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JP6493331B2 - プレス成形品の製造方法 - Google Patents

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JP6493331B2 JP2016152840A JP2016152840A JP6493331B2 JP 6493331 B2 JP6493331 B2 JP 6493331B2 JP 2016152840 A JP2016152840 A JP 2016152840A JP 2016152840 A JP2016152840 A JP 2016152840A JP 6493331 B2 JP6493331 B2 JP 6493331B2
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Description

本発明は、金属板を、長手方向に所定の曲率半径で湾曲した天板部およびフランジ部と天板部とフランジ部をつなぐ縦壁面とを有するハット形断面部品にプレス成形して製造する技術に関する。
近年、自動車車体の衝突安全性向上と軽量化を両立させるために、車体構造部品へのハイテン材適用が進んでいる。ハイテン材は降伏強度、引張強度が高いため、プレス成形を行う上で、スプリングバックなどの成形不良が課題となる。
車体構造部品に用いられるプレス成形品の一つとして、例えばBピラーアウターのような長手方向に所定の曲率半径で湾曲した天板部およびフランジ部と、天板部とフランジ部をつなぐ縦壁面とを有するハット形断面部品が挙げられる。このような部品をプレス成形した場合、成形下死点の天板部に引張応力、フランジ部に圧縮応力が発生し、これらの応力差により部品長手方向でのスプリングバック(キャンバーバック)が発生する。このような部品に対して、ハイテン材を適用した場合、前述の下死点での応力差が大きくなり、スプリングバックが増加するといった課題が発生する。さらに、ハイテン材では材料強度のバラツキが大きくなるため、寸法精度のバラツキも大きくなる。つまり材料強度感受性が増加する。
上記の課題に対する技術として特許文献1〜3に記載される技術がある。
特許文献1に記載のプレス成形品の製造方法では、長手方向に湾曲した天板部と、天板部の長手方向に沿った両端から湾曲内側に向かって延在する二つの側壁面とを有する成形品に対して、前工程の天板部の曲率と、天板部と前記側面部とがなす角度を変更することにより、後工程で発生する応力を低減して、スプリングバックを抑制する。
特許文献2に記載のプレス成形品の製造方法では、複数回のプレス成形工程を経て最終プレス成形品形状に至る金属板プレス成形工程において、成形後の形状で所定の曲率を持つ稜線付近で残留引張応力が発生する部位を、前工程で最終形状よりも小さい曲率半径で成形し、残留圧縮応力が発生する部位を、前工程で最終形状よりも大きい曲率半径で成形することにより、残留応力を打ち消し、スプリングバックを低減する。
特許文献3に記載のプレス成形品の製造方法では、プレス成形時に発生する反りを見込んだ金型を生成する方法であり、この見込み形状を用いてプレス成形することによりスプリングバックを低減する。
特開2011−206789号公報 特開2007−190588号公報 特開2007−286841号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプレス成形品の製造方法では、側面視において天板部の曲率半径のみを変更しているため、フランジ部に発生する応力が改善されない。このため、スプリングバック量が大きい超ハイテン材に対しては、十分にスプリングバックが抑制されず、材料強度感受性を低減することはできない。
特許文献2に記載のプレス成形品の製造方法では、圧縮応力もしくは引張応力が発生する領域により、変更する曲率の大小傾向が変化するため、金型の設計が複雑になる。
特許文献3に記載のプレス成形品の製造方法は、プレス下死点での残留応力を0(ゼロ)にすることはできないため、材料強度感受性は低減されない。
本発明は、上記従来の問題点を解消することにあり、ハイテン材を使用した場合でも、スプリングバックを精度良く低減することができ、目標の部品形状に近い高精度なハット形断面湾曲形状の部品を得ることができる形状凍結性および材料強度感受性に優れたプレス成形品の製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様のプレス成形品の製造方法によれば、天板部とフランジ部とが側壁部を介して幅方向で連続していると共に、上記天板部及び上記フランジ部が長手方向に沿って上記天板部側に凸や凹に湾曲したハット形断面を有する製品形状に、金属板をプレス成形して製造する際に、上記天板部及びフランジ部について、それぞれ長手方向に沿った湾曲を上記製品形状での曲率半径よりも小さい第2の曲率半径のハット形断面を有する部品形状に第1の金型でプレス成形して中間部品を製造する第1の工程と、上記中間部品を上記製品形状に第2の金型でプレス成形する第2の工程とを有し、同一の金型を使用してプレス成形すると想定される複数枚の上記金属板における、材料強度が最も高いと想定される金属板を代表の金属板とし、その代表の金属板の材料条件で上記第1の工程及び上記第2の工程のプレス成形を実施し上記第2の金型から外した後のスプリングバック発生後の部品形状が上記製品形状に近づくようにシミュレーション解析を実施して上記第1の金型の構成を設定することを特徴とする。
シミュレーション解析としては、有限要素法その他の公知の解析手法を適用すればよい。
ここに、所定範囲のバラツキを許容して金属板は製造されるため、プレスする金属板の材料強度にバラツキが存在する。
これに対し、本発明の態様によれば、同一の金型でプレス成形すると想定される金属板の条件のうち、材料強度が最も高いと想定される金属板の条件で、第1の金型の設計を最適化する。
この結果、同一金型で加工される複数の金属板の材料強度が振れた場合でも、寸法精度の高い部品が得られ、歩留りの向上に繋がる。さらに、ハット形断面形状の部品を用いて車体構造部品とする際に、部品の組立てを容易に行うことが可能となる。
ここで、製品形状での曲率半径よりも小さい第2の曲率半径のハット形断面を有する部品形状に第1の金型でプレス成形して中間部品を製造することで、少なくとも部品長手方向のスプリングバックを抑制することが可能となる。部品断面方向のスプリングバックも抑制するように設計して第1の金型を構成しても良い。
製品形状の一例を示す模式図であり、(a)が斜視図で、(b)が側面図である。 ハット形断面部品におけるスプリングバックを説明する概略図である。 本発明に基づく実施形態に係るプレス成形品の製造方法の工程を示す図である。 金型の一例を示す模式図であり(a)は第1の金型を、(b)は第2の金型を示す図である。 実施例での長手方向に湾曲したハット形断面部品を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態が目的とするプレス成形による製品形状の例を図1に示す。この例では、本体部4が、天板部1とフランジ部2とが側壁部3を介して幅方向で連続してハット形断面の部品となっていると共に、天板部1及びフランジ部2が長手方向に沿って天板部1側に凸となるように湾曲した形状となっている。図1では、湾曲部分が左側に偏って形成されている。天板部1及びフランジ部2にそれぞれ形成される、長手方向に沿った湾曲の曲率は同じでも良いが、本実施形態では異なっているとする。
また、本実施形態の製品形状は、天板部1の長手方向両端部に、それぞれ張出部5が連続している。各張出部5の幅は、天板部1の幅よりも幅方向の寸法が大きいことから、上面視において製品形状の長手方向端部側の天板部が、L字形状若しくはT字形状となっている。図1では、T字形状を例示している。更にフランジ部2の長手方向端部に縦壁部6の下端部が連続している。該縦壁部6は、天板部1側に立ち上がり、その上端が上記張出部5に連続する。上記形状によって、縦壁部6に対し、湾曲端部分を有する本体部4が垂直方向側に延在する。すなわち、本体部4の長手方向に対向するように縦壁部6が立ち上がった形状となっている。長手方向片側のみに縦壁部6が存在する形状であっても良い。
但し、本発明に基づくプレス成形品の製造方法では、張出部5及び縦壁部6が無い製品形状であっても適用可能である。また、天板部1及びフランジ部2が長手方向に沿って天板部1側に凹の湾曲形状であっても適用できる。また、長手方向の湾曲が、部品長手方向全長の一部に形成される場合であっても適用可能である。
さらに、天板部1に対し、補強その他を目的とした凹や凸の形状が形成される場合であっても適用できる。この場合、天板部1と対向する金型のプレス面部分にその凹や凸の形状を形成しておけばよい。
金属板としては、590MPa以上の超ハイテン材を対象とするが、鋼板やアルミニウム板などを用いてもよい。また、中間部品及び製品形状において、天板部1とフランジ部2の曲率半径の大きさは異なっていてもよい。
ここで、天板部1の幅方向両側が側壁部3を介してフランジ部2に連続しているハット形断面部品であって、長手方向に沿って天板部1側に凸となるように湾曲したハット形断面部品に、ブランク材からなる金属板を1回のプレスで成形すると、図2(a)に示すように、湾曲部分の天板部1において引張残留応力が発生すると共に、フランジ部2において圧縮残留応力が発生する。そして、プレス金型から部品を外して、これらの応力が開放されることによって、図2(b)に示すような、部品長手方向に沿ったスプリングバック(キャンバーバック)が発生する。また同時に、図2(c)に示すように、部品断面方向のスプリングバックも同時に発生する。このとき、金属板の材料強度の増加に伴い、この残留応力が増加して、これらスプリングバック量が大きくなる傾向がある。すなわち材料強度によってスプリングバック量が異なり、特に590MPa以上のハイテン材を採用するとスプリングバックが大きくなる。このため、590MPa以上のハイテン材では、材料強度のバラツキが大きいほど、製品の寸法精度のバラツキが大きくなるおそれがある。
これに対し、本実施形態のプレス成形品の製造方法では、平板状の金属板を上記の製品形状に成形するためのプレス加工として、図3に示すように、第1の工程と第2の工程とを有する。成形品の製造のためのプレス工程を2段階の多工程とすることで、製品のスプリングバック抑制などの寸法精度を向上させることができる。
ここで、フランジ外周をトリムするトリム加工(不図示)を有する。トリム加工は、第1の工程の前に実施しても良いし、第1の工程と第2の工程の間で実施しても良いし、第2の工程の後に実施しても良い。本実施形態では、トリム加工を第1の工程でのプレス加工の後に実施する場合で説明する。この場合、中間部品は、フランジ外周のトリム加工が行われた状態の部品となる。
第1の工程は、図4(a)に示すような第1の金型を使用して、金属板10(ブランク材)をハット形断面の中間部品にプレス成形する工程である。符号11はパンチ、符号12は下型、符号13はシワ押さえ部材である。
第2の工程は、第1の工程で作製した中間部品20を、図4(b)に示すような第2の金型で使用して、製品形状にプレス成形する工程である。符号21はパンチ、符号22は下型、符号23はシワ押さえ部材である。
製品形状は、少なくとも天板部1とフランジ部2とが側壁部3を介して幅方向で連続していると共に天板部1及びフランジ部2が長手方向に沿って上記天板部1側に所定の曲率で湾曲したハット形断面の形状となっている。
本実施形態では、第1の金型を、金属板10を第1の工程を行うことなく製品形状にプレス成形する場合に発生する部品断面方向のスプリングバック及び部品長手方向のスプリングバックの両方を抑制可能な形状の中間部品20に成形するための金型形状に設計する。
本実施形態における金型形状の設計は、部品断面方向のスプリングバックを抑制可能な金型形状を決定する第1の設計と、部品長手方向のスプリングバックを抑制可能な形状に第1の設計で決定した金型形状を修正する第2の設計の2段階を経て行われ、第1の金型の最終の金型形状(金型の構成)が決定される。
第1の設計は、例えば次のように実施する。
第1の設計では、対象とする製品形状における長手方向に沿った湾曲がない長手方向に沿ってストレートなハット形断面形状を対象として、部品断面方向のスプリングバックを抑制可能な金型形状を決定する。
部品長手方向に沿って湾曲のないストレート形状のハット形断面の部品形状を想定することで、部品長手方向のスプリングバックによる壁開き(部品断面方向のスプリングバック)の影響を無視して、壁開きのみの影響を条件で設定することができる。そして、ストレート形状で壁開きを抑制すれば、長手方向に沿って湾曲形状であっても、壁開きを抑制することが可能となる。
ここで、部品断面方向のスプリングバックを抑制可能な金型形状の設定は、従来提案されている方法を採用して決定すればよい。壁開きは、パンチ肩角度変化(天板部1と側壁部3との接続部の角度変化)と壁反りによって発生する。この壁開き抑制するための金型の設計としては、次のような方法が例示出来る。
すなわち、パンチ肩角度変化を利用して部品断面方向のスプリングバックを抑制する方法としては、例えばパンチ肩11aをC面取りして角度変化を抑制するように金型形状を決定する方法や、曲げ半径の異なる形状で2回曲げするように金型形状を設定する方法がある。これらの方法は、パンチ肩11aで発生するスプリングバック成分とスプリングゴー成分の相殺により角度変化を低減するように金型形状を決定するものである。
また、壁反りを低減して部品断面方向のスプリングバックを抑制する方法としては、シワ押さえ力を制御するように金型形状を設定する方法がある。シワ押さえが低い領域では縦壁で逆曲げが発生し壁そりが低減するが、低くしすぎるとフランジ部にシワが発生する恐れがある。一方、シワ押さえ力を高くした場合でも張力が付与されるために壁反りが低減するが、高いシワ押さえ力を付加し続けるとワレ発生の恐れがある。
第1の設計では、部品断面方向のスプリングバックを抑制する方法として、パンチ肩角度変化と壁反りの両方を抑えるような金型形状に設計しても良い。
また、第2の設計では、第1の設計で決定した金型形状を、部品長手方向のスプリングバックを抑制可能な形状に修正する。
すなわち、上記により部品断面のスプリングバック抑制条件を見出した後、キャンバーバック対策を実施する。
このキャンバーバック(部品長手方向のスプリングバック)を低減するために、本実施形態では、第1の設計で、部品長手方向に沿ってストレートに設定した、中間部品20での天板部1及びフランジ部2をプレスする面の部品長手方向に沿った湾曲の曲率半径を、第2の設計で、製品形状での部品長手方向に沿った湾曲の曲率半径よりも小さな曲率半径に修正する。
ここで、上記のように設計した第1の金型を使用して、第1の工程でプレス成形し、第1の金型から開放した後の中間部品20の天板部1およびフランジ部2の部品長手方向に沿った曲率半径は、例えばスプリングバックによって第1の金型に設定した曲率半径よりも若干大きくなっている。従って、この第1の工程後のスプリングバックで発生する天板部1およびフランジ部2の曲率半径(第2の曲率半径)が、製品形状である成形品の曲率半径よりも小さくなるように、第1の金型の部品長手方向に沿った曲率半径を設計する。
上述のような第1の金型の設計は、有限要素法その他のシミュレーション解析を実施して上記第1の金型の構成を設定する。
このとき、本実施形態にあっては、解析の条件として設定する金属板の材料条件は、次のようにして決定する。すなわち、同一の金型を使用してプレス成形すると想定される複数枚の金属板10における、材料強度が最も高いと想定される金属板を代表の金属板とし、その代表の金属板の材料条件を解析に適用する材料条件とする。
上記のシミュレーション解析にあっては、代表の金属板に対して第1の工程及び第2の工程のプレス成形を実施し第2の金型から外した後の少なくとも長手方向に沿ったスプリングバック発生後の部品形状が上記製品形状となるように若しくは上記製品形状に近づくように解析を実施して、第1の金型の構成を設定する。材料強度によってスプリングバック量が変化するが、その材料強度も加味した金型から取り出した際に発生するスプリングバック分を考慮して、少なくとも天板部1及びフランジ部2における上記湾曲をプレスする面の部品長手方向での湾曲の曲率半径を、製品形状での部品長手方向の湾曲の曲率半径よりも小さく設定するなどのように設計することによって、第1の金型の構成を設定する。代表の金属板の材料条件を使用して解析を実施して、部品断面方向のスプリングバックも抑制するように第1の金型の構成を設定することが好ましい。
ここに、所定の公差のバラツキを許容して金属板10は製造されるため、プレスする金属板10の材料強度にバラツキが存在する。
上記の代表とする金属板の材料強度は、実際にプレス成形する複数の金属板10における材料強度が最も高い金属板を採用しても良い。なお、バラツキはほぼ正規分布でばらついていると推定される。また、金属板10を製造する際に設定されている材料強度の上限許容強度を、代表の金属板の材料強度として設定しても良い。
ここで、各強度レベルTSにおけるバラツキの上限値は、例えば各強度の10%を足した値(TS+0.1×TS)=1.1TSで表現でき、その上限値の範囲は、例えば1.1TSの±3%の範囲で設定される。このため、上記のようにして求めた代表の金属板の材料強度を基準に、その±3%の範囲内から選択した材料強度を、解析で使用する代表の金属板の材料強度として採用しても良い。
第1の工程後において、スプリングバック後の中間部品20の天板部1とフランジ部2の曲率半径を、製品形状での曲率半径以下になるように成形することより、第2の工程目でのリストライク成形においてバウシンガー効果により天板部1に小さい圧縮応力、フランジ部2に小さい引張応力を発生させる。これにより天板部1とフランジ部2の応力差が低減し、スプリングバック量が低減すると共に、材料強度が振れた場合において、材料強度の感受性を向上させることが可能となる。
上記の部品断面方向のスプリングバックとキャンバーバック(部品長手方向のスプリングバック)とは連動しているが、本実施形態では、先に部品断面方向のスプリングバックを低減するように金型を設計することで、キャンバーバック対策を実施した場合の壁開きの変動を最小にするような金型を製造することができる。もし先にキャンバーバック対策を実施した場合には、次に、部品断面のスプリングバック対策を実施した際に、再度キャンバーバックが発生するため、プレス工程が増加し、金型設計が複雑になる。
もっとも、製品形状に対する中間部品20の曲率変更量を決定するに際し、第1の工程において、製品形状での曲率半径で湾曲したハット形断面部品のスプリングバック計算を実施し、スプリングバック後の天板部1の曲率半径をR1’としたときに、製品形状での天板部1の曲率半径R1oとの比を0.70 ≦ (R1’/R1o) < 1.00 の範囲内に設定することが好ましい。
同様に、製品形状に対する中間部品20のフランジ部2曲率半径をR2’としたときに、製品でのフランジ部2の曲率半径R2oとの比を0.70 ≦ (R2’/R2o) < 1.00 の範囲内に設定することが好ましい。
ここで、(R1’/R1o)および(R2’/R2o)が0.7よりも小さい場合、第2の工程での金型下死点において天板部1に過度の圧縮応力が、フランジ部2に過度の引張応力が発生し、成形品にスプリングゴーが発生するおそれがある。逆に、(R1’/R1o)および(R2’/R2o)が1よりも大きい場合、第2の工程の金型下死点において天板部1に引張応力が、フランジ部2に圧縮応力が残り、スプリングバックが十分抑制されない可能性がある。
また、第1の工程で製造される、中間部品20における天板部1およびフランジ部2の長手方向の線長がそれぞれ、製品形状における天板部1およびフランジ部2の長手方向の線長と同じ値となるようにする第1の金型形状に設定することが好ましい。
同じ線長とするには、例えばフランジ部2と張出部5を接続する縦壁部6の線長を変更するように調整することで可能である。
また本実施形態では、第1の工程での上記プレス成形後に、フランジ外周のトリム加工を施す。トリム加工には、せん断加工やレーザ切断加工などの公知の加工方法を採用すれば良い。
また、第2の工程に使用する第2の金型は、製品形状若しくはそれに近似する形状を有する金型形状に設定する。
ここで、第1の工程ではドローまたはフォーム成形を適用し、第2の工程では製品形状に成形するリストライク工程とすることが好ましい。
また、上記の各中間部品20に発生するスプリングバック後の各曲率半径は、CAE解析その他のシミュレーション解析をコンピュータで行うことで計算によって求めても良いし、実際に試験品を作製して実測によって求めても良い。
(動作その他)
第1の工程で、上記のように設計した第1の金型を用いて、金属板10を中間部品20にプレス成形する。
次に、第2の工程で、上記の第2の金型を用いて、中間部品20をプレス成形して製品形状の部品を製造する。
本実施形態にあっては、先に部品断面方向のスプリングバックを抑制した形状を決定した後に、部品長手方向のスプリングバック(キャンバーバック)を抑制するように修正を加えた第1の金型で中間部品20を作製する。
ここで、本実施形態では、金型を設計する場合には、スプリングバックが抑制されるように設計するが、そのときの解析には、対象とする金属板の材料条件も設定して行われる。しかし、実際にプレス成形される金属板の材料強度はバラツキがあるため、その材料設定条件によっては、同じ金型でプレス成形して製造した全て製品にわたって寸法精度が良いとは限らない。
発明者らが、その点について検討したところ、材料強度が高いほど、製品における寸法精度のバラツキが大きくなる傾向にあるという知見を持った。この知見に基づき、同じ金型でプレス成形する複数の金属板のうちの材料強度が最も高いと想定される材料強度を金属板の材料条件として、金型の構成を設計する。これによって、本実施形態では、同じ金型でプレス成形した製品全体におけるスプリングバック抑制の寸法精度が向上する。
以上のことから、本実施形態にあっては、材料強度にバラツキがあり、超ハイテン材を使用した場合でも、精度良くスプリングバックを低減することができ、さらに材料強度感受性に優れた高精度なハット形断面湾曲形状の部品を得ることができる。すなわち、加工する金属板10によって材料強度がばらついた場合でも、寸法精度の高い部品が得られ、歩留りの向上に繋がる。さらに、ハット形断面形状の部品を用いて車体構造部品とする際に、部品の組立てを容易に行うことが可能となる。
本発明に係るプレス成形品の製造方法によるスプリングバック低減効果を確認するため、有限要素法(FEM)によるプレス成形解析およびスプリングバック解析を行ったので、その結果について以下に説明する。
本実施例では、図5に示す長手方向に湾曲したハット形断面部品をプレス成形する場合を対象として、第1の工程で使用する第1の金型と第2の工程で使用する第2の金型との長手方向に沿った曲率半径の比を変更して複数の解析を実施した。なお、プレス成形に使用する金属板10は、板厚t=1.4mmであって、引張強度が590MPa級〜1470MPa級の鋼板とし、第1の工程の成型をフォーム成形で成形した場合とした。
上記のように設計した第1の工程の金型モデルを用いてプレス成形解析を実施し、成形下死点まで成形されたプレス成形品の離型後におけるスプリングバック解析を行った。その後、スプリングバック後の成形品を第2の工程でリストライク成形する成形解析を実施し、成形下死点まで成形されたプレス成形品の離型後におけるスプリングバック解析を行った。
表1にプレス条件および評価結果をまとめて示す。
ここで、部品長手方向両端における製品との乖離量を平均化した値によって評価した。部品長手方向のスプリングバックであるキャンバーバック(製品との乖離量)は製品に対して±1.0mmの範囲、材料強度感受性は590−1470MPa材間で1.0mmの範囲で、本実施例では合格の基準として説明する。
Figure 0006493331
表1のNo.1〜4は、第1の工程を行うこと無く、すなわち、1工程目の曲率半径を変更せずにプレス成形して、スプリングバック解析を実施した場合である。このNo.1〜4では、製品との最大乖離量は1470MPa材で3.2mm発生する。590MPa材と1470MPa材の差を比較すると2.3mmの差が生じていることが分かる。
また表1のNo.5〜8は、材料強度条件を1470MPa材とし、(R1’/R1o)および(R2’/R2o)が1.1になるように第1の金型を設定して成形にした場合の解析結果である。ここで、(R1’/R1o)および(R2’/R2o)を1.1と設定したのは、590MPa材で第1及び第2の工程後のキャンバーバック(製品との乖離量)を0.0mmとするためである。
No.5〜8の場合、キャンバーバックは最も強度が低い590MPa材で0.0mmとほぼ製品形状になったが、1470MPa材で1.5mm発生しており、基準よりも大きくなっている。また、590MPa材と1470MPa材の差は1.5mmとなり、従来法に比べて材料強度感受性は低減しているものの、基準よりも大きい値になった。
これに対し、表1のNo.9〜12は、材料強度条件を1470MPa材とし、(R1’/R1o)および(R2’/R2o)を0.9にした解析結果である。キャンバーバックは最も材料強度が低い590MPa材で−0.8mmとスプリングゴー側へ変位するが、1470MPa材で0.0mmと発生しておらず、全強度で基準内になった。また、590MPa材と1470MPa材の差は0.8mmとなり、従来法および比較例に比べて材料強度感受性が低減し、基準内の寸法精度になった。これは最も材料強度が高い1470MPa材以外の材料において、第2の工程での下死点で応力反転し、バウシンガー効果により応力差が低減したためである。
以上のように、本発明に基づき金型を設計することで、同じ金型で加工した製品全体のスプリングバック抑制効果が向上することが分かる。
1 天板部
2 フランジ部
3 側壁部
10 金属板
20 中間部品

Claims (6)

  1. 天板部とフランジ部とが側壁部を介して幅方向で連続していると共に、上記天板部及び上記フランジ部が長手方向に沿って上記天板部側に凸や凹に湾曲したハット形断面を有する製品形状に、金属板をプレス成形して製造する際に、
    上記天板部及びフランジ部について、それぞれ長手方向に沿った湾曲を上記製品形状での曲率半径よりも小さい第2の曲率半径のハット形断面を有する部品形状に第1の金型でプレス成形して中間部品を製造する第1の工程と、上記中間部品を上記製品形状に第2の金型でプレス成形する第2の工程とを有し、
    同一の金型を使用してプレス成形すると想定される複数枚の上記金属板における、材料強度が最も高いと想定される金属板を代表の金属板とし、その代表の金属板の材料条件で上記第1の工程及び上記第2の工程のプレス成形を実施し上記第2の金型から外した後のスプリングバック発生後の部品形状が上記製品形状に近づくようにシミュレーション解析を実施して上記第1の金型の構成を設定することを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  2. 上記設定する第1の金型の構成は、少なくとも上記天板部及びフランジ部における上記湾曲の部分をプレスする面における部品長手方向の湾曲の曲率半径を上記第2の曲率半径以下に構成することを特徴とする請求項1に記載したプレス成形品の製造方法。
  3. 上記製品形状における天板部の長手方向に沿った曲率半径をR1oと定義した場合、上記中間部品におけるスプリングバック後の天板部の長手方向に沿った曲率半径R1’が下記(1)式を満たす値となるように、上記天板部での上記第2の曲率半径の値を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2の記載したプレス成形品の製造方法。
    0.70 ≦ (R1’/R1o) < 1.00・・・・(1)
  4. 上記製品形状におけるフランジ部の長手方向に沿った曲率半径をR2oと定義した場合、上記中間部品におけるスプリングバック後のフランジ部の長手方向に沿った曲率半径R2’が下記(2)式を満たす値となるように、上記フランジ部での上記第2の曲率半径の値を設定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したプレス成形品の製造方法。
    0.70 ≦ (R2’/R2o) < 1.00・・・・(2)
  5. 上記第1の工程ではドロー成形またはフォーム成形を適用し、上記第2の工程では製品形状に成形するリストライク工程であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したプレス成形品の製造方法。
  6. 金属板の材料強度が590MPa以上の鋼板とすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載したプレス成形品の製造方法。
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