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JP6403190B2 - マイクロ流路構造体及び粒子の分離方法 - Google Patents

マイクロ流路構造体及び粒子の分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ流路構造体及びそのマイクロ流路構造体を用いた粒子の分離方法に関する。
診断医療、生化学研究、精密機械産業及び食品・化粧品製造等の様々な分野において、粒子をサイズによって分離する技術は必須とされており、この技術によれば、例えば、血液分析を行う際に白血球と赤血球を分離することや、血液中に存在する癌細胞を分離して選抜し、癌を早期発見することが可能となる。さらに、iPS細胞等を用いた幹細胞生物学研究や再生医療において、特定の分化段階にある細胞を選抜する必要があり、また、単分散微粒子等の機能性マテリアルの合成等においてもサイズによる微粒子分離が必要であることからも、当該技術は必須とされている。
ここで、従来、粒子を分離する技術としては、マイクロ流路を用いた手法が提案されており、マイクロメートルサイズの粒子を分離可能とすることが期待されている。かかる分離の原理としては、磁場や電場を利用する手法、重力や遠心力を用いる手法、又は、流路内層流を利用する手法等が挙げられるが、これらの中でも特に、流路内層流を利用する手法では、単純に粒子の懸濁液を導入することにより粒子がサイズに基づき分離されることから、有用であると期待されている。
近年、このようなマイクロ流路構造体として、例えば下記非特許文献1〜3に記載されたものが知られている。下記非特許文献1に記載された構造では、狭隘部(ピンチ部)を有する流路内における粒子位置の差異を利用し、粒子をサイズに基づき分離することが図られている。下記非特許文献2に記載された構造では、一の主流路及び複数の分岐流路(枝流路)に粒子懸濁液を導入すると共に、分岐流路への流体導入量を制御することで、粒子をサイズに基づき分離することが図られている。下記非特許文献3に記載された構造では、流路内に複数のピラーを設置し、これらピラー間の距離や位相差を制御することによって粒子をサイズに基づき分離することが図られている。
また、下記特許文献1では、第一・第二分離流路が交差部でのみ互いに連通しており、流路に対する電位等の印加によって複数の物質を含む流体から目的物質を分離するデバイスおよび物質分離方法が記載されている。下記特許文献2では、所定の場所に配置された3Dストラクチャー表面に細胞親和性物質をコートすることで、目的細胞をある一定方向にローリングさせて目的細胞を分離する技術が記載されている。
特開2008−119678号公報 国際公開第2013/049860号パンフレット
「アナリティカルケミストリー(Anal. Chem.)」,2004,76(18),5465−5471 「ラボ オン ア チップ(Lab Chip)」,2005,5,1233−1239 「サイエンス(Science)」,2004,Vol.303 No.5673,987−990
ところで、上述したようなマイクロ流路構造体としては、前述(非特許文献1〜3)のように、例えば様々な分野にてマイクロメートルサイズ等の粒子を自由に分離可能とすることが期待される中、その分離精度(分離性能)が高いものが望まれている。
なお、特許文献1に記載のデバイスは、サイズに基づいた分離法ではなく、電場等の駆動力の印加に対する移動度の差を利用して物質を濃縮しているに過ぎない。さらに、電場等を印加しやすいよう第一・第二分離流路は同一平面上ではなく、延在方向に直交する方向にずれて配設され交差部で互いに連通しているが、サイズ分離に基づいた分離の場合同一平面上に互いの流路が配置されていることが必須であることからも全く異なる技術である。
また、特許文献2に記載の分離方法は、サイズに基づく分離とは原理が全く異なり、また一部サイズの違いを利用した分離に関する記載はあるが、原理や機構については一切記載が無く、また分離サイズを自由に設定可能な概念に関する記載もない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、粒子をサイズに基づいて精度よく分離することが可能なマイクロ流路構造体及びそれを用いた分離方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るマイクロ流路構造体は、流体中の粒子をサイズに基づき分離するためのマイクロ流路構造体であって、所定方向における一方側から他方側へ前記流体を流通させる本体部と、本体部に流体を流入する入口部と、本体部から流体を流出させる出口部と、を備え、本体部は、所定方向に対し傾斜する第1傾斜方向に沿って延びると共に、本体部内に並設された複数の主流路と、上記の所定方向に対し第1傾斜方向とは反対側に傾斜する第2傾斜方向に沿って延びると共に、本体部内において主流路と交差するように並設された複数の枝流路と、を有し、主流路と複数の枝流路とは、本体部の同一平面上に存在し、所定方向に対する第1傾斜方向の傾斜角は、0°よりも大きく、45°よりも小さい角度を有することを特徴とする。
このマイクロ流路構造体では、本体部において流体が全体的には所定方向に流れる中で、主流路及び枝流路の交差部にて非対称な流量分配が生じ、小さな粒子は枝流路に進入する一方、大きな粒子は主流路をそのまま流通する。このことが、複数の主流路及び複数の枝流路において繰り返され、その結果、大きな粒子については主流路が傾斜する側へと流通させながら、小さな粒子については枝流路が傾斜する側へと流通させることが可能となる。すなわち、複数の主流路及び複数の枝流路でもって粒子を連続的に分離させ、粒子を精度よく分離することが可能となる。
また、このマイクロ流路構造体において、複数の主流路における任意の主流路の幅と、その任意の主流路の任意の長さに対して第2傾斜方向側に設けられた枝流路の本数とによって、任意の主流路から第2傾斜方向側の枝流路へ導入する粒子のサイズが設定されると好適である。つまり、主流路の幅と、その主流路の任意の長さに対して第2傾斜方向側に設けられた枝流路の本数とを制御することで、主流路及び枝流路の交差部にて所望の流量分配を生じさせることができ、ある設定値よりも小さな粒子は枝流路に進入する一方、設定値よりも大きな粒子は主流路をそのまま流通する。このことが、複数の主流路及び複数の枝流路において繰り返され、その結果設定値よりも大きな粒子については主流路が傾斜する側へと流通させながら、設定値よりも小さな粒子については枝流路が傾斜する側へと流通させることが可能となる。すなわち、複数の主流路及び複数の枝流路で粒子を所望のサイズに基づいて連続的に精度よく分離することができる。
また、このマイクロ流路構造体において、複数の主流路における任意の主流路と任意の主流路に交差する一つの枝流路との交差部の中心である交差点Apと、交差点Apから所定方向の他方側へ延びる延長線と、任意の主流路に隣接し、且つ延長線に交差する他の主流路の中心線との交点である交差点Bpと、交差点Apを通る枝流路と交差点Bpを通る他の主流路との交差部の中心である交差点Cpと、を結ぶ三角形において、他の主流路における交差点Bpと交差点Cpとの間において第2傾斜方向側の枝流路の本数nは、2≦n<3356を満たす態様とすることができる。
また、このマイクロ流路構造体において、主流路と枝流路とは直交しており、主流路の幅W、主流路の第2傾斜方向側に設けられた枝流路の本数n、枝流路の幅W、主流路の第2傾斜方向側で互いに隣接する枝流路同士の間隔d、上記の所定方向に対する第1傾斜方向の傾斜角θ、及び枝流路の長さLが以下の式1を満たすと共に、L>Wである態様とすることができる。
また、このマイクロ流路構造体において、主流路の幅は、流体中の粒子によって閉塞しない幅に設定されている態様とすることができる。
また、このマイクロ流路構造体の一態様として、本体部は、上記の所定方向における一方側に設けられ主流路及び枝流路に接続された第1境界流路と、主流路の並設方向に沿う一方側及び他方側の少なくとも何れかに設けられ、所定方向に沿って延びる第2境界流路とを有し、入口部は、第1境界流路に接続され粒子の懸濁液を導入する第1入口ポートと、第1境界流路に接続されバッファ液を導入する第2入口ポートとを有し、出口部は、流体を導出する複数の出口ポートを有し、出口ポートは、複数の主流路のうちの一部、及び複数の枝流路のうちの一部に接続されていると共に、主流路の並設方向に沿う方向に隣接して並ぶように設けられており、複数の出口ポートのうち第1傾斜方向側の端に位置する出口ポートに最も近接して開口した一端を有する主流路の他端が第1境界流路に開口している態様とすることができる。
また、このマイクロ流路構造体の具体的態様として、本体部は、所定方向における一方側に設けられ主流路及び枝流路に接続された第1境界流路を有し、入口部は、第1境界流路に接続され粒子の懸濁液を導入する第1入口ポートを有することが好適である。
このとき、入口部は、第1境界流路に接続されバッファ液を導入する1又は複数の第2入口ポートをさらに有することが好適である。この場合、導入したバッファ液によって、懸濁液ひいては粒子の流れを制御することが可能となる。さらに粒子の分離精度を高めるためには、入口部の第2入口ポートの少なくとも1つが第1入口ポートよりも第1傾斜方向側に配置されていることが好ましい。
また、出口部は、流体を導出する複数の出口ポートを有し、出口ポートは、複数の主流路のうちの一部及び複数の枝流路のうちの一部に接続されていると共に、主流路の並設方向に沿う方向に隣接して並ぶように設けられていることが好適である。この場合、例えば、複数の出口ポートのうち一部の出口ポートからはより大きな粒子を導出させて回収すると共に、他部の出口ポートからはより小さな粒子を導出させて回収することが可能となる。
また、好ましいとして、主流路及び枝流路の少なくとも一方は、その流路断面が矩形形状を呈する場合がある。さらにまた、好ましいとして、本体部は、主流路の並設方向に沿う方向の一方側及び他方側の少なくとも何れかに設けられ所定方向に沿って延びる第2境界流路を有する場合がある。
また、本発明は、上記のいずれかのマイクロ流路構造体を用いて流体中の粒子をサイズに基づき分離する粒子の分離方法である。
この分離方法において、入口部は、粒子の懸濁液を導入する第1入口ポートと、バッファ液を導入する第2入口ポートとを有し、第1入口ポートから導入される粒子の懸濁液の流量1.0に対し、第2入口ポートから導入されるバッファ液の流量が0.5以上とすることができる。
この粒子の分離方法において、入口部は、粒子の懸濁液を導入する第1入口ポートと、バッファ液を導入する第2入口ポートとを有し、第1入口ポートから粒子の懸濁液を導入し、複数の第2入口ポートを第1入口ポートの一方、及びまたは両側に設ける態様とすることができる。
また、上記の粒子が細胞であり、上記のマイクロ流路構造体を用いて流体中の細胞をサイズに基づき分離する態様とすることができる。
また、上記の粒子が細胞である場合において、血液又は細胞含有液をマイクロ流路構造体の入口部に導入する工程と、マイクロ流路構造体の出口部の一部から分離した細胞を採取する工程と、を含む態様とすることができる。
本発明によれば、粒子をサイズに基づいて精度よく分離することが可能となる。
一実施形態に係るマイクロ流路構造体を示し、概略正面側から見た斜視図である。 図1のマイクロ流路構造体における粒子の動きを説明する拡大図である。 一実施形態に係るマイクロ流路構造体の変形例を概略的に示す正面図である。 図1のマイクロ流路構造体において分離される粒子のサイズを説明する概略図である。 主流路幅Wと枝流路本数nとで分離される粒子のサイズが制御可能であることを説明する概略図である。 第1傾斜角15°の主流路を有し、主流路の第2傾斜方向側の枝流路本数nを変化させたマイクロ流路構造体による粒子分離実験の結果を示すグラフである。 第1傾斜角30°の主流路を有し、主流路の第2傾斜方向側の枝流路本数nを変化させたマイクロ流路構造体による粒子分離実験の結果を示すグラフである。 第1傾斜角15°の主流路を有し、主流路の第2傾斜方向側の枝流路本数nが一定のマイクロ流路構造体による血球分離実験の結果を示すグラフである。 第1傾斜角30°の主流路を有し、主流路の第2傾斜方向側の枝流路本数nが一定の場合のマイクロ流路構造体による血球分離実験の結果を示すグラフである。 第1傾斜角45°の主流路を有し、マイクロ流路構造体による粒子分離実験の結果を示すグラフである。 第1傾斜角45°の主流路を有し、マイクロ流路構造体による血球分離実験の結果を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、左、右、上、下の語は図示する方向に基づいており便宜的なものである。
図1は一実施形態に係るマイクロ流路構造体を示す概略正面図であり、図2は図1のマイクロ流路構造体における粒子の動きを説明する拡大図である。また、図3は、本実施形態に係るマイクロ流路構造体の変形例の概略を示す正面図である。また、図4は図1のマイクロ流路構造体において分離される粒子のサイズを設定する概略図である。また、図5は主流路幅と枝流路本数nとで分離される粒子のサイズが制御可能であることを説明する概略図である。図1,2に示すように、本実施形態のマイクロ流路構造体1は、懸濁液中の粒子をサイズに基づき精度よく分離するものであって、いわゆる微粒子分級のための水力学的アレイフィルトレーションを構成する。
本明細書中、流体とは、粘性、密度、温度、pH、浸透圧比、イオン性など特に限定されるものではないが、例えば水、高分子含有液体、血漿、血液、体液、細胞含有液、培養液、タンパク液、生理食塩液などが挙げられ、再生医療への展開の観点からより好ましくは血液、細胞含有液や培養液であり、最も好ましくは血液及び細胞含有液である。
また、マイクロ流路構造体1に適用可能な粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、合成微粒子、磁気ナノ粒子、蛍光粒子、血球、細胞(動植物細胞、生細胞、死細胞、抗原特異性T細胞、iPS細胞、ES細胞、幹細胞、肝細胞、癌細胞、腫瘍細胞、希少細胞、グリア細胞、神経細胞、等々を含む)、DNA、タンパク質、ウイルス、細胞核、ミトコンドリア、葉緑体、リソソーム、及び微生物等が挙げられる。
このマイクロ流路構造体1は、本体部2、入口部3及び出口部4を備えている。本体部2は、全体的な流れとして、所定方向Aにおける一方側(図示上側)から他方側(図示下側)へ流体を流通させる。この本体部2は、所定方向Aに長尺の板状外形を有しており、例えば、長手方向の長さが4cmとされ、短手方向の長さが1.5cmとされている。
この本体部2は、当該本体部2内にて平面的に構成されるように画設された流路として、主流路5、枝流路6、側部境界流路(第2境界流路)7及び入口側境界流路(第1境界流路)8を有している。主流路5は、所定方向Aに対して傾斜する第1傾斜方向Bに沿って、枝流路6と同一平面上で直線状に延在している。換言すると、主流路5は、所定方向Aに延びながら、下流側に行くに従って本体部2の短手方向の一側部側(図示右側)へ傾斜している。
所定方向Aに対する第1傾斜方向Bの傾斜角θは、粒子を精度よく分離させるために好ましいとして、0°よりも大きく45°よりも小さい角度とされている。この理由については、後述する。主流路5は、本体部2における上流側(所定方向Aの一方側)の端部及び短手方向の両側部以外の領域にて、一例として一定間隔で並設されている。ここでの主流路5は、一例として、その流路断面が矩形形状を呈している。また、主流路5の幅Wは、流体中の粒子によって閉塞しない幅である。
なお、主流路5の本数は任意に設定可能であるが、例えば、後述の変形例に係るマイクロ流路構造体1A(図4参照)のように、主流路5同士の間隔が一定で、分離精度の観点から、第1傾斜方向B側の端に位置する出口ポート12に最も近接して開口した端部(一端)5aを有する主流路5の他端5bが、入口側境界流路8に開口する態様では、入口側境界流路(第1境界流路)8に開口している主流路5が4本以上存在することが好ましく、さらに分離精度向上させるためには6本以上、最も好ましくは10本以上であることが好ましい。
枝流路6は、所定方向Aに対し第1傾斜方向Bとは反対側に傾斜する第2傾斜方向Cに沿って、直線状に延在している。換言すると、枝流路6は、所定方向Aに延びながら、下流側に行くに従って本体部2の短手方向の他側部側(図示左側)へ傾斜している。
枝流路6は、主流路5から分岐して隣接する主流路5を繋ぐように延びる分岐流路を構成する。具体的には、枝流路6は、本体部2における上流側の端部及び短手方向の両側部以外の領域にて、主流路5と交差されており、全ての枝流路6が主流路5と完全に交差されていなくとも良く、枝流路6の一部が主流路5と交差された状態でも良い。但し、分離精度と効率の観点からすると、主流路5と枝流路6とは完全に交差していることがより好ましい。
主流路5と複数の枝流路6が本体部2の同一平面上に存在するとは、概略平面状の部材の一面に主流路5と枝流路6とが設けられていることを意味する。従って、立体である一つの部材の一面側から他面側に亘って各流路が設けられている状態や、複数の部材に各流路が設けられ、流路が対面している状態を意味しない。主流路5の深さとそれに直接接続された枝流路6の深さとは、実質的に一致しているのが好ましい。深さは本体部2内全てで一定でなく段階的に変動しても良いが、製造上の観点から全て一定であることがより好ましい。
なお、主流路5及び枝流路6の流路断面の形状は特に限定されるものではなく、例えば半円弧形状としてもよい。しかし、主流路5から枝流路6へ導入される流量を精度良く制御する上で、主流路5及び枝流路6の少なくとも一方は、その流路断面が矩形形状を呈することが好ましく、より好ましくは主流路5及び枝流路6の両方が矩形形状を呈することである。
また、枝流路6は、主流路5と必ずしも直交していなくともよいが、直交している方がサイズに基づいた分離設計が容易であるためより好ましい。加えて、枝流路6は本体部2において常に一定間隔で並設されていなくともよく、例えば段階的に間隔が変動してもよいが、製造容易の点からすると一定間隔の方がより好ましい。
側部境界流路7は、本体部2の境界領域の流路を構成するものであり、主流路5の並設方向に沿う一方側及び他方側の両方に設けられ、所定方向Aに沿って延びる流路である。具体的には、本体部2の短手方向の両側部にて所定方向Aに沿って直線状に延在している。側部境界流路7は、主流路5及び枝流路6に接続されて連通されている。ここでの側部境界流路7は、主流路5及び枝流路6と同様に、その流路断面が矩形形状を呈している。なお、側部境界流路7は、主流路5及び枝流路6の少なくとも一方に対し連通されない場合もある。また、本実施形態に係る側部境界流路7は、主流路5の並設方向に沿う一方側及び他方側の両方に設けられているが、どちらか一方側にのみ設けるようにしてもよい。
入口側境界流路8は、所定方向Aにおける一方側に設けられ主流路5及び枝流路6に接続された流路であり、具体的には、本体部2における上流側の端部に設けられ、主流路5と枝流路6と側部境界流路7とに接続されて連通されている。
入口部3は、本体部2に流体を流入するものであり、本体部2の所定方向Aの一方側に設けられている。この入口部3は、第1入口ポート9と、複数(ここでは、2つ)の第2入口ポート10,11と、を有している。第1入口ポート9は、粒子の懸濁液を導入する導入口である。第1入口ポート9は、入口側境界流路8において、短手方向の中央部他側部寄りの位置に接続されて連通されている。また、第1入口ポート9は、直線状に延びる導入流路9xを含んでいる。
第2入口ポート10,11は、バッファ液を導入する導入口である。これら第2入口ポート10,11は、第1入口ポート9を短手方向に挟むように配設されている。具体的には、第2入口ポート10は、入口側境界流路8において第1入口ポート9よりも他側部側の位置に接続されて連通されていると共に、第2入口ポート11は、入口側境界流路8において第1入口ポート9よりも一側部側の位置に接続されて連通されている。また、第2入口ポート10は、直線状に延びる導入流路10xを含んでいる一方、第2入口ポート11は、下流側に向かって分岐(ここでは、四分岐)する導入流路11xを含んでいる。なお、本実施形態では、第1入口ポート9の両側に第2入口ポート10,11を設ける態様にて説明するが、第1入口ポート9の一方側にのみ第2入口ポート10または第2入口ポート11を設ける態様であっても良い。
また、第1入口ポート9、第2入口ポート10、11の入口側境界流路8へ接続される位置は特に限定するものではないが、例えば第2入口ポート10xは出口ポート12、第1入口ポート9xは出口ポート12、第2入口ポート11x(ここでは四分岐)の4つが夫々出口ポート12、12、12、12、から所定方向Aに対して対面に位置することで、本体部2を流れる流体が入口部3から出口部4に向って均等に流れやすくなる為好ましい。
出口部4は、バッファ液を含む懸濁液としての流体を本体部2から流出させるものであり、本体部2の所定方向Aの他端側に設けられている。この出口部4は、複数(ここでは、6つ)の出口ポート12〜12を有している。複数の出口ポート12〜12は、流体を分けて導出する導出口であって、流体中に分散した粒子をサイズ毎に分離して導出可能にする。
また、複数の出口ポート12〜12は、場合によっては複数の出口ポート12〜12の導出先で統合し、回収出口の穴数を低減させることで、製造し易くかつ効率よく回収することもできる。加えて、複数の出口ポート12〜12(ここでは6つ)の導出先の流路幅、深さや長さを調節することによって各出口からの流量比を制御し、粒子の分離精度や効率を設定することも可能である。
これらの出口ポート12〜12は、本体部2の短手方向(主流路5の並設方向に沿う方向)に隙間なく隣接して並ぶように配設されており、複数の主流路5のうちの一部及び複数の枝流路6のうちの一部にそれぞれ接続されている。
次に、所定方向A、主流路5の第1傾斜方向B、及び枝流路6の第2傾斜方向Cと粒子のサイズの制御との相関について説明する。なお、以下の説明において、主流路5の第1傾斜方向Bが所定方向Aに対して短手方向の一側部側(図示右側)を向く場合、つまり、第1傾斜方向Bが所定方向Aを基準にして第2傾斜方向Cとは反対側を向く場合、第1傾斜方向Bの傾斜角(以下、「第1傾斜角」という)θは正であり、所定方向Aと同方向の場合は“0°”、所定方向Aを基準にして第2傾斜方向Cと同じ側を向く場合は第1傾斜角θは負であることを前提として説明する。
第1傾斜角θは、粒子の懸濁液を導入する第1入口ポート9とバッファ液を導入する第2入口ポート10、11の入口側境界流路8へ導入される流量が等しい場合、第1傾斜角θが小さい方(0°に近い方)が、粒子は主流路5へ流れ易いため、小さい粒子の出口は、第1傾斜角θが大きい場合に比べて第1傾斜方向B寄りの出口ポートへシフトする。
しかし、このような場合においても、第2入口ポート11の入口側境界流路8へ導入される流量を、第1入口ポート9及びバッファ液を導入する第2入口ポート10に対して相対的に大きくすることで、小さい粒子の出口を第2傾斜方向C寄りの出口ポートへシフトさせることができる。但し、第1傾斜角θが0°以下の場合、主流路5が第2傾斜方向C側に延伸するため、何れの入口ポート9、10、11の流量を制御しても全ての粒子が第2傾斜方向C寄りの出口ポートから導出されて分離ができない。従って、第1傾斜角θは0°よりも大きいことが好ましい。
一方で、第1傾斜角θが0°より大きい場合、粒子は枝流路6へ流れ易くなるため、枝流路6の幅より小さい粒子は枝流路6へ導入され易くなり、大きい粒子の出口は第2傾斜方向C寄りの出口ポートへシフトする。しかし、第2入口ポート10の入口側境界流路8へ導入される流量を第1入口ポート9及び第2入口ポート11に対して相対的に大きくすることで、大きい粒子の出口を第1傾斜方向B寄りの出口ポートへシフトさせることができる。但し、第1傾斜角θが45°以上になると第2入口ポート10の流量を大きくしても枝流路6への粒子の導入を抑制できなくなるため、枝流路6の幅より小さい粒子の大部分が枝流路6へ導入されるようになり、全ての粒子が第2傾斜方向C寄りの出口ポートから導出され分離できない。
以上より、所定方向Aに対する第1傾斜角θは、0°よりも大きく45°よりも小さいことが必要である。また、第1傾斜角θが小さいほど本体部2が所定方向Aに長くなるため、製造し難くなると同時に大量処理の目的で複数のマイクロ流路構造体1を並列化した場合にスペースの有効利用が難しくなる。従って、第1傾斜角θは5°以上、40°以下がより好ましく、さらに好ましくは10°以上35°以下、最も好ましくは15°以上30°以下である。
なお、大きい粒子を第1傾斜方向B寄りの出口ポートから導出して分離精度を上げるためには、図3に示された変形例に係るマイクロ流路構造体1Aが好ましい。マイクロ流路構造体1Aの場合、複数の出口ポート12〜12のうち、第1傾斜方向B側の端に位置する出口ポート12に最も近接して開口した一端5aを有する主流路5の他端5bが、入口側境界流路(第1境界流路)8に開口している。
次に、図4、及び図5を参照して、サイズに基づいた粒子の分離について説明する。なお、上記のマイクロ流路構造体1とマイクロ流路構造体1Aとの基本的な原理は同じであるため、以下の説明ではマイクロ流路構造体1に基づいて説明する。
サイズに基づいた粒子の分離は、主流路5の幅W(図5(a)参照)と、主流路5の第2傾斜方向C側に設けられた枝流路6の本数n(図5(b)参照)とによって設定される。具体的には、複数の主流路5、及び複数の枝流路6が同じ条件(幅や形など)で形成されていると仮定する。ここで、複数の主流路5のうち、任意の主流路5を基準の主流路5として特定し、さらに、基準の主流路5の任意の長さを基準長さDbとして特定する。さらに、基準の主流路5の基準長さDbに対して第2傾斜方向C側に設けられた枝流路6の本数nを設定することでサイズに基づいた粒子の分離が可能になる。なお、基準の主流路5の基準長さDbに対しての第2傾斜方向C側に設けられた枝流路6の本数nとは、基準の主流路5に全ての枝流路6が交差している場合、基準長さDbの範囲で主流路5に交差する枝流路6の本数nと考えることもできる。
ここで、例えば、主流路5を流れる流体が層流である場合、主流路5を流れる流体の速度分布は図4に示す様に放物線を示す。この時、枝流路6に導入される粒子Psの最大半径をW、主流路5を流れる流量をQ、枝流路6への導入流量Qとするとき、Qに対するQの比は放物線の面積S+Sに対するSの比に等しいといえる。すなわち、Q:Q=S+S:Sである。ここで、Sを0からWまでを範囲とした放物線の積分値とし、S+Sを0からWまでを範囲とした放物線の積分値とし、Qを100%とした時にQへ導入される割合をQ%とすると、以下の(式I)が導出される。
例えばマイクロ流路構造体1において、本体部2を流れる流体が入口部3から出口部4に向って均等に流れるとした場合、図4において枝流路6を流れる流量Q1は、粒子が任意のある主流路5から第2傾斜方向C側の次の主流路5へ到達するために最低通過しなければならない枝流路6の本数nに反比例することと言える。すなわち、以下の(式II)が成り立つ。
これは、例えば主流路5の幅Wが一定の場合、枝流路6の幅に関係なく主流路5の第2傾斜方向C側に設けられた枝流路本数nが多いほど一つの枝流路6への導入量が少なくなるため、枝流路6へ導入される粒子のサイズは小さくなり、逆に主流路5へ接続される枝流路本数nが少ないほど一つの枝流路6への導入量が多くなり、枝流路6へ導入される粒子は大きくなることを表す。
さらに例を挙げると、主流路5へ接続される枝流路本数nが一定の場合、主流路5の幅Wが大きいほど一つの枝流路6への導入量が多くなるため、枝流路6へ導入される粒子は大きくなり、逆に主流路5の幅Wが小さいほど枝流路6へ導入される粒子は小さくなる。従って、Qを100%とした時に式Iと式IIより、式IIIが導出される。
この式IIIにより、主流路5から枝流路6へ導入される粒子のサイズは主流路幅Wと主流路5へ接続される枝流路本数nによって自由に設定可能と言える。但し、設計上設定した主流路幅Wや枝流路本数nは製造技術上ある誤差範囲を持って製造されることに加え、実質的な適用範囲が存在し、その範囲内で式IIIは成立する。例えば、式IIIから算出されたnに対して、実際の製造上の精度からnの値は10%程度の誤差範囲を持っているため、式IIIから算出されたnはn×0.9以上、n×1.1以下の自然数の範囲となる。
主流路5を流れる流体が層流を形成する限り主流路5内の速度分布は放物線を描き式IIIが成立する。一般的にマイクロ流路内ではレイノルズ数が約1.0以下の層流であるため主流路幅Wは特に限定されないが、層流を形成するための主流路幅Wの範囲について説明する。
主流路5へ導入される流体の導入圧力Pを0.1〜1.0気圧とする。これは実際に流体を流す際に主流路5の端点間に生じる圧力差の最小、最大範囲を反映している。
初めに導入圧力0.1気圧とし、流体は水とし、粘度μ=1(mPa・sec)、比重ρ=1×10(kgm−3)とする。流路は計算上円管とする。円管の直径d(m)、主流路5の長さLは主流路幅Wである円管直径dのおよそ1,000倍(L=1,000d)であるため、円管直径d、円管の長さL=1000dの流路を流れる流量は、ハーゲンポアズイユの式より、ΔP=128×μ×L×Q/(π×d )であることから、流量Q=78.125×π×d (m/sec)である。
これを円管断面積で除して平均線速度vに換算するとv=312.5d(m/sec)となる。この時のレイノルズ数Re=ρ×v×d/μより、Re=3.125×10×d である。層流となる最大のレイノルズ数2,000とすると、この時の円管直径d=2.5mmより、主流路幅Wは2.5mm未満であることが好ましい。実際に用いられる矩形流路において、主流路幅25μm、主流路深さ20μmの場合のレイノルズ数Re=0.196、円管直径25μmのレイノルズ数Re=0195であり、矩形形状と円管形状でレイノルズ数に大きな乖離はなく、共に層流の範囲内である。
また、ここで主流路5の長さL=1,000dとしたが、例えば主流路長(L)が短い500dの時、レイノルズ数2,000未満となる主流路幅は1.8mm未満であり、逆に主流路長が長い2,000dの時は3.6mm未満となる。さらに、粒子懸濁液を導入する流量を2倍にした場合、導入圧力P=0.2気圧となり、L=2,000dの時のレイノルズ数2,000未満の主流路幅Wは2.5mm未満、L=1,000dの時は1.8mm未満、L=500dの時は1.3mm未満となる。想定される最大導入圧力P=1.0気圧の時、L=2,000dの時のレイノルズ数2,000未満の主流路幅Wは1.1mm未満、L=1,000dの時は0.8mm未満、L=500dの時は0.6mm未満となる。
主流路幅Wの下限は、実用上の観点からすると流体中を流れる粒子の最大直径より大きい必要がある。すなわち、W≧2Wであることが好ましい。以上より、主流路幅Wは2W以上3.6mm未満が層流であるために好ましく、より好ましくは2W1以上2.5mm未満、さらに好ましくは2W1以上1.1mm未満、最も好ましくは2W1以上0.8mm未満である。この範囲内であれば式IIIを満たす。
前述に加えて、例えばW=100Wの様に分離する最大粒子半径のサイズに対して著しく主流路幅Wが大きい場合、大量処理の目的で複数のマイクロ流路構造体を並列化した際にスペースを有効利用できないため好ましくない。よって、2W≦W<100Wすなわち任意の主流路5に接続された枝流路本数nは2以上3,356未満(2≦n<3356)であることが好ましく、さらに好ましくは2W≦W<80Wつまりnは2以上2,151未満、最も好ましくは2W≦W<50Wつまりnは2以上845未満である。
さらに枝流路本数nについて詳述する。最初に、例えば、図5(b)に示されるように、複数の主流路5における任意の主流路5と、この主流路5に交差する一つの枝流路6との交差部のおおよその中心点を交差点Ap(図5(b)参照)として特定する。次に、交差点Apから所定方向Aの他方側へ延びる延長線Arと、任意の主流路5に隣接し、且つ延長線Arに交差する他の主流路5の中心線との交点である交差点Bpを特定する。次に、交差部Apを通る枝流路6と交差部Bpを通る他の主流路5との交差部のおおよその中心である交差点Cpを特定し、交差点Ap,Bp,Cpを直線で結んで三角形Tを特定する。ここで、他の主流路5における交差点Bpと交差点Cpとの間において第2傾斜方向C側に設けられた枝流路の本数nは、上記の枝流路本数nに相当する。
さらに、枝流路6の幅Wは任意に設定可能であるが、枝流路6に導入したい粒子の最大直径よりも大きい幅に設定することが好ましく、主流路幅Wよりも小さい幅であることが好ましい。また使用する製造装置のスペックに因るが、例えば流路の幅に対する流路の深さの比をいうアスペクト比が2未満である必要がある場合、枝流路6の幅は深さの2分の1以上である必要がある。つまり枝流路6の幅Wは、2W以上かつ枝流路の深さをアスペクト比で除した値以上であることが好ましい。
前述した枝流路6と主流路5が直交する場合、図5(b)で示すように枝流路6の長さL、第1傾斜角θ、主流路5の第2傾斜方向C側に設けられた枝流路6の本数n、枝流路6の幅W、主流路5の第2傾斜方向C側で互いに隣接する枝流路6同士の間隔d、枝流路本数n、とすると三角関数より、以下の式IVが成り立つ。
この時のLは主流路幅Wよりも大きいと好ましい。例えば血球のような数十ミクロンのサイズを分離するような場合、本体部2のサイズ全体をコンパクトにし、複数の本体部2を併用する場合でもスペースを有効利用する観点で、Lは、約1cm未満程度であることが好ましい。
上述の実施形態のマイクロ流路構造体1の材質としては、好ましいものとして、シリコーンゴムの一種であるPDMS(ポリジメチルシロキサン)を用いることができ、この場合、例えばプラズマを用いて活性化させることによって他の部材(ガラス等)に容易に接合させることが可能となる。なお、マイクロ流路構造体1の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、PDMS/ガラスの他に、アクリル等の各種ポリマー材料、シリコン、セラミクス、金属(ステンレス等)を用いることができ、或いは、これらの材料を単体で又は組み合わせて用いることも可能である。
また、マイクロ流路構造体1は、一例として、ソフトリソグラフィ(つまり、フォトリソグラフィプロセスでパターニングした微細構造を鋳型とするモールディング)によって作製することができる。なお、マイクロ流路構造体1の作製方法としては、限定されるものではなく、例えば、その他のモールディング、エンボッシング、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザー加工、電子線直接描画、機械加工等を用いることができる。
上述のマイクロ流路構造体1では、以下に例示するように、微細な流路内に形成された層流を用いつつ、細胞を正確・簡便かつ効率的に分離可能となる。なお、変形例に係るマイクロ流路構造体1Aも実質的に同様の作用、効果を奏する。
図1に示すように、血液又は細胞含有液を第1入口ポート9から連続的に導入すると共に、バッファ液を第2入口ポート10,11から連続的に導入する。これにより、本体部2において全体的な流れは所定方向Aとなるが、各交差点(各格子点又は各分岐点とも称す)では、非対称な流量分配が生じる。そのため、図2に示すように、血液又は細胞含有液中の小さな細胞PSについては、S字運動で流動する。具体的には、枝流路6から主流路5に進入し該主流路5を流れた後に再び、枝流路6に進入する。一方、血液又は細胞含有液中の大きな細胞Pについては、枝流路6へ進入することなく、主流路5をそのまま直進する。
より具体的には、図4に示すように、例えば、枝流路6へ引き抜かれて流入する流体幅Wよりも細胞半径rが大きい(r>Wとなる)細胞Pは、各分岐点において枝流路6に導入されることなく主流路5を直進する。一方で、細胞半径rが流体幅W以下の(r≦Wとなる)細胞Pは、各分岐点においてS字運動で流動することとなる。
なお、例えば、主流路5及び枝流路6の傾斜角度及び本数密度比をそれぞれ一定の値とした上で、主流路5の幅を増加させると、枝流路6へ引き抜かれて流入する流体幅Wを増加させることができ、より大きな粒子を枝流路6へ分画させることができる。また、例えば、主流路5及び枝流路6の傾斜角度及び流路幅をそれぞれ一定の値とした上で、枝流路6の本数密度比を増加させると、枝流路6へ引き抜かれて流入するWを減少させることができ、より小さな粒子のみを枝流路6へ分画させることができる。このように主流路5の流路幅、並びに、主流路5及び枝流路6の本数密度比等を適宜設定し、流体幅Wを増減させることにより、分離する粒子のサイズを制御することができる。
ちなみに、理論的には、例えば、主流路5の幅が25μm、主流路5及び枝流路6の本数密度比が1:40である場合、W1はおよそ2.5μmとなり、直径5μmより小さい粒子Pは枝流路6へと分離されると考えられる。
このことが、複数の主流路5及び複数の枝流路6において繰り返され、その結果、図2に示すように、ある一定の大きさの細胞Pについては、全体の流れから分離され、主流路5でもって図示右下方向(主流路5が傾斜する側)へと流通し、小さい細胞Pから分離される。そして、複数の出口ポート12〜12の中の図示右側(出口ポート12、出口ポート12,12、若しくは出口ポート12〜12)から導出される。
これと同時に、小さな細胞Pについては、全体の流れから分離され、枝流路6でもって左下方向(枝流路6が傾斜する側)へと流通し、大きい細胞Pから分離される。そして、複数の出口ポート12〜12の中の図示左側(出口ポート12、出口ポート12,12、若しくは出口ポート12〜12)から導出される。
より高処理量で粒子を分離する場合は、2次元的な並列化に加えて、マイクロ流路構造体1を3次元的に積層することによって高処理量実現の可能性が期待できる。
また、マイクロ流路構造体1を用いて粒子の分離を行う場合、第1入口ポート9xから入口側境界流路(第1境界流路)8へ導入される粒子の懸濁液の流量を1.0とした時に、第2入口ポート10x、11x(ここでは四つ)の各入口ポートから入口側境界流路(第1境界流路)8へ導入されるバッファ液の流量が0.5以上であることが好ましく、より分離精度を向上するには11xの各流量を1.0以上にすることが好ましく、分離精度に加えて分離効率もより向上するには、10x、11x全ての各流量を1.0以上とすることが好ましい。
また、例えば異物が混入している流体や、血液の様な凝集しやすい流体中の粒子を分離する場合、異物や凝集物が主流路5や枝流路6に導入されないよう、入口側境界流路8に粗いフィルターの様な機能が付与されていることが好ましい。特に形状や構造が限定されるものではないが、具体的には柱のようなピンを立てたメッシュ構造が用いられる。
ちなみに、上記実施形態は、一例としてサイズに基づき2種類の粒子を分離したが、例えば主流路5及び枝流路6の傾斜格子構造を適宜設定することにより、3種類以上の粒子を多段階的に分離することも可能である。また、例えば左右線対称な傾斜格子構造を用いることにより、分離する粒子を効率的に濃縮することも可能となる。このような点においても、上記実施形態では、診断医療等で必要となる量の細胞を効率的に分離、回収可能となる。
以上、本実施形態、及び変形例に係るマイクロ流路構造体1、1Aを説明したが、これらのマイクロ流路構造体1、1A、及び、これらを用いた粒子の分離方法によれば、本体部2において流体が全体的には所定方向Aに流れる中で、主流路5及び枝流路6の交差部にて非対称な流量分配が生じ、小さな粒子は枝流路6に進入する一方、大きな粒子は主流路5をそのまま流通する。このことが、複数の主流路5及び複数の枝流路6において繰り返され、その結果、大きな粒子については主流路5が傾斜する側へと流通させながら、小さな粒子については枝流路6が傾斜する側へと流通させることが可能となる。すなわち、複数の主流路5及び複数の枝流路6でもって粒子を連続的に分離させ、粒子を精度よく分離することが可能となる。
また、本実施形態では、複数の主流路5における任意の主流路5の幅Wと、その任意の主流路5の任意の長さ(基準長さ)Dbに対して第2傾斜方向C側に設けられた枝流路6の本数とによって、任意の主流路5から第2傾斜方向C側の枝流路6へ導入する粒子のサイズが設定されるので好適である。つまり、主流路5の幅Wと、その主流路Wの任意の長さ(基準長さ)Dbに対して第2傾斜方向C側に設けられた枝流路6の本数nとを制御することで、主流路5及び枝流路6の交差部にて所望の流量分配を生じさせることができ、ある設定値よりも小さな粒子は枝流路6に進入する一方、設定値よりも大きな粒子は主流路5をそのまま流通する。このことが、複数の主流路5及び複数の枝流路6において繰り返され、その結果設定値よりも大きな粒子については主流路5が傾斜する側へと流通させながら、設定値よりも小さな粒子については枝流路6が傾斜する側へと流通させることが可能となる。すなわち、複数の主流路5及び複数の枝流路6で粒子を所望のサイズに基づいて連続的に精度よく分離することができる。
また、本実施形態に係る粒子の分離方法では、第1入口ポート9から導入される粒子の懸濁液の流量1.0に対し、第2入口ポート10,11から入口側境界流路(第1境界流路)8へ導入されるバッファ液の流量が0.5以上とすることができる。なお、本実施形態では、第2入口ポート10,11を第1入口ポート9の両側に設けていたが、どちらか一方だけであってもよい。
また、分離される粒子を細胞として細胞を分離する方法(粒子の分離方法)とすることもできる。この細胞を分離する方法において、血液又は細胞含有液をマイクロ流路構造体1,1Aの入口部3に導入する工程と、マイクロ流路構造体1,1Aの出口部4の一部から分離した細胞を採取する工程と、を含む態様とすることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、本発明において、主流路幅と枝流路本数とを制御することで、分離される粒子のサイズを自由に設定可能であるが、特に、前述の主流路幅の範囲内であれば層流となるため、式IIIが成立して枝流路本数の制御によって粒子のサイズを設定可能である。したがって以下の実施例は代表の一つとして主流路幅25μmでの結果を示すこととする。なお、各実施例、比較例に係るマイクロ流路構造体の仕様は、表1に示した。
[実施例1]
上述の実施形態に対応したマイクロ流路構造体1(実施例1)を用いて、蛍光粒子の分離実験を行った。ここで、主流路5の第1傾斜角θ15°、主流路5の流路幅(主流路幅)25μm、枝流路6の流路幅(枝流路幅)15μm、枝流路の間隔20μmとした。主流路5及び枝流路6の流路深さ(高さ)は、ともに25μmとした。主流路5及び枝流路6は互いに常に直交するように形成し、枝流路本数nは35、100の間で変化させた。以上より、任意の主流路5に交差する枝流路本数n、つまり任意の主流路5の第2傾斜方向側に設けられた枝流路本数nを35、100の間で変化させる実験を行った。
実施例1に係るマイクロ流路構造体1に対し、第1入口ポート9から懸濁液を20μL/minで連続的に導入すると共に、その両側の第2入口ポート10,11からバッファ液を20μL/min及び80μL/minでそれぞれ連続的に導入した。粒子としては直径3.0μm、及び直径9.9μmの蛍光粒子を用い、一部直径4.8μmの蛍光粒子も用いた。バッファ液としては0.5%Tween80水溶液(オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)を用いた。その結果を図6に示す。なお、図6は、粒子分離実験の結果を示すグラフである。
図6において、枝流路本数nが35の場合の結果、及び枝流路本数nが100の場合の結果を表している。なお、横軸の数字のそれぞれは、出口ポート12〜12に対応している(図7〜図11において同様)。
まず、枝流路本数n35の場合、上述の式IIIに基づいて分離される粒子サイズが直径5.0μmとなるように設定し、本実験によって検証した。本実験の結果、図6に示すように、5.0μmよりも小さい4.8μmの粒子は出口2及び3から約80%導出され、9.9μmの粒子は出口5から70%以上導出されており、設定したサイズに応じた粒子の分離が認められた。
次に、同じ条件で、枝流路本数nのみを100に変更し、分離される粒子サイズが直径3.0μmとなるように設定して実験した。その結果、図6に示すように、ほぼ同サイズの3.0μmの粒子は出口2及び3より90%以上導出され、4.8μmの粒子は出口4及び5から約76%導出され、9.9μmの粒子は出口6から約84%導出されており、3種類の粒子が夫々に異なる出口から分離可能であった。
[実施例2]
主流路5の傾斜角θ30°、枝流路本数n41と100を用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。実施例2の結果を図7に示す。
まず、枝流路本数nが41の場合、上述の式IIIに基づいて分離される粒子サイズが直径4.5μmとなるように設定して実験した。その結果、図7に示すように、4.5μmよりも小さい3.0μmの粒子は出口1から約92%導出され、9.9μmの粒子は出口5及び6から99%以上導出されており、設定したサイズに応じた粒子の分離が認められた。次に、同じ条件で、枝流路本数nのみを100に変更し、分離される粒子サイズが直径3.0μmとなるように設定して実験した。その結果、図7に示すように、分離される粒子サイズは直径3.0μmとなり、ほぼ同サイズの3.0μmの粒子は出口2及び3より100%導出され、9.9μmの粒子は出口5及び6から100%導出され、2種類のサイズの粒子が夫々に異なる出口から分離可能であった。
[実施例3]
主流路5の傾斜角θ15°、枝流路本数nが193にすると共に、分離される粒子サイズが直径2.1μmとなるように設定されたマイクロ流路構造体1(実施例3)を用い、調製血液及び末梢血液を用いた血球分離実験を行った。実施例3の実験結果の詳細を説明する前に、「調製血液の作製」、「末梢血液」、及び「血球回収率の算出」の説明を先に行う。
(調製血液の作製)
健常人(健常ヒト)新鮮末梢血液に抗凝固剤としてACD−A(acid citrate dextrose-A)を血液:ACD−A=8:1となるように添加し十分に転倒混和した。密度勾配遠心分離媒体であるFicoll−Paque PLUS(GEヘルスケア社製)15mLを50mL遠沈管に添加し、その上にD−PBS(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)溶液(Life Technologies社製)で2倍希釈したACD−A添加末梢血液30mLを明瞭な界面ができるよう慎重に重層した。アクセル、ブレーキなしで800xg、15分間遠心後、単核球が豊富なバフィーコート層を約7mL採取し、別の遠沈管に移した。バフィーコート層をさらにアクセル、ブレーキありで1,430xg、10分間遠心後、上清約6.2mLを除去した。残渣の細胞浮遊液を30μmのメッシュに通液させて、ACD−A添加末梢血液と1:1で混和し、調製血液とした。必要量の調製血液を0.5%BSA(Bovine Serum Albumin)添加D−PBS溶液で5倍希釈した。
(末梢血液)
健常人(健常ヒト)新鮮末梢血液に抗凝固剤としてACD−A(acid citrate dextrose-A)を血液:ACD−A=8:1となるように添加し十分に転倒混和し、末梢血液とした。
(血球分離)
作製したマイクロ流路構造体1の入口部3における第1入口ポート9から、5倍希釈した調製血液又は末梢血液をシリンジポンプを用いて導入し、その両側の第2入口ポート10,11から0.5%BSA添加D−PBS溶液を導入した。各々の導入速度は、入口ポート9,10については15μL/min、入口ポート11については60μL/minであった。出口1,2と、出口3,4と、出口5,6と、から回収された溶液を各々一つの容器に回収し、回収細胞溶液を得た。
(血球回収率の算出)
多項目自動血球分析装置(Sysmex社製、型式XS−800i)を用い、調製血液、5倍希釈した調製血液と回収細胞溶液との白血球濃度、赤血球濃度、及び血小板濃度を測定した。各検体中の白血球数、赤血球数及び血小板数は、各濃度に溶液の容量を掛けて算出した。次に、白血球中のリンパ球比率、単球比率及び顆粒球比率を測定した。各検体について抗ヒトCD45−FITC抗体と抗ヒトCD14―PE抗体とで染色後溶血処理を行い、フローサイトメトリー(ベックマンコールター社製、型式Cytomics FC500)でCD14陽性細胞比率を測定した。各検体の単球数は、白血球数 × CD14陽性比率で算出される。各出口(出口1,2、出口3,4、出口5,6)から回収した溶液中の赤血球回収率、血小板回収率、白血球回収率、リンパ球回収率及び単球回収率は、下記式(A)〜(E)より算出した。
・赤血球回収率(%)=(回収細胞溶液の赤血球濃度×回収細胞溶液の容量)/(5倍希釈血液の赤血球濃度×シリンジポンプから吐出した5倍希釈血液の容量)×100・・・式(A)
・血小板回収率(%)=(回収細胞溶液の血小板濃度×回収細胞溶液の容量)/(5倍希釈血液の血小板濃度×シリンジポンプから吐出した5倍希釈血液の容量)×100・・・式(B)
・白血球回収率(%)=回収細胞溶液の白血球数/5倍希釈血液の白血球数×100・・・式(C)
・リンパ球回収率(%)=回収細胞溶液のリンパ球数/5倍希釈血液のリンパ球数×100・・・式(D)
・単球回収率(%)=回収細胞溶液の単球数/5倍希釈血液の単球数×100・・・式(E)
実施例3の血球分離実験の結果を図8に示す。グラフは出口1,2をまとめたものを出口1に、出口3,4をまとめたものを出口3に、出口5,6をまとめたものを出口5に示した。
調製血液の血球分離の結果、直径約6〜20μmの白血球は約100%出口5,6から回収され、厚み2〜3μmの赤血球と直径2〜3μmの血小板は出口5,6からの回収率は夫々2.6%と1.2%であった。また赤血球及び血小板は、出口1〜4から殆ど回収され、各々回収率は約88%と約96%であった。すなわち、サイズの小さい赤血球や血小板のみが枝流路6へ引き抜かれ、直径の大きい白血球は主流路5を直進し、出口1〜4からは赤血球及び血小板が回収され、出口5,6からは高純度かつ高回収率で白血球が得られ、白血球と赤血球・血小板の分離が確認できた。
次に末梢血の血球分離の結果、白血球は約93%出口5,6から回収され、赤血球と血小板の出口5,6からの回収率は夫々0.0%と0.0%と高効率な白血球分離が確認できた。また赤血球及び血小板は、出口1〜4から殆ど回収され、各々回収率は約100%と約75%であり、白血球と赤血球・血小板の分離が確認できた。
[実施例4]
主流路5の傾斜角θ30°、枝流路本数nが41にすると共に、分離される粒子サイズが直径4.5μmとなるように設定した以外は、実施例3と全く同じマイクロ流路構造体1(実施例4)を用い、実施例3と同様の血球分離実験を行った。結果を図9に示す。グラフは出口1,2をまとめたものを出口1に、出口3,4をまとめたものを出口3に、出口5,6をまとめたものを出口5に示した。
調製血液の血球分離の結果、白血球の中でも直径約12〜20μmとサイズの大きい単球は出口5〜6から約73%回収され、厚み2〜3μmの赤血球と直径2〜3μmの血小板は出口1〜2から夫々98%と100%回収された。また白血球の中でも直径6〜14μmサイズの小さいリンパ球は、出口1〜4から約77%回収された。すなわち、分離サイズ4.5μmよりもはるかに大きい単球は出口5〜6からは高純度かつ高回収率で得られ、赤血球・血小板・リンパ球と単球の分離が確認できた。
次に末梢血液の血球分離の結果、単球は約90%出口5〜6から回収され、赤血球と血小板の出口1〜4からの回収率は夫々約95%と約84%回収された。リンパ球は出口1〜4から約94%回収された。すなわち、分離サイズ4.5μmよりもはるかに大きい単球は出口5〜6のみから高純度かつ高回収率で得られ、赤血球・血小板・リンパ球と単球の分離が確認できた。
[比較例1]
主流路5の傾斜角θ45°、枝流路本数nを14とした以外は、実施例1と同様の実験を行った。比較例1の結果を図10に示す。図10に示すように、傾斜角θが45°の場合、分離される粒子サイズとして設定した直径が、8.2μmにもかかわらず、8.2μmよりも大きい9.9μmの粒子も出口1及び2から約76%導出されており、設定したサイズに応じた粒子の分離が認められなかった。
[比較例2]
主流路5の傾斜角θ45°、枝流路本数nを14とした以外は、実施例3の調製血液を用いた実験と同様の実験を行った。比較例2の結果を図11に示す。図11に示すように、傾斜角45°の場合、分離されるサイズとして設定した直径が8.2μmにもかかわらず、直径8.2μmよりも大きい単球も出口1及び2から57%導出されており、設定したサイズに応じた細胞の分離が認められなかった。
1、1A…マイクロ流路構造体、2…本体部、3…入口部、4…出口部、5…主流路、6…枝流路、7…側部境界流路(第2境界流路)、8…入口側境界流路(第1境界流路)、9…第1入口ポート、10,11…第2入口ポート、12、12、12、12、12、12…出口ポート、A…所定方向、B…第1傾斜方向、C…第2傾斜方向。

Claims (11)

  1. 流体中の粒子をサイズに基づき分離するためのマイクロ流路構造体であって、
    所定方向における一方側から他方側へ前記流体を流通させる本体部と、
    前記本体部に前記流体を流入する入口部と、
    前記本体部から前記流体を流出させる出口部と、を備え、
    前記本体部は、
    前記所定方向に対し傾斜する第1傾斜方向に沿って延びると共に、前記本体部内に並設された複数の主流路と、
    前記所定方向に対し前記第1傾斜方向とは反対側に傾斜する第2傾斜方向に沿って延びると共に、前記本体部内において前記主流路と交差するように並設された複数の枝流路と、を有し、
    前記主流路と前記複数の枝流路とは、前記本体部の同一平面上に存在し、
    前記所定方向に対する前記第1傾斜方向の傾斜角は、0°よりも大きく45°よりも小さい角度を有し、
    前記主流路は、前記第1傾斜方向に沿って直線状に延在する壁面によって画設されており、前記枝流路は、前記第2傾斜方向に沿って直線状に延在する壁面によって画設されている、マイクロ流路構造体。
  2. 前記複数の主流路における任意の前記主流路の幅と、前記任意の主流路の任意の長さに対して前記第2傾斜方向側に設けられた前記枝流路の本数とによって、前記任意の主流路から前記第2傾斜方向側の前記枝流路へ導入する前記粒子のサイズが設定される請求項1記載のマイクロ流路構造体。
  3. 前記複数の主流路における任意の前記主流路と前記任意の主流路に交差する一つの前記枝流路との交差部の中心である交差点Apと、
    前記交差点Apから前記所定方向の前記他方側へ延びる延長線と、前記任意の主流路に隣接し、且つ前記延長線に交差する他の前記主流路の中心線との交点である交差点Bpと、
    前記交差点Apを通る前記枝流路と前記交差点Bpを通る前記他の主流路との交差部の中心である交差点Cpと、を結ぶ三角形において、
    前記他の主流路における前記交差点Bpと前記交差点Cpとの間において前記第2傾斜方向側の前記枝流路の本数nは、2≦n<3356を満たす請求項1または2記載のマイクロ流路構造体。
  4. 前記主流路と前記枝流路とは直交しており、前記主流路の幅W0、前記主流路の前記第2傾斜方向側に設けられた前記枝流路の本数n、前記枝流路の幅W2、前記主流路の前記第2傾斜方向側で互いに隣接する前記枝流路同士の間隔d、前記所定方向に対する前記第1傾斜方向の傾斜角θ、及び前記枝流路の長さLが式1を満たすと共に、L>W0である請求項1〜3のいずれか一項記載のマイクロ流路構造体。
  5. 前記主流路の幅は、流体中の粒子によって閉塞しない幅に設定されている請求項1〜4の何れか一項記載のマイクロ流路構造体。
  6. 前記本体部は、前記所定方向における前記一方側に設けられ前記主流路及び前記枝流路に接続された第1境界流路と、前記主流路の並設方向に沿う一方側及び他方側の少なくとも何れかに設けられ、前記所定方向に沿って延びる第2境界流路とを有し、
    前記入口部は、前記第1境界流路に接続され前記粒子の懸濁液を導入する第1入口ポートと、前記第1境界流路に接続されバッファ液を導入する第2入口ポートとを有し、
    前記出口部は、前記流体を導出する複数の出口ポートを有し、
    前記出口ポートは、前記複数の主流路のうちの一部、及び複数の前記枝流路のうちの一部に接続されていると共に、前記主流路の並設方向に沿う方向に隣接して並ぶように設けられており、
    前記複数の出口ポートのうち前記第1傾斜方向側の端に位置する出口ポートに最も近接して開口した一端を有する前記主流路の他端が前記第1境界流路に開口している請求項1〜5の何れか一項記載のマイクロ流路構造体。
  7. 請求項1〜6の何れか一項記載のマイクロ流路構造体を用いて流体中の粒子をサイズに基づき分離する粒子の分離方法。
  8. 前記入口部は、前記粒子の懸濁液を導入する第1入口ポートと、バッファ液を導入する第2入口ポートとを有し、
    前記第1入口ポートから導入される前記粒子の懸濁液の流量1.0に対し、前記第2入口ポートから導入される前記バッファ液の流量が0.5以上とする請求項7記載の粒子の分離方法。
  9. 前記入口部は、前記粒子の懸濁液を導入する第1入口ポートと、バッファ液を導入する第2入口ポートとを有し、
    前記第1入口ポートから前記粒子の懸濁液を導入し、複数の前記第2入口ポートを前記第1入口ポートの一方、または両側に設ける請求項7または8記載の粒子の分離方法。
  10. 前記粒子が細胞である請求項7〜9のいずれか一項記載の粒子の分離方法。
  11. 血液又は細胞含有液を前記マイクロ流路構造体の前記入口部に導入する工程と、前記マイクロ流路構造体の前記出口部の一部から分離した細胞を採取する工程と、を含む請求項10記載の粒子の分離方法。
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