を転炉へ装入し、装入する副原料の量を調整してスラグの装入塩基度(CaO質量/SiO質量)を1.0〜2.0、処理温度を1350℃以下で吹酸して脱りん処理を行い、
    第二工程として第一工程で生成したスラグを排出し、
    第三工程としてフラックス添加と吹酸により、組成が質量%で、CaO=30〜50%、Al=1〜5%、T.Fe=10〜30%、SiO=8〜15%、MgO=6〜12%であって、塩基度:CaO質量/SiO質量=3.5〜5.0である脱炭スラグを生成させて脱炭、脱りん処理を行い、
    第四工程として第三工程で生成した脱炭スラグを残したまま出鋼し、
    第五工程として炉内に残した脱炭スラグへ、粒径が50mm以下であって10〜50mmの比率が20質量%以上とした生石灰、石灰石、軽焼ドロマイト、生ドロマイトおよび冷却固化した脱炭スラグから選ばれた1種または2種以上の固化剤と共に、粒径が10〜50mmであるとともに組成が質量%で、CaO=30〜50%、Al=10〜30%、T.Fe=5〜15%、SiO=8〜20%、である造塊スラグを添加して該脱炭スラグを固化させ、
    その後、再び第一工程へ戻って、次チャージの屑鉄および溶銑を前記第五工程を終えた転炉へ装入し、前記第一工程として規定した条件で脱りん処理を行って、以降の第五工程までを順次実施することを繰り返すことを特徴とする溶鋼の製造方法。
  2. 前記第五工程において、炉内に残した脱炭スラグに添加する固化剤の質量を当該脱炭スラグの質量の10〜30%とし、かつ、添加する造塊スラグの質量を該固化剤の質量の10〜100%とすることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の製造方法。
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