以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態のソルダーレジスト用樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくともいずれか一方と、ガラス粒子とを含む。尚、ソルダーレジスト用樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のどちらか一方のみを含んでもよいし、活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の両方を含んでもよい。また、本実施形態のマーキングインク用樹脂組成物も、活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくともいずれか一方と、ガラス粒子とを含む。尚、マーキングインク用樹脂組成物も、活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のどちらか一方のみを含んでもよいし、活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の両方を含んでもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂は、カルボキシル基含有樹脂を含むことが好ましい。さらに、ソルダーレジスト用樹脂組成物又はマーキングインク用樹脂組成物に活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれる場合、光重合開始剤を含むことが好ましい。以下、ソルダーレジスト用樹脂組成物及びマーキングインク用樹脂組成物(以下、両者を単に樹脂組成物ということもある)に含まれる各成分の詳細について説明する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂)
本実施形態で使用する活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー硬化性(例えば、光硬化性)を有する官能基を有する化合物、樹脂等を含有すればよい。
本実施形態で使用する活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、分子中に重合性不飽和結合を有する重合体(プレポリマーともいう)が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化性樹脂には、分子中に重合性不飽和結合を有する単量体(モノマー)が含まれていてもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、エチレン性不飽和化合物を含有することができる。エチレン性不飽和化合物は、適宜のポリマー、プレポリマー及び単量体からなる群から選択される化合物を含有することができる。
分子中に重合性不飽和結合を有する重合体としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のプレポリマー等を例示することができる。尚、エポキシ(メタ)アクリレートにおけるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のいずれであってもよい。その他の分子中に重合性不飽和結合を有する重合体としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類やジアリルフタレート等のプレポリマーも使用することが可能である。上記例示した分子中に重合性不飽和結合を有する重合体は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一方、上記分子中に重合性不飽和結合を有する単量体(モノマー)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の直鎖、分岐あるいは脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエチレングリコールエステル系(メタ)アクリレート類及び同様なプロピレングリコール系(メタ)アクリレート、ブチレングリコール系モノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系の(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系化合物類、さらには、メタクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル等が挙げられる。その他、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するようなエチレン性不飽和結合単量体が、分子中に重合性不飽和結合を有する単量体に含まれていてもよい。さらには、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、分子中に複数の重合性不飽和結合を有する単量体(多官能性モノマー)が挙げられる。尚、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示し、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを示す(以下も同様である)。
上記例示した分子中に重合性不飽和結合を有する単量体は単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。上記単量体の中でも、直鎖又は分岐の脂肪族、芳香族、あるいは脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル類や、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート等が好適であり、この場合、活性エネルギー線硬化性樹脂が被膜を形成した場合の硬度及び油性の調節並びに最終的に形成されるソルダーレジスト層の硬度の調節が容易となる。
上記分子中に重合性不飽和結合を有する単量体(モノマー)を併用する場合、これが活性エネルギー線硬化性樹脂の希釈剤としての役割も果たすので、配合時や使用時(塗布や硬化時)の取り扱い性が向上し、ハンドリング性が良好になる。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂として、分子中に重合性不飽和結合を有する重合体及び分子中に重合性不飽和結合を有する単量体を組み合わせて使用する場合、両者の混合割合は特に制限されるものではなく、適宜の混合割合で使用することができる。
さらに、本実施形態で使用する活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する樹脂(以下、カルボキシル基含有不飽和樹脂という)を含有することもできる。尚、カルボキシル基含有不飽和樹脂は、光重合性を有する。
カルボキシル基含有不飽和樹脂は、例えば一分子中に二個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a1)における前記エポキシ基のうち少なくとも一つに、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)が反応し、更に多価カルボン酸及びその無水物から選択される少なくとも一種からなる群から選択される化合物(a3)が付加した構造を有する樹脂(以下、第一の樹脂(a)という)を、含有することができる。
エポキシ化合物(a1)は、例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂、及びエポキシ基を有する化合物を含むエチレン性不飽和化合物の重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することができる。
エポキシ化合物(a1)が、エポキシ基を備える化合物(p1)を含むエチレン性不飽和化合物(p)の重合体を含有してもよい。
この重合体の合成に供されるエチレン性不飽和化合物(p)は、エポキシ基を備える化合物(p1)のみを含有してもよく、エポキシ基を備える化合物(p1)とエポキシ基を備えない化合物(p2)とを含有してもよい。
エポキシ基を備える化合物(p1)は、適宜のポリマー及びプレポリマーから選択される化合物を含有することができる。具体的には、エポキシ基を備える化合物(p1)は、アクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類、メタクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類、アクリレートの脂環エポキシ誘導体、メタクリレートの脂環エポキシ誘導体、β−メチルグリシジルアクリレート、及びβ−メチルグリシジルメタクリレートからなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。特に、エポキシ基を備える化合物(p1)が、汎用されて入手が容易なグリシジル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
エポキシ基を備えない化合物(p2)は、エポキシ基を備える化合物(p1)と共重合可能な化合物であればよい。エポキシ基を備えない化合物(p2)は、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(重合度n=2〜17)、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、EO変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO,PO変性フタル酸(メタ)アクリレート、ビニルカルバゾール、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、3−マレイミド安息香酸N−スクシンイミジル、直鎖状或いは分岐を有する脂肪族又は脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、及びN−置換マレイミド類(例えばN−シクロヘキシルマレイミド)からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
エポキシ基を備えない化合物(p2)が、更に一分子中にエチレン性不飽和基を二個以上備える化合物を含有してもよい。この化合物が使用され、その配合量が調整されることで、硬化物の硬度及び油性が容易に調整される。一分子中にエチレン性不飽和基を二個以上備える化合物は、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
エチレン性不飽和化合物(p)が、例えば溶液重合法、エマルション重合法等の公知の重合法により重合することで、重合体が得られる。溶液重合法の具体例として、エチレン性不飽和化合物(p)を適当な有機溶剤中で、重合開始剤の存在下、窒素雰囲気下で加熱攪拌する方法並びに共沸重合法が、挙げられる。
エチレン性不飽和化合物(p)の重合のために使用される有機溶剤は、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、及びジアルキルグリコールエーテル類からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
エチレン性不飽和化合物(p)の重合のために使用される重合開始剤は、例えばジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類、イソブチリルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシビバレート等のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、並びにレドックス系の開始剤からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)は、適宜のポリマー及びプレポリマーからなる群から選択される化合物を含有することができる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)は、エチレン性不飽和基を一個のみ有する化合物を含有することができる。エチレン性不飽和基を一個のみ有する化合物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリロイルオキシエチルサクシネート、メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2−プロペノイックアシッド,3−(2−カルボキシエトキシ)−3−オキシプロピルエステル、2−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、及び2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)は、エチレン性不飽和基を複数個備える化合物を更に含有することができる。エチレン性不飽和基を複数個備える化合物は、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のヒドロキシル基を備える多官能アクリレート、並びに多官能メタクリレートに二塩基酸無水物を反応させて得られる化合物からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
特にカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)が、アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。この場合、アクリル酸及びメタクリル酸に由来するエチレン性不飽和基は特に光反応性に優れるため、第一の樹脂(a)の光反応性が高くなる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)の使用量は、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基1モルに対してエチレン性不飽和化合物(a2)のカルボキシル基が0.2〜1.2モルの範囲内となる量であることが好ましく、特に前記カルボキシル基が0.25〜1.15モルの範囲内となる量であることが好ましい。
多価カルボン酸及びその無水物からなる群から選択される化合物(a3)は、例えばフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルナジック酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、メチルコハク酸、マレイン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸等のジカルボン酸;シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸等の三塩基酸以上の多価カルボン酸;並びにこれらの多価カルボン酸の無水物からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
化合物(a3)は、第一の樹脂(a)に酸価を与えることで、樹脂組成物に希アルカリ水溶液による再分散、再溶解性を付与することを主たる目的として使用される。化合物(a3)の使用量は、第一の樹脂(a)の酸価が好ましくは30mgKOH/g以上、特に好ましくは60mgKOH/g以上となるように調整される。また、化合物(a3)の使用量は、第一の樹脂(a)の酸価が好ましくは160mgKOH/g以下、特に好ましくは130mgKOH/g以下となるように調整される。
第一の樹脂(a)が合成される際に、エポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和化合物(a2)との付加反応、並びにこの付加反応による生成物(付加反応生成物)と化合物(a3)との付加反応を進行させるにあたっては、公知の方法が採用され得る。例えばエポキシ化合物(a1)とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)との付加反応にあたっては、エポキシ化合物(a1)の溶剤溶液にカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)を加え、更に必要に応じて熱重合禁止剤及び触媒を加えて攪拌混合することで、反応性溶液が得られる。この反応性溶液を常法により好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の反応温度で反応させることで、付加反応生成物が得られる。熱重合禁止剤としてはハイドロキノンもしくはハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。触媒としてベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビンなどが挙げられる。
付加反応生成物と化合物(a3)との付加反応を進行させるにあたっては、付加反応生成物の溶剤溶液に化合物(a3)を加え、更に必要に応じて熱重合禁止剤及び触媒を加えて撹拌混合することで、反応性溶液が得られる。この反応性溶液を常法により反応させることで、第一の樹脂(a)が得られる。反応条件はエポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和化合物(a2)との付加反応の場合と同じ条件でよい。熱重合禁止剤及び触媒としては、エポキシ化合物(a1)とカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)との付加反応時に使用された化合物をそのまま使用することができる。
カルボキシル基含有不飽和樹脂は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を含むエチレン性不飽和単量体の重合体におけるカルボキシル基の一部にエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで得られる樹脂(第二の樹脂(b)という)を含有してもよい。エチレン性不飽和単量体には必要に応じてカルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物が含まれていてもよい。
第二の樹脂(b)を得るためのカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、適宜のポリマー及びプレポリマーを含有することができる。例えばカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和基を1個のみ有する化合物を含有することができる。より具体的には、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、クロトン酸、桂皮酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリロイルオキシエチルサクシネート、メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2−プロペノイックアシッド,3−(2−カルボキシエトキシ)−3−オキシプロピルエステル、2−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、及び2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和基を複数有する化合物を含有することもできる。より具体的には、例えばカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタメタクリレートからなる群から選択されるヒドロキシル基を有する多官能の(メタ)アクリレートに、二塩基酸無水物を反応させて得られる化合物を含有することができる。これらの化合物は一種単独で使用され、或いは複数種が併用される。
第二の樹脂(b)を得るためのカルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物と共重合可能な化合物であればよい。カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物は、芳香環を有する化合物と、芳香環を有さない化合物のうち、いずれも含有することができる。
芳香環を有する化合物は、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(n=2〜17)、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、EO変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO,PO変性フタル酸(メタ)アクリレート、ビニルカルバゾール、スチレン、ビニルナフタレン、及びビニルビフェニルからなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
芳香環を有さない化合物は、例えば直鎖又は分岐の脂肪族、或いは脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート等;及びN−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。芳香環を有さない化合物は、更にポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を含有してもよい。これらの化合物は一種単独で使用され、或いは複数種が併用される。これらの化合物は硬化物の硬度及び油性の調節が容易である等の点で好ましい。
第二の樹脂(b)を得るためのエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物としては、適宜のポリマー又はプレポリマーが挙げられる。このエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例として、アクリル酸又はメタクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類;アクリレート又はメタクリレートの脂環エポキシ誘導体;β−メチルグリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらの化合物は一種単独で使用され、或いは複数種が併用される。特に、汎用されて入手が容易なグリシジル(メタ)アクリレートが用いられることが好ましい。
カルボキシル基含有不飽和樹脂全体の重量平均分子量は、800〜100000の範囲内であることが好ましい。この範囲内において、樹脂組成物に特に優れた感光性と解像性とが付与される。
カルボキシル基含有不飽和樹脂全体の酸価は30mgKOH/g以上であることが好ましく、この場合、樹脂組成物に良好な現像性が付与される。この酸価は60mgKOH/g以上であれば更に好ましい。また、カルボキシル基含有不飽和樹脂全体の酸価は160mgKOH/g以下であることが好ましく、この場合、樹脂組成物から形成される硬化物中のカルボキシル基の残留量が低減し、硬化物の良好な電気特性、耐電蝕性及び耐水性等が維持される。この酸価は130mgKOH/g以下であれば更に好ましい。
なお、本発明の実施形態で用いられるカルボキシル基含有不飽和樹脂は、上述した製造方法で得られたカルボキシル基含有不飽和樹脂に限定されない。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、樹脂組成物全量に対して10〜80質量%含有されていることが好ましい。10質量%未満であると、塗膜強度又は現像性が低下してしまうおそれがある。一方、80質量%を超えると、塗膜強度が弱くなり塗膜特性が低下するおそれがある。
(熱硬化性樹脂)
本実施形態で使用する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂、ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、あるいは、これら樹脂の変性物等を用いることができる。これらのうちエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの2重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂の他、例えば、グリシジル基やカルボキシル基を有するアクリル樹脂類、カプロラクタム、オキシム、マロン酸エステル等でブロックされたトリレンジイソシアネート、モルホリンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート系のブロックドイソシアネート等のイソシアネート類、n−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂等のメラミン樹脂類、ブチル化尿素樹脂、ブチル化メラミン尿素共縮合樹脂、ベンゾグアナミン系共縮合樹脂等のアミノ樹脂、マレイミド化合物等も使用できる。
本実施形態では、上記例示した熱硬化性樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱硬化性樹脂は、樹脂組成物全量に対して10〜80質量%含有されていることが好ましい。10質量%未満であると、塗膜強度又は現像性が低下してしまうおそれがある。一方、80質量%を超えると、塗膜強度が弱くなり塗膜特性が低下するおそれがある。
上記熱硬化性樹脂は、溶剤等の希釈剤で希釈されていてもよい。このような希釈剤としては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級あるいは多価のアルコール類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;スワジールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピ
レングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;ジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられる。上記希釈剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記希釈剤は、熱硬化性樹脂を溶解又は希釈して、樹脂組成物を液状として塗布可能な状態にする。例えば、ソルダーレジスト用樹脂組成物であれば、これを塗布した後に乾燥すると、希釈剤が揮散して乾燥塗膜が造膜される。上記希釈剤は、特にソルダーレジスト用樹脂組成物を希アルカリ溶液で現像可能なレジストインキとして調製する場合に好適に使用されるものである。そしてこの場合、予備乾燥時に速やかに揮散し、乾燥塗膜に残存しないように適宜配合することが好ましい。
上記希釈剤の配合量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以上であることが好ましく、この場合、樹脂組成物の塗布性が悪化するのを防止することができる。尚、この好適な配合量は塗布方法により異なるので、選択される塗布方法に応じて適宜調節することが好ましい。
樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含む場合には、上記熱硬化性樹脂と共に、硬化剤、促進剤、難燃剤、流動調整剤、カップリング剤などを含んでいてもよい。硬化剤は、イミダゾール誘導体、ポリアミン類、グアナミン類、3級アミン類、4級アンモニウム塩類、ポリフェノール類、多塩基酸無水物、エポキシ樹脂類等の公知の硬化剤を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む場合には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、フェノールノボラックやクレゾールノボラック等の多官能性フェノール等を用いることができる。促進剤は、樹脂と硬化剤との反応等を促進させる目的で用いられるものであり、種類や配合量は特に限定されるものではない。促進剤としては、例えば、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等を用いることができる。硬化剤及び促進剤は、それぞれ1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(光重合開始剤)
樹脂組成物が活性エネルギー線硬化性樹脂を含む場合、樹脂組成物は光重合開始剤を更に含むことが好ましい
本実施形態に用いられる光重合開始剤として、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤など、公知の光重合開始剤を使用することができ、これらのうち少なくとも1種類以上を用いることが好ましい。
α―アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、2−メチル―1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としてはBASF社製のルシリン(登録商標)TPO、BASF社製イルガキュア819などが挙げられる。
これらα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の配合量は、樹脂組成物100質量部に対して0.01〜15質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、15質量部以上になると、十分なアウトガスの低減効果が得られず、さらにソルダーレジストの塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.1〜12質量部である。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASF社製のGCI−325、イルガキュア(登録商標)OXE01、イルガキュアOXE02、アデカ社製N−1919、アデカクルーズ(登録商標)NCI−831などが挙げられる。
このようなオキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。0.01質量部未満であると、同様に銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、5質量部を超えると、ソルダーレジスト又はマーキングインク塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは、0.1〜3質量部である。
その他、本実施形態の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に好適に用いることができる光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物などを挙げることができる。
ベンゾイン化合物としては、具体的には、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
アントラキノン化合物としては、具体的には、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどが挙げられる。
チオキサントン化合物としては、具体的には、例えば2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ケタール化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルメチルケタールなどが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、具体的には、例えばベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル―4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル―4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル―4’−プロピルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、具体的には、例えばエタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、市販品では、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達(株)製ニッソキュアー(登録商標)MABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)などのジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製カヤキュアー(登録商標)EPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミノエチルエステル(日本化薬(株)製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(VanDyk社製Esolol507)などが挙げられる。
これらのうち、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量部を超えると、厚膜硬化性が低下する。より好ましくは15質量部以下である。
これらの光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、樹脂組成物100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
(ガラス粒子(ガラスフィラー))
本実施形態に用いられるガラス粒子は、例えば非晶質のガラス状態にある化合物(例えば、ソーダガラス、石英ガラス)を機械的に微粉砕し、或いは他の方法によって微粒子化したものであることが好ましい。このような方法で微粒子化された非晶質の化合物を用いることにより、結晶性を有する化合物とは異なり、ポリマーや有機溶剤に対して水素結合等による相互作用を小さくできると考えられる。そのため、ポリマー中にガラス粒子を高濃度で配合させてもチクソ性の極端な増大等を引き起こしにくくなり、印刷性等の劣化が生じにくい。さらに、ガラス粒子は、線膨張率の値(CTE値)が15×10−7〜150×10−7/℃の範囲内であることが好ましい。CTE値が20×10−7〜110×10−7/℃の範囲内がより好ましく、CTE値が30×10−7〜80×10−7/℃の範囲内であることがさらに好ましい。なお、このCTE値は、30〜350℃の温度範囲における平均値である。ガラス粒子を構成する主成分としては、SiO2、PbO、B2O3、ZnO、Bi2O3、TiO2、SnO、P2O5等の酸化物である。このようなガラス粒子を充填剤として用いることにより、例えば硫酸バリウム、破砕シリカ、溶融シリカなどの充填剤などでは得られない硬化物特性を付与することが可能になる。
具体的には、ガラス粒子は、硬化物の低CTE化に大きな効果を発揮するだけでなく、その屈折率をガラス組成によって変化させることができる。したがって、ガラス粒子の屈折率を、樹脂組成物中の樹脂類の屈折率に合わせることで、高充填しても解像性を劣化させることなく、得られる樹脂組成物の物性の向上と優れた解像性の両立が可能となる。樹脂組成物をプリント配線板用ソルダーレジスト又はマーキングインクとして用いる場合、ガラス粒子のメディアン径D50が10μm以下であることが好ましい。
このようなガラス粒子に、樹脂類に対する濡れ性を向上させるための表面処理を施すことで、樹脂組成物から形成される塗膜の特性を向上することができる。表面処理として、例えば、アミノシラン、メルカプトシランや、ビニルシラン、メタクリル式シラン、エポキシシラン、アルキルシランなどによる処理(シランカップリング処理)が挙げられる。
ガラス粒子の配合量は、樹脂組成物100質量部に対して、1〜600質量部であることが好ましい。1質量部未満ではその効果が確認されず、一方、600質量部を超えると樹脂組成物として分散不良のおそれがあるためである。より好ましくは、5〜550質量部である。
ガラス粒子としては、市販品として、例えば日本フリット株式会社のCF−0002、CF−0003、CF−0017、CF−0018、CF−0027、CF−0033、CF−0093、ポッターズ・バロティーニ株式会社のEMB−10、EMB−20、AGCエレクトロニクス株式会社のASF1216、ASF1330、ASF1550、ASF1094、ASF1898、K−834などを挙げることができる。任意のソーダガラス又は石英ガラスを微粒子化することによってガラス粒子を得ることもできる。
上記例示した一部のガラス粒子の所定の測定温度範囲におけるCTE値の平均値を表1に示す。
必要に応じて、塗膜や硬化物の物理特性を上げるために、樹脂組成物にガラス粒子以外の充填剤を配合してもよい。このような充填剤としては、公知の無機又は有機充填剤が使用でき、特に硫酸バリウム、球状シリカ及びタルクが好ましい。さらに、白色の外観や難燃性を得るために、酸化チタンや金属酸化物、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物を充填剤としても使用することができる。
(その他添加剤)
樹脂組成物は、更に必要に応じて適宜の添加剤を含有してもよい。例えば樹脂組成物は、シリコーン、アクリレート等の共重合体;レベリング剤;シランカップリング剤等の密着性付与剤;チクソトロピー剤;重合禁止剤;ハレーション防止剤;難燃剤;消泡剤;酸化防止剤;界面活性剤;並びに高分子分散剤からなる群から選択される一種以上の化合物を含有してもよい。
樹脂組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、樹脂組成物の液状化又はワニス化、粘度調整、塗布性の調整、造膜性の調整などの目的で使用される。
有機溶剤は、例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級或いは多価のアルコール類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等の酢酸エステル類;並びにジアルキルグリコールエーテル類からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
樹脂組成物中の有機溶剤の割合は、樹脂組成物から形成される塗膜の予備乾燥時に有機溶剤が速やかに揮散するように、すなわち有機溶剤が乾燥膜に残存しないように、調整されることが好ましい。特に、樹脂組成物中の有機溶剤の割合が、5〜99.5質量%の範囲内であることが好ましい。この場合、樹脂組成物の良好な塗布性が得られる。尚、有機溶剤の好適な割合は、塗布方法などにより異なるので、塗布方法に応じて割合が適宜調節されることが好ましい。
樹脂組成物は、着色剤を含有することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄などの公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれかを単独または2種類以上を併用して使用してもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点から、ハロゲンを含有しないことが好ましい。
赤色着色剤としてはモノアゾ系化合物、ジスアゾ系化合物、アゾレーキ系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ペリレン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物、縮合アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、キナクリドン系化合物などが挙げられる。
青色着色剤としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物が挙げられる。その他、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物が挙げられる。その他、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤としては、モノアゾ系化合物、ジスアゾ系化合物、縮合アゾ系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、イソインドリノン系化合物、アントラキノン系化合物などが挙げられる。
その他、色調を調整する目的で、紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
これらの着色剤の配合割合は、特に制限はないが、活性エネルギー線硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂100質量部に対して、0〜10質量部が好ましい。より好ましくは0.1〜5質量部である。
(樹脂組成物の調製)
上記のような樹脂組成物の原料が配合され、例えば三本ロール、ボールミル、サンドミル等を用いる公知の混練方法によって混練されることにより、樹脂組成物が調製され得る。また、ソルダーレジスト用樹脂組成物は、上記各成分のうち一部(例えば、光重合性化合物、有機溶剤の一部及び熱硬化成分)を予め混合して分散させておき、これとは別に残りの成分を予め混合して分散させておき、使用時に両者を混合してソルダーレジスト用樹脂組成物を調製してもよい。
(ソルダーレジスト用樹脂組成物からの硬化物の形成)
本実施形態のソルダーレジスト用樹脂組成物を使用することで、基材(例えば、プリント配線板)上に硬化物を形成することができる。これにより、例えば硬化物を有するプリント配線板を作製することができる。硬化物の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば、印刷法を用いて所望のパターンを形成し、成膜することができる。具体的には、銅張積層板などの基板を準備し、この基板上にスクリーン印刷やオフセット印刷等の従来周知の印刷手法を用いてソルダーレジスト用樹脂組成物を印刷する。そして、この後、紫外線を全面的に露光してこの被露光部分のソルダーレジスト用樹脂組成物を硬化して、所定パターンの膜(硬化物)を形成させることができる。一方、ソルダーレジスト用樹脂組成物に活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれず、熱硬化性樹脂のみが含まれる場合は、例えば、120〜180℃で30〜90分程度の条件で加熱処理を施すことで熱硬化性樹脂成分を熱硬化させ、硬化物を形成させることができる。
また、硬化物の別の形成方法として、現像処理による方法が挙げられる。この場合、まず、プリント配線板に対して、ソルダーレジスト用樹脂組成物を浸漬法、スプレー、スピンコート、ロールコート、カーテンコート、スクリーン印刷等の適宜の手法により塗布した後、ソルダーレジスト用樹脂組成物中の有機溶剤を揮発させるために例えば60〜120℃で予備乾燥を行ない、乾燥膜を形成する。
そして、この乾燥膜に対し、ソルダーレジスト用樹脂組成物に活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれる場合は、パターンが描かれたネガマスクを乾燥膜の表面に直接又は間接的に当てがい、活性エネルギー線を照射することにより、ネガマスクを介して乾燥膜を露光する。
ここで、上記ネガマスクとしては、硬化物のパターン形状が活性エネルギー線を透過させる露光部として描画されると共に他の部分が活性エネルギー線を遮蔽する非露光部として形成された、マスクフィルムや乾板等のフォトツールなどが用いられる。また、活性エネルギー線としては、ソルダーレジスト用樹脂組成物の組成に応じ、紫外線、可視光、近赤外線、電子線等の適宜の活性エネルギー線が挙げられる。例えば、ケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ又はメタルハライドランプ等の光源から紫外線等を照射する。尚、露光の手法は、上記のようなネガマスクを用いる方法に限られるものではなく、適宜の手法を採用することができ、例えばレーザ露光等による直接描画法等を採用することもできる。
露光後のプリント配線板からネガマスクを取り外し、現像処理することにより、乾燥膜の非露光部分を除去し、残存する乾燥膜の露光部分にて硬化物を形成する。
上記現像処理では、ソルダーレジスト用樹脂組成物の種類に応じた適宜の現像液を使用することができる。現像液の具体例としては、例えば、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化リチウム水溶液などのアルカリ溶液を例示することができる。また、上記アルカリ溶液以外でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミンを使用することができ、これらは、単独でも組み合わせても用いることができる。このアルカリ溶液の溶媒としては、水単独のみならず、例えば水と低級アルコール類等の親水性のある有機溶媒の混合物を用いることも可能である。
尚、ソルダーレジスト用樹脂組成物に活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とが両方含まれる場合には、上記現像処理の後、必要に応じて硬化物を、例えば、120〜180℃で30〜90分程度の条件で加熱処理を施すことで熱硬化性樹脂成分を熱硬化させ、硬化物の膜強度、硬度、耐薬品性等を向上させてもよい。
(マーキングインク用樹脂組成物による硬化物の形成)
本実施形態のマーキングインク用樹脂組成物を使用することで、例えばプリント配線板上に、以下のように硬化物を形成することができる。硬化物は、例えばマーキングインク用樹脂組成物を用いてマーキング又は、塗布することで形成させることができる。このマーキングをするにあたっては、まず、硬化物が形成された銅張積層板などの基板を準備し、この硬化物上にスクリーン印刷やオフセット印刷等の従来周知の印刷手法を用いて、マーキングインク用樹脂組成物を印刷する。そして、この後、紫外線を全面的に露光してこの被露光部分のマーキングインク用樹脂組成物を硬化して、所定パターンの膜(硬化物)を形成させることができる。尚、この場合の硬化物の形成方法は、特に限定されるものではなく、上記と同様の方法を採用すればよい。また、硬化物の形成にあたっては、本実施形態のソルダーレジスト用樹脂組成物で形成させても良いし、その他の公知のソルダーレジスト形成用材料から形成されるものであってもよい。
マーキングをするにあたっては上記方法の他、マーキングインク用樹脂組成物をインクとして有するフェルトペン、マーキングペン、マーカーペン等を用いることも可能であるし、上記マーキングインク用樹脂組成物をインクジェット方式のようなもので転写させることも可能である。
マーキングインク用樹脂組成物から硬化物を形成させる場合、マーキングインク用樹脂組成物をそのまま使用してもよいし、あるいは、必要に応じてトルエン、ノルマルヘキサン、メタノール等の揮発性有機溶剤で希釈して使用してもよい。
そして、上記マーキングをした後、紫外線等の活性エネルギー線照射、あるいは、加熱による硬化を行えば、樹脂成分が硬化して、硬化物が形成される。この場合の加熱硬化は、例えば、120〜180℃で30〜90分程度の加熱処理の条件で行うことができる。
上記のようにマーキングインク用樹脂組成物を用いて被覆対象物であるプリント配線板上に硬化物を形成させる場合、この硬化物は所望の図柄、文字等の形で形成させることができる。すなわち、マーキングインク用樹脂組成物で上記硬化物を形成させる場合、必要な部分のみに硬化物を形成させることができる。本実施形態のマーキングインク用樹脂組成物を使用すれば、プリント配線板上に硬化物を容易に形成できる他、もちろんその他の部分にも硬化物を形成させることができ、硬化物の形成に優れた自由度をもたらすことができる。
以下、実施例及び比較例を示して、本実施形態について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。なお、以下について「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
(カルボキシル基を有しない活性エネルギー線硬化性樹脂の合成例)
トリメチロールプロパントリアクリレート800gに、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON(登録商標)N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、及びハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、N,N−ジメチルベンジルアミン4.3gを仕込み、90℃に加熱して2時間反応後、100℃に昇温してさらに12時間反応を行った。反応後トリメチロールプロパントリアクリレートを630g加え均一撹拌し、樹脂液を得た。これをワニスA−1とする。
(実施例1〜3及び比較例1〜2のカルボキシル基を有しない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製)
ワニスA−1を用い、表2に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。ここで、得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の分散度を、エリクセン社製グラインドメーターによる粒度測定にて評価したところ、15μm以下であった。
(カルボキシル基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂の合成例)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600gに、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON(登録商標)N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360g(5.0モル)、及びハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。
次いで、トリフェニルホスフィン4.3gを仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415g、テトラヒドロ無水フタル酸456.0g(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却した。
このようにして、固形分酸価89mgKOH/g、固形分65%の樹脂溶液を得た。これをワニスA−2とする。
(実施例4〜9及び比較例3〜5のカルボキシ基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製)
ワニスA−2を用い、表3に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、カルボキシ基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。ここで、得られたカルボキシ基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の分散度を、エリクセン社製グラインドメーターによる粒度測定にて評価したところ、15μm以下であった。
(熱硬化性樹脂の合成例)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート240gとブチルグリコール60gに、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON(登録商標)N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)700gを、100℃にて加熱攪拌し、均一溶解した。これをワニスA−3とする。
(実施例10〜13及び比較例6〜8の熱硬化性樹脂組成物の調製)
ワニスA−3を用い、表4に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。ここで、得られた熱硬化性樹脂組成物の分散度を、エリクセン社製グラインドメーターによる粒度測定にて評価したところ、15μm以下であった。
<硬化物特性評価基板>
実施例1〜3及び比較例1〜2のカルボキシル基を有しない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、パターン形成された銅泊基板上に、乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷でパターン塗布しこの基板にメタルハライドランプを搭載した露光装置を用いて、レジスト表面上に1000mJの露光量が当たるように全面露光し、硬化物パターンの形成された評価基板を得た。
実施例4〜9及び比較例3〜5のカルボキシル基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、パターン形成された銅泊基板上に、乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分間乾燥し、室温まで放冷した。この基板にメタルハライドランプを搭載した露光装置を用いて、レジスト表面上に300mJの露光量が当たるようにパターンを露光した後、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.2MPaの条件で90秒間現像を行い、パターンを得た。
この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分間加熱して硬化させ、硬化物パターンの形成された評価基板を得た。
実施例10〜13及び比較例6〜8の熱硬化性樹脂組成物を、パターン形成された銅泊基板上に、乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷でパターン塗布し、150℃で60分間加熱して硬化させ、硬化物パターンの形成された評価基板を得た。
得られた評価基板を用いて、現像性、耐酸性、耐アルカリ性、はんだ耐熱性、無電解金めっき性、レベリング性、CTE測定について、以下のように評価した。
上記の評価結果を表5〜表7に示す。
<現像性>
実施例4〜9及び比較例3〜5のカルボキシル基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、パターン形成された銅泊基板上に乾燥膜厚が20μmになるようにスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で乾燥を20分行った。
室温まで放冷した塗布基板を30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液により、スプレー圧0.2MPaの条件で90秒間現像を行い、現像後の銅泊、FR−4基材上の状態を目視により観察した。判定基準は以下のとおりである。
○:現像残渣が認められない。
△:ほんの僅かに残渣が見られる。
×:はっきりと現像残渣が見られる。
<耐酸性>
評価基板を、10wt%H2SO4水溶液に室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出しを目視にて確認し、さらにテープピーリングによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおりである。
○:変化が認められないもの。
△:ほんの僅かに変化しているもの。
×:塗膜に膨れあるいは膨潤脱落があるもの。
<耐アルカリ性>
評価基板を、10wt%NaOH水溶液に室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出しを目視にて確認し、さらにテープピーリングによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおりである。
○:変化が認められない。
△:ほんの僅かに変化している。
×:塗膜に膨れあるいは膨潤脱落がある。
<はんだ耐熱性>
評価基板にロジン系フラックスを塗布した後、予め260℃に設定したはんだ層に浸漬した。そして変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:10秒浸漬を3回以上繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒浸漬を3回以上繰り返すと少し剥がれる。
×:10秒浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
<無電解金めっき性>
評価基板について、市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.05μmの条件でめっきを行った。めっきされた評価基板において、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無の評価をした後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:めっき後にしみ込みが見られず、テープピーリング後に剥がれは無い。
△:めっき後に白化は確認されるが、テープピーリング後の剥がれは無い。
×:めっき後に僅かなしみ込みが確認され、テープピーリング後に剥がれも見られる。
<レベリング性>
評価基板の表面状態を目視にてレジスト表面全体の平滑性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:印刷時のスクリーン版の痕跡が全く見られない。
△:印刷時のスクリーン版の痕跡が僅かに見られる。
×:印刷時のスクリーン版の痕跡がはっきり確認できる。
<CTE測定>
約40μmの活性エネルギー線又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物を形成し、TMA((株)リガク社製TMA8310)により、線膨張係数を(CTE)を測定した。測定は硬化収縮などの影響を排除するため、1stRunでアニーリング処理を行い、2ndRunの測定にてCTEを算出した。また、測定したCTEの値は、1)35〜80℃、2)50〜150℃、3)35〜250℃の平均値として決定した。