以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図7を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す平面図である。図4は、図3におけるIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。図5は、図3におけるV−V線に沿った断面構成を説明するための図である。図6は、図3におけるVI−VI線に沿った断面構成を説明するための図である。図7は、図3におけるVII−VII線に沿った断面構成を説明するための図である。
積層コンデンサC1は、図1〜図7に示されるように、直方体形状を呈している素体2と、素体2の外表面に配置される第一端子電極5及び第二端子電極7と、を備えている。第一端子電極5と第二端子電極7とは、離間している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
素体2は、その外表面として、互いに対向している略長方形状の第一及び第二主面2a,2bと、互いに対向している一対の第一側面2c,2dと、互いに対向している一対の第二側面2e,2fと、を有している。第一主面2aと第二主面2bとが対向している方向が第一方向D1であり、一対の第一側面2c,2dが対向している方向が第二方向D2であり、一対の第二側面2e,2fが対向している方向が第三方向D3である。本実施形態では、第一方向D1は、素体2の高さ方向である。第二方向D2は、素体2の幅方向であり、第一方向D1と直交している。第三方向D3は、素体2の長手方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。
素体2の第一方向D1の長さは、素体2の第三方向D3の長さ及び素体2の第二方向D2の長さよりも小さい。素体2の第三方向D3の長さは、素体2の第二方向D2の長さよりも大きい。素体2の第三方向D3の長さは、たとえば、0.4〜1.6mmに設定される。素体2の第二方向D2の長さは、たとえば、0.2〜0.8mmに設定される。素体2の第一方向D1の長さは、たとえば、0.1〜0.35mmに設定される。積層コンデンサC1は、超低背型の積層コンデンサである。素体2の第二方向D2の長さは、素体2の第三方向D3の長さと同等であってもよく、また、素体2の第二方向D2の長さが、素体2の第三方向D3の長さよりも大きくてもよい。
同等とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
一対の第一側面2c,2dは、第一主面2aと第二主面2bとの間を連結するように第一方向D1に延びている。一対の第一側面2c,2dは、第三方向D3(第一及び第二主面2a,2bの長辺方向)にも延びている。一対の第二側面2e,2fは、第一主面2aと第二主面2bとの間を連結するように第一方向D1に延びている。一対の第二側面2e,2fは、第二方向D2(第一及び第二主面2a,2bの短辺方向)にも延びている。
素体2は、第一主面2aと第二主面2bとが対向している方向(第一方向D1)に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体2では、複数の誘電体層の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)が第一方向D1と一致する。各誘電体層は、例えば誘電体材料(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシート(以下、単に「グリーンシート」と称する。)の焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
積層コンデンサC1は、図4〜図7に示されるように、複数の第一内部電極11と、複数の第二内部電極13と、を備えている。第一及び第二内部電極11,13は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、Ni又はCuなど)からなる。第一及び第二内部電極11,13は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
第一内部電極11と第二内部電極13とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、第一内部電極11と第二内部電極13とは、素体2内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。第一内部電極11と第二内部電極13とは、互いに極性が異なる。
各第一内部電極11は、図8の(a)に示されるように、主電極部11aと、接続部11bと、を含んでいる。接続部11bは、主電極部11aの一辺(一方の短辺)から延び、第一側面2cに露出している。第一内部電極11は、第二側面2eに露出し、第一及び第二主面2a,2b、一対の第一側面2c,2d、及び第二側面2fには露出していない。主電極部11aと、接続部11bとは、一体的に形成されている。
主電極部11aは、第三方向D3を長辺方向とし、第二方向D2を短辺方向とする矩形形状を呈している。すなわち、各第一内部電極11の主電極部11aは、第三方向D3の長さが第二方向D2の長さよりも大きい。接続部11bは、主電極部11aの第二側面2e側の端部から第二側面2eまで延びている。接続部11bの第三方向D3の長さは、主電極部11aの第三方向D3の長さよりも小さい。接続部11bの第二方向D2の長さは、主電極部11aの第二方向D2の長さと同等である。接続部11bは、第二側面2eに露出した端部で、第一端子電極5に接続されている。接続部11bの第二方向D2の長さは、主電極部11aの第二方向D2の長さよりも小さくてもよい。
各第二内部電極13は、図8の(b)に示されるように、主電極部13aと、接続部13bと、を含んでいる。主電極部13aは、第一方向D1で素体2の一部(誘電体層)を介して主電極部11aと対向している。接続部13bは、主電極部13aの一辺(一方の短辺)から延び、第二側面2fに露出している。第二内部電極13は、第二側面2fに露出し、第一及び第二主面2a,2b、一対の第一側面2c,2d、及び第二側面2eには露出していない。主電極部13aと、接続部13bとは、一体的に形成されている。
主電極部13aは、第三方向D3を長辺方向とし、第二方向D2を短辺方向とする矩形形状を呈している。すなわち、各第二内部電極13の主電極部13aは、第三方向D3の長さが第二方向D2の長さよりも大きい。接続部13bは、主電極部13aの第二側面2f側の端部から第二側面2fまで延びている。接続部13bの第三方向D3の長さは、主電極部13aの第三方向D3の長さよりも小さい。接続部13bの第二方向D2の長さは、主電極部13aの第二方向D2の長さと同等である。接続部13bは、第二側面2fに露出した端部で、第二端子電極7に接続されている。接続部13bの第二方向D2の長さは、主電極部13aの第二方向D2の長さよりも小さくてもよい。
第一端子電極5は、第三方向D3に見て、素体2における第二側面2e側の端部に位置している。第一端子電極5は、第一主面2aに配置されている電極部分5a、第二主面2bに配置されている電極部分5b、第二側面2eに配置されている電極部分5c、及び、一対の第一側面2c,2dに配置されている電極部分5dを有している。すなわち、第一端子電極5は、五つの面2a,2b,2c,2d,2eに形成されている。互いに隣り合う電極部分5a,5b,5c,5d同士は、素体2の稜線部において接続されており、電気的に接続されている。
電極部分5aと電極部分5cとは、第一主面2aと第二側面2eとの間の稜線部において、接続されている。電極部分5aと電極部分5dとは、第一主面2aと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分5bと電極部分5cとは、第二主面2bと第二側面2eとの間の稜線部において、接続されている。電極部分5bと電極部分5dとは、第二主面2bと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分5cと電極部分5dとは、第二側面2eと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。
電極部分5cは、各接続部11bの第二側面2eに露出した部分をすべて覆うように配置されており、接続部11bは、第一端子電極5に直接的に接続される。すなわち、接続部11bは、主電極部11aと電極部分5cとを接続している。これにより、各第一内部電極11は、第一端子電極5に電気的に接続される。
第二端子電極7は、第三方向D3に見て、素体2における第二側面2f側の端部に位置している。第二端子電極7は、第一主面2aに配置されている電極部分7a、第二主面2bに配置されている電極部分7b、第二側面2fに配置されている電極部分7c、及び、一対の第一側面2c,2dに配置されている電極部分7dを有している。すなわち、第二端子電極7は、五つの面2a,2b,2c,2d,2fに形成されている。互いに隣り合う電極部分7a,7b,7c,7d同士は、素体2の稜線部において接続されており、電気的に接続されている。
電極部分7aと電極部分7cとは、第一主面2aと第二側面2fとの間の稜線部において、接続されている。電極部分7aと電極部分7dとは、第一主面2aと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分7bと電極部分7cとは、第二主面2bと第二側面2fとの間の稜線部において、接続されている。電極部分7bと電極部分7dとは、第二主面2bと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分7cと電極部分7dとは、第二側面2fと各第一側面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。
電極部分7cは、各接続部13bの第二側面2fに露出した部分をすべて覆うように配置されており、接続部13bは、第二端子電極7に直接的に接続される。すなわち、接続部13bは、主電極部13aと電極部分7cとを接続している。これにより、各第二内部電極13は、第二端子電極7に電気的に接続される。
第一端子電極5と第二端子電極7とは、第三方向D3で離間している。すなわち、素体2は、第一端子電極5と第二端子電極7との間において露出している。第一主面2aに配置されている電極部分5aと電極部分7aとは、第一主面2a上において、第三方向D3で離間している。第二主面2bに配置されている電極部分5bと電極部分7bとは、第二主面2b上において、第三方向D3で離間している。第一側面2cに配置されている電極部分5dと電極部分7dとは、第一側面2c上において、第三方向D3で離間している。第一側面2dに配置されている電極部分5dと電極部分7dとは、第一側面2d上において、第三方向D3で離間している。
第一及び第二端子電極5,7は、第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25をそれぞれ有している。すなわち、電極部分5a,5b,5c,5dと電極部分7a,7b,7c,7dとが、第一電極層21、第二電極層23、及び第三電極層25をそれぞれ含んでいる。第三電極層25は、第一及び第二端子電極5,7の最外層を構成している。
第一電極層21は、導電性ペーストを素体2の表面に付与して焼き付けることにより形成されている。すなわち、第一電極層21は、焼付導体層である。本実施形態では、第一電極層21は、Cuからなる焼付導体層である。第一電極層21は、Niからなる焼付導体層であってもよい。このように、第一電極層21は、Cu又はNiを含んでいる。導電性ペーストには、Cu又はNiからなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。第一電極層21の厚みは、たとえば、最大で20μmであり、最小で5μmである。
第二電極層23は、第一電極層21上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第二電極層23は、第一電極層21上にNiめっきにより形成されたNiめっき層である。第二電極層23は、Snめっき層であってもよい。このように、第二電極層23は、Ni又はSnを含んでいる。第二電極層23の厚みは、たとえば、1〜5μmである。
第三電極層25は、第二電極層23上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層25は、第二電極層23上にCuめっきにより形成されたCuめっき層である。第二電極層23は、Auめっき層であってもよい。このように、第三電極層25は、Cu又はAuを含んでいる。第三電極層25の厚みは、たとえば、1〜15μmである。
次に、図9及び図10を参照して、積層コンデンサC1(素体2)における各種寸法について、より詳細に説明する。図9及び図10は、本実施形態に係る積層コンデンサの各種寸法を説明するための模式図である。
第一及び第二内部電極11,13は、図5〜図8に示されるように、第二方向D2に見て、一対の端部領域IE1と、一対の端部領域IE1の間に位置する中央部領域IE2とに分けられる。素体2の第一端子電極5が配置されている領域は、図5に示されるように、中央部領域IE2が位置する第一領域3Aと、端部領域IE1が位置する一対の第二領域3Bと、一対の外側領域3Cと、を有している。各外側領域3Cは、第一及び第二内部電極11,13が配置されていない領域であって、第二方向D2で各第二領域3Bの外側に位置している。素体2の第二端子電極7が配置されている領域も、図6に示されるように、第一領域3Aと、一対の第二領域3Bと、一対の外側領域3Cと、を有している。
素体2の第一及び第二端子電極5,7から露出している領域は、図7に示されるように、中央部領域IE2が位置する第三領域4Aと、端部領域IE1が位置する一対の第四領域4Bと、一対の外側領域4Cと、を有している。各外側領域4Cは、第一及び第二内部電極11,13が配置されていない領域であって、第二方向D2で各第四領域4Bの外側に位置している。
素体2の第二主面2bは、第一領域3Aと、一対の第二領域3Bと、第三領域4Aと、一対の第四領域4Bとにわたって、第一方向D1と略直交する平面とされている。素体2は、上述したように、複数のグリーンシートの積層体を焼成することにより得られる。積層体は、焼成する前に、一般に、静水圧プレス工法によりプレスされる。これにより、グリーンシート同士が密着する。
静水圧プレス工法では、積層体は、ステンレス鋼などからなる基板上に配置され、積層体と基板とが、真空フイルムによって真空密封される。真空密封された積層体は、圧力媒質(たとえば、水など)が貯えられた圧力容器内に入れられ、圧力媒質により加圧される。積層体は、基板に配置されているので、積層体における基板と対向する面は、平面とされる。このため、積層体から得られる素体2は、平面(第二主面2b)を有する。ここで、平面とは、平面を目標として物理的に形成した面を意味しており、幾何学的に完全な平面である必要はない。したがって、第二主面2bは、たとえば、微小な凹凸を有していてもよい。
図9に示されるように、第一領域3Aの第一方向D1の素体厚みT3Aは、各第二領域3Bの第一方向D1の素体厚みT3Bよりも小さい。すなわち、第一領域3Aにおける、第一主面2aと第二主面2bとの第一方向D1での間隔は、第二領域3Bにおける、第一主面2aと第二主面2bとの第一方向D1での間隔よりも小さい。図10に示されるように、第三領域4Aの第一方向D1の素体厚みT4Aは、各第四領域4Bの第一方向D1の素体厚みT4Bよりも小さい。すなわち、第三領域4Aにおける、第一主面2aと第二主面2bとの第一方向D1での間隔は、第四領域4Bにおける、第一主面2aと第二主面2bとの第一方向D1での間隔よりも小さい。
第一及び第二内部電極11,13は、グリーンシートに導電性ペーストを付与することにより形成されたペースト層が、グリーンシートと共に焼成されることにより得られる。グリーンシートにペースト層を形成する際に、グリーンシートとペースト層とで段差が形成される。グリーンシートとペースト層との段差は、素体2の内部構造欠陥の要因となるおそれがある。このため、グリーンシート上のペースト層が形成されていない領域に、グリーンシートとペースト層とで形成される段差を吸収するための段差吸収層が形成される。段差吸収層は、たとえば、誘電体材料を含むスラリーを付与することにより形成される。
段差吸収層は、一般に、製造時のズレを考慮して、ペースト層の外縁上に重なるように形成される。すなわち、段差吸収層は、グリーンシート上のペースト層が形成されていない領域だけでなく、ペースト層上にも配置される。このため、グリーンシートを積層し、静水圧プレスして得られた積層体では、ペースト層の上記外縁に対応する位置での厚みが、他の位置での厚みよりも厚くなる。焼成後に得られる素体2では、素体2の第一及び第二内部電極11,13の外縁に対応する位置での厚みは、素体2の第一及び第二内部電極11,13の外縁以外に対応する位置での厚みよりも大きい。
段差吸収層がペースト層の外縁上に重なるように形成されるため、図4に示されるように、第一方向D1で隣り合う端部領域IE1同士の間隔G1は、第一方向D1で隣り合う中央部領域IE2同士の間隔G2よりも大きい。本実施形態では、素体2の第一及び第二内部電極11,13の外縁に対応する位置は、第二領域3B及び第四領域4Bに対応し、素体2の第一及び第二内部電極11,13の外縁以外に対応する位置は、第一領域3A及び第三領域4Aに対応する。
積層体における基板と対向する面は、基板により平面とされるため、積層体における基板と対向する面の反対面には、上述した厚みの関係に起因して、ペースト層の外縁よりも内側の領域に対応する領域に窪みが形成される。したがって、素体2の第一主面2aにも、積層体に形成された窪みが反映された窪みが形成される。
図9に示されるように、素体2の第一主面2a上に配置される電極部分5a,7aの表面は、素体2の第一主面2aの窪みに対応して、窪みが形成されている。したがって、第一領域3Aの第二主面2bから、電極部分5a,7aのうち第一領域3Aに位置する部分の表面までの第一方向D1の第一距離L1は、第二領域3Bの第二主面2bから、電極部分5a,7aのうち第二領域3Bに位置する部分の表面までの第一方向D1の第二距離L2よりも小さい。本実施形態では、第二主面2bから電極部分5aの表面までの第一距離L1と第二主面2bから電極部分7aの表面までの第一距離L1とは同等であり、第二主面2bから電極部分5aの表面までの第二距離L2と第二主面2bから電極部分7aの表面までの第二距離L2とは同等である。
各電極部分5a,5bの第一電極層21の厚みについては、第一方向D1から見て中央部分の厚みが最大であり、稜線部に位置する部分の厚みが最小である。第二電極層23の厚みは、電極部分5a,5b,5c,5dの全体にわたって同等である。第三電極層25の厚みも、電極部分5a,5b,5c,5dの全体にわたって同等である。各電極部分7a,7bの第一電極層21の厚みについても、第一方向D1から見て中央部分の厚みが最大であり、稜線部に位置する部分の厚みが最小である。第二電極層23の厚みは、電極部分7a,7b,7c,7dの全体にわたって同等である。第三電極層25の厚みも、電極部分7a,7b,7c,7dの全体にわたって同等である。
第一及び第二端子電極5,7の表面の形状は、第一電極層21の形状の影響を受ける。したがって、素体厚みT3Aと素体厚みT3Bとの差は、第一距離L1と第二距離L2との差よりも大きい。電極部分5b,7bのうち第一領域3Aに位置する部分の電極厚みTE1は、電極部分5b,7bのうち各第二領域3Bに位置する部分の電極厚みTE2よりも大きい。本実施形態では、電極部分5bの電極厚みTE1と電極部分7bの電極厚みTE1とは同等であり、電極部分5bの電極厚みTE2と電極部分7bの電極厚みTE2とは同等である。
各外側領域3Cの第一方向D1の素体厚みT3Cと、電極部分5a,7aのうち各外側領域3Cに位置する部分の第一方向D1の電極厚みTE3と、電極部分5b,7bのうち各外側領域3Cに位置する部分の第一方向D1の電極厚みTE4との合計値は、第一距離L1と電極厚みTE1との合計値よりも小さい。本実施形態では、電極部分5aの電極厚みTE3と電極部分7aの電極厚みTE3とは同等であり、電極部分5bの電極厚みTE4と電極部分7bの電極厚みTE4とは同等である。
以上のように、本実施形態では、素体2の第一方向D1の長さが、素体2の第二方向D2の長さ及び素体2の第三方向D3の長さよりも小さい。これにより、積層コンデンサC1の低背化が図られ、基板への内蔵に適した積層コンデンサを実現することができる。第一端子電極5は、第一主面2aに配置された電極部分5aを有し、第二主面2bに配置された電極部分5bを有している。第二端子電極7は、第一主面2aに配置された電極部分7aを有し、第二主面2bに配置された電極部分7bを有している。したがって、積層コンデンサC1は、素体2の第一主面2a側、素体2の第二主面2b側、又は、素体2の両主面2a,2b側において、基板に形成された配線と電気的に接続可能となり、基板への内蔵が容易である。
積層コンデンサC1は、基板の収容部に配置された後に、収容部に樹脂が充填されることにより、基板に内蔵される。積層コンデンサC1が、素体2の第二主面2bが収容部の底部と対向するように、収容部に配置される場合、電極部分5b,7bの電極厚みTE1が、電極部分5b,7bの電極厚みTE2よりも大きいので、樹脂が積層コンデンサC1の周囲に充填される際に、第一及び第二端子電極5,7の周囲に樹脂が回り込み易い。これにより、積層コンデンサC1の基板への内蔵を適切に行うことができる。
素体厚みT3Aは素体厚みT3Bよりも小さく、第一距離L1は第二距離L2よりも小さい。すなわち、積層コンデンサC1の第一主面2a側の表面には、窪みが形成されている。したがって、積層コンデンサC1が、素体2の第一主面2aが収容部の底部と対向するように、収容部に配置される場合、収容部内での積層コンデンサC1の姿勢が安定する。この結果、積層コンデンサC1は、安定した姿勢で基板に内蔵されるので、積層コンデンサC1の基板への内蔵を適切に行うことができる。
積層コンデンサC1が基板に内蔵された後に、レーザ加工により、第一及び第二端子電極5,7に到達するビアホールが基板に形成される。レーザ加工によるビアホールは、基板の表面側から第一及び第二端子電極5,7側に向けて縮径されたテーパ状に形成される。したがって、基板の表面からの距離が遠いほど、ビアホールの内径は小さくなる。すなわち、基板の表面からの距離が遠いほど、ビアホール内に配置される導体の面積が小さくなる。導体の面積が小さいと、第一及び第二端子電極5,7と導体との接続面積も小さい。
積層コンデンサC1が基板に内蔵された後に、レーザ加工により第一主面2a側からビアホールが形成され、当該ビアホール内に導体が配置される場合、素体厚みT3Aと素体厚みT3Bとの差が第一距離L1と第二距離L2との差よりも大きいので、素体厚みT3Aと素体厚みT3Bとの差が第一距離L1と第二距離L2との差以下である構成に比して、基板の表面から第一及び第二端子電極5,7の表面までの距離が小さい。したがって、第一及び第二端子電極5,7と導体との接続面積が大きく、第一及び第二端子電極5,7と導体との接続性が確保される。
積層コンデンサC1が基板に内蔵された後に、レーザ加工により第二主面2b側からビアホールが形成され、当該ビアホール内に導体が配置される場合、電極部分5b,7bの電極厚みTE1が電極部分5b,7bの電極厚みTE2よりも大きいので、電極部分5b,7bの電極厚みTE1が電極部分5b,7bの電極厚みTE2以下である構成に比して、基板の表面から第一及び第二端子電極5,7の表面までの距離が小さい。したがって、第一及び第二端子電極5,7と導体との接続面積が大きく、第一及び第二端子電極5,7と導体との接続性が確保される。
第一及び第二内部電極11,13の端部領域IE1には、電界分布が集中し易い。端部領域IE1に電界分布が集中すると、電界強度が極めて高くなり、第一方向D1で隣り合う端部領域IE1の間で放電が発生し、絶縁状態が破壊されるおそれがある。
第一方向D1で隣り合う端部領域IE1同士の間隔G1が第一方向D1で隣り合う中央部領域IE2同士の間隔G2よりも大きい積層コンデンサC1では、間隔G1が間隔G2以下である積層コンデンサに比して、端部領域IE1に電界分布が集中する場合でも、電界強度が高くなり難く、第一方向D1で隣り合う端部領域IE1の間で放電が発生するのを抑制することができる。間隔G2が間隔G1よりも小さい積層コンデンサC1では、間隔G2が間隔G1と同等である積層コンデンサに比して、静電容量が高い。したがって、積層コンデンサC1の電気的特性を所望の値に確保しつつ、絶縁破壊の発生を抑制することができる。
素体2の第一及び第二端子電極5,7から露出している領域は、第三領域4Aと一対の第四領域4Bとを有している。第二主面2bは、第一領域3Aと一対の第二領域3Bと第三領域4Aと一対の第四領域4Bとにわたって、第一方向D1と直交する平面とされている。第三領域4Aの第一方向D1の素体厚みT4Aは、各第四領域4Bの第一方向D1の素体厚みT4Bよりも小さい。すなわち、素体2の第一主面2aには、窪みが形成されるので、積層コンデンサC1が、素体2の第一主面2aが収容部の底部と対向するように、収容部に配置される場合、収容部の底部と素体2の第一主面2aとの間に空間が形成される。当該空間は、樹脂が積層コンデンサC1の周囲に充填される際に、樹脂溜まりとして機能し、積層コンデンサC1の基板への内蔵を適切に行うことができる。
素体2の第一及び第二端子電極5,7が配置されている領域は、一対の外側領域3Cを更に有している。各外側領域3Cの素体厚みT3Cと、電極部分5a,7aの電極厚みTE3と、電極部分5b,7bの電極厚みTE4との合計値は、第一距離L1と電極厚みTE1との合計値よりも小さい。このため、積層コンデンサC1が、素体2の第二主面2bが収容部の底部と対向するように、収容部に配置される場合、樹脂が積層コンデンサC1の周囲に充填される際に、第一及び第二端子電極5,7の周囲に樹脂がより一層回り込み易い。
積層コンデンサC1は、図11及び図12に示されるように、基板31に埋め込まれて実装される。すなわち、積層コンデンサC1は、基板31に内蔵される。図11及び図12は、本実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を説明するための図である。
基板31は、複数の絶縁層33が積層されることにより構成されている。絶縁層33は、セラミック又は樹脂などの絶縁性材料からなり、接着などにより互いに一体化されている。
積層コンデンサC1は、基板31に形成された収容部31aに配置されており、収容部31aに充填された樹脂34により、基板31に固定されている。これにより、積層コンデンサC1が、基板31内に埋め込まれる。図11に示された実装構造では、積層コンデンサC1は、素体2の第二主面2bが収容部31aの底部と対向するように、収容部31aに配置されている。図12に示された実装構造では、積層コンデンサC1は、素体2の第一主面2aが収容部31aの底部と対向するように、収容部31aに配置されている。
積層コンデンサC1は、基板31の表面に配置された電極35,37と、ビア導体45,47を通して、電気的に接続されている。図11に示された実装構造では、第一端子電極5の電極部分5aが、ビア導体45を通して電極35と電気的に接続され、第二端子電極7の電極部分7aが、ビア導体47を通して電極37と電気的に接続されている。図12に示された実装構造では、第一端子電極5の電極部分5bが、ビア導体45を通して電極35と電気的に接続され、第二端子電極7の電極部分7bが、ビア導体47を通して電極37と電気的に接続されている。
ビア導体45,47は、基板31に形成されたビアホール内に導電性金属(たとえば、Cu又はAuなど)を無電解めっきなどにより成長させることにより、形成される。ビアホールは、レーザ加工により、基板31の表面側から積層コンデンサC1の第一及び第二端子電極5,7の電極部分5a,5b,7a,7bに達するように形成される。
積層コンデンサC1では、電極部分5a,5b,7a,7bは、めっき層としての第三電極層25と、を有している。したがって、ビアホールに形成されるビア導体45,47と電極部分5a,5b,7a,7bとを確実に接続することができる。特に、ビア導体45,47がめっきにより形成される場合、ビア導体45,47と電極部分5a,5b,7a,7bとが、より一層確実に接続される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
第一及び第二端子電極5,7は、電極部分5d,7dを有している必要はない。すなわち、第一端子電極5は、三つの面2a,2b,2cに形成されていてもよく、第二端子電極7は、三つの面2a,2b,2dに形成されていてもよい。