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JP6497700B2 - 水性着色ベース塗料組成物 - Google Patents

水性着色ベース塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は自動車ボディなど既設の塗膜の補修塗装に用いられる水性着色ベース塗料組成物に関する。
近年、環境保護の観点から、塗料分野においても塗料の水性化が求められている。水は、他の塗料用有機溶剤と比較して、低分子量の割に高い沸点を有し、表面張力及び誘電率が共に高いという特異な性質を有する。これらの要因は、水性塗料の塗装作業性に大きく影響しており、水性塗料は有機溶剤系の塗料と比較して一般に塗装作業性が悪く、得られる塗膜も高光沢となり難いことが知られている。
水性塗料の塗装作業性や形成塗膜の仕上がり性向上の方策として例えば、水性塗料に用いられる塗料用樹脂を改良するなどの方法が一般に行われている。
しかしながら自動車補修塗装の分野では、補修塗装現場によって温度や湿度等の塗装環境に大きく幅があり、随時変動する塗装環境の影響を大きく受ける水性塗料を用いることによって安定した仕上がり外観を得ることは難しいとされている。
こうした問題に対し、特許文献1には特定のHLB値を有する有機溶剤を水性塗料に含ませることによって、塗装作業性が良好であり、塗装環境の影響を受けることなく形成塗膜の仕上がり性が良好となることが記載されている。
ところで自動車補修塗装における上塗り塗装工程では、パテやプライマーサーフェーサー等による下地処理面に、既設の塗膜と同じ外観となるような同系色の補修用上塗り着色ベース塗料を複数回に分けて段階的に塗装することが一般的である。そして各塗装の間には必要に応じて圧縮空気でエアーブローを行い、各上塗り着色ベース塗膜の乾燥を速めるということがよく行われている。
特許文献1記載の水性塗料を補修用上塗り着色ベース塗料として用いて1コート、1エアーブローを行い段階的に塗り重ねていくと、乾燥塗膜と塗着した着色ベース塗料のなじみが十分ではなく、上塗り塗装工程終了後に得られる塗膜に肌あれや、ムラが起きることがあった。
一方、特許文献2〜3には、水性塗料組成物を主剤成分(I)、粘性調整剤成分(II)及び粘性調整剤成分(III)で構成し、各々を特定組成とすることで、タレなどの欠陥のない塗膜が得られることが記載されている。
これら特許文献によれば、水性塗料組成物の段階塗装をウェット・オン・ウェットで連続的に行っても欠陥のない塗膜が得られ、補修塗装工程を大幅に簡略できるものではあるが、段階塗装の間に乾燥工程を設けたとしても、形成された塗膜にわずかな肌荒れやムラが認められ、既設の塗膜の色調を再現するという目的に達しているものとはいえず、未だ改善の余地がある。
特開2005−213274号公報 特開2001−316612号公報 国際公開WO2013/002121号パンフレット
本発明の目的は、自動車ボディなどの既設の着色塗膜などの着色塗膜に対して違和感のない補修塗膜を形成するのに適する、水性着色ベース塗料組成物を提案することにある。
本発明者らは、上記した課題について鋭意検討した結果、補修塗装に用いられる水性着色ベース塗料組成物に用いる希釈剤に、オルガノポリシロキサン化合物を含ませることによって、段階塗装における塗り重ねなじみ性が改善されることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、
塗装直前に主剤成分(I)及び希釈剤成分(II)を混合して水性着色ベース塗料組成物を調製するための、多成分系の水性着色ベース塗料組成物であって、
主剤成分(I)が、水性樹脂成分、着色顔料及び水を含み、希釈剤成分(II)が、ポリエーテル変性シリコーン化合物、粘性調整剤及び水を含むことを特徴とする多成分系の水性着色ベース塗料組成物、該組成物を用いたことを特徴とする補修塗装方法、に関する。
本発明に従う希釈剤成分を構成成分とする多成分系の水性着色ベース塗料組成物によれば、塗装作業性に優れ、段階塗装を行ったときの塗り重ねなじみ性が良好であり、肌あれやムラのない、既設の塗膜と違和感のない高仕上がり外観の着色ベース塗膜が得られる。
本発明の水性着色ベース塗料組成物は、主剤成分(I)及び希釈剤成分(II)を組み合わせてなる多成分系の組成物である。
本発明における主剤成分(I)は、水性樹脂成分、着色顔料及び水を含む。
上記水性樹脂成分としてはアクリル樹脂エマルション、ポリエステルエマルション、エポキシ樹脂エマルション、ポリウレタン樹脂エマルションなどの水性媒体に分散したもの、或いは水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂などの水性媒体に溶解したものなどの公知のものを挙げることができる。
本発明では水性樹脂成分がアクリル樹脂エマルションを含むものであることが好ましい。
<アクリル樹脂エマルション>
本発明においてアクリル樹脂エマルションとしては、(メタ)アクリロイル基含有重合性不飽和モノマーを必須成分とし、その他重合性不飽和モノマーを必要に応じて共重合した共重合体が水に分散されてなるものである。
具体的にはアクリル樹脂エマルションの平均粒子径としては0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μmの範囲内にある。
本明細書において、アクリル樹脂エマルション及び後述のウレタン樹脂エマルションの平均粒子径は、測定温度20℃において、コールターカウンター法によって測定された体積平均粒子径の値である。コールターカウンター法による測定は、例えば、「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製、商品名)を用いて行うことができる。
このようなアクリル樹脂エマルションとしては例えば水及び分散安定剤の存在下で上記重合性不飽和モノマー成分を重合開始剤を用いて、1段階で又は多段階で乳化重合することにより得られるものを好適に使用することができる。
本発明ではアクリル樹脂エマルションとしては、単層型でもコアシェル型などの複層型であってもよいが、単層型であることが塗り重ね馴染み性などの点から適している。
アクリル樹脂エマルションの共重合成分となりうる重合性不飽和モノマーとしては例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐状アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖含有(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクロレイン、ホルミルスチロール、炭素数4〜7のビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなど)、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアナト基含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー;エポキシ基含有重合性不飽和モノマー又は水酸基含有重合性不飽和モノマーと不飽和脂肪酸との反応生成物、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の酸化硬化性基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、アクリル樹脂エマルションを乳化重合せしめるときに用いる分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤及びラジカル重合性二重結合を有するアニオン性又はカチオン性の反応性乳化剤を挙げることができる。
反応性乳化剤とは、分子中にノニオン性基、アニオン性基及びカチオン性基のいずれか1種以上の基と重合性不飽和基を共に有する乳化剤であり、重合性不飽和基としては具体的には、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。市販品としては「ラテムル」(商品名、花王(株)製)、「エレミノール」(商品名、三洋化成(株)製)、「アクアロン」(商品名、第一工業製薬(株)製)、「アデカリアソープ」(商品名、旭電化(株)製)、「ANTOX」(商品名、日本乳化剤(株)製)等を挙げることができる。
重合開始剤としては、従来公知のものを制限なく使用することができ、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-アミルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤;2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4´−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2´−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2´−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、ジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1´−アゾビス(1−シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート等のアゾ系重合開始剤を挙げることができる。
本発明では、主剤成分(I)に含まれるアクリル樹脂エマルションとして、1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物を共重合成分として含むものであることが着色ベース塗膜の耐水性と中研ぎ性の観点から適している。
上記1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物としては、上記例示の化合物が挙げられ、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができ、その共重合量としては、アクリル樹脂エマルションの製造に使用される全重合性不飽和モノマーの質量を基準として0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5の範囲内とすることができる。
また、アクリル樹脂エマルションとしては着色ベース塗膜の耐水性や塗り重ね馴染み性の観点から、固形分酸価が5mgKOH/g以下、好ましくは4mgKOH/g以下の範囲内のものであることが望ましい。
また上記水性樹脂成分としてはウレタン樹脂エマルションを含むことが着色ベース塗膜の耐水付着性の点から好ましい。
かかるウレタン樹脂エマルションとしては当該分野で公知のものを制限なく使用することができ、例えば、ポリイソシアネート、ポリオール及びカルボキシル基含有ジオールを反応させてなるウレタンプレポリマーを水中に分散することにより得られる樹脂エマルションを挙げることができる。
ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネ−ト化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4´−ジメチルジフェニルメタン−2,2´,5,5´−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;これらのウレタン化付加物のビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
上記ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等)との縮重合させたポリオール、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート等のポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンポリオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、1,6ヘキサンジオール等の低分子量グリコール類;等が挙げられ、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
上記カルボキシル基含有ジオールとしては、例えばジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等が挙げられる。
上記ウレタンプレポリマーの製造は、従来公知の方法に基づいて行うことができる。
上記ウレタン樹脂エマルションは中和剤により中和されたものであってもよい。中和剤としては、カルボキシル基を中和することができるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア等を挙げることができる。
上記ウレタン樹脂エマルションは、着色ベース塗膜の中研ぎ性が良好であることから、分子中に環状構造を有するものであることが望ましい。
より好ましくは、ウレタン樹脂エマルションを構成するポリイソシアネートが、その成分の一部として脂環族ジイソシアネート化合物に由来する化合物を含むものであることが適している。
また、ウレタン樹脂エマルションは、着色ベース塗膜の耐水性と塗り重ねなじみ性の観点から、固形分酸価が20mgKOH/g以下、好ましくは5〜18mgKOH/gの範囲内のものであることが望ましい。
尚、本明細書において、固形分とは不揮発分を意味するものであり、試料から、水、有機溶剤等の揮発する成分を除いた残さを意味し、試料の質量に固形分濃度を乗じて算出することができる。固形分濃度は、試料約3グラムを、105℃、3時間乾燥させた残さの質量を、乾燥前の質量で除することにより測定することができ、また、100分率で示す場合もある。
上記ウレタン樹脂エマルション(A)の平均粒子径としては、0.01〜1μm、特に0.05〜0.5μmの範囲内にあることができる。
また、水性樹脂成分は水溶性アクリル樹脂をさらに含むことが好ましい。本明細書において水溶性アクリル樹脂は、例えば、酸基含有重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマー成分を、親水性有機溶剤の存在下で重合開始剤により重合させることにより得られる樹脂を挙げることができる。
上記酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。
特に酸基含有重合性不飽和モノマーとしてカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとリン酸基含有重合性不飽和モノマーを併用することによって、本発明組成物を塗り重ねたときの馴染み性が向上する効果がある。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;Nーメチロールアクリルアミド;アリルアルコール;炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性アクリルモノマー;ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。
上記その他の重合性不飽和モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族環含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアナト基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらの重合性不飽和モノマーはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記水溶性アクリル樹脂は、酸基を中和剤により中和することが望ましい。かかる中和剤としては、上記例示の化合物を挙げることができる。
上記水溶性アクリル樹脂としては、一般に固形分酸価が5〜150mgKOH/g、好ましくは10〜100mgKOH/g、固形分水酸基価が10〜150mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/g、重量平均分子量が5000〜10,0000好ましくは8,000〜70,000の範囲内であることが望ましい。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
また、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgelG−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
重合に用いられる親水性有機溶剤としては、厳密に区別されるものではないが例えば20℃において水100g中に少なくとも20g溶解する有機溶剤を挙げることができ、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル系有機溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のジエチレングリコールエーテル系有機溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のジプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系有機溶剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記水溶性アクリル樹脂を使用する場合、その配合量としては、主剤成分(I)に含まれる樹脂固形分中に1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%の範囲内にあることができる。
本発明において着色顔料としては従来公知のものを特に制限なく使用することができる。その具体例としては、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物顔料、チタンイエロー等の複合酸化金属顔料、カーボンブラック、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサン系顔料、インジゴ系顔料等の着色顔料;アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等の光輝性顔料;クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等の体質顔料;等が挙げられ、これらはその目的とする色彩や塗膜性能に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、光輝性顔料を使用する場合その形状としては特に限定されないが、例えば燐片状が好適であり、リン酸基あるいはスルホン酸基を含有する処理剤で分散処理され被覆されていることが水素ガス発生抑制の点から好適である。リン酸基あるいはスルホン酸基含有処理剤には従来公知の低分子化合物や共重合体が特に制限なく適用できる。
また、光輝性顔料としては、シリカで被覆されたアルミニウムフレークを使用することが望ましい。安定したメタリック外観の塗膜が得られるからである。
シリカ被覆アルミニウム顔料としては、「Hydrolanシリーズ」(商品名、エカルト社製)、「アルペーストEMRシリーズ」(商品名、東洋アルミニウム社製等の市販品を使用可能である。
着色顔料の配合量としては、目的とする塗色によって使用する顔料によって異なるが一般には主剤成分に含まれる樹脂の固形分合計100質量部に対して、0.1〜300質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜200質量部の範囲内であることが塗料安定性の面からも適している。
≪主剤成分(I)≫
本発明において水性樹脂成分がアクリル樹脂エマルション及びウレタン樹脂エマルションを含む場合、両者の合計量が主剤成分(I)に含まれる樹脂固形分中50質量%以上、好ましくは80質量%以上の範囲内にあることが、着色ベース塗膜の初期付着性と耐水性の観点から好ましい。
また、アクリル樹脂エマルション及びウレタン樹脂エマルションの使用割合としては、アクリル樹脂エマルション/ウレタン樹脂エマルション固形分質量割合で95/5〜5/95、好ましくは80/20〜20/80の範囲内が着色ベース塗膜の耐水付着性の観点から適している。
上記主剤成分(I)は、着色顔料以外の顔料;粘性調整剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ポリマー微粒子、分散助剤、防腐剤、シランカップリング剤、消泡剤、硬化触媒、有機溶剤、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤;などの他の成分を含んでいてもよい。
本発明では、主剤成分(I)を安定に貯蔵でき、後述の希釈剤成分(II)と混合することで得られる水性着色ベース塗料組成物がムラやタレなどの発生のない良好な仕上がり外観の塗膜を形成できるように主剤成分(I)が粘性調整剤を含む。
粘性調整剤としては従来公知のものを制限なく使用することができ、具体的にはポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリアクリル酸系粘性調整剤;プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系粘性調整剤;ウレタン会合型粘性調整剤;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト、マイカおよびベントナイト等の無機系粘性調整剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系粘性調整剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系粘性調整剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系粘性調整剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系粘性調整剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系粘性調整剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系粘性調整剤等が挙げられる。
これらの中でも、ポリアクリル酸系粘性調整剤が着色ベース塗膜中での着色顔料の配向性の観点からよい。
該ポリアクリル酸系粘性調整剤の有効成分酸価としては、例えば30〜350mg/KOH、好ましくは100を超えて且つ300mg/KOH以下の範囲内であることができる。市販品として、例えば、ロームアンドハース社製の「プライマルASE60」、「プライマルTT615」、「プライマルRM5」(以上、商品名)、サンノプコ社製の「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」(以上、商品名)等が挙げられる。
本明細書において、有効成分とは、試料から、水、有機溶剤などの希釈剤を除いた残さを意味する。
ポリアクリル酸系粘性調整剤の配合量としては、主剤成分(I)に含まれる樹脂固形分を基準として0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%程度である。
上記主剤成分(I)の固形分濃度は、一般に10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%の範囲内に調整されることが塗装作業性と隠蔽性、及び仕上がり外観の観点から適している。
また、上記主剤成分(I)の粘度としては、特に制限されるものではないが、貯蔵安定性及び後述の希釈剤成分(II)等との混合性の点から、100〜3000mPa・sec、好ましくは600〜2000mPa・secの範囲内であることができる。
本明細書において、粘度は、試料を25℃に調製してから10分以内に、粘度計デジタル式ビスメトロン粘度計VDA型(芝浦システム株式会社製)を用いて回転速度60rpmにて測定した値とする。
≪希釈剤成分(II)≫
本発明において、希釈剤成分(II)は、ポリエーテル変性シリコーン化合物、粘性調整剤及び水を含む。
本発明では上記主剤成分(I)に希釈剤成分(II)を塗装直前に混合することで、塗装環境に応じて水性着色ベース塗料組成物のレオロジー特性を制御することができるものであり、水性着色ベース塗料組成物をこのように構成することで各成分の貯蔵安定性を保ち、タレることなく、ムラなどの発生のなく、しかも塗り重ねなじみ性の良好な仕上がり外観に優れた着色ベース塗膜を形成することができるものである。
かかるポリエーテル変性シリコーン化合物としては、ポリシロキサンの末端および/または側鎖に、ポリエーテル鎖が導入された化合物等が挙げられ、ポリシロキサンにポリエーテル鎖以外のエポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基の如き有機基の導入が併用された共変性シリコーン化合物であっても差し支えない。
前記ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、例えば、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−618、KF−6011、KF−6015、KF−6004、X−22−4272、X−22−4952、X−22−6266、X−22−3667、X−22−4741、X−22−3939A、X−22−3908A〔以上;信越化学工業(株)製〕、BYK−018、BYK−019、BYK−021、BYK−022、BYK−023、BYK−024、BYK−025、BYK−028、BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−375、BYK−377、BYK−UV3510、BYK−307、BYK−342、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−3455、BYK−UV3500、BYKUV3530(以上;ビックケミー社製)、SILWET L−77、SILWET L−720、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7604、SILWET Y−7006、SILWET FZ−2101、SILWETFZ−2104、FZ−2105、SILWET FZ−2110、SILWET FZ−2118、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2122、SILWETFZ−2123、SILWET FZ−2130、SILWET FZ−2154、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2163、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2166、SILWET FZ−2191、SILWET FZ−2203、SILWET FZ−2207、SILWET 2208、SILWET FZ−3736、SILWET Y−7499、SILWET FZ−3789、SF8472、BY16−004、SF8428、SH3771、SH3746、BY16−036、SH3749、SH3748、SH8400、SF8410〔以上;東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製〕、L032、L051、L066〔以上;旭化成ワッカーシリコーン(株)製〕等の市販品を使用することができ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせることができる。
希釈剤成分(II)に含まれ得る粘性調整剤としては、上記主剤成分(I)に含まれる粘性調整剤の説明で例示した中から適宜選択して使用することができる。
本発明においては希釈剤成分(II)には無機系粘性調整剤が適している。
かかる無機系粘性調整剤としては、当該分野で公知のものを制限なく使用することができ、例えば層状ケイ酸塩等の鉱物が挙げられ、これらは天然、合成品、加工処理品のいずれであってもよい。具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト、マイカおよびベントナイト等が挙げられる。これらは有機溶剤や水等の希釈媒体で希釈されたものであってもよい。
市販品としては「Bentone 27」、「Bentone34」、「Bentone 38」、「Bentone SD−1」、「Bentone SD−2」、「Bentone SD−3」、「Bentone52」、「Bentone 57」(以上いずれもRheox社製、商品名)、「Tixogel VP」、「Tixogel TE」、「Tixogel UN」、「Tixogel EZ100」、「Tixogel MP100」、「Tixogel MP250」(以上いずれもSud Chemical社製、商品名)、「Claytone 40」、「Claytone 34」、「ClaytoneHT」、「Claytone APA」、「Claytone AF」、「ClaytoneHY」(以上いずれもSouthern Clay Products社製、商品名)、「Laponite RD」、「LaponiteRDS」、「Laponite HW」、「Laponite EP」、「Laponite S482」、「LaponiteOG」、「Laponite LV」(以上いずれもRochwood Additives Limited社製、商品名)などを挙げることができる。
希釈剤成分(II)中におけるポリエーテル変性シリコーン化合物、粘性調整剤、及び水の使用割合としては、
希釈剤成分(II)質量を基準として
ポリエーテル変性シリコーン化合物が0.01〜10.0質量%、好ましくは0.05〜5.0質量%、
粘性調整剤が0.1〜3.0質量%、好ましくは0.3〜2.0質量%
水が60〜99.9質量%、好ましくは70〜99.5質量%の範囲内が適当である。
また、上記希釈剤成分(II)は、希釈剤成分(II)の貯蔵安定性向上のためにポリアルキレン骨格を有するポリオール化合物を含むことができる。
ポリアルキレン骨格を有するポリオール化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロックまたはランダム共重合の少なくとも1種の構造を有する、ポリアルキレンポリオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコールをポリアルキレン変性した、ポリアルキレン骨格を含む多価アルコール;上記ポリアルキレンポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸などの多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオールをカプロラクトン変性したカプロラクトン変性ポリオール;などが挙げられる。
上記ポリアルキレン骨格を有するポリオール化合物の重量平均分子量としては、100〜10000、好ましくは400〜5000の範囲内にあることが望ましい。
また、上記ポリアルキレン骨格を有するポリオールの使用量としては、希釈剤成分(II)に含まれる無機系増粘剤の有効成分質量を100質量部を基準として50〜1000質量部、好ましくは100〜500質量部の範囲内にあることが、メタリックベース塗膜の耐水性などの点から望ましい。
上記希釈剤成分(II)は、水性樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、ポリマー微粒子、表面調整剤、分散助剤、防腐剤、シランカップリング剤、消泡剤、硬化触媒、有機溶剤、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。
これらのうち有機溶剤としては、ポリエーテル変性シリコーン化合物と共に塗り重ね馴染み性を更に向上させる効果があることから親水性溶剤が適している。
かかる親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系溶剤が挙げられ、これらは単独で、又は併用して使用できる。
希釈剤成分(II)に含まれ得る親水性有機溶剤としては、プロピレングリコールエーテル系溶剤を含有することが望ましい。
上記親水性溶剤を使用する場合のその使用量としては、希釈剤成分(II)の質量を基準として0.1〜50.0質量%、好ましくは0.5〜30.0質量%の範囲内にあることが、ムラ性を抑制でき、望ましい。
以上に述べた希釈剤成分(II)の粘度としては、特に制限されるものではないが、貯蔵安定性及び前述の主剤成分(II)等との混合性の点から、10〜300mPa・sec、好ましくは10〜100mPa・sec、の範囲内であることができる。
<粒子成分(III)>
本発明の水性着色ベース塗料組成物は、特に光輝性顔料を含むメタリックベース塗料組成物である場合に、上記主剤成分(I)及び希釈剤成分(II)に加えて粒子成分(III)をさらに組み合わせてなる多成分系、すなわち3成分系とすることもできる。
そしてこの粒子成分(III)がシリカ粒子及び水を含むことが、形成される着色ベース塗膜の光輝感、透明感などの観点から好ましい。
かかるシリカ粒子としては、微粉末シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、「サイロイド」シリーズ(商品名、グレース・ジャパン社製)、「AEROSIL」シリーズ(商品名、日本アエロジル社製)、「ACEMATT 」シリーズ(商品名、DEGUSSA社製)、「サイリシア」シリーズ、「サイロホービック」シリーズ、「サイロスフェア」シリーズ(以上、商品名、富士シリシア化学(株)社製)「クォートロン」シリーズ(商品名、扶桑化学(株)社製)「ファインシール」シリーズ(商品名、(株)トクヤマ製)「NIPSIL」シリーズ(商品名、東ソーシリカ(株)社製)、「ミズカシル」シリーズ(商品名、水澤化学(株)社製)等が挙げられる。
かかるシリカ粒子の平均粒子径としては0.1〜25μm、0.5〜10μmの範囲内にあることが着色ベース塗膜の膜厚による光輝感の差とムラ感が抑制され、好ましい。
本明細書においてシリカ粒子の平均粒子径は、体積基準の平均粒子径(D50)のことであり、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される粒度分布の50%の値である。
粒子成分(III)中におけるシリカ粒子の有効成分含有量としては、粒子成分(III)質量を基準として1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%の範囲内が適当である。
粒子成分(III)はシリカ粒子に加えて水性樹脂を含むことが好ましい。粒子成分(III)が水性樹脂を含むことによって粒子成分(III)の貯蔵安定性が良好になる効果がある。
上記水性樹脂としては、従来公知のものを制限なく使用することができるが、ウレタン樹脂エマルション及びアクリル樹脂エマルションを使用することが好ましい。かかるウレタン樹脂エマルション及びアクリル樹脂エマルションとしては上記主剤成分(I)に含まれるウレタン樹脂エマルション及びアクリル樹脂エマルションの説明で列記したものの中から適当な樹脂エマルションをそれぞれ使用することができる。
粒子成分(III)が水性樹脂を含む場合の水性樹脂の固形分含有量としては、シリカ粒子100質量部を基準として1〜300質量部、好ましくは10〜200質量部の範囲内にあることが適している。
粒子成分(III)に含まれる水性樹脂の量が多すぎると、水性着色ベース塗料の粘度が高くなり、各成分(I)〜(III)混和時に攪拌が困難となることがある。
粒子成分(III)がウレタン樹脂エマルション及びアクリル樹脂エマルションを含む場合、その割合としてはウレタン樹脂エマルション/アクリル樹脂エマルション固形分割合で5/95〜95/5、好ましくは30/70〜70/30の範囲内にあることが望ましい。
この範囲よりウレタン樹脂エマルションが少ない場合、着色ベース塗膜の初期付着性が劣り、一方多すぎると塗料粘度が高くなり、塗料作成時に攪拌が困難となることがある。
また、粒子成分(III)はその成分の一部として粘性調整剤を含むことが望ましい。これにより、主剤成分(I)及び希釈剤成分(II)との混和性が良好で、光輝感に優れた着色ベース塗膜が得られる効果がある。
かかる粘性調整剤としては、特に制限されるものではなく、主剤成分(I)に含まれる粘性調整剤の説明で例示した中から適宜選択して使用することができるが、ポリアクリル酸系粘性調整剤を使用することが粒子成分(III)の貯蔵安定性の観点から適している。
粒子成分(III)中における粘性調整剤の有効成分含有量としては、粒子成分(III)質量を基準として0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲内が適当である。
また、粒子成分(III)は、ポリエーテル変性シリコーン化合物を含むことが好ましい。水性着色ベース塗料組成物を複数回塗り重ねたときの塗り重ねなじみ性に効果があるからである。
かかるポリエーテル変性シリコーン化合物としては、上記希釈剤成分(II)の説明で列記した化合物の中から適宜選んで使用することができる。
上記ポリエーテル変性シリコーン化合物は、シリカ粒子の質量を基準として0.5〜40質量%、好ましくは2.0〜20質量%の範囲内で使用することが着色ベース塗膜の初期付着性の点から適している。
また、上記粒子成分(III)は有機溶剤を含むことが適している。粒子成分(III)の貯蔵安定性の観点からである。また、粒子成分(III)を保管する容器の注ぎ口にはシリカ粒子が原因のシリカ膜が付くことがあり、それが原因となって水性着色ベース塗料による塗膜の造膜性に問題が生じることがあるが、粒子成分(III)が有機溶剤を含むことによってその現象が改善されるからである。
有機溶剤としては従来公知の有機溶剤を使用することができるが特に本発明では、沸点が150℃以下であり且つ水溶解度が10以上の水酸基含有有機溶剤が好ましい。
かかる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、メトキシプロパノール等のアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のエチレングリコールエーテル系有機溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプリピルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
粒子成分(III)中の有機溶剤の含有量としては、シリカ粒子の質量を基準として1〜300質量%、好ましくは10〜200質量%の範囲内にあることが好ましい。
粒子成分(III)には、シリカ粒子以外の粒子、水、紫外線吸収剤、光安定剤、分散助剤、防腐剤、シランカップリング剤、消泡剤、硬化触媒、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。
上記粒子成分(III)の粘度としては、特に制限されるものではないが、粒子成分(III)の貯蔵安定性並びに水性着色ベース塗料組成物の塗装作業性の点から、10〜2000mPa・sec、好ましくは10〜1000mPa・secの範囲内にあることができる。
≪水性着色ベース塗料組成物≫
本発明では主剤成分(I)と希釈剤成分(II)及び必要に応じて使用される粒子成分(III)はそれぞれ別々に保管されるものであり、塗装業者が塗装直前に各成分を攪拌混合し、必要に応じて水などで粘度調整することにより本発明の水性着色ベース塗料組成物を調製することができる。尚、本明細書において、塗装直前とは、塗装業者や塗装現場により一概に定義できるものではないが、例えば、塗装を行う3時間前までの間を挙げることができる。
上記水性着色ベース塗料組成物における主剤成分(I)及び希釈剤成分(II)の質量比としては塗装環境等により適宜調整できるが、一般に、これら主剤成分(I)100質量部を基準として希釈剤成分(II)が30〜400質量部、好ましくは40〜350質量部範囲内、或いは
主剤成分(I)、希釈剤成分(II)及び粒子成分(III)の質量比としては一般に、主剤成分(I)100質量部を基準として希釈剤成分(II)が30〜400質量部、好ましくは40〜350質量部、粒子成分(III)が0.01〜105質量部、0.1〜50質量部、好ましくは1〜35質量部の範囲内にあることが、着色ベース塗膜の外観と塗膜物性の観点から適している。
また、本発明では必要に応じてポリイソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤、メラミン硬化剤、オキサゾリン硬化剤、カルボジイミド硬化剤などの硬化剤を上記主剤成分(I)、希釈剤成分(II)及び粒子成分(III)のいずれかに含ませること、あるいは別個の成分として使用することもできる。
上記の通り得られる本発明の水性着色ベース塗料組成物の固形分濃度は、一般に5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲内にあることが塗装作業性と隠蔽性、及び仕上がり外観の観点から適している。
また、上記水性着色ベース塗料組成物の塗装時の粘度としては、特に制限されるものではないが、50〜800mPa・sec、好ましくは100〜600mPa・secの範囲内にあることが塗装作業性が良好であり、さらには着色ベース塗膜の仕上がり外観の点から適している。
≪塗装≫
本発明の水性着色ベース塗料組成物は、スプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装等公知の塗装手段で塗装することができるが、塗膜の仕上がり外観の点からスプレー塗装を行うことが好ましい。
塗装回数としては一回でもよいが、仕上がり外観と隠ぺい性を両立させる点から同一塗料を複数回、例えば2〜6回程塗り重ねて塗装をすることが望ましい。
塗り重ね塗装の場合、必要に応じて各塗装の間にフラッシュオフ(塗装後塗膜を常温で静置)、常温でのエアーブローや60℃以下、10分以下の予備加熱などの工程を設けてもよい。
水性着色ベース塗料組成物の塗装が終了した後の乾燥は、特に制限されるものではないし、後述のトップクリヤーを塗り重ねる場合は未乾燥の状態であってもよいが、例えば20〜100℃、好ましくは40〜80℃の温度条件で、5〜60分間乾燥させることが好ましい。膜厚は、被塗面の状態に応じて適宜調整できるが、一般には乾燥膜厚として、5〜100μm、特に10〜60μmの範囲内が適している。
適用される被塗面としては従来公知の基材面や該基材に設けられた塗膜面を例示することができ、該基材としては、特に制限されるものではないが、例えば、鉄、アルミニウム等の金属;プラスチック等の有機基材;コンクリート、木材等の無機質基材等が挙げられ、また該基材に設けられる塗膜としては特に制限はないが、例えば自動車車体などに設けられている着色ベース塗料組成物によるベース塗膜及びトップクリヤー塗膜から形成されてなる複層塗膜を挙げることができ、該ベース塗膜の下層にプライマー塗膜、電着塗膜、中塗り塗膜等の塗膜が適宜設けられたものであってもよい。
また、本発明の水性着色ベース塗料組成物は上記被塗面にすでに形成されている塗膜に対する補修用塗料として用いてもよい。この場合、予めパテやプライマーサーフェーサー等で被塗面を予め処理をすることができる。また、上記水性着色ベース塗料組成物を塗装した後、該塗膜上にトップクリヤー塗料組成物を塗装してもよい。
かかるトップクリヤー塗料組成物としては、従来公知のものが特に制限なく使用でき、例えば水酸基などの架橋性官能基を含有するアクリル樹脂やフッ素樹脂を主剤成分とし、ブロックポリイソシアネート、ポリイソシアネートやメラミン樹脂などを硬化剤として含有する硬化型塗料、あるいはセルロースアセテートブチレート変性のアクリル樹脂を主成分とするラッカー塗料などが好適に使用できる。
これらの中でも、水酸基含有樹脂を含む成分を主剤成分とし、ポリイソシアネート化合物を含む成分を硬化剤成分とする2液型塗料を使用することが、所望の塗膜外観が得られ強制乾燥の条件でも耐水性等の物性に優れた塗膜が得られるので好ましい。
上記トップクリヤー塗料組成物は、さらに必要に応じて顔料類、繊維素誘導体類、添加樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、硬化触媒などの塗料用添加剤を含有することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<ウレタン樹脂エマルションの製造:>
製造例1
反応容器に、数平均分子量2000のポリブチレンアジペート115.5部、数平均分子量2000のポリカプロラクトンジオール115.5部、ジメチロールプロピオン酸23.2部、1,4−ブタンジオール14.5部およびイソホロンジイソシアネート120.1部を重合容器に仕込み、撹拌下に窒素気流中、85℃で7時間反応せしめてNCO含有量4.0%のプレポリマーを得た。次いで該プレポリマーを50℃まで冷却し、アセトン165部を加え均一に溶解した後、撹拌下にトリエチルアミン15.7部を加え、50℃以下に保ちながら脱イオン水600部を加え、得られた水分散体を50℃で2時間保持し水伸長反応を完結させた後、減圧下70℃以下でアセトンを留去し、トリエチルアミンと脱イオン水でpHを8.0に調整し、固形分酸価が17mgKOH/g、固形分30%、平均粒子径が0.15μmのウレタン樹脂エマルション(A−1)を得た。
<アクリル樹脂エマルションの製造:>
製造例2
反応容器に脱イオン水100部、「Newcol707SF」(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、固形分30%)2.5部およびモノマー混合物(スチレン9部、n−ブチルアクリレート39部、2−エチルヘキシルアクリレート40部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、メタクリル酸1部、アリルメタクリレート1部)のうちの1部を加え、窒素気流で攪拌混合し、60℃で3%過硫酸アンモニウム水溶液3部を加えた。次いで、80℃に昇温して前記モノマー混合物の残りの99部、「Newcol707SF」2.5部、3%過硫酸アンモニウム4部および脱イオン水100部からなるプレエマルションを4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に加え、添加終了後1時間熟成を行った。その後、脱イオン水33部を加え、ジメチルエタノールアミンでpH7.5に調整し、ガラス転移温度が−44℃、平均粒子径が0.1μm、固形分30%のアクリル樹脂エマルション(B−1)を得た。
<アルミニウム顔料ペーストの製造:>
製造例3
攪拌混合容器にアルミニウム顔料ペースト「Hydrolan2156」(エカルト社製、シリカ被覆アルミニウムフレーク顔料ペースト、顔料含有量60%)45.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル35部、リン酸基含有樹脂溶液(注1)17.5部を添加し、攪拌混合してアルミニウム顔料ペースト(C−1)を得た。
(注1)リン酸基含有樹脂溶液:攪拌器、温度調節器および冷熱器を備えた4リットルのフラスコにメトキシプロパノール27.5部、イソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)20部、ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注2)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間で上記の混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間で滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。
(注2)リン酸基含有重合性モノマー:反応容器にモノブチルリン酸57.5部、イソブタノール41.1部を入れ、空気通気下でグリシジルメタクリレート42.5部を2時間で滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル5.9部を加えて、固形分50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。
<ベース塗料の製造:>
製造例5
製造例3で得たアルミニウム顔料ペースト(C−1)83.5部を攪拌混合容器中に加え、1時間攪拌した後、製造例1で得たウレタン樹脂エマルション(A−1)150部とさらに製造例2で得たアクリル樹脂エマルション(B−1)150部を混合し、「プライマルASE60」(注3)17.8部を添加し、さらに1時間攪拌を続け、ジメチルエタノールアミンでpHを調整した後脱イオン水を添加し、固形分20%のベース塗料(I−1)を得た。このベース塗料(I−1)の粘度、pHを明細書記載の方法に従って測定したところ、それぞれ1000mPa・sec、8.0であった。
(注3)「プライマルASE60」:商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤、酸価270mgKOH/g、有効成分28%。
製造例6
製造例4で得たアルミニウム顔料ペースト(C−2)83.5部を攪拌混合容器中に加え、1時間攪拌した後、製造例1で得たウレタン樹脂エマルション(A−1)150部とさらに製造例2で得たアクリル樹脂エマルション(B−1)150部を混合し、「プライマルASE60」(注3)17.8部を添加し、さらに1時間攪拌を続け、ジメチルエタノールアミンでpHを調整した後脱イオン水を添加し、固形分30%のベース塗料(I−2)を得た。このベース塗料(I−2)の粘度、pHを明細書記載の方法に従って測定したところ、それぞれ1500mPa・sec、8.0であった。
<希釈剤の製造:>
製造例7
撹拌混合容器に、水975部、「LaponiteRD」(注4)5部、「BYK−348」(注5)20部を撹拌混合して希釈剤(II−1)を得た。粘度は15mPa・secであった。
(注4)「LaponiteRD」:商品名、(RochwoodAdditivesLimited社製、無機系増粘剤、合成ヘクトライト、
(注5)「BYK−348」:商品名、BYK−CHEMIE社製、ポリエーテル変性シリコーン化合物、有効成分100%
製造例8〜15
配合組成を下記表に示す通りとする以外は製造例7と同様にして希釈剤(II−2)〜(II−9)を得た。
Figure 0006497700
(注6)「ユニオール D−2000」:商品名、日油株式会社製、ポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000、有効成分100%
<粒子含有塗料の製造:>
製造例16
撹拌混合容器に、水71部、「ニップシールE−1009」(注7)10部、プロピレングリコールモノ‐n‐プロピルエーテル5部、ウレタン樹脂エマルション(A−1)5部、アクリル樹脂エマルション(B−1)5部、「BYK−348」1部を撹拌混合し、「プライマルASE60」3部を添加し、さらに1時間撹拌を続け、ジメチルエタノールアミンでpHを調整した後脱イオン水を添加し、粒子含有塗料(III−1)を得た。
この粒子含有塗料(III−1)の粘度、pHを明細書記載の方法に従って測定したところ、それぞれ1500mPa・sec、8.0であった。
(注7)「ニップシールE−1009」:商品名、東ソー・シリカ製、平均粒子径1.5μm、二酸化ケイ素。
<希釈塗料の製造:>
実施例1〜6および比較例1〜3
ベース塗料(I−1)、希釈剤(II−1)〜(II−9)、粒子含有塗料(III−1)を下記表に示す配合組成で手攪拌によって十分に混合し、希釈塗料(D−1)〜(D−9)を得た。また、表には各希釈塗料の粘度を併記した。粘度の測定は、明細書記載の方法に準じて行い、ベース塗料と希釈剤と粒子含有塗料を混合した後、5分経過後に行った。
Figure 0006497700
<評価試験:>
上記の通り作成した希釈塗料(D−1)〜(D−9)に関して、以下の各項目について評価試験を行った。結果を表2に併せて示す。
(1)塗り重ね馴染み性:各希釈塗料を、スプレー塗装、次いで光沢がなくなるまでエアーブローする作業を4回行い、塗り重ねたときの塗料のなじみ性を目視評価した。
◎;光沢があり、ウェット塗面が平滑である。
○;光沢はあるが、ウェット塗面にわずかに凹凸がある。
△;わずかに光沢があるが、ウェット塗面に凹凸がある。
×;光沢がなく、ウェット塗面に大きな凹凸がある。
(2)塗膜概観:各評価塗板の塗膜面を目視で評価した。
◎;塗面が平滑である。
○;塗面にわずかに凹凸がある。
△;塗面に凹凸がある。
(3)耐水性:各評価塗板を40℃の温水に10日間浸漬後、塗膜表面を観察した。
◎;非常に良好
○;良好
△;塗膜が膨潤している。
(4)初期付着性:各評価塗板に素地に達するようにカッターで切り込みを入れ、大きさ1mm×1mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存数を調べた。
◎;100個残存
○;99〜90個残存
△;89〜41個残存
(5)ムラ性:各評価塗板の補修部位(厚膜部分)のメタリックムラの目視評価を行った

◎;メタリックムラの発生が全く認められない。
○;メタリックムラの発生が若干認められたが、許容範囲である。
△;メタリックムラの発生が認められた。

Claims (9)

  1. 塗装直前に主剤成分(I)及び希釈剤成分(II)を混合して水性着色ベース塗料組成物を調製するための、多成分系の水性着色ベース塗料組成物であって、
    主剤成分(I)が、水性樹脂成分、着色顔料及び水を含み、希釈剤成分(II)が、ポリエーテル変性シリコーン化合物、粘性調整剤及び水を含むことを特徴とする多成分系の水性着色ベース塗料組成物。
  2. 希釈剤成分(II)が、ポリエーテル変性シリコーン化合物0.01〜10.0質量%
    粘性調整剤0.1〜3.0質量%、
    水60〜99.9質量%を含む請求項1に記載の組成物。
  3. 水性樹脂成分がその成分の一部としてアクリル樹脂エマルションを含み、アクリル樹脂エマルションが、1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物を共重合成分として含む請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 着色顔料が、シリカで被覆されたアルミニウムフレークである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 塗装直前に、主剤成分(I)、希釈剤成分(II)に加えて粒子成分(III)をさらに混合して水性着色ベース塗料組成物を調製するための、多成分系の水性着色ベース塗料組成物であって、粒子成分(III)がシリカ粒子及び水を含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 主剤成分(I)及び希釈剤成分(II)の質量比が、主剤成分(I)100質量部を基準として希釈剤成分(II)が30〜400質量部の範囲内にある請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 主剤成分(I)、希釈剤成分(II)及び粒子成分(III)の質量比が、主剤成分(I)100質量部を基準として、希釈剤成分(II)が30〜400質量部、粒子成分(III)が0.1〜105質量部の範囲内にある請求項5に記載の組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物を用いたことを特徴とする補修塗装方法。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物を塗装した後、クリヤー塗装をする補修塗装方法。
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