JP6491904B2 - 電動工具 - Google Patents
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Description
スピンドルは、前後の軸受により支えられ、駆動モータから減速されて伝達された回転力を受けて回転する。
又、スピンドルは、後部において拡径部が形成されており、拡径部の前側にハウジング(ギヤケース)の内部壁を配置することによって、スピンドルが前方に離脱しないように抜け止めをしている。
本発明は、コンパクトで強度十分なスピンドルの抜け止め構造を有する電動工具を提供することを主な目的とするものである。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、モータと、前記モータの回転を減速して伝えるギヤと、前記ギヤにより回転されるスピンドルと、前記ギヤを収容するギヤケースと、前記スピンドルを回転可能に支持する2個の軸受と、2個の前記軸受におけるそれぞれの外輪に挟まれている抜け止め部材と、を備えており、前記抜け止め部材は、前記スピンドルが抜ける方向に引かれると、前記軸受の外輪に引っ掛かることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記抜け止め部材は、リング状の板であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記抜け止め部材は、前記スピンドルの径方向外方に突出する突片を有していることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記抜け止め部材に隣接する前記軸受が、前記スピンドルに固定されるサークリップにより固定されていることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記ギヤケースが樹脂製であり、前記抜け止め部材が金属製であることを特徴とするものである。
当該形態や変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況や移動する部材の状態等により変化することがある。
尚、本発明は、下記の形態や変更例に限定されない。
ドライバドリル1は、その外郭を形成するハウジング2を有している。
ドライバドリル1は、中心軸を前後方向とする筒状の本体部4と、本体部4の下部から下方へ突出するように形成されたグリップ部6を有する。尚、図1において左が前となり、図3において右が前となる。
グリップ部6は、使用者が把持する部分であり、グリップ部6の基端部には、使用者により指先で引く操作が可能であるトリガ形式のスイッチレバー8が設けられている。スイッチレバー8は、スイッチ本体部9から突出している。
モータ10は、ドライバドリル1の駆動源であり、その回転は、ギヤアッセンブリ12のスピンドル11に減速して伝達され、チャック14やビットに伝達される。
本体ハウジング20は、半割状の左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bを有している。左本体ハウジング20aは、複数のネジボス部23,23・・を有しており、右本体ハウジング20bは、ネジボス部23,23・・に対応するネジ孔を有している。左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bは、ネジ孔とネジボス部23,23・・に入るネジ24,24・・により、合わせられている。
左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bの本体部4における各後部は互いに合わさって開口部を形成しており、その開口部には、リヤカバー22がネジ止めされている。
左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bの後端部の側部ないし上部には、周方向に延びる排気口20c,20c・・が周方向に並ぶように開けられている。即ち、排気口20c,20c・・が、リヤカバー22の前方隣接部に沿って配置される連続スリット状に形成されている。又、排気口20c,20c・・の前には、前吸気口20d,20dが、本体部4の上下に配置されて開けられている。本体部4左側の前吸気口20d,20dの間であって、排気口20c,20c・・の前には、ドライバドリル1の属性(メーカー名や性能等)を示すロゴ20eが立体形成により表記されている。かように各排気口20cが周方向に延び、又排気口20c,20c・・が周方向に並ぶので、ハウジング2における排気口20c,20c・・以外の部分を広く確保することができ、ロゴ20e等を大きく表示することができる。又、排気口20c,20c・・の前後方向の大きさを小さくして排気口20c,20c・・を本体部4の中央からなるべく離すようにすることができ、又排気口20c,20c・・を上部にも設けて側方への風量を低減することができ、ロゴ20eを見ながらの試用時等に排気が使用者の顔の中心に勢いよく吹き付けられる事態を防止することができる。更に、排気口20c,20c・・を上部にも設けることで、排気の通過可能部分を増加して、排気効率を向上することができる。尚、ロゴ20eは、本体部4の右側に配置することができるし、本体部4の両側に配置することができるし、それ以外の部分にも適宜配置することができる。
又、リヤカバー22には、後吸気口22a,22a・・が開けられている。
尚、ハウジング2は、表面の一部に配置されるエラストマ樹脂を含んでいる。エラストマ樹脂は、一体成形により設けられる。
又、スイッチレバー8の上側であって、正逆切替レバー26の前方には、前方を照射可能なライト28が設けられている。ライト28は、ここではLEDであり、スイッチレバー8と上下方向で重なるように設けられている。ライト28は、スイッチレバー8と上下方向で重なるように設けられているので、ライト28の照射方向に使用者の指等が位置せず、よってライト28の照射を妨げる事態の発生を防止して、ライト28点灯時の視認性を良好なものとすることができる。
バッテリ取り付け部30の前上部(グリップ部6の広がった下部の前側上面部)には、バッテリ残量を表示する図示しない表示部が設けられている。
バッテリ32は、バッテリ端子部32bを上とし、隆起部32cを上且つ前とした状態で、バッテリ取り付け部30の前から後方へスライドさせることで装着される。装着時、隆起部32cの後部がバッテリ取り付け部30の前部に当たり、バッテリ端子部32bがバッテリ取り付け部30のバッテリ受け入れ端子部30aに接触する。又、装着時、図示しない弾性部材により上方に付勢され、バッテリ32の他の部分の上面から突出したバッテリ爪32dが、バッテリ取り付け部30下前部に設けられた上方に窪むバッテリ取り付け凹部30bに入る。一方、バッテリ32を外す場合、バッテリ爪32dの弾性部材とつながるバッテリボタン32aを操作し、バッテリ爪32dをバッテリ取り付け凹部30bから外れた状態としながら、バッテリ32を前方にスライドさせる。
バッテリ32の側方には、フック34が配置されている。フック34は、バッテリ取り付け部30の左部又は右部に対して取り付け可能である。
ロータ41は、回転軸ないしはモータ出力軸としてのロータ軸42と、ロータ軸42の周囲に配置された円筒状の回転子鉄心43を有する。
ロータ軸42の前端部には、ピニオン44が固定されている。ロータ軸42の後方には、図示しない金属製のインサートブッシュを介して、冷却用のファン46が取り付けられている。インサートブッシュは圧入されており、ファン46のロータ軸42に対する固定力が高いものとなる。
ファン46は、ロータ軸42に直交する円盤部分ないしその円盤部分と一体のリング部分に複数の羽根を設けた部材であり、径方向内側において円盤部分から前方へ立つ内側羽根47,47・・を有していると共に、径方向外側においてリング部分から前方へ立つ外側羽根48,48・・を有している。各内側羽根47は、前部から後に行くほど幅(径方向)が小さくなり、各外側羽根48の前部はその後部より幅(径方向)が小さい。
ファン46の径方向外方には、排気口20c,20c・・が位置している。
ファン46の後側には、ロータ軸42後端部の周りに配置されるモータ後軸受49が、リヤカバー22内面に設置されている。
チャック14を固定するボルト15は、スピンドル穴11eに入っている。
モータブラケット51の中央孔51bには、ピニオン44(ロータ軸42)を回転可能に支持するモータ前軸受57が入れられる。尚、モータブラケット51やクラッチリング54は、ギヤアッセンブリ12の構成要素ではないものと捉えることができ、モータブラケット51は、モータ10の構成要素と捉えることができる。又、チャック14やモータ前軸受57やピニオン44をギヤアッセンブリ12の構成要素と捉えても良い。
キャリヤ66は、中央に孔を有する円盤状部66aの後面から後方に突出した4個のピン66b,66b・・を有しており、各ピン66bに1個の遊星ギヤ64が支持される。又、キャリヤ66は、円盤状部66aの前面中央から前方に円筒状に突出する外歯ギヤ66cを有している。更に、円盤状部66aの前部外面には、噛み合い歯66dが設けられている。
各遊星ギヤ64は、ロータ軸42のピニオン44に噛み合っている。
又、各遊星ギヤ64とモータブラケット51の間には、ワッシャ68が配置されている。
キャリヤ76は、中央に孔を有する円盤状部76aの後面から後方に突出した5個のピン76b,76b・・を有しており、各ピン76bに1個の遊星ギヤ74が支持される。又、キャリヤ76は、円盤状部76aの前面中央から前方に円筒状に突出する外歯ギヤ76cを有している。
各遊星ギヤ74は、1段目のキャリヤ66の外歯ギヤ66cに噛み合っている。
インターナルギヤ72の外側前方には、前ギヤケース52内の後部に保持される結合リング77が配置されている。結合リング77の内周面には、内方へ突出し前後方向に延びる内歯77a,77a・・が外歯72aと同数設けられており、結合リング77の外周面には、外方へ突出し前後方向に延びる突条77b,77b・・が、周方向へ所定間隔を置いて複数設けられている。インターナルギヤ72の各外歯72aは、結合リング77における何れかの内歯77a,77aの間に入ることができる。
前ギヤケース52内の後部内周面には、外方へ窪み前後方向に延びる規制溝52b,52b・・が、突条77b,77b・・に応じて設けられている。各規制溝52bに、対応する突条77bが入ることで、結合リング77は回転しないよう規制されている。
他方、インターナルギヤ72の後部外側には、速度切替リング78が配置されている。速度切替リング78の上部において、連結片78aがリング部分から側面視L字状に後方及び上方に突出しており、速度切替リング78の左部・右部や下部には、突片78b,78b・・がリング部分から後方及び径方向外方に突出している。
後ギヤケース50には、上後部から前方に入るスリット50bが設けられており、スリット50bには、連結片78aの上方突出部分の下端部が入っている。連結片78aの上方突出部分の上部は、ハウジング2の上部において前後にスライド可能に設けられた速度切替レバー79の下部に、前後に並ぶコイルバネ79a,79aを介して連結されている。
後ギヤケース50内面には、速度切替リング78の各突片78bに対応する前後方向のガイド溝50cが設けられており、各ガイド溝50cには、対応する突片78bが入れられていて、速度切替リング78が前後方向のみに移動するように支持されている。
又、左右の突片78b,78bの径方向外方から内方へ向かう合計2個のピン78c,78cが設けられている。各ピン78cの外側頭部は、左右の突片78b,78bの外面に当たっており、各ピン78cの頭部より細い内側先端は、各突片78bの内面より径方向内方へ突出して、インターナルギヤ72の結合溝72bに入っている。
速度切替レバー79を前にすると、連結片78aを通じて速度切替リング78が前方に移動して、各ピン78cないし結合溝72bを介してインターナルギヤ72が各遊星ギヤ74との噛み合いを保ったまま前方に移動する。すると、各外歯72aが結合リング77の内歯77a,77a間に入ってインターナルギヤ72が周方向の回転を規制され、固定されたインターナルギヤ72の周りを各遊星ギヤ74が周って、キャリヤ76の外歯ギヤ76cに、1段目の外歯ギヤ66cの回転より減速された回転が伝わる。即ち、速度切替レバー79を前にすると、2段目の中遊星歯車機構70による減速が機能する低速モードとなる。
速度切替レバー79を後にすると、同様に速度切替リング78が後方に移動して、インターナルギヤ72が各遊星ギヤ74との噛み合いを保ったまま後方に移動する。すると、各外歯72aが結合リング77の内歯77a,77a間から出てインターナルギヤ72の周方向の回転規制が解かれ、1段目のキャリヤ66の噛み合い歯66dに対してインターナルギヤ72の噛み合い歯72cが噛み合って、周方向に固定されないインターナルギヤ72と1段目のキャリヤ66が共に周り、外歯ギヤ76cに、外歯ギヤ66cの回転と同等の回転が伝わる。即ち、速度切替レバー79を後にすると、2段目の中遊星歯車機構70による減速がキャンセルされる高速モードとなる。
キャリヤ86は、中央に孔を有する円盤状部86aの後面から後方に突出した5個のピン86b,86b・・を有しており、各ピン86bに1個の遊星ギヤ84が支持される。又、キャリヤ86は、円盤状部86aの前面中央から前方に四半円筒状に突出し周方向に並ぶ4個の突体86c,86c・・を有している。
各遊星ギヤ84は、2段目のキャリヤ76の外歯ギヤ76cに噛み合っている。
インターナルギヤ82の前面には、周方向に所定間隔を置いて、前方へ突出する6個のカム突起82a,82a・・が設けられている。
雄ネジ部52cの内部前部には、その後側の内径より前側の内径が小さく又は大きくなることで段部52eが形成されている。段部52eは、後側の内径より前側の内径が小さくなる部分を、周方向に所定間隔を置いて6個有しており(図8,図11参照)、それら部分の周方向における間に、後側の内径より前側の内径が大きくなる部分を有している(図8,図6参照)。
又、雄ネジ部52cの外側には、前端部に径方向外方へ広がるフランジ90aを有し内面に雌ネジ部90bを有する円筒状のスプリングホルダ90が配置されている。雄ネジ部52cの雄ネジと雌ネジ部90bの雌ネジは噛み合っており、スプリングホルダ90は周方向の回転を受けると前ギヤケース52(雄ネジ部52c)に対して前後方向に移動する。スプリングホルダ90の径方向外側に、クラッチリング54が配置されている。スプリングホルダ90のフランジ90aの前面上部は、クラッチリング54の内面に固定されている。
スプリングホルダ90のフランジ90aの後面には、雄ネジ部52cより内径の大きいコイルバネ92の、リング状の前端が当たっている。
コイルバネ92のリング状の後端は、ワッシャ94の前面に当たっている。
ワッシャ94は、リング状部分の内面から径方向内方へ突出する突片94a,94a・・を、周方向に所定間隔を置いて6個有している。各突片94aの先端部は、前ギヤケース52(雄ネジ部52c後端部)の外面に掛かっており、ワッシャ94の周方向への回転が阻止されている。ワッシャ94の後面は、前ギヤケース52の各ボール孔52dを有するリング状部分の前面に当たっている。
各ボール孔52dには、ボール96が1個ずつ(合計で6個)入っており、各ボール96の前部は、ワッシャ94における対応する突片94aの後面に当たっている。
各ボール96の後部は、3段目のインターナルギヤ82の前面であって、カム突起82a,82a・・の間に当たっている。
即ち、各ボール96は、コイルバネ92の弾性力に応じてインターナルギヤ82の前面を押し付け、弾性力に応じた所定のトルク未満ではカム突起82を止めてインターナルギヤ82を固定する。そして、当該トルク以上となると、カム突起82が各ボール96を弾性力に抗して前方に移動させることにより相対的に乗り越えて、各ボール96がインターナルギヤ82の回転を許容し、インターナルギヤ82の回転によりキャリヤ86(突体86c,86c・・)が空転して、クラッチが作動する(クラッチモード)。
又、クラッチリング54をコイルバネ92の弾性力が大きくなる側(クラッチが作動するトルクが大きくなる側)に捻っていき、スプリングホルダ90の後端部がワッシャ94に近接しあるいは接触すると、ワッシャ94ないしは各ボール96の前方への移動がスプリングホルダ90により阻止され、どのようなトルクでもカム突起82が各ボール96を相対的に乗り越えずに各ボール96に掛かって、インターナルギヤ82が回転せず、よってキャリヤ86の空転が起こらず、クラッチが切れないこととなる(ドリルモード)。
尚、コイルバネ92が圧縮されると、ワッシャ94に対して周方向に回転する力が及ぼされるところ、各突片94aによりワッシャ94が回転止めされているので、ワッシャ94はコイルバネ92の回転力に対し抵抗することができる。各突片94aは、リング状部分の内面から径方向内方へ突出しているので、回転止めの突片を外方に突出させる場合に比べ、リング状部分の径を大きくすることができ、より大きなコイルバネ92を設置することができる。
ロックカム102の前側には、円筒状のキャップ104が被せられている。キャップ104は、前ギヤケース52の雄ネジ部52cの内側に固定されている。キャップ104は、内面中央部から内方へ突出する内フランジ104aと、前部の他の部分に対して前方へ突出する突起104b,104b・・を有する。内フランジ104aの後側に、ローラ100,100やロックカム102、ないし3段目のキャリヤ86の各突体86cが位置する。突起104b,104b・・は、周方向に所定間隔を置いて6個設けられており、対応する形状に形成された前ギヤケース52の内面に入ることで、キャップ104が回転不能に固定される。
サークリップ106の前側には、スピンドル後軸受108が設けられている。スピンドル後軸受108は、スピンドル11のクリップ溝11dと前段部11bの間に配置され、スピンドル11を回転可能に支持する。サークリップ106は、スピンドル後軸受108の内輪の後面を前方に押さえており、スピンドル後軸受108の内輪を前段部11bへ押し付けることで挟んで固定している。スピンドル後軸受108の外輪は、前ギヤケース52の雄ネジ部52c内面に対して固定されている。
スピンドル後軸受108の前側には、金属製の抜け止めワッシャ110が配置されている。抜け止め部材としての抜け止めワッシャ110は、スピンドル11(フランジ11aと前段部11bの間の部分)の外径より大きい内径の中央孔を有するリング状部110aを有している。又抜け止めワッシャ110におけるリング状部110aの外周部において、径方向外方へ突出する突片110b,110b・・が、周方向に所定間隔を置いて6個設けられている。各突片110bの後方には、キャップ104の対応する突起104bが位置している。抜け止めワッシャ110は、その周方向の形状に対応するように形成された雄ネジ部52a内部の段部52eに配置されている。
抜け止めワッシャ110の前側には、スピンドル前軸受112が設けられている。スピンドル前軸受112は、スピンドル11の前段部11bとフランジ11aの間に配置され、スピンドル11を回転可能に支持する。スピンドル前軸受112は、前ギヤケース52の雄ネジ部52c内に圧入されている。
スピンドル前軸受112の内径は、スピンドル後軸受108の内径より大きく、外径も同様である。又、スピンドル前軸受112の内径は、スピンドル後軸受108の外径より小さい。
スピンドル前軸受112の(外輪の)後面には、雄ネジ部52a内部の段部52eのうち後側より前側が拡径している部分と、抜け止めワッシャ110のリング状部110a(突片110b以外の部分)が当たっている(図6参照)。又、スピンドル前軸受112の(外輪の)後面には、抜け止めワッシャ110の各突片110bが当たっている(図11参照)。
スピンドル11のフランジ11aの前面は、チャック14の後面(中央孔周りのリング状に後方に突出した部分)に当たっている。
スピンドル11が前方へ引く力を受ける(抜ける方向に引かれる)と、サークリップ106を介してスピンドル後軸受108が前方に移動しようとする。この移動は、抜け止めワッシャ110により阻止される。即ち、抜け止めワッシャ110は、前ギヤケース52内に圧入固定されたスピンドル前軸受112(外輪の後面)に当たっており、前方に移動しようとするスピンドル後軸受108(外輪)を受け止める。又、抜け止めワッシャ110は、主に突片110bにより前ギヤケース52の鉛直な内面に当たっており、スピンドル後軸受108(外輪)から前方への力を受けたとしても、当該内面に引っ掛かる。
かように、スピンドル11が前方への力を受けても、抜け止めワッシャ110がスピンドル前軸受112(外輪)や前ギヤケース52内面に引っ掛かり、スピンドル11の前方への離脱が防止される。
尚、スピンドル11が後方へ押す力を受けると、フランジ11aやスピンドル前軸受112、抜け止めワッシャ110が後方へ移動しようとする。この移動は、前ギヤケース52の雄ネジ部52c内に圧入されたスピンドル前軸受112自体による抵抗に加え、サークリップ106により固定されたスピンドル後軸受108による抵抗によって阻止される。即ち、サークリップ106やスピンドル後軸受108は、後方への力を受け止める。
かように、スピンドル11が後方への力を受けても、スピンドル後軸受108(サークリップ106)により、スピンドル11の後方への没入が防止される。
作業者がグリップ部6を把持してスイッチレバー8を引くと、スイッチ本体部9における切替によりバッテリ32からモータ10への給電がなされ、ロータ41(ロータ軸42)が回転する。
ロータ軸42の回転により、ファン46が回転する。ファン46の内側羽根47における排気により、後吸気口22a,22a・・から排気口20c,20c・・への空気の流れが発生する。又、ファン46の外側羽根48における排気により、前吸気口20d,20d・・から排気口20c,20c・・への空気の流れが発生する。これらの空気の流れにより、モータ10を始めとするハウジング2内の機構が冷却される。
又、ロータ軸42の回転力は、3段の減速機構を有するギヤアッセンブリ12により減速されてスピンドル11に伝わり、チャック14に付けたドリルやドライバ等のビットに伝わる。
ギヤアッセンブリ12の中遊星歯車機構70は、速度切替レバー79の位置に応じ、高速モード又は低速モードで動作する。
又、前遊星歯車機構80は、クラッチモードにおいて、クラッチリング54の回転位置に対応したトルクがスピンドル11にかかると、空転を生じてクラッチを切る(トルク伝達をストップする)。ドライバビットによりネジ締めを進め、ネジが完全に入って大きなトルクがかかると、スピンドル11が空転してネジ締めが終了する。
他方、前遊星歯車機構80は、ドリルモードにおいて、クラッチを切ることなくスピンドル11を回転させる。ドリルビットを装着して穴開けを進める場合、スピンドル11への負荷にかかわらずスピンドル11の回転は継続する。
又、抜け止めワッシャ110は、スピンドル後軸受108とスピンドル前軸受112で挟まれている。よって、抜け止めワッシャ110を効率良く配置することができ、スピンドル11や前ギヤケース52がコンパクトになる。
更に、抜け止めワッシャ110は、リング状の板である。よって、中央の孔にスピンドル11を通すことができ、又スピンドル後軸受108とスピンドル前軸受112の間に抜け止めワッシャ110を立てて配置することで当該間の距離を短くすることができ、抜け止めワッシャ110を効率良く配置することができる。
加えて、抜け止めワッシャ110は、スピンドル11の径方向外方に突出する突片110b,110b・・を有している。よって、各突片110bにより十分な強度の抜け止めを得ることができる。
又、抜け止めワッシャ110に隣接するスピンドル後軸受108が、スピンドル11に固定されるサークリップ106により固定されている。よって、スピンドル後軸受108を含めてコンパクトにすることができる。
更に、前ギヤケース52が樹脂製であり、抜け止めワッシャ110が金属製である。よって、前ギヤケース52の形成が容易であり、スピンドル11の抜け止め構造について強度を確保しながらコンパクトにすることができる。
スピンドル軸受を3個以上設け、その内隣接するものの間の少なくとも何れかに抜け止めワッシャを設けて良い。隣接するスピンドル軸受の間において抜け止めワッシャを複数設けても良い。隣接するスピンドル軸受の間において、抜け止めワッシャと共に他の部材を挟んでも良い。
抜け止めワッシャの突片を省略したり、突片の数を増減したり、突片の形状を先細や先太等としたり、異なる形状を有する複数の突片を具備させたりして良い。又、抜け止めを、抜け止めワッシャ以外の形状の部材、例えば多角筒状の部材で行うことができる。
ファンは、ステータよりも前方に配置しても良い。
バッテリは、14.4V、18V(最大20V),18V,25.2V,28V,36V等の18〜36Vの任意のリチウムイオンバッテリを用いることができ、10.8V未満あるいは36Vを超える電圧のリチウムイオンバッテリを用いることもできるし、他の種類のバッテリを用いることもできる。
ハウジングの区分の数や遊星歯車の設置数、減速機構の段数やボール・ローラの数、各種突体・突片・ネジの数を増減したり、スイッチレバーのスイッチの形式を変更したり、ギヤケースを金属製としたり、抜け止めワッシャを樹脂製とする等、各種部材の数や形式、材質、配置、大きさ等を適宜変更することができる。
又、出力軸(先端工具保持部)の方向が動力部の方向(モータのロータ軸の方向やその回転力を伝達する機構の伝達方向)と異なる(略90度となる)アングル電動工具にも、本発明を適用することができる。
更に、商用電源で駆動されるものを始めとする充電式(バッテリ駆動)でないドライバドリルや、ドライバドリル以外の他の電動工具や、クリーナ、ブロワ、あるいは園芸用トリマをはじめとする園芸工具等に、本発明を適用することができる。
Claims (6)
- モータと、
前記モータの回転を減速して伝えるギヤと、
前記ギヤにより回転されるスピンドルと、
前記ギヤを収容するギヤケースと、
前記スピンドルを回転可能に支持する複数の軸受と、
前記軸受のうち、少なくとも隣接する何れか2個の間に配置される抜け止め部材と、
を備えており、
前記抜け止め部材は、前記スピンドルが抜ける方向に引かれると、前記ギヤケース及び前記軸受の双方に引っ掛かる
ことを特徴とする電動工具。 - モータと、
前記モータの回転を減速して伝えるギヤと、
前記ギヤにより回転されるスピンドルと、
前記ギヤを収容するギヤケースと、
前記スピンドルを回転可能に支持する2個の軸受と、
2個の前記軸受におけるそれぞれの外輪に挟まれている抜け止め部材と、
を備えており、
前記抜け止め部材は、前記スピンドルが抜ける方向に引かれると、前記軸受の外輪に引っ掛かる
ことを特徴とする電動工具。 - 前記抜け止め部材は、リング状の板である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動工具。 - 前記抜け止め部材は、前記スピンドルの径方向外方に突出する突片を有している
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の電動工具。 - 前記抜け止め部材に隣接する前記軸受が、前記スピンドルに固定されるサークリップにより固定されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の電動工具。 - 前記ギヤケースが樹脂製であり、
前記抜け止め部材が金属製である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の電動工具。
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